JP2005298318A - セラミックハニカム構造体 - Google Patents

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常宏 川田
Osamu Tokutome
修 徳留
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Abstract

【課題】 従来にない着想でコーディエライト結晶中のFe成分量を低下し、コーディエライト結晶自体の熱膨張係数を低減したセラミックハニカム構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主にディーゼル機関における排気ガス中の粒子状物質を捕集するためのセラミックハニカムフィルタとして使用されるのに好適なセラミックハニカム構造体に関し、主結晶がコーディエライトであって、特に高気孔率を有し、且つ耐熱衝撃特性を有するセラミックハニカム構造体に関する。
コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の所定の流路を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過させることにより、ディーゼル機関から排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を多孔質隔壁で捕集するセラミックハニカムフィルタが注目を浴びている。セラミックハニカムフィルタは、通常、図3に示すセラミックハニカムフィルタ50のように、略円筒形又は略楕円筒形の外観形状であり、外周壁51aと、この外周壁51aの内周側で隔壁51bにより囲まれた多数の流路により構成される多孔質セラミックハニカム構造体51における流路51cの流入側51d、流出側51eの両端面を交互に目封止材52a、52bにより閉塞させた目封止構造を有している。
セラミックハニカムフィルタの機能特性に関しては、粒子状物質の捕集率、圧力損失、粒子状物質の捕集時間(捕集開始から一定圧力損失に達するまでの時間)の3つが重要とされている。中でも粒子状物質の捕集率と圧力損失は一般に相反する関係にあり、これらの相反する機能特性を満足するように、セラミックハニカムフィルタの、気孔率、平均細孔径、隔壁表面の細孔径分布を制御することが、従来から検討されている。また、セラミックハニカムフィルタは、高温の排気ガスに晒されることから、急昇温や急冷といった過酷な使用条件にも耐えうるよう、高い耐熱衝撃性が求められており、熱膨張係数を低くする技術も検討されている。
特許文献1に記載の発明では、カオリンやアルミナを用いないタルク、溶融シリカ、水酸化アルミニウムからなるコーディエライト基本原料に有機発泡剤又は可燃性物質を、特定範囲添加することにより、熱膨張係数が0.3×10−6/℃以下、気孔率が55〜80%、平均細孔径が25〜40μm、かつ隔壁表面の細孔は5〜40μmの小孔と40〜100μmの大孔とよりなり、上記小孔の数は上記大孔の数の5〜40倍であるコーディエライトを主成分するハニカム構造体が開示されている。特許文献1に記載の発明によれば、高捕集率、低圧力損失、かつ低熱膨張係数の特性を合わせ持つハニカム構造体が提供できるとしている。しかしながら特許文献1に記載の発明では、コーディエライトの基本原料にカオリンを用いないため坏土の流動性が悪くなり、セラミックハニカム構造体の押出成形性が悪化するという問題があった。また、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数を小さくするために、Fe含有量の少ないコーディエライト基本原料を選定し使用する必要があった。
また、特許文献2に記載の発明では、気孔率の高いセラミックスハニカム構造体を得るための技術として、発泡済みの発泡剤及び樹脂粉末などを造孔剤として用いる技術が開示されている。特許文献2の発明によれば、発泡済みの発泡剤として気泡を内包した発泡樹脂を造孔剤としてセラミックス原料に添加することにより、可燃性粉末を多量に使用することなく、58〜81%の気孔率を有するセラミックハニカム構造体を、焼成割れを発生させずに得ることができるという効果を有するとしている。尚、その実施例によれば、コーディエライトを主成分とするセラミックハニカム構造体の場合、その熱膨張係数は0.6×10−6〜1.1××10−6/℃が得られている。
特開平9−77573号公報 特開2002−326879号公報
コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカムフィルタの圧力損失を低くおさえるため、気孔率の高い、例えば55〜80%の気孔率を有するセラミックハニカム構造体を得るためには、焼成過程で消失する造孔剤を適量添加する必要がある。しかしながら前記特許文献2に記載されている各種造孔剤(有機発泡剤、可燃性物質、発泡済み発泡樹脂、樹脂粉末など)を原料粉末に多量に添加すると、セラミックハニカム構造体を押出成形する際に、これら造孔剤の存在によって、原料粉末、特にカオリン、タルクなどの粘土鉱物からなる原料の配向が乱される場合もあり、従来からコーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体に期待されていた、コーディエライト結晶の配向が充分得られず、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が大きくなり、原料粉末に含まれるFe量によっては例えば12×10−7/℃を超えるような大きな値となって、セラミックハニカムフィルタとして実用した場合、耐熱衝撃性に問題の発生する場合があった。従って本発明の課題は、上記問題を解決し、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体であって、熱膨張係数に与える原料粉末に含まれるFeの影響を低減し、気孔率が55〜80%の高気孔率であっても、安定的に熱膨張係数を12×10−7/℃以下とすることが出来る、セラミックハニカム構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意検討した結果、従来ない着想で、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体中に存在する微細結晶に着目し、これらを最適化することにより、熱膨張係数に与える原料粉末に含まれるFeの影響を低減し、気孔率が55〜80%の高気孔率であっても、安定的に熱膨張係数を低減できること知見し本発明に想到した。
