JP2005300367A - 放射線画像変換パネルと放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

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勝也 岸波
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Abstract

【課題】 輝度、鮮鋭性共に優れ、振動特性の良好な放射線像変換パネル及びその製造方法の提供。
【解決手段】 炭素繊維強化樹脂(CFRP)板または炭素繊維強化樹脂(CFRP)コンポジット板上の金属板(基板ともいう)上に気相堆積法(気相法)により形成された蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【選択図】 なし

Description

放射線画像変換パネルの製造方法(以下、製造方法ともいう)及び放射線画像(以下、放射線像ともいう)変換パネルに関する。
従来、放射線画像を得るために、放射線照射によって得られた潜像をレーザー光等を使い光信号を取り出す方法がとられてきた。放射線を吸収してからある時間経過後に光信号を取り出すには、輝尽性蛍光体層(以下、単に蛍光体層ともいう)が必要で、その輝尽性蛍光体層を設けるには、従来塗布による方法があったが、塗布材料はバインダー等の発光に寄与しない成分を含むため、最近では蒸着等の気相堆積法が用いられるれるようになってきた。
従来、放射線画像を得るために銀塩を使用した、いわゆる放射線写真法が利用されているが、銀塩を使用しないで放射線像を画像化する方法が開発されている。
即ち、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体をある種のエネルギーで励起してこの蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出して画像化する方法が開示されている。
具体的な方法としては、支持体上に輝尽性蛍光体層を設けたパネルを用い、励起エネルギーとして可視光線及び赤外線の一方又は両方を用いる放射線像変換方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
より高輝度、高感度の輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換方法として、例えば特開昭59−75200号等に記載されているBaFX:Eu2+系(X:Cl、Br、I)蛍光体を用いた放射線像変換方法、同61−72087号等に記載されているようなアルカリハライド蛍光体を用いた放射線像変換方法、同61−73786号、同61−73787号等に記載のように、共賦活剤としてTl+及びCe3+、Sm3+、Eu3+、Y3+、Ag+、Mg2+、Pb2+、In3+の金属を含有するアルカリハライド蛍光体が開発されている。
更に、近年診断画像の解析においてより高鮮鋭性の放射線像変換パネルが要求されている鮮鋭性改善の為の手段として、例えば、特定の製造方法により製造される輝尽性蛍光体の形状そのものをコントロールし感度及び鮮鋭性の改良を図る試みがされているが、高感度、鮮鋭性については未だ満足するものではなかった。(例えば、特許文献2を参照)
これらの試みの1つの方法として、例えば特開昭61−142497号等に記載されている微細な凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積させ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体層を用いる方法がある。
また、特開昭61−142500号に記載のように微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを用いる方法、更には、特開昭62−39737号に記載されている支持体上に形成された輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬柱状とした放射線像変換パネルを用いる方法、更には、特開昭62−110200号に記載に記載されているように、支持体上に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ亀裂を設ける方法等も提案されている。
更に、気相堆積法によって支持体上に、支持体の方線方向に対し一定の傾きをもった細長い柱状結晶を形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルが記載されている。(例えば、特許文献3を参照)
これらの輝尽性蛍光体層の形状をコントロールする方法は、いずれも輝尽性蛍光体層を柱状とすることで、輝尽励起光又は輝尽発光の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴がある。
最近、CsBrなどのハロゲン化アルカリを母体にEuを賦活した輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換パネルが提案され、特にEuを賦活剤とすることで従来不可能であったX線変換効率の向上が可能になると期待された。
しかし、蒸着法等による輝尽性蛍光体の形成では、蒸着時の蒸気流またはルツボ輻射熱及び基板加熱の必要から、基板は耐熱性(80℃〜200℃程度)があることが必要であった。
かつ、蛍光体層が設けられる基板表面は非常に平滑であることが求められており、X線等の照射放射線が基板側から入射するシステムにおいては、X線等の吸収量が少ない基板、また、基板による振動特性の改良が必須とされている。
従って、輝度、鮮鋭性共に改良され、振動特性も良好な放射線像変換パネル及びその製造方法が求められていた。
米国特許第3,859,527号明細書 特開平3−123899号公報 特開2002−72381号公報
