JP2005289895A - 植物タンパク質分離精製法及びそれに用いるタンニン中和剤並びにその調製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
タンニン含んでいる植物からそれが含有している植物タンパク質を、効果的に分離精製する。
【解決手段】
タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製するにつき、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いる。
【選択図】なし
タンニン含んでいる植物からそれが含有している植物タンパク質を、効果的に分離精製する。
【解決手段】
タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製するにつき、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製する植物タンパク質分離精製法、及びそれに用いるタンニン中和剤、並びにその調製法に関する。
従来、植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている植物タンパク質液を得る工程と、その工程で得られる上記植物タンパク質液から上記植物タンパク質を分離精製する工程とを有する植物タンパク質分離精製法が提案されている。
ところで、植物の多くは、ポリフェノール(多価フェノール)でなるタンニンを含んでいるので、上述した植物タンパク質分離精製法によってタンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製する場合、上述した植物タンパク質分離精製法における植物から植物タンパク質液を得る工程及び植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程において、タンニンが存在することになる。
そして、そのように、植物から植物タンパク質を分離精製する工程においてタンニンが存在していれば、タンニンが、本来、タンパク質を水に不溶な物質に凝集させる性質をタンニン作用として有することから、そのタンニン作用によって、植物から植物タンパク質を分離精製するのを阻害し、植物から植物タンパク質を、効果的に、分離精製することができる、とは言えなくなる。
このため、従来、上述した植物タンパク質分離精製法によってタンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製する場合、植物から植物タンパク質液を得る工程及び植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程において、その工程に存在するタンニンによるタンニン作用を、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドンを有効成分とするタンニン中和剤を用いて中和する、という植物タンパク質分離精製法が提案されている。
このようなタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法によれば、タンニンを含んでいる植物から植物タンパク質を、タンニン中和剤を用いない場合に比し効果的に、分離精製することができる。
このようなタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法によれば、タンニンを含んでいる植物から植物タンパク質を、タンニン中和剤を用いない場合に比し効果的に、分離精製することができる。
しかしながら、上述した従来の、タンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法によってタンニンを含んでいる植物から植物タンパク質を分離精製する場合、用いるタンニン中和剤の有効成分がポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドンでなり、それが化学合成物質であることから、植物から植物タンパク質を食品加工用として分離精製するとき、その分離精製された食品加工用の植物タンパク質に、食品安全上の問題が生じる、という欠点を有していた。
よって、本発明は、上述した欠点のない新規な植物タンパク質分離精製法、及びそれに用いるタンニン中和剤、並びにその調製法を提案せんとするものである。
本発明者などは、[背景技術]で従来提案されていると述べた植物タンパク質分離精製法と同様の、植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている植物タンパク質液を得る工程とその工程で得られる植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程とを有する植物タンパク質分離精製法によって、タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製する場合、植物から植物タンパク質液を得る工程及び植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程に存在するタンニンによるタンニン作用を、[背景技術]で上述した従来のタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法の場合と同様に、タンニン中和剤を用いて中和するとするとき、それに用いるタンニン中和剤の有効成分として、従来用いていたタンニン中和剤の場合とは異なる、食品安全上実質的に問題が生じない、どのような有効成分であればよいか、ということについての種々の実験を行った。
その結果、鳥類中、卵白がグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している卵を生産する鳥類が存在し、よって、その鳥類の卵の卵白から、それ自体いずれも公知のクロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、グロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として分画精製することができ、そして、その分画精製した卵白タンパク質によれば、その卵白タンパク質が、タンニンを含んでいる植物から植物タンパク質を分離精製する工程に存在するタンニンによるタンニン作用を中和するのに用いるタンニン中和剤の、食品安全上実質的に問題が生じない有効成分に、効果的になり得る、ということを確認した。
本発明は、以上に基づき提案されたもので、次のとおりである。
すなわち、本願第1番目の発明は、タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製するにつき、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法、というものである。
