JP2005292698A - 高耐久性定着ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】
定着ベルト方式の印刷処理能力を向上させるために、高速化が可能であり、かつ耐久性に優れたエンドレスベルトを提供する。
【解決手段】
画像形成装置に用いられるフィルム状ベルトにおいて、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維によって補強されたエンドレスベルト。
【選択図】なし
定着ベルト方式の印刷処理能力を向上させるために、高速化が可能であり、かつ耐久性に優れたエンドレスベルトを提供する。
【解決手段】
画像形成装置に用いられるフィルム状ベルトにおいて、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維によって補強されたエンドレスベルト。
【選択図】なし
Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の定着、転写などに用いられるエンドレスベルトに関する。
画像処理装置における転写紙への画像定着法として熱ローラ定着法が知られている。この定着法は熱ローラとプレスローラとを対向配置し、転写紙を両ローラ間に送り込む方法で、熱ローラに内蔵されているヒーターの発熱により転写紙に仮着されたトナーを溶融定着させると共にプレスローラにより加圧して定着を強固にし、それによって転写紙上にトナーによる画像を形成するものである。この熱ローラ定着法による場合は、接着面積が小さいため、トナーを転写紙に溶融接着させる場合に圧力負荷を高める必要があり、定着速度も高速化やローラの耐久性向上に対応することが困難であった。このためローラとベルトを対向配置した構成となる継ぎ目のないエンドレスベルトを使用したベルト定着法が開発されている。これらに用いられるベルトの材料は、耐熱性のあるポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが挙げられる。この方式では、転写紙をこれらの間に送り込むことによってトナーを定着させるもので、加圧、加熱、駆動、離形という基本機能をローラ側若しくはベルト側に持たせてもよく、ローラとベルトの追従性が向上することで接触面積を増加させることや、圧力負荷の低減に効果がある。
しかしこのベルト定着法においても、長時間使用による耐久性の確保や通紙速度を向上させるために、定着部の高温変化や圧力負荷の増加などが必要となるが、ベルト表面や端部に割れや伸びが発生する問題やトナーの離型性不良などの問題があった。
ベルトの耐久性向上を目的としたものとしては、主にベルト表面の摩耗性改善やトナー離型性向上を目的としたものが開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながらこれらの方法ではベルト基材そのものの耐久性は向上されなかった。
これらを改良するために、ベルト基材そのものの耐久性を向上させる技術が検討されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら特許文献3に記載の方法では、基材原料樹脂を耐久性あるものに変更する程度でしかなかった。
ベルトの耐久性向上を目的としたものとしては、主にベルト表面の摩耗性改善やトナー離型性向上を目的としたものが開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながらこれらの方法ではベルト基材そのものの耐久性は向上されなかった。
これらを改良するために、ベルト基材そのものの耐久性を向上させる技術が検討されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら特許文献3に記載の方法では、基材原料樹脂を耐久性あるものに変更する程度でしかなかった。
本発明の目的は、定着ベルト方式の印刷処理能力を向上させるために、高速化が可能であり、かつ耐久性に優れたエンドレスベルトを提供することである。
上記目的を達成すべく本願発明者等は鋭意検討を重ねた結果、エンドレスベルトの基材部に所定以上の強度、弾性率を有する、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維からなる編物、織物、カット繊維、パルプ状、紙、不織布のいずれかの形態のものでフィルム状ベルトを補強することにより、本発明の繊維が有する耐熱性、高強度・高弾性率などの機械的物性を付与することで、高速化が可能で印刷耐久性に優れるエンドレスベルトが得られることを見出した。
すなわち本発明は、画像形成装置に用いられるフィルム状ベルトにおいて、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維によって補強されたエンドレスベルトに関するものであり、好ましくは少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維が強度14cN/dtex以上を有し、編物、織物、カット繊維、パルプ状、紙、不織布のいずれかの構造物からなり、該構造物によって補強された上記のエンドレスベルトに関する。
