JP2005302842A - 配線基板作成用トナー、及びこれを用いた配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板作成用トナー、及びこれを用いた配線基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配線基板の多品種少量生産を低コストで容易に行い、精度の良い回路パターンを形成する。
【解決手段】未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂、及び1μm以下の平均粒径を有する導電性粒子15〜70重量%を含有するトナー粒子を含み、そのトナーの体積50%粒子径が12μm以下であり、かつ4μm以下の個数%が20%以下であるトナーを使用し、電子写真方式で導体下地層を形成し、その上にメッキを行うことにより導体層を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、電子写真方式を用いて配線基板を製造する技術に係り、特にこの製造技術に適したトナーに関する。
従来、配線基板や多層配線基板を構成する基板上に回路パターンを形成する方法として、スクリーン印刷方式が広く採用されていた。このスクリーン印刷方式では、銀、白金、銅、パラジウムなどの金属粉と、エチルセルロースなどのバインダーとを混合したものをテルピネオール、テトラリン、及びブチルカルビトールなどの溶媒で粘度を調整してペーストを作成し、このペーストを基板上に所定の回路パターンで塗布する。
しかし、このスクリーン印刷方式では、各回路パターンに対応した専用マスクを用意する必要があり、特に多品種小量生産になりがちな多層配線基板等を作成する場合、専用マスクの種類が多くなり、専用マスクを作製する時間が長くなるとともに、多層配線基板の製造コストが多大になるという問題があった。また、回路パターンの部分的な変更でも、専用マスクを再作成しなければならず、柔軟な対応が取れないという問題があった。
このようなスクリーン印刷方式の問題を解消するために、近年、電子写真方式により基板上に回路パターンを形成する方法が開発されている。この方法では、例えば球形の導電性粉末の表面に電荷制御剤を固着させた後、熱可塑性樹脂を被覆した構造を有する配線基板作成用トナーを作成し、これを感光体上に形成された所定のパターンの静電潜像に、静電的に付着させて可視像を形成することすなわち現像を行い、得られた可視像を基板に転写して回路パターンを形成していた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような電子写真方式に使用される配線基板作成用トナーは、一般のコピー用トナーに比べて、熱可塑性樹脂層が薄い為、トナーの電気抵抗が低いため帯電性が低下してかぶりを生じやすく、これを補うために外添剤を付与しても、その帯電量の制御が極めて難しいため、高精度な回路パターンを形成することが難しかった。
このように、電子写真方式を用いて回路パターンを形成する場合には、現像を行うための帯電性と回路パターンとしての導電性とが相反する関係にあるため、その制御が困難であるという問題があった。特に、回路パターンのような微細なパターンを精度よく形成するためには、帯電性のコントロールが極めて重要となり、良好な回路パターン精度とその電気特性を両立させる配線基板作成用トナーの製造は、工業的に極めて困難であった。
特開2001−284769号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、配線基板の多品種少量生産を低コストで容易に行なうことが可能であり、帯電性が安定してかぶりを生じ難く、精度の良い回路パターンを形成し得る配線基板作成用トナーを提供することにある。
本発明は、電子写真方式を用いて導体下地層を形成した後、その上にメッキにを行うことより導体層を形成することを含む配線基板の作成技術であって、導体下地層を形成するために、未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂、及び1μm以下の平均粒径を有する導電性粒子15〜70重量%を含有するトナー粒子を含み、そのトナーの体積50%粒子径が12μm以下であり、かつ4μm以下の個数%が20%以下である配線基板作成用トナーを使用することを特徴とする。
本発明を用いると、帯電性安定してかぶりを生じ難く、精度の良い回路パターン有する配線基板を形成し得る。また、本発明を用いることにより、配線基板の多品種少量生産を低コストで容易に行なうことが可能となる。
