JP2005299944A - 雪冷房システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 雪の冷熱を利用して室内を冷房することができ、かつ故障の発生頻度やメンテナンスコストを抑制することが可能な雪冷房システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 雪冷房システム1は、雪Sを貯める貯雪空間8を有する貯雪槽3と、貯雪槽3の槽底部に敷設された冷熱伝搬部5と、雪Sの融解した融解水Lを貯める貯水部4と、冷熱伝搬部5内に埋設された第一熱交換部2及び第二熱交換部11を有し、内部に冷媒体が循環可能に充填された熱交換パイプ13と、熱交換パイプ13内の冷媒体12を第一熱交換部2及び第二熱交換部11の間で循環させるための循環ポンプ15と、第二熱交換部11との熱交換作用によって冷気CAを室内Rに送出する冷気送出装置16とを具備して主に構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、雪冷房システムに関するものであり、特に、冬季の降雪を集めて保存し、雪が融解する際の冷熱を利用して、夏季の冷房に用いる雪冷房システムに関するものである。
従来から、建築物の室内温度を冷房及び暖房するための冷暖房機器として種々のものが知られ、特に空気調和装置(エアーコンディショニング装置:エアコン)がオフィス、工場、及び一般家庭の種々の場所で広範に利用されている。
係るエアコンの原理は、1)液体が気体に変化する(蒸発)時に周囲の物体から熱を吸収する性質、及び2)気体が液体に変化する(凝縮)時に、周囲に熱を放出する性質を利用している。そして、フロンガスなどの冷媒を室内機(蒸発機)によって液体から気体へ変化させ、一方、室外機(凝縮機)で冷媒を気体から液体に変化させることにより、室内に冷気を供給し、室内温度を低下させることができる(冷房)。また、上述と反対の処理を行うことにより、室内機(凝縮機)で冷媒(熱媒)を気体から液体に変化させ、室外機(蒸発機)で液体から気体へ変化させることにより、室内に暖気を供給し、室内温度を上げることができる(暖房)。なお、冷房及び暖房の切換えは、弁の開閉操作によって簡易に行うことができる。
ところで、日本では古来から天然の氷を切出し、夏季まで保存しておくための氷室と呼ばれる小屋が作られている。この氷室は、果実等を冷やしたり、食物を長期にわたって保存するための、いわば「自然の冷蔵庫」のようなものである。また、四季の変化の激しい日本では、北海道地方や東北地方などの寒冷地域では、冬季の間は積雪の状態が継続し、春になるまで雪が融けないところが多い。そして、この雪を利用して、上述の氷室の場合と同様に、食物等を保存することは古来から行われている。
一方、上述の寒冷地域は、冬季の間は積雪が継続し、氷点下を下回る外気温が続くものの、夏季には日中の最高気温が30℃を超えるような平野部とあまり変わらない気温が観測されることがある。そのため、係る寒冷地域においても建築物には、上述した電力で稼働するエアコンなどの冷房機器が設置されていた。ところで、雪は、春になると気温の上昇に伴って徐々に融け始め、雪解け水になる。このとき、固体の雪から液体の水への相転移(融解)が行われ、この際に周囲の熱を吸熱することが知られている。
そして、北海道などの一部の地域では、上述の雪の相転移の際に生じる熱を利用して冷房システムを構築するものが開発されている。この冷房システムは、冬季の間に積雪した雪を一カ所に集めて夏季まで保存する貯雪庫と、貯雪庫に貯められた雪が融解した融解水を貯める貯水槽と、貯水槽に貯められた融解水を汲上げる汲上げ用のポンプと、ポンプで汲上げた融解水を一次冷却水として利用し、二次側の循環水との間で熱交換をさせる熱交換器と、冷却された二次側の循環水を利用して冷気を供給する冷水クーラとから構成されている。これにより、自然の力によって生成された雪の融解水を利用して室内の冷房を行うことができる。なお、係る構成の冷房システムにおいて、貯雪庫内に滞留する冷気を用いて室内の冷房を行うより簡易な構成のものもある。
