JP2005298409A - 植物発根促進剤 - Google Patents

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Atsushi Kuboki
篤 久保木
Toru Kitamura
亨 北村
Atsushi Yokota
篤 横田
Teruo Sone
輝雄 曾根
Kozo Asano
行蔵 浅野
Masaru Wada
大 和田
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Abstract

【課題】
植物の組織培養におけるクローン増殖及び挿し木増殖等において、健全な植物個体を効率よく生産するために使用可能な新規な植物発根促進剤を提供すること。
【解決手段】
アルカリジェネス属の微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤。
及び、以下の工程:
(a)リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から微生物群のコロニーを得る工程、
(b)該コロニーのなかから、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列が配列番号1で表されるDNA配列と96%以上の相同性を有する微生物のコロニーを選択する工程、
(c)該選択された微生物を培養する工程、
(d)培養された微生物の生菌を製剤化する工程、
を行うことにより、微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤を製造する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリジェネス属に属する微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤、該植物発根促進剤の製造方法、及び該植物発根促進剤を使用してアルカリジェネス属に属する微生物の生菌を接種して植物体内に内生させることにより植物体の発根を促進する方法に関する。
組織培養による植物のクローン増殖は、優良形質を備えた個体あるいは栄養繁殖性の花卉、作物などを大量に増殖させる方法として近年盛んに用いられている。このクローン増殖においては、茎葉部の増殖は比較的容易だが、発根し難い場合が多々ある。しかし、クローン植物の個体の獲得のためには、発根させることが当然に必要である。
このような場合、従来から、植物ホルモン(植物生長調節物質)が発根のために使用されている。例えば、特許文献1(特開平10−165023)は、サイトカイニン類を含む培地で培養したEukalyptus globulusの組織に、植物ホルモンとしてインドール酢酸等を添加して発根させる技術を開示している。また、特許文献2(特開平2001−309729)は、サクラ属の培養組織において、植物ホルモンとして3−インドール酪酸を添加して発根させる技術を開示している。
特開平10−165023 特開平2001−309729
しかし、このような植物ホルモンを添加した培地の使用は、健全な植物体を得られない場合がしばしばある。
また、植物の挿し木増殖などにおいても同様の事情がある。すなわち、植物の挿し木増殖などにおいては、オキシベロンなどの発根促進作用を持つ植物ホルモンが一般的に利用されているが、例えばこのオキシベロンは、植物種によっては挿し木用穂木の上部の生長を阻害する場合があり、すなわちいわゆる薬害を発生させることがあり、その発根促進作用を十分に発揮した使用は必ずしも容易ではない。
そこで、本発明の目的は、組織培養におけるクローン増殖及び挿し木増殖等において、上記問題点を回避して、健全な植物個体を効率よく生産するために使用可能な新規な植物発根促進剤を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ってきたところ、観賞用植物リモニウム・ペレジーにおいて次のような興味深い現象を発見した。
リモニウム・ペレジーの茎頂組織培養において、抗生物質処理により無菌の不定芽組織を得て、通常の発根培地に移したところ、発根能が極めて低下していた。しかし、この不定芽組織を、無菌化する過程で分離した微生物の培養液に浸したところ、発根が促進された。また16SrRNAのDNA配列解析において、この微生物はアルカリジェネス属(Alcaligenes sp.)のフェカーリス種(faecalis)又はキシロスオキシダンス種(xylosoxidans)と高度に相同な配列を有していた。この微生物は、SEM観察によって、順調に発根して生育した植物個体の根面の細胞間隙に存在していることが確認され、さらに植物個体から分離して培養することによって、植物内生菌として存在していることが確認された。