本発明の配線基板作成用トナーは、バインダー樹脂及び導電性粒子を含有するトナー粒子含むトナーであって、バインダー樹脂は未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とし、導電性粒子は1μm以下の平均粒径を有し、かつトナー粒子全重量に対し15〜70重量%含まれ、そのトナーの体積50%粒子径が12μm以下であり、かつ4μm以下の個数%が20%以下である。
また、本発明の配線基板の製造方法は、上記配線基板作成用トナーを用いて電子写真方式により回路パターンを作成する工程を含む方法であって、
上記配線基板作成用トナーを用いて、静電潜像を現像してトナー像を形成する工程、
得られたトナー像を基板上に転写した後、加熱することにより、未硬化の熱硬化性樹脂を硬化せしめ、導体下地層を形成する工程、及び導体下地層上に、導電性材料をメッキしてメッキ層を設けることにより、導体層を形成する工程を具備する。
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板作成用トナーの一例を表す模式図を示す。
図示するように、このトナー7は、未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂2及びこのバインダー樹脂中に分散された例えば銅などの金属からなる導電性粒子1を含むトナー粒子5を有する。
本発明では、配線基板の導体下地層を形成するために、トナー粒子中に、未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂と平均粒径1μm以下の導電性粒子15ないし70重量%とが使用される。
図1に示すように、このようなトナー粒子5では、電子写真方式の現像時に、トナー粒子5表面に現れる導電性粒子1の量が少ないため、トナーとして要求される帯電性を確保しやすくなる。
しかしながら、使用される熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹脂等は、通常の電子写真用トナーに使用されるスチレン系樹脂やポリエステル系の熱可塑性樹脂と比較して官能基を多く持つため、特に多湿の環境において吸湿により帯電量を維持し難い傾向がある。トナーの電気抵抗が低く、かつ帯電量が低いという条件においては、トナーは電子写真の静電潜像のない部分においても現像をしてしまう、いわゆるかぶりという現象が生じ易い。また、現像時には、トナー粒子中の熱硬化性樹脂が未硬化であるため、通常のトナーと比較して十分な強度を持てず、現像器での撹拌によってトナーの破壊・劣化が進みやすいと考えられ、発生したトナー微粉がキャリアを覆うことによって帯電・現像を阻害し、これもかぶりを発生させる要因となり易い。このように、トナーの粒子径は、細かくすることによって精密な回路パターンを現像することが可能となる一方、トナー微粉が増えることによりかぶりを発生させやすいという不利点がある。また、このようなかぶりが発生すると、現像された回路パターン以外の部分にもトナーが付着することにより、回路のショートに繋がる危険性がある。
この低抵抗・低帯電量によるかぶりを低減する方法として、電荷制御剤(CCA)を添加することにより帯電量を上げる方法が考えられるが、本発明に使用されるトナー粒子のように、導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含む低抵抗で吸湿性を持つトナー粒子に、通常の電子写真用トナーと同様にしてCCAを添加しても、十分な効果が得られず、また、一般のCCAは熱分解性の物質であることが多く、回路としての十分な信頼性を得るため、このようなCCAは、配線基板作成用トナー中に多く入れることは望ましくない。
また、帯電量を上げる手段として、シリカ等の外添剤を添加する手法も良く知られているが、通常の電子写真用トナーと同様にして外添剤を添加しても、このようなトナーの帯電制御には不十分であり、また多く入れすぎて、トナーの被覆率がある一定以上高くなると、シリカが遊離し、キャリアに付着して、逆に帯電量が下げるという悪影響がある。
本発明によれば、熱硬化性樹脂及び導電性粒子を使用した帯電性が安定しにくいトナー粒子を含むトナーの体積50%粒子径を12μm以下とし、かつ4μm以下の個数%を20%以下とすることにより、安定した帯電性が得られ、かぶりが低減され、かつ導体パターンを形成するための導体下地層を形成することができる。
さらに、本発明によれば、上述のトナーを用いて得られた導体下地層中に分散させた導電性粒子の一部はトナー表面にも存在するため、基板上にトナーの回路パターンを形成し熱硬化させた後、導電性材料を用いて無電界メッキを施すことにより、露出した導電性粒子を核としてトナーパターン全体を覆う一様な導体層を形成することが可能となる。