即ち本発明のセラミックハニカム構造体は、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることを特徴とする。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、前記スピネルうち粒径が0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であることが好ましい。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含有し、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、前記セラミックスに含まれるFeがFeに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1であることを特徴とする。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、気孔率が55%以上80%以下であることが好ましい。
本発明の作用効果について説明する。本発明のセラミックハニカム構造体は、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体(以下「コーディエライト質セラミックハニカム構造体」と略す)であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることを特徴とする。コーディエライト質セラミックハニカム構造体を製造する際には、コーディエライト原料として、カオリン、タルク等の粘土鉱物及びアルミナ、シリカなどを使用するのが一般的であるが、カオリン、タルク中にはFeが不可避不純物として存在しているため、コーディエライト質セラミックハニカム構造体にも不可避不純物としてFeが存在することになり、コーディエライト質セラミックハニカム構造体中のFe濃度が高くなると、特許文献1にも記載されているように、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数は大きくなる。本発明のコーディエライト質セラミックハニカム構造体では、セラミックス中にスピネルをX線回折強度比にして4%以下含有させ、かつこのスピネルの粒径を0.01〜5μmの微細なものが含まれるようにしている。このような微細なスピネルを、コーディエライトを主結晶とするセラミックス中に含有させることにより、セラミックハニカム構造体中に存在している不可避不純物であるFeが、スピネル中に高濃度で存在するようになり、相対的にコーディエライト結晶中のFe濃度が低くなってコーディエライト結晶の熱膨張係数を小さくすることができる。このため、55〜80%という高い気孔率を得るために造孔剤を多量添加し、コーディエライト結晶の配向が乱された場合であっても、コーディエライト質セラミックハニカム構造体の熱膨張係数を小さくすることができる。
ここで、スピネルとはMgO・Alの組成を有するスピネル型構造の複酸化物結晶のことを言うが、本発明ではFe及び不可避不純物を有している。そして、コーディエライトを主結晶とするセラミックスがスピネルを含むとは、X線回折図形において、コーディエライト(5SiO・2Al・2MgO)の回折ピーク及びスピネルの回折ピークに相当する回折角に回折ピークが認められる場合のことを言う。X線回折強度の測定は、セラミックハニカム構造体を微粉砕し目開き径1μmの篩により粒度調整した粉末を用いた粉末X線回折法により行った。
ここで、コーディエライトを主結晶とするセラミックス中のスピネルの含有量を、X線回折強度比にして4%以下としたのは、スピネルの含有量が4%を越えると、不可避不純物であるFeをスピネル中に高濃度で存在させたとしても、スピネルの含有量自体が多くなるため、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が大きくなり、12×10−7/℃以下の達成が困難になるからである。ここで、X線回折強度比は、上記で得られたX線回折図形から、スピネル〔220〕面のX線回折強度(Isp〔220〕)と、コーディエライト〔102〕面のX線回折強度(Ic〔102〕)を求め、X線回折強度比をIsp〔220〕/{Ic〔102〕}(%)として求めた。