本発明の目的は、輝度、鮮鋭性共に優れ、振動特性の良好な放射線像変換パネル及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
炭素繊維強化樹脂(CFRP)板または炭素繊維強化樹脂(CFRP)コンポジット板上の金属板(基板ともいう)上に気相堆積法(気相法)により形成された輝尽性蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
(請求項2)
前記金属板がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項3)
前記CFRPコンポジット板は構成の全部、または一部がCFRPと発泡樹脂板を接着させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項4)
前記CFRP板またはCFRPコンポジット板の厚みが0.5mm〜7mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項5)
前記金属板の厚みが0.01mm〜3mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項6)
前基板の縦方向(装置に取りつけた際の上下方向)の剛性値が5〜400N・mで横方向(装置に取りつけた際の水平方向)の剛性値が10〜500N・mであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
(請求項7)
輝尽性蛍光体層が含有する輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
一般式(1)
1X・aM2X′・bM3X″:eA
〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。〕
(請求項8)
前記輝尽性蛍光体が下記一般式(2)で表される輝尽性蛍光体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル。
一般式(2)
CsX:yA
〔式中、XはCl、BrまたはIを表し、Aは、Eu、Sm、In、Tl、GaまたはCeを表す。yは、1×10-7〜1×10-2までの数値を表す。〕
(請求項9)
請求項1〜8の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを輝尽性蛍光体層を有する支持体板を防湿性封止フィルムで封止して製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
即ち、本発明者らは、蛍光体層が設けられる基板表面は非常に平滑であることが求められおり、耐熱性樹脂層を設けて平滑にする方法もあるが、更に平滑にするために平滑度の高い金属板、特にアルミ板を使うことがよいことを見いだした。
ただしアルミ板はCFRP板、CFRPコンポジット板よりもX線吸収が量がやや多いため、なるべく薄くしたいが、剛性が低くなる欠点があった。剛性が低くなるとX線画像変換装置に取り付けられ、X線画像変換の際に衝撃を受けたときの振動で画像が乱れることがあった。
ここで基板を金属板(特にアルミ板)とCFRP板またはCFRPコンポジト板の貼り合わせたものにすることによって照射されたX線エネルギーを損なわずに画像特性(輝度、鮮鋭性)を向上させ、さらに振動特性も良好な放射線画像変換パネルを提供できる発明に至ったのである。
本発明による放射線画像変換パネル及びその製造方法は、輝度鮮鋭性共に優れ、振動特性も良好で優れた効果を有する。
前述した如く、輝尽性蛍光体層を気相法、特に蒸着により支持体上に形成させるためには高温に耐えうる耐熱性支持体を用いる必要があり、また放射線画像変換パネルを使用した診断時に放射線を放射線変換パネルの支持体側から照射して使えるシステムにするには、支持体は放射線吸収量の少ないものにする必要があった。
従って、本発明は、蛍光体層を平滑に設けるためにはCFRP板上又はCFRPコンポジット板上の金属板上に気相堆積法により形成された蛍光体層を有することを特徴とし、該金属板はアルミニウム金属板であることが好ましく、これらの構成により、本発明の目的である、輝度、鮮鋭性共に優れ、振動特性が良好な放射線変換パネルを提供できたのである。
本発明においては、前記、CFRPコンポジット板は構成の全部又は一部がCFERと発泡樹脂を接着して用いることも好ましい。
また、CFRP板上又はCFRPコンポジット板の厚みは0.5mm〜7mmであることが好ましく、金属板の厚みは0.01mm〜3mmであることが好ましい。CFRP板上又はCFRPコンポジット板の厚みが0.5mm未満であると剛性が不足し、振動特性が低下し、7mmを超えるとX線吸収量が多くなり、画像特性(輝度、鮮鋭性)の低下を招く。
金属板の厚みが0.01mm未満であると扱いづらく、貼り合わせが難く、3mmを超えるとX線吸収量が多くなり、画像特性(輝度、鮮鋭性)の低下を招く。
図3は本発明の放射線画像変換パネルを用いて画像を得る放射線画像入力システム装置の一例を示す概略図である。
上記の放射線画像入力システムの装置には、本願の放射線画像変換フィルムが組み込まれており、前面の胸当て面1に被写体の胸を当て、2の握り棒を持った被写体の背後から放射線を当て振動特性の良好な画像が得られる。
また、CFRP板上又はCFRPコンポジット板上の金属板上(基板)の縦方向の剛性値が5〜400N・m、横方向の剛性値が10〜500N・mであることが好ましい。
この剛性値は金属板の種類、厚み、CFRP板上又はCFRPコンポジット板の種類、厚みによって調整できるが、上記の剛性値の上限を超える数値の基板を作製するのはかなり難しく、コストもかかる。
放射線画像変換パネルの製造方法
金属板がある程度の剛性がある場合は、金属板に蛍光体を蒸着後に、カーボン板に貼り合わせても良いし、もともと貼り合わせてある基板に蒸着しても良い。金属板が薄い場合は金属板(シート)とカーボン板を貼り合わせた後に、それに蒸着する。