すなわち、本願第1番目の発明は、タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製するにつき、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法、というものである。
また、本願第2番目の発明は、(a)タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている植物タンパク質液を得る工程と、その工程で得られる植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程とを有する植物タンパク質分離精製法において、(b)植物タンパク質液を得る工程及び植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程において、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いる植物タンパク質分離精製法、というものである。
さらに、本願第3番目の発明は、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤、というものである。
また、本願第4番目の発明は、鳥類の卵の卵白から、クロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、グロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として分画精製し、その分画精製した卵白タンパク質を用いて、その分画精製した卵白タンパク質を含有している剤を、タンニン中和剤として調製するタンニン中和剤の調製法、というものである。
本願第1及び第2番目の発明による植物タンパク質分離精製法によれば、タンニンを含んでいる植物からそれが含有している植物タンパク質を、それに食品安全上の問題を実質的に生ぜしめることのないタンニン中和剤を用いて、効果的に分離精製することができる。
本願第3番目の発明によるタンニン中和剤によれば、それを用いて、タンニンを含んでいる植物からそれが含有している植物タンパク質を、それに食品安全上の問題を実質的に生ぜしめることなしに、効果的に分離精製することができる。
本願第4番目の発明によるタンニン中和剤の調製法によれば、タンニンを含んでいる植物からそれが含有している植物タンパク質を、それに食品安全上の問題を実質的に生ぜしめることなしに、効果的に分離精製するのに用いるタンニン中和剤を、容易に調製することができる。
本願第1番目の発明及び本願第2番目の発明による植物タンパク質分離精製法の最良の実施形態は、(a)タンニンを含んでいる植物から、それが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている植物タンパク質液を、それ自体公知の種々の手段によって得る工程と、(b)その工程で得られる植物タンパク質液から、それ自体公知のクロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、植物タンパク質を分離精製する工程とをとることによって、タンニンを含んでいる植物から、それが含有しているタンパク質を、植物タンパク質として分離精製する。
そして、この場合、上記(a)の植物タンパク質液を得る工程及び上記(b)の植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程において、タンニン中和剤を、植物から植物タンパク質を分離精製する工程での植物タンパク質液に係ろうとしている液中や植物タンパク質液中や植物タンパク質に係っている液中に添加して、用いる。
ここで、タンニンを含んでいる植物としては、プリンスメロン、リンゴ、シュンギク、よもぎ、ジャガイモ、ホウレンソウ、ゴボウ、サツマイモ、大豆、茶葉など生活食品に属する植物とし得る。
ここで、タンニンを含んでいる植物としては、プリンスメロン、リンゴ、シュンギク、よもぎ、ジャガイモ、ホウレンソウ、ゴボウ、サツマイモ、大豆、茶葉など生活食品に属する植物とし得る。
また、植物から植物タンパク質を分離精製する工程に用いるタンニン中和剤は、「鳥類の卵の卵白から、クロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、グロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として分画精製し、その分画精製した卵白タンパク質を用いて、その分画精製した卵白タンパク質を含有している剤をタンニン中和剤として調製する」、という本願第4番目の発明に係るタンニン中和剤の調整法によって調製された、「鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなる」、という本願第3番目の発明に係るタンニン中和剤である。
また、本願第3番目の発明によるタンニン中和剤の最良の実施形態は、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなる。
ここで、鳥類は、鳥類中の、卵白がグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している卵を生産する鳥類を意味し、キジ目、カモ目、ダチョウ目に属する食用に供されているまたは供し得る鳥類、なかんずく、ニワトリ、ウズラ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、またはアイガモであるのを、それらが広く食用に供され、入手が容易であるなどの理由から、可とする。
ここで、鳥類は、鳥類中の、卵白がグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している卵を生産する鳥類を意味し、キジ目、カモ目、ダチョウ目に属する食用に供されているまたは供し得る鳥類、なかんずく、ニワトリ、ウズラ、ガチョウ、アヒル、シチメンチョウ、またはアイガモであるのを、それらが広く食用に供され、入手が容易であるなどの理由から、可とする。
さらに、タンニン中和剤がグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなる卵白タンパク質を含有している剤でなるとする、その剤は、液状、ゲル状、固状、粉状のいずれの形態をもとり得る。
さらに、本願第4番目の発明によるタンニン中和剤の調整法の最良の実施形態は、鳥類の卵の卵白から、それ自体公知のクロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、グロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として分画精製し、その分画精製した卵白タンパク質を用いて、その分画精製した卵白タンパク質を含有している、液状やゲル状や固状や粉状の形態を有する剤を、タンニン中和剤として調製する。
次に、本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例を、それに用いる本発明によるタンニン中和剤の実施例及びその調整法の実施例とともに述べよう。