以上の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては特に知見していない。
しかしながら、上述したエアコンの場合、冷房効率を高めようとする場合、室内機及び室外機を大型化したり、或いはフロンガスなどの冷媒を相転移させる際に利用するモータの運転効率を上げる必要があった。これにより、エアコンの電力消費量が大幅に増加することとなった。特に、夏季などは、一般家庭や工場等での冷房機器による電力消費量が急騰し、電力会社では電力の供給を一部停止したり、或いは予め各一般家庭等に対して節電を呼びかけることもあった。特に、現在日本国内で発電されている電力は、大別すると水力、火力、及び原子力によって生成されており、なかでも火力発電の占める比率が大きかった。そのため、貴重な石油資源を大量に電力エネルギーのために消費することとになり、地球資源の保護及び省エネルギー化の点から、なるべく電力消費量を抑え、かつ効率的に冷房することが可能なクリーンな冷房システムの開発が期待されていた。
一方、上述した雪を利用した冷房システムでは、下記に述べる問題を生じることがあった。すなわち、係るシステムは、一度貯雪した雪を融解水にした上で、係る融解水を一次側の冷却水として熱交換器に送っていた。ここで、貯雪庫に貯雪された雪の中には、空気中のゴミ等の夾雑物が多く混じっていることがあり、必ずしもきれいなものではなかった。そのため、ポンプで汲上げる際に予め一次冷却水をフィルター等で十分に濾過する必要があった。さらに、これらの夾雑物によって配管や汲上げ用のポンプを詰まらせてしまうことがあった。そのため、ポンプの汲上げ効率が低下したり、或いは頻繁にメンテナンス等を行う必要に迫られていた。これにより、稼働後のメンテナンスコストが増大することが予想された。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、雪の冷熱を利用して室内を冷房することができ、かつ故障の発生頻度やメンテナンスコストを抑制することが可能な雪冷房システムの提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明の雪冷房システムは、「雪を貯める貯雪空間を有する貯雪槽と、前記貯雪槽の槽底部に設けられ、前記雪の冷熱を伝搬可能な冷熱伝搬部と、前記雪が融解した融解水を、前記貯雪槽の前記貯雪空間及び前記冷熱伝搬部の間の伝搬界面から所定深さに貯水し、前記冷熱を前記冷熱伝搬部に伝える貯水部と、前記冷熱伝搬部に埋設され、第一熱交換部及び前記第一交換部と連結し、建築物の室内に導出された第二熱交換部を有し、内部に前記冷熱伝搬部から伝搬した前記冷熱を媒介する冷媒体が充填され、前記冷媒体が循環可能な熱交換パイプと、前記熱交換パイプ内に充填された前記冷媒体を前記第一熱交換部及び前記第二熱交換部の間で循環させる冷媒体循環手段と、前記第二熱交換部と接続し、前記第二熱交換部内の前記冷媒体の熱交換作用を利用して、前記室内に冷気を供給する冷気供給手段と」を具備するものから主に構成されている。
ここで、貯雪槽とは、冬季に降雪した雪を集め、雪の冷熱を利用した冷房を実施する夏季まで雪の状態(固体状態)で保存しておくためのものである。そのため、保存時に暖気が侵入したり、或いは貯雪槽の周囲の外気温の変動によって貯雪空間内の雪が融解しないような断熱対策が施される必要がある。一例を挙げると、貯雪槽の周壁をスタイロフォームやウレタンボードなどの断熱性材料で被覆することなどが行われている。さらに、雪の保存時は、貯雪空間内の空気と外気との流通がないように、貯雪空間を外気から完全に遮断した密閉状態にすることが求められる。なお、係る貯雪槽に雪を貯める際には、寒冷地域で一般に利用されている除雪車(ロータリー車)によって、貯雪槽の一部に設けられた開口部から雪を飛散させながら投入する方法などが用いられる。なお、貯雪槽にはなるべく多くの雪を貯雪するために、貯雪した雪に力を加えて圧雪した状態で充填されることが望ましい。これにより、雪の保存期間を延長させ、雪の冷熱を利用した冷房を夏季の間継続して行うことができるようになる。