次に、本発明に好ましく用いられる前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体について説明する。
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、M1は、Li、Na、K、Rb及びCs等の各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子を表し、中でもRb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属原子が好ましく、更に好ましくはCs原子である。
2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNi等の各原子から選ばれる少なくとも1種の二価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのは、Be、Mg、Ca、Sr及びBa等の各原子から選ばれる二価の金属原子である。
3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びIn等の各原子から選ばれる少なくとも1種の三価の金属原子を表すが、中でも好ましく用いられるのはY、Ce、Sm、Eu、Al、La、Gd、Lu、Ga及びIn等の各原子から選ばれる三価の金属原子である。
AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子である。
輝尽性蛍光体の輝尽発光輝度向上の観点から、X、X′及びX″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子を表すが、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子が好ましい。
中でも、本発明においては前記一般式(2)で表される輝尽性蛍光体が更に好ましい。
前記一般式(2)において、XはCl、BrまたはIを表し、Aは、Eu、Sm、In、Tl、GaまたはCeを表す。yは、1×10−7〜1×10−2までの数値を表す。
前記輝尽性蛍光体は、例えば以下に述べる製造方法により製造される。
まず蛍光体原料として、以下の組成となるように炭酸塩に酸(HI、HBr、HCl、HF)を加え混合攪拌した後、中和点にて濾過を行い得られた後、ろ液の水分を蒸発気化させて以下の結晶を作製する。
前記蛍光体原料としては、
(a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
(b)MgF2、MgCl2、MgBr2、MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、SrF2、SrCI2、SrBr2、SrI2、BaF2、BaCl2、BaBr2、BaBr2・2H2O、BaI2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、CdF2、CdCl2、CdBr2、CdI2、CuF2、CuCl2、CuBr2、CuI、NiF2、NiCl2、NiBr2及びNiI2の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
(c)前記一般式(1)において、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMg等の各原子から選ばれる金属原子を有する化合物が用いられる。
(d)賦活剤Aは、例えばEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子が用いられる。
一般式(1)で表される化合物において、aは0≦a<0.5、好ましくは0≦a<0.01、bは0≦b<0.5、好ましくは0≦b≦0.01、eは0<e≦0.2、好ましくは0<e≦0.1である。
上記の数値範囲の混合組成になるように前記(a)〜(d)の蛍光体原料を秤量し、純水にて溶解する。
この際、乳鉢、ボールミル、ミキサーミル等を用いて充分に混合しても良い。
次に、得られた水溶液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
次に、得られた原料混合物を石英ルツボ或いはアルミナルツボ等の耐熱性容器に充填して電気炉中で焼成を行う。焼成温度は500〜1000℃が好ましい。焼成時間は原料混合物の充填量、焼成温度等によって異なるが、0.5〜6時間が好ましい。
焼成雰囲気としては少量の水素ガスを含む窒素ガス雰囲気、少量の一酸化炭素を含む炭酸ガス雰囲気等の弱還元性雰囲気、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気或いは少量の酸素ガスを含む弱酸化性雰囲気が好ましい。
尚、前記の焼成条件で一度焼成した後、焼成物を電気炉から取り出して粉砕し、しかる後、焼成物粉末を再び耐熱性容器に充填して電気炉に入れ、前記と同じ焼成条件で再焼成を行えば蛍光体の発光輝度を更に高めることができ、また、焼成物を焼成温度より室温に冷却する際、焼成物を電気炉から取り出して空気中で放冷することによっても所望の蛍光体を得ることができるが、焼成時と同じ、弱還元性雰囲気もしくは中性雰囲気のままで冷却してもよい。また、焼成物を電気炉内で加熱部より冷却部へ移動させて、弱還元性雰囲気、中性雰囲気もしくは弱酸化性雰囲気で急冷することにより、得られた蛍光体の輝尽による発光輝度をより一層高めることができる。
また、本発明の輝尽性蛍光体層は気相成長法によって形成される。
輝尽性蛍光体の気相成長法としては蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、その他を用いることができる。
本発明においては、例えば、以下の方法が挙げられる。