まず、本発明による植物タンパク質分離精製法に用いる本発明によるタンニン中和剤を調製する、本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例を述べれば、次のとおりである。
ニワトリの卵を水で洗浄して割卵し、それにより出現する卵の内味から、卵黄を除去し、卵白のみを得、その卵白をガーゼで漉し、清澄な卵白を得た。
ニワトリの卵を水で洗浄して割卵し、それにより出現する卵の内味から、卵黄を除去し、卵白のみを得、その卵白をガーゼで漉し、清澄な卵白を得た。
次で、その清澄な卵白を、限界排除分子量5000のセロファンで製出された透析チューブに入れ、その透析チューブを、封じた状態で、容器内に、その底に接触しないように固定して配し、そして、その容器内に、pH4.0の0.1mol/L酢酸−酢酸アンモニウム緩衝液を外液として入れるとともに、容器の底に、攪拌子を入れ、そして、容器を、マグネチックスターラー上に載せ、外液を、その温度を4℃とした状態で、18時間攪拌し、それによって、透析チューブ内に、卵白の精製された液を、内液として得た。
次で、その内液を、透析チューブ内から外部に取りだし、その取出された内液に対し、10,000rpm、15分の遠心分離を施し、それによる上清液を得た。
そのように得た上清液が、タンパク質を、卵白タンパク質として含有していることを、紫外分光法によって確認した。
次で、上述したようにして得た上清液を、pH4.0の10mM酢酸−酢酸アンモニウム緩衝液が予め流されていることによってCM−セルロースが平衡化されている、直径2.2cm、長さ20cmのCM−セルロースカラムに、1.5mL/分の流速で流し、上清液中の卵白タンパク質をCM−セルロースカラムに吸着させる処理を行った。
次で、CM−セルロースカラムに、pH4.0の0.1mol/L酢酸−酢酸アンモニウム緩衝液の400mLを流し、CM−セルロースカラムに吸着に到らずに単に付着している卵白タンパク質以外の付着物を除去させる処理を行った。
次で、CM−セルロースカラムに、予めpH4.0の0.1M酢酸−酢酸アンモニウム緩衝液に4mol/Lアンモニア水または1mol/L水酸化ナトリウム溶液を加えて用意したpH4.4、pH4.7、pH5.0、pH5.6、pH6.0、pH6.7、pH8.5、pH9.5、及びpH10.0の溶液を、それらの順に順次流し、12種類の溶液(それらをQ(A)、Q(B)、Q(C)、Q(D)、Q(E)、Q(F)、Q(G)、Q(H)、Q(I)、Q(J)、Q(K)、及びQ(L)とする)を得た。
それら12種類の溶液Q(A)、Q(B)、Q(C)、Q(D)、Q(E)、Q(F)、Q(G)、Q(H)、Q(I)、Q(J)、Q(K)、及びQ(L)が、互いに異なるタンパク質画分(それらをそれぞれA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、及びLとする)をそれぞれ含有していることを、紫外分光法によって確認した。
また、それら12種類の溶液Q(A)〜Q(L)中の3種類の溶液Q(H)、Q(I)及びQ(L)がそれぞれ含有しているタンパク質画分H、I及びLが、それぞれコンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質(これらをそれぞれP(H)、P(I)及びP(L)とする)であることを、N末端アミノ酸配列20残基を分析することによって確認した。
次で、3種類の溶液Q(H)、Q(I)及びQ(L)がそれぞれ含有しているタンパク質画分H、I及びLが、それぞれコンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質P(H)、P(I)及びP(L)であることを確認したことから、それら3種類の溶液Q(H)、Q(I)及びQ(L)から、コンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質P(H)、P(I)及びP(L)を、限外ろ過法によって、コンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質P(H)、P(I)及びP(L)を濃縮した状態に、精製した。
次で、その精製されたコンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質P(H)、P(I)及びP(L)から、凍結乾燥法によって、コンアルブミン、グロブリン及びリゾチームでなる卵白タンパク質P(H)、P(I)及びP(L)をそれぞれ含有している粉状の剤(これらをそれぞれS(H)、S(I)及びS(K)とする)を、本発明によるタンニン中和剤(これをT(H)、T(I)及びT(L)とする)としてそれぞれ得た。
以上で、本発明による植物タンパク質分離精製法に用いる本発明によるタンニン中和剤を調製する、本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例が明らかとなった。
次に、上述した本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例により得られたタンニン中和剤を用いた本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例を述べれば、次のとおりである。
次に、上述した本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例により得られたタンニン中和剤を用いた本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例を述べれば、次のとおりである。
タンニンを含んでいる植物から植物タンパク質を分離精製するとする、その植物として、プリンスメロンの1.5kgを用意し、そのプリンスメロンを磨砕し、そのプリンスメロンの磨砕物から、圧搾によって、液汁を、プリンスメロンが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている、74 nmol/Lの植物タンパク質液として得る、という工程をとった。
次に、その工程で得た74 nmol/Lの植物タンパク質液から、それ自体公知のクロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、植物タンパク質を分離精製する、という工程をとった。
この場合、すなわち、上述した植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、74 nmol/Lの植物タンパク質液中に、上述した本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例によって調製した、本発明によるタンニン中和剤としての、コンアルブミンでなる卵白タンパク質を含有する剤でなるタンニン中和剤T(H)の1種を、0.01 %の濃度になる量を以って、添加した。
