JP2005300672A - シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置 - Google Patents

シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005300672A
JP2005300672A JP2004113273A JP2004113273A JP2005300672A JP 2005300672 A JP2005300672 A JP 2005300672A JP 2004113273 A JP2004113273 A JP 2004113273A JP 2004113273 A JP2004113273 A JP 2004113273A JP 2005300672 A JP2005300672 A JP 2005300672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
type optical
optical waveguide
sheet
sheet type
photocatalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004113273A
Other languages
English (en)
Inventor
Karai Ga
嘉磊 賀
Mitsuru Uekatano
充 上片野
Yoshihiro Terada
佳弘 寺田
Kuniharu Himeno
邦治 姫野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2004113273A priority Critical patent/JP2005300672A/ja
Publication of JP2005300672A publication Critical patent/JP2005300672A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Light Guides In General And Applications Therefor (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Filtering Materials (AREA)

Abstract

【課題】 分解対象物質との接触効率が高く、表面積が大きく、励起光が光触媒に均等に照射される光触媒装置の提供。
【解決手段】 シート状をなすコア部2と、該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、コア部を囲むように設けられたクラッド部3とを備え、且つ少なくとも前記コア部とクラッド部との境界に、コア部内を伝搬する光を散乱又は放射させてクラッド部の表面から漏光させる欠陥を備えてなることを特徴とするシート型光導波路4。該シート型光導波路を含む積層シート型光導波路構造体。それらに光触媒を担持した光触媒担持シート型光導波路と積層シート型光触媒フィルター。前記積層シート型光触媒フィルターを用いた光触媒装置。
【選択図】 図2

Description

本発明は、優れた可撓性、柔軟性を持ち、且つコンパクトな大表面積の光源として、光を所望部分から漏光させる機能を持つシート型光導波路と該シート型光導波路を含む積層シート型光導波路構造体、それらに光触媒を担持した光触媒担持シート型光導波路と積層シート型光触媒フィルター、及び積層シート型光触媒フィルターを用いた光触媒装置に関する。
近年、光触媒を利用した空気浄化や汚水処理などの環境浄化の試みが活発化し、光触媒を担持した光触媒機能付きフィルター等に関して数多くの提案・開発がなされている。また、光触媒に励起光を効率よく照射する方法についても様々な提案・開発がなされている。
光触媒を担持したフィルタの形状としては、板状、網状、不織布状、ハニカム状などの様々な形態が提案されている。浄化媒体との接触効率、圧力損失を考慮すると、特にハニカム形状が優れており、実際にハニカム形状の光触媒担持フィルタは空気清浄機等に広く使用されている。
また、光触媒に効率よく光を照射する方法として、管状のUVランプを多数本並べたり、UV−LEDを面状に並べて光触媒層を均一に照射できるようにしたり、あるいは特許文献1に開示されているように、表面に入射光を拡散させる溝を形成した拡散板の表面に光触媒層を形成する技術が提案されている。
特開2000−107273号公報
しかしながら、光源を面状に並べる方式では、ハニカムの目が細かく、厚さが厚くなるほど、光を外部から照射した場合に影になる部分が多くなって効率が低下するという欠点があった。
また、拡散板表面に光触媒層を形成する方式では、光触媒層を均一に照射することはできるが、浄化媒体との接触効率を高めるために表面積を大きくしようとすると、装置自体が大型化してしまうという欠点があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、分解対象物質との接触効率が高く、表面積が大きく、励起光が光触媒に均等に照射される光触媒装置を製造するために好適に用いられるシート型光導波路と該シート型光導波路を含む積層シート型光導波路構造体、それらに光触媒を担持した光触媒担持シート型光導波路と積層シート型光触媒フィルター、及び積層シート型光触媒フィルターの提供を目的とする。また本発明は、分解対象物質との接触効率が高く、表面積が大きく、励起光が光触媒に均等に照射される光触媒装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、シート状をなすコア部と、該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、コア部を囲むように設けられたクラッド部とを備え、且つ少なくとも前記コア部とクラッド部との境界に、コア部内を伝搬する光を散乱又は放射させてクラッド部の表面から漏光させる欠陥を備えてなることを特徴とするシート型光導波路を提供する。
本発明のシート型光導波路において、前記欠陥は、前記コア部とクラッド部との境界のクラッド側に添加された、クラッド部をなす材料の屈折率と異なる屈折率を持つ粒子であることが好ましい。
あるいは、前記欠陥は、前記コア部とクラッド部との境界に形成された凹凸であってもよい。
本発明のシート型光導波路において、前記欠陥は、シート型光導波路の全面に渡って分布密度が一定であることが好ましい。
あるいは、前記欠陥は、シート型光導波路の長手方向に沿って分布密度が異なる構成としてもよい。
本発明のシート型光導波路において、前記シート型光導波路は加熱することにより成形可能な材料からなることが好ましい。
本発明のシート型光導波路において、前記コア部の材料は、コア部に伝搬されている光の波長帯域にて、その光を吸収しない、或いは殆ど吸収しない透明材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂又はガラスからなる群から選択される1種又は2種以上の材料からなることが好ましい。