第1の方法の蒸着法は、まず、支持体を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して1.333×10-4Pa程度の真空度とする。
次いで、前記輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法等の方法で加熱蒸発させて前記支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに成長させる。
この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
蒸着終了後、必要に応じて前記輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対の側に保護層を設けることにより本発明の放射線像変換パネルが製造される。尚、保護層上に輝尽性蛍光体層を形成した後、支持体を設ける手順をとってもよい。
さらに、前記蒸着法においては、蒸着時、必要に応じて被蒸着体(支持体、保護層又は中間層)を冷却あるいは加熱してもよい。
また、蒸着終了後輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。また、前記蒸着法においては必要に応じてO2、H2等のガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行ってもよい。
第2の方法としてのスパッタリング法は、蒸着法と同様、保護層又は中間層を有する支持体をスパッタリング装置内に設置した後、装置内を一旦排気して1.333×10-4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタリング用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスをスパッタリング装置内に導入して1.333×10-1Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより、前記支持体上に輝尽性蛍光体層を所望の厚さに成長させる。
前記スパッタリング工程では蒸着法と同様に各種の応用処理を用いることができる。
第3の方法としてCVD法があり、又、第4の方法としてイオンプレーティング法がある。
また、前記気相成長における輝尽性蛍光体層の成長速度は0.05μm/分〜300μm/分であることが好ましい。成長速度が0.05μm/分未満の場合には本発明の放射線像変換パネルの生産性が悪く好ましくない。また成長速度が300μm/分を越える場合には成長速度のコントロールがむずかしく好ましくない。
放射線像変換パネルを、前記の真空蒸着法、スパッタリング法などにより得る場合には、結着剤が存在しないので輝尽性蛍光体の充填密度を増大でき、感度、解像力の上で好ましい放射線像変換パネルが得られ好ましい。
前記輝尽性蛍光体層の膜厚は、放射線像変換パネルの使用目的によって、また輝尽性蛍光体の種類により異なるが、本発明の効果を得る観点から50μm〜1mmであり、好ましくは50〜500μmであり、更に好ましくは100〜500μmであり、特に好ましくは、150〜400μmである。
上記の気相成長法による輝尽性蛍光体層の作製にあたり、輝尽性蛍光体層が形成される支持体の温度は、40℃以上に設定することが好ましく、更に好ましくは、40〜150℃である。
この様にして支持体上に形成した輝尽性蛍光体層は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
また、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となるほか、高光吸収の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい、これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散の低減に有効である。
高反射率の物質とは、輝尽励起光(500〜900nm、特に600〜800nm)に対する反射率の高い物質のことをいい、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銀、インジウム、その他の金属等、白色顔料及び緑色〜赤色領域の色材を用いることができる。白色顔料は輝尽発光も反射することができる。
白色顔料としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれるの少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどがあげられる。
これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線像変換パネルの感度を顕著に向上させることができる。
また、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボンブラック、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンブラックは輝尽発光も吸収する。
また、色材は、有機又は無機系色材のいずれでもよい。
有機系色材としては、例えば、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。
また、カラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材もあげられる。
無機系色材としては群青、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系等の無機顔料があげられる。
また、本発明の輝尽性蛍光体層は保護層を有していても良い。
