JP2005298390A - 抗sarsウイルス剤、および抗シンドビスウイルス剤 - Google Patents

抗sarsウイルス剤、および抗シンドビスウイルス剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂材料への練り込み、コーティング組成物への配合、噴霧や散布などが可能な新規な抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤を提供すること。
【解決手段】 本発明の抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤は、双方ともチオスルファト銀錯塩を有効成分として含有するものである。これら抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤の具体的形態としては、チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなるもの、チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなるもの、チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液などが考えられ、いずれも抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗SARSウイルス剤、および抗シンドビスウイルス剤に関する。
近年、中国、東南アジアを中心に、世界各地でSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome;重症急性呼吸器症候群)が流行し、その対策が重要な問題となった。SARSは、SARSウイルス(SARSコロナウイルス)によって引き起こされる感染症であり、SARSの流行を防ぐには、SARSウイルスを不活化ないし死滅させることが重要である。SARSウイルスの防除法としては、従来、消毒用エタノールや界面活性剤(家庭用合成洗剤)による消毒などが有効であると言われている。
また、シンドビスウイルスは、トガウイルスというグループに分類されるウイルスで、鳥や動物に感染することが知られている。今のところ、シンドビスウイルスは、人間に病原性を示さないとの見方はあるものの、鳥インフルエンザのような鳥に感染するウイルスであっても、感染動物を摂取した人間が死亡するケースはある。また、シンドビスウイルスが含まれるトガウイルスの中には、日本脳炎、黄熱、デング熱、セントルイス脳炎などを引き起こす病原性ウイルスが数多く含まれているので、上記SARSウイルスの例にもあるように、未知の新型ウイルスが流行することが多々あることなどを勘案すると、シンドビスウイルスをモデルとしてウイルスの不活化ないし死滅させる方法を確立することも重要なことであると考えられる。
さらに、細菌類を防除するための技術としては、従来、様々な抗菌剤が知られているが、そのような抗菌剤の一つとして、チオスルファト銀錯塩をシリカゲルに担持してなる抗菌剤が提案され、既に実用化もされている(例えば、特許文献1参照。)。この種の抗菌剤は、例えば、樹脂材料へ練り込んだりコーティング組成物に配合したりすることにより、適用対象物に抗菌性を付与することができるものである。
特開平6−1706号公報
しかしながら、上述したようなSARSウイルスの防除法(すなわち、消毒用エタノールや界面活性剤(家庭用合成洗剤)による消毒)は、抗菌剤を樹脂材料に練り込んだりコーティング組成物に配合したりする技術とは異なり、消毒対象に対して抗SARSウイルス性を付与できるような技術ではない。また、消毒用エタノールの場合は、揮発性、引火性があるため、取り扱いが難しく、それ故法規制などもあり、例えばスプレーで広域に噴霧したり大量に散布したりするような用途には使用できないという問題もあった。
一方、上記特許文献1に記載の抗菌剤は、上述の通り、樹脂材料に練り込んだりコーティング組成物に配合したりすることで、適用対象物に抗菌性を付与できる技術ではあったが、この種の抗菌剤にSARSウイルスやシンドビスウイルスを不活化する作用があるか否かについては、従来まったく知られていない。
より詳しくは、上記特許文献1に記載の抗菌剤に関しては、麻疹ウイルス、エイズウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびインフルエンザウイルスに対し、抗ウイルス性を示すことが報告されている。しかし、ポリオウイルスに対しては、抗ウイルス性を示さないことも報告されている。つまり、上記特許文献1に記載の抗菌剤は、ウイルスの種類によって抗ウイルス性を示すこともあれば抗ウイルス性を示さないこともあり、SARSウイルスやシンドビスウイルスに対し、上記特許文献1に記載の抗菌剤が抗ウイルス性を示すか否かについては、従来、何ら検証されていないというのが実情であった。
以上のような背景の下、本件発明者らは、上記特許文献1に記載の抗菌剤において抗菌成分として採用されていたチオスルファト銀錯塩に着目し、SARSウイルスおよびシンドビスウイルスに対する効果について検討した。その結果、チオスルファト銀錯塩にSARSウイルスおよびシンドビスウイルスを不活化する作用があることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その目的は、樹脂材料への練り込み、コーティング組成物への配合、噴霧や散布などが可能な新規な抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤を提供することにある。
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤は、双方ともチオスルファト銀錯塩を有効成分として含有するものである。
これら抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤は、様々な形態で提供し得るものであるが、いくつかの具体例を挙げれば、例えば、前記チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなるものを、上記抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用することができる。