本発明のシート型光導波路において、前記クラッド部は、クラッド部経由、表面への漏光の波長帯域にて、その光を吸収しない、或いは殆ど吸収しない透明材料であればよく、例えば、前記コア部の屈折率より低い屈折率を有し、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ガラス又は空気からなる群から選択される1種又は2種以上の材料からなることが好ましい。
本発明のシート型光導波路において、前記シート型光導波路の厚みは1μm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係るシート型光導波路を複数枚積層してなることを特徴とする積層シート型光導波路構造体を提供する。
本発明の積層シート型光導波路構造体において、前記各シート型光導波路の間にスペーサを配した構成とすることが好ましい。
また前記スペーサの形状は、ハニカム形状又はコルゲート形状であることが好ましい。
本発明の積層シート型光導波路構造体において、前記各シート型光導波路自体を変形させることによってシート型光導波路同士の間に間隔を設けた構成とすることが好ましい。
本発明の積層シート型光導波路構造体において、前記各シート型光導波路自体を変形させることによって積層シート型光導波路構造体がハニカム形状又はコルゲートハニカム形状となっていることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係るシート型光導波路の表面の全て又は一部のみに光触媒を担持したことを特徴とする光触媒担持シート型光導波路を提供する。
本発明の光触媒担持シート型光導波路において、シート型光導波路の表面の全て又は一部のみに光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持した構成が好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係る積層シート型光導波路構造体の全体又は一部のみに光触媒を担持したことを特徴とする積層シート型光触媒フィルターを提供する。
本発明の積層シート型光触媒フィルターにおいて、積層シート型光導波路構造体の全体又は一部のみに光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持した構成が好ましい。
本発明の積層シート型光触媒フィルターにおいて、スペーサの表面の全体又は一部のみに光触媒を担持した構成としてもよい。
また、スペーサの表面の全て又は一部のみに光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持しても良い。
また、スペーサ自体が分解対象物質を吸収可能な吸着剤であって、その表面の全て又は一部のみに光触媒を担持しても良い。
また本発明は、前述した本発明に係る積層シート型光触媒フィルターと、該積層シート型光触媒フィルターを構成するシート型光導波路のコアに光触媒を励起可能な光を入射させる光源とを有することを特徴とする光触媒装置を提供する。
本発明のシート型光導波路は、シート状をなすコア部と、該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、コア部を囲むように設けられたクラッド部とを備え、且つ少なくとも前記コア部とクラッド部との境界に、コア部内を伝搬する光を散乱又は放射させてクラッド部の表面から漏光させる欠陥を備えてなるものなので、コア部の端面から光を入射すると、光はコア内を伝搬するが、欠陥によってコア部内を伝搬する光の一部が散乱又は放射されてクラッド部の表面から漏光し、シート型光導波路の長手方向に光を伝搬する場合には、長手方向に沿ってクラッド部の表面から光を徐々に漏光させることができる。したがって本発明のシート型光導波路は、クラッド部外面に光触媒を担持し、コア部に該光触媒を励起可能な光を入射することで、高性能なシート状の光触媒反応部を提供できる。
本発明の積層シート型光導波路構造体は、前述した本発明に係るシート型光導波路を複数枚積層してなるものなので、光触媒を担持し、各シート型光導波路のコア部に該光触媒を励起可能な光を入射することで、大表面積を持ち、高い反応効率を有する高性能な積層シート型光触媒フィルターを提供できる。
本発明の光触媒担持シート型光導波路は、前述した本発明に係るシート型光導波路の表面に光触媒を担持したものなので、コア部に該光触媒を励起可能な光を入射することで、高性能なシート状の光触媒反応部を提供できる。
本発明の積層シート型光触媒フィルターは、前述した本発明に係る積層シート型光導波路構造体に光触媒を担持してなるものなので、各シート型光導波路のコア部に該光触媒を励起可能な光を入射することで、大表面積を持ち、高い反応効率を有する高性能な積層シート型光触媒フィルターを提供できる。
本発明の光触媒装置は、前述した本発明に係る積層シート型光触媒フィルターと、該積層シート型光触媒フィルターを構成するシート型光導波路のコアに光触媒を励起可能な光を入射させる光源とを有するものなので、大表面積を持ち、高い反応効率を有する高性能な光触媒装置を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明のシート型光導波路は、シート状をなすコア部と、該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、コア部を囲むように設けられたクラッド部とを備え、且つ少なくとも前記コア部とクラッド部との境界に、コア部内を伝搬する光を散乱又は放射させてクラッド部の表面から漏光させる欠陥を備えてなることを特徴としている。
従来の光導波路構造は、コア部と該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、光をコア部内に閉じ込め、全反射させながら光を伝搬(導波)し、導波路の前方に進める。一方、本発明のシート型光導波路は、コア部とクラッド部との界面に、コア部内に伝搬される光の全反射条件を一部破壊するための欠陥を加えることにより、コア部の端面から光を入射すると、光はコア内を伝搬するが、欠陥によってコア部内を伝搬する光の一部が散乱又は放射されてクラッド部の表面から漏光する。シート型光導波路の長手方向に光を伝搬する場合には、長手方向に沿ってクラッド部の表面から光を徐々に漏光させることができる。本発明のシート型光導波路の漏光特性は、欠陥の分布密度によって制御できる。
コア部とクラッド部との界面に加える欠陥は、以下の(1)、(2)の方法でシート型光導波路に形成することができる。
(1)漏光させたい部分のコア部とクラッド部との界面のクラッド側に、クラッド部をなす材料の屈折率と異なる屈折率を持つ粒子を添加することによって、従来の光導波路の全反射伝搬条件を一部破壊し、コア部の光を長手方向に沿って伝搬させながら、前記の添加粒子(以下、散乱体と記す。)によって散乱や放射を生じさせ、光をシート型光導波路の表面から漏光させる。
まず、散乱体による漏光のメカニズムを以下に説明する。図1は通常の欠陥のない光導波路の入射光伝搬状態を示し、(a)は欠陥のない光導波路1の入射光伝搬状態を模式的に示す側面図、(b)は光導波路1の屈折率分布を示すグラフである。図1に示すように、通常の光導波路1の場合には、屈折率の高いコア部2と屈折率の低いクラッド部3からなり、入射した光はコア部2内に閉じ込められ、全反射しながら伝搬(導波)され、光導波路1の長手方向に沿って前方へ進む。