一方、冷熱伝搬部とは、貯雪空間に貯められた雪の冷熱(主に雪が融解する際に生じる融解潜熱)を後述の熱交換パイプの第一熱交換部まで伝搬するものであり、冷熱伝搬部の伝搬の際に冷熱の損失が少ないように熱伝達係数の優れた材質で構成されることが望まれる。さらに、貯雪空間に圧雪した状態で充填された雪の重量に耐え、かつ内部に埋設された第一熱交換部に係る重量が加わらないように保護するために強固な素材で形成される必要がある。そのため、例えば、冷熱伝搬部は、貯雪槽の槽底部にコンクリートを流し込んで固めたコンクリート層によって形成したものを例示することができる。これにより、雪の冷熱を良好に第一熱交換部及び冷媒体に伝搬し、かつ雪の重量に対しても十分に耐える強度を提供することができる。なお、係るケースにおける冷熱伝搬部のコンクリートの層厚は、特に限定されないが、例えば、熱交換パイプのパイプ径等を考慮し、5cm以上、20cm以下、さらに好ましくは7cm以上、10cm以下に設定することができる。これにより、コンクリートによる冷熱伝搬部における熱損失を可能な限り抑え、かつ強度を保った状態で冷熱の伝搬が可能となる。
また、貯水部は、貯雪空間内の雪が溶解して相転移した際に生じる融解水を伝搬界面から所定の深さに保って貯水するものである。ここで、貯雪空間の冷熱は、貯雪空間内の空気を媒介にして冷熱伝搬部に伝搬させることも可能であるが、一般に気体に比して液体が、圧倒的に熱伝達係数が大きいことが知られている。そこで、冷熱伝搬部及び貯雪空間の間の伝搬界面に融解水が当接するように、冷熱伝搬部及び貯雪空間の間に貯水部が形成される。その結果、雪の冷熱を効率的に冷熱伝搬部に伝えることが可能となり、冷熱伝搬部に伝わるまでの冷熱のエネルギー損失をより低く抑えることができる。
一方、熱交換パイプは、第一熱交換部が前述の冷熱伝搬部内に埋設された状態で設置され、さらに第一熱交換部と連結された第二熱交換部は、冷房対象となる建築物の室内まで導出されている。さらに、係る熱交換パイプ内には、第一熱交換部によって熱交換した雪の冷熱を媒介する冷媒体が充填されている。ここで、熱交換パイプの素材は、特に限定されないが、冷熱伝搬部または後述の冷気供給手段との熱交換作用を阻害することのない熱伝達係数の高い素材が好適である。しかしながら、設置に係るコスト及び強度等の点を勘案し、通常の水道用配管に利用される塩化ビニル樹脂、ステンレス製、及び亜鉛製など、或いはこれらの素材を複合的に形成された配管を利用することが好ましい。また、熱交換パイプに充填される冷媒体も特に限定されないが、氷点以下でも流動製を損なうことのないポリエチレングリコールなどを主成分とし、かつ熱保持性に優れる不凍液などを使用することが好ましい。雪冷房システムの設置条件によっては、上述した不凍液など以外にも、通常の水を冷媒体として利用することも可能である。これにより、雪冷房システムに要するコストの削減につながる。
なお、冷熱伝搬部に埋設される第一熱交換部は、冷熱伝搬部を上述のコンクリート層によって形成する場合、熱伝搬層を破壊する必要があり、容易に交換することができない。そのため、特に内部を循環する冷媒体の漏出が生じないように、可能な限りジョイント数が少ない一体成形されたパイプを利用することが好適である。さらに、冷熱伝搬部に伝搬される雪の冷熱を十分に熱交換するために、第一熱交換部は、冷熱伝搬部との接触面積を大きく取る必要があり、冷熱伝搬部内を縦横配設されることがより好適である。一方、熱交換パイプ内に充填された冷媒体を第一熱交換部及び第二熱交換部の間で循環させる冷媒体循環手段は、周知の液体循環ポンプ等を利用することが可能であり、さらに冷気供給手段には、周知の冷房機器として知られるファンコイル(冷水クーラ)をそのまま応用することができる。
