JP2005287430A - 脳梗塞疾患モデルマウス - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、従来にない良好な再現性と長期間生存という利点を有する脳梗塞のモデル動物、及びそれを用いたスクリーニング方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明は、免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮してなる脳梗塞用モデル動物、及びその製造方法、並びにSCIDマウスを脳梗塞用モデル動物として使用する方法、及びSCIDマウスの脳梗塞用モデル動物としての使用に関する。また、本発明は、本発明の脳梗塞用モデル動物を用いたスクリーニング方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、良好な再現性と長期間生存という利点を有する脳梗塞用モデル動物に関し、より詳細には、本発明は、免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮してなる脳梗塞用モデル動物、その製造方法、その使用方法、及び使用に関する。また、本発明は、本発明の脳梗塞用モデル動物を用いたスクリーニング方法、及び有効性が評価された薬剤、及び製薬上許容される担体を含有してなる脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物に関する。さらに本発明は、本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞を発症させ、脳梗塞発症後の脳に産生する神経幹細胞を採取する方法、当該方法により採取された神経幹細胞に関する。
脳血管障害は我が国の死因の第3位であるが、重症要介護認定患者数では第1位を占める重篤な疾患であるが、これを治療し、また予防するための有効な薬剤がみいだされていないのが現状である。脳血管障害の予防法としては、生活習慣病を含む生活習慣の改善が重要であるとされている。脳梗塞の治療や予防を確立するためには、その発症機構を解明し、有効な治療法を探索するためのスクリーニング法を確立し、当該治療や予防方法の有効性を確認することができる厳格な脳梗塞モデルが必要である。
このように脳梗塞モデル動物の開発は、脳血管障害の病態解明や治療法の確立、薬剤の効果判定や有効性の評価などに必須のツールであり、各種の脳梗塞モデル動物が開発されてきた。例えば、マウスやラット、砂ネズミなどの齧歯類動物や犬、猫、豚などの大動物、猿などの霊長類などを使った、モデル動物が提案されているが、これらの脳梗塞モデルは脳血管を閉塞したり、心臓停止を施行したりして脳血流を途絶し、 脳虚血を起こすことにより作成されている。脳血管の閉塞法としては、結紮法、クリップ法、血管の凝固・切断法、血管内栓子法などの各種の手法が開発されてきており、全脳を虚血させたり、局所に虚血を生じさせたり、また一過性に虚血させたり、永久的に虚血させる方法など各種の虚血手法も開発されてきた。
犬、猫、豚などの大動物、猿などの霊長類などの動物では、実験が大がかりとなり、バラエティーに富んだ実験が困難なことから、マウスやラット、砂ネズミなど小動物の虚血モデルが扱いやすく普及している(非特許文献1及び2参照)。しかし、砂ネズミの一過性全脳虚血は再現性はあるが、これは虚血による神経細胞死モデルとしては適していても、脳梗塞自体のモデル動物としては有効ではない。ラットの中大脳動脈閉塞(田村のモデル)の梗塞範囲は一定で再現性はあるが、動物が長期間生存することができず、有効な実験を継続して行うことができない。また、マウスは扱いやすいのではあるが、従来のマウスの中大脳動脈閉塞による局所脳虚血は梗塞範囲にばらつきが大きく、再現性に乏しく薬剤評価に際しての大量の動物実験を行うことは不可能であるし、しかも長期間生存することができないので薬剤投与の慢性期予後に与える効果が判定できないだけでなく、脳梗塞発生後の脳機能の改善の実験することができなかった。
したがって、脳血管障害の有効な治療法や予防法を確立するための、良好な再現性を有し、かつ長期間生存な可能なモデル動物の開発が求められていた。
また、いったん発症した脳卒中後には脳機能改善対策を講じる必要がある。従来はこのためのリハビリテーションが唯一の手法であったが、近年になって造血幹細胞や神経幹細胞による細胞移植療法は、この問題を解決するための新戦略として注目されてきている(非特許文献3及び4参照)。神経幹細胞は胎児脳や成熟脳由来の脳室下帯組織(subventricular zone;SVZ)からも採取可能であり(非特許文献5参照)、胎児脳由来の神経幹細胞は神経細胞に分化するが、成熟脳SVZ由来の神経幹細胞は通常の培養条件では神経細胞には分化せず、グリア細胞に高率に分化するが、栄養因子の添加や、分化誘導因子(Notch1など)の導入により神経細胞への分化も可能である(非特許文献6参照)。このように、神経幹細胞は神経細胞に分化することができるが、脳組織内に組み込まれなければ脳機能の改善において意味はなく、細胞移植療法の評価には長期間の観察が必要であるが、従来の脳虚血モデル動物では虚血侵襲が強いため長期間の生存は不可能であり、また拒絶反応などにより移植効果を評価しうる適切な脳虚血実験モデルがないのが現状である。
このように、最新の移植再生による脳梗塞後の脳機能の回復における医療効果を判定することができるモデル動物の開発が求められていた。