一方、本発明のシート型光導波路は、図2に示すように、クラッド部に添加した散乱体によってコア部内を伝搬する光の一部が散乱又は放射されてクラッド部の表面から漏光する。図2は本発明のシート型光導波路における入射光伝搬・漏光状態を示す側面図であり、図2に示すように、本発明のシート型光導波路4は、コア部2とそれを囲む低屈折率のクラッド部3とからなり、該クラッド部3に、クラッド部3をなす材料の屈折率と異なる屈折率を持つ散乱体5を添加して構成されている。クラッド部3に前記散乱体5を添加することにより、光導波路4の全反射条件が一部破壊され、コア2内に光を伝搬しながら散乱体5によって一部の光に散乱や放射を生じさせ、一部の光が徐々に光導波路4表面から漏光する構造になっている。
前記散乱体は、伝搬・漏光させる光の波長帯域にてその光を吸収しない、或いは殆ど吸収しない透明材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、気泡、ガラス、セラミックス酸化物などが挙げられる。但し、シートの可撓性を保持するため、柔軟性のあるプラスチック樹脂粒子がより好ましい。
前記散乱体の添加方法としては、例えば、屈折率がコア部の屈折率より低いクラッド部となる材料を用意し、この材料中に、前記散乱体を所定濃度となるように添加し、分散する。その後、コア部の外側に、前記散乱体を添加したクラッド材を被覆・コートすればよい。この方法ではクラッド部の形成と同時に、欠陥となる散乱体を添加することができ、製造工程において効率的である。
また、この方法で得られたシート型光導波路の漏光特性は、クラッド部内に添加した散乱体の分布密度によって制御できる。以下、一例として前記欠陥添加方法を実施したシート型光導波路の製造方法及び漏光特性を図3〜図5を参照して説明する。図3(a)は本製造方法により製造されるシート型光導波路Fの斜視図、図3(b)はその端面の拡大図であり、図4は漏光特性の実験に用いたシート型光導波路F1〜F5の側面図であり、図5はシート型光導波路F1〜F5のそれぞれの各部の漏光量の測定結果を示すグラフである。
図3に示すシート型光導波路Fを製造するには、まず、コア部をなす紫外透過型アクリル樹脂シートA(屈折率1.49)と、屈折率がAより低く、クラッド部をなす紫外透過型で有機溶媒に可溶のフッ素系樹脂パウダーB(屈折率1.37)と、散乱体をなす紫外透過型シリコーン樹脂パウダー(屈折率1.46)を用意する。
次いで、シリコーン樹脂パウダーCを所定濃度で有機溶媒(本例ではアセトンを用いた)内に入れ、撹拌することにより十分に分散させ、溶液Dを得る。次いで、フッ素系樹脂パウダーBを所定濃度で溶液D中に徐々に添加しながら撹拌して、散乱体Cを均一に分散させたフッ素系樹脂溶液Eを作製する。
その後、コア部をなす紫外透過型アクリル樹脂シートAにディップコーティング法で溶液Eをコートし、室温で乾燥することにより、図3に示すクラッド部Eに散乱体Cが添加されたシート型光導波路Fを得る。このシート型光導波路Fは、コア部Aと、それより低屈折率の材料からなり所定濃度で散乱体Cが均一に分散されているクラッド部Eとから構成されている。
本例では、コア部とクラッド部との界面付近だけではなく、クラッド部全体に渡って、散乱体が均一に分布している。しかし、それらの散乱体中、コア部内を伝搬している光の全反射条件を一部破壊する、すなわちコア部内を伝搬している光を散乱・放射する形態を引き起こす効果を持つのは、コア部とクラッド部との界面付近のクラッド側にある散乱体のみである。従って、本光導波路の漏光特性は、コア部とクラッド部の界面にある散乱体の分布密度、すなわち濃度のみによるものである。この点について、下記の具体例を用いて、さらに詳しく説明する。
前記と同様の方法で、下記のシート型光導波路F1,F2,F3,F4及びF5を作製した。得られた5種のサンプルの側面図を図4に示す。
F1:コア部は厚み0.75mmのアクリル樹脂シートAとした。クラッド部E(1層クラッド)は、5質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体Cを均一に分散した厚み10μmのフッ素樹脂とした。
F2:コア部は厚み0.75mmのアクリル樹脂シートAとした。クラッド部E,E’(2層クラッド)は、1層目が5質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体Cを均一に分散した厚み4μmのフッ素樹脂、2層目が散乱体を添加していない厚み6μmのフッ素樹脂とした。
F3:コア部は厚み0.75mmのアクリル樹脂シートとした。クラッド部E,E’(2層クラッド)は、1層目が散乱体を添加していない厚み4μmのフッ素樹脂、2層目が5質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体を均一に分散した厚み6μmのフッ素樹脂とした。
F4:コア部は厚み0.75mmのアクリル樹脂シートAとした。クラッド部E(1層クラッド)は、2質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体を均一に分散した厚み10μmのフッ素樹脂とした。
F5:コア部は厚み0.75mmのアクリル樹脂シートAとした。クラッド部E(1層クラッド)は、1質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体を均一に分散した厚み10μmのフッ素樹脂とした。
得られたシート型光導波路F1,F2,F3,F4及びF5を端面研磨し、紫外光源(中心波長380nm)を入射して、紫外照度計をシートの長手方向の表面に当てて所定位置の漏光量を測定した。測定結果を図5に示す。
F1とF2とはそれぞれ同様の漏光特性が得られた。F3は、コア部とクラッド部との界面以外に、散乱体が添加されているにもかかわらず、全く漏光が得られないことがわかる。また、F1(F2)とF4,F5の漏光量を比較すると、散乱体の濃度によって、シート型光導波路の長手方向の漏光量が変わることが分かる。従って、本発明のシート型光導波路の漏光特性は、コア部とクラッド部との界面のクラッド側にある散乱体の濃度により変化し、濃度を変えることで漏光量を制御することができる。
(2)シート型光導波路の漏光させたい部分のコア部とクラッド部との界面に、凹凸を形成することによって、光導波路の全反射伝搬条件を一部破壊し、コア部の光を長手方向に沿って伝搬させながら、前記凹凸からなる欠陥によって散乱や放射を生じさせ、光をシート型光導波路の表面から漏光させることができる。
ここで、コア・クラッド界面に形成した凹凸によって漏光が可能となる原理について説明する。
前記(1)において説明したように、従来の光導波路の導波原理は全反射を利用している。そこで、図6に示したように、シート型光導波路10のコア部11とクラッド部12の境界が直線ではなく、凹凸などの欠陥があると、コア部11内を伝搬してきた光が、部分的に全反射の臨界角を越した光となって、クラッド部12へ放射・散乱され、クラッド部12側へ放射し漏光となる。
前記凹凸の形成方法としては、例えば、前記コア部11となる材料の表面に、熱、又は機械的な加工方法により凹凸を形成しておき、加工後のコア部11の外側にクラッド部12を付け加えればよい。この方法だと、前記シート型光導波路10のコア部11の形成と同時に、欠陥を形成することができ、製造工程においては効率的である。