したがって、本発明の雪冷房システムによれば、貯雪槽に貯雪した雪の冷熱が、貯水部の融解水、及び冷熱伝搬部を介して熱交換パイプの第一熱交換部まで伝搬される。そして、第一熱交換部内の冷媒体との間で熱交換が行われる。これにより、冷媒体の温度が低下する。一方、冷媒体は冷媒体循環手段によって第一熱交換部及び第二熱交換部の間を循環している。そのため、第一熱交換部で熱交換を行い、低い温度の冷媒体は循環によって建築物の室内に導出された第二熱交換部に到達する。そして、ここで、再び熱交換作用が行われる。このとき、第二第熱交換部と当接する空気は、冷媒体よりも暖かいものである。そのため、係る第二熱交換部の間では、冷媒体が暖かくなり、一方、第二熱交換部と当接した空気は冷たくなる。そして、冷たくなった空気(冷気)が建築物の室内に送出される。これにより、室内温度を低下させ、雪の冷熱を利用して建築物を冷房することができる。このとき、雪及び雪の融解水が冷媒と直に接することがなく、冷熱伝搬部を介して冷熱が伝搬される。また、融解水を直接ポンプで汲上げて循環させることがないため、雪(若しくは融解水)に含まれる夾雑物が配管内で詰まったり、ポンプの汲上げ効率を低下させることがない。さらに、貯雪空間及び冷熱伝搬部の間に融解水が貯水された貯水部が設けられているため、熱伝達係数の高い液体の水を介して雪の冷熱を伝えることができ、空気を媒介した場合と比して熱の伝達効率を向上させることができる。また、電力の消費は、冷媒体を循環させるポンプと、冷気供給手段として利用されるファンコイルの送風用のモータ等に抑えることができ、クリーンなエネルギーによる冷房システムを構築することができる。
さらに、本発明の雪冷房システムは、上記構成に加え、「前記貯雪槽は、前記貯水部によって貯められる前記融解水の上限位置に相当し、前記貯雪槽の槽壁を貫通して形成され、規定貯水量を越えた前記融解水を外部に排出する融解水排出部を」さらに具備するものであっても構わない。
したがって、本発明の雪冷房システムによれば、貯雪槽の槽壁の一部に、融解水の上限位置に合わせて設定された融解水排出部が設けられている。ここで、貯雪空間内の雪は、時間の経過とともに徐々に水(融解水)に相転移し、貯水部に貯まり始める。そして、係る状態が継続されると次第に融解水の水量が増し、貯雪槽の大部分を融解水が占める事態が想定される。そこで、係る状態を回避する目的で、貯雪槽の槽壁に貫通して設けられ、融解水の一部を外部に排出する融解水排出部が設けられる。このとき、融解水排出部が貯水部に貯められた融解水の上限位置に設定されているため、係る上限位置以上に融解水が貯まった場合には、融解水排出部から速やかに排出されることになる。そのため、貯雪槽の槽底に設けられた貯水部には、常に一定の深さ(水量)の融解水が貯められていることになる。これにより、雪の冷熱を伝搬する伝搬効率を安定させることができる。なお、融解水排出部の設置位置は、特に限定されないが、例えば、貯雪空間及び冷熱伝搬部の間の伝搬界面から20cm以上、40cm以下、さらに好ましくは25cm以上、35cm以下に設定することが好適であり、係る範囲であれば融解水によって冷熱を冷熱伝搬部に伝搬する際の熱損失を少なくすることができる。
さらに、本発明の雪冷房システムは、上記構成に加え、「前記融解水排出部に接続した排水管と、前記排水管の途中に設けられ、前記排水管を通じて前記貯雪空間に外気が侵入することを防ぐ外気侵入防止手段と」をさらに具備するものであっても構わない。
したがって、本発明の雪冷房システムによれば、融解水排出部に接続した排水管と、排水管の管中に設けられた外気侵入防止手段とを有している。ここで、前述したように貯雪空間内に保存された雪は、外気と完全に遮断した状態となっている。しかしながら、貯雪槽に貫設された融解水排出部は、必然的に外部と連通することとなり、係る融解水排出部を通じて暖かい外気が侵入する可能性が高い。これにより、雪の融解速度がより促進され、保存された雪が完全に融解水に相転移し、本発明の雪冷房システムを夏季の間継続して(例えば、9月の終わりごろまで)使用することができないことが想定される。そこで、融解水排出物の間に外気の侵入を防止する外気侵入防止手段が設けられている。なお、外気侵入防止手段の一例として、水道配管などで臭気防止等に利用されるS字形状のトラップを挙げることができる。係るトラップは、S字形状の一部に水を経常的に滞留させ、この水が外気の侵入を防ぐ蓋の機能を果たすものである。これにより、比較的簡易な構成で暖かい外気を防ぐことが可能となる。そのため、貯雪空間内の雪の融解の速度を促進させる要因を排除することができる。
