JP2005298313A - カーボンナノチューブを含むナノ粒子の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを含むナノ粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストでカーボンナノチューブを含むナノ粒子を製造する。
【解決手段】気泡中で、正負の炭素電極間アーク放電を行う。放電後、カーボンナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、ナノフラワー等のナノ粒子が泡膜に付着した状態で得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関し、低コストかつ高純度で生成されるカーボンナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、ナノフラワー等のナノ粒子の製造方法に関する。
ナノ粒子の代表であるカーボンナノチューブは1991年に当時NECの飯島澄男氏(現名城大学教授)がフラーレンの研究中に発見した物質である。カーボンナノチューブは、炭素原子が六角網状に配列したグラッフェンシートが筒状に巻いたチューブ状の物質であり、その直径は数ナノメートルオーダーである。最初に発見されたそれは、グラッフェンシートが同心円状に何重にも重なったもので多層カーボンナノチューブと呼ばれるようになった。それに対して1枚のグラッフェンシート状のものを単層カーボンナノチューブと呼び、1993年に発見された。また、ナノホーンやナノオニオンなどのナノ粒子に関する研究が近年活発化しており、今後ナノテクノロジー分野において更なる研究発展が期待される。
上記カーボンナノチューブは、炭素の配列によって金属や半導体となる電気的特性、優れた機械的強度、極めて高い熱伝導率などからナノテクノロジーのキー素材として広範囲に利用されている。また、ナノホーンはその特異な形状から燃料電池用の水素の貯蔵材料として期待されている。しかし、カーボンナノチューブと同様にこれらナノ粒子の製造方法には様々な方法があるにもかかわらず、製造コストが高く製造効率がよくないなどの理由から大量生産に至ってない。環境問題の打開案として、低コストかつ効率のよいナノ粒子の製造方法の確立が求められている。
現在、カーボンナノチューブやナノホーン、ナノオニオンの代表的な製造方法としてアーク放電を利用する方法、レーザを照射する方法、高温気体中で合成する方法など様々である。いずれの方法も高真空の不活性気体中、若しくは高温の気体中において炭化物質に高エネルギーを印加することにより、カーボンナノチューブを製造する方法である。特に、アーク放電を利用したカーボンナノチューブの製造法は歴史が古く、大気圧の1万分の1程度の高真空中で、HeやArなどの不活性気体を置換し、炭素電極間に100A前後の大電流を流し、アーク放電を行う。そして、負極のカーボンロッド表面に成長した堆積物を採取し、電気炉での高温処理、強酸処理、超音波処理等の複雑な精製工程を経て不純物を除去し、カーボンナノチューブを分離する。図14に従来の製造装置の構成図を示す。
従来の製造方法は、図14に示すような密閉された容器8に正極2、負極3ともに炭素からなる電極を対面して配置する。正極2は前後に可動する移動機構により、図14の紙面を左右に移動させることができる。真空装置9により密閉容器内を大気圧の1万分の1前後にし、外部気体供給装置10より不活性気体6を密閉容器内に満たす。電源7より正極2、負極3間に100A前後の大電流を流した後、正極を負極に接近しアーク放電を開始する。以上の方法により放電を継続すると、正極2の先端放電部分の炭素が蒸発し気化する。この蒸発した炭素微粒子がHe等の不活性気体により急激に冷却され再結晶化し、負極表面に堆積物を形成する。この負極堆積物を高温の電気炉や遠心分離器、強酸等を用いて精製し、目的とするカーボンナノチューブを得る。
従来製造方法のいずれにおいても、反応場に高真空や高温気体を用いるため、装置全体のコストが高く、得られるカーボンナノチューブは低密度かつ少量である。また、密閉された容器内で放電反応を行うため操作の自由度が制限されるという問題がある。また、カーボンナノチューブのほかに不純物を多く含むため複雑な精製手順を必要とする。
近年、アーク放電を利用した製造方法においては、水素ガスを置換気体として用いるケースが増加している。これは、水素ガスを用いることにより放電時発生する不純物が抑えられるためである。
しかし、密閉された容器中の水素気体は、爆発の危険性があり、取り扱いには細心の注意と徹底した安全管理が必須である。また、アーク放電法以外の方法である高温気体中での合成方法においても、密閉容器内で数千度もの高温気体を用いるため同様の配慮が必要である。このように、従来製造方法ではカーボンナノチューブの製造コストが高く、大量生産が難しいという問題があった。