ここで、スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれるようにしているのは、スピネルを微細にして、比表面積を大きくすることにより、前記の如くFeがスピネル結晶に固溶して高濃度で存在するようになり、相対的にコーディエライト結晶中のFe濃度が低くなってコーディエライト結晶の熱膨張係数を小さくすることができ、結果として、コーディエライト質セラミックハニカム構造体の熱膨張係数を小さくすることができるからである。スピネルの粒径が5μm超であると、スピネル中にFeを高濃度で存在させる効果が得にくくるからである。スピネル中へのFeをより高濃度へより容易に存在させるために、粒径が3μm以下のスピネル結晶を含むことがより好ましい。ここで、スピネルの粒径は以下のように求める。まず、隔壁からマイクロサンプリング法により、厚さ約0.1μmの薄片化したマイクロサンプルを作成し、このサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により、倍率10000倍程度でTEM像を観察し、Zコントラスト像の写真を撮影する。その後、微小箇所のEDX(エネルギ−分散型X線分析器)による組成分析を行って、スピネルの特定を行い、先に得られたZコントラスト像の写真から、画像解析装置を用いて最大径aと前記最大径aに直交する径bとを測定し、二軸平均粒径r(r=(a+b)/2:最大径と最大径に直交する径の相加平均)をスピネルの粒径として求める。
本発明のセラミックハニカム構造体において、コーディエライトを主結晶とするセラミックスがFeを含んでいるが、その含有量はFeに換算して、0.1〜2質量%が好ましい。含有量が2質量%を越えると、微細なスピネルを利用して低熱膨張化を図ろうとしても、熱膨張係数自体が大きくなることもあるため好ましくない。更に好ましいFeの含有量はFeに換算して、0.2〜1.2質量%である。
また本発明のセラミックハニカム構造体において、上記観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であると、スピネルの比表面積がより大きくなるため、スピネル中にFeを高濃度で存在させる効果が増加し、本発明の効果が大きくなる。同様の観点から、粒径0.01〜3μmであるスピネルの個数割合が80%以上であることがより好ましい。ここで、観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合は、任意のスピネルをN個(20個以上)選択し、上記の様に粒径を計測し、粒径0.01〜5μmのスピネル観測数n個の全スピネル観測数N個に対する百分率n/N×100(%)として算出した。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、コーディエライト質セラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含有し、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、前記セラミックスに含まれるFeがFeに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1とすることにより以下の効果がある。前記のようにコーディエライト質セラミックハニカム構造体は、コーディエライト中のFe濃度が高くなると、熱膨張係数は大きくなる。本発明のコーディエライト質セラミックハニカム構造体では、セラミックス中にスピネルを含有させるとともに、前記セラミックスに含まれるFeをFeに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1としている。すなわち、コーディエライトを主結晶とするセラミックス中に微細なスピネルを含有させ、セラミックス中に存在している不可避不純物であるFeをコーディエライト結晶中に比べて、スピネル中に高濃度で存在させることにより、相対的にコーディエライト結晶中のFe量を減少させ、コーディエライト結晶自体の熱膨張係数が低減され、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体の熱膨張係数を確実に小さくすることが出来る。
ここで(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)の値が1.1未満であると、コーディエライト結晶中のFe濃度が相対的に高くなるため、コーディエライト結晶自体の熱膨張係数が大きくなり、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が高くなる。ここで、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≦15を好ましい。(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)が15超えると、スピネル自体の熱膨張係数が大きくなり、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が高くなることもあるからである。更に好ましい(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)の範囲は3〜10である。
本発明のセラミックハニカム構造体において、前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe換算で0.1〜10質量%であることが好ましいのは以下の理由による。スピネル中のFe濃度が量Fe換算で0.1〜10質量%であると、スピネル中にFeが高濃度で存在し、相対的にコーディエライト結晶中のFe量を減少させ、コーディエライト結晶自体の熱膨張係数を低減する効果が大きくなり、熱膨張係数のより小さいコーディエライト質セラミックハニカム構造体を得ることができる。
また本発明のセラミックハニカム構造体は、気孔率が55%以上80%以下であることが望ましい理由は、本発明のセラミックハニカム構造体は、造孔剤を多量に添加して隔壁の気孔率を55%以上の高気孔率としても、熱膨張係数が12×10−7/℃以下の低い熱膨張係数を有するセラミックハニカム構造体を得ることが可能となり、造孔剤の多量添加により配向が乱れた場合の、熱膨張係数の低減効果が大きいからである。ここで気孔率が高すぎると微粒子の捕集効率が低下したり、強度が低下することから、気孔率は80%以下が好ましい。より好ましい気孔率は59〜70%である。