さらに、本発明の雪冷房システムは、上記構成に加え、「前記貯雪槽は、少なくとも一部が地表面下に埋設されている」ものであっても構わない。
したがって、本発明の雪冷房システムによれば、雪を貯める貯雪槽の少なくとも一部が地表面から下に埋設されている。すなわち、地表面上は日中及び夜間の寒暖の差が激しい場合が多く、これに比べて地表面下は地表面温度の変化が一日であまりない。また、地表面よりも平均して温度が低くなることが知られている。そのため、貯雪槽の一部を埋設することにより外気温の変化による影響を貯雪空間内の雪が受けにくくなり、より良好な保存状態を保つことができる。すなわち、地表面下を自然の断熱層として利用することができる。また、建築物を新築する際には、係る貯雪槽を地下に設け、さらにその上に住居部を建築したものであってもよい。これにより、本発明の雪冷房システムを備えた建築物を省スペースで建築することができる。
本発明の効果として、冬季の間に積雪した雪を集め、係る雪の冷熱を利用して夏季の室内の冷房を行うことができる。特に、雪の融けた融解水を直接ポンプなどで循環する必要がないため、雪に含まれる夾雑物による配管内の詰まりやポンプの故障などのトラブルを低く抑えることができる。これにより、メンテナンスコストを抑えた雪冷房システムを構築することができる。さらに、雪の融解した融解水を一定の深さに維持し、係る融解水及び冷熱伝搬部を介して冷熱を熱交換パイプに充填された冷媒体に安定して伝えることができる。これにより、熱交換時の熱損失を少なくし、雪の冷熱を効率的に冷房に利用することができる。さらに、融解水排出部に接続された排水管にもトラップ等の外気侵入防止手段が設けられているため、貯雪空間内の雪の融解速度を可能な限り低く抑えることができ、夏季の始期から終期まで継続して本発明の雪冷房システムを使用することができる。
以下、本発明の一実施形態である雪冷房システム1について、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の雪冷房システム1の概略構成を示す説明図であり、図2は第一熱交換部2の配設状態を模式的に示す説明図であり、図3は貯雪槽3、冷熱伝搬部5、及び第一熱交換部2の構成を示す説明図であり、図4は貯水部4、融解水排出部6、及び外気防止トラップ7の構成を示す説明図である。
本実施形態の雪冷房システム1は、図1乃至図4に示すように、冬季の間に雪Sが降雪する寒冷地域に設置されるものであり、積雪した雪Sに貯雪することができる貯雪空間8を有し、夏季まで雪Sの状態で保存するための貯雪槽3と、貯雪槽3の槽底部9にコンクリートを流し込み、固化させることによって敷設され、雪Sの冷熱Cを伝搬可能な冷熱伝搬部5と、雪Sが融解して液体に相転移した融解水Lを、貯雪空間8及び冷熱伝搬部5の間の伝搬界面10から所定の深さに保って貯水し、雪Sの冷熱Cを融解水Lを介して冷熱伝搬部5に伝搬する機能を有する貯水部4と、冷熱伝搬部5との接触面積を最大限に大きくするために、冷熱伝搬部5内を縦横に亘って密集して埋設された第一熱交換部2、及び第一熱交換部2と接続し、冷房対象の建築物Bの室内Rに導出された第二熱交換部11を有し、内部にポリエチレングリコールの不凍液を主成分とする冷媒体12が循環可能に充填された熱交換パイプ13と、熱交換パイプ13の第一熱交換部2及び第二熱交換部11の間をそれぞれ連結する連結パイプ14に介設され、熱交換パイプ13内の冷媒体12をモータ(図示しない)の駆動によって循環させるための循環ポンプ15と、室内Rに導出された第二熱交換部11に取設され、第二熱交換部11との間で熱交換を行い、冷気CAを室内Rに送出する冷気送出装置16とを具備して主に構成されている。なお、冷気送出装置16は、既存の空調設備の一部(例えば、ファンコイルなど)を利用することが可能であり、詳細な説明は省略する。