さらにまた、本発明によれば、トナーを用いて形成された導体下地層パターンに十分な導電性がなくても、後続のメッキ層の形成により、導電性粒子及びメッキ層を含む導体層を形成することができるので、トナーのみを使用して導体層を形成する場合と異なり、トナー中の導電性粒子の量を少なくすることができる。これにより、トナーの帯電性を向上し得、良好でかぶりの少ないパターンを現像することができる。
バインダー樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ユポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、及びポリイミド樹脂等があげられる。通常の電子写真用トナーのバインダー樹脂としては、一般に、加熱によって融ける熱可塑性樹脂が用いられるが、本発明の配線基板用トナーには、トナーの乗った回路上の導電パターンが加熱によっても安定していることが求められるため、熱硬化性樹脂が使用される。
基板の素材としては、ガラスエポキシ基材、及びベークライト基材(フェノール樹脂)等を用いることができる。トナーの素材としてもこれらの基材と親和性が高いよう、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはその混合物を用いるのことがより好ましい。
トナーは、未硬化の熱硬化性樹脂に、平均粒径1μm以下の導電性粒子を15〜75重量%分散させることにより基本的に構成される。導電性粒子としては、Cu、Ni、Co、Ag、Pd、Rh、Au、Pt、Ir等の遷移金属粒子が好ましく用いられる。
導電性粒子の含有量は、トナー粒子全重量の15〜75重量%、好ましくは30〜65重量%である。導電性粒子の量が75重量%を超えると、トナーの電気抵抗が下がって帯電量が下がり、かぶりが発生し、導電性粒子の量が15重量%未満であると、トナー粒子表面に現れてメッキの際のコアとなる導電性粒子の量が少なくなるために、後続のメッキを行っても、回路パターンに十分な導電性を与えることができない。
また、導電性粒子の粒子径は1μm以下、好ましくは0.1ないし1μm、より好ましくは0.2ないし0.7μmである。導電性粒子の粒子径が1μmを超えると、バインダー中の分散が不十分になり、トナー表面への露出、遊離した金属微粉粒子の存在が増え、かぶりが発生する。一方、導電性粒子の粒子径が0.1μm未満であると、導電性粒子の均一な分散が困難となる傾向がある。
メッキのための導電性材料としては、例えばCu、Ni、Co、Ag、Pd、Rh、Au、Pt、Ir等の遷移金属を使用することができる。
メッキのための導電性材料とトナーのための導電性粒子との組み合わせは、同じ材料であっても異なる材料であっても良い。好ましい組み合わせとしては、CuとCu、CuとPd、PdとPd、CuとNi、NiとPd等があげられる。Cuは、安価でかつ導電性が良好であるため好ましく用いられる。また、パラジウムは、メッキ反応の進行に対して触媒として作用することから好ましく使用され得る。
本発明の配線基板作成用トナーには、必要に応じて、ワックス、分散補助剤、着色剤、及び電荷調整剤(CCA)等を添加することができる。
本発明の配線基板作成用トナーの製造方法としては、例えば溶融混練法があげられる。この溶融混練法では、例えば熱硬化性樹脂、及び導電性粒子等を含む原材料を均一に混合し、加圧ニーダーあるいはバンバリーミキサー、2本ロール、3本ロール、2軸押出し機などの混練機を用いて加熱混練を行い、混練物を冷却した後粗砕、その後ジェット粉砕機等を用いて微粉砕し、気流分級機等を用いて分級し、粒子径分布を整えてトナー粒子が得られる。なお、製造時、特に、加熱混練時には、熱硬化性樹脂が硬化しないように、温度、時間等に注意する。
更に、得られたトナー粒子に、外添剤を外添することができる。外添方法としては、例えばヘンシェルミキサー等の混合機にてトナー粒子表面に付着せしめ、必要に応じて篩を通してトナーを得る方法があげられる。
トナーに外添される金属酸化物としては、例えば酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム等の材料があげられる。負の帯電性を付与する目的でシリカを添加するのがより好ましい。
さらに、これらの金属酸化物としては、多湿条件下での帯電量低下を防ぐ目的で、表面を疎水化処理したものが用いられる。表面処理剤としては、例えばジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、アルキルシラン、ジメチルポリシロキサン、及びオクタメチルシクロシロキサン等を用いることができる。
