JP2005302542A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料電池システム1では、液体燃料は、燃料供給室25と圧力作用室26との圧力差によって開かれる内部流路19を通して送出されるため、システム1の起動時において、従来のようなポンプを用いずに液体燃料を送出して燃料電池を確実に自起動させることができる。しかも、チューブポンプ5としては、従来のポンプのように緻密に制御されるものでなくともよく、コントローラ等も不要になってコストの削減を促進できる。そして、チューブポンプ5としては、液体燃料を圧送可能な簡易なものでよいから、システム1全体の小型化も図れる。
【選択図】 図1
Description
例えば高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell, PEFC)は、低い温度で動作が可能で起動時間が短く、小型化も可能である。この高分子電解質型燃料電池は、高分子固体電解質膜を空気側電極と燃料側電極とで挟んだ構造のMEA(Membrane Electrode Assembly)を備え、空気側電極に空気(酸素)を供給し、燃料側電極にメタノール水溶液や改質した水素などの燃料を供給することにより、電気化学的反応が起こり、電力が発生する(例えば特許文献1)。
このようなポンプは、燃料電池が動作していない起動時には、2次電池等に充電された電気エネルギによって駆動が開始され、駆動に伴って燃料電池が起動すると、この燃料電池からの電気エネルギで駆動されるようになる。また、燃料電池のシステム内の水素圧力を検出することにより、検出結果に基づいてポンプのオンオフ等が制御され、系内の圧力に応じた適切な量の液体燃料が供給されるようになっている。
加えて、燃料電池システムが起動してからは、燃料供給室と圧力作用室との圧力差に応じて行われる薄膜弁の開閉により、液体燃料の供給量がある程度制御されるので、圧送手段としては、従来のポンプのように緻密に制御されるものでなくともよく、コントローラ等も不要になってコストの削減が促進される。
そして、圧送手段としては、液体燃料を圧送可能な簡易なものでよいから、システム全体の小型化も図れる。
チューブポンプとしては、チューブ状の燃料流路をボールでしごいて液体燃料を圧送するボール押圧タイプや、蠕動運動によってしごいて圧送する鍵盤押圧タイプなど、任意のタイプを適用できる。そして、このようなチューブポンプを用いることで、液体燃料の圧送が確実に行われるようになる。
このような本発明では、圧送手段を駆動するエネルギとして、本システム中の燃料電池によって得られる電気的エネルギを多分に使用しないので、発電した電力が効率よく使用されるようになる。
このような本発明では、圧力作用室の圧力が小さいほど、多くの薄膜弁が開くようにすれば、圧力の低い度合いが大きく、比較的多量の液体燃料が必要とされる場合には、多数の薄膜弁を開くことで対応可能であり、必要最小限の少量の液体燃料でよい場合には、小数の薄膜弁を開くことで対応可能であるから、より適量の液体燃料が送出されるようになる。
そして、本発明によれば、分岐した燃料流路の流路抵抗を異ならせるので、多量の液体燃料が必要な場合には、流路抵抗の小さい流路を流すように薄膜弁を開き、少量の液体燃料が必要な場合には、流路抵抗の大きい流路を流すように薄膜弁を開くようにすれば、開閉圧力のみを異ならせて適量の液体燃料を送出する場合に比し、送出量の制御がより緻密に行えるようになる。
このような本発明によれば、差圧を利用した液体燃料の供給部分が圧送手段の下流側に設けられることになり、下流側の燃料貯留室には圧力の高い状態で液体燃料を貯留することが可能である。従って、この下流側での薄膜弁の開閉は、圧力作用室に作用する圧力がより高い側で行われることになり、供給される液体燃料が微量で、かつ頻繁に行われるようになり、供給量のむらがなくなる。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1の要部を示す模式図である。
図1において、燃料電池システム1は、PDAや携帯電話などの携帯機器、あるいはパーソナルコンピュータ等、小型端末機器などに採用されるシステムであって、高分子電解質型燃料電池を備えている。また、高分子電解質型燃料電池が直接メタノール型燃料電池の場合には、改質器50が不要であるが、本実施形態のように、液体燃料を改質するタイプでは、内部に改質触媒が配置された改質器50が用いられる。
また、圧力作用室26内の圧力が低下するとは、それまで改質器50に供給されていた液体燃料が消費された場合であり、この場合に液体燃料が内部流路19に送出される。そして、液体燃料が送出されて反応が生じ、圧力が回復すると、前述の差圧がより大きくなるため、コイルばね24のばね力に抗して再び、薄膜弁23が弁座18と密着し、液体燃料の送出を止める。燃料電池システム1の稼働中は、この動作が繰り返される。
(1)燃料電池システム1では、燃料貯留室12内に貯留されている液体燃料は、燃料供給室25と圧力作用室26との圧力差によって開かれる内部流路19を通して送出され、燃料流路2に送出されて改質器50に送られるため、システム1の起動時において、従来のようなポンプを用いずに液体燃料を送出して燃料電池を自起動させることができ、燃料電池システム1を小型の機器に搭載した場合でも、確実に起動させることができる。
そして、チューブポンプ5としては、液体燃料を圧送可能な簡易なものでよいから、システム1全体の小型化も図れる。
また、このコイルばね14により、機器の天地を逆さにしたり、様々な姿勢で用いたとしても、液体燃料を燃料貯留室12から燃料供給室25に確実に送出できる。さらに、燃料貯留室12内には空気が入り込む心配がなく、姿勢が一定しない携帯機器に液体燃料貯留部10を好適に用いることができる。