本発明の少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維からなる補強材料を用いれば、伸び、破断時応力、弾性率等の機械的特性に優れ、しかも印刷耐久性のあるエンドレスベルトが得られる。
本発明の画像形成装置に用いられるフィルム状ベルトの補強材として使用される繊維は、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維であることが必要である。本発明の繊維は特に強度14cN/dtex以上の高強力繊維であることが好ましい。
本発明にいう溶融異方性ポリエステルとは、溶融相において光学的異方性(液晶性)を示す芳香族ポリエステルであり、例えば試料をホットステージに載せ窒素雰囲気下で加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。溶融異方性ポリエステルは芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸の反復構成単位を主成分とするものであるが、上記化1および化2に示す反復構成単位群の組合せからなるものが好ましい。
特に好ましくは、化1および化2に示される反復構成単位の組合せのうち(5)、(8)、(9)からなるポリマーであり、より好ましくは(5)に相当するポリマーであって、下記の化3中、(Q)の成分が4〜45モル%である芳香族ポリエステルであることが好ましい。
本発明で用いる溶融異方性芳香族ポリエステルの融点は230〜300℃であることが好ましく、より好ましくは240〜280℃である。ここでいう融点とは、JIS K7121試験法に準拠し、示差走差熱量計(DSC;メトラー社製「TA3000」)で測定し、観察される主吸収ピーク温度である。具体的には、DSC装置にて測定する際、測定サンプルを10〜20mg取り、アルミ製パンへ封入した後、キャリアガスとして窒素を流量100cc/minで流し、20℃/minで昇温したときの吸収ピークを測定する。ポリマーの種類により上記の1st runで明確な吸収ピークが出現しない場合には、50℃/minの昇温速度で予想される流れ温度より50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間以上保持し、完全に溶解した後、80℃/minの速度で50℃まで冷却し、しかる後、20℃/minの昇温速度で吸熱ピークを測定するとよい。
また本発明において、上記溶融異方性芳香族ポリエステル化合物を主成分としてなる複合紡糸繊維も利用可能であり、例えば繊維断面が芯鞘構造を有する複合紡糸繊維等が用いられる。このような複合紡糸繊維は特に耐フィブリル性に優れる特性から以下に述べる編物や織物等に該複合紡糸繊維を加工して補強体とする場合、加工品の品位向上に大いに効果を発揮する。
溶融異方性芳香族ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等を添加してもよい。また、酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維は、例えば公知の溶融液晶紡糸法にしたがって紡糸することによって得られる。得られた紡糸原糸をそのまま用いてもよいが、本発明の効果をより発揮させるためには熱処理を行うことが好ましい。熱処理を行うことにより溶融異方性芳香族ポリエステル繊維は固相重合し、融点の上昇および強力、弾性率、耐熱性を向上させることができる。熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気下や空気中の酸素雰囲気下であっても、また、減圧下でも行うことができる。熱処理の雰囲気は水分を含まない低湿度気体中であることが好ましい。
本発明に使用される繊維の繊度は、目的のエンドレスベルトの厚みや補強強度等によって任意に変更可能であるが、織物や編物などを加工する目的からは、マルチフィラメントの場合は好ましくは10〜1000dtexであり、より好ましくは20〜500dtexである。また単繊維で使用する不織布や紙、カット糸の場合、単繊維繊度は好ましくは0.1〜100dtex/フィラメントであり、より好ましくは0.5〜20dtex/フィラメントである。
エンドレスベルト基材の補強材として用いる本発明の少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルで構成される繊維はエンドレスなベルトを成型可能な構造物に加工する。例えば先ず本発明の繊維を公知の製法により編物、織物、不織布、紙などの構造体を製造し、その後筒状に加工したもの、また本発明の繊維を筒状に最初から加工した編物、織物、不織布、紙などであってもよい。あるいは、本発明の繊維を所定の繊維長に切断したカット糸をベルトとなるベース樹脂に混合させて均一拡散させ、その後ベルトへ成型することで繊維補強させる形態でもかまわない。