保護層は保護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成してもよいし、あらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。あるいは別途形成した保護層上に輝尽性蛍光体層を形成する手段を取ってもよい。
保護層の材料としては、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の通常の保護層用材料が用いられる。他に透明なガラス基板を保護層としてもちいることもできる。
また、この保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、SiO2、SiN、Al23等の無機物質を積層して形成してもよい。
これらの保護層の層厚は0.1〜2000μmが好ましい。
図1は本発明の放射線画像変換パネルの基本的な構成の一例を示す概略図である。所定の大きさに断裁された、支持体上に輝尽性蛍光体層が設けられている蛍光体への水分の進入をより確実に低減するためには、基板上に蒸着された輝尽性蛍光体層の上から。保護フィルムを貼り付けることで、蛍光体の外周部からの水分進入も阻止できる。
図1において、11は輝尽性蛍光体層(気相堆積型)を表し、13はCFRP又はCFRPコンポジット板、12は金属板、14は防湿性保護フィルムである。
12、13で基板を構成している。
本発明の封止構造は後述する実施例記載の積層保護フィルムA(熱融着なし)を2枚用いて袋状にして、輝尽性蛍光体板を減圧しながら包み、蛍光体層面側の蛍光体周縁より外側にある領域で基板と保護フィルムを熱融着性シートを用いて融着し、その後裏面の保護フィルムを除去して封止する構造である。
ここでいう熱融着性フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、本発明はこれらに限られるものではない。
本発明の保護層に好ましく用いられるフィルムとして、前記融着フィルムを使用する場合は、必要とされる防湿性にあわせて融着フィルムを複数枚積層することにより最適な防湿性とすることができる。この場合の積層方法としては、一般に知られているどのような方法でもかまわないが、望ましくは、ドライラミネート方式が作業性の面で優れている。
これら前記保護層を有する蛍光体層とは反対側になる外側の表面はマット化されており、該保護層の表面粗さの平均傾斜角Δaが0.01〜0.1であることが放射線画像変換パネルにおいては、更に好ましい。
ここでいう表面粗さの平均傾斜角Δaとは、JIS−B−0601(1998)による算術平均傾斜角Δaのことである。
また保護層のフィルムの表面の表面粗さの平均傾斜角Δaを大きくするためには、保護層のフィルム表面にシリカ等の無機物を分散したフッ素系樹脂含有樹脂組成物層液を塗設する方法や、前記フィルムを複数枚積層する方法において、最表面の樹脂フィルム種を選択する方法等があるが、本発明はこれに限られるものではない。
各種表面形状の樹脂フィルムは広く市場に出回っており、必要とされる平均傾斜角Δaを有するフィルムを選択することは容易である。
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムは、強さの面で保護フィルムとして優れた物性を有するにも関わらず、屈折率が大であるために、保護フィルム内部に入射した励起光の一部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して、走査された場所から離れた場所まで伝搬し、輝尽発光を放出させ鮮鋭性が低下する。また、保護フィルムの上下の界面で蛍光体層表面と反対方向に反射された励起光も光検出装置間や周辺部材で再反射して、走査された場所からさらに遠く離れた場所の輝尽性蛍光体層を励起させ輝尽発光を放出させるため、これによりさらに鮮鋭性が低下する。励起光は赤から赤外の長波長のコヒーレントな光であるために、積極的に散乱光や反射光を吸収しない限り、保護フィルム内部や読み取り装置内部の空間で吸収される量は少なく、離れた場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
このため、この散乱光や反射光を抑制する効果があると推測される励起光吸収層を設けることが好ましい。
励起光吸収層とは、励起光を選択的に吸収する着色剤を含有する層のことであって、後述する様に、これらの層が、前記保護フィルムの一方の面に塗設されてあってもよいし、両面に塗設されてあってもよいし、或いは保護フィルム自体が着色され励起光吸収層となっていてもよい。
また、本発明によりポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のフィルムを保護層の構成要素として使用した場合も、被写体の放射線画像以外の濃淡すなわち画像ムラや、保護フィルムの製造工程中に起因すると思われる線状のノイズ等が減少する。
この効果は平均傾斜角Δaが0.01以上であることによって顕著となる。
この値付近の傾斜角Δaで、保護層(保護フィルム)界面での励起光の全反射が防止されると推測されるが、励起光吸収層が保護フィルムに備わっていない場合はこの効果は小さいことから、上記効果は励起光吸収層の散乱防止効果と、表面粗さの平均傾斜角Δaの全反射防止の相乗効果であると推測される。
本発明により、保護層材料として求められる耐水性や防湿性、耐溶剤性を損なうことなく、耐熱性の高い保護フィルムを、画質を劣化させることなく必要な厚みで使用できるようになるため、長期にわたる耐熱性に優れた放射線画像変換パネルの実現が可能となった。
保護フィルムに樹脂フィルムを使用する場合、必要とされる耐傷性や防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層した構成とすることができる。