外添剤として、さらに金属石鹸を添加することにより、感光体と現像剤あるいはクリーニング部材との機械的ストレスを抑え、感光体のライフを延長することが可能である。このような金属石鹸としては、好ましくは、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、及びラウリン酸亜鉛等の脂肪酸非アルカリ金属塩を用いることができ、より好ましくはステアリン酸亜鉛をトナー全重量に対し0.01〜1.0重量%添加することができる。また、金属石鹸の好ましい平均粒径は6μm以下、より好ましい平均粒径は1ないし5μmである。
トナーの粒子径としては、体積50%粒子径として12μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは6ないし9μmである。4μm以下の粒子の存在割合は好ましくは0ないし20個数%、好ましくは0ないし16個数%である。
トナーの粒子径が12μmより大きいと、回路パターンの解像度を上げることができず、またトナー間の空隙のために回路の導通性が不十分になる恐れがある。また、4μm以下の粒子の存在割合が20個数%を超えると、現像特性が劣化してかぶりが増加しやすい傾向がある。これは、トナーの粒子径が小さいとキャリアの被覆率が上がるため、キャリアを覆ったトナーが、さらに添加されたトナーの帯電を阻害しやすく、また、トナーから導電性粒子が遊離しやすく、このような遊離導電性粒子がトナー間に多く存在すると、トナーの抵抗が下がって帯電量が低下するためと考えられる。そのため、トナー製造時、特に、その粉砕分級工程において、トナーの微粉量を少なくするように調整することが好ましい。しかしながら、このような調整を行なうことは、トナーの歩留り・生産性と相反するので、制限無く減らす必要はない。そのため、トナーの微粉量と、かぶりとの関係を検討した結果、上記範囲に微粉量を抑えることにより、かぶりの少ない良好なトナー像が得られることが確認された。
また、トナーの電気抵抗の低下を抑制することは、電子写真を用いてトナー像を形成する上において重要である。トナーは摩擦帯電により電荷を持ち、この電荷が、現像や転写などのプロセスを司る電気力の源となっている。電気抵抗が低いとチャージがリークしやすいために帯電量が下がり、また感光体−現像器間の電界から電荷注入を受けやすくなって、更に現像時の実効帯電量が下がり、その結果、かぶりが発生しやすくなる。本発明においては、導電性粒子を含有すること、また、官能基の多い熱硬化性樹脂を用いることにより、通常の電子写真用トナーと比較して電気抵抗が低くなりやすいが、この抵抗値を好ましくは1×1010Ωcm以上、より好ましくは1×1010Ωcmないし50×1010Ωcmに制御することにより、かぶりのなく鮮明な画像が得られる傾向がある。
次に、配線基板の製造工程の一例を、図2ないし図6を参照して説明する。
図2は、本発明の配線基板作成用トナーを適用し得る電子写真方式の配線基板製造装置の一例を表す概略図を示す。図3は、本発明に係る配線基板の製造装置の他の一例を表す概略図を示す。図4は、本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図を示す。図5は、本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図を示す。図6は、本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図を示す。
図2および図3に示された製造装置は、各々、本発明の配線基板作成用トナーを用いて導体パターンを形成するための装置及び絶縁パターンを形成するための装置であり、感光体ドラム200、帯電器201、レーザ発生・走査装置202、現像装置203、転写装置204、配線基板形成力の基材11、加熱あるいは光照射による樹脂硬化装置205を有し、図2に示す装置はさらに、樹脂エッチング装置206、及び無電解メッキ槽207を有する。
導体パターンの形成工程では、まず、感光体ドラム200を矢印方向に回転させながら、帯電器201により感光体ドラム200の表面電位を一定電位(例えばマイナス電荷)に均一に帯電させる。具体的な帯電方法としては、例えばスコロトロン帯電法、ローラ帯電法、ブラシ帯電法などがあげられる。次に、レーザ発生・走査装置202により、画像信号に応じてレーザ光202aを感光体ドラム200に照射し、照射部分のマイナス電荷を除去し、感光体ドラム200の表面に所定の導体下地層パターンの電荷の像(静電潜像)を形成する。
次に、感光体ドラム200上の静電潜像に、例えば銅、あるいはパラジウムなどの導電性粒子及び未硬化の熱硬化性樹脂を含み、図1と同様の構成を有し、現像装置203に貯留され、帯電された配線基板作成用トナー7を、供給機構によって静電的に付着させ可視像を形成する。このとき、正現像法あるいは反転現像法を用いることができる。また、現像装置203には、公知の電子写真式複写システムにおける乾式または湿式のトナー転写技術を適用することができる。