編物、織物、不織布、紙などの構造体は、例えば編物の場合ならば丸編みの平編組織、織物の場合ならば円織り(サーキュラー織り)での平織り組織、不織布の場合は水流絡合などによる主体繊維のみから製造するものなどが挙げられる。構造体の厚みは要求される補強強度によって変わるが、エンドレスベルトの厚みや加工性の関係から、10〜1000μmにするのが好ましく、特に30〜500μmとするのがより好ましい。
また、カット糸の場合、ベルト基材に対する添加量はベルトの製法によっても異なるが、補強性を確保するためには0.1〜5質量%であることが好ましく、0.3〜2質量%であることがより好ましい。カット糸の場合、基材樹脂と繊維との接着度が補強性に大きく影響するため、繊維表面に接着性改良剤などを塗布してもかまわない。
主なエンドレスベルトの基材としては、定着部での使用により耐熱性を要求されるため、定着部で使用する温度からASTM D648試験方法に準拠して測定される熱変形温度が200℃以上で、さらに耐屈曲性に優れている材料であることが好ましい。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール等の耐熱性樹脂がある。これらの中でも機械特性、耐熱性、屈曲性に優れたポリイミド樹脂が最適である。ポリイミド樹脂を耐熱性エンドレスベルトの材料として用いる場合は、ポリイミド前駆体の段階でプライマー層および/または離型層を形成し、離型層の加熱とイミド転化を同時に行うことが好ましい。プライマー層としては、耐熱性エンドレスベルトと離型層との接着性を高める各種市販のプライマーが使用でき、ポリイミド樹脂の耐熱性エンドレスベルトに対しては、ポリイミド系プライマーが好適に使用される。
本発明のエンドレスベルトを成形する方法は、従来のシームレスベルトを製造する方法ならば特に限定されないが、例えば円筒金型を用いた遠心成形を利用してシームレスベルトを作成する方法が好ましい。遠心成形法とは、樹脂成分を可溶性溶媒に溶解させた樹脂溶液を一定速度で回転する円筒金型内に送液ポンプなどにより注入し、回転する円筒金型内において減圧下で溶媒成分を除去して遠心力により均一な膜厚のシームレスベルトを得る方法である。この製法において上記補強体は、この円筒金型の内壁に斑なく広げて設置できる直径と長さの寸法に予め製造しておき、金型内壁へ設置する。設置後、上記の樹脂溶液を所定量注入すればよい。特に編物の場合は編地を引っ張ることでひろげることができるので、エンドレスベルトの希望する補強状態によって適度に緊張させながら金型の内壁へ押し広げればよい。なお内壁に押し広げる方法としては、金型内径より少し直径の小さい円柱を準備し、その円柱へ編物を広げて設置し、金型内部へ入れ、その後エンドレスベルトの母材の樹脂溶液を注入すればよい。またカット繊維で補強する場合は、予め所定長にカットした繊維を、この樹脂溶液へ所定量添加し、均一に攪拌混合させる。特にポリイミド樹脂の場合は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの略等モルを適当な溶媒に溶解させる時に同時にカット糸も投入して反応させ、ポリアミド酸溶液を作製するか、若しくは樹脂溶液となった後に、カット糸を添加混合させてもよい。
なお上記記載したエンドレスベルトを製造する際、ベルト自身の体積抵抗値をコントロールするため、カーボンブラック等の導電性微粉末の添加や、ベルト母材の耐熱性、耐疲労性等を改善させるための化合物添加は適宜行っても何ら差し支えない。また繰返しの画像定着によるベルト表面の摩耗性改良のため、ポリベンズイミダゾールやフッ素樹脂などの公知の手法によってベルト表面に被膜加工しても何ら差し支えない。
本発明のエンドレスベルトは複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置の定着部に使用できるが、ベルト定着法を採用する定着部であれば何れの方式でも使用可能である。例えば、ロール間に定着ベルトを張設する方式、管状の定着ベルトを適当なステー等で支持させる方式などに使用可能である。本発明は、特に高速での連続印刷に要求される耐久性や高温度化に有用である。また、優れた離型性により、画像のフルカラー化に充分に対応することができる。
また本発明に係るエンドレスベルトの用途としては特に制限はないが、好ましくは複写機等の感光性ベルト(電子写真感光体)の基材、中間転写ベルト、定着ベルトやOA機器等各種プリンターの記録体ベルトの基材、感光体等のベルト基材などいわゆる機能性ベルトとして特に広範な分野にて適用可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。なお以下の実施例において、使用される繊維の繊維強度や弾性率、および繊維の引張伸度は下記の方法により測定または評価したものを示す。
