JP2005288978A - 金型組立体、及び、中空部を有する成形品の射出成形方法 - Google Patents

金型組立体、及び、中空部を有する成形品の射出成形方法 Download PDF

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Teru Oshima
輝 大島
Yoshihiro Kayano
義弘 茅野
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Abstract

【課題】加圧流体が外部へ漏洩することを確実に防止することができ、しかも、中空部内の加圧流体を短時間にて大気に開放することができる構造を有する金型組立体を提供する。
【解決手段】金型組立体は、固定金型部、可動金型部12、キャビティ13、溶融樹脂射出部、挿入穴17に挿入された加圧流体注入ノズル20、並びに、移動手段を備え、挿入穴17の内壁17Aにはシール部材40が配置され、加圧流体注入ノズル20には凹部24が設けられており、加圧流体排出流路25は、加圧流体注入ノズル20を前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル20の外面20Aとシール部材40との接触によって閉状態となり、加圧流体注入ノズル20を後進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙を介して開状態となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。
溶融熱可塑性樹脂を用いて射出成形法により成形品を成形する際、ヒケや反りのない外観の美麗な成形品を得るために、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧ガスを注入して、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、型開きの前に中空部内のガスを大気中に解放する、熱可塑性樹脂製成形品の製造装置が、例えば、特開昭64−14012号公報から公知である。キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に注入された加圧ガスによって、溶融熱可塑性樹脂が金型のキャビティを構成する面(金型のキャビティ面と呼ぶ場合がある)に押し付けられる結果、得られる成形品にヒケや反りが発生することを防止し得る。
この特許公開公報に開示された技術にあっては、キャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の射出時、ノズル26のキャップ32が金型下型12の挿入体41に設けられた弁口42の円錐形弁座と密閉係合状態となり、溶融熱可塑性樹脂がキャビティからノズル26の外面を介して外部へと漏れ出すことを防止している。また、成形終了後、ノズル26を後方に移動させ、キャビティ内の熱可塑性樹脂内部に設けられた中空部内の加圧流体を、ノズル26のキャップ32と弁口42の円錐形弁座との間の空隙、更には、ノズル26の外面を介して大気に開放する。
特開昭64−14012号公報 特開平11−309736号公報
しかしながら、特開昭64−14012号公報に開示された技術にあっては、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に注入された加圧ガスが、ノズル26のキャップ32と弁口42の円錐形弁座との間の空隙、更には、ノズル26の外面を介して外部へと漏洩することを防止する手段を何ら有していない。このような加圧ガスの外部への漏洩が何らかの事態によって発生すると、所望の中空部を形成することができなくなる結果、得られる成形品にヒケや反りが発生することを防止することができなくなる。
特開平11−309736号公報には、中空部内の加圧流体が外部へ漏れないようにするためのシール手段として、Oリングを用いることが例示されている。この特許公開公報に開示されている手段を用いれば、成形品を成形している間の加圧流体の漏洩を確実に防ぐことができる。しかしながら、成形終了後、キャビティ内の熱可塑性樹脂内部に形成された中空部内の加圧流体を大気に開放するためには、加圧流体をピン(加圧流体注入ノズル)の内部を逆流させなければならず、大気に開放するまでに長時間を要する。また、熱可塑性樹脂からの揮発性ガス等がピン(加圧流体注入ノズル)の内部に溜まり、係る揮発性ガスに起因した物質が加圧流体注入ノズルの内部に堆積するといった問題を有する。
従って、本発明の目的は、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧流体注入ノズルを介して注入された加圧流体が外部へ漏洩することを確実に防止することができ、しかも、成形終了後、キャビティ内の熱可塑性樹脂内部に形成された中空部内の加圧流体を短時間にて大気に開放することができる構造を有する金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る金型組立体は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
(F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、加圧流体注入ノズルの外面とシール部材との接触によって閉状態となり、
加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
(F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
(a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを前進端に位置させ、加圧流体注入ノズルの外面とシール部材との接触によって加圧流体排出流路を閉状態とし、
(b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後、
(e)移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを後進端に位置させて、加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
(f)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
ことを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る金型組立体若しくは本発明の第1の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、これらを総称して、本発明の第1の態様と略称する場合がある)において、加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることが好ましい。また、この好ましい形態を含む本発明の第1の態様において、加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上、望ましくは2×10-5m以上であることが好ましい。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る金型組立体は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
(F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、挿入穴の内壁とシール部材との接触によって閉状態となり、
加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
(F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
(a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを前進端に位置させ、挿入穴の内壁とシール部材との接触によって加圧流体排出流路を閉状態とし、
(b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後、
(e)移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを後進端に位置させて、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
(f)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
ことを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る金型組立体若しくは本発明の第2の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、これらを総称して、本発明の第2の態様と略称する場合がある)において、加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることが好ましい。また、この好ましい形態を含む本発明の第2の態様において、加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上、望ましくは2×10-5m以上であることが好ましい。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る金型組立体は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、並びに、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されたシール部材から構成されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁及びシール部材との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
加圧流体排出流路は、加熱によるシール部材の熱膨張に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面に接触することによって閉状態となり、冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって開状態となることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、並びに、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
を備えた金型組立体であって、
挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されたシール部材から構成されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁及びシール部材との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
(a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、
(b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出前、射出開始と同時、若しくは、射出中に、加熱によるシール部材の熱膨張に基づき、シール部材を加圧流体注入ノズルの外面に接触させることによって、加圧流体排出流路を閉状態とし、
(c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、冷却によるシール部材の収縮に基づき、シール部材を加圧流体注入ノズルの外面から離すことによって、加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