以下、凹凸からなる欠陥を形成したシート型光導波路の製造方法を説明する。
まず、熱加工方法について説明する。コア部をなすアクリル樹脂シートA’(屈折率1.49)と屈折率がシートA’より低く、クラッド部をなすフッ素系樹脂パウダーB(屈折率1.37)を用意する。その後、有機溶媒に可溶のフッ素系樹脂パウダーBを所定濃度で有機溶媒(本例はアセトンを用いた)中に徐々に添加しながら撹拌し、均一なフッ素系樹脂溶液Gを得る。
次いで、台の上に複数の細い金属糸を一定間隔で配列し、固定する。これらの金属糸は通電すると加熱できるようになっている。その後、コア部をなすアクリル樹脂シートA’の長手方向の両面を一面ずつ、水平に保持したまま金属糸の上に置き、一定時間加熱する。この加熱によりアクリル樹脂シートA’の金属線で加熱された部分が溶けて、長手方向に均一に凹凸が形成されたシートコア材A”が得られる。
次いで、前記シートコア材A”にディップコーティング法により溶液Gをコートし、室温で乾燥することで、図6に示す通り、コア部11とクラッド部12の境界に凹凸による欠陥が形成されたシート型光導波路10が作製される。
また、機械的な凹凸加工方法は、前記熱加工と殆ど同じ原理である。まず、台の上に複数のカミソリのような薄い刃物を一定高さ、一定間隔で配列し、固定する。その後、コア部をなすシリコーン樹脂シートA’(屈折率1.46)の両面を一面ずつ刃物の上に置き、均一に加圧プレスすることで、両面に均一に凹凸が形成されたシートコア材A”が得られる。次いで、前記シートコア材A”にディップコーティング法でフッ素系樹脂パウダーBを溶かした溶液Gをコートし、室温で乾燥することにより、図6に示す通り、コア部11とクラッド部12の境界に凹凸による欠陥が形成されたシート型光導波路10が作製される。
この方法で得られたシート型光導波路の漏光特性は、前記(1)と同様な理由から、コア部とクラッド部の境界にある凹凸の分布密度により変化する。この点について、下記の具体例を用いてさらに詳しく説明する。
前記の凹凸加工方法によって下記のシート型光導波路H1,H2及びH3を作製した。
H1:コア部は厚み0.75mmのシリコーン樹脂シートであり、凹凸の深さは約0.1mm、凹凸の分布(線)密度は10個/cmとした。クラッド部は厚み10μmのフッ素系樹脂とした。
H2:コア部は厚み0.75mmのシリコーン樹脂シートであり、凹凸の深さは約0.1mm、凹凸の分布(線)密度は5個/cmとした。クラッド部は厚み10μmのフッ素系樹脂とした。
H3:コア部は厚み0.75mmのシリコーン樹脂シートであり、凹凸の深さは約0.1mm、凹凸の分布(線)密度は1個/cmとした。クラッド部は厚み10μmのフッ素系樹脂とした。
作製したシート型光導波路H1,H2及びH3を端面研磨し、紫外光源(中心波長380nm)を入射して、紫外照度計をシートの長手方向の表面に当てて漏光量を測定した。測定結果を図7に示す。
これらのシート型光導波路H1,H2及びH3の漏光量を比較すると、凹凸の分布(線)密度によって、シート型光導波路の長手方向の漏光量が変わることが分かる。従って、本発明のシート型光導波路の漏光特性は、コア部とクラッド部の界面に形成した凹凸の分布密度によるものであり、凹凸の分布密度を変えることによって漏光量を制御することができる。
前記(1)又は(2)において述べた欠陥は、シート型光導波路の全面に渡って分布密度が一定となるように分布することができるし、シート型光導波路の長手方向に沿って分布密度が異なるように設けることもできる。こういった設計によって、本発明は、シート型光導波路の所定場所、所望光量を漏らすことができる。
ところで、前記説明した通り、これらの欠陥を一様に分布させたシート型光導波路を使用する場合、シート全面で漏光が生じ、場合によっては漏光が必要でない部分にも漏光させてしまい、無駄漏れとなることもある。
例えば、前記(1)において作製したシート型光導波路F1を複数枚積層し、光触媒フィルターとして使用する場合、光源から光触媒分解反応させたい位置まで4cmの間隔が必要であるとすると、図5に示すように、最初の4cmで約50%の入射光が無駄漏れとなり、効率が悪く、実用的には望ましくない。
そこで、本発明の好ましい実施形態では、前記シート型光導波路の漏光させたい部分のみに(1)での散乱体や(2)での凹凸などの欠陥を形成し、一方、光源から漏光させたい場所までの部分には、全く欠陥がない導波路構造を持たせることで、無駄漏れによる効率低下の問題を解決している。この点に関して、以下の具体例により説明する。
前記(1)において説明した散乱体を添加したシート型光導波路の製造方法を用いて、以下のシート型光導波路F6,F7を作製した。図8はこれらのF6とF7の側面図であり、図中符号11はコア部、13は散乱体を添加しないクラッド部、14は散乱体を5質量%添加したクラッド部である。
F6:コア部は厚さ0.75mm、長さ140mmのアクリル樹脂シートとした。クラッド部13,14(1層クラッド)は、長手方向の最初の40mmは散乱体を添加しない厚さ10μmのフッ素樹脂(クラッド部13)とし、その後部100mmは5質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体を均一分散した厚さ10μmのフッ素樹脂(クラッド部14)とした。
F7:コア部は厚さ0.75mm、長さ140mmのアクリル樹脂シートとした。クラッド部(1層クラッド)は、長手方向全長に5質量%のシリコーン樹脂粒子散乱体を均一分散した厚さ10μmのフッ素樹脂(クラッド14)とした。
得られたシート型光導波路F6及びF7を端面研磨し、紫外光源(水銀−キセノンランプ)を入射して、紫外照度計をシートの長手方向の表面に当てて伝送損失を測定した。測定結果を図9に示す。F6は、光源から漏光させたい場所までの40mmまでの間は殆ど漏光がなく、40mm以降の部分で入射光の約80%を漏光させて、入射光が効率よく利用される。これに対し、F7は、最初の40mmで、漏光が不必要であるにもかかわらず、約50%の入射光が漏れ出してしまい、効率が悪いことが分かる。従って、本発明のシート型光導波路において、光源から漏光させたい位置までの距離によって、シート型光導波路に形成する欠陥の分布密度を段階的に調整することにより、効率的な漏光が実現できる。また、光源から光触媒反応位置までの必要な距離に合わせて、シート型光導波路の長手方向に全く漏光しない部分と、漏光させる部分とを一体的に形成することができる。
本発明のシート型光導波路の厚みは、1μm〜10mmの範囲内であることが好ましい。シート型光導波路の厚みを前記範囲内とすることで、優れた可撓性を持つシート型光導波路が得られる。この厚みが1mmを超えると、柔軟性を持った合成樹脂材料でシートを構成しても、厚すぎて可撓性が悪化してしまう。一方、この厚みが1μm未満であると、製造上困難となる上に、薄すぎて入射端面の面積が小さく、一枚当たりの入射可能な光量が少なくなるため、漏光量も少なく、実用に困難である。また、前記と同様な理由で、本発明の光導波路の厚みは50μm〜1mmの範囲内であることがより好ましい。
次に、本発明に係る積層シート型光導波路構造体について説明する。