そして、本発明者等は、アルカリジェネス属に属する上記微生物(以下、当該微生物)の生菌を組織培養により増殖した不定芽等の組織あるいは挿し木用の穂木に接種して、当該微生物を植物体内に内生させることにより、植物体の発根が著しく促進されることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明は、アルカリジェネス属の微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤にある。この微生物の生菌を主成分とすることにより植物体の発根は著しく促進される。そして、上記アルカリジェネス属の微生物は、リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から単離することができるが、特にリモニューム・ペレジーの茎頂組織又はその近傍から単離された微生物であることが好適である。またアルカリジェネス属の微生物の菌種が、フェカーリス種又はキシロスオキシダンス種であることが本発明では好ましい。
また、本発明は、以下の工程:
(a)リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から微生物群のコロニーを得る工程、
(b)該コロニーのなかから、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列が配列番号1で表される下記のDNA配列と96%以上の相同性を有する微生物のコロニーを選択する工程、
(c)該選択された微生物を培養する工程、
(d)培養された微生物の生菌を製剤化する工程
を行うことにより、微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤を製造する方法にもある。この方法によれば、上述の植物発根促進剤を容易に得ることができる。特に、工程(b)を行うことにより、従来の培養組織に対する発根試験を使用した選択工程によれは数ヶ月を要した微生物選択工程を1〜2週間程度の期間に短縮することができる。
配列番号1:
1
CCTGCGCACGCTTTACGCCCAGTAATTCCGATTAACGCTTGCACC
46
CTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGGTGCTTAT
91
TCTGCAGGTACCGTCAGTTTCACGGGGTATTAGCCCATGACGTTT
136
CTTTCCTGCCAAAAGTGCTTTACAACCCGAAGGCCTTCATCGCAC
181
ACGCGGGATGGCTGGATCAGGGTTTCCCCCATTGTCCAAAATTCC
226
CCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAG
271
TGTGGCTGGTCGTCCTCTCAAACCAGCTACGGATCGTCGCCTTGG
316
TGAGCCGTTACCCCACCAACTAGCTAATCCGATATCGGCCGCTCT
361
AATAGTGCAAGGTCTTGCGATCCCCTGCTTTCCCCCGTAGGGCGT
406
ATGCGGTATTAGCTACGCTTTCGCGTAGTTATCCCCCGCTACTAG
451
GCACGTTCCGATACATTACTCACCCGTTCGCCACTCGCCACCAGA
496
CCGAAGTCCGTGCTGCCGTTCGACTTGCATGTGTAAGGCATCCCG
541 563
CTAGCGTTCAATCTGAGCCAGGA
工程(a)に代えて、以下の工程(a’):
(a’)リモニューム・ペレジーの茎頂組織又はその近傍から微生物群のコロニーを得る工程
を行うことが好ましい。これによって上述の微生物を、他の微生物の混入を抑制しつつ、より効率よく得ることができる。
上述の植物発根促進剤を確実に得るためには、上記の相同性は、好ましくは460bp以上の範囲、特に好ましくは510bp以上の範囲、最も好ましくは560bp以上の範囲において、好ましくは96%又は97%以上であり、特に好ましくは98%又は99%以上であり、100%が最も好ましい。
また、上記工程(b)の後に植物発根促進作用を確認して選別する工程を設けてもよい。
上述の微生物の培養には、一般的にバクテリアを増殖させるときに使われる培地で行うことができ、ニュートリエントブロス培地やLブロス培地を好適に使用することができる。
上述の培養された微生物は、好ましくは培養懸濁液として得ることができる。この培養された微生物の製剤化は、一般的に用いられる種々の方法を使用することができるが、培養懸濁液又は希釈した培養懸濁液を凍結法あるいは噴霧法により乾燥させた生菌として、あるいは生菌の活性を損なわないような増量剤と混合した粉剤として得ることが取り扱いと保存の観点から好ましい。