図2には、本発明の第2実施形態が示されている。本実施形態では、燃料流路2が分岐しておらず、液体燃料貯留部10から改質器50までを一本の流路で連通させている。また、本実施形態で用いられる圧送手段としては、蛇腹状の伸縮部分を有する往復動ポンプ7が用いられている。そして、往復動ポンプ7の上流側および下流側にはそれぞれ、逆止弁6が設けられている。このような往復動ポンプ7は、燃料電池からの電気的エネルギで駆動されるアクチュエータ8によって往復動する。アクチュエータ8としては各種のものが採用でき、例えば、圧電アクチュエータ、静電ゲルアクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ等が挙げられる。
(7)すなわち、本実施形態では、燃料流路2が分岐していないので、流路構成をより簡略化でき、システム1の一層の小型化を促進できる。
図3には、本発明の第3実施形態が示されている。本実施形態では、圧送手段として、円弧部材9Aをカム9Bの回転によって往復動させることにより、円弧部材9Aで燃料流路2を押圧する往復動ポンプ9が用いられている。この往復動ポンプ9の動力源は、発生した水素の流れによる運動エネルギである。つまり、水素の流れによってインペラ9Cが回転し、この回転力でカム9Bを回転させている。また、本実施形態では、逆止弁6は一つ上流側にのみ設けられている。これは、燃料流路2の下流端での液体燃料の表面張力により、逆止効果を期待しているためである。他の構成は、第2実施形態と同じである。
図4には、本発明の第4実施形態として、液体燃料貯留部10側の別実施形態が示されている。本実施形態において、液体燃料貯留部10には、それぞれ複数(本実施形態では三つ)の薄膜弁23A,23B,23C、コイルばね24A,24B,24C、燃料供給室25A,25B,25C、および内部流路19A,19B,19Cが設けられており、各内部流路19A〜19Cを含んで燃料流路2の一部が形成されている。
(8)すなわち、液体燃料貯留部10には3つの薄膜弁23A〜23Cが設けられ、圧力作用室26内の圧力が小さいほど、多くの薄膜弁23A〜23Cが開くようになっているため、圧力の低い度合いが大きく、比較的多量の液体燃料が必要とされる場合には、全ての薄膜弁23A〜23Cを開くことで対応でき、必要最小限の少量の液体燃料でよい場合には、薄膜弁23Aのみを開くことで対応でき、より適量の液体燃料を送出できる。
図5に示す第5実施形態では、往復動ポンプ7の下流側にも圧力差によって作動する部分を設けた点で、前記第2実施形態とは異なる。他の構成は第2実施形態と略同じである。このため、本実施形態では、燃料流路2と連通した高圧の別の燃料貯留室31、コイルばね32、燃料供給室33、および圧力作用室34(本実施形態では、改質器50の内部空間が兼用)、薄膜弁35等が設けられている。この場合の燃料貯留室31の液体燃料の圧力は比較的高圧であり、コイルばね32のばね力は比較的弱い。このため、改質器50での水素改質が行われ、圧力Pが高い状態で薄膜弁35が閉じた状態とされ、僅かに低くなると開いて微量の液体燃料が供給され、さらに圧力Pが上がって即座に閉じる。そして、これを繰り返す。
(10)すなわち、差圧を利用した液体燃料の供給部分が往復動ポンプ7の下流側にも設けられているので、下流側の燃料貯留室31には圧力の高い状態で液体燃料を貯留することができる。従って、この下流側での薄膜弁35の開閉を、圧力作用室34に作用する圧力Pがより高い側で行うことができ、液体燃料を微量で、かつ頻繁に供給できて供給量のむらをなくすことができ、さらに緻密に供給量を制御できる。
例えば、前記第1実施形態では、チューブポンプ5がボール押圧式であったが、これに限らず、図6に示す鍵盤押圧式であってもよい。つまり、図6でのチューブポンプ60は、位相を異ならせてスライドする複数の鍵盤61を備え、各鍵盤61で燃料流路2をしごいて蠕動運動させ、液体燃料を圧送する構成である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (6)
- 液体燃料が貯留される燃料貯留室と、この燃料貯留室に対して燃料連通孔を介して仕切られた燃料供給室と、この燃料供給室に対して薄膜弁によって仕切られた圧力作用室と、前記燃料供給室から燃料電池側または液体燃料の改質器側に当該液体燃料を送出する燃料流路と、液体燃料が前記燃料電池または前記改質器で消費されることで生じる圧力変動を前記圧力作用室に導く圧力導入路とを備え、前記薄膜弁は、前記燃料供給室と前記圧力作用室との圧力差により前記燃料流路を開閉可能に設けられ、前記燃料流路の途中には、前記液体燃料を圧送する圧送手段と、液体燃料の逆流を防止する逆流防止手段とが設けられ、これら圧送手段および/または逆流防止手段は、前記燃料供給室から前記燃料電池側または前記改質器側への前記燃料流量の流れを常時許可するように設けられていることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、前記圧送手段は、チューブポンプであることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、前記圧送手段の駆動は、前記改質器で改質された水素の運動エネルギ、あるいはぜんまいに貯蓄された機械的エネルギで行われることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料供給室および前記薄膜弁は少なくとも一対設けられ、これらの薄膜弁の開閉圧力が異なっていることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項4に記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料流路は、前記一対の薄膜弁側に対応して分岐して設けられ、分岐したそれぞれの部分では流路抵抗が異なることを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料路での前記圧送手段の下流側には、それぞれ前記とは別の燃料貯留室、燃料供給室と、圧力作用室、および薄膜弁とが少なくとも設けられ、これらを介して液体燃料が前記燃料電池側または前記改質器側に供給されることを特徴とする燃料電池システム。
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