また、上記のようにフィルムを複数枚積層する場合、さらに積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され、安定したプレート性能が長期間維持できより好ましい。励起光吸収層は複数箇所に設けてもよいし、樹脂フィルムを積層するための接着層に着色剤を含有させ励起光吸収層としてもよい。
保護フィルムの表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや、樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整できる。また、この塗膜を着色し、励起光吸収層とすることも可能である。さらに近年では任意の表面形状の樹脂フィルムは容易に入手可能である。
前述のように、励起光吸収層放射線画像変換パネルの保護フィルムを着色し、散乱光や反射光を抑制し、鮮鋭性を向上させる方法については、特公昭59−23400号に、放射線画像変換パネルを構成する支持体、下引層、蛍光体層、中間層、保護層の各層が着色された場合の種々の実施形態の一例として記載されている。
本発明において放射線画像変換パネルの保護層に好ましく使用される着色剤としては、該放射線画像変換パネルの励起光を吸収する特性を有する色剤が好ましく用いられる。
好ましくは、保護フィルムの励起光波長における光透過率が、該励起光吸収層を有しないことだけが異なる該保護フィルムの光透過率の98%〜50%(例えば、He−Neレーザー光(633nm))となるように励起光吸収層を設けることである。光透過率が98%を超えると本発明の効果は小さく、50%未満では放射線画像変換パネルの輝度が急激に低下してくる。
いかなる着色剤を用いるかは放射線画像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、放射線画像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が用いられる。このため、着色剤としては通常、青色〜緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が用いられる。
青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学社製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学社製)、D&CブルーNo.1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学社製)、オイルブルーNo.603(オリエント社製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学社製)、レイクブルーA、F、H(協和産業社製)、ローダリンブルー6GX(協和産業社製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業社製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学社製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ社製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ社製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるがこれらに限られるものではない。
(蛍光体層)
次いで、前記保護フィルムにより被覆することにより放射線画像変換パネルを構成する前記蛍光体について説明する。
本発明において好ましい、これらの輝尽性蛍光体を用いて得られる柱状結晶、即ち各々の結晶がある間隙をおいて柱状に成長している結晶は、前記、特開平2−58000号に記載された方法により得ることができる。
即ち、基板上に輝尽性蛍光体の蒸気又は該原料を供給し、蒸着等の気相成長(堆積)させる方法によって独立した細長い柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層を得ることができる。
例えば、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流を基板に垂直な方向に対し0〜5度の範囲で入射させることにより、基板面に対してほぼ垂直柱状の結晶を得ることが出来る。
これらの場合において、基板と坩堝との最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて通常10cm〜80cmに設置するのが適当である。
蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好ましい。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は通常電子銃により発した電子ビームの走査により行われるが、これ以外の方法にて蒸発させることもできる。
また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体である必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。
また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(actibator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後、あとから賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体をCsBrとした場合、CsBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるInをドープしてもよい。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、変調伝達関数(MTF)は低下しないからである。
ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことが出来る。
図2は本発明に用いられる気相堆積(蒸着)装置の一例及び該気相堆積装置を用いて基板12、13上に輝尽性蛍光体層が蒸着により形成される様子を示す図である。11は形成される輝尽性蛍光体柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層を模式的に表している。輝尽性蛍光体の蒸気流Vの基板面の方線方向(P)に対する入射角度をθ2とすると、形成される柱状結晶の基板面の法線方向(P)に対する角度はθ1で表される。入射角度θ2に依存して一定の角度θ1で柱状結晶が形成される。形成された柱状結晶の角度は、輝尽性蛍光体材料によってそれぞれ異なり、例えば、アルカリハライド系蛍光体のうち、本発明において特に好ましいCsBr系蛍光体の場合には、例えば、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流を基板に垂直な方向に対し0〜5度の範囲で入射させる(即ちθ2が0〜5度)ことにより、基板面に対してほぼ垂直柱状(θ1がほぼ0度)の結晶を得ることが出来る。
この様にして基板上に形成した輝尽性蛍光体層11は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
本発明の封止構造は後述する実施例記載の積層保護フィルムA(熱融着なし)を2枚用いて袋状にして、輝尽性蛍光体板を減圧しながら包み、蛍光体層面側の蛍光体周縁より外側にある領域で基板と保護フィルムを熱融着性シートを用いて融着し、その後裏面の保護フィルムを除去して封止する構造であり、本発明の放射線画像変換パネルを作製する。
支持体(基板)としては、前述した、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、CFRPコンポジット、アルミニウム板の他に、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス、結晶化ガラスなどの板ガラス、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シンジオタクティックポリスチレン(SPS)フィルム等のプラスチックフィルム、鉄、銅、クロム等の金属シートを併用しても良い。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《放射線画像変換パネル1の作製》
以下に記載の方法に従って、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル1を作製した。
(輝尽性蛍光体板の作製)
厚さ2mm厚、500mm角サイズの炭素繊維強化樹脂板(東邦テナックス製CFRP#167A,含侵樹脂硬化エポキシ樹脂)に厚さ0.7mm、500mm角サイズのアルミ板(住友軽金属A1100 XLタイプ)を耐熱両面テープで貼り付け、基板を作製した。得られた基板の剛性は表1の通りであった。
これを図2に示すの蒸着装置の真空チャンバー中にセットした後、CsBr:0.001Euを有するアルカリハライド蛍光体をルツボに入れ、真空チャンバー中にアルゴンガスを導入し、真空度を0.1Paとした後、基板温度を80℃とし、基板と蒸着源の距離を60cmで、アルミニウム製のスリットを用い、基板と平行な方向に基板を搬送しながら蒸着を行って、300μm厚の柱状構造を有する輝尽性蛍光体板を形成した。
(防湿性封止フィルムの作製)
下記構成で表されるアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂層を含む積層保護フィルムAを作製した。
積層保護フィルムA:VMPET12///VMPET12///PET
積層保護フィルムAにおいて、VMPETは、アルミナ蒸着したポリエチレンテレフタレート(市販品:東洋メタライジング社製)を表し、PETはポリエチレンテレフタレートを表す。
また、上記「///」は、ドライラミネーション接着層における2液反応型のウレタン系接着剤層の厚みが3.0μmであることを表し、各樹脂フィルムの後に表示した数字は、各フィルムの膜厚(μm)を表す。
上記の保護フィルムを2枚使って袋状にして、輝尽性蛍光体板を減圧しながら包み、蛍光体面側の蛍光体周縁より外側にある領域で、基板と保護フィルムを融着を使って融着し、裏面の保護フィルムは除去して放射線画像変換パネル1(試料No.1)を作製した。
得られた放射線画像変換パネルの特性評価と振動評価を行った。
実施例2、3
基板を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル1(試料No.2、3)を作製した。
実施例4
実施例1の基板を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル1(試料No.4)を作製した。尚、マグネシウム板は日本金属社製1864−2Bを使用した。
実施例5
基板を厚さ3mm厚、500mm角サイズの炭素繊維強化樹脂板コンポジット(東レ製0205:0.7mm厚CFRP板2枚で1.6mm厚発泡アクリルをサンドイッチしたもの)に厚さ0.3mm、500mm角サイズのアルミ板(住友軽金属A1100 XLタイプ)を耐熱両面テープで貼り付けたものを使用した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル1(試料No.5)を作製した。
実施例6
実施例5を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル1(試料No.6)を作製した。ただし炭素繊維強化樹脂板コンポジット(東レ製0208:0.4mm厚CFRP板2枚で4.2mm厚発泡アクリルをサンドイッチしたもの)を使用した。
比較例1