本発明は、従来方法における問題点の解決を目指すものである。安全かつ操作性の高い方法で複雑な製造工程を減らすことにより、効率良く、低コストで作製されるカーボンナノチューブやナノホーン、ナノリング等のナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本カーボンナノチューブを含むナノ粒子の製造方法は、気泡中での放電現象を利用することを特徴としている。
本製造方法によれば、従来の製造方法での高真空や高温気体などの気体環境を必要とせず、気泡中で直接的に電極を操作し放電を行うことができるため、操作の自由度が高いことが特徴である。
従来製造方法に必要である真空装置や密閉容器中での放電作業に必要な電極可動装置、水素等の置換気体を注入する外部気体供給装置、安全性を確保するための環境整備など高コストとなる要因が必要でないため、極めて低コストでカーボンナノチューブを含むナノ粒子を製造することが可能である。
本製造方法によれば放電時に発生するナノ粒子以外の質量の大きな不純物質は、ナノ粒子との質量差により泡膜を通過し容器の底に沈殿する。よって従来製造方法での不純物を除去するための複雑な精製工程を必要としない。
以上から本製造方法は短時間で効率よくナノ粒子を製造することができる特徴がある。本発明により材料、化学、工業、触媒など幅広い分野での研究の活発化が期待できる。
本発明によれば、泡中でのアーク放電によってカーボンナノチューブやナノホーンなどのナノ粒子を低コストで短時間に製造することが可能である。
図1に本製造法の装置図を示す。直流電源5から接続された正極2、負極3の2つの炭素電極を容器1に満たされた泡4中に配置した後、直流電源5により電極間に直流を印加し炭素電極間アーク放電を発生する。
反応媒質には常温のビールを注いだときに発生する泡4を用い、炭素電極には純度99.9%の炭素ロッドを用いた。反応媒体として用いる泡4には液体と気体が反応して生ずる泡や、液体を注いだときに自然に発生する気泡などを挙げることができる。電極間のアーク放電は直流15V、15Aで、放電時間は2秒から10秒程度の短時間で行った。
炭素電極間に直流通電すると音と閃光とともに泡中でアーク放電が開始する。泡で蓋をした状態の密閉空間中で放電反応が持続し、時間の経過とともに表面の泡が膨らむ。しかし、泡膜間に表面張力が働くことにより泡膜が破れることなく、蒸発気体が閉じ込められた状態でさらに放電が持続する。
密閉された気泡内部では高温の放電エネルギーによりプラズマを形成しており、炭素電極表面より瞬間的に気化した炭素物質が、カーボンナノチューブやナノオニオンなどのナノ粒子を再形成し、負極表面に数万本/100μm2の高密度で堆積する。このクラスター状の堆積物は、そのほとんどが放射状に成長した中空のカーボンナノチューブをはじめとするナノオニオン等のナノ粒子から構成されるため、クラスター自身の質量はきわめて小さく、反応媒質である気泡中を飛行した後、泡幕にトラップされ数100マイクロメートル四方の黒色の微粒子物質や繊維状物質として目視で観測される。
数秒間の放電終了後、内部の気体が冷却されて収縮することにより、上部表面の泡が破れ、閉じ込められていた放電時の蒸発物が気体となり上昇すると同時に一部の微粒子が泡幕に付着する。放電中心部では直径5センチほどの球形の空間ができており、内部の泡幕表面には黒色の蜘蛛の巣状の繊維状物質や、微粒子物質が多数付着していた。
図2に放電終了直後の泡の写真を示す。放電後の白い泡の表面には高温により有機物が焼けたと思われる茶色の物質とともに蜘蛛の巣状の黒色の繊維状物質や黒色のクラスター状粒子が付着する。泡に付着したこれらの物質を、マイクログリッドで採取し透過電子顕微鏡による観察を行ったところ図3、図4、図5に示すような長さの比較的長い多層カーボンナノチューブが高密度で観察された。同時に図11に示すナノホーンやナノオニオンも多数観察された。
以上の方法により、カーボンナノチューブを含むナノ粒子を製造した。特に、従来方法に比べ低コストで製造可能であり、真空環境を用いないため操作の自由度が高く、短時間でカーボンナノチューブを含むナノ粒子を製造することができ、大量生産を目的とする技術に応用可能である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本実施例に係わるカーボンナノチューブを含むナノ粒子を製造する装置の構成図である。図1に示すように容器1には常温のビールを注いだ際に生じる高密度の泡4で満たされており、カーボンロッドを電極とした正負2つの電極を泡中の任意の位置に配置する。
本実施例では反応媒体となる泡4に、ビール350mlを注いで得られる泡を用いた。容器1には500mlのガラス製ビーカーを用いた。正負の電極には外径5mmφ、長さ50mm、炭素99.9%からなる高純度カーボンロッドを用いた。
直流電源5に接続した正極2、負極3の2つのカーボンロッドを泡中に配置し正負の電極を数ミリの距離で接近させ放電を開始する。
数秒間、泡の中心部において閃光とともに放電が持続し、電極間より発生する蒸発気体により泡の上部表面が膨らみだす。しかし、泡膜間の表面張力により泡が破れることなく、蒸発気体が閉じ込められた状態でさらに放電が持続する。