前述した通り、本発明に至る背景としては、均一に照射できる、コンパクトで大担持表面積の光触媒フィルターを提供することを目的としている。そこで、本発明では前記の表面へ漏光できるシート型光導波路を複数積層することによって、優れた可撓性を持つ、コンパクトな大表面積の積層シート型光導波路構造体を提供する。また、前記のシート型光導波路の表面に光触媒を担持しなくとも、シートの間に光触媒を担持したシート又はフィルターを挟むことによって、浄化媒体との接触効率が高く、表面積が大きく、なおかつ光が光触媒に均等に照射されるデバイスを提供する。以下、具体例を用いて、本発明の積層シート型光導波路構造体を説明する。
本発明の積層シート型光導波路構造体の概念図を図10に示す。この積層シート型光導波路構造体20は、複数のシート型光導波路を、端面粘着する方法で積層して構成されている。この積層シート型光導波路構造体20を光触媒フィルターとして使用するときには、積層された端面にLEDアレイなどの適当な光源21を設置すれば、入射光はシートの長手方向に従って、伝搬されながら表面へ漏光することになる。
前記のシート型光導波路の表面に、あるいは欠陥を添加されている部分の表面のみに、光触媒(または吸収剤と光触媒)を担持し、複数の光触媒を担持したシート型光導波路を積層すれば、積層シート型光触媒フィルターとなる。シート型光導波路に担持させる光触媒としては、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム(BaTi)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸ナトリウム(NaTi13)、二酸化ジルコニウム、硫化カドミウム、α−Fe、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられ、この中でも酸化チタンが好ましい。酸化チタンからなる光触媒を塗布する場合、酸化チタン微粒子を含む市販の光触媒コーティング液を用いることができ、膜厚やコーティング回数などは所定の条件にしたがって形成すればよい。また光触媒とともに担持させる吸収剤としては、空気や水などに含まれる分解対象物質を吸着可能な粒子、例えば活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂などが用いられる。ここで、分解対象物質とは、空気や水などに含まれる有害成分、悪臭成分、細菌やウイルスなどの光触媒フィルターにより分解又は失活させようとする各種の物質を指す。
以下の具体例を用いて、該積層シート型光導波路構造体とそれに光触媒を担持してなる積層シート型光触媒フィルターの製造方法を説明する。
前記(1)に記載の散乱体を添加したシート型光導波路の製造方法によって、複数の散乱体を添加したシート型光導波路を作製した。その後、前記シート型光導波路をハニカム形状又はコルゲートハニカム形状を賦形する金型で80℃程度で熱プレスし、熱加工により前記形状を賦形する。これらの熱成形したシート型光導波路を用いて、図11(a)及び(b)に示す積層シート型光導波路構造体を成形することができる。また、このとき、シート型光導波路の表面に光触媒(または吸収剤と光触媒)を担持した光触媒担持シート型光導波路を用いることによって、図11(a)及び(b)に示す形状を持った積層シート型光触媒フィルター30,33が作製できる。
図11(a)は、シート型光導波路の表面に光触媒を担持させた後、ハニカム成形した光触媒担持シート型光導波路32を積層して構成されたハニカム形状の積層シート型光触媒フィルター30を示す斜視図である。この積層シート型光触媒フィルター30は、ハニカム形状に成形していない入射端側に、LEDアレイなどの光源31を配置してシート内に励起光を入射させると共に、この入射端側の側面から分解対象物を含む空気や水などの流体を導入することで、分解対象物を光触媒で分解する光触媒装置に用いられる。光触媒担持シート型光導波路32のハニカム成形部分では、欠陥が設けられて漏光するようになっており、またその表面には光触媒が担持されている。入射端側の側面から導入された分解対象物質を含む流体は、このハニカム部分を流れ、このハニカム部分で分解対象物質が活性化された光触媒と接して分解又は失活される。ハニカム部分からは、分解対象物質が減少した流体が流出する。また、実際使用する時、前記の分解対象物質を含む流体の流れは逆でも良い。
図11(b)は、シート型光導波路の表面に光触媒を担持させた後、コルゲートハニカム形状に成形した光触媒担持シート型光導波路34を積層して構成されたコルゲートハニカム形状の積層シート型光触媒フィルター33を示す斜視図である。この積層シート型光触媒フィルター33は、コルゲートハニカム形状に成形していない入射端側に、LEDアレイなどの光源31を配置してシート内に励起光を入射させると共に、図11(b)中に示すように、コルゲートハニカム部分の側方から分解対象物を含む空気や水などの流体を導入することで、分解対象物を光触媒で分解する光触媒装置に用いられる。光触媒担持シート型光導波路34のコルゲートハニカム成形部分では、欠陥が設けられて漏光するようになっており、またその表面には光触媒が担持されている。分解対象物質を含む流体は、このコルゲートハニカム部分を流れ、この部分で分解対象物質が活性化された光触媒と接して分解又は失活され、反対側から分解対象物質が減少した流体が流出する。
本来、図11(a)及び(b)のような複雑な形状を持つ積層シート型光導波路構造体を用いた積層シート型光触媒フィルターを作製するには、通常材質のシートの加工が困難である。そこで、前記の複雑な形状の積層シート型光触媒フィルターを簡単に加工するために、加熱成形が容易なプラスチック材料などから構成された薄いシートを使用すれば、希望の形状に合わせて、金型を作れば熱プレスなどの方法で簡単に加工できる。
図12は、本発明の積層シート型光触媒フィルターの別な構成例を示す斜視図である。前記図11(a),(b)の例示では、光触媒担持シート型光導波路自体を成形加工して積層シート型光触媒フィルターを作製しているが、本発明は図11(a),(b)の例示に限定されず、前記のシート型光導波路の表面に光触媒を担持せず、図12に示すように、各シート間に配されるスペーサ42に光触媒を担持させて積層シート型光触媒フィルター40を構成することもできる。この図12に示す積層シート型光触媒フィルター40は、積層されるそれぞれのシート型光導波路の間に、表面に光触媒(または吸収剤と光触媒)が担持されたコルゲート形状のスペーサ42を挿入することによって、コルゲートハニカム形状になっている。この積層シート型光触媒フィルター40は、ハニカム形状に成形していない入射端側に、LEDアレイなどの光源41を配置してシート内に励起光を入射させると共に、この入射端側の側面から分解対象物を含む空気や水などの流体を導入することで、分解対象物を光触媒で分解する光触媒装置に用いられる。光触媒担持シート型光導波路のハニカム部分では、欠陥が設けられて漏光するようになっており、この光がスペーサ42表面の光触媒に照射される。入射端側の側面から導入された分解対象物質を含む流体は、このハニカム部分を図中矢印で示すように流れ、このハニカム部分で分解対象物質がスペーサ42表面に担持された光触媒と接して分解又は失活される。ハニカム部分からは、分解対象物質が減少した流体が流出する。また、実際使用する時、前記の分解対象物質を含む流体の流れは逆でも良い。
