JP2005302513A - イオンフィルタシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易かつ高精度にイオンフィルタの寿命を予測するイオンフィルタシステムを提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂を収納したメインイオンフィルタ10と、メインイオンフィルタ10の上流側に設置され、メインイオンフィルタ10より交換容量が小さいイオン交換樹脂を収納したサブイオンフィルタ11と、サブイオンフィルタ11上流、サブイオンフィルタ11下流直後及びメインイオンフィルタ10下流に各々設置され、通水させる被処理液の導電率を検出する導電率センサ12,13,14と、導電率センサ12,13,14から検出された被処理液の各導電率及び被処理液の通水時間の各情報に基づき、各イオンフィルタ10,11の寿命を演算する演算処理装置16と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、燃料電池システムの冷却系または純水系に設置されて、冷却水または純水などの被処理液の導電率を所定値に維持するイオンフィルタシステムに関する。
近年、環境意識の高まりに伴い排ガス規制が強化されており、排ガスの排出を低減した燃料電池システムを搭載した燃料電池車両の研究開発が進められている。
燃料電池システムは、発電の基本単位となる単セルを複数個積層して構成される燃料電池スタックを含む。例えば、固体高分子電解質膜を適用した燃料電池では、固体高分子電解質膜の両側に酸素極及び水素極を接合して一体化した膜電極接合体(MEA: membrane electrode assembly)により単セルを構成し、酸素極及び水素極に酸素ガス及び水素ガスを各々供給している。
上記燃料電池スタックは発電に伴い温度が上昇するため、冷却系を設置し、燃料電池スタックに冷却水を循環させて燃料電池スタックの温度上昇を緩和している。また、発電に際して固体高分子電解質膜を加湿する必要があるため、純水系を設置し、燃料電池スタックに純水を供給している。
燃料電池スタックに供給する冷却水または純水は、その液中にAl3+、Ca2+、Mg2+、Na、K等の金属イオンが含まれると、燃料電池スタック内でショートする原因となる。そこで、通常、冷却系及び純水系にイオン交換樹脂フィルタを設置し、冷却水または純水に含有される各種イオンを除去して、導電率を所定値に維持している。
例えば、電池本体を冷却する冷却水の電気伝導度及び濁度を低減するために、同形状のイオンフィルタを並列に複数配置したリン酸型の燃料電池発電装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池発電装置では、並列に複数配置したイオンフィルタ間にサンプリング口を設けて、サンプリング口から冷却水の水圧と動圧を測定している。測定した冷却水の水圧等に基づきイオンフィルタの寿命を予測し、イオンフィルタの寿命に達した段階でイオンフィルタを順次交換している。例えば、イオンフィルタのイオン交換効率がほぼ100%と非常に高い場合には、上流側に設置したイオンフィルタから順次使用される。このため、上流側のフィルタが寿命に達するまでの時間を測定した上で、下流側のフィルタの寿命が、上流側フィルタの寿命時間のほぼ2倍残存すると想定し、これらの各情報に基づいて全フィルタの寿命を推定している。
特開平9−108657号公報(第3頁、第1図)
しかしながら、従来の燃料電池発電装置では、小型である同一形状のイオンフィルタを3台並列に配置したため、イオンフィルタを通水する冷却水の流量が少なくなるという恐れがあった。
また、実際、イオン交換効率が100%に達するのは、冷却水をイオンフィルタに少しずつ通水する場合に限られていた。ところが、燃料電池車両の場合には、50L/min〜100L/min程度の大流量の冷却水を通水させる必要があるため、イオン交換効率が50%以下のイオンフィルタを搭載せざるを得なかった。従って、同一形状のイオンフィルタを並列に複数配置した従来のシステムでは、イオンフィルタの寿命を高精度に予測することができなかった。
