JP2005292298A - 有機無機ハイブリッドガラス状物質とその加工方法 - Google Patents

有機無機ハイブリッドガラス状物質とその加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】400℃以下の軟化開始温度で高光透過率を有する材料の光導波特性向上のための加工方法、及び低融点特性と紫外線・可視光線領域で高透過率を有し、光導波特性を向上させたガラス状物質は開発されていなかった。
【解決手段】内部にレーザ光を照射し、そのレーザ光の集光点を相対移動させることにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部に連続した屈折率変化領域を形成させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。集光点におけるレーザのパワー強度は1〜800kW/cm、レーザ光集光の近傍領域に光吸収用の材料を含有させる、光吸収用材料は希土類イオン、有機色素、金属微粒子等から選ばれる、又はレーザ光照射後に急冷する特徴を有す。上記の方法で加工された有機無機ハイブリッドガラス状物質の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
【選択図】 なし


Description

本発明は、その内部に連続した屈折率変化領域を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質とその加工方法に関する。
光情報処理や光通信分野の急激な発達に伴い、多くの透明材料が開発され、使用され始めている。その透明材料も使用される波長域によってその要求仕様が異なるため、種々の透明材料に関する開発が行われている。例えば、多くのところで用いられようとしている光導波路は、集積化、微小化、高機能化および低価格化を目指して、多くの検討がなされている。実際、石英系材料を用いた石英系光導波路素子が光通信分野の一部で実用化されるに至っている(例えば、非特許文献1を参照)。また、この他にも、光分岐結合器、光分波合波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレータを始めとして多くの光学素子が開発されている。
一方、石英よりも安価な材料を用い、かつ簡便な作製法を採ることができる高分子光導波路の検討も盛んになってきている。高分子光導波路の作製法の検討例として、以下のものを挙げることができる。すなわち、(1)高分子材料の中にモノマーを含有させ、光照射により該モノマーを重合させて非照射部分との屈折率差を作るフォトロッキングあるいは選択光重合法(例えば、非特許文献2を参照)、(2)リソグラフィあるいはエッチングなどの半導体加工に用いる方法の適用(例えば、非特許文献3を参照)、および(3)重合性高分子あるいはレジストを用いる方法(例えば、非特許文献4を参照)、および(4)フェムト秒レーザなどのパルス先頭値エネルギの大きなレーザをガラス等の透明媒質内部に集光照射した際に生じる多光子吸収を用いた内部による方法等である。
このように、多くの材料について検討されてきたことにより、例えば光導波路に使用できる材料は多種多様化している。しかし、その使用が増加すると共に、もっと低温で処理できる透明材料に対する要求も増加しつつある。すなわち、これまで開発されてきた材料で光導波路を製作しようとすると、加工処理するためのレーザは大きな出力を必要とし、コスト的にも技術的にも問題がある。このため、もっと小さなエネルギで加工できる材料が望まれている。この対応の一環として、高分子材料を利用することも考えられているが、高分子材料は化学的な安定性が悪く、その使用には多くの制限がある。
そこで、高分子材料と同じ程度の低温処理性を有し、高分子材料よりも化学的な安定性があり、光透過率が良く、加工性を有する光通信材料が望まれているが、まだ開発されていない。
公知技術をみれば、10W/cmとピーク出力値が高いレーザを照射することによりガラス内部に光導波路を形成する方法(例えば、特許文献1参照)が、非線形光学効果を呈するガラス材料を基体又は基体の一部としレーザ光の集光照射によって屈折率を変化させた光導波回路及び非線形光学装置(例えば、特許文献2参照)が、Bi含有ガラス材料を基体又は基体の一部とした光導波回路及び非線形光学装置(例えば、特許文献3参照)が、光導波路用ハライド酸化物ガラス組成物及び該光導波路並びにそれを用いた光学装置(例えば、特許文献4参照)がさらにはフッ化物ガラス及びこれを用いた光増幅用導波路、光増幅器(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
このような中、無鉛の低融点ガラスとして有機無機ハイブリッドガラスが着目され、例えば、無水酸塩基反応法による有機無機ハイブリッドガラスの新しい製造方法として着目されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、有機無機ハイブリッドガラス自体が近年開発されたものであり、まだ不明の点が多い。例えば、有機無機ハイブリッドガラスのレーザ加工と光学的特性の変化の関係については不明のことが多く、レーザ加工された有機無機ハイブリッドガラスが商品化された例はない。これは、加熱や冷却されたときの有機無機ハイブリッドガラスの構造変化や物性変化が大きく、破壊や商品としての安定性に問題があるからである。
特開平9-311237号公報 特開平10-288799号公報 特開平11-167036号公報 特開平11-231151号公報 特開平11-109152号公報 特開2003-313300号公報 河内正夫、NTT R&D、43[11],101(1994). 黒川ら,Appl.Phys,17,646(1978). 今村ら,Electronics Letter,27,1342(1991). トレウェアら、SPIE,1177、379、(1989).