実施例1のアルミ板を表1のようにポリアミドフィルムに変更した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル7(試料No.7)を作製した。
比較例2
比較例1のポリアミドフィルムを表1のように変更した以外は実施例1と同様にして放射線画像変換パネル8(試料No.8)を作製した。
上記得られた放射線画像変換パネルについて以下のような評価を行った。
感度と鮮鋭度は両方共、値が大きい方が優れている。
(感度の評価)
感度の測定は放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を10mAsで爆射線源とプレート間距離2mで照射した後、Regius350にパネルを設置して読みとった。得られたフォトマルからの電気信号を元に評価を行った。表中の感度は蛍光体面全体の平均値であり、試料1の感度を1.00とした場合の相対感度である。
(鮮鋭度の評価)
鮮鋭度は、変調伝達関数を求めて評価した。
放射線像変換パネル試料にCTFチャートを貼付した後、放射線像変換パネル試料に80kVpのX線を10mAs(被写体までの距離:1.5m)照射した後、100μmφの直径の半導体レーザ(680nm:パネル上でのパワー40mW)を用いてCTFチャート像を走査読み取りして求めた。表の値は、2.0lp/mmのMTF値を示した。値が大きいほど鮮鋭度がよい。
(振動特性評価)
管電圧80kVpのX線を200mAsで放射線源とプレート間距離2mで照射した。その後、放射線画像変換装置の放射線画像変換パネルのすぐ前にある前面板に、装置上部の握り棒から吊り下げた硬式テニスボールをスペーサーを使い、前面板から5cm離してセットし、そのスペーサーをX線照射から1分後のレーザー読み取り時に静かに抜き取ってテニスボールを前面板にぶつけて振動を与え、そのときの発生した横スジの信号値step差を解析した。(横スジは周りよりも信号値が高くなる。その周りとの信号値step差のデータどりを行った。Step差が小さいほうがよい。)
○…step差〜2で優
○△…step差3〜5で良
△…step差6〜11で許容下限
×…step差12〜で不良
Figure 2005300367
表1から明らかなように、本発明の放射線像変換パネルは、比較の放射線像変換パネルにひして、感度、鮮鋭性共に優れ、振動特性も良好であることが分かる。
本発明の放射線画像変換パネルの基本的な構成の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる気相堆積(蒸着)装置の一例を示す図である。 本発明に用いられる放射線画像入力システム装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
11 輝尽性蛍光体層
12 金属板
13 CFRP又はCFRPコンポジット
14 防湿性保護フィルム

Claims (9)

  1. 炭素繊維強化樹脂(CFRP)板または炭素繊維強化樹脂(CFRP)コンポジット板上の金属板(基板ともいう)上に気相堆積法(気相法)により形成された輝尽性蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 前記金属板がアルミニウム板であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
  3. 前記CFRPコンポジット板は構成の全部、または一部がCFRPと発泡樹脂板を接着させたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像変換パネル。
  4. 前記CFRP板またはCFRPコンポジット板の厚みが0.5mm〜7mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
  5. 前記金属板の厚みが0.01mm〜3mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
  6. 前基板の縦方向(装置に取りつけた際の上下方向)の剛性値が5〜400N・mで横方向(装置に取りつけた際の水平方向)の剛性値が10〜500N・mであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
  7. 輝尽性蛍光体層が含有する輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の放射線画像変換パネル。
    一般式(1)
    1X・aM2X′・bM3X″:eA
    〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であり、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であり、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子であり、AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。〕
  8. 前記輝尽性蛍光体が下記一般式(2)で表される輝尽性蛍光体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル。
    一般式(2)
    CsX:yA
    〔式中、XはCl、BrまたはIを表し、Aは、Eu、Sm、In、Tl、GaまたはCeを表す。yは、1×10-7〜1×10-2までの数値を表す。〕
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の放射線画像変換パネルを輝尽性蛍光体層を有する支持体板を防湿性封止フィルムで封止して製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
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