現像装置203が例えば乾式現像方式である場合、現像装置203には、例えば4μmより大きく12μm以下の体積50%粒子径を有し、かつ4μm以下の個数%が20%以下である本発明の配線基板作成用トナー7が貯留される。ここで、配線基板作成用トナー7のより好ましい体積50%粒子径は、5〜10μmである。
続いて、感光体ドラム200の表面に、配線基板作成用トナー7により形成された可視像(パターン)は、転写装置204によって感光体ドラム200から所望の基材11上に静電転写される。転写後の感光体ドラム200において、図示しないクリーニング装置により、感光体ドラム表面に残った配線基板作成用トナー7は除去され回収される。
次いで、基材11上に転写された配線基板作成用トナー7を、加熱あるいは光照射による樹脂硬化装置205を通し、配線基板作成用トナー7に含有される未硬化の熱硬化性樹脂2を溶融し、硬化させる。これにより、図3に示すように、基板11上に、配線基板作成用トナー7が一体化された、所望のパターンの導体下地層12を形成する。
この導体下地層12は、導電性を有しないため、導体下地層12をCuの無電解メッキ槽207に浸し、導体下地層12上に、導電性粒子1を核としてCuを選択的に析出させ、図4に示すように、メッキ層13を形成し、導体下地層12の導電性粒子1及びメッキ層13を含む導体層を得る。このようにして、良好な導電性を有する導体パターンを形成することができる。なお、ここでは、無電解メッキ槽207のみで構成されるメッキ槽を示したが、これに限るものではなく、無電解メッキと電解メッキの双方を行なうメッキ槽を用いてもよい。
また、無電解メッキを効率的に行なうために、例えば、図示するように、導体下地層12をメッキ処理する前に、樹脂エッチング装置206において、導体下地層12の表面に金属粒子1の少なくとも一部を突出させる処理を施してもよい。この樹脂エッチング装置206は、導体下地層12の表面の樹脂の一部をエッチング除去するものであり、樹脂エッチング装置206では、導体下地層12の表面を、例えば、アセトンなどの溶剤、酸、アルカリなどのエッチング液に浸漬することによって化学的にエッチング除去を行なう。また、樹脂エッチング装置206では、化学的にエッチング除去を行なう以外に、例えば、ショットブラストやエアーブラストなどによって研磨して機械的にエッチング除去を行なうこともできる。
なお、導体下地層12が完全に硬化した状態でない場合には、アルカリのメッキ液を採用することで、メッキ中に導体下地層12の表面の樹脂を除去して、メッキ処理することができるため、樹脂エッチング装置206によるエッチング除去は不要となる。また、導体下地層12の表面に形成される導体金属層13の厚みは、メッキ条件により制御することができる。メッキ処理後には、基材11と導体下地層12をより密着させ、剥離などを防止するために、樹脂硬化装置205で加熱あるいは光照射を行って、導体下地層12を完全に硬化させることが望ましい。
次に、図5を参照して、絶縁パターンの形成工程を説明する。まず、感光体ドラム200を矢印方向に回転させながら、帯電器201により感光体ドラム200の表面電位を一定電位(例えばマイナス電荷)に均一に帯電させる。次に、レーザ発生・走査装置202により、画像信号に応じてレーザ光202aを感光体ドラム200に照射し、照射部分のマイナス電荷を除去し、感光体ドラム200の表面に所定パターンの電荷の像(静電潜像)を形成する。
続いて、感光体ドラム200上の静電潜像に、現像装置203に貯留された帯電した樹脂粒子22を供給機構によって静電的に付着させ、可視像を形成する。このとき、正現像法あるいは反転現像法を用いることができる。また、現像装置203には、公知の電子写真式複写システムにおける乾式または湿式のトナー転写技術を適用することができる。
現像装置203が乾式現像方式である場合、現像装置203には、3〜50μmの粒径の樹脂粒子22が貯留される。ここで、樹脂粒子22のより好ましい粒径は、8〜15μmである。一方、現像装置203が湿式現像方式である場合、現像装置203には、3μm以下の粒径の樹脂粒子22が貯留される。絶縁パターンの形成においては、電気絶縁性の観点から絶縁層が厚いことが望ましく、したがって樹脂粒子22の粒径は、配線基板作成用トナーに比べて大きい。
ここで、樹脂粒子22を構成する樹脂としては、常温で固体の未硬化の熱硬化性樹脂を用いることができる。未硬化の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ、必要により帯電制御剤を添加してもよい。また、樹脂粒子22中に所定の割合で含有されたシリカなどの微粒子を分散させてもよく、これによって、特に、多層配線基板において、剛性、熱膨張係数など特性を制御することができ、基板の信頼性の向上を図ることができる。