光導波路形成に関する技術について、特開平9-311237号公報の方法はピ−クパワー強度が10W/cm以上であり、極めて大きなパワーを必要とすることから、破壊やその制御の問題から低融点ガラスの加工には不向きである。また、特開平10-288799号公報、特開平11-167036号公報、特開平11-231151号公報及び特開平11-109152号公報に開示された方法はそれぞれに顕著な効果が認められるが、高分子材料と同じ程度の低温処理性を有し、高分子材料よりも化学的な安定性があり、光透過率が良く、加工性を有する光通信材料という点を満足してはいない。
すなわち、上述に開示された方法では、400℃以下の軟化開始温度で高光透過率を有する材料の光導波特性向上のための加工を行うことはできない。また、特開2003-313300号公報の方法では、従来にない軟化開始温度特性を有することは理解できるが、光導波特性向上のための加工方法等は明示されていない。
本発明は、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部にレーザ光を照射し、そのレーザ光の集光点を相対移動させることにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部に連続した屈折率変化領域を形成させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、集光点におけるレーザのパワー強度は1〜800kW/cmである上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質、又はレーザ光を集光させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の近傍領域に、光吸収用の材料を含有させる上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、光吸収用材料は希土類イオン、有機色素、金属微粒子等から選ばれる上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、レーザ光照射後に急冷する上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、レーザ光照射後の急冷は1〜200W/mKの熱伝達係数の範囲で行われる上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質は、無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかで製造された上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。
さらに、上記の方法で加工された有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
さらにまた、内部に連続した屈折率変化領域を有する上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
さらにまた、光導波の作用を有する上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
さらにまた、軟化温度が0〜400℃である上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
さらにまた、無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかの方法で製造された上記の有機無機ハイブリッドガラス状物質である。
本発明は、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部にレーザ光を照射し、そのレーザ光を一定時間止める、あるいは走査することにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部に点あるいは連続した屈折率変化領域を形成させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法である。照射するためのレーザとしては、多くの種類のレーザを用いることができる。ここで、レーザは熱源の吸収波長に合致する波長のレーザを選択すればよい。レーザ光は直接入射させても良いが、多くの場合にはレンズを利用した集光技術が使われ、レーザ光を照射させたところが溶融状態となり、そのレーザ光の集光点を一定時間止めるあるいは走査することにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部に点あるいは連続した屈折率変化領域を形成させることができる。
また、集光点におけるレーザのパワー強度は1〜800kW/cmであることが好ましい。1kW/cmよりも小さなピークパワー強度の場合、十分な屈折率変化領域を形成させることができない。一方、800kW/cmよりも大きなパワー強度の場合、着色や破壊の問題が発生する。より好ましくは、10〜750kW/cmで、さらに好ましくは100〜700kW/cmである。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質、又はレーザ光を集光させる有機無機ハイブリッドガラス状物質の近傍領域に、光吸収用の材料を含有させることが好ましい。光吸収用の材料を含有させることにより、より効率的に屈折率変化領域を形成させることができる。これらの材料は書き込みに用いるレーザの波長域によって選択可能であるが、有機無機ハイブリッドガラス状物質の中に入ったとき安定性を有すことも重要な因子となる。