(e)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
ことを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る金型組立体若しくは本発明の第3の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、これらを総称して、本発明の第3の態様と略称する場合がある)において、シール部材の外面は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部によって拘束されており、シール部材は加圧流体排出流路が狭くなる方向へ熱膨張するように構成されていることが好ましい。あるいは又、挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差するシール部材の断面積の平均値は10mm2以上であることが好ましい。また、シール部材はキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加熱され、若しくは、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によってシール部材を加熱する構成とすることができるし、あるいは又、シール部材を加熱するための加熱手段を更に備え、シール部材は加熱手段によって加熱され、若しくは、シール部材を加熱するための加熱手段を更に備え、加熱手段によってシール部材を加熱する構成とすることもできる。後者の場合、加熱手段として電気ヒータを挙げることができるし、金型温度調節等に使用される熱媒流体を挙げることもできる。より具体的には、例えば、シール部材の内部に、例えば、電気ヒータを組み込み、あるいは又、配管を配設すればよい。これらの好ましい形態を含む本発明の第3の態様において、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、シール部材を構成する材料の線膨張率をα2としたとき、
α2−α1≧1×10-5-1
を満足することが、加圧流体排出流路を確実に開閉させるといった観点から好ましい。更には、冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面とシール部材との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることが好ましい。
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る金型組立体は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、並びに、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
を備えた金型組立体であって、
加圧流体注入ノズルは、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
加圧流体排出流路は、加熱による加圧流体注入ノズルの熱膨張に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁に接触することによって閉状態となり、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって開状態となることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法は、
(A)固定金型部、
(B)可動金型部、
(C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
(D)溶融樹脂射出部、並びに、
(E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
を備えた金型組立体であって、
加圧流体注入ノズルは、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されており、
加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
(a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、
(b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出前、射出開始と同時、若しくは、射出中に、加熱による加圧流体注入ノズルの熱膨張に基づき、加圧流体注入ノズルの外面を挿入穴の内壁に接触させることによって、加圧流体排出流路を閉状態とし、
(c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき、加圧流体注入ノズルの外面を挿入穴の内壁から離すことによって、加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
(e)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
ことを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る金型組立体若しくは本発明の第4の態様に係る中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、これらを総称して、本発明の第4の態様と略称する場合がある)において、加圧流体注入ノズルはキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加熱され、若しくは、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加圧流体注入ノズルを加熱する構成とすることができるし、あるいは又、加圧流体注入ノズルを加熱するための加熱手段を更に備え、加圧流体注入ノズルは加熱手段によって加熱され、若しくは、加圧流体注入ノズルを加熱するための加熱手段を更に備え、加熱手段によって加圧流体注入ノズルを加熱する構成とすることもできる。後者の場合、加熱手段として電気ヒータを挙げることができるし、金型温度調節等に使用される熱媒流体を挙げることもできる。より具体的には、例えば、加圧流体注入ノズルの外面にリング状の電気ヒータを取り付ければよいし、あるいは又、加圧流体注入ノズルに配管を配設すればよい。これらの好ましい形態を含む本発明の第4の態様において、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、加圧流体注入ノズルを構成する材料の線膨張率をα3としたとき、
α3−α1≧1×10-5-1
を満足することが、加圧流体排出流路を確実に開閉させるといった観点から好ましい。更には、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることが好ましい。
更には、これらの好ましい形態を含む本発明の第4の態様において、挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面内に位置する構成とすることができるし、あるいは又、挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面内に位置する構成とすることもできるし、あるいは又、挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面と角度β(但し、0°<β<90°)で交わる仮想面内に位置する構成とすることもできる。
尚、本発明の第1の態様と第2の態様とを組み合わせてもよい。また、本発明の第3の態様と第4の態様とを組み合わせてもよい。
上記の各種の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第4の態様において、加圧流体注入ノズルは、例えば、可動金型部に配置してもよいし、固定金型部に配置してもよいし、可動金型部と固定金型部の両方に配置してもよい。そして、加圧流体注入ノズルの先端が、キャビティ内、あるいは、固定金型部又は可動金型部のキャビティを構成する面(固定金型部のキャビティ面、可動金型部のキャビティ面)近傍に位置するように、加圧流体注入ノズルを固定金型部又は可動金型部に配置することが好ましい。加圧流体注入ノズルの後端部は、例えば配管を介して加圧流体源に接続されている。また、加圧流体注入ノズルの後部に移動手段が取り付けられている。
本発明の第1の態様又は第2の態様において、移動手段は、油圧シリンダーあるいは空気圧シリンダーから構成することができ、あるいは又、電動モータから構成することができる。本発明の第3の態様又は第4の態様においては、加圧流体注入ノズルを移動させる必要がないので、基本的には、移動手段は不要である。
本発明の第1の態様〜第4の態様において、加圧流体注入ノズルの先端部分には、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の侵入を防止するための逆止弁やスリーブを配設することが望ましいが、加圧流体注入ノズルの先端に設けられた開口部の径が、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂が侵入しないような径であれば、逆止弁等の配設を不要とすることもできる。
本発明の第1の態様〜第4の態様において、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面で切断したときの加圧流体注入ノズルの断面形状は、円形、楕円形、卵形、多角形、頂点の部分に丸みを持たせた多角形等、任意の形状とすることができるが、中でも、円形若しくは多角形であることが好ましい。加圧流体注入ノズルの往復行程は、加圧流体注入ノズル軸線と平行な直線運動である。挿入穴軸線に略垂直な仮想面で挿入穴を切断したときの挿入穴の断面形状は、加圧流体注入ノズルの断面形状と相似形であることが好ましい。
本発明の第1の態様〜第4の態様において、固定金型部や可動金型部を、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料から作製することができる。
本発明の第1の態様〜第3の態様において、加圧流体注入ノズルを、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料、ポリイミド樹脂やPPS樹脂等の有機材料、ジルコニアセラミックス等の無機材料から作製することができる。一方、本発明の第4の態様において、加圧流体注入ノズルを、例えば、亜鉛合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属材料、ポリイミド樹脂やPPS樹脂等の有機材料から作製することができる。
本発明の第1の態様若しくは第2の態様において、シール部材を、例えば、リング状の金属芯と、この金属芯を被覆する耐熱性、耐摩耗性、耐摺動性、耐薬品性に優れた樹脂層(例えば、ポリテトラフルオロエチレン層やポリジフルオロメチレン層といったフッ素系樹脂層)から構成することができる。ここで、金属芯の一種の反発力や引張力を利用して、シール部材を挿入穴の内壁や加圧流体注入ノズルの外面に取り付け、樹脂層によって気密性を確実なものとする。尚、本発明の第1の態様において、シール部材を挿入穴の内壁に配置するために、挿入穴の内壁にシール部材収納用の環状の溝部を設けておくことが好ましく、本発明の第2の態様において、シール部材を加圧流体注入ノズルの外面に配置するために、加圧流体注入ノズルの外面にシール部材収納用の環状の溝部を設けておくことが好ましい。