感光体ドラム200の表面に樹脂粒子22により形成された可視像(パターン)は、転写装置204によって感光体ドラム200から所望の基材11上に静電転写される。転写後の感光体ドラム200において、図示を省略したクリーニング装置により、表面に残った樹脂粒子22は除去され回収される。
次いで、基材11上に転写された樹脂粒子22を、加熱あるいは樹脂硬化装置205を通し、未硬化の熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子22を溶融し硬化させ、一体化され硬化された熱硬化性樹脂からなる絶縁層14を形成する。
このようにして、配線基板用の基材11上に十分に良好な熱的特性、機械的特性、耐環境的特性を有する絶縁パターンを形成することができる。また、導体パターンの形成と絶縁パターンの形成のいずれの工程においても、未硬化の熱硬化性樹脂を主体とする樹脂を、加熱あるいは光照射により硬化させる前であれば、溶剤等により容易に除去することができるので、パターンの除去あるいは修正が可能である。
本発明の方法によれば、電子写真方式により導電性粒子を含有する導体下地層を形成し、さらにその導体下地層上に無電解メッキを行って導体層を形成する工程と、さらに同様な電子写真方式により樹脂粒子を用いて絶縁層を形成する工程とを順に実施することにより、露光マスクを使用することなく配線基板を形成することができる。
さらに、配線基板は、デジタル化された設計データからダイレクトに形成されるので、低コスト化、製造時間の短縮化を図ることもできる。また、本発明に係る配線基板の製造方法は、少量多品種生産に好適である。
また、パターンを形成するための樹脂として、感光性樹脂を使用する必要がないうえに、チクソ性や粘度等の印刷性も特に必要としないため、樹脂の物性値(例えば、ヤング率、ガラス転移温度Tg、吸湿性など)に対する自由度が高く、結果的に信頼性の向上が可能である。また、使用される熱硬化性樹脂は、硬化後の熱特性が良好であるため、得られた配線基板に対する通常のはんだ付け温度(220〜260℃程度)での耐熱性も良好となる。
さらに、基板として従来の方法で製造された低コスト回路基板(例えば、ビルドアップ基板)を使用し、その上に本発明に係る方法を使用して、さらに導体パターンを形成することができる。
なお、ここでは、導体パターンおよび絶縁パターンの形成工程に、電子写真方式を用い、転写装置により静電的に基材上に配線基板作成用トナーまたは樹脂粒子を転写する方式ついて述べたが、この転写方式に限るものではない。例えば転写装置の代わりに、製造装置に中間転写体ドラム、中間転写体加熱装置を備え、中間転写体加熱装置によって軟化された導体下地層または樹脂層を、軟化状態のままで中間転写体ドラムから所望の基材上に接触させ加圧して、導体下地層または樹脂層の粘着性により転写させることも可能である。
また、本発明の技術を用いて、導体パターンおよび絶縁パターンの形成工程を繰り返すことにより、多層配線基板を形成することもできる。
実施例1
バインダーとして熱硬化性エポキシ樹脂50重量部、及び導電性粒子として体積平均粒径0.6μm銅粒子を50重量部を、ヘンシェルミキサーで5分間均一に混合した後、加圧ニーダーにて90℃の温度条件で10分間混練を行い、ゲル化後急冷した後ハンマーミルにて2mm以下まで粗粉砕を行った。その後、I式ジェット粉砕機及びDSX分級機を用いて約8.0μmのサイズまで微粉砕・分級を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100重量部、シリカR974(デクサ製、平均粒径12nm,ジメチルジクロロシラン表面処理)1重量部、シリカNAX50(日本アエロジル製、平均粒径35nm,ヘキサメチルジシラザン表面処理)1重量部を加えてヘンシェルミキサーにて10分間混合した後、200メッシュのふるいを通してトナーを得た。
粒度分布測定
得られたトナーについて、コールター社マルチサイザーIIを用い、トナーの粒度分布を測定したところ、体積50%粒子径は、8.0μmであり、かつ4μm以下の微粉は13.5個数%であった。
体積固有抵抗率測定
また、厚さ約1.5mmのペレットを30トンの圧力で成型し、30℃の条件で1kHz5Vの交流をかけて、安藤電気製AG−4311LCRメーターを用いて、トナーの体積固有抵抗率を測定したところ、2.9×1010Ωcmであった。