光吸収用材料は希土類イオン、有機色素、金属微粒子等から選ばれることが好ましい。これらの光吸収用材料は、有機無機ハイブリッドガラス状物質に導入しやすく、また安定化し、さらにはコスト的にも有用であるからである。なお、希土類イオンはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tmを意味する。また、有機色素は有機系である特徴を有する。特に、Nd3+はアルゴンイオンレーザのときに導入する材料としては好適である。
また、レーザ光照射後に急冷することが好ましい。レーザ光照射後の急冷により、安定した屈折率変化領域を形成させることができる。この急冷は、レーザ光照射直後から行うことが望ましく、時間経過後の急冷は屈折率変化領域を形成させる効果が小さく、逆に破壊の問題が発生することもある。さらに、レーザ光照射後の急冷は1〜200W/mKの熱伝達係数の範囲で行われることが好ましい。レーザ光照射後の急冷が1W/mKよりも小さな熱伝達係数の条件下で行われた場合、十分な屈折率変化領域を形成させることができない。一方、200W/mKよりも大きな熱伝達係数の条件下で行われた場合、着色や破壊の問題が発生する。より好ましくは、2〜100W/mKで、さらに好ましくは3〜80W/mKである。なお、この場合、急冷がなされる条件下であれば、意識的な急冷を行う必要がない場合もあり、例えば適切な雰囲気下においてはレーザ光照射を停止した段階でそのまま推移させても屈折率変化領域を形成させることができることもある。
また、有機無機ハイブリッドガラス状物質は、無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかで製造されたことが好ましい。これらの方法で作られた有機無機ハイブリッドガラス状物質は、安定しているからである。しかし、これらの方法で作られた有機無機ハイブリッドガラス状物質は、同様の原料から出発しても、得られる生成物の特性が異なるので、注意を払わなければならない。一般的には、無水酸塩基法やゾル濃縮法から作られる有機無機ハイブリッドガラス状物質の方が、低軟化特性すなわち軟化点が低いガラスが得られる傾向にある。
さらに、上記の方法で加工された有機無機ハイブリッドガラス状物質であり、内部に連続した屈折率変化領域を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質である。この内部に連続した屈折率変化領域を有することにより、光導波路の役割を持たすことができる。
また、光導波の作用を有する有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。光導波の作用を有することにより、効率良く光を伝播させることができる。
また、軟化温度が0〜400℃である有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。軟化温度が上述の範囲にあることにより、電子材料として用いる場合、従来よりも低い温度で作業することができる。
無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかの方法で製造された有機無機ハイブリッドガラス状物質であることが好ましい。これらの方法で製造された有機無機ハイブリッドガラス状物質は安定しているので、加工後の商品も安定している。
なお、無水酸塩基法は、無水酸塩基反応を用いてガラスを製作する方法であり、例えばHPO、HPOのなどの酸とRSiCl4−n(R:有機官能基)、SnCl、ZnClのなどの塩基を窒素雰囲気下加熱混合し、脱HCl反応を行うことによりガラスネットワークを形成し、試料を得る方法である。ゾルゲル法は、数種類のゾルゲル原料を室温で数時間撹拌して2日〜1週間静置して湿潤ゲルを得た後、室温〜約100℃で1〜3日間乾燥させて乾燥ゲルとし、低くとも400℃以上で通常は800℃以上で焼結させてバルク体や繊維状とする方法であり、従来からよく知られている方法である。これに対し、ゲル溶融法は混合工程で得られたゲルを溶融し、その後の熟成工程を経てガラスを得る方法であり、ゾル濃縮法はゲルを経ることなく得られた濃縮ゾルを溶融し、その後の熟成工程を経てガラスを得る方法である。後者の2者の熟成は、従来のゾルゲル法の中で一部の研究者が述べていた熟成とは全く別のものであり、2日〜1週間かけて湿潤ゲルを得るための静置を指すのではなく、溶融後の有機無機ハイブリッドガラスを積極的に構造変化せしめてガラス状物質を安定化させる作業を指す。
出発原料はSi、Ti、Al、Ge、Sn、B、P、Pd、In、Zn、Ga等のアルコキシド、特に金属アルコキシドが好ましい。しかし、金属アセチルアセトナート、金属カルボン酸塩、金属硝酸塩、金属水酸化物、及び金属ハロゲン化物等、いわゆるゾルゲル法で使われているものであれば製造は可能である。
一般的な低融点ガラスの製造方法としては、溶融法と低温合成法が知られている。溶融法はガラス原料を直接加熱することにより溶融してガラス化させる方法で、多くのガラスがこの方法で製造されているが、融点を下げるために、鉛やアルカリ、ビスマスなどの含有を必要とする等、構成できるガラス組成には多くの制限がある。一方、非晶質バルクの低温合成法としては、ゾルゲル法、液相反応法及び無水酸塩基反応法が考えられている。