本発明の作用効果について説明したが、上記作用効果を阻害しない範囲で、コーディエライトを主結晶とするセラミックスは、Fe以外にも、CaO、NaO、KO、TiO、PbO、P等を含んでも良いし、ムライト、コランダム等の結晶を含んでも良い。
なお、本発明のセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれるセラミックハニカム構造体を得るには、コーディエライト化原料粉末の選定と配合比、および焼成時の昇温速度、最高温度での保持時間、冷却速度を適宜変えることにより可能となる。
以下に製造方法の一例を示す。コーディエライト化原料粉末には、カオリン、タルクに加えて、更にシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等を使用する。ここで、カオリン中のFe含有量は0.2〜0.8質量%、タルク中のFe濃度は0.5〜1.8質量%、シリカ中のFe濃度は0.001〜0.1質量%とする。そして、カオリンの粒度分布は、粒径20μm以上の粉末を0〜10質量%、粒径10μm以上の粉末を5〜25質量%、粒径5μm以上の粉末を15〜50質量%、粒径2μm以上の粉末を50〜90質量%で含有したものを使用し、タルクの粒度分布は粒径45μm以上の粉末を3〜20質量%、粒径20μm以上の粉末を20〜40質量%、粒径10μm以上の粉末を50〜70質量%、粒径5μm以上の粉末を70〜90質量%、粒径2μm以上の粉末を80〜95質量%で含有したものを使用するのが好ましい。また、シリカの粒度分布は、粒径75〜250μmの粉末を1〜10質量%、粒径45μm以上の粉末を3〜25質量%、粒径20μm以上の粉末を31〜52質量%、粒径10μm以上の粉末を49〜70質量%、粒径5μm以上の粉末を65〜90質量%、粒径2μm以上の粉末を80〜99.5質量%で含有したものを使用するのが好ましい。このような、粒度分布とFeを含有するカオリン、タルク及びシリカを使用することにより、コーディエライト合成過程で、主結晶としてコーディエライトが析出するとともに、微細なスピネルが析出し易くなり、さらにFeがスピネル中に高濃度で存在しやすくなる。ここで、コーディエライト化原料粉末にはFe以外にもCaO、NaO、KO、TiO、PbO、P等の不可避的に混入する成分が混入存在しても良い。
コーディエライト化原料粉末の配合組成は、SiO、Al、MgOの合計に対してSiO:48〜50質量%、Al:35〜37質量%、MgO:13〜15質量%となるように調整することが望ましい。前記範囲を外れると、スピネルの析出量が4質量%を越えたり、所望のスピネルが析出しないこともあり好ましくない。
また高気孔率を得るための造孔剤は、公知のものが使用可能であり、焼成過程で燃焼して消失する有機発泡材、ミクロバルーン、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボン、小麦粉、でん粉、木炭、パルプ粉や、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、フェノール、エポキシ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック重合体、スチレン−イソプレンブロック重合体、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートアクリロニトリル共重合体、ウレタン及びワックス等の樹脂等が使用可能であり特に限定されない。これらの従来使用されてきた造孔剤に加えて、分解温度の異なる造孔剤を複数添加することで、造孔剤が狭い温度範囲で瞬時に熱分解或いは燃焼することにより発生する割れを防ぐと共に、造孔剤により気孔が形成され、高気孔率のコーディエライト質セラミックハニカム構造体を得ることもできる。
造孔剤の添加量はその種類により異なるため所望の気孔率となるよう適宜使用する必要がある。例えば有機発泡材であればコーディエライト化原料粉末100質量部に対して、1〜15質量部とすることが好ましく、小麦粉であれば40〜50質量部が好ましい。これにより高気孔率のコーディエライト質セラミックハニカム構造体を得ることが可能になる。。
焼成条件は、最高温度を1350〜1450℃とし、保持時間は5時間以上、好ましくは10時間以上とすることにより、コーディエライト化が促進されるとともに、微細なスピネルを含むコーディエライト質セラミックハニカム構造体が得られる。そして、昇温過程では、セラミックハニカム構造体の熱収縮する温度域の昇温速度を30℃/h未満とし、熱収縮終了後の温度域の昇温速度を80℃/h未満とすることが好ましい。ここで、熱収縮する温度域とは約1000℃〜1200℃のことを言う。上記のように調整したコーディエライト化原料粉末と、昇温過程での昇温速度を調整することにより、主結晶としてコーディエライトが析出するとともに、微細なスピネルが析出し易くなり、さらにFeがスピネル中に高濃度で存在しやすくなる。尚、冷却過程で冷却速度を30℃/h以上に早くすることによってもスピネルの粒径をより微細にする効果がある。
上記のように、本発明のセラミックハニカム構造体は、気孔率が55〜80%の高気孔率であっても、微細なスピネル中に不可避不純物であるFeを高濃度で存在させていることから、コーディエライト結晶中のFe濃度を減少させることができ、セラミクハニカム構造体の熱膨張係数を低下できるという大きな効果を有している。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