以上のトナーを、定着ユニットを取り外した東芝テック製MFPのe−Studio450に入れ、導体下地層用プリントデータを出力してガラスエポキシ基材上に転写し、その後、160℃のホットプレート上で10分間加熱してトナーの加熱硬化、及び定着を行い、導体下地層が形成された基板を得た。また、評価のため、普通紙にも同様の転写及び定着を行い、サンプルを得た。
得られたサンプルについて、その導体下地層パターンを目視にて観察したところ、線パターンはくっきり描かれ、画像周辺のちりや、非画像部のかぶりも少ない良好なパターンが得られた。
反射率によるかぶりの評価
サンプルの非画像部の反射率と、未転写の白紙の反射率とをフォトボルト社製Model 577で測定し、その差を求めたところ、非画像部のかぶりは0.4%と良好な値が得られた。
また、導体下地層が形成された基板を用い、図2及び図5と同様の配線基板製造装置に適用して無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及びエポキシ樹脂粒子による絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ、問題はなく、信頼性が良好であることがわかった。
実施例2
実施例1において、I式ジェット粉砕機及びDSX分級機における粉砕分級の条件を変更すること以外は同様にトナーを得た。
得られたトナーについて、実施例1と同様にして粒度分布測定を行ったところ、体積50%粒子径は7.8μmであり、かつ4μm以下の微粉が22.0個数%のトナーを得た。 また、実施例1と同様にして体積固有抵抗率を測定したところ、4.49×1010Ωcmであった。
さらに、実施例1と同様にしてサンプルを形成し、導体下地層パターンを目視にて観察したところ、線パターンはくっきり描かれ、画像周辺のちりや、非画像部のかぶりも少ない良好なパターンが得られた。
さらにまた、実施例1と同様にして反射率によるかぶりの評価を行ったところ、非画像のかぶりは0.9%であった。
また、導体下地層が形成された基板を用い、実施例1と同様にして無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及び絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ、問題はなく、信頼性が良好であることがわかった。
実施例3
熱硬化性エポキシ樹脂を25重量部、粒径0.6μm銅粒子を75重量部に変更すること以外は実施例1と同様にしてトナーを作成した。
得られたトナーについて、実施例1と同様にして粒度分布測定を行ったところ、体積50%粒子径は8.1μmであり、かつ4μm以下の微粉が14.0個数%のトナーを得た。
また、実施例1と同様にして体積固有抵抗率を測定したところ、0.8×1010Ωcmであった。
さらに、実施例1と同様にしてサンプルを形成し、導体下地層パターンを目視にて観察したところ、線パターンはくっきり描かれ、画像周辺のちりや、非画像部のかぶりも少ない良好なパターンが得られた。
さらにまた、実施例1と同様にして反射率によるかぶりの評価を行ったところ、非画像のかぶりは1.0%であった。
また、導体下地層が形成された基板を用い、実施例1と同様にして無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及び絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ、問題はなく、信頼性が良好であることがわかった。
比較例1
実施例1において、I式ジェット粉砕機及びDSX分級機における粉砕分級の条件を変更すること以外は同様にトナーを得た。
得られたトナーについて、実施例1と同様にして粒度分布測定を行ったところ、体積50%粒子径は7.9μmであり、かつ4μm以下の微粉が22.0個数%のトナーを得た。
また、実施例1と同様にして体積固有抵抗率を測定したところ、0.5×1010Ωcmであった。
さらに、実施例1と同様にしてサンプルを形成し、導体下地層パターンを目視にて観察したところ、画像周辺のちりがかなり増えた。
さらにまた、実施例1と同様にして反射率によるかぶりの評価を行ったところ、非画像のかぶりは1.5%であった。
また、導体下地層が形成された基板を用い、実施例1と同様にして無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及び絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ、絶縁性が不十分であり、十分な信頼性が得られないことがわかった。
比較例2
熱硬化性エポキシ樹脂を75重量部、粒径0.6μm銅粒子を25重量部に変更すること以外は実施例1と同様にしてトナーを作成した。