一方、本発明の第3の態様において、シール部材を、所謂ブッシュとすることができ、シール部材を構成する材料として、亜鉛合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金等の金属材料、ポリイミド樹脂やPPS樹脂等の有機材料、ジルコニアセラミックス等の無機材料を挙げることができる。
通常、溶融樹脂射出部は、固定金型部に設けられ、あるいは又、固定金型部と可動金型部との接合部に設けられている。溶融樹脂射出部(所謂、ゲート部)の形式は任意の形式とすることができ、例えば、ダイレクトゲート構造、サイドゲート構造、ジャンプゲート構造、ピンポイントゲート構造、トンネルゲート構造、リングゲート構造、ファンゲート構造、ディスクゲート構造、フラッシュゲート構造、タブゲート構造、フィルムゲート構造を例示することができる。固定金型部における溶融樹脂流路の構造として、スプルーとコールドランナーの組合せ、あるいは又、ホットランナーを挙げることができる。即ち、固定金型部における溶融樹脂流路としてスプルー部やランナー部が設けられており、且つ、ランナー部とキャビティの間には溶融樹脂射出部が配設されている構造としてもよいし、ホットランナー、バルブゲート等を介して、直接、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出する構造としてもよく、これらの場合、これらのホットランナー、バルブゲート等も溶融樹脂射出部に包含される。
加圧流体は、常温及び常圧で気体の物質であり、使用する熱可塑性樹脂と反応や混合しないものが望ましい。具体的には、窒素ガス、空気、炭酸ガス、ヘリウム等が挙げられるが、安全性及び経済性を考慮すると、窒素ガスやヘリウムガスが好ましい。
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る射出成形方法での使用に適した熱可塑性樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂等のスチレン系樹脂;PMMA樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
更には、本発明の射出成形方法においては、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
これらの熱可塑性樹脂には、剛性に代表される機械的特性、寸法安定性等を成形品に付与するために、例えば、ガラス繊維、ガラスフレーク、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選択された少なくとも1種の材料から構成された無機繊維が含有されていてもよい。また、例えば安定剤、離型剤、紫外線吸収剤の有効発現量を熱可塑性樹脂に配合してもよい。
成形品の射出成形にあたって、射出成形時の溶融熱可塑性樹脂の量、温度、圧力あるいは射出速度、注入すべき加圧流体の量、圧力あるいは速度、固定金型部及び可動金型部の冷却時間等、種々の条件は、使用する熱可塑性樹脂の種類、固定金型部及び可動金型部の形状等に依存して、適宜選択、制御する必要があり、一義的に定めることはできない。
本発明にあっては、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流体の注入開始時期は、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への注入開始から0.1秒乃至25秒とすることが好ましいが、これに限定するものではない。加圧流体の注入開始時期の下限は、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内へ射出しながら、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂中へ加圧流体を注入する場合に、注入された加圧流体がキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂を吹き飛ばすことがなくなるような時期とすればよい。一方、加圧流体の注入開始時期が25秒を越えると、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の固化によって所望の中空部が形成できなくなる虞がある。キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流体の注入開始の時期は、キャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、射出完了後のいずれであってもよい。キャビティ内に射出される溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に満たす量であってもよいし、完全には満たさない量であってもよい。
本発明の第1の態様においては、加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は加圧流体注入ノズルの外面とシール部材との接触によって閉状態となり、加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となる。また、本発明の第2の態様においては、加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は挿入穴の内壁とシール部材との接触によって閉状態となり、加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となる。更には、本発明の第3の態様においては、加圧流体排出流路は、加熱によるシール部材の熱膨張に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面に接触することによって閉状態となり、冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって開状態となる。また、本発明の第4の態様においては、加圧流体排出流路は、加熱による加圧流体注入ノズルの熱膨張に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁に接触することによって閉状態となり、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって開状態となる。従って、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧流体注入ノズルを介して注入された加圧流体が外部へ漏洩することを確実に防止することができ、しかも、成形終了後、キャビティ内の熱可塑性樹脂内部に形成された中空部内の加圧流体を短時間にて大気に開放することが可能である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。実施例1の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図1の(A)及び(B)に示し、実施例1の金型組立体を含む射出成形装置の概念図を図2に示す。
実施例1の金型組立体10は、
(A)固定金型部11、
(B)可動金型部12、
(C)固定金型部11と可動金型部12との型締めによって形成されるキャビティ13、
(D)溶融樹脂射出部14、
(E)可動金型部12に設けられた挿入穴17に挿入された加圧流体注入ノズル20、並びに、
(F)加圧流体注入ノズル20を前進端及び後進端へと移動させる移動手段30、
を備えている。
ここで、図2に示した溶融樹脂射出部(ゲート部)14は、ダイレクトゲート構造を有し、ランナー部及びスプルー部(これらを参照番号15で示す)を介して射出用シリンダー16と連通している。尚、溶融樹脂射出部(ゲート部)14の構造はダイレクトゲート構造に限定するものではない。
加圧流体注入ノズル20は、先端22に、加圧流体を吐出する開口部23を有する。また、先端部分21に逆止弁(図示せず)が配置されている。金型組立体における加圧流体注入ノズル20の取付位置は、図2に示す例においては、可動金型部12のキャビティを構成する面(可動金型部12のキャビティ面12A)近傍である。即ち、加圧流体注入ノズル20が前進端に位置するときの加圧流体注入ノズル20の先端22は、可動金型部12のキャビティ面12Aと略一致している(図1の(A)参照)。一方、加圧流体注入ノズル20が後進端に位置するときの加圧流体注入ノズル20の先端22は、キャビティ13の外側(挿入穴17の内部)に位置する(図1の(B)参照)。加圧流体注入ノズル20の加圧流体注入ノズル軸線(図1の(A)及び(B)に一点鎖線Lで示す)と略垂直な方向に切断したときの加圧流体注入ノズル20の断面形状が直径4.995mmの円形の加圧流体注入ノズル20を使用した。加圧流体注入ノズル20は、配管を介して加圧流体源に接続されている。尚、配管及び加圧流体源の図示は省略した。
加圧流体注入ノズル20を往復行程させるための移動手段30は、シリンダー部31及びピストン部32から成る油圧シリンダーから構成されている。ピストン部32の先端に加圧流体注入ノズル20の後部が取り付けられている。シリンダー部31は適切な方法で可動金型部12に取り付けられている。シリンダー部31には、図示しない油圧システムから油が送り込まれ、あるいは又、シリンダー部31から油が排出され、ピストン部32が往復運動する。
実施例1においては、可動金型部12に、加圧流体注入ノズル20を挿入するための挿入穴17(内径:5mm)が設けられている。また、挿入穴17の内壁の一部分であって挿入穴軸線(加圧流体注入ノズル軸線と一致し、図1の(A)及び(B)に一点鎖線Lで示す)に略垂直な仮想面と交差する部分には、環状の溝部18が設けられており、この溝部18内にシール部材40が配置されている。シール部材40は、リング状の金属芯41と、この金属芯41を被覆するポリテトラフルオロエチレンから成る樹脂層42から構成されている。また、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル20の外面20Aの一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、環状(溝状)の凹部24が設けられている。加圧流体注入ノズル20の外面20Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に位置する隙間(G)が、加圧流体排出流路25に相当する。
そして、図1の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル20を前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路25は、加圧流体注入ノズル20の外面20Aとシール部材40との接触によって閉状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とは、加圧流体注入ノズル20の外面20Aとシール部材40との接触によって不連通状態となる。
一方、図1の(B)に示すように、加圧流体注入ノズル20を後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路25は、加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙を介して開状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とは、加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙を介して連通状態となる。