一方、SCID(Severe Combined Immunodeficient)マウスはその名が示すように液性免疫と細胞性免疫の機能的不全が見られるマウスである。SCIDマウスはメルビン(Melvin Bosma)らによって1980年にC.B−17系統マウスで発見された自然発症の突然変異体で、定染色体劣性の遺伝様式をとっているとされている。このマウスは梢血中の機能的なT細胞およびB細胞が欠失し、血清中には免疫グロブリンはほとんど見出されず、重度複合免疫不全を呈する。したがって、異種細胞、組織の移植に対する拒絶が少なく、ヒトの正常造血細胞ですら移植可能であることが報告されている。最近、この原因遺伝子が遺伝子組み替えによる再構成の段階で断片化したDNAの結合を行うDNA依存性蛋白質リン酸化酵素のサプユニットP350の変異の結果であることが明らかにされた。このSCIDマウスの問題点は、重度の免疫不全であることから正常マウスでは全く問題にならない日和見感染病原体ですら場合によって致死的に働くこと、胸腺腫が高率に起こること、そして加齢によってT・B細胞が生じるLeaky現象と呼ばれるものなどである。それら現象をなくす幾つかの試みか行われている。さらにSCIDマウスといえども当然のことながら全ての異種細胞、組織が生着するわけでもなく、この生着率の向上の向上のために、SCIDマウスのさらなる改良が行われている。
Kalka et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97:3422-3427 Kawamoto et al, Circulation, 2001, 103:634-637 Arvidsson et al, Nat. Med., 2002, 8:92-930 Zao LR, et al., (2002) Exp. Neurol., 174:11-20 Tonchev AB, et al., (2003) Mol. Cell Neurosci., 23:292-301 Chojnacki A, et al., (2003) J. Neurosci., 23:1730-1741
脳梗塞の予防や治療法の確立のためには、その有効性が立証可能な厳格な脳梗塞モデルが必要であり、本発明は、従来にない良好な再現性と長期間生存という利点を有するモデル動物、及びそれを用いたスクリーニング方法を提供するものである。
また、いったん発症した脳卒中後には脳機能改善対策を講じる必要があり、そのための細胞移植療法の評価には長期間の観察が必要である。従来の脳虚血モデル動物では虚血侵襲が強いため長期間の生存は不可能であり、また拒絶反応などにより移植効果を評価しうる適切な脳虚血実験モデルがないのが現状である。本発明は、最新の移植再生医療効果を判定できる利点を有する従来にないモデル動物を提供するものである。
骨髄成体多能性幹細胞(multipotent adult progenitor cell:MAPC)(Jiang Y, et al., Exp Hematol, 2002, 30:896-904)や神経幹細胞は神経細胞に分化するが、脳組織内に組み込まれなければ意味はない。本発明は、脳梗塞修復時に特異的に産生され、神経を再生するという本来の目的を果たすことが確約されている幹細胞を増殖させ、さらに移植することで脳梗塞治療の新たな治療法戦略を提供するものである。
本発明者らは、良好な再現性と長期間生存という利点を有する脳梗塞のモデル動物を各種探索してきたが、従来免疫関連細胞や腫瘍細胞などの移植用に使用されてきた重度複合免疫不全を呈するSCIDマウスが、脳梗塞のモデル動物として適していることを見出した。SCIDマウスは、重度の免疫不全を呈し、日和見感染病原体ですら致死的な疾患になる極めて弱い動物であるが、これが良好な再現性と長期間生存という利点を有する脳梗塞のモデル動物に適しているということは驚くべきことである。
本発明者らは、SCIDマウスの中大脳動脈結紮による脳梗塞を作成し、その循環諸量や神経障害、行動変化を検討することにより、SCIDマウスが長期間観察できる脳梗塞実験モデルとして極めて適しており、かつ発症後の神経幹細胞の発生の観察や神経幹細胞などの移植に適していることを見出した。
即ち、本発明は、免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮してなる脳梗塞用モデル動物、及びその製造方法、並びに免疫不全マウス(SCIDマウス)を脳梗塞用モデル動物として使用する方法、及び免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳梗塞用モデル動物としての使用に関する。
また、本発明は、前記した本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞を移植し、当該移植による脳梗塞発症後の脳機能の回復に対する有効性をスクリーニングする方法、及び当該脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞及び血管形成能を有する細胞からなる群から選ばれる1種以上の細胞を移植し、当該移植による脳梗塞発症後の脳機能の回復に対する有効性をスクリーニングする方法に関する。また、本発明は、これらのスクリーニング方法によって脳梗塞に対する有効性が評価された薬剤、及び製薬上許容される担体を含有してなる脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物、それを用いた脳梗塞を治療・予防・処置する方法、及び脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物の製造のための使用に関する。
さらに、本発明は、前記した本発明の脳梗塞用モデル動物に脳梗塞を発症させ、脳梗塞発症後の脳に産生される神経幹細胞を分離して、神経幹細胞を採取する方法、採取された神経幹細胞、、それを培養する方法、及びそれを抗原とする抗体に関する。
本発明における免疫不全マウス(SCIDマウス)としては、末梢血中の機能的なT細胞およびB細胞が欠失し、血清中には免疫グロブリンはほとんど見出されない重度の複合免疫不全を呈するマウスであればよく、現在市販されている(例えば、FOX Chase Cancer Centerなど参照のこと)SCIDマウスであってもよいし、また、この改良型のマウスであってもよい。