また本発明は、上記製造方法により得られた植物発根促進剤にもある。
さらに本発明は、上述の植物発根促進剤を植物体に直接に接種して、微生物の生菌を内生させることを特徴とする植物発根促進方法にもある。
上述の植物体への接種の方法としては、一般的な接種の方法を使用することができるが、組織培養によるクローン増殖の場合は分割した不定芽等の組織の切断面に、挿し木増殖の場合には挿し木用に調整した穂木の切断面に、植物発根促進剤を浸漬、塗布、噴霧あるいは粉衣処理することが簡易性と有効性の観点から好ましい。このような処理の後に発根用の培地または用土に挿すことにより、不定芽等の組織または挿し木用穂木の発根を顕著に促進させることが可能である。
本発明の植物発根促進剤は、微生物生菌を主成分とする従来にない新規な植物発根促進剤である。本発明の植物発根促進剤を使用することにより、植物体、特に組織培養で増殖した不定芽等の組織、または挿し木用に調整した植物の穂木の発根は顕著に促進され、従来の植物ホルモン等の使用時に見られるような不都合な影響を回避して、健全な苗を効率よく生産することができる。
また、本発明の植物発根促進剤の製造方法を使用することにより、さらに新たな菌株を選択して本発明の植物発根促進剤を製造する場合にも、効率よく製造することができる。
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明の植物発根促進剤は、以下の工程:
(a)リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から微生物群のコロニーを得る工程、
(b)該コロニーのなかから、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列が配列番号1で表される下記のDNA配列と96%以上の相同性を有する微生物のコロニーを選択する工程、
(c)該選択された微生物を培養する工程、
(d)培養された微生物の生菌を製剤化する工程
を行うことにより製造することができる。
この各工程に関して以下に詳細に説明する。
工程(a)においては、まず微生物群を、観賞用植物のリモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から分離する。他の微生物の混入を最小限にするためには、リモニューム・ペレジーの茎頂組織の近傍から分離することが好ましい。例えば、次のように微生物群を分離することができる。すなわち植物組織培養用の培地、例えばMurashige & Skoog培地(MS培地)を寒天またはジェランガムなどにより固形化し、その培地上に茎頂組織を含む茎頂の近傍組織を置いて培養すると、組織に隣接する培地上に微生物群が出現する。これらの微生物群を、例えばニュートリエントブロス培地又はLブロス培地の寒天平板上に展開してコロニーを形成させる。
次いで工程(b)において、各コロニーの微生物の16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列を決定して、配列番号1で表される下記のDNA配列との相同性を求める。
配列番号1:
1
CCTGCGCACGCTTTACGCCCAGTAATTCCGATTAACGCTTGCACC
46
CTACGTATTACCGCGGCTGCTGGCACGTAGTTAGCCGGTGCTTAT
91
TCTGCAGGTACCGTCAGTTTCACGGGGTATTAGCCCATGACGTTT
136
CTTTCCTGCCAAAAGTGCTTTACAACCCGAAGGCCTTCATCGCAC
181
ACGCGGGATGGCTGGATCAGGGTTTCCCCCATTGTCCAAAATTCC
226
CCACTGCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGGGCCGTGTCTCAGTCCCAG
271
TGTGGCTGGTCGTCCTCTCAAACCAGCTACGGATCGTCGCCTTGG
316
TGAGCCGTTACCCCACCAACTAGCTAATCCGATATCGGCCGCTCT
361
AATAGTGCAAGGTCTTGCGATCCCCTGCTTTCCCCCGTAGGGCGT
406
ATGCGGTATTAGCTACGCTTTCGCGTAGTTATCCCCCGCTACTAG
451
GCACGTTCCGATACATTACTCACCCGTTCGCCACTCGCCACCAGA
496
CCGAAGTCCGTGCTGCCGTTCGACTTGCATGTGTAAGGCATCCCG
541 563
CTAGCGTTCAATCTGAGCCAGGA
