JP2005303876A - 誘電体共振器及び誘電体帯域通過フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルタ特性の調整を容易に行なうことができる誘電体帯域通過フィルタを提供する。
【解決手段】誘電体共振器30は、誘電体共振素子31の上面中央に上下両端に貫通する空孔32を設けて筒状に形成し、上面以外の表面に金属膜を形成する。誘電体共振素子31の開口面には、2つの対向板電極35を相対向するように設けると共に、空孔32の内側から対向板電極35の設置位置まで延長するように金属膜33aを形成する。誘電体帯域通過フィルタの筐体41内に2つの誘電体共振器30を対向板電極35が対向するように収納する。筐体41の両側に配置した入出力端子42a、42bに対し、筐体41内に対向板電極35を設ける。そして、各対向板電極35間に結合調整棒43a〜43cを挿入できるようにし、その挿入長により各対向板電極35間の電磁界結合量を調整する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電磁モードがTEMモードの誘電体共振器及びこの誘電体共振器を用いた誘電体帯域通過フィルタに関する。
従来、例えばタクシー無線等の移動無線における基地局では、複数の通信機と空中線との間に空中線共用装置を設け、周波数の異なる複数チャンネルにより1つの空中線を共用している。上記空中線共用機は、複数の帯域通過フィルタにより構成されるが、この帯域通過フィルタとしては、例えばTEMモード誘電体共振器を利用した誘電体帯域通過フィルタが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
従来のTEMモードの誘電体帯域通過フィルタは、例えば数百MHzの周波数帯で使用されるもので、図5〜図7に示すように構成されている。図5は誘電体帯域通過フィルタの横断面図、図6は同誘電体帯域通過フィルタの縦断面図、図7は同誘電体帯域通過フィルタに使用される誘電体共振器の斜視図である。
図5、図6において、11は金属製の筐体で、この筐体11内に複数例えば2つのTEMモードの誘電体共振器12a、12bを収納している。また、筐体11の両側部には、入出力端子13a、13bが設けられる。更に筐体11内には、上記入出力端子13a、13bに対応して結合コイル14a、14bが設けられる。この結合コイル14a、14bは、一端が入出力端子13a、13bに接続され、他端が筐体11に接続される。
上記誘電体共振器12a、12bは、図7に示すように四角柱に形成された誘電体共振素子21の上面中央に上下両端に貫通する空孔22を設けると共に、上面以外の表面に金属膜23を形成している。そして、誘電体共振素子21の対向する両側面中央部の金属膜23を剥がして結合窓24を形成する。
上記のようにして構成した誘電体共振器12a、12bは、結合窓24が相互に隣接するように筐体11内に収納し、結合コイル14a、14bと誘電体共振器12a、12bとの間、及び誘電体共振器12aと12bとの間を結合窓24により電磁界結合させている。
また、図示しないが、誘電体共振器12a、12bの同調を図るために、空孔22内に金属製の同調棒が挿入される。この同調棒は、筐体11の上面にナットで固定され、空孔22内への挿入量によって同調周波数を調整するようになっている。
特開平7−147502号公報
上記従来の誘電体帯域通過フィルタは、フィルタ特性の調整を行なう際に通過周波数の違い等により結合量を変化させる必要があるが、この結合量の調整は、結合窓24の大きさを変えることによって行なっている。
しかし、結合窓24の加工は非常に困難な作業で、作業効率が悪く、調整に時間が掛かるという問題がある。作業効率を向上するために結合窓24の大きさが異なる複数種の誘電体共振器を予め揃えておくことが考えられるが、複数種の誘電体共振器を予め多数揃えておくことは、製品の管理が大変であると共に経済効率が悪いという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、フィルタ特性の調整を容易に行なうことができる誘電体共振器及び誘電体帯域通過フィルタを提供することを目的とする。
第1の発明は、両端に貫通する空孔を設け、その一端を開口面とした筒状の誘電体であって、該誘電体の前記開口面以外の表面に金属膜を形成してなる誘電体共振器において、
前記開口面上部に前記空孔内表面の金属膜と導通する少なくとも1つの対向板電極を固定して設け、該対向板電極により入出力端子又は他の誘電体共振器に設けられている対向板電極と電磁界結合を行なうように構成したことを特徴とする。