本発明における免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管としては、脳内の脳梗塞を発症させることができる血管であれば、いずれの血管であっても特に制限は無いが、発症例の多い血管や、また実験の行い安い表皮側の血管が好ましい。好ましい血管としては、中大脳動脈、内頚動脈、椎骨脳底動脈などが例示される。
また、結紮する部位としても特に制限はないが、結紮部位によっては、虚血領域の選択性が悪くなることもあることから、選択性を確保できる部位を設定することも必要である。例えば、結紮部位として、中大脳動脈が嗅索を通過した直後、すなわち遠位側M1部位(distal M1 portion)を選択することにより、中大脳動脈の皮質枝の血流を選択的に途絶させることが可能である。
本発明における免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮する手法としては、脳梗塞が発症できる結紮方法で有れば特に制限はなく、例えば、クリップ法、血管の凝固・切断法、血管内栓子法などの各種の手法を使用することができる。虚血を一過性にするか、永久的にするかにより、結紮方法を選定することも必要である。例えば、凝固用ピンセットにて電気凝固後に切断する永久結紮法、動脈瑠結紮用クリップを用いた一過性結紮法などが挙げられる。
具体的な結紮方法としては、例えば、ハロセンなどでマウスを麻酔し、マウスの左頬骨を切除し、頭蓋底を露出させ、中大脳動脈走行部位に直径1〜5mm程度のの骨窓を歯科用ドリルで作成し、硬膜、クモ膜を剥離し、中大脳動脈を分離して結紮を行うことができる。
本発明の脳梗塞用モデル動物は、前記したSCIDマウスの脳の血管を前記した手法により結紮することにより、一過性又は永久的モデルとして製造することができる。
また、本発明は、脳の血管が結紮された免疫不全マウス(SCIDマウス)を、脳梗塞用モデル動物として使用する方法、及びその使用(use)を提供するものであり、本発明の脳梗塞用モデル動物は、一過性又は永久的な脳梗塞を選択的に再現性よく、かつ長期生存可能なモデル動物であり、脳梗塞のモデル動物として薬物のスクリーニング、治療や予防方法の開発、また脳梗塞後の脳機能の回復方法の開発などのために使用することができる。
また、本発明は、本発明の脳梗塞用モデル動物に、被検薬物を投与して、当該被検薬物の脳梗塞に対する有効性をスクリーニングする方法を提供するものである。本発明のスクリーニング方法としては、例えば、本発明の脳梗塞用モデル動物に、被検薬物を投与して、カーボンブラック灌流法、脳の大きさの測定、MRIなどによる機器分析などにより脳梗塞の病巣部の大きさや容積の変化、形態学的検討(左右大脳皮質幅の比、TUNEL染色によるアポトーシスの程度、BrdU標識による再生神経や再生血管内皮細胞数)、行動テスト(オープンフィールドテストや驚愕反射)などを測定し、これを対照群と比較して梗塞病巣部の拡大の阻止、脳機能の回復などの程度を評価する方法が挙げられる。
本発明は、これらのスクリーニング方法によって脳梗塞に対する有効性が評価された薬剤、及び製薬上許容される担体を含有してなる脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物、当該組成物の有効量を脳梗塞の患者に投与することからなる脳梗塞を治療・予防・処置する方法、及びこれらのスクリーニング方法によって脳梗塞に対する有効性が評価された物質の脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物の製造のための使用を提供する。
本発明の医薬組成物における製薬上許容される担体としては、医薬製剤を製造する際に使用される、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。そのような担体の1種以上を用いることにより、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、注射剤、液剤、カプセル剤、トロー剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤あるいはシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。これらの医薬組成物は、経口あるいは非経口的に投与することができる。
本発明の医薬組成物における有効成分の投与量としては、患者の年齢、性別、体重及び症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬組成物に含有される有効成分の種類などにより異なるが、通常成人一人当たり、一回につき10μgから1000mg(あるいは10μgから500mg)の範囲で投与することができる。しかしながら、投与量は種々の条件により変動するため、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また上記の範囲を越える投与量が必要な場合もあり得る。
本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞及び血管形成能を有する細胞からなる群から選ばれる1種以上の細胞を移植し、当該移植による脳梗塞発症後の脳機能の回復に対する有効性をスクリーニングする方法を提供するものである。本発明のこのスクリーニング方法としては、本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞及び血管形成能を有する細胞からなる群から選ばれる1種以上の細胞を移植し、当該移植による脳梗塞発症後の脳機能の回復に対する有効性をスクリーニングする方法としては、例えば、本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞を移植し、カーボンブラック灌流法、脳の大きさの測定、MRIなどによる機器分析などにより脳梗塞の病巣部の大きさや容積の変化、形態学的検討(左右大脳皮質幅の比、TUNEL染色によるアポトーシスの程度、BrdU標識による再生神経や再生血管内皮細胞数)、行動テスト(オープンフィールドテストや驚愕反射)などを測定し、これを対照群と比較して梗塞病巣部の拡大の阻止、脳機能の回復などの程度を評価し、脳梗塞の状態に適した移植すべき神経幹細胞の種類や移植部位や移植手法をスクリーニングする方法が挙げられる。