上記の相同性が、好ましくは460bp以上の範囲、特に好ましくは510bp以上の範囲、最も好ましくは560bp以上の範囲において、好ましくは96%又は97%以上であり、特に好ましくは98%又は99%以上であり、最も好ましくは100%である微生物を選択する。
このようにして選択されたコロニーの微生物は、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列によりアルカリジェネス・フェカーリス(Alcaligenes faecalis)又はアルカリジェネス・キシロスオキシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)であると考えられる。
そして工程(c)においては、上述の工程(b)で選択された微生物を培養する。この培養には、微生物の一般的な培養方法を使用することができるが、例えば微生物のコロニーを増殖用液体培地に懸濁し、 例えば37℃で12時間以上振とう培養することにより培養懸濁液を好適に得ることができる。ここで使用される増殖用液体培地としては、一般的に微生物の増殖に用いられる培地であって当該微生物を増殖させることのできる組成の培地を使用することができるが、好ましい培地としては、ニュートリエントブロス培地及びLブロス培地がある。
上述の培地には所望により炭素源あるいは窒素源等を添加することができる。炭素源の例には、ブドウ糖、ショ糖、マルトース、サッカロース、上白糖、黒糖、糖蜜、廃糖蜜、マルツエキス等を挙げることができる。窒素源の例には、肉エキス、ペプトン、グルテンミール、大豆粉、乾燥酵母、酵母エキス、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム塩、尿素等を挙げることができる。さらに所望により加えることのできるその他の物質として、ナトリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、リン酸塩、亜鉛塩等の無機塩類、イノシトール、ビタミンB1塩酸塩、L-アスパラギン、ビオチン等のビタミン類を挙げることができる。
また、工程(b)と工程(c)との間に、植物発根促進作用を確認して選別する工程を設けてもよい。これによって続く作業を確実なものとすることができる。
続く工程(d)においては、上述の工程(c)で得られた培養微生物を製剤化する。この製剤化は、例えば培養微生物を液剤又は粉剤とすることにより行う。上述の微生物の培養懸濁液を製剤化する場合には、それに先だって培養懸濁液を、所望により遠心機やフィルター等により菌体を濃縮し、及び/又は必要に応じてpH、乾燥、凍結等に対する緩衝材等を加えることもできる。植物発根促進剤を液剤として得る場合には、上述の培養懸濁液を例えば1〜10000倍、好ましくは1〜1000倍に希釈して製剤することができる。また、植物発根促進剤を粉剤として得る場合には、培養懸濁液を噴霧乾燥法、流動層乾燥法、真空凍結乾燥法等により乾燥させた後に増量材で例えば1〜100000倍、好ましくは1〜10000倍に増量して製剤化する。また、培養懸濁液をポリ容器等で凍結させたまま植物発根促進剤として流通させたり、ゲル化材に固定して製剤化して植物発根促進剤とする事もできる。
上述した培養懸濁液の希釈に使用する溶液、または粉剤の増量のために混合する増量剤の種類は、当該微生物の活性を損なわなければ、一般的に利用されている素材を使用することができる。
上述の増量材としては、例えば土壌粒子、粘土、ベントナイト、カオリン、セリサイト、ジークライト、タルク、酸性白土、軽石、珪砂、ろう石、ひる石、ゼオライト、パーライト、赤土、デキストリン、アルミナ、シリカゲル、珪藻土、グラファイト、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、コーンスターチ、デンプン、セルロース、ゼラチン等、及びこの組み合わせを使用できる。
上述の緩衝材としては、例えばリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、グリセロール、脱脂粉乳、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、蔗糖、グルタミン酸塩等、及びこの組み合わせを使用できる。
所望によりバインダを使用することもでき、例えば水、アルコール、エチレングリコール、ベントナイト粘土、にかわ、ロジン、アラビアゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、二トリルゴム、ラテックス、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール等、及びこの組み合わせを使用できる。
上述のゲル化材としては、ゼラチン、アルギン酸塩等を使用できる。