溶媒については、チオスルファト銀錯塩を溶解可能な溶媒で、且つ、噴霧や散布を行っても問題がない溶媒であれば、溶媒中に含まれる物質や組成については特に限定されないが、一例としては、水やPBS等の緩衝液を挙げることができる。また、溶媒中には、必要があれば、抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤としての機能を阻害しない範囲内で、各種添加物(例えばpH調整剤、着色料、その他)が含まれていてもよい。
このような抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤であれば、噴霧や散布を行うことで、それぞれSARSウイルス、シンドビスウイルスを防除することができる。
また、上記のものとは別の具体例としては、前記チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなるものを、上記抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用することもできる。
多孔質担体については、チオスルファト銀錯塩を担持可能で、且つ、チオスルファト銀錯塩を極微量ずつ溶出させる担体であれば何でもよいが、一例としては、ゼオライトやシリカゲル、アパタイト、活性炭などの無機多孔質担体や溶解性ガラス担体を挙げることができる。
ここで、銀系化合物を抗菌成分として含有する抗菌剤の分野では、例えばゼオライト等の無機多孔質担体粒子の表面にイオン交換で銀イオンを固定したものなども知られている。しかし、この種の抗菌粒子の場合、チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなるものほど、高い抗SARSウイルス性または抗シンドビスウイルス性を得ることができない。これは、イオン交換によって銀イオンを担体粒子に固定した場合、担体粒子表面が抗菌性を示すようにはなるものの、担体粒子からの銀イオンの溶出は抑制されているため、溶出液となってウイルスに接触する銀成分の量は必ずしも多くなく、主に担体粒子表面とウイルスとが直接接触することでウイルスを不活化しているからではないかと考えられる。もちろん、上記抗菌粒子でも、いくらか銀イオンが溶出しているとは考えられるが、その溶出量は少ないので、溶出分のみで有意な効果を発現させるには、抗菌粒子を極めて多量に使用しなければならなくなり、効率が悪く不経済である。この点、チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなるものは、上述の如き抗菌粒子よりも銀成分の溶出量が格段に多く、僅かな使用量でも有意な抗SARSウイルス性または抗シンドビスウイルス性を示すので、抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として使用するのに好適なのである。
このような抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤であれば、樹脂材料への練り込み、コーティング組成物への配合などを行うことで、それぞれSARSウイルス、シンドビスウイルスを防除することができる。
なお、多孔質担体にチオスルファト銀錯塩を担持させる方法は任意であるが、一例としては、チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなる溶液に多孔質担体を浸漬、その後乾燥することにより、所期の抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤を得ることができる。すなわち、先に説明したチオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなる抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤は、チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなる抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤を製造するための原料にもなるのである。
また、多孔質担体にチオスルファト銀錯塩を担持させた後、その表面をさらにコーティングすることにより、チオスルファト銀錯塩の溶出量を調節してもよい。
さらに、上記のものとは別の具体例としては、前記チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、前記多孔質担体から前記チオスルファト銀錯塩を前記溶媒中に溶出させてなる溶出液を、上記抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用することもできる。
多孔質担体については、先に説明した抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤において採用したものと同じく、チオスルファト銀錯塩を担持可能で、且つ、チオスルファト銀錯塩を溶出させる担体であれば何でもよいが、溶出液を得る場合は、チオスルファト銀錯塩を必ずしも微量ずつ溶出させるような担体でなくても構わない。このような担体の一例としては、ゼオライトやシリカゲル、アパタイト、活性炭などの無機多孔質担体や溶解性ガラス担体を挙げることができる。すなわち、先に説明したチオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなる抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤は、チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液である抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤を製造するための原料にもなるのである。