本発明のこのスクリーニング方法において使用される神経幹細胞としては、胎児脳由来の神経幹細胞、成熟脳由来の神経幹細胞、成熟脳の脳室下帯組織(subventricular zone;SVZ)由来の神経幹細胞、骨髄成体多能性幹細胞(multipotent adult progenitor cell:MAPC)などが挙げられる。また、血管形成能を有する細胞としては、血管内皮前駆細胞(EPC)などが挙げられる。このような神経幹細胞や血管形成能を有する細胞の移植は、これらの中の1種であってもよいし、2種以上を移植してもよく、またこれらの細胞はマウス由来のものであってもよいが、ヒト由来のものであってもい。とりわけ、本発明の脳梗塞用モデル動物は免疫不全のマウス由来のものであることから、移植に対する拒絶反応が少なく、ヒト由来の神経幹細胞の移植による作用効果を評価するスクリーニング方法に適しているものである。
また、本発明は、本発明の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞を発症させ、脳梗塞発症後の脳に産生する神経幹細胞を採取する方法、当該方法により採取される神経幹細胞を提供するものである。本発明の神経幹細胞は、脳梗塞の発症により誘導されるものであり、脳梗塞発症部位又はその周辺部から、脳梗塞発症後の脳に産生されるものであることを特徴とするものである。
本発明の神経幹細胞は、神経細胞やグリア細胞への分化誘導が比較的容易であり、脳梗塞により血損した部位の脳機能の回復に極めて有用である。
本発明の神経幹細胞は、従来の神経幹細胞の培養方法と同種の方法により培養可能である。例えば、ニューロスフィア(neurosphere)法、低密度単層培養法、高密度単層培養法などにより培養可能である。好ましい本発明の培養法としては、ニューロスフィア法が挙げられる。
また、本発明は、前記した本発明の神経幹細胞を抗原とする抗体を提供するものである。
本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体(抗血清)、モノクローナル抗体のいずれでもよく、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。具体的には、本発明の神経幹細胞又はその細胞内の特異的なタンパク質に反応性を有する抗体である。本発明の抗体は、抗体作製の常法にしたがって抗原を非ヒト哺乳動物に免疫することにより得られる天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得る組換えキメラモノクローナル抗体及び組換えヒト型モノクローナル抗体(CDR-grafted抗体)、並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体を包含する。またモノクローナル抗体の場合には、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有するモノクローナル抗体をも包含する。好ましくは、IgGまたはIgMである。
本発明の抗体は、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。即ち、例えば、本発明のタンパク質又はその一部のアミノ酸配列からなるタンパク質を免疫原(抗原)として、必要に応じてフロイントアジュバント(Freund's Adjuvant)とともに、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ウマあるいはウシ、より好ましくはマウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはウサギに免疫することにより製造できる。ポリクローナル抗体(抗血清)は、該免疫感作動物から得た血清から取得することができる。またモノクローナル抗体は、該免疫感作動物から得た当該抗体産生細胞(脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓のB細胞)と自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクローン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを免疫学的測定法(ELISAなど)により選択することによって製造される。
以下に、本発明の脳梗塞用モデル動物についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの具体的な態様に限定されるものではない。
25匹の免疫不全マウス(SCIDマウス)の中大脳動脈をそれぞれ結紮し、大脳皮質中大脳動脈領域の血流変化を頭蓋骨に装着したアクリル製プローブを介してレーザードプラー血流計で測定した。結果を図1にグラフ化して示す。図1の横軸は結紮からの時間(分(’)又は時間(h))を示し、縦軸は結紮前の血流量を100%とした血流量の比(%)を示す。この結果、中大脳動脈結紮直後より脳血流は測定した25匹全例で前値の25%以下となり、本発明の脳梗塞用モデル動物が均一な血流低下をともなう虚血を再現できることが証明された。