[繊維強度、弾性率 cN/dtex、繊維の引張伸度 %]
繊維をJIS L1013に規定された方法に準じ、つかみ間隔20mm、初期荷重0.088cN/dtex、伸長速度10cm/minの条件で、自記記録装置付き定速伸長形試験機を用いて測定し、5点の平均値を求める。
繊維をJIS L1013に規定された方法に準じ、つかみ間隔20mm、初期荷重0.088cN/dtex、伸長速度10cm/minの条件で、自記記録装置付き定速伸長形試験機を用いて測定し、5点の平均値を求める。
[実施例1]
(1)前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が73/27モル%である溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、このポリマーを単軸押出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.10mm径、10ホールの紡糸口金より巻取り強度1000m/分で紡糸し、50dtex/10フィラメントの紡糸原糸を得た。
(2)この紡糸原糸を乾燥窒素雰囲気にて260℃で2時間、280℃で12時間熱処理したのちココナツ油を主成分とする仕上げ油剤をヤーンに付着させ、熱処理糸を得た。得られた熱処理糸の物性は、繊度49dtex、繊維強度23cN/dtex、伸度4.0%、弾性率530cN/dtexであった。
(3)この熱処理糸を使用して、平編組織の丸編機で64編目/インチ、直径99mmの丸編地(筒状、厚み100μm)を作製し、内径100mm、長さ350mmの金型内壁へ接するように広げて設置した。
(4)続いてエンドレスベルトの母材として、20質量%のポリアミック酸と80質量%のN−メチル−2−ピロリドン溶媒からなる樹脂溶液(宇部興産株式会社製「U−ワニスS銘柄」)70gを金型に加え、400rpmで回転させながらアスピレーターで減圧させて溶媒を除去させて成形した。こうして得られた筒状の繊維補強フィルムを最終温度350℃×30分、熱風循環恒温乾燥機に入れてイミド化反応を完結させて、直径100mm、幅350mm、厚さ130μmのエンドレスベルトを作製した。
(5)続いてポリ−2,2´−(m−フェニレン)−5,5´−ビベンゾイミダゾールを、ホモジナイズドミキサーを用いて、25℃、180rpm、8時間の条件でN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度10質量%のPBI溶液を調製した。このPBI溶液を60℃に予備加熱した後に、室温にて上記エンドレスベルト表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布し、次いで出発温度60℃から7℃/分の昇温速度で塗膜を乾燥させた。最終温度は200℃であった。このようにしてアルミニウムロールの表面に、膜厚20μmのPBI被膜を得た。
(6)耐久性試験としてこのベルトの内部に滑りシートを有する支持体を設置し、アルミローラーの上にシリコンゴムを施した加熱ローラーをこのベルトと平行になるように加圧し、トナーの定着を行ったところ、線速度60cm、定着温度180℃で、20万枚まで通紙が可能であった。
(1)前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が73/27モル%である溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、このポリマーを単軸押出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.10mm径、10ホールの紡糸口金より巻取り強度1000m/分で紡糸し、50dtex/10フィラメントの紡糸原糸を得た。
(2)この紡糸原糸を乾燥窒素雰囲気にて260℃で2時間、280℃で12時間熱処理したのちココナツ油を主成分とする仕上げ油剤をヤーンに付着させ、熱処理糸を得た。得られた熱処理糸の物性は、繊度49dtex、繊維強度23cN/dtex、伸度4.0%、弾性率530cN/dtexであった。
(3)この熱処理糸を使用して、平編組織の丸編機で64編目/インチ、直径99mmの丸編地(筒状、厚み100μm)を作製し、内径100mm、長さ350mmの金型内壁へ接するように広げて設置した。
(4)続いてエンドレスベルトの母材として、20質量%のポリアミック酸と80質量%のN−メチル−2−ピロリドン溶媒からなる樹脂溶液(宇部興産株式会社製「U−ワニスS銘柄」)70gを金型に加え、400rpmで回転させながらアスピレーターで減圧させて溶媒を除去させて成形した。こうして得られた筒状の繊維補強フィルムを最終温度350℃×30分、熱風循環恒温乾燥機に入れてイミド化反応を完結させて、直径100mm、幅350mm、厚さ130μmのエンドレスベルトを作製した。