使用可能な用の低融点ガラスは高温溶融ガラスに比べ、その成形加工に要するエネルギひいてはコストを抑えられるため、省エネルギに対する昨今の社会的要請とも合致している。さらに、光機能性能の有機物を破壊しない温度で溶融することが可能ならば、光機能性有機物含有(非線形)光学材料のホストとして光スイッチなどの光情報通信デバイスなどへの応用が期待される。
なお、熱伝達係数はその中心部にアルメル・クロメル熱伝対を埋め込んだ直径が10mmで厚さが2mmの銅円板を用い、同等の冷却条件となるように加熱・冷却した値から推定した。
以下、実施例に基づき、述べる。
(実施例1)
出発原料には亜リン酸(HPO)、ジメチルジクロロシラン(MeSiCl)を室温で混合を開始し、それに塩化スズ(SnCl)と塩化ネオジウム(NdCl・6HO)を0.75:1:1:0.02のモル比で加えて3時間の混合を行った。その後、窒素雰囲気下において、160℃で3時間、その後200℃に上げてさらに3時間反応させて、ガラス状物質を得た。このとき、発生する塩化水素ガスは窒素と共に系外に放出させた。さらに、このガラス状物質を5mmx10mmx45mmの硬質ガラスセルに封入した後、160℃の雰囲気下で3時間脱泡処理し、さらに2時間かけて徐冷して、試料を得た。
この試料に、Spectra Physics社製のCWアルゴンイオンレーザ(ビーム波長は514.5nm)を用いた。アルゴンイオンレーザのビーム径は1.4mmΦ程度であった。35mWのパワー強度で5倍対物レンズ(NA:0.1、焦点距離19mm)を用いてサンプル内部に集光して30分間照射し、冷却した。このときの集光点におけるレーザのパワー強度は約40kW/cmであり、熱伝達係数は約8W/mKである。焦点付近に照射軸方向から見て直径200μm程度の屈折率変化量Δnが負のスポットを透明のままで誘起することに成功した。誘起した屈折率変化は光学顕微鏡を用いて確認した。
(実施例2)
実施例1と同様のサンプルを用い、同様の光源を用いた。アルゴンイオンレーザを40mWのパワー強度で長焦点対物レンズ(倍率:20倍、NA:0.3、焦点距離9mm)を用いてサンプル内部に集光して20分間照射し、冷却した。このときの集光点におけるレーザのパワー強度は約60kW/cmであり、熱伝達係数は約10W/mKである。焦点付近に照射軸と垂直方向から見て幅70μm、長さ500μm程度の線を透明のままで誘起することに成功した。誘起した屈折率変化は光学顕微鏡を用いて確認した。この線の屈折率変化量Δnは(−2〜−3)×10−3程度であった。
(実施例3)
実施例1と同様のサンプルを用い、同様の光源を用いた。アルゴンイオンレーザを28mWのパワー強度で長焦点対物レンズ(倍率:20倍、NA:0.3、焦点距離9mm)を用いてサンプル内部に集光しながら、0.0033mm/sでサンプルを照射軸と垂直方向に走査し、その後冷却した。このときの集光点におけるレーザのパワー強度は約40kW/cmであり、熱伝達係数は約5W/mKである。照射軸方向から見て、幅70μm、長さ3mm程度の線を透明のままで誘起することに成功した。誘起した屈折率変化は光学顕微鏡を用いて確認した。
(実施例4)
実施例1と同様のサンプルを用い、同様の光源を用いた。アルゴンイオンレーザを25mWのパワー強度で照射しながら、長焦点レンズ(20倍、NA:0.3、焦点距離:9mm)を用いて集光して試料内部に照射し、照射軸の奥行き方向に0.0033m/sで5mm走査し、その後冷却した。このときの集光点におけるレーザのパワー強度は約35kW/cmであり、熱伝達係数は約14W/mKである。このようにして屈折率変化を誘起できたが、誘起可能な屈折率変化は負の変化なので、四方を囲むようにして光導波路を製作した。その囲まれたところにHe−Neレーザ(633nm)を入射することにより、光導波路であることを確認した。
(実施例5)
実施例1と同様のサンプルを用い、同様の光源を用いた。実施例2の手法を用いて作製した線を照射軸と垂直方向に10本並べて回折格子とした。誘起した回折格子は光学顕微鏡を用いて確認した。また、その回折格子にHe−Neレーザ(633nm)を入射し、回折することを確認した。
(実施例6)
出発原料として金属アルコキシドのフェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)3)約10mlとエチルトリエトキシシラン(EtSi(OEt)3)約2mlの混合系を用い、そのモル比は8:2とした。容器中でフェニルトリエトキシシランとエチルトリエトキシシランに約45mlの水(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は50)、約30mlのエタノール(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は10)触媒である酢酸を約0.5ml(フェニルトリエトキシシランに対するモル比は0.01)加え、さらに酢酸ネオジウム(Nd(CHCOO))を加えて、加熱反応工程として80℃で3時間撹拌後、150℃に上げて1時間溶融した。さらに200℃で5時間熟成した後、室温まで冷却し、透明状物質を得た。この物質の軟化温度は124℃であった。