次に、本発明の脳梗塞用モデル動物における虚血脳灌流領域を検討するために、中大脳動脈結紮による血流灌流領域の変化をカーボンブラック(carbon black)灌流法にて検討した。中大脳動脈結紮後3時間目に、カーボンブラックインク(carbon black ink)(200μl)を心臓内に注入し、5分間間生存させた。その後、脳を摘出しブレインスライサー(brain slicer)にて冠状脳スライス(1mm厚)を作成してカーボンブラック(carbon black)灌流領域を観察した。その結果を図2に図面に代わる写真で示す。図2の上段は脳の外観を示したものであり、左側は下方向から観察した結果を、右側は上方向から観察した結果をそれぞれ示す。図2の下段は脳をスライスして観察した結果を示し、左側はカーボンブラック法を、右側はTTC(2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム(2,3,5-triphenyltetrazolium))染色法による結果をそれぞれ示す。
この結果、施行した15例全例で左中大脳動脈皮質枝領域に選択的にカーボンブラック(carbon black)が灌流されず、本発明の脳梗塞用モデル動物における脳虚血部位がきわめて均一であることが証明された。
次に、脳梗塞の領域を従来より脳梗塞モデルとして用いられている正常なマウスであるC57B/6マウスと比較した。本発明のSCIDマウスの1群及びC57B/6マウスの1群とし、各群4匹を用いて中大脳動脈結紮によって作成される脳梗塞領域を2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム(2,3,5-triphenyltetrazolium )(TTC)染色法にて検討した。虚血作成後、脳梗塞は3日でほぼ完成することが知られている。中大脳動脈結紮後1、3、7日目に脳を摘出し脳スライサー(brain slicer)にて作成した冠状脳スライスにTTC染色を施行した。結果の一部を図3に図面に代わる写真で示す。図3は1日目のものであり、SCID1匹とC57B/6の3匹の脳冠状スライスを示している。上中下段に脳の前方から後方にかけての3スライスを示している。図3の左側が本発明のSCIDマウス、その右側3列は対照としたC57B/6マウスの3群の例を示す。この結果、1,3,7日目のSCIDマウスの各群4匹、計12匹はすべて左中大脳動脈皮質枝領域に選択的に梗塞が作成されていたが、比較のC57B/6マウスでは梗塞の発生部位にバラツキが見られた。
さらに、2匹のSCIDマウスにおいて中大脳動脈結紮後、1日目にMRIを施行し、T2強調画像を得た。結果を図4に図面に代わる写真で示す。No.1のマウス、No.2のマウスについてそれぞれ脳梗塞作成後24時間目に7.5テスラーのMRI装置を用いて画像を作成した。それぞれ脳の前方(左上段)から後方(左下段)まで1mm幅で撮像した。これらの画像においては、いずれも均一な高信号領域(図4における白色部分)を明瞭に確認することができた。
これらの結果、本発明の脳梗塞用モデル動物による脳梗塞部位がきわめて均一であることが証明された。
次に本発明の脳梗塞用モデル動物の脳梗塞後の生存率を検討した。本発明の脳梗塞用モデル動物の中大脳動脈結紮による脳梗塞作成後のマウスの生存を観察した。長期観察目的で手術した動物42匹は全例35日目まで生存した(生存率100%)。その内16匹は35日目以降も観察を続け、90日目までは16匹全例生存を確認したが、180日目までには16匹中1匹が死亡した(180日目までの生存率90%以上)。この結果、本発明の脳梗塞用モデル動物を用いた脳梗塞後の長期観察が可能であることが証明された。
次に、本発明の脳梗塞用モデル動物における脳梗塞による行動の変化を観察した。中大脳動脈領域の皮質脳梗塞がマウスの行動変化にいかに影響を与えるかを行動テストを用いて検討した。その結果大量のデータが得られたが、これらの主要な箇所をまとめて図6に示す。図6は脳梗塞後35日目のマウス行動テストである。a、b、c、dはオープンフィールドテストの結果である。オープンフィールドテストでは一定時間内の活動量を測定する。この活動量は水平方向の活動量(Locomotion)と垂直方向(立ち上がり;rearing)それぞれで評価される。大脳皮質からの抑制がなくなると、これらの活動量は増える。また、明所(Light)から暗所(Dark)に変わると正常マウスでは活動量が増えるが、梗塞マウスではこの反応が消失する。eで示すように、Startle amplitude(驚愕反射の強さ)も梗塞マウスでは増強するし、明所から暗所へ移動する時間(潜時;Latency)も短くなる(図6f)。CD34−positive細胞注入治療群ではこれらの反応が正常マウスのそれに近づいている。
オープンフィールドテスト、聴覚性驚愕反射強度の馴化およびプレパルスインヒビションテスト(PPI)、水迷路学習、受動的回避学習、積極的回避学習を脳梗塞後3−4週間目で施行した。脳梗塞マウス(7匹)と偽手術コントロール群(7匹)間では積極的回避学習や受動的回避学習には差がないが、水迷路学習機能の低下や、馴化機能の低下(PPIの抑制)、活動性の亢進など、大脳皮質機能の抑制が示された。受動的回避学習や積極的回避学習は主に海馬や扁桃体などの辺縁系機能を反映するテストである。一方水迷路やPPI、オープンフィールドテストは海馬のみならず大脳機能の障害もよく反映する。従って、本発明の脳梗塞用モデル動物が脳梗塞後遺症としての大脳皮質機能不全モデルとして適切であることが証明された。
次に、本発明の脳梗塞用モデル動物の脳梗塞後の脳の形態変化を調べるために、脳梗塞後の脳萎縮の程度を摘出脳で観察した。脳梗塞作成後1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、その脳を観察した。結果を図5に図面に代わる写真で示す。図5は8匹のマウスの梗塞脳を示し、すべて脳梗塞後14日目のものである。この結果、摘出脳は全例中大脳動脈領域の欠損が観察された。次に、残存した大脳皮質の大きさを定量化する目的で、梗塞側大脳皮質の大脳裂からの幅を正常側と比較しその比をCI(cortical width index)として算出した(図15も参照のこと。)。