実施例1にあっては、図1の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル20を前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)の平均値は5×10-5m以下(具体的には、20μm)であった。一方、図1の(B)に示すように、加圧流体注入ノズル20を後進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上(具体的には、20μm)であった。
実施例1においては、固定金型部11及び可動金型部12をS55Cから作製し、加圧流体注入ノズル20をSKD61から作製した。
以下、金型組立体10等の模式的な断面図である図3の(A)、図4の(A)及び図5の(A)、並びに、加圧流体注入ノズル20及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図3の(B)、図4の(B)及び図5の(B)を参照して、実施例1の射出成形方法を説明する。尚、図3の(A)、図4の(A)及び図5の(A)においては、射出用シリンダー16の図示を省略した。
[工程−100]
先ず、図2に示すように、固定金型部11と可動金型部12とを型締めしてキャビティ13を形成した。そして、移動手段30を作動させた。具体的には、シリンダー部31に、図示しない油圧システムから油を送り込み、ピストン部32を押し出した。こうして、図1の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル20を前進端に位置させ、加圧流体排出流路25を、加圧流体注入ノズル20の外面20Aとシール部材40との接触によって閉状態とした。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とを、加圧流体注入ノズル20の外面20Aとシール部材40との接触によって不連通状態とした。
[工程−110]
そして、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー16内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー16からランナー部及びスプルー部15、溶融樹脂射出部(ゲート部)14を介して、キャビティ13内に溶融熱可塑性樹脂50を射出した(図3の(A)及び(B)参照)。射出条件を、以下の表1に例示する。尚、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名:ユーピロンS3000)を使用した。以下に説明する実施例及び比較例においても同じポリカーボネート樹脂を使用した。また、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂50の体積を、キャビティ13を完全に満たす体積とした。溶融熱可塑性樹脂50が加圧流体注入ノズル20の先端部から侵入するが、逆止弁(図示せず)によって、逆止弁よりも上流への溶融熱可塑性樹脂の侵入は防止される。更には、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)の平均値は5×10-5m以下であるが故に、この隙間(G)へ溶融熱可塑性樹脂が侵入する虞はない。
[表1]
溶融熱可塑性樹脂温度 :280゜C
金型温度 :80゜C
射出圧力 :1.1×108Pa
射出時間 :3.0秒間
[工程−120]
溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13への射出完了と同時に、加圧流体注入ノズル20から(より具体的には、開口部23から)、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50に加圧流体を注入し、以て、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50の内部に中空部51を形成した(図4の(A)及び(B)参照)。加圧流体の注入時の加圧流体圧力を1×107Paとした。
[工程−130]
そして、射出開始から60秒間、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。射出開始から60秒、経過後の加圧流体の圧力は9×106Paであった。
[工程−140]
その後、直ちに、移動手段30を作動させて加圧流体注入ノズル20を後進端に位置させた。具体的には、シリンダー部31から図示しない油圧システムへと油を排出し、ピストン部32を押し戻した(図5の(A)参照)。こうして、図5の(B)に示すように、加圧流体排出流路25は、加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙を介して開状態となった。即ち、加圧流体注入ノズル先端部分21の外面21Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とを、加圧流体注入ノズル20の外面20Aに設けられた凹部24とシール部材40との間に存在する空隙を介して連通状態とした。これによって、キャビティ13内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部51内の加圧流体を外部に開放することができた。加圧流体の開放に要した時間は、約2秒であった。
[工程−150]
その後、固定金型部11と可動金型部12とを型開きして成形品を取り出した。
得られた成形品には、厚肉部に所望の中空部51が形成されており、ヒケも発生しておらず、所望の成形品が得られた。
[比較例1]
比較例1においては、実施例1の金型組立体を使用した。但し、挿入穴17の内壁に設けられた環状の溝部18からシール部材40を除去した。そして、実施例1の[工程−100]〜[工程−130]と同様の工程を実行した。
その結果、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、射出開始から約20秒経過後、加圧流体排出流路25から加圧流体が漏れ出し、射出開始から30秒経過した時点で、加圧流体の圧力は大気圧近くまで低下した。射出開始から60秒経過まで、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後、実施例1の[工程−140]〜[工程−150]と同様の工程を実行した。
得られた成形品には、厚肉部に中空部が形成されているものの、ヒケが発生しており、所望の成形品は得られなかった。
実施例2は、本発明の第2の態様に係る金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。実施例2の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図6の(A)及び(B)に示す。尚、実施例2の金型組立体を含む射出成形装置の概念図は、実質的に図2に示したと同様であるし、実施例2の金型組立体、加圧流体注入ノズル120、挿入穴17も、一部分を除き、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と同様の構成、構造を有する。それ故、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と相違する点を、以下、詳しく説明する。
実施例2の金型組立体は、
(A)固定金型部11、
(B)可動金型部12、
(C)固定金型部11と可動金型部12との型締めによって形成されるキャビティ13、
(D)溶融樹脂射出部14、
(E)可動金型部12に設けられた挿入穴17に挿入された加圧流体注入ノズル120、並びに、
(F)加圧流体注入ノズル120を前進端及び後進端へと移動させる移動手段30、
を備えている。
実施例2においては、挿入穴17(実施例1と同じ内径を有する)の内壁17Aの一部分であって挿入穴軸線(図6の(A)及び(B)に一点鎖線Lで示す)に略垂直な仮想面と交差する部分には、環状(溝状)の凹部19が設けられている。また、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル120(実施例1と同じ外径を有する)の外面120Aの一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線(挿入穴軸線と一致し、図6の(A)及び(B)に一点鎖線Lで示す)に略垂直な仮想面と交差する部分には、環状の溝部143が設けられており、この溝部143内にシール部材140が配置されている。シール部材140は、実施例1にて説明したシール部材40と同様の構成、構造を有する。加圧流体注入ノズル120の外面120Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に位置する隙間(G)が、加圧流体排出流路125に相当する。
そして、図6の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル120を前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路125は、挿入穴17の内壁17Aとシール部材140との接触によって閉状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分121の外面121Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とは、挿入穴17の内壁17Aとシール部材140との接触によって不連通状態となる。
一方、図6の(B)に示すように、加圧流体注入ノズル120を後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路125は、挿入穴17の内壁17Aに設けられた凹部19とシール部材140との間に存在する空隙を介して開状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル先端部分121の外面121Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とは、挿入穴17の内壁17Aに設けられた凹部19とシール部材140との間に存在する空隙を介して連通状態となる。
実施例2にあっては、図6の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル120を前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分121の外面121Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)の平均値は5×10-5m以下(具体的には、20μm)であった。一方、図6の(B)に示すように、加圧流体注入ノズル120を後進端に位置させたとき、挿入穴17の内壁17Aに設けられた凹部19とシール部材140との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上(具体的には、20μm)であった。
以下、加圧流体注入ノズル120及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図7の(A)、(B)及び(C)を参照して、実施例2の射出成形方法を説明する。
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、固定金型部11と可動金型部12とを型締めしてキャビティ13を形成した後、移動手段30を作動させて加圧流体注入ノズル120を前進端に位置させ、挿入穴17の内壁17Aとシール部材140との接触によって加圧流体排出流路125を閉状態とした(図6の(A)参照)。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分121の外面121Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とを、挿入穴17の内壁17Aとシール部材140との接触によって不連通状態とした。