放電終了後、内部の気体が冷却され収縮すると同時に、上部表面の泡が破れ蒸発気体が上昇する。
放電中心部の泡膜には多数の黒色の粒子や繊維状の物質が付着しており、これらの物質中にカーボンナノチューブを含むカーボンナノ粒子が高密度で形成される。図3から図13に本製造方法により作製したナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。
電極表面に生成され浮遊する物質のうち、質量の大きな炭素片はいくつもの泡膜を貫通しビーカーの底に沈殿する。しかし、比較的質量の小さいナノ粒子は網目状の泡膜にトラップされ黒色の微粒子物質として泡に付着する。また放電時に炭素電極より蒸発する気体状の浮遊物は泡膜に付着した後、水分子と混合され繊維状物質として形成される。
この微小粒子を採取し透過電子顕微鏡により観察すると、粒子を構成する物質のうち80パーセント前後が直径数10ナノメートル前後で長さが数10マイクロメートル前後の高アスペクト比をもつ直線状の多層カーボンナノチューブであった。残りの20パーセント前後は、ナノホーンやナノオニオンであった。また、球状の物質が密集して存在する部分があり、電子顕微鏡の倍率を上げ観察したところ、カーボンナノチューブが数回折れ曲がった状態で形成された直径数100ナノメートル前後の多角形状の物質であった。この多角形状の物質をナノフラワーと呼ぶことにする。
図3、図4、図5に示すように、本例によれば高密度のカーボンナノチューブが得られる。図6は、図5のカーボンナノチューブの拡大写真である。
図7、図8に示すように、本例によれば高密度のナノフラワーが得られる。図9、図10は図8のナノフラワーの拡大写真である。
図11、図12、図13、に示すように、本例によればナノホーンやナノオニオンが得られる。図12はナノホーンの拡大写真、図13はナノオニオンの拡大写真である。
以上の方法により得られたカーボンナノチューブをはじめとするナノ粒子は、電極間放電により高温で蒸発した炭素粒子が、負極表面において瞬間的に冷却、再形成された後、負極より剥離し泡膜に付着したものである。
本発明によれば、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、ナノオニオン、ナノフラワーを高密度で短時間に製造することができる。本発明の方法により材料、化学、工業、触媒など広い分野での応用が期待できる。また、従来の製造コストに比べ低コストであるため、カーボンナノチューブをはじめとするナノ粒子の大量生産を目的とする技術に応用可能である。さらに、放電中に生成するカーボンナノチューブをはじめとするナノ粒子を直接観測可能であるため、ナノ粒子の生成原理の解明手段として化学的研究の活発化が期待できる。
カーボンナノチューブの製造装置の構成図である。 放電終了後の気泡表面の写真である。 気泡中での放電により製造したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したカーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノフラワーの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノフラワーの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノフラワーの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノフラワーの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノホーンとナノオニオンの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノホーンの透過型電子顕微鏡写真である。 気泡中での放電により製造したナノオニオンの透過型電子顕微鏡写真である。 従来方法における装置の構成図である。
符号の説明
1…容器
2…正極
3…負極
4…泡
5…直流電源
6…不活性気体
7…電源
8…密閉容器
9…真空装置
10…外部気体供給装置

Claims (4)

  1. 泡を容器に満たし、正極と負極にカーボンロッドを用いて気泡中での電極間アーク放電を行う。放電後、得られるカーボンナノチューブを含むナノ粒子の製造方法。
  2. 前記反応媒体として泡を用いる1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記正負電極として、高純度グラファイトを用いる1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記カーボンナノチューブとともにナノホーン、ナノオニオン、ナノフラワー等のナノ粒子が得られる1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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