また、上述した植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、同じ植物タンパク質液に、上述したタンニン中和剤T(H)の1種に代え、上述した本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例によって調製した、本発明によるタンニン中和剤としての、グロブリンでなる卵白タンパク質を含有する剤でなるタンニン中和剤T(I)の1種を、0.01 %の濃度になる量を以って、添加した。
さらに、上述した、植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、同じ植物タンパク質液に、上述した本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)またはタンニン中和剤T(I)の1種に代え、上述した本発明によるタンニン中和剤の調製法の実施例によって調製した、本発明によるタンニン中和剤としての、リゾチームでなる卵白タンパク質を含有する剤でなるタンニン中和剤T(L)の1種を、0.01 %の濃度になる量を以って、添加した。
また、上述した、植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、同じ植物タンパク質液に、上述した本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)またはタンニン中和剤T(I)もしくはタンニン中和剤T(L)の1種に代え、本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)及びタンニン中和剤T(I)の2種を、タンニン中和剤T(H)について0.01 %の濃度になる量を以って、タンニン中和剤T(I)について0.01 %の濃度になる量を以って添加した。
さらに、上述した、植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、同じ植物タンパク質液に、上述した本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)またはタンニン中和剤T(I)もしくはタンニン中和剤T(L)の1種に代え、本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(I)及びタンニン中和剤T(L)の2種を、タンニン中和剤T(I)について0.01 %の濃度になる量を以って、タンニン中和剤T(L)について0.01 %の濃度になる量を以って添加した。
さらに、上述した、植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、同じ植物タンパク質液に、上述した本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)またはタンニン中和剤T(I)もしくはタンニン中和剤T(L)の1種、またはタンニン中和剤T(H)及びタンニン中和剤T(I)の2種、もしくはタンニン中和剤T(H)及びタンニン中和剤T(L)の2種、またはタンニン中和剤T(I)及びタンニン中和剤T(L)の2種に代え、本発明によるタンニン中和剤としての、タンニン中和剤T(H)、タンニン中和剤T(I)、及びタンニン中和剤T(L)の3種を、タンニン中和剤T(H)について0.01 %の濃度になる量を以って、タンニン中和剤T(I)について0.01 %の濃度になる量を以って、タンニン中和剤T(L)について0.01 %の濃度になる量を以って添加した。
しかるときは、プリンスメロンから、それが含有している植物タンパク質を、上述した植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程において、なんらタンニン中和剤を添加しない場合に比し、効果的に得ることができた。
このことは、上述した植物タンパク質液から植物タンパク質を精製する工程における、上述した本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例によって上述したようにタンニン中和剤が添加される植物タンパク質液が、タンニンを含んでいるプリンスメロンが含有しているタンパク質を溶かしている植物タンパク質液であることから、その植物タンパク質液がタンニンを含み、そして、そのタンニンが、いま、その植物タンパク質液中に、上述した本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例によらずに、タンニン中和剤を添加するということを行わないとすれば、植物タンパク質液の植物タンパク質と水素結合乃至疎水相互作用による非共有結合などの結合をしているが、上述した本発明による植物タンパク質分離精製法の実施例によれば、植物タンパク質液中に上述したようにタンニン中和剤を添加するので、タンニンが植物タンパク質液の植物タンパク質と結合している、その結合が、タンニン中和剤によって効果的に切断されることによるものであると認められた。
なお、上述においては、本発明による植物タンパク質分離精製法、それに用いるタンニン中和剤、その調整法のそれぞれについて、1つの実施例を述べたに留まり、本発明の精神を脱することなしに、種々の変型、変更をなし得ることは明らかである。
タンニンを含んでいる各種の植物からそれが含有している植物タンパク質を分離精製する食品、環境、香料、医薬品、化学品などの分野に、広く利用し得る。
Claims (4)
- タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として分離精製するにつき、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いることを特徴とする植物タンパク質分離精製法。
- タンニンを含んでいる植物からそれが含有しているタンパク質を植物タンパク質として溶かしている植物タンパク質液を得る工程と、その工程で得られる上記植物タンパク質液から上記植物タンパク質を分離精製する工程とを有する植物タンパク質分離精製法において、
上記植物タンパク質液を得る工程及び上記植物タンパク質液から植物タンパク質を分離精製する工程を通してみた植物から植物タンパク質を分離精製する工程において、鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなるタンニン中和剤を用いることを特徴とする植物タンパク質分離精製法。 - 鳥類の卵の卵白から分画精製されたグロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として含有している剤でなることを特徴とするタンニン中和剤。
- 鳥類の卵の卵白から、クロマトグラフィー法または電気泳動法もしくは等電点法によって、グロブリン、コンアルブミン及びリゾチーム中の1種または複数種でなるタンパク質を卵白タンパク質として分画精製し、その分画精製した卵白タンパク質を用いて、その分画精製した卵白タンパク質を含有している剤を、タンニン中和剤として調製することを特徴とするタンニン中和剤の調製法。
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