[工程−210]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、溶融樹脂射出部14からキャビティ13内に、実施例1と同じ溶融熱可塑性樹脂50を射出した(図7の(A)参照)。尚、実施例1と同様に、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂50の体積を、キャビティ13を完全に満たす体積とした。また、射出条件を表1に例示したと同様とした。更には、実施例1の[工程−120]と同様にして、溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13への射出完了と同時に、加圧流体注入ノズル120から(より具体的には、開口部123から)、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50に加圧流体を注入し、以て、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50の内部に中空部51を形成した(図7の(B)参照)。加圧流体の注入時の加圧流体圧力を1×107Paとした。
[工程−220]
そして、射出開始から60秒間、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。射出開始から60秒、経過後の加圧流体の圧力は9×106Paであった。
[工程−230]
その後、直ちに、実施例1の[工程−140]と同様にして、移動手段30を作動させて加圧流体注入ノズル120を後進端に位置させた。こうして、図7の(C)に示すように、加圧流体排出流路125は、挿入穴17の内壁17Aに設けられた凹部19とシール部材140との間に存在する空隙を介して開状態となった。即ち、加圧流体注入ノズル先端部分121の外面121Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とを、挿入穴17の内壁17Aに設けられた凹部19とシール部材140との間に存在する空隙を介して連通状態とした。これによって、キャビティ13内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部51内の加圧流体を外部に開放することができた。加圧流体の開放に要した時間は、約2秒であった。
[工程−250]
その後、固定金型部11と可動金型部12とを型開きして成形品を取り出した。
得られた成形品には、厚肉部に所望の中空部51が形成されており、ヒケも発生しておらず、所望の成形品が得られた。
実施例3は、本発明の第3の態様に係る金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。実施例3の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図8の(A)に示す。尚、実施例3の金型組立体を含む射出成形装置の概念図は、移動手段30を備えていない点を除き、実質的に図2に示したと同様であるし、実施例3の金型組立体、加圧流体注入ノズル220、挿入穴17も、一部分を除き、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と同様の構成、構造を有する。それ故、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と相違する点を、以下、詳しく説明する。
実施例3の金型組立体は、
(A)固定金型部11、
(B)可動金型部12、
(C)固定金型部11と可動金型部12との型締めによって形成されるキャビティ13、
(D)溶融樹脂射出部14、並びに、
(E)可動金型部12に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル220、
を備えている。尚、実施例1あるいは実施例2と異なり、移動手段30は備えられていない。
実施例3においては、挿入穴17の内壁17Aの一部分であって挿入穴軸線(図8の(A)に一点鎖線Lで示す)に略垂直な仮想面と交差する部分は、挿入穴17が設けられた可動金型部12を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されたシール部材60から構成されている。具体的には、固定金型部11、可動金型部12及び加圧流体注入ノズル220を、実施例1における固定金型部11、可動金型部12及び加圧流体注入ノズル20と同じ材料から作製した。一方、シール部材60を、A7075−T6から作製した。尚、挿入穴17が設けられた可動金型部12を構成する材料の線膨張率をα1、シール部材60を構成する材料の線膨張率をα2としたとき、
α1=11.1×10-6-1
α2=23.6×10-6-1
である。
実施例3においても、加圧流体注入ノズル軸線方向(挿入穴軸線と一致し、図8の(A)に一点鎖線Lで示す)に沿った加圧流体注入ノズル220の外面220Aと挿入穴17の内壁17A及びシール部材60(より具体的には、シール部材60の内壁60A)との間に位置する隙間(G)が、加圧流体排出流路225に相当する。
そして、加圧流体排出流路225は、加熱によるシール部材60の熱膨張に基づきシール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aに接触することによって閉状態となり、冷却によるシール部材60の収縮に基づきシール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aから離れることによって開状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分221の外面221Aと挿入穴17の内壁17A及びシール部材60(より具体的には、シール部材60の内壁60A)との間に存在する隙間(G)と外部とは、加熱によるシール部材60の熱膨張に基づきシール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aに接触することによって不連通状態となり、冷却によるシール部材60の収縮に基づきシール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aから離れることによって連通状態となる。シール部材60の外面は、挿入穴17が設けられた可動金型部12によって拘束されており、シール部材60は加圧流体排出流路225が狭くなる方向へ熱膨張するように構成されている。
尚、実施例3において、シール部材60の一部の面60Bもキャビティを構成する面であり、シール部材60はキャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50によって加熱される。
実施例3にあっては、図8の(A)に示すように、シール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aから離れることによって加圧流体排出流路225が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分221の外面221Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)の平均値は5×10-5m以下(具体的には、10μm)であった。また、図8の(A)に示すように、挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差するシール部材60の断面積の平均値は10mm2以上(具体的には、300mm2)であった。
以下、加圧流体注入ノズル220及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図8の(A)、(B)並びに、図9の(A)〜(C)を参照して、実施例3の射出成形方法を説明する。
[工程−300]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、固定金型部11と可動金型部12とを型締めしてキャビティ13を形成した。模式的に図8の(A)に示すこの状態にあっては、シール部材60の温度は約80゜Cであり、シール部材60は加圧流体注入ノズル220の外面220Aから離れている。
[工程−310]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、溶融樹脂射出部14からキャビティ13内に、実施例1と同じ溶融熱可塑性樹脂50を射出した(図8の(B)参照)。溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13内への射出中に、溶融熱可塑性樹脂50からの加熱によってシール部材60は熱膨張する。具体的には、シール部材60は、溶融熱可塑性樹脂50との接触によって約250゜Cまでその温度が上昇した。その結果、シール部材60が加圧流体注入ノズル220の外面220Aに接触し、加圧流体排出流路225は閉状態となった(図9の(A)参照)。尚、実施例1と同様に、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂50の体積を、キャビティ13を完全に満たす体積とした。また、射出条件を表1に例示したと同様とした。
[工程−320]
そして、実施例1の[工程−120]と同様にして、溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13への射出完了と同時に、加圧流体注入ノズル220から(より具体的には、開口部223から)、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50に加圧流体を注入し、以て、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50の内部に中空部51を形成した(図9の(B)参照)。加圧流体の注入時の加圧流体圧力を1×107Paとした。
[工程−330]
そして、射出開始から60秒間、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。射出開始から40秒、経過後の加圧流体の圧力は9×106Paであった。この状態は、図9の(B)に示したと同じである。
その後、冷却によってシール部材60が収縮し始め、この収縮に基づき、シール部材60は加圧流体注入ノズル220の外面220Aから離れた(図9の(C)参照)。その結果、加圧流体排出流路225が開状態となり、キャビティ13内の熱可塑性樹脂50の内部に形成された中空部51内の加圧流体を外部に開放することができた。加圧流体の開放に要した時間は、約10秒であった。
[工程−350]
その後、固定金型部11と可動金型部12とを型開きして成形品を取り出した。
得られた成形品には、厚肉部に所望の中空部51が形成されており、ヒケも発生しておらず、所望の成形品が得られた。
尚、シール部材60の内部に電気ヒータから成る加熱手段を配設し、シール部材60を電気ヒータによって加熱してもよい。あるいは又、シール部材60の内部に配管を配設し、配管内に油等の熱媒流体を循環させることでシール部材60を加熱・冷却してもよい。
実施例4は、本発明の第4の態様に係る金型組立体、及び、係る金型組立体を用いた中空部を有する成形品の射出成形方法に関する。実施例4の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図10の(A)に示す。尚、実施例4の金型組立体を含む射出成形装置の概念図は、移動手段30を備えていない点を除き、実質的に図2に示したと同様であるし、実施例4の金型組立体、加圧流体注入ノズル320、挿入穴17も、一部分を除き、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と同様の構成、構造を有する。それ故、実施例1の金型組立体10、加圧流体注入ノズル20、挿入穴17と相違する点を、以下、詳しく説明する。