(5)続いてポリ−2,2´−(m−フェニレン)−5,5´−ビベンゾイミダゾールを、ホモジナイズドミキサーを用いて、25℃、180rpm、8時間の条件でN,N−ジメチルアセトアミドに溶解せしめて濃度10質量%のPBI溶液を調製した。このPBI溶液を60℃に予備加熱した後に、室温にて上記エンドレスベルト表面にPBI溶液をロールコーターによって塗布し、次いで出発温度60℃から7℃/分の昇温速度で塗膜を乾燥させた。最終温度は200℃であった。このようにしてアルミニウムロールの表面に、膜厚20μmのPBI被膜を得た。
(6)耐久性試験としてこのベルトの内部に滑りシートを有する支持体を設置し、アルミローラーの上にシリコンゴムを施した加熱ローラーをこのベルトと平行になるように加圧し、トナーの定着を行ったところ、線速度60cm、定着温度180℃で、20万枚まで通紙が可能であった。
[実施例2]
(1)繊維断面が芯鞘構造であり、芯成分ポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用いた。鞘成分としては、上記芯成分と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルと直鎖ポリフェニレンサルファイド(溶融温度300℃における溶融粘度1100poise−1)の2種類のポリマーを用い、かつ鞘成分中の芳香族ポリエステルに対する直鎖ポリフェニレンサルファイドの成分比0.33となるようブレンドした。この場合、鞘成分においては直鎖ポリフェニレンサルファイド成分が島状の構成となる。芯成分と鞘成分を別々の押出機より溶融し、芯と鞘の質量比が2:1になる構造を有する口金より紡糸温度305℃、巻取り速度680mm/分の条件で紡糸し、48dtex/6フィラメントの繊維を得た。
(2)この紡糸原糸を分繊して8dtexのモノフィラメントとし、250℃で2時間、260℃で2時間、さらに268℃で6時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた熱処理糸は繊維強度16.9cN/dtex、伸度3.1%、弾性率460cN/dtexであった。
(3)上記(2)の熱処理糸を使用して、実施例1と同様にして平編組織の丸編機で編地を作製し、同様にしてエンドレスベルトを作製した。
(4)上記エンドレスベルトに対し、実施例1と同様の方法にて耐久性試験を行ったところ、線速度60cm、定着温度180℃で、17万枚まで通紙可能であった。
(1)繊維断面が芯鞘構造であり、芯成分ポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用いた。鞘成分としては、上記芯成分と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルと直鎖ポリフェニレンサルファイド(溶融温度300℃における溶融粘度1100poise−1)の2種類のポリマーを用い、かつ鞘成分中の芳香族ポリエステルに対する直鎖ポリフェニレンサルファイドの成分比0.33となるようブレンドした。この場合、鞘成分においては直鎖ポリフェニレンサルファイド成分が島状の構成となる。芯成分と鞘成分を別々の押出機より溶融し、芯と鞘の質量比が2:1になる構造を有する口金より紡糸温度305℃、巻取り速度680mm/分の条件で紡糸し、48dtex/6フィラメントの繊維を得た。
(2)この紡糸原糸を分繊して8dtexのモノフィラメントとし、250℃で2時間、260℃で2時間、さらに268℃で6時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた熱処理糸は繊維強度16.9cN/dtex、伸度3.1%、弾性率460cN/dtexであった。
(3)上記(2)の熱処理糸を使用して、実施例1と同様にして平編組織の丸編機で編地を作製し、同様にしてエンドレスベルトを作製した。
(4)上記エンドレスベルトに対し、実施例1と同様の方法にて耐久性試験を行ったところ、線速度60cm、定着温度180℃で、17万枚まで通紙可能であった。
[比較例1]
実施例1において、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の編地が無い以外は全く同様にしてエンドレスベルトを作製した。このエンドレスベルトに対し実施例1と同様の耐久性試験を実施したところ、10万枚を通紙した時点でベルト端部に亀裂が見られた。
実施例1において、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の編地が無い以外は全く同様にしてエンドレスベルトを作製した。このエンドレスベルトに対し実施例1と同様の耐久性試験を実施したところ、10万枚を通紙した時点でベルト端部に亀裂が見られた。