溶媒についても、先に説明した抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤において採用したものと同じく、チオスルファト銀錯塩を溶解可能な溶媒で、且つ、噴霧や散布を行っても問題がない溶媒であれば、溶媒中に含まれる物質や組成については特に限定されないが、一例としては、水やPBS等の緩衝液を挙げることができる。また、溶媒中には、必要があれば、抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤としての機能を阻害しない範囲内で、各種添加物(例えばpH調整剤、着色料、その他)が含まれていてもよい。
このような抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤であれば、噴霧や散布を行うことで、それぞれSARSウイルス、シンドビスウイルスを防除することができる。また、チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなるものは液体なので、輸送の際の取り扱いに相応の配慮が必要となるが、チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液であれば、輸送の際にはチオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を取り扱い、現場で多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液を作製すればよいので、輸送の際の取り扱いなどは容易である。
以上説明した通り、本発明によれば、樹脂材料への練り込み、コーティング組成物への配合、噴霧や散布などが可能な新規な抗SARSウイルス剤および抗シンドビスウイルス剤を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
(1)材料および方法
ウイルスとしては、シンドビスウイルス(TE株)、SARSウイルス(FMM−1株、フランクフルト大、Dr. Doerrより分与)のVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来細胞)の培養上清を用いた。ウイルス力価は、それぞれ3x108PFU(プラーク形成単位)/ml、2x107PFU/mlであった。
被検液としては、チオスルファト銀錯塩担持シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製、製品名:シルウェル)を、溶媒(3倍量のリン酸緩衝液(Mg2+とCa2+を含まないPBS、pH7.0)中に30分間浸漬して、シリカゲル担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液SW−1、SW−2(ただし、SW−1、SW−2は異なるロット)を用意した。また、上記チオスルファト銀錯塩担持シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製、製品名:シルウェル)の製造工程で使用するチオスルファト銀錯塩液SW−3についても被検液とした。各被検液SW−1、SW−2、SW−3の銀濃度は、IPCMASSで銀量を測定した結果、それぞれ63mM、108mM、41mMであった。
ウイルス不活化の測定方法は、被検液とウイルス液を1:1の割合で混合、一定の温度で任意の時間反応後、1%牛血アルブミン含有PBS(BSA/PBS)で希釈系列を作成し、Vero細胞を用いてメチルセルロース重層によるプラーク法によりウイルス力価を測定した。
(2)SW−1、SW−2、SW−3のシンドビスウイルス不活化作用
シンドビスウイルスをSW−1、SW−2、SW−3により37℃で30分、1時間処理したときの不活化の結果を図1に示す。なお、図1において、縦軸にはウイルス量、横軸には処理時間を示してある。
図1を見ると明らかなように、すべての検体で0.5時間から1時間でウイルスの感染力を10-3以下に不活化した。すなわち、SW−1では30分で5×10-4、1時間で5×10-5以下に、SW−2では30分では10-5、1時間で10-6以下に、SW−3では30分で10-5、1時間で10-6以下の不活化が見られた。このことより、以下の実験はSW−2を用いて行った。
(3)SW−2のシンドビスウイルスに対する作用
シンドビスウイルスをSW−2により37℃で処理したときの不活化の結果を図2に示す。なお、図2において、縦軸にはウイルス量、横軸には処理時間を示してある。
図2を見ると明らかなように、SW−2は0.5時間から1時間でウイルスの感染力を10-6以下に不活化した。対照に用いたPBSでは1時間処理でも殆ど不活化は認められなかった。
次に、SW−2のシンドビスウイルス不活化効果の温度依存性を調べた結果を図3に示す。
図3を見ると明らかなように、それぞれ4℃、22℃、37℃で1時間処理すると、4℃では2×10-1、22℃では3×10-4、37℃では10-6以下に不活化された。
SW−2の十倍希釈液を作成し、シンドビスウイルスの不活化効果を37℃1時間反応させ調べたところ、100で10-6以下、10-1希釈で15%の不活化が見られたが、10-2希釈以下では影響は見られなかった。
(4)SW−2のSARSウイルスに対する作用
SARSウイルスを22℃でSW−2を処理した結果を図4に示す。0.5時間以上の処理で3×10-4以下にウイルスの不活化が認められた。対照に用いたPBSでは1時間処理でも殆ど不活化は認められなかった。
次に、SW−2のシンドビスウイルス不活化効果の温度依存性を調べた結果を図5に示す。
図5を見ると明らかなように、それぞれ4℃、22℃、37℃で1時間処理すると4℃では5×10-2、22℃では3×10-4、37℃では2×10以下に不活化された。対照に用いたPBSでは37℃、1時間処理でやや不活化(40%)される傾向が見られた。