実施例4の金型組立体は、
(A)固定金型部11、
(B)可動金型部12、
(C)固定金型部11と可動金型部12との型締めによって形成されるキャビティ13、
(D)溶融樹脂射出部14、並びに、
(E)可動金型部12に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル320、
を備えている。尚、実施例1あるいは実施例2と異なり、移動手段30は備えられていない。
実施例4において、加圧流体注入ノズル320は、挿入穴17が設けられた可動金型部12を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されている。具体的には、固定金型部11及び可動金型部12を、実施例1における固定金型部11及び可動金型部12と同じ材料から作製した。一方、加圧流体注入ノズル320をA7075−T6から作製した。尚、挿入穴17が設けられた可動金型部12を構成する材料の線膨張率をα1、加圧流体注入ノズル320を構成する材料の線膨張率をα3としたとき、
α1=11.1×10-6-1
α3=23.6×10-6-1
である。
実施例4においても、加圧流体注入ノズル軸線方向(図10の(A)に一点鎖線Lで示す)に沿った加圧流体注入ノズル320の外面320Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に位置する隙間(G)が、加圧流体排出流路325に相当する。
そして、加圧流体排出流路325は、加熱による加圧流体注入ノズル320の熱膨張に基づき加圧流体注入ノズル320の外面320Aが挿入穴17の内壁17Aに接触することによって閉状態となり、冷却による加圧流体注入ノズル320の収縮に基づき加圧流体注入ノズル320の外面320Aが挿入穴17の内壁17Aから離れることによって開状態となる。即ち、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分321の外面321Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)と外部とは、加熱による加圧流体注入ノズル320の熱膨張に基づき加圧流体注入ノズル320の外面320Aが挿入穴17の内壁17Aに接触することによって不連通状態となり、冷却による加圧流体注入ノズル320の収縮に基づき加圧流体注入ノズル320の外面320Aが挿入穴17の内壁17Aから離れることによって連通状態となる。
尚、実施例4において、加圧流体注入ノズル320は、加圧流体注入ノズル320の外面320Aに取り付けられたリング状の電気ヒータ(図示せず)によって加熱される。
実施例4にあっては、図10の(A)に示すように、加圧流体注入ノズル320の外面320Aが挿入穴17の内壁17Aから離れることによって加圧流体排出流路325が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分321の外面321Aと挿入穴17の内壁17Aとの間に存在する隙間(G)の平均値は5×10-5m以下(具体的には、10μm)であった。
以下、加圧流体注入ノズル320及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図10の(A)、(B)並びに、図11の(A)〜(C)を参照して、実施例4の射出成形方法を説明する。
[工程−400]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、固定金型部11と可動金型部12とを型締めしてキャビティ13を形成した。模式的に図10の(A)に示すこの状態にあっては、加圧流体注入ノズル320の先端部分321の温度は約80゜Cであり、加圧流体注入ノズル320の外面320Aは挿入穴17の内壁17Aから離れている。
[工程−410]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、溶融樹脂射出部14からキャビティ13内に、実施例1と同じ溶融熱可塑性樹脂50を射出した。溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13内への射出前に、加圧流体注入ノズル320の外面320Aに取り付けられた電気ヒータによって加圧流体注入ノズル320を加熱し始めた。そして、溶融熱可塑性樹脂50の射出時点においては、加熱による加圧流体注入ノズル320の熱膨張に基づき加圧流体注入ノズル320の外面320Aを挿入穴17の内壁17Aに接触させることによって、加圧流体排出流路325を閉状態とした(図10の(B)参照)。尚、この時点における加圧流体注入ノズル320の先端部分321の温度は、約250゜Cであった。実施例1と同様に、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂50の体積を、キャビティ13を完全に満たす体積とした。また、射出条件を表1に例示したと同様とした。
[工程−420]
そして、実施例1の[工程−120]と同様にして、溶融熱可塑性樹脂50のキャビティ13への射出完了と同時に(図11の(A)参照)、加圧流体注入ノズル320から(より具体的には、開口部323から)、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50に加圧流体を注入し、以て、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂50の内部に中空部51を形成した(図11の(B)参照)。加圧流体の注入時の加圧流体圧力を1×107Paとした。
[工程−430]
そして、射出開始から60秒間、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた。射出開始から40秒、経過後に、加圧流体注入ノズル320の外面320Aに取り付けられた電気ヒータを不作動とした。これによって、冷却による加圧流体注入ノズル320の収縮に基づき、加圧流体注入ノズル320の外面320Aを挿入穴17の内壁17Aから離すことによって、加圧流体排出流路325を開状態とし(図11の(C)参照)、キャビティ13内の熱可塑性樹脂50の内部に形成された中空部51内の加圧流体を外部に開放した。具体的には、射出開始から50秒、経過後、加圧流体の圧力が急激に低下した。加圧流体の開放に要した時間は、約10秒であった。
[工程−450]
その後、固定金型部11と可動金型部12とを型開きして成形品を取り出した。
得られた成形品には、厚肉部に所望の中空部51が形成されており、ヒケも発生しておらず、所望の成形品が得られた。
尚、加圧流体注入ノズル320に配管を配設し、配管内に油等の熱媒流体を循環させることで加圧流体注入ノズル320を加熱・冷却してもよい。また、加圧流体注入ノズル320をキャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂51によって加熱してもよい。
更には、加圧流体注入ノズル320の一部分(例えば、先端部分321)のみを、挿入穴17が設けられた可動金型部12を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から構成してもよい。
図10の(A)に示した加圧流体注入ノズル320にあっては、挿入穴17の内壁17Aと接触する加圧流体注入ノズル320の外面320A、及び、加圧流体注入ノズル320の外面320Aと接触する挿入穴17の内壁17Aは、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線(図10の(A)に一点鎖線Lで示す)と略平行な仮想面内に位置する構成とした。
一方、金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図12の(A)及び(B)に示すように、挿入穴417の内壁417Aと接触する加圧流体注入ノズル420の外面420A、及び、加圧流体注入ノズル420の外面420Aと接触する挿入穴417の内壁417Aは、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線(図11の(A)に一点鎖線Lで示す)に略垂直な仮想内に位置する構成とすることもできる。あるいは又、金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図を図13の(A)及び(B)に示すように、挿入穴517の内壁517Aと接触する加圧流体注入ノズル520の外面520A、及び、加圧流体注入ノズル520の外面520Aと接触する挿入穴517の内壁517Aは、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線(図12の(A)に一点鎖線Lで示す)と略平行な仮想面と角度β(但し、0°<β<90°であり、例えば、45°)で交わる仮想面内に位置する構成とすることもできる。
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件等は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、加圧流体注入ノズルを可動金型部12に配設したが、固定金型部11に配設することもできるし、固定金型部11と可動金型部12の両方に配設することもできる。固定金型部11と可動金型部12へ1つの加圧流体注入ノズルを配設してもよいし、複数の加圧流体注入ノズルを配設してもよい。
図1の(B)及び(C)は、実施例1の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図である。 図2は、実施例1の金型組立体を含む射出成形装置の概念図である。 図3の(A)は、実施例1の射出成形方法を説明するための固定金型部等の模式的な断面図であり、図3の(B)は、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図4の(A)は、図3の(A)に引き続き、実施例1の射出成形方法を説明するための固定金型部等の模式的な断面図であり、図4の(B)は、図3の(B)に引き続き、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図5の(A)は、図4の(A)に引き続き、実施例1の射出成形方法を説明するための固定金型部等の模式的な断面図であり、図5の(B)は、図4の(B)に引き続き、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図6の(A)及び(B)は、実施例2の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図である。 図7の(A)、(B)及び(C)は、実施例2の射出成形方法を説明するための、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図8の(A)は、実施例3の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図であり、図8の(B)は、実施例3の射出成形方法を説明するための、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図9の(A)、(B)及び(C)は、図8の(B)に引き続き、実施例3の射出成形方法を説明するための、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図10の(A)は、実施例4の金型組立体における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図であり、図10の(B)は、実施例4の射出成形方法を説明するための、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図11の(A)、(B)及び(C)は、図10の(B)に引き続き、実施例4の射出成形方法を説明するための、加圧流体注入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す端面図である。 図12の(A)及び(B)は、実施例4の金型組立体の変形例における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図である。 図13の(A)及び(B)は、実施例4の金型組立体の変形例における加圧流体注入ノズルの一部分及び可動金型部の一部分の模式的な端面図である。