[比較例2]
(1)粘度平均重合度1700、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコールを濃度16質量%、ホウ酸0.12質量%となるように水に溶解し紡糸原液とした。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数100の口金より、水酸化ナトリウム0.05mol/l、芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した後、常法にしたがってローラー間で2.5倍延伸した後、硫酸0.1mol/l、芒硝380g/l、浴温度40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴中で付着した硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中で除去し、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.5倍湿熱延伸した。この後130℃で乾燥し、235℃で全延伸倍率が13倍となるよう乾熱延伸して捲き取った。得られたフィラメントは繊度100dtex、繊維強度9.0cN/dtex、伸度5.9%、弾性率290cN/dtexであった。
(2)得られた繊維を実施例1と同様にして平編組織の丸編機で編地を作製し、同様にしてエンドレスベルトを作製し、実施例1と同様に耐久性試験を実施したところ、線速度60cm、定着温度180℃で10.5万枚まで通紙したところで、ベルトの端部に亀裂が発生した。
(1)粘度平均重合度1700、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコールを濃度16質量%、ホウ酸0.12質量%となるように水に溶解し紡糸原液とした。該紡糸原液を孔径0.08mm、孔数100の口金より、水酸化ナトリウム0.05mol/l、芒硝350g/l、浴温度40℃の凝固浴中に湿式紡糸した後、常法にしたがってローラー間で2.5倍延伸した後、硫酸0.1mol/l、芒硝380g/l、浴温度40℃の中和浴で中和した。さらに中和浴中で付着した硫酸を芒硝400g/l、浴温度40℃の置換浴中で除去し、芒硝380g/l、浴温度90℃の浴で1.5倍湿熱延伸した。この後130℃で乾燥し、235℃で全延伸倍率が13倍となるよう乾熱延伸して捲き取った。得られたフィラメントは繊度100dtex、繊維強度9.0cN/dtex、伸度5.9%、弾性率290cN/dtexであった。
(2)得られた繊維を実施例1と同様にして平編組織の丸編機で編地を作製し、同様にしてエンドレスベルトを作製し、実施例1と同様に耐久性試験を実施したところ、線速度60cm、定着温度180℃で10.5万枚まで通紙したところで、ベルトの端部に亀裂が発生した。
本発明の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維からなる補強材料を用いれば、伸び、破断時応力、弾性率等の機械的特性に優れ、しかも印刷耐久性のあるエンドレスベルトが得られる。
Claims (2)
- 画像形成装置に用いられるフィルム状ベルトにおいて、少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維によって補強されたエンドレスベルト。
- 少なくとも一成分が溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーで構成される繊維が強度14cN/dtex以上を有し、編物、織物、カット繊維、パルプ状、紙、不織布のいずれかの構造物からなり、該構造物によって補強された請求項1記載のエンドレスベルト。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015082037A (ja) * | 2013-10-23 | 2015-04-27 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂管状体、定着装置、及び画像形成装置 |
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2004
- 2004-04-05 JP JP2004111001A patent/JP2005292698A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015082037A (ja) * | 2013-10-23 | 2015-04-27 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂管状体、定着装置、及び画像形成装置 |
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