植物発根促進剤を接種する植物体には、様々な形態のものが含まれ、例えば組織培養物、特にカルス培養物、多芽体、不定胚、不定芽などが含まれ、また挿し木、挿し芽及び挿し穂用の穂木の形態のものも含まれるが、特に無菌増殖した多芽体組織、腋芽増殖組織及び挿し木用穂木が好適である。
植物発根促進剤を接種する植物体の種類としては、例えばナデシコ類、ベゴニア類などの草花類、ゴムノキ、シェフレラ、ポインセチアなどの観葉植物類、バラ、ツツジ、アジサイなどの花木類、トマト、ナス、カボチャなどの果菜類、リンゴ、ナシ、カンキツなどの果樹類、ユーカリなどの木本類などを挙げることができるが、リモニューム・ペレジー、ルクリア(アッサムニオイザクラ)、レケナウルティア(ハツコイソウ)が特に好適である。
植物発根促進剤は、一般的な接種の方法で使用可能であるが、組織培養で増殖した不定芽等の組織、または挿し木用に調整した植物の穂木への接種は、次に示す方法で行うことが好適である。
すなわち、植物発根促進剤が液剤の場合には、不定芽等の組織または挿し木用に調整した穂木の切断面を浸漬するか、液剤を切断面に塗布または噴霧することにより接種する。また、植物発根促進剤が粉剤の場合には、挿し木用に調整した穂木の切断面に粉衣することにより接種する。
植物発根促進剤を処理した不定芽等の組織または挿し木用に調整した穂木は、発根用の培地または挿し木用の用土に挿すことにより、2週間から4週間で良好に発根し、健全な苗が生産される。
さらに、本発明の植物発根促進剤は、植物ホルモン(植物生長調節物質)、例えばオーキシンの一種であるインドール酢酸やナフチル酢酸などを含む植物組織培養用の培地を併用することも可能である。これによって、植物ホルモンを有害な作用が生じない程度の低濃度で使用しつつ、本発明の植物発根促進剤とともに、顕著な発根促進作用をもたらすことが可能である。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[植物発根促進剤の製造]
Murashige & Skoog培地(MS培地)を寒天により固形化し,その培地上に観賞用植物のリモニューム・ペレジーの茎頂組織を含む茎頂の近傍組織を置いて培養した。組織に隣接する培地上に出現した微生物群を、ニュートリエントブロスの寒天平板上に展開してコロニーを形成させた。各コロニーの微生物について、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列を決定して、配列番号1で表されるDNA配列との相同性を求めた。得られた12群のコロニーのうちから、決定したそれぞれの長さにわたって配列番号1のDNA配列と100%の相同性を有するコロニーが9群得られた。以下に調査した菌株の相同性の値とその塩基長を示す。塩基の番号はそれぞれ配列番号1のDNA配列に対応している。
L- 1:562bp(2〜563) 100%
L- 3:512bp(52〜563) 100%
L- 4:561bp(3〜563) 100%
L- 5:563bp(1〜563) 100%
L- 6:562bp(2〜563) 100%
L- 8:563bp(1〜563) 100%
L- 9:561bp(3〜563) 100%
L-10:560bp(4〜563) 100%
L-11:562bp(2〜563) 100%
その後に行った不定芽組織に対する発根促進能試験において、これらはいずれも優れた発根促進能を有しており、目視によってはその発根促進能には差は見られなかった。そのため、以下では、菌株L−1を使用した実施例を示す。
上述のように選択したコロニーの微生物(L−1)を、ニュートリエントブロス液体培地に懸濁し, 37℃で12時間振とう培養することにより培養懸濁液を得た。この培養懸濁液を脱イオン水で100倍に希釈して、以下の実施例1〜3で使用される植物発根促進剤の液剤を得た。
[実施例1]
茎頂組織培養により無菌的に増殖したリモニューム・ペレジーの多芽体組織を,ひと芽ずつに分割し,前記の方法で生産した当該微生物を主成分とする発根促進剤の液剤がその切断面に付着するように浸漬処理してから,発根用の培地に挿し,温度25℃,14時間明期/10時間暗期の環境条件下に静置して発根させた。発根した不定芽の割合を算出し,表1に示した。
[比較例1]
茎頂組織培養により無菌的に増殖したリモニューム・ペレジーの多芽体組織を,ひと芽ずつに分割し,発根用の培地に挿し,温度25℃,14時間明期/10時間暗期の環境条件下に静置して発根させた。発根した不定芽の割合を算出し,表1に示した。
Figure 2005298409
表1に示した結果から、無処理の不定芽組織は3割程度の発根割合であったのに対して、本発明の植物発根促進剤を使用した場合には、ほぼすべての不定芽組織が発根したことがわかる。すなわち、不定芽組織における本発明の植物発根促進剤の強力な発根促進作用が確認された。
[実施例2]