本発明のモデル動物では、虚血後の脳梗塞の進展(delayed infarct expansion)(Matsui T, et al. J Cereb Blood Flow Metab, 2002, 22:711-722)は脳梗塞後3日で終了し、その後は脳萎縮の進展ではなく、脳形態上はむしろ回復することが明かとなった。このことは、本発明の脳梗塞用モデル動物が脳梗塞疾患モデルとしてのみならず、脳再生モデルとしても適していることを示している。
次に、中大脳動脈結紮によって生じる虚血性神経細胞傷害の程度を微小管結合タンパク質(microtuble associate protein)2(MAP2)とNeuN(Neuronal nuclear antigen)に対する免疫組織化学で検討した。
脳梗塞作成後1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。その後、得られた脳切片をMAP2に対する免疫組織化学に供した。即ち、脳切片をマウスモノクローナル抗MAP2抗体を含むリン酸緩衝液(2000倍希釈)にて12時間反応させ(第一反応)、洗浄後ビオチン標識ヤギ抗マウスIgG(第二反応)、次いでアビジン/ビオチン/ペルオキシダーゼ複合体と反応させた。MAP2、NeuNの可視化はDAB反応によって行い、光学顕微鏡観察に供した。
脳梗塞作成後1日目以降の脳では全例中大脳動脈領域のMAP2染色の消失が観察された(図16参照)。NeuNの染色性は1日目ではまだ一部存在していたが、7日目以降では完全に消失していた。1日目までは中大脳動脈の穿通枝支配領域である線条体や後大脳動脈支配領域である海馬や視床など、中大脳動脈大脳皮質枝支配領域以外の脳ではMAP2染色の欠損はみられなかった。このことは、本発明の脳梗塞用モデル動物の虚血性の神経細胞傷害が大脳皮質神経に限局していることを示す。しかし、7日目以降には全例で後視床核群をふくむ後視床腹側核のMAP2染色の脱落がみられた。これは大脳皮質神経の脱落にともなう皮質視床路を介する視床神経の神経細胞死であると考えられる。この神経線維連絡の存在は逆行性トレーサーを用いた実験で証明された。即ち、4%フッ化金(Fluorogold)(0.1 μl)を後視床核に定位脳手術的に微量注入し、5日後に神経細胞によるフッ化金(Fluorogold)の取り込みを観察した。中大脳動脈領域にある大脳皮質の5層、7層の神経細胞を中心にフッ化金(Fluorogold)の取り込みが観察され、大脳皮質の脳梗塞による神経細胞の脱落が視床神経細胞死をもたらすことが明かとなった。従って、本発明の脳梗塞用モデル動物による神経脱落症状は大脳皮質と視床を結ぶ神経連絡機能に関することが予想される。
次に本発明の脳梗塞用モデル動物の脳梗塞容積の経時後変化を検討した。
脳梗塞作成後1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。脳梗塞容積は梗塞巣を含む脳切片上(220μm間隔、計12枚)の残存する神経細胞領域(MAP2陽性領域)を測定することで算出し、健常側脳より算出した全脳容積に対する比率(%I)を用いて評価した。結果をグラフ化して図7a(図7の左上側)に示す。グラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸は%Iを示す。この結果、脳梗塞容積(%I:% infarction)は梗塞後1日目は18.2%で7日目には21.6%とやや拡大したが、14日目には19.4%と縮小し、以後改善傾向が180日目まで持続した。
ここで観察された脳梗塞容積の縮小の原因を探るため、脳梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の大脳皮質の容積の比(L/R比)を測定した。結果をグラフ化して図7b(図7の左下側)に示す。図7bのグラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸はL/R比を示す。同様に、梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の線条体の容積の比(L/R比)を測定した。結果をグラフ化して図7c(図7の右下側)に示す。図7cのグラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸はL/R比を示す。大脳皮質の容積比は1日目に0.53、7日目には0.39と減少したが、14日目には0.45、35日目には0.49となった。即ち、大脳皮質は7日目に最小となり14日目以降に増大していた。線条体は1日目では1.12、7日目には1.00、14日目には0.86と縮小を認めたが、35日目には0.91と回復傾向を示し、180日目には0.98とほぼ健常側と同じ大きさにまで回復した。即ち、線条体は14日目に最小となり以後増大した。これは大脳皮質神経の脱落に伴いその通過線維も脱落するため、線条体の萎縮は遅れて出現するが、大脳皮質神経あるいはその通過線維の回復に伴い遅れて線条体容積も回復するものと考えられる。このように、本発明の脳梗塞用モデル動物は従来のモデルのような梗塞後の脳萎縮過程のみならず.脳回復(再生)過程も追跡可能であることを示している。
脳梗塞では、梗塞の予防や治療も重要であるが、脳梗塞後の脳機能の回復のための適切な処置方法を見出すことも極めて重要とされている。従来はリハビリテーションが主体であったが、回復効果が少ないことや、長時間と多大な努力が必要とされ、より確実で簡便な手法の開発が切望されている。
そこで、本発明者らは、このための神経幹細胞の産生に着目した。そして、まず、神経幹細胞を産生することができる動物の開発を行った。前記で説明してきたように、本発明の脳梗塞用モデル動物は脳回復(再生)過程も追跡可能であり、このことは神経細胞の機能の回復や神経幹細胞の産生やその分化が生じていることを示していると考えられることから、このモデル動物を用いて、脳梗塞後の神経幹細胞の産生について検討してみた。
まず、本発明の脳梗塞用モデル動物の虚血脳における脳再生過程を検討した。