さらに、詳しく説明すると、貯雪槽3は、貯雪空間8内の雪Sの保存状態を良好とするために、外殻18及び内殻19の二層構造によって形成されている。ここで、外殻18はコンクリートによって形成されており、貯雪槽3の基本骨格をなすものである。一方、内殻19は断熱性素材として利用されるスタイロフォームが外殻18の内表面に覆設されている。さらに、貯雪槽3は、伝搬界面10から約30cmの高さの位置に相当する槽壁17を貫通するようにして設けられた融解水排出部6が複数箇所に設けられている(図2参照)。この融解水排出部6は、貯水部4に規定水量以上の融解水Lが貯まった場合、貯水部4の上限位置LP(伝搬界面10から30cmの位置)を越えた融解水Lを速やかに外部に排出させるものであり、融解水排出部6の外殻18側には管状の排水管20が接続されている。さらに、図4に示すように、排水管20の途中には、暖かな暖気OAの侵入を防止するための外気防止トラップ7が介設されている。また、前述の融解水排出部6には、排水管20内に雪Sに含まれるゴミ等の夾雑物22が侵入し、管内を詰まらせることがないように、大きな夾雑物22を除去するためのメッシュ状のゴミ除去フィルター(図示しない)が設けられている。
また、本実施形態の雪冷房システム1における冷熱伝搬部5は、内部に第一熱交換部2が埋設された状態で形成されている。係る冷熱伝搬部5は、そのため、予め貯雪槽3の槽底部9から僅かに上方に浮かせるようにして、冷熱伝搬部5との接触面積を大とするように、ほぼ槽底部9の底面を覆うように複数箇所を曲折して配設された第一熱交換部2(図2参照)に対し、コンクリートを流し込み、第一熱交換部2とともにコンクリートを固化させることによって形成されている。なお、本実施形態の雪冷房システム1においては、冷熱伝搬部5の層厚は約7cmに設定されている。
さらに、貯雪槽3及びその下方に存在する冷熱伝搬部5及び第一熱交換部2は、いずれも地表面Gの下に埋設されている。そして、地表面Gから上には、貯雪空間8内に雪Sを投入するための雪投入口23を具備する貯雪槽3の一部と、第一熱交換部2から延設された一対の連結パイプ14とが突出している。なお、貯水部4から外部に排出された融解水Lは、前述の排水管20を通じて、地表面Gの下の既設の排水溝(図示しない)に流されている。したがって、貯雪槽3の上端付近が地表面Gの近傍に位置するため、貯雪槽3の貯雪空間8に雪Sを投入する際には、貯雪槽3の上端部に設けられた雪投入口23から除雪作業車等を利用して比較的簡易に行うことができる。加えて、貯雪槽3の大部分が地表面Gの下に埋設されているため、地表面Gの上に比べ、外気温の変化があまり大きくない。そのため、外気の影響を受けにくく、雪Sの保存状態を良好なものとすることができる。
次に、本実施形態の雪冷房システム1の使用の一例について説明する。始めに、冬季の間に積雪した雪Sを除雪作業車(図示しない)等を利用して、貯雪槽3の近傍に集め、さらに貯雪槽3の上端に設けられ、貯雪空間8に連通した雪投入口23から雪Sを投入する(図1における矢印X)。これにより、貯雪空間8に雪Sが大量に貯められる。なお、貯雪槽3の槽底部9は、コンクリートによって強固に固められた冷熱伝搬部5が形成されているため、投入された雪Sの重量に対して十分に耐え得る強度を有しており、内部に縦横無尽に埋設された第一熱交換部2に過大な負荷が加わることはない。さらに、このとき、投入直後の雪Sは、固体の状態を保持しているため、上述の貯水部4には融解水Lが貯水された状態になく、固体の雪Sが直接、冷熱伝搬部5の伝搬界面10に当接した状態にある。しかしながら、雪Sは内部に多量の空気(図示しない)を含んで構成されているため、伝搬界面10と雪Sとが完全に密着した状態にはなく、一部は雪Sの冷熱Cが空気(図示しない)を介して冷熱伝搬部5に伝搬されている。
そして、貯雪空間8内に雪Sを十分に圧縮した状態で充填が完了すると、雪投入口23が閉塞され、貯雪空間8を外気から完全に遮断した状態が創出される。その後、夏季の冷房を使用する時期が来るまで係る、外気との遮断状態を継続する。ここで、前述したように、貯雪槽3は、大部分が地表面Gの下に埋設されており、かつ二層構造によって断熱性に優れている。そのため、外気の変動による影響をそれほど受けることなく、冬季に貯雪された雪Sをほぼそのままの状態で夏季まで保たせることができる。すなわち、雪Sの個体状態を保持するために、全く電力等のエネルギーを必要としない。加えて、一日の間の外気温の変動が少ない地表面Gの下に大部分の貯雪槽3が埋設されているため、外気の影響が受けにくくなっている。そのため、雪Sの保存状態をさらに良好なものとすることができる。これにより、夏季の間に継続して室内を冷房することが可能な十分な量の雪Sが確保できる。