組織培養により無菌的に増殖したルクリア(アッサムニオイザクラ)の腋芽増殖組織をひと芽ずつに分割し,前記の方法で生産した当該微生物を主成分とする発根促進剤の液剤がその切断面に付着するように浸漬処理してから,発根用の培地に挿し,温度25℃,14時間明期/10時間暗期の環境条件下に静置して発根させた。発根した腋芽増殖組織の割合を算出し,表2に示した。
[比較例2]
組織培養により無菌的に増殖したルクリア(アッサムニオイザクラ)の腋芽増殖組織をひと芽ずつに分割し,発根用の培地に挿し,温度25℃,14時間明期/10時間暗期の環境条件下に静置して発根させた。発根した腋芽増殖組織の割合を算出し,表2に示した。
Figure 2005298409
表2に示した結果から、無処理の腋芽増殖組織は4割程度の発根割合であったのに対して、本発明の植物発根促進剤を使用した場合には、約9割の腋芽増殖組織が発根したことがわかる。すなわち、腋芽増殖組織における本発明の植物発根促進剤の強力な発根促進作用が確認された。
[実施例3]
挿し木用に調整したレケナウルティア(ハツコイソウ)穂木の切断面に,前記の方法で生産した当該微生物を主成分とする発根促進剤の液剤がその切断面に付着するように浸漬処理してから,バーミキュライトに挿し,ミスト潅水下で発根させた。発根した穂木の割合を算出し,表3に示した。
[比較例3]
挿し木用に調整したレケナウルティア(ハツコイソウ)穂木をバーミキュライトに挿し,ミスト潅水下で発根させた。発根した穂木の割合を算出し,表3に示した。
[比較例4]
挿し木用に調整したレケナウルティア(ハツコイソウ)穂木の切断面に,オキシベロン粉剤を粉衣してからバーミキュライトに挿し,ミスト潅水下で発根させた。発根した穂木の割合を算出し,表3に示した。
Figure 2005298409
表3に示した結果から、無処理の穂木は3割強程度の発根割合であり、オキシベロンを処理した穂木は8割程度の発根割合であったのに対して、本発明の植物発根促進剤を使用した場合には、8割強の穂木が発根したことがわかる。さらに、無処理の穂木は16%が枯死し、オキシベロンを処理した穂木は18%が枯死したのに対して、本発明の植物発根促進剤を使用した場合には、枯死した穂木は2%にすぎないことがわかる。すなわち、本発明の植物発根促進剤は挿し木用穂木において植物ホルモンのオキシベロンと同程度の強力な発根促進作用を有する一方で、枯死をもたらすような有害な作用は植物ホルモンのオキシベロンと比較して極めて低いこと、さらに無処理の挿し木用穂木と比較しても健全な発根をもたらすことが確認された。
以上の実施例から、本発明の植物発根促進剤が、植物の健全な発根を促進する強い作用を有することがわかった。

Claims (8)

  1. アルカリジェネス属の微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤。
  2. アルカリジェネス属の微生物が、リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から単離された微生物である請求項1に記載の植物発根促進剤。
  3. アルカリジェネス属の微生物が、リモニューム・ペレジーの茎頂組織又はその近傍から単離された微生物である請求項1に記載の植物発根促進剤。
  4. アルカリジェネス属の微生物の菌種が、フェカーリス種又はキシロスオキシダンス種である請求項1〜3のいずれかに記載の植物発根促進剤。
  5. 以下の工程:
    (a)リモニューム・ペレジーの植物体又はその根圏から微生物群のコロニーを得る工程、
    (b)該コロニーのなかから、16SリボゾームRNA遺伝子のDNA配列が配列番号1で表されるDNA配列と96%以上の相同性を有する微生物のコロニーを選択する工程、
    (c)該選択された微生物を培養する工程、
    (d)培養された微生物の生菌を製剤化する工程、
    を行うことにより、微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤を製造する方法。
  6. 工程(a)に代えて、以下の工程(a’):
    (a’)リモニューム・ペレジーの茎頂組織又はその近傍から微生物群のコロニーを得る工程
    が行われる請求項5に記載の微生物の生菌を主成分とする植物発根促進剤を製造する方法。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の方法により得られた植物発根促進剤。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の植物発根促進剤、又は請求項7に記載の植物発根促進剤を植物体に直接に接種して、微生物の生菌を内生させることを特徴とする植物発根促進方法。
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