本発明の脳梗塞用モデル動物に脳梗塞を作成する前後にブロモデオキシウリジン(5-Bromodeoxyuridine )(BrdU)(200mg/kg)を皮下投与し、虚血脳における脳細胞再生を検討した。BrdUは分裂期にある細胞がDNAを複製するときにとりこまれるため、分裂増殖した細胞に存在する。すなわち、分裂増殖した細胞(神経幹細胞など)はBrdUに対する免疫組織化学で検出される。
脳梗塞作成後、1、3、7、14、35日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。その後脳切片をBrdUに対する免疫組織化学に供した。梗塞周辺及び側脳室下帯組織(subventricular zone: SVZ)におけるBrdUに対する免疫組織化学の結果を図8に図面に代わる写真で示す。図8の左側は、梗塞周辺におけるものであり、右側はSVZにおけるものである。図8の上から梗塞発生前(sham)、梗塞後1日目、3日目、及び14日目をそれぞれ示す。また、BrdU陽性の内皮細胞の数を測定した。その結果をグラフ化して図9に示す。図9A(図9の左側)はスライス中の全陽性細胞数を示し、図9B(図9の右側)はスライス中の内皮細胞における陽性細胞数を示す。各グラフの横軸は梗塞発症からの日数を示し(cは対照を示す。)、縦軸は細胞数を示す。図9中の黒抜きの棒は梗塞発症部位と同じ側の場合を示し、白抜きの棒はその反対側の場合を示す。
この結果、脳梗塞作成後1日目以降の脳では全例虚血側の側脳室下帯組織(subventricular zone: SVZ)にBrdU陽性細胞が発現していた。3日目、7日目には梗塞周囲の脳実質にも多くのBrdU陽性細胞が認められた。これらの細胞数は3日目をピークに脳実質内で発現していたことから、SVZからの脳細胞の再生は梗塞後3日目をピークにみられることが明らかとなった(図16)。また、SVZのBrdU陽性細胞は7日目にもみられたが、14日目には梗塞前のレベルにまで激減した。このことはSVG由来の神経幹細胞は梗塞後7日目まで産生されることを意味する。一方、梗塞後7日目以降にはBrdU陽性細胞が梗塞組織と白質(脳梁)とが接する部分(梗塞下組織)に発現するようになり、これらの細胞は梗塞後35日目まで存在しており梗塞周囲の脳実質に侵入していた。このBrdU陽性細胞の一部は骨髄由来のマクロファージであり、脳由来の細胞とは異なっていた。これらのことから、脳再生過程ではSVG由来の再生細胞と骨髄由来の再生細胞が関与することが明らかとなった。
そこで、脳梗塞後にいかなる脳細胞が再生するかを神経幹細胞や神経、グリアの各種マーカーを用いた免疫組織化学で検討した。即ち、神経幹細胞に対しては抗ムサシ1(Musashi1)抗体を用い、未熟神経細胞の同定にはダブルコルチン(Doublecortin)(DCX)を用いた。オリゴデンドロサイト前駆細胞は血小板由来成長因子受容体α(Platelet-derived Growth Factor Receptor α)(PDGFRα)とプロテオグリカンNG2をマーカ−とし、前オリゴデンドロサイトおよび未熟オリゴデンドロサイトに対してはオリゴデンドロサイトマーカーO4と髄鞘関連グリコプロテイン(Myelin-associated Glycoprotein)(MAG)を用いた。
アストロサイトは抗GFAP抗体で同定した。さらに、未熟神経細胞や軸素伸長過程にある神経のマーカーとしてPSA−NCAM(polysialylated neural cell adhesion molecule)を用いた。PSA−NCAMは培養神経幹細胞の細胞膜に発現することが示されている。また、N−カドヘリン(N-cadherin)もニューロスフィア(neurosphere)に発現することが確認されている。なお、ニューロスフィア(neurosphere)は、神経幹細胞の選択的な培養法のひとつであるニューロスフィア(neurosphere)法において、細胞を浮遊培養したときに形成される球状の細胞塊(neurosphere)であり、ニューロスフィア(neurosphere)は継代可能であり、かつ増殖因子を除いてコーティングを施した培養皿に接着させると、神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトの3種類の細胞をつくりだすことが可能となるものである。
そしてこれらは、ニューロスフィア(neurosphere)の分化誘導シグナル調節に深く関与している。また、ニューロスフィア(neurosphere)の分化や維持に本質的な役割を担うシグナル分子として、Notch1が注目されている(非特許文献6)。そこで、本発明においても脳梗塞後のNotch1発現も検討した。
まず、脳室下帯組織(subventricular zone:SVZ)における神経幹細胞の産生について検討した。
本発明の脳梗塞用モデル動物に脳梗塞作成後1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。これらの試料にPSA−NCAM、DCX、NeuN、MAP2、NG2、PDGFRα、及びムサシ1(Musashi1)をそれぞれ用いて、染色し、顕微鏡で観察した。この結果を図10に図面に代わる写真で示す。図10の左上は、梗塞側の梗塞周囲に出現したPSA−NCAM陽性構造(灰色(原図では黄色)の矢頭)とSVZに出現したPSA−NCAM(黒色(原図では青)の矢頭)で、右下は健常側(反対側)のSVZのPSA−NCAM(黒色(原図では青)の矢頭)、中央上は右上の拡大像で、右上はその連続切片のムサシ1(Musashi1)、左下はその連続切片のDCX、中央下段はその連続切片のNeuNである。