前述した図11(a)、(b)に示す積層シート型光触媒フィルター30,33及び図12に示す積層シート型光触媒フィルター40は、表面積が大きく、かつ光が光触媒に均等に照射されることで、高い効率で分解対象物の分解が可能となる高性能な積層シート型光触媒フィルターを提供できる。
また、これらの積層シート型光触媒フィルター30,33,40は、LED等の光源を入射端側に設け、ハニカム形状又はコルゲートハニカム形状に形成された部分(光触媒作用部)に分解対象物を含む空気や水などの流体を導入することで、分解対象物を光触媒で分解する光触媒装置を構成することができる。本発明の光触媒装置は、前記積層シート型光触媒フィルターを用いたものなので、大表面積を持ち、高い反応効率を有する高性能な光触媒装置を提供できる。
[実施例1]
市販の紫外透過型のアクリルシート(厚み125μm、屈折率1.49)を21枚用意し、下記の作製方法で積層シート型光触媒フィルターを作製した。
作製方法:
a:コア部をなす紫外透過型アクリル樹脂シートA(屈折率1.49)と、それより屈折率が低く、クラッド部をなす紫外透過型で有機溶媒に可溶のフッ素系樹脂パウダーB(屈折率1.37)と、散乱体をなすシリコーン樹脂パウダーC(屈折率1.46)を用意した。
b:シリコーン樹脂パウダーCをアセトン中に加え、撹拌することにより十分に分散させ、溶液Dを得た。また、フッ素系樹脂パウダーBを10質量%となるように溶液D中に徐々に添加しながら撹拌し、散乱体Cを均一に分散させたフッ素系樹脂溶液Eを得た。シリコーン樹脂パウダーCの配合量はクラッド部に5質量%含まれる量とした。
c:コア部をなすシートAに、散乱体Cを均一に分散させたフッ素系樹脂溶液Eをディップ法により塗布してクラッド部を形成した。
d:得られた21枚のシート中、10枚のみを、長手方向の半分の長さを金型でコルゲート状にプレスし、80℃で熱加工して賦形した。得られた成形シートの波山と谷の高さの差は4mmであった。
e:成形シートのコルゲート状部分と、残り11枚の平らなシートの半分の表面に、市販の光触媒アンダーコート材(保護層)をスプレー法で塗布し、さらにその上に光触媒機能を有する酸化チタンコーティング溶液を塗布し、乾燥させ、外側が光触媒活性を有する酸化チタン膜で被覆された光触媒担持シートを得た。形成された酸化チタン膜の厚みは約1μmであった。
f:得られた光触媒担持シートを、平らなシートとコルゲート状の成形シートとを交互に積み重ね、幅合わせをしながら粘着剤で粘着して積層シートを形成した。積層シートの端面を鏡面研磨加工して、図11(b)に示すコルゲートハニカム状の積層シート型光触媒フィルターを作製した。
g:得られた積層シート型光触媒フィルターを図13に示す実験装置を用い、密閉且つ完全遮光の状態でアセトアルデヒドの分解実験を行った。
図13に示す実験装置50は、前述したように作製した積層シート型光触媒フィルター51と、そのコルゲートハニカム形状をなす光触媒作用部52のみを収容した容器54と、積層シート型光触媒フィルター51の入射端に設けられた光源53とから構成されている。この実験装置50において、容器の容量は1.2リットルであり、その上面端部には密閉可能な注入口55が設けられ、該注入口55を閉じた状態で完全に密閉され且つ完全に遮光されている。また、光源53は、UV型砲弾型発光ダイオードであって、中心波長375nm、φ3mmであり、光出力は2mWである。また、使用したLEDアレイ、16個の前記LEDから構成されている。この容器54の中に初期濃度1000ppmのアセトアルデヒドを注入し、図示しないが、容器内のフィルター前面にはファンが配置されており、そのファンによってアセトアルデヒドを前記の密閉容器内に循環させている。経過時間毎にアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、積層シート型光触媒フィルターによるアセトアルデヒド分解能力を調べた。その結果を図14に示す。
図14の結果から、時間の経過に伴って残留アセトアルデヒドの濃度が急激に低下していることから、この積層シート型光触媒フィルターは十分なアセトアルデヒド分解能力を有していることが確認された。
[比較例1]
実施例1で作製した積層シート型光触媒フィルターを用い、光を外部から照射する条件下で光触媒分解実験を行った。図5はその実験装置を示し、この実験装置60は、積層シート型光触媒フィルター62と、そのコルゲートハニカム形状をなす光触媒作用部63のみを収容した容器64と、容器の側方に配置したLED61とから構成されている。この実験装置60において、容器の容量は1.2リットルであり、その上面端部には密閉可能な注入口65が設けられ、該注入口65を閉じた状態で完全に密閉され且つ完全に遮光されている。
実施例1で作製した積層シート型光触媒フィルター62を、図15に示す実験装置60にセットしたが、光源については光を外部から比較的均一に照射するため、LEDアレイではなく、同種同数のLED61をマトリクス状に容器内に設置し、光を光触媒外部から照射することによって、同様初期濃度のアセトアルデヒドを注入し、図示しないが、フィルター前面のファンで循環させ、アセトアルデヒド分解反応を行った。結果を図14に示す。
この比較例1についても、時間の経過に伴ってアセトアルデヒドの濃度が低下しているが、実施例1の結果と比べて分解速度が遅いことが分かる。この原因は、比較例1では光を外部から照射しているため、影になる部分が多く、すなわち積層シートの全面積に対して、反応有効面積が少なくなり、結果的に分解効率が劣ってしまうためと考えられる。
[実施例2]
市販の紫外透過型のアクリルシートA(厚み125μm、屈折率1.49)を11枚と、紫外透過性のないアクリルシートa(厚み125μm)を10枚用意し、下記の作製方法で積層シート型光触媒フィルターを作製した。
作製方法:
a:コア部をなす紫外透過型アクリル樹脂シートA(屈折率1.49)と、それより屈折率が低く、クラッド部をなす紫外透過型で有機溶媒に可溶のフッ素系樹脂パウダーB(屈折率1.37)と、散乱体をなすシリコーン樹脂パウダーC(屈折率1.46)を用意した。
b:シリコーン樹脂パウダーCをアセトン中に加え、撹拌することにより十分に分散させ、溶液Dを得た。また、フッ素系樹脂パウダーBを10質量%となるように溶液D中に徐々に添加しながら撹拌し、散乱体Cを均一に分散させたフッ素系樹脂溶液Eを得た。シリコーン樹脂パウダーCの配合量はクラッド部に5質量%含まれる量とした。
c:コア部をなすシートAに、散乱体Cを均一に分散させたフッ素系樹脂溶液Eをディップ法により塗布してクラッド部を形成した。
d:10枚の紫外透過性のないアクリルシートaを、長手方向の半分の長さを金型でコルゲート状に80℃程度で熱プレスし、熱加工して賦形した。得られた成形シートの波山と谷の高さの差は4mmであった。
e:熱加工後のシートaの表面に、市販の光触媒アンダーコート材(保護層)をスプレー法で塗布し、さらにその上に光触媒機能を有する酸化チタンコーティング溶液を塗布し、乾燥させ、外側が光触媒活性を有する酸化チタン膜で被覆されたコルゲート状スペーサを得た。形成された酸化チタン膜の厚みは約1μmであった。