(試験No11〜14、試験No22〜23)
表1〜2に示す平均粒径、粒度分布、Fe含有量のカオリン、タルク、溶融シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のコーディエライト化原料を用い、表3に示す、(SiO―Al―MgO)の配合比が得られるよう秤量した。次いで、このコーディエライト化原料100質量部に対して、有機発泡剤を12質量部、メチルセルロース5質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを2質量%を添加し、混合調整した。ここで、表1に示す原料粉末の平均粒径及び粒度分布は、(株)セイシン企業製レーザ回折式粒度分布測定器LMS−30を使用して測定した。その後、このコーディエライト化原料100質量部に対して水を投入し、混合、混練を加え、可塑化可能な坏土を作製し、この坏土を押出成形機に投入して、ハニカム構造を有する成形体を得た。次いで得られた成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥した後、熱風乾燥を行い、所定の寸法に両端面を切断した。その後、バッチ炉に投入し、1000〜1200℃間の昇温速度20℃/h、1200〜1350℃間の昇温速度50℃/h、1350〜1400℃間の昇温速度10℃/hとして、1400℃、10時間の条件で焼成を行い、Φ267mm、長さ304mm、隔壁厚さ300μm、隔壁ピッチ1.58mmの寸法特性を有する試験No11〜14、試験No22〜23のコーディエライト質セラミックハニカム構造体を得た。
得られたコーディエライト質セラミックハニカム構造体に対し、Fe量、スピネル/コーディエライトのX線回折強度比、コーディエライト結晶の配向度、TEM観察によるスピネル及びコーディエライト中のFe量とスピネルの粒径、気孔率、熱膨張係数の測定を行った。
コーディエライトを主結晶とするセラミックス中のFe量は、ICP発光分析により求めた。
スピネル/コーディエライトのX線回折強度比は、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の任意部位より試験片を切り出した後、粉砕して粉末化し、目開き径1μmの篩を通過させて粒度調整した後、粉末X線回折装置(リガク社製RINT1500)を用いて一定条件(X線源CuKα1線、波長λ=1.540562Å、2θ範囲8°〜40°、走査速度2°/min.)においてX線回折強度測定を行い、得られたX線回折プロファイルをJCPDSファイル(Powder Diffraction File Published by JCPDS International Center for Diffraction Data)に登録されている無機化合物カードと照合し、コーディエライト結晶とスピネル結晶の同定を行った。スピネル/コーディエライトのX線回折強度比は、得られたX線回折プロファイルのIsp〔220〕(スピネル〔220〕面のX線回折強度)と、Ic〔102〕(コーディエライト〔102〕面のX線回折強度)を用い、Isp〔220〕/{Ic〔102〕}(%)として求めた。
コーディエライト結晶の配向度は、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の任意部位より試験片を切出し、隔壁面をX線照射面とし、上記と同様にX線回折強度測定を行った。コーディエライト結晶の配向度の評価は、得られたX線回折プロファイルのIc〔110〕(コーディエライト〔110〕面のX線回折強度)とIc〔002〕(コーディエライト〔002〕面のX線回折強度)を用いてI比=Ic〔110〕/{Ic〔110〕+Ic〔002〕}を求めた。
スピネル及びコーディエライト中のFe量とスピネルの粒径は、以下の手順で求めた。コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の任意部位より、集束イオンビーム加工装置(FIB、日立製作所製FB−2000A)を用いてマイクロサンプリング法により厚さ100nm程度に薄片化試件片を作成した後、得られた薄片化試験片に対して透過型電子顕微鏡(TEM、日立製作所製HF−2100型)を用いて、倍率10000倍程度でTEM像を観察し、コーディエライト及びスピネルの認められた視野のZコントラスト像の写真を撮影する。その後、微小箇所のEDX(エネルギ−分散型X線分析器)による組成分析を行って、スピネル及びコーディエライトの組成を求め、各々に含まれるFe量を算出した。また、先に得られたZコントラスト像の写真から、画像解析装置を用いて最大径aと前記最大径aに直交する径bとを測定し、二軸平均粒径r(r=(a+b)/2:最大径と最大径に直交する径の相加平均)をスピネルの粒径として求める。ここで、観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合は、任意のスピネルをN個(20個以上)選択し、上記の様に粒径を計測し、粒径0.01〜5μmのスピネル観測数n個の全スピネル観測数N個に対する百分率n/N×100(%)として算出した。
気孔率は、セラミックハニカム構造体より試験片を切出し、水銀ポロシメータ(米国MICROMERITICS社製AutoPore 4)を用いて、水銀圧入法より求めた。
熱膨張係数は、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体より試験片を切出し、熱機械分析装置(TMA、リガク社製ThermoPlus、圧縮荷重方式/示差膨張方式)を用いて一定荷重20gのもと、温度範囲35〜800℃間を昇温速度10℃/min.で測定を行い、平均熱膨張係数として求めた。