第2の発明に係る誘電体帯域通過フィルタは、前記第1の発明に係る誘電体共振器を1個又は複数個備え、電磁界結合している対向板電極間に結合調整棒を設置し、該結合調整棒により電磁界結合量を調整することを特徴とする。
本発明によれば、誘電体共振器の開口面上部に設けた対向板電極により入出力端子又は他の誘電体共振器に設けられている対向板電極と電磁界結合させることができ、従来のように筐体外側の金属膜を剥がして結合窓を形成する必要が無く、誘電体共振器を短時間で容易に製作することができる。
また、結合調整棒を回転操作して電磁界結合している対向板電極間への挿入長を可変設定するだけで、入出力端子と誘電体共振器との間の電磁界結合量及び各誘電体共振器間の電磁界結合量を容易にかつ微細に調整することができる。従って、希望するフィルタ特性の違いによって、結合窓の大きさが異なる誘電体共振器を多数揃える必要がなくなり、製品の管理が容易になると共に経済効率を向上することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るTEMモードの誘電体共振器30の構成を示す斜視図である。誘電体共振器30は、例えば四角柱状の誘電体共振素子31の上面中央に上下両端に貫通する周波数調整用の空孔32を設け、筒状に形成している。また、上記誘電体共振素子31には、上面以外の表面に例えば銀等の金属材を蒸着して金属膜33を形成している。これにより誘電体共振素子31は、上面を開口面34としている。この場合、空孔32の内表面にも金属膜33が施される。
上記誘電体共振素子31の開口面34には、少なくとも1つ例えば2つの対向板電極35を空孔32の開口部の両側に位置して相対向するように設ける。この場合、誘電体共振素子31の開口面には、空孔32の内側表面から対向板電極35の設置位置まで延長するように金属膜33aを形成し、この金属膜33a上に金属板例えば銅板をL字形状に形成した対向板電極35をハンダ付けにより固定する。上記対向板電極35は、誘電体共振素子31の外側面より所定距離内側に位置するように設ける。
そして、上記誘電体共振器30を1個あるいは複数個使用して誘電体帯域通過フィルタを構成する。
図2〜図4は、上記誘電体共振器30を2個使用して2段の誘電体帯域通過フィルタ40を構成した場合の例を示したもので、図2は外観構成を示す斜視図、図3は誘電体帯域通過フィルタ40の蓋部分を除いて示す平面図、図4は誘電体帯域通過フィルタ40の縦断面図である。
図2〜図4において、41は誘電体帯域通過フィルタ40の金属製の筐体で、この筐体41内に2つの誘電体共振器30、30を対向板電極35が相対向するように収納する。この際、誘電体共振器30に施されている金属膜33が筐体41に電気的に接続されるようになっている。また、筐体41の両側部には、入出力端子42a、42bが設けられる。
上記入出力端子42a、42bには、それぞれ筐体41内において対向板電極35を設ける。この場合、入出力端子42a、42bに設けられた対向板電極35は、それぞれ誘電体共振器30の対向板電極35と所定の間隔例えば7〜10mm程度の間隔を保って相対向するように配設される。
上記のように入出力端子42a、42bに設けた対向板電極35と誘電体共振器30に設けた対向板電極35とを所定の間隔を保って対向配置することにより、各対向板電極35、35間に容量を生じさせて電磁界結合させる。
そして、上記入出力端子42aに設けられた対向板電極35と誘電体共振器30に設けられた対向板電極35との間、2つの誘電体共振器30、30に設けられて隣接して位置する対向板電極35、35間、入出力端子42bに設けられた対向板電極35と誘電体共振器30に設けられた対向板電極35との間には、例えば金属部材あるいは絶縁部材からなる結合調整棒43a〜43cが挿入される。
上記結合調整棒43a〜43cは、外側にネジ部が形成されて雄ネジ形状となっており、筐体41に設けられたネジ穴に螺着されて上記各対向板電極35、35間に挿入される。また、結合調整棒43a〜43cは、上端部中央に溝が形成されており、この溝に外部からドライバ等を結合させて回転することにより、対向板電極35、35間への挿入長さが調整できるようになっている。また、筐体41の外側に位置する結合調整棒43a〜43cの上端部には、ナット44が螺着され、位置調整を行なった後、ナット44を締め付けることにより、結合調整棒43a〜43cの位置が固定されるようになっている。
また、筐体41の上部には、図2に示すように蓋体45が設けられる。この蓋体45には、筐体41に収納された誘電体共振器30の空孔32に対応する位置にネジ穴が設けられ、このネジ穴に例えば金属製の同調棒46が螺着される。この同調棒46には、上部外側にネジ部が形成されて雄ネジ形状となっており、このネジ部が上記蓋体45に設けられたネジ穴に螺着され、その下側部が空孔32内に挿入される。上記同調棒46は、上端中央に溝が形成されており、この溝に外部からドライバ等を結合させて回転することにより、空孔32内への挿入長さを調整し、同調周波数を調整できるようになっている。また、同調棒46の上端部には、ナット47が螺着されており、同調周波数を調整した後、ナット47を締め付けて同調棒46の位置を固定する。