f:得られた10枚のスペーサと、11枚のシートAとを交互に積み重ね、幅合わせをしながら粘着剤で粘着して積層シートを形成した。積層シートの端面を鏡面研磨加工して、図13に示すコルゲートハニカム状の積層シート型光触媒フィルターを作製した。
g:得られた積層シート型光触媒フィルターを図16に示す実験装置を用い、密閉且つ完全遮光の状態でアセトアルデヒドの分解実験を行った。
図16に示す実験装置70は、前述したように作製した積層シート型光触媒フィルター72と、そのコルゲートハニカム形状をなす光触媒作用部73のみを収容した容器74と、積層シート型光触媒フィルター72の入射端に設けられた実施例1と同様のLEDアレイ71とから構成されている。この実験装置70において、容器の容量は1.2リットルであり、その上面端部には密閉可能な注入口75が設けられ、該注入口75を閉じた状態で完全に密閉され且つ完全に遮光されている。この容器74の中に初期濃度1000ppmのアセトアルデヒドを注入し、図示しないが、フィルター前面のファンによって、容器内のアセトアルデヒドを循環させている。経過時間毎にアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、積層シート型光触媒フィルターによるアセトアルデヒド分解能力を調べた。その結果を図14に示す。
図14の結果から、時間の経過に伴って残留アセトアルデヒドの濃度が急激に低下していることから、この積層シート型光触媒フィルターは十分なアセトアルデヒド分解能力を有していることが確認された。
通常の欠陥のない光導波路の入射光伝搬状態を示し、(a)は欠陥のない光導波路1の入射光伝搬状態を模式的に示す側面図、(b)は光導波路1の屈折率分布を示すグラフである。 本発明のシート型光導波路における入射光伝搬・漏光状態を示す側面図である。 本発明のシート型光導波路の一例を示し、(a)はシート型光導波路Fの斜視図、(b)はその端面の拡大図である。 漏光特性の実験に用いたシート型光導波路F1〜F5の側面図である。 漏光特性の実験に用いたシート型光導波路F1〜F5のそれぞれの各部の漏光量の測定結果を示すグラフである。 本発明のシート型光導波路の別な例を示す側面図である。 漏光特性の実験に用いたシート型光導波路H1〜H3のそれぞれの各部の漏光量の測定結果を示すグラフである。 本発明のシート型光導波路のさらに別な例を示す側面図である。 漏光特性の実験に用いたシート型光導波路F6とF7のそれぞれの各部の漏光量の測定結果を示すグラフである。 本発明の積層シート型光導波路構造体、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置の基本概念を示す斜視図である。 本発明の積層シート型光触媒フィルターの一例を示し、(a)はハニカム形状の積層シート型光触媒フィルター、(b)はコルゲートハニカム形状の積層シート型光触媒フィルターを示す斜視図である。 本発明の積層シート型光触媒フィルターの別な例を示し、光触媒を担持したスペーサを用いた積層シート型光触媒フィルターの斜視図である。 実施例1で用いた実験装置を示す斜視図である。 実施例1,2及び比較例1の分解試験結果を示すグラフである。 比較例1で用いた実験装置を示す斜視図である。 実施例2で用いた実験装置を示す斜視図である。
符号の説明
2,A,11…コア部、3,E,E’,12,13,14…クラッド部、4,F、10,F1〜F7…シート型光導波路、5,C…散乱体、20…積層シート型光導波路構造体、21,31,41…光源,30,33,40,51,62,72…積層シート型光触媒フィルター、32…ハニカム成形した光触媒担持シート型光導波路、34…コルゲートハニカム成形した光触媒担持シート型光導波路、42…スペーサ。

Claims (22)

  1. シート状をなすコア部と、該コア部よりも屈折率の低い材料からなり、コア部を囲むように設けられたクラッド部とを備え、且つ少なくとも前記コア部とクラッド部との境界に、コア部内を伝搬する光を散乱又は放射させてクラッド部の表面から漏光させる欠陥を備えてなることを特徴とするシート型光導波路。
  2. 前記欠陥が、前記コア部とクラッド部との境界のクラッド側に添加された、クラッド部をなす材料の屈折率と異なる屈折率を持つ粒子であることを特徴とする請求項1に記載のシート型光導波路。
  3. 前記欠陥が、前記コア部とクラッド部との境界に形成された凹凸であることを特徴とする請求項1に記載のシート型光導波路。
  4. 前記欠陥が、シート型光導波路の全面に渡って分布密度が一定であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート型光導波路。
  5. 前記欠陥が、シート型光導波路の長手方向に沿って分布密度が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート型光導波路。
  6. 前記シート型光導波路が加熱することにより成形可能な材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート型光導波路。
  7. 前記コア部の材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂又はガラスからなる群から選択される1種又は2種以上の材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシート型光導波路。
  8. 前記クラッド部が、前記コア部の屈折率より低い屈折率を有し、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ガラス、空気からなる群から選択される1種又は2種以上の材料からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシート型光導波路。
  9. 前記シート型光導波路の厚みが1μm〜10mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシート型光導波路。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のシート型光導波路を複数枚積層してなることを特徴とする積層シート型光導波路構造体。
  11. 前記各シート型光導波路の間にスペーサを配したことを特徴とする請求項10に記載の積層シート型光導波路構造体。
  12. 前記スペーサの形状が、ハニカム形状又はコルゲート形状であることを特徴とする請求項11に記載の積層シート型光導波路構造体。
  13. 前記各シート型光導波路自体を変形させることによってシート型光導波路同士の間に間隔を設けたことを特徴とする請求項10に記載の積層シート型光導波路構造体。
  14. 前記各シート型光導波路自体を変形させることによって積層シート型光導波路構造体の全体又は一部のみがハニカム形状又はコルゲートハニカム形状となっていることを特徴とする請求項10又は11に記載の積層シート型光導波路構造体。
  15. 請求項1〜9のいずれかに記載のシート型光導波路の表面の全て又は一部のみに光触媒を担持したことを特徴とする光触媒担持シート型光導波路。