また、イオンフィルタの寿命を予測する方法として、例えば、イオンフィルタ入口の冷却水の水質を分析し、冷却水に含まれる金属イオンの価数とモル導電率係数等に基づきイオン交換樹脂の使用量を予測し、イオンフィルタの寿命を計算する方法がある。しかし、実際のイオンフィルタシステムでは、イオン交換樹脂を収納するフィルタケースの形状やフィルタの通水抵抗、通水形状に応じて、フィルタのイオン交換効率が異なる。このため、イオンフィルタ入口の冷却水の水質を分析する方法では、イオンフィルタの寿命を高精度に予測することができないという恐れがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、本発明のイオンフィルタシステムは、イオン交換樹脂を収納したメインイオンフィルタと、前記メインイオンフィルタの上流側に設置され、前記メインイオンフィルタより交換容量が小さいイオン交換樹脂を収納したサブイオンフィルタと、前記サブイオンフィルタ上流、サブイオンフィルタ下流直後及び前記メインイオンフィルタ下流に各々設置され、通水させる被処理液の導電率を検出する導電率センサと、前記導電率センサから検出された被処理液の各導電率及び被処理液の通水時間の各情報に基づき、前記各イオンフィルタの寿命を演算する演算処理装置と、を備えることを要旨とする。
本発明のイオンフィルタシステムによれば、サブイオンフィルタの寿命からメインイオンフィルタ本体の寿命を予測できるため、簡易かつ高精度にイオンフィルタの寿命を予測することができる。
以下、燃料電池車両に搭載する燃料電池システムの冷却系(冷却システム)に、本発明の実施の形態に係るイオンフィルタシステムを設置した例を挙げて、図1から図6までを用いて説明する。
<第1実施形態(図1〜図3)>
第1実施形態では、本発明の実施の形態に係るイオンフィルタシステムの基本的な構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るイオンフィルタシステムを設置した冷却システムの構成を示す図である。図1に示すように、冷却システム1は、燃料電池スタック2に接続して構成される。燃料電池スタック2の上流側にリザーバタンク3が設置され、燃料電池スタック2の下流側に三方弁4を介して熱交換器5とラジエータ6とが接続される。リザーバタンク3下流側は、分岐して熱交換器5下流側に接続している。熱交換器5との分岐点後流側にポンプ7が設置され、ポンプ7後流側は分岐してバイパス流路8が接続され、バイパス流路8の端部はリザーバタンク3に連結している。バイパス流路8途中にはイオンフィルタシステム9が設置され、冷却システム1の流路内を循環する冷却水の導電率を10μS/cm〜30μS/cmの値としている。
図2は、図1の冷却システム1に設置したイオンフィルタシステム9の概略的な構成を示す断面図である。図2に示すように、イオンフィルタシステム9は、メインイオンフィルタ10と、メインイオンフィルタ10上流側にサブイオンフィルタ11とを設置している。サブイオンフィルタ11の上流及び下流直後には、各導電率センサ12,13が取り付けられており、メインイオンフィルタ10下流に導電率センサ14が取り付けられている。また、イオンフィルタシステム9の上流側に、冷却水の流量を計測する流量計15が設置されている。各導電率センサ12,13, 14及び流量計15は、演算処理装置(CPU)16に接続されて、各導電率センサ12,13, 14及び流量計15で計測した冷却水の導電率と流量の各情報を演算処理装置16に送る。演算処理装置16にはモニタ17を接続している。なお、イオンフィルタシステム9に流量計15を設置したが、流量計15に限定されず、圧力計を設置しても良い。
イオンフィルタシステム9内のメインイオンフィルタ10及びサブイオンフィルタ11は、その容量が異なり、メインイオンフィルタ10に対してサブイオンフィルタ11を小容量化している。イオンフィルタシステム9内のサブイオンフィルタ11を小量化することにより、イオンフィルタシステム9全体の寿命到達までの時間を迅速に判定することができる。例えば、サブイオンフィルタ11の容量が、メインイオンフィルタ10の容量の1/10である場合には、サブイオンフィルタ11のイオン交換樹脂の寿命到達までに要した時間の10倍の時間が経過した後、イオンフィルタシステム9全体の寿命に達すると推定することができる。
演算処理装置16は、図2に示すように、導電率センサから検出した冷却水の導電率と、イオンフィルタシステム9内に設置した流量計15(あるいは圧力計)から計測された冷却水の通水時間との各情報を読み込み、演算処理装置16で演算処理し、イオンフィルタシステム9の全フィルタの寿命を算出する。
モニタ17は、例えば、燃料電池車両に予め搭載されるモニタを利用しても良く、モニタ7にイオンフィルタシステム9を構成する各フィルタの寿命到達時間を表示する。