Figure 2005298318
Figure 2005298318
(試験No15〜16)
試験No15及び16のセラミックハニカム構造体は、造孔剤として有機発泡剤を10質量部添加した以外は、試験No12及び13のセラミックハニカム構造体と同様にして、作製した。
(試験No17〜21、試験No24)
試験No17〜21のセラミックハニカム構造体は、焼成時の1400℃における保持時間を変更し、また試験No17は造孔剤として有機発泡剤を15質量部添加した以外は、試験No15のコーディエライト質セラミックハニカム構造体と同様にして作製した。1400℃における保持時間は試験No17(5時間)、試験No18(15時間)、試験No19(20時間)、試験No20(25時間)、試験No21(35時間)とした。一方、試験No24のセラミックハニカム構造体は、配合組成をSiO:47.8質量%、Al:34.7質量%、MgO:14.8質量%とし、焼成時の1400℃における保持時間を2時間とした以外は、試験No17〜21のセラミックハニカム構造体と同様にして作製した。
Figure 2005298318
Figure 2005298318
これら試験No11〜24の試験結果を表4に示す。表4に示すように、本発明の試験No11〜21のセラミックハニカム構造体は、コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなり、該セラミックスがFeをFe換算で0.61〜0.68質量%含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして0.6〜3.7%であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることから、また、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト中のFe濃度)の値が1.1以上であることから、12×10−7/℃以下の低い熱膨張係数を示した。特に、試験No11〜16、18〜20は、スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト中のFe濃度)の値が3〜10の好ましい範囲内にあるため、10×10−7/℃以下のさらに低い熱膨張係数を示した。またさらに試験No11、12、15及び19のように、スピネルの粒径が5μm以下の個数割合が80%以上である場合は、6×10−7/℃未満の特に低い熱膨張係数を示した。
一方、試験No22のコーディエライト質セラミックハニカム構造体のようにスピネルの存在が認められない場合は12×10−7/℃を越える高い熱膨張係数であった。また、試験No23のコーディエライト質セラミックハニカム構造体のように、スピネルが存在しても、スピネル/コーディエライトのX線回折強度比が4%を越えるものは、12×10−7/℃を以上を越える高い熱膨張係数であった。また、試験No24のコーディエライト質セラミックハニカム構造体のように、スピネルが存在しても、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト中のFe濃度)の値が1.1未満であったものは、12×10−7/℃を越えるの高い熱膨張係数であった。
参考までに図1に本発明の試験No11に該当するコーディエライト質セラミックハニカム構造体のTEM写真を、図2には試験No12に該当するTEM写真を示す。図1、2中、矢印により示される粒状の部分がスピネルである。
本発明のセラミックハニカム構造体のTEM像である。 本発明のセラミックハニカム構造体のTEM像である。 セラミックハニカムフィルタの構造を示す図である。
符号の説明
1 隔壁
2 隔壁表面
3 細孔
50 ハニカムフィルタ
51a 外周壁
51b 隔壁
51c 流路
51d 流入側流路
51e 流出側流路
52a、52b 目封止材

Claims (6)

  1. コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  2. 前記スピネルのうち粒径が0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックハニカム構造体。
  3. コーディエライトを主結晶とするセラミックスからなるセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックスがFeを含むとともに、前記セラミックスがスピネルを含有し、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、前記セラミックスに含まれるFeがFeに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1であることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  4. 前記セラミックスに含まれるFeがFeに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックハニカム構造体。
  5. 前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe換算で0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体。
  6. 気孔率が55%以上80%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセラミックハニカム構造体。
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