しかしながら、貯雪槽3内の雪Sは少しずつではあるが徐々に融解している。そのため、固体の雪Sが融解して液体になった融解水Lは、重力に従って下方に向かって落下しながら流出する。その結果、最終的には、貯雪槽3の槽底部9に敷設された冷熱伝搬部5と貯雪空間8との間の伝搬界面10に到達する。そして、雪Sの融解が進み、多量の融解水Lが生成されると、前述した貯水部4に融解水Lが貯まり始める。その結果、雪S(貯雪空間8)及び冷熱伝搬部5の間に融解水Lによる層が形成される(図1参照)。なお、係る融解水Lからなる貯水部4は、前述したように貯雪槽3の槽壁17を貫通するようにして形成された融解水排出部6によって、予め設定した規定水量以上の融解水Lを外部に速やかに排出することができる。そのため、貯雪空間8内が融解水Lで満たされることがない。なお、融解水排出部6は、前述したように、伝搬界面10から30cmの高さに設けられており、そのため、貯水部4の融解水Lの上限位置LPも伝搬界面10から30cmとなっている。これにより、貯水部4は常に一定の水量を維持することができる。また、融解水排出部6から排出された融解水Lは、S字形状を呈する外気防止トラップ7のU字状のトラップ部(図示しない)に一端貯留される。そして、係るトラップ部に貯留された水量が規定水量を越えると、再び排水管20に導出され、外部に排出される。このとき、トラップ部に貯められた融解水Lによって排水管20と連通した外部から侵入する暖気OAが貯雪空間8に到達することを遮断することができる。その結果、雪Sの貯雪層3内での長期に亘る保存が可能となる。
そして、夏季において冷房を開始する場合、循環ポンプ15及び冷気送出装置16を稼働状態にする。なお、循環ポンプ15等に接続して設けられた制御装置及び温度センサ(いずれも図示しない)を利用して、設定温度以上になると、循環ポンプ15及び冷気送出装置16を自動制御するものであってもよい。
循環ポンプ15の稼働により、熱交換パイプ13の第一熱交換部2、連結パイプ14、及び第二熱交換部11の中に充填された冷媒体12が循環する(図1等における矢印Y参照)。このとき、第一熱交換部2では、貯雪空間8内の雪Sの冷熱Cが、貯水部4の融解水L、及び冷熱伝搬部5を介して冷媒体12に伝えられる。すなわち、冷媒体12を冷却するように熱交換が行われる。なお、第一熱交換部2は、図2に示したように冷熱伝搬部5内を縦横に曲折して配設されているため、温かい冷媒体12が第一熱交換部2の導入部24から導入され、第一熱交換部2内を流れる間に冷熱伝搬部5とほぼ同温度に冷却され、第一熱交換部2の導出部25に至る。そして、冷却された冷媒体12は、循環ポンプ15によって地表面Gの上方に向かって汲上げられ、第二熱交換部11まで送られる。これにより、雪Sの冷熱Cが建築物Bの室内Rにまで伝達されたことになる。その後、第二熱交換部11及び冷気送出装置16の間で再び熱交換が行われ、冷気CAが冷気送出装置16から送風される。一方、冷媒体12は熱交換によって再び温められ、連結パイプ14を介して再び第一熱交換部2の導入部24に送られる。そして、冷媒体12は、第一熱交換部2及び第二熱交換部11における熱交換を繰返し行う。