符号の説明
10・・・金型組立体、11・・・固定金型部、12・・・可動金型部、12A・・・可動金型部のキャビティ面、13・・・キャビティ、14・・・溶融樹脂射出部、15・・・ランナー部及びスプルー部、16・・・射出用シリンダー、17,417,517・・・挿入穴、17A,417A,517A・・・挿入穴の内壁、18・・・溝部、19・・・凹部、20,120,220,320,420,520・・・加圧流体注入ノズル、20A,120A,220A,320A,420A,520A・・・加圧流体注入ノズルの外面、21,121,221,321・・・加圧流体注入ノズルの先端部分、21A,121A,221A,321A・・・加圧流体注入ノズルの先端部分、22・・・先端、23,123,223,323・・・開口部、24・・・凹部、25,125,225,325・・・加圧流体排出流路、30・・・移動手段、31・・・シリンダー部、32・・・ピストン部、40,140・・・シール部材、41・・・金属芯、42・・・樹脂層、50・・・溶融熱可塑性樹脂、51・・・中空部、60・・・シール部材、143・・・溝部

Claims (46)

  1. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
    (F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
    加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
    加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、加圧流体注入ノズルの外面とシール部材との接触によって閉状態となり、
    加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となることを特徴とする金型組立体。
  2. 加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項1に記載の金型組立体。
  3. 加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金型組立体。
  4. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
    (F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
    加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
    加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、挿入穴の内壁とシール部材との接触によって閉状態となり、
    加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体排出流路は、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して開状態となることを特徴とする金型組立体。
  5. 加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項4に記載の金型組立体。
  6. 加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の金型組立体。
  7. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されたシール部材から構成されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁及びシール部材との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
    加圧流体排出流路は、加熱によるシール部材の熱膨張に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面に接触することによって閉状態となり、冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって開状態となることを特徴とする金型組立体。
  8. シール部材の外面は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部によって拘束されており、
    シール部材は加圧流体排出流路が狭くなる方向へ熱膨張するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の金型組立体。
  9. 挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差するシール部材の断面積の平均値は10mm2以上であることを特徴とする請求項7に記載の金型組立体。
  10. シール部材はキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加熱されることを特徴とする請求項7に記載の金型組立体。
  11. シール部材を加熱するための加熱手段を更に備え、シール部材は加熱手段によって加熱されることを特徴とする請求項7に記載の金型組立体。
  12. 加熱手段は電気ヒータであることを特徴とする請求項11に記載の金型組立体。
  13. 挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、シール部材を構成する材料の線膨張率をα2としたとき、
    α2−α1≧1×10-5-1
    を満足することを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の金型組立体。
  14. 冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面とシール部材との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項7乃至請求項13のいずれか1項に記載の金型組立体。
  15. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
    を備えた金型組立体であって、
    加圧流体注入ノズルは、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が、加圧流体排出流路に相当し、
    加圧流体排出流路は、加熱による加圧流体注入ノズルの熱膨張に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁に接触することによって閉状態となり、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって開状態となることを特徴とする金型組立体。
  16. 加圧流体注入ノズルはキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加熱されることを特徴とする請求項15に記載の金型組立体。
  17. 加圧流体注入ノズルを加熱するための加熱手段を更に備え、加圧流体注入ノズルは加熱手段によって加熱されることを特徴とする請求項15に記載の金型組立体。
  18. 加熱手段は電気ヒータであることを特徴とする請求項17に記載の金型組立体。
  19. 挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、加圧流体注入ノズルを構成する材料の線膨張率をα3としたとき、
    α3−α1≧1×10-5-1
    を満足することを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載の金型組立体。
  20. 冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項15乃至請求項19のいずれか1項に記載の金型組立体。
  21. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面内に位置することを特徴とする請求項15乃至請求項19のいずれか1項に記載の金型組立体。
  22. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面内に位置することを特徴とする請求項15乃至請求項19のいずれか1項に記載の金型組立体。
  23. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面と角度β(但し、0°<β<90°)で交わる仮想面内に位置することを特徴とする請求項15乃至請求項19のいずれか1項に記載の金型組立体。
  24. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
    (F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
    加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
    (a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを前進端に位置させ、加圧流体注入ノズルの外面とシール部材との接触によって加圧流体排出流路を閉状態とし、
    (b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
    (c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
    (d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後、
    (e)移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを後進端に位置させて、加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
    (f)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
    ことを特徴とする中空部を有する成形品の射出成形方法。
  25. 加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項24に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  26. 加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上であることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  27. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、並びに、