これらの結果は、SARSウイルスはシンドビスウイルスに比べやや不安定であり、より不活化されやすいウイルスであることを示唆している。
(5)SW−2のウイルス増殖に及ぼす影響
SW−2のウイルス増殖に及ぼす効果を期待して、Vero細胞においてウイルス感染と同時に種々の濃度のSW−2を添加しその効果を調べた。Vero細胞の生存に影響しない濃度(0.01mM)でのウイルス増殖への効果は、シンドビスウイルス,SARSウイルス共に認められなかった。
(6)考察
以上の試験結果から明らかなように、上記各被検液は、シンドビスウイルスに対して37℃で30分から60分で強い不活化作用を示した。また、SARSウイルスに対しても22℃で30分から60分で強い不活化作用を示した。これらのウイルス不活化作用は温度依存的であった。
SARSウイルスは、シンドビスウイルスとは異なり、37℃においてPBSのみにおいても不活化される傾向が見られたので、不活化実験は22℃で行ったが、このようなSARSウイルスの不安定さを考えると、上記被検液のSARSウイルスに対する使用はより効果的と考えられる。
以上のことから、上記各被検液を抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用すれば、これら抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルスの噴霧や散布を行うことにより、SARSウイルスやシンドビスウイルスを防除することができる。そして、このような抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルスであれば、従来SARSウイルスの消毒用として使用されていたエタノール等とは異なり、揮発性、引火性はないので、取り扱いが容易であり、例えばスプレーで広域に噴霧したり大量に散布したりするような用途にも使用可能となる。また、病院内や実験室内における汚染も、より簡単に防除できるようになる。
また、被検液SW−1、SW−2を作製するために使用したチオスルファト銀錯塩担持シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製、製品名:シルウェル)についても、抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤として利用可能であると考えられ、このような抗SARSウイルス剤または抗シンドビスウイルス剤であれば、樹脂材料への練り込み、コーティング組成物への配合などを行うことで、それぞれSARSウイルス、シンドビスウイルスを防除することができる。
さらに、チオスルファト銀錯塩担持シリカゲルを溶媒中に浸漬して、多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液の場合、輸送の際にはチオスルファト銀錯塩担持シリカゲルを取り扱い、現場で多孔質担体からチオスルファト銀錯塩を溶媒中に溶出させてなる溶出液を作製すればよいので、液体であるチオスルファト銀錯塩溶液を輸送するのに比べると、物流段階での包装や容器はより簡素な構造のもので済むので、輸送の際の取り扱いなどは容易である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
上記実施形態では、チオスルファト銀錯塩を担持させる担体として、シリカゲルを例示したが、この担体については、チオスルファト銀錯塩を担持可能で、且つ、チオスルファト銀錯塩を溶出させる担体であれば何でもよく、例えば、ゼオライト、アパタイト、活性炭などの無機多孔質担体や溶解性ガラス担体などであってもよい。
また、上記実施形態では、チオスルファト銀錯塩担持シリカゲルの溶出液を作製する際に、溶媒として3倍量のリン酸緩衝液を用いたが、この溶媒については、チオスルファト銀錯塩担持シリカゲルからチオスルファト銀錯塩を溶出させることができる溶媒であれば任意である。
4種の各被検液を用いて37℃で処理したときのシンドビスウイルスの量の経時変化を示すグラフ。 2種の各被検液を用いて37℃で処理したときのシンドビスウイルスの量の経時変化を示すグラフ。 2種の各被検液によるシンドビスウイルス不活化効果の温度依存性を示すグラフ。 2種の各被検液を用いて37℃で処理したときのSARSウイルスの量の経時変化を示すグラフ。 2種の各被検液によるSARSウイルス不活化効果の温度依存性を示すグラフ。

Claims (8)

  1. チオスルファト銀錯塩を有効成分として含有する抗SARSウイルス剤。
  2. 前記チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなる請求項1に記載の抗SARSウイルス剤。
  3. 前記チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなる請求項1に記載の抗SARSウイルス剤。
  4. 前記チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、前記多孔質担体から前記チオスルファト銀錯塩を前記溶媒中に溶出させてなる溶出液である請求項1に記載の抗SARSウイルス剤。
  5. チオスルファト銀錯塩を有効成分として含有する抗シンドビスウイルス剤。
  6. 前記チオスルファト銀錯塩を溶媒に溶解してなる請求項5に記載の抗シンドビスウイルス剤。
  7. 前記チオスルファト銀錯塩を多孔質担体に担持させてなる請求項5に記載の抗シンドビスウイルス剤。
  8. 前記チオスルファト銀錯塩を担持した多孔質担体を溶媒中に浸漬して、前記多孔質担体から前記チオスルファト銀錯塩を前記溶媒中に溶出させてなる溶出液である請求項5に記載の抗シンドビスウイルス剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2013035343A1 (ja) * 2011-09-07 2015-03-23 株式会社Nbcメッシュテック 抗ウイルス性を有するアルミニウム部材およびその製造方法

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