上記のように構成された誘電体帯域通過フィルタ40において、誘電体共振器30、30の同調周波数を調整する際は、同調棒46を蓋体45に固定しているナット47を緩めた後、同調棒46を回転させて空孔32内への挿入量を可変し、同調周波数を調整する。調整終了後は、ナット47を締め付けて同調棒46を蓋体45に固定する。
また、フィルタ特性を調整する場合は、結合調整棒43a〜43cを筐体41に固定しているナット44を緩めた後、結合調整棒43a〜43cを回転し、各対向板電極35、35間への挿入量を可変して電磁界結合量、すなわち、入出力端子42aと誘電体共振器30との間の電磁界結合量、誘電体共振器30、30間の電磁界結合量、及び誘電体共振器30と入出力端子42bとの間の電磁界結合量を順次調整する。上記結合調整棒43a〜43cが金属体(導電体)の場合は、対向板電極35、35間に挿入することで結合量が減少し、結合調整棒43a〜43cが絶縁体(誘電体)の場合は、対向板電極35、35間に挿入することで結合量が増加する。
上記のようにして入出力端子42a、42bと誘電体共振器30との間の電磁界結合量、及び誘電体共振器30、30間の電磁界結合量を調整して所望のフィルタ特性となるようにする。
上記のように筐体41に設けたネジ穴に螺着されている結合調整棒43a〜43cをドライバ等により回転し、対向板電極35、35間への挿入長を可変するだけで、入出力端子42a、42bと誘電体共振器30との間の電磁界結合量、及び誘電体共振器30、30間の電磁界結合量を容易にかつ微細に調整することができる。従って、従来のように希望するフィルタ特性の違いによって、結合窓の大きさが異なる誘電体共振器を多数揃える必要がなくなり、製品の管理が容易になると共に経済効率を向上することができる。また、結合調整棒43a〜43cの材質を変えることにより、結合量の可変幅を大きくすることができる。
なお、上記実施形態では、誘電体共振器30の誘電体共振素子31を四角柱状に形成した場合について示したが、例えば円柱状等、その他の形状に形成しても良い。
また、上記実施形態では、2個の誘電体共振器30を用いて2段の誘電体帯域通過フィルタ40を構成した場合について示したが、1個または2個以上の誘電体共振器を用いて誘電体帯域通過フィルタ40を構成しても良く、フィルタ構成段数は任意に設定し得るものである。
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
本発明の一実施形態に係る誘電体共振器の外観構成を示す斜視図である。 同実施形態に係る誘電体共振器により構成した誘電体帯域通過フィルタの外観斜視図である。 同実施形態に係る誘電体帯域通過フィルタの蓋部分を除いて示す平面図である。 同実施形態に係る誘電体帯域通過フィルタの縦断面図である。 従来の誘電体帯域通過フィルタの横断面図である。 従来の誘電体帯域通過フィルタの縦断面図である。 従来の誘電体帯域通過フィルタに使用される誘電体共振器を取り出して示す斜視図である。
符号の説明
30…誘電体共振器、31…誘電体共振素子、32…空孔、33、33a…金属膜、34…開口面、35…対向板電極、40…誘電体帯域通過フィルタ、41…筐体、42a、42b…入出力端子、43a〜43c…結合調整棒、44…ナット、45…蓋体、46…同調棒、47…ナット。

Claims (2)

  1. 両端に貫通する空孔を設け、その一端を開口面とした筒状の誘電体であって、該誘電体の前記開口面以外の表面に金属膜を形成してなる誘電体共振器において、
    前記開口面上部に前記空孔内表面の金属膜と導通する少なくとも1つの対向板電極を固定して設け、該対向板電極により入出力端子又は他の誘電体共振器に設けられている対向板電極と電磁界結合を行なうように構成したことを特徴とする誘電体共振器。
  2. 前記請求項1に記載の誘電体共振器を1個又は複数個備え、電磁界結合している対向板電極間に結合調整棒を設置し、該結合調整棒により電磁界結合量を調整することを特徴とする誘電体帯域通過フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018107602A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 日本電業工作株式会社 共振器及びフィルタ

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