さらに、このガラス状物質を切断し厚さ10mmの板とした。これを両面鏡面研磨して試料を得た
この試料に、Spectra Physics社製のCWアルゴンイオンレーザ(ビーム波長は514.5nm)を用いた。アルゴンイオンレーザのビーム径は1.4mmΦ程度であった。35mWのパワー強度で5倍対物レンズ(NA:0.1、焦点距離19mm)を用いてサンプル内部に集光して30分間照射し、その後冷却した。このときの集光点におけるレーザのパワー強度は20kW/cmであり、熱伝達係数は約20W/mKである。焦点付近に照射軸方向から見て直径200μm程度の屈折率変化量Δnが負のスポットを透明のままで誘起することに成功した。
(比較例1)
石英ガラスに対し、実施例1とほぼ同様の条件として、ガラス内に屈折率変化を試みた。しかし、光学顕微鏡で確認できるレベルの屈折率変化は見出されなかった。
(比較例2)
実施例1とほぼ同様の原料とし、0.1kW/cmのパワー強度でレーザ照射し、屈折率変化領域を誘起させようと試みた。しかし、光学顕微鏡で確認できるレベルの屈折率変化は見出されなかった。なお、熱伝達係数を約250W/mKの条件で急冷したところ、クラックの発生が確認された。
(比較例3)
実施例1とほぼ同様の原料としたが、ネオジウムは入れずに10kW/cmのパワー強度で照射し、屈折率変化領域を誘起させようと試みた。しかし、光学顕微鏡で確認できるレベルの屈折率変化は見出されなかった。なお、熱伝達係数を約250W/mKの条件で急冷したところ、クラックの発生が確認された。
(比較例4)
実施例1の条件とほぼ同様の原料としたが、ネオジウムを入れずに1000kW/cmのパワー強度で照射したところ、着色し、また一部クラックも誘発した。そのガラス物質に実施例1と同様の屈折率変化領域を誘起しようと試みた。しかし、光学顕微鏡で確認できるレベルの屈折率変化は見出されなかった。なお、熱伝達係数を約250W/mKの条件で急冷したところ、クラックの発生が確認された。
(比較例5)
実施例1の条件とほぼ同様の原料としたが、ネオジウムを入れずに1000kW/cmのパワー強度で照射し、熱伝達係数を約250W/mKの条件で急冷したところ、クラックの発生が確認され、使用できるレベルにはなかった。
光導波路、光学ファイバー、光スイッチや光結合器を始めとする光情報通信デバイス材料、LEDチップを始めとする光学機器材料、光機能性(非線形)光学材料等の分野における微細加工の技術として利用可能である。

Claims (12)

  1. 有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部にレーザ光を照射し、そのレーザ光の集光点を相対移動させることにより、有機無機ハイブリッドガラス状物質の内部に連続した屈折率変化領域を形成させることを特徴とする有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  2. 集光点におけるレーザのパワー強度は1〜80kW/cmであることを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  3. 有機無機ハイブリッドガラス状物質に光吸収用材料を含有させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  4. 光吸収用材料は希土類イオン、有機色素、金属微粒子、遷移金属イオン等から選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  5. レーザ光照射後に急冷することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  6. レーザ光照射後の急冷は1〜200W/mKの熱伝達係数の範囲で行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  7. 有機無機ハイブリッドガラス状物質は、無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかで製造されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質の加工方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法で加工された有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  9. 内部に連続した屈折率変化領域を有することを特徴とする請求項8に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  10. 光導波の作用を有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  11. 軟化温度が0〜400℃であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
  12. 無水酸塩基法、ゾルゲル法、ゲル溶融法及びゾル濃縮法のいずれかの方法で製造されたことを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の有機無機ハイブリッドガラス状物質。
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