図3は、イオンフィルタシステム9内の演算処理装置16での演算処理を説明する図である。なお、横軸は冷却水の通水時間を示し、縦軸は各導電率センサ12,13, 14から検出した冷却水の導電率を示す。
図3に示すように、サブイオンフィルタ11への導入前の冷却水の導電率は、導電率センサ1の測定値Aとして演算処理装置16に読み込まれる。冷却水をサブイオンフィルタ11で浄化した後の冷却水の導電率は、導電率センサ2の測定値Bとして演算処理装置16に読み込まれる。さらに、冷却水をメインイオンフィルタ10で浄化した後の冷却水の導電率は、導電率センサ3の測定値Cとして演算処理装置16に読み込まれる。イオンフィルタシステム9を燃料電池車両に搭載した燃料電池システム内に設置することを想定すると、冷却水の流量は50L/min〜100L/minと大きく、イオン交換効率を100%近くにすることは困難である。このため、サブイオンフィルタ11に冷却水を流通して導電率Bにまで浄化した後、メインイオンフィルタ10に冷却水を流通して導電率Cにまで浄化する。冷却水の通水時間が累積されて通水時間が長くなると、メインイオンフィルタ10よりもサブイオンフィルタ11の容量が小さいため、先にサブイオンフィルタ11の寿命に到達する。サブイオンフィルタ11の寿命は、各導電率センサ12,13から検出した冷却水の導電率Aと導電率Bとの値がほぼ近づいた時点までの時間とする(図3に示す通水時間M)。サブイオンフィルタ11の寿命に近づいた時のサブイオンフィルタ11の寿命時間(通水時間M)、各イオンフィルタ10,11の容量及び検出された各導電率A〜Cから、以下に示す式(1)に基づき、演算処理装置16でイオンフィルタシステム9全体の寿命推定値を演算する。
イオンフィルタシステム全体の寿命推定値=サブイオンフィルタの寿命時間×(メインイオンフィルタ容量/サブイオンフィルタ容量)×{(導電率A−導電率B)/(導電率A−導電率C)}…式(1)
なお、ここで、サブイオンフィルタの寿命時間は、通水時間Mである。
本実施形態によれば、イオン交換容量が小さいサブイオンフィルタの寿命に到達した時点で、メインイオンフィルタ本体の寿命を予測するため、イオンフィルタシステムを流通させる冷却水の水質を予め分析して、フィルタ寿命を推定する必要が無くなり、また、フィルタ寿命の予測精度を高めることができる。このため、自動車等の燃料電池車両に使用される冷却水のように、冷却水の流量が大きく、イオン交換効率が低い場合であっても早い段階でフィルタの寿命を予測することができる。この結果、フィルタの交換タイミングが明確となり、一般ユーザに普及した場合でも使用し易くなる。
また、本実施形態によれば、イオンフィルタを設置して、冷却水の水質を10μS/cm〜30μS/cm程度の低い導電率に維持したため、燃料電池スタック内での発電により生じた電気が冷却水に流れ、冷却システムの流路に電気が流れるのを防止することができる。
<第2実施形態(図4〜図6)>
第2実施形態では、図2に示すイオンフィルタシステムを改良したイオンフィルタシステムについて、図4から図6までを用いて説明する。
図4は、改良したイオンフィルタシステムの構成を示す断面図である。なお、図4に示すイオンフィルタシステム18の基本的な構成は、図2に示すイオンフィルタシステム2と同様であるため、同一箇所に同一符号を用いてその説明を省略する。図4に示すように、イオンフィルタシステム18のサブイオンフィルタ19を細長形状としており、サブイオンフィルタ19の通水面積が小さく、通水長さを断面の径よりも長く構成している。サブイオンフィルタ19を本形状とすると、フィルタのイオン交換効率が向上する。このため、図5に示すように、サブイオンフィルタ19の寿命に近づいた時点で(通水時間N)、イオンフィルタの浄化効率が低下し、冷却水の導電率を低い値に維持することができる。
図6は、図4に示したイオンフィルタシステム18を改良したイオンフィルタシステムの構成を示す断面図である。図6に示すように、イオンフィルタシステム20は、サブイオンフィルタ19のイオン交換樹脂フィルタを収納するフィルタ収納部を改良し、バイパス流路21を形成したものである。バイパス流路21にイオン交換樹脂を収納してサブイオンフィルタ19を構成し、サブイオンフィルタ19の上流及び下流に各々導電率センサ12,13を取り付けている。
図4に示すイオンフィルタシステム18では、サブイオンフィルタ19を細長形状とすることによりイオン交換効率が向上するが、逆に圧力損失が大きくなる。これに対して、図6に示すようにフィルタ部を改良してバイパス流路21を形成すると圧力損失が低減し、この結果、燃料電池車両の燃費向上を向上することができる。また、イオンフィルタに通水させる冷却水の流量が少ない場合や、ポンプの吐出能力に余裕があれば問題ないが、燃料電池車両等は、ポンプを極力小型化してポンプの能力を最大限に活用しているため、イオン交換樹脂を収納するフィルタ部の圧力損失を極力下げることが好ましい。