得られたトナーについて、実施例1と同様にして粒度分布測定を行ったところ、体積50%粒子径は8.0μmであり、かつ4μm以下の微粉が14.5個数%のトナーを得た。
また、実施例1と同様にして体積固有抵抗率を測定したところ、0.8×1010Ωcmであった。
さらに、実施例1と同様にしてサンプルを形成し、導体下地層パターンを目視にて観察したところ、線パターンはくっきり描かれ、画像周辺のちりや、非画像部のかぶりも少ない良好なパターンが得られた。
さらにまた、実施例1と同様にして反射率によるかぶりの評価を行ったところ、非画像のかぶりは0.2%であった。
また、導体下地層が形成された基板を用い、実施例1と同様にして無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及び絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ十分な導電性が得られないことがわかった。
比較例3
銅粒子の平均粒径を1.2μmとした以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。
得られたトナーについて、実施例1と同様にして粒度分布測定を行ったところ、体積50%粒子径は8.0μmであり、かつ4μm以下の微粉が14.5個数%のトナーを得た。
また、実施例1と同様にして体積固有抵抗率を測定したところ、2.1×1010Ωcmであった。
さらに、実施例1と同様にしてサンプルを形成し、導体下地層パターンを目視にて観察したところ、画像周辺のちりがかなり増えた。
さらにまた、実施例1と同様にして反射率によるかぶりの評価を行ったところ、非画像のかぶりは1.2%であった。
また、導体下地層が形成された基板を用い、実施例1と同様にして無電界銅メッキ処理による導体層の形成、及び絶縁層形成を行い、回路の導通試験、絶縁試験を行なったところ、絶縁性が不十分であり、十分な信頼性が得られないことがわかった。
本発明の配線基板作成用トナーの一例を表す模式図 電子写真方式の配線基板製造装置の一例を表す概略図 電子写真方式の配線基板製造装置の他の一例を表す概略図 本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図 本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図 本発明にかかる配線基板の製造工程の一例を説明するための模式的な断面図
符号の説明
1…導電性粒子、2…熱硬化性樹脂、5…トナー粒子、7…トナー、10…配線基板、11…基板、12…導体下地層、13…メッキ層、14…絶縁層、22…樹脂粒子、200…感光体ドラム、201…帯電器、202…レーザ発生・走査装置、202a…レーザ光、203…現像装置、204…転写装置、205…樹脂硬化装置、206…樹脂エッチング装置、207…無電解メッキ槽

Claims (4)

  1. 未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂、及び1μm以下の平均粒径を有する導電性粒子15〜70重量%を含有するトナー粒子を含み、そのトナーの体積50%粒子径が12μm以下であり、かつ4μm以下の個数%が20%以下であることを特徴とする配線基板作成用トナー。
  2. 前記導電性材料粒子は、銅、ニッケル、コバルト、銀、パラジウム、ロジウム、金、白金、及びイリジウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 未硬化の熱硬化性樹脂を主成分とするバインダー樹脂、1μm以下の平均粒径を有する導電性粒子15〜70重量%を含有するトナー粒子とを含み、そのトナーの体積50%粒子径が12μm以下であり、かつ4μm以下の個数%が20%以下である配線基板作成用トナーを用いて、静電潜像を現像してトナー像を形成する工程、
    得られたトナー像を基板上に転写した後、加熱することにより、未硬化の熱硬化性樹脂を硬化せしめ、導体下地層を形成する工程、及び
    該導体下地層上に、導電性材料をメッキすることにより、導体層を形成する工程を具備することを特徴とする配線基板の製造方法。
  4. 前記導体層の形成は、無電解メッキあるいは無電解メッキと電解メッキの併用により行われる請求項3に記載の方法。
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WO2024043026A1 (ja) * 2022-08-25 2024-02-29 日産自動車株式会社 車両用導電回路の製造方法

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