    (F)加圧流体注入ノズルを前進端及び後進端へと移動させる移動手段、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、凹部が設けられており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面の一部分であって、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面と交差する部分には、シール部材が配置されており、
    加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
    (a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを前進端に位置させ、挿入穴の内壁とシール部材との接触によって加圧流体排出流路を閉状態とし、
    (b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
    (c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
    (d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させた後、
    (e)移動手段を作動させて加圧流体注入ノズルを後進端に位置させて、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙を介して加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
    (f)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
    ことを特徴とする中空部を有する成形品の射出成形方法。
  28. 加圧流体注入ノズルを前進端に位置させたとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項27に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  29. 加圧流体注入ノズルを後進端に位置させたとき、挿入穴の内壁に設けられた凹部とシール部材との間に存在する空隙の平均値は5×10-6m以上であることを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  30. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
    を備えた金型組立体であって、
    挿入穴の内壁の一部分であって挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差する部分は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されたシール部材から構成されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁及びシール部材との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
    (a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、
    (b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出前、射出開始と同時、若しくは、射出中に、加熱によるシール部材の熱膨張に基づき、シール部材を加圧流体注入ノズルの外面に接触させることによって、加圧流体排出流路を閉状態とし、
    (c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
    (d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、冷却によるシール部材の収縮に基づき、シール部材を加圧流体注入ノズルの外面から離すことによって、加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
    (e)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
    ことを特徴とする中空部を有する成形品の射出成形方法。
  31. シール部材の外面は、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部によって拘束されており、
    シール部材は加圧流体排出流路が狭くなる方向へ熱膨張するように構成されていることを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  32. 挿入穴軸線に略垂直な仮想面と交差するシール部材の断面積の平均値は10mm2以上であることを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  33. キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によってシール部材を加熱することを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  34. シール部材を加熱するための加熱手段を更に備え、加熱手段によってシール部材を加熱することを特徴とする請求項30に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  35. 加熱手段は電気ヒータであることを特徴とする請求項34に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  36. 挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、シール部材を構成する材料の線膨張率をα2としたとき、
    α2−α1≧1×10-5-1
    を満足することを特徴とする請求項30乃至請求項35のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  37. 冷却によるシール部材の収縮に基づきシール部材が加圧流体注入ノズルの外面から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面とシール部材との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項30乃至請求項36のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  38. (A)固定金型部、
    (B)可動金型部、
    (C)固定金型部と可動金型部との型締めによって形成されるキャビティ、
    (D)溶融樹脂射出部、並びに、
    (E)固定金型部又は可動金型部に設けられた挿入穴に挿入された加圧流体注入ノズル、
    を備えた金型組立体であって、
    加圧流体注入ノズルは、挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率よりも大きな線膨張率を有する材料から作製されており、
    加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズルの外面と挿入穴の内壁との間に位置する隙間が加圧流体排出流路に相当する金型組立体を用いた射出成形方法であって、
    (a)固定金型部と可動金型部とを型締めしてキャビティを形成した後、
    (b)溶融樹脂射出部からキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出前、射出開始と同時、若しくは、射出中に、加熱による加圧流体注入ノズルの熱膨張に基づき、加圧流体注入ノズルの外面を挿入穴の内壁に接触させることによって、加圧流体排出流路を閉状態とし、
    (c)溶融熱可塑性樹脂のキャビティへの射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧流体注入ノズルから、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
    (d)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき、加圧流体注入ノズルの外面を挿入穴の内壁から離すことによって、加圧流体排出流路を開状態とし、以て、キャビティ内の熱可塑性樹脂の内部に形成された中空部内の加圧流体を外部に開放し、次いで、
    (e)固定金型部と可動金型部とを型開きして、成形品を取り出す、
    ことを特徴とする中空部を有する成形品の射出成形方法。
  39. キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂によって加圧流体注入ノズルを加熱することを特徴とする請求項38に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  40. 加圧流体注入ノズルを加熱するための加熱手段を更に備え、加熱手段によって加圧流体注入ノズルを加熱することを特徴とする請求項38に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  41. 加熱手段は電気ヒータであることを特徴とする請求項40に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  42. 挿入穴が設けられた固定金型部又は可動金型部を構成する材料の線膨張率をα1、加圧流体注入ノズルを構成する材料の線膨張率をα3としたとき、
    α3−α1≧1×10-5-1
    を満足することを特徴とする請求項38乃至請求項41のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  43. 冷却による加圧流体注入ノズルの収縮に基づき加圧流体注入ノズルの外面が挿入穴の内壁から離れることによって加圧流体排出流路が開状態にあるとき、加圧流体注入ノズル軸線方向に沿った加圧流体注入ノズル先端部分の外面と挿入穴の内壁との間に存在する隙間の平均値は5×10-5m以下であることを特徴とする請求項38乃至請求項42のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  44. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面内に位置することを特徴とする請求項38乃至請求項42のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  45. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線に略垂直な仮想面内に位置することを特徴とする請求項38乃至請求項42のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  46. 挿入穴の内壁と接触する加圧流体注入ノズルの外面、及び、加圧流体注入ノズルの外面と接触する挿入穴の内壁は、それぞれ、加圧流体注入ノズル軸線と略平行な仮想面と角度β(但し、0°<β<90°)で交わる仮想面内に位置することを特徴とする請求項38乃至請求項42のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
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