以上、説明したように、本実施形態の雪冷房システム1によれば、冬季の間に積雪した雪Sを貯雪槽3に一時的に保存し、夏季に係る雪Sの冷熱Cを利用して冷房に利用することができる。特に、雪Sの融解水Lを熱交換器に直接送ることなく、冷熱伝搬部5及び第一熱交換部2の間で熱交換させることができるため、融解水Lをポンプで直接汲み上げ、配管内を送出するものと比べ、雪Sに含まれる夾雑物22による影響を最小限に抑えることができる。さらに、気体よりも熱伝達係数の高い融解水Lを雪S(貯雪空間8)及び冷熱伝搬部4の間に配することにより、雪Sの冷熱Cに係るエネルギーを損なうことなく、効率的に第一熱交換部2にまで伝搬させることができる。加えて、貯雪槽3の大部分を地表面Gの下に埋設するため、外気の変動を受けにくく、夏季の終期まで本実施形態の雪冷房システム1を使用するための十分な量の雪Sを保存することができる。これにより、従来のエアコン等の冷房機器と比して、電力消費量を圧倒的に削減することができ、地球資源問題及び夏季における過剰な電力消費量に係る問題を解消することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の雪冷房システム1において、図1に示したように、建築物B及び貯雪槽3を隣接させたものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、建築物の新築の際に、始めに貯雪槽3を地下に設け、その上に通常の住宅部分を設けたもの構成の雪冷房システムを構成することができる。これにより、従来と同規模の建築面積であっても、本発明の雪冷房システム1の効果を享受することができる。加えて、本実施形態の雪冷房システム1において、雪投入口23を貯雪槽3の上方に設けたものを示したが、これに限定されるものではなく、貯雪槽3の設置状況及び雪Sの投入状況に合わせて、貯雪槽3の側方などに設けるものであっても構わない。
本実施形態の雪冷房システムの概略構成を示す説明図である。 第一熱交換部の配設状態を模式的に示す説明図である。 貯雪槽、冷熱伝搬部、及び第一熱交換部の構成を示す説明図である。 貯水部、融解水排出部、及び外気防止トラップの構成を示す説明図である。
符号の説明
1 雪冷房システム
2 第一熱交換部
3 貯雪槽
4 貯水部
5 冷熱伝搬部
6 融解水排出部
7 外気防止トラップ(外気侵入防止手段)
8 貯雪空間
9 槽底部
10 伝搬界面
11 第二熱交換部
12 冷媒体
13 熱交換パイプ
15 循環ポンプ(冷媒体循環手段)
16 冷気送出装置(冷気供給手段)
17 槽壁
20 排水管
B 建築物
C 冷熱
CA 冷気
G 地表面
L 融解水
R 室内
S 雪

Claims (4)

  1. 雪を貯める貯雪空間を有する貯雪槽と、
    前記貯雪槽の槽底部に設けられ、前記雪の冷熱を伝搬可能な冷熱伝搬部と、
    前記雪が融解した融解水を、前記貯雪槽の前記貯雪空間及び前記冷熱伝搬部の間の伝搬界面から所定深さに貯水し、前記冷熱を前記冷熱伝搬部に伝える貯水部と、
    前記冷熱伝搬部に埋設され、第一熱交換部及び前記第一交換部と連結し、建築物の室内に導出された第二熱交換部を有し、内部に前記冷熱伝搬部から伝搬した前記冷熱を媒介する冷媒体が充填され、前記冷媒体が循環可能な熱交換パイプと、
    前記熱交換パイプ内に充填された前記冷媒体を前記第一熱交換部及び前記第二熱交換部の間で循環させる冷媒体循環手段と、
    前記第二熱交換部と接続し、前記第二熱交換部内の前記冷媒体の熱交換作用を利用して、前記室内に冷気を供給する冷気供給手段と
    を具備することを特徴とする雪冷房システム。
  2. 前記貯雪槽は、
    前記貯水部によって貯められる前記融解水の上限位置に相当し、前記貯雪槽の槽壁を貫通して形成され、規定貯水量を越えた前記融解水を外部に排出する融解水排出部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の雪冷房システム。
  3. 前記融解水排出部に接続した排水管と、
    前記排水管の途中に設けられ、前記排水管を通じて前記貯雪空間に外気が侵入することを防ぐ外気侵入防止手段と
    をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の雪冷房システム。
  4. 前記貯雪槽は、
    少なくとも一部が地表面下に埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の雪冷房システム。
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