上記構成の図6に示すイオンフィルタシステム20とした場合は、演算処理装置16において、以下の式(2)に基づき、イオンフィルタシステム20全体の寿命を演算することができる。
イオンフィルタシステム全体の寿命推定値=サブイオンフィルタの寿命時間×(メインイオンフィルタ容量/サブイオンフィルタ容量)×{(導電率A−導電率B)/(導電率A−導電率C)}×(サブイオンフィルタ流量Y/バイパス流量X) …式(2)
なお、ここで、サブイオンフィルタの寿命時間は通水時間Nであり、また、サブイオンフィルタ流量Y/バイパス流量Xの比率は、バイパス流路21を設計する際、バイパス流路の圧力損失とサブイオンフィルタとの圧力損失比から決定することができ、冷却水の通水状態には影響しない。
本実施形態によれば、図4に示す形状のサブイオンフィルタとしたため、イオン交換効率が向上し、サブイオンフィルタの寿命に到達する直前に、イオン交換効率が急激に低下するようにしている。つまり、サブイオンフィルタの寿命に到達するまで、イオン交換効率を初期状態に保つことができる。この結果、従来に比べて高精度にサブイオンフィルタの寿命を判定することができ、メインイオンフィルタ全体の寿命の予測精度が高まる。
また、図4に示す形状のサブイオンフィルタとすると、イオン交換効率が高まるが、フィルタ自体の圧力損失が高くなってしまう。このため、図6に示すように、サブイオンフィルタをバイパスするバイパス流路を形成することにより、圧力損失を大幅に下げることができる。
なお、本発明の実施の形態に係るイオンフィルタシステムは、燃料電池システムの冷却システムに設置されるものに限定されず、燃料電池スタックに純水を供給する純水系やその他のシステムにも設置できることはもちろんである。
本発明の第1実施形態に係るイオンフィルタシステムを適用した冷却システムの構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るイオンフィルタシステムの構成を示す断面図である。 図2に示すイオンフィルタシステムの冷却水の通水時間と、冷却水の導電率との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るイオンフィルタシステムの構成を示す断面図である。 図4に示すイオンフィルタシステムにおける、冷却水の通水時間と、冷却水の導電率との関係を示す図である。 図4に示すサブイオンフィルタに改良を加えたイオンフィルタシステムの構成を示す断面図である。
符号の説明
1…冷却システム,
2…燃料電池スタック,
3…リザーバタンク,
4…三方弁,
5…熱交換器,
6…ラジエータ,
7…ポンプ,
8…バイパス流路,
9…イオンフィルタシステム,
10…メインイオンフィルタ,
11…サブイオンフィルタ,
12, 13, 14…導電率センサ
15…流量計,
16…演算処理装置(CPU),
17…モニタ,

Claims (4)

  1. イオン交換樹脂を収納したメインイオンフィルタと、
    前記メインイオンフィルタの上流側に設置され、前記メインイオンフィルタより交換容量が小さいイオン交換樹脂を収納したサブイオンフィルタと、
    前記サブイオンフィルタ上流、サブイオンフィルタ下流直後及び前記メインイオンフィルタ下流に各々設置され、通水させる被処理液の導電率を検出する導電率センサと、
    前記導電率センサから検出された被処理液の各導電率及び被処理液の通水時間の各情報に基づき、前記各イオンフィルタの寿命を演算する演算処理装置と、
    を備えることを特徴とするイオンフィルタシステム。
  2. 前記サブイオンフィルタの通水面積は、前記メインイオンフィルタの通水面積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のイオンフィルタシステム。
  3. 前記サブイオンフィルタの通水長さは、断面径の幅よりも長いことを特徴とする請求項2記載のイオンフィルタシステム。
  4. 前記サブイオンフィルタのイオンフィルタを収納するフィルタ部に、前記イオンイオンフィルタをバイパスするバイパス流路を形成したことを特徴とする請求項2記載のイオンフィルタシステム。

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