  16. シート型光導波路の表面の全て又は一部のみに光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持したことを特徴とする請求項15に記載の光触媒担持シート型光導波路。
  17. 請求項10〜14のいずれかに記載の積層シート型光導波路構造体の全体又は一部のみに光触媒を担持したことを特徴とする積層シート型光触媒フィルター。
  18. 積層シート型光導波路構造体の全体又は一部のみに光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持したことを特徴とする請求項17に記載の積層シート型光触媒フィルター。
  19. スペーサの表面の全て又は一部のみに光触媒を担持したことを特徴とする請求項17又は18に記載の積層シート型光触媒フィルター。
  20. スペーサの表面の全て又は一部のみに、光触媒と共に分解対象物質を吸収可能な吸着剤を担持したことを特徴とする請求項19に記載の積層シート型光触媒フィルター。
  21. スペーサ自体が分解対象物質を吸収可能な吸着剤であることを特徴とする請求項19に記載の積層シート型光触媒フィルター。
  22. 請求項17〜21のいずれかに記載の積層シート型光触媒フィルターと、該積層シート型光触媒フィルターを構成するシート型光導波路のコアに光触媒を励起可能な光を入射させる光源とを有することを特徴とする光触媒装置。
JP2004113273A 2004-04-07 2004-04-07 シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置 Pending JP2005300672A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113273A JP2005300672A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113273A JP2005300672A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005300672A true JP2005300672A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35332309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004113273A Pending JP2005300672A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005300672A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008216665A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd シート状光伝送体及びその製造方法、並びに照光装置
JP2009276713A (ja) * 2008-05-19 2009-11-26 Alps Electric Co Ltd 導光装置及びその製造方法
JP2013088822A (ja) * 2011-10-21 2013-05-13 Sharp Corp 紫外線レーザ光源、紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008216665A (ja) * 2007-03-05 2008-09-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd シート状光伝送体及びその製造方法、並びに照光装置
JP2009276713A (ja) * 2008-05-19 2009-11-26 Alps Electric Co Ltd 導光装置及びその製造方法
JP2013088822A (ja) * 2011-10-21 2013-05-13 Sharp Corp 紫外線レーザ光源、紫外線光を生成する周波数倍化導波路の製造方法
US8743922B2 (en) 2011-10-21 2014-06-03 Sharp Kabushiki Kaisha Ultraviolet laser
US9158178B2 (en) 2011-10-21 2015-10-13 Sharp Kabushiki Kaisha Ultraviolet laser

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5153681B2 (ja) 空調関連機器
US20170259254A1 (en) Photocatalyst apparatus and system
WO2006080216A1 (ja) 面発光デバイス
JPH09225295A (ja) 光触媒含有装置と光触媒利用反応装置
JP2006237563A (ja) 面発光デバイス
EP0982071B1 (en) Photocatalyst excitation apparatus
CN104023755B (zh) 光催化净化介质
JP2005300672A (ja) シート型光導波路、積層シート型光導波路構造体、光触媒担持シート型光導波路、積層シート型光触媒フィルター及び光触媒装置
JP3495969B2 (ja) 有機物分解ユニット
JP4319090B2 (ja) 表面漏光光導波路及び光触媒モジュール
US20130156649A1 (en) Purification unit and deodoriding device
US8384043B2 (en) Plasmon filter
JP2003284946A (ja) 光触媒反応装置とそのユニット
US20220040365A1 (en) Air disinfection chamber
JP4307955B2 (ja) 発光体、発光体を用いた汚染物質の分解方法または殺菌方法、発光体を用いた液体または気体の浄化方法
JP2009183802A (ja) 光触媒装置
JP2005305333A (ja) 汚染物分解装置
JP6243759B2 (ja) 水浄化装置
JP3202863B2 (ja) 光触媒担持線状物品
CN215692928U (zh) 一种灭菌装置、空气过滤器及过滤系统
JPH08309201A (ja) 光触媒体
US20210379220A1 (en) Photocatalytic fluid filtration system and method
Jarudrungchawalit et al. Development of UV-enhanced Photocatalytic Microchannel Optical Waveguide for Water Treatment
CN115350295B (zh) 一种深紫外led光触媒模块及其制备方法
JP4447404B2 (ja) 光触媒装置、励起光の照射方法、分解対象物分解方法及び光触媒装置の利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080729

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081125