この結果、梗塞後1日目にはSVZの各種マーカーの発現はすべて正常側と差はなかった。7日目になるとムサシ1(Musahil)陽性、PSA−NCAM陽性の細胞がSVZに増殖するようになった。14日目になるとこれらの神経幹細胞は脳室膨大部から白質内に侵入するようにみられた。35日目にはSVZでの発現細胞は減少しコントロールレベルとなったが、脳室下の白質には多数のムサシ1(Musashi1)陽性、PSA−NCAM陽性の細胞が認められた(図10参照)。同部位にはDCX陽性の未熟神経細胞や、小型のNeuN陽性細胞もみられた。90日目以降ではSVZや脳室下の白質にはムサシ1(Musashi1)、PSA−NCAM、DCXなどの幹細胞あるいは未熟神経はみられなくなり、多くはMAP2陽性、NeuN陽性の成熟神経細胞になったと思われる。また、梗塞後7日目よりSVZにはNG2陽性、PDGFRα陽性のオリゴデンドロサイト前駆細胞も発現するようになった。これらはオリゴデンドロサイトマーカーを有しておらず、14日目までみられたが、35日目以降には減少した。即ち、SVZでは梗塞後7日目以降、14日目をピークに神経幹細胞増殖がみられ、以後減少する。神経幹細胞としては脳室下の白質に35日目までは存在するが、以後は成熟して神経となるか、あるいは死滅してしまうと考えられる。SVZには梗塞後7日目にはNotch1陽性細胞がみられたが、それ以降はみられなかったことから、SVZ細胞の分化増殖シグナルは梗塞後1週間程度で終了すると考えられた。
また、脳室下と異なり、梗塞下の神経幹細胞は梗塞後14日目以降に認められた。これらの細胞はムサシ1陽性、PSA−NCAM陽性であり、梗塞下の白質外側および大脳皮質断面に沿って広く認められた(このような多数の神経幹細胞が出現している箇所をステムロード(Stem Road)と称することにした。)(図10参照)。この部位は同時にN−カドヘリン陽性であり、DCX陽性やNeuN陽性細胞も多数認められた。35日目にはステムロード(Stem Road)から多数のムサシ1陽性細胞やDCX陽性細胞が大脳皮質に侵入してくる像が観察された(図10参照)。90日目以降にはこれらの細胞の皮質内への侵入像は減少してきたが、ステムロード(Stem Road)には多数の幹細胞が180目以降にも存在していた。これらはムサシ1陽性、PSA−NCAM陽性、N−カドヘリン陽性でNotch1陽性細胞も存在した(図11参照)。図11は、梗塞巣内にみられるN−カドヘリン陽性細胞集団と梗塞周囲にみられるN−カドヘリン陽性構造(図11左側)、及び梗塞巣内にあるNotch1陽性細胞集団(図11右側)を示す図面に代わる写真である。図11の右側では、一部のNotch1陽性細胞が梗塞巣周辺の大脳皮質に侵入している様子も示されている。
即ち、ステムロード(Stem Road)には骨髄細胞由来の神経幹細胞が梗塞後14日目以降に発現し、35日目をピークに脳実質内に侵入する。そしてその後180日目までも分化誘導に不可欠なNotch1シグナルを有する幹細胞としてその部位に存在し続けることが明かとなった。以上のことは、本発明の脳梗塞用モデル動物が、脳梗塞下の組織に神経幹細胞を脳梗塞発症後長期間にわたって産生する神経幹細胞産生動物として有用であることを明かとしたものである。
以上の実験から、本発明のSCIDマウス由来の脳梗塞用モデル動物が脳梗塞下組織(Stem Road)由来の神経幹細胞を産生していることが判明したので、これを分離し、培養することを試みた。神経幹細胞の培養法としては、ワイス(Weiss)らのグループにより開発されたニューロスフィア(neurosphere)法、デイビス(Davis)らにより開発された低密度単層培養法、ガーゲ(Gage)らのグループにより開発された高密度単層培養法などが知られている。以下ではニューロスフィア(neurosphere)法による培養を行った。
脳梗塞作成後35日目のSCIDマウスをクリーンベンチ内で断頭し、脳梗塞周囲の瘢痕組織および脳梗塞下組織を採取した。その後、DMEMとN−2の基本培養液内(250μl)で単細胞になるまでピペッティングし、10mlの培養液を加えて600rpmで5分間遠心した。細胞を3mlの培養液にて再浮遊させ、bFGF(50μg/ml)とEGF(20μg/ml)存在下に小細胞バインディング(low cell binding)プレート上で10日間培養を行った。この培養結果を、図12に図面に代わる写真で示す。図12の上段は脳梗塞巣から得られた細胞を培養した結果の顕微鏡写真を示し、図12の下段は、側脳室周囲から得られた細胞を培養した結果の写真を示す。
この結果、10日後にはニューロスフィア(neurosphere)(球状の細胞塊)が細胞顕微鏡下で観察された(図12参照)。次いでハイバインディング(high binding)プレート上でさらに培養した。10日後に分化したニューロスフィア(neurosphere)をパラフォルムアルデヒドを含む固定液にて固定し、発現タンパクの検討を行った。これらはネスチン(Nestin)陽性、ムサシ1陽性の神経幹細胞であることが確認された。
また、同様に、浮遊しているニューロスフィア(neurosphere)を採取しハイバインディング(high binding)プレート上でさらに培養し、10日後に分化したニューロスフィア(neurosphere)をパラフォルムアルデヒドを含む固定液にて固定し、発現タンパクの検討を行った。これらは、DCX陽性で、一部NeuN陽性、MAP2陽性の神経細胞であった。
以上のように本発明の脳梗塞用モデル動物は、従来にない良好な再現性と長期間生存という利点を有するモデル動物を提供するものである。及びそれを用いたスクリーニング方法を提供するものである
本発明の脳梗塞用モデル動物を使用したスクリーニング方法を具体的に説明するが、本発明のスクリーニング方法はこれらの具体例に限定されるものではない。
まず、本発明のスクリーニング方法の薬剤評価系としての有用性を血小板凝集抑制剤の脳梗塞に及ぼす影響を検討することにより行った。このための被検物質として、シロスタゾールを用いた。
シロスタゾールは、抗血小板作用のみならず種々の血管内皮機能改善作用を有する薬剤である。虚血性神経障害に対しては実験的脳梗塞後1日目での軽減効果が示されているが、脳梗塞縮小効果を判定する観察期間は1日では不十分であったが、従来は長期間生存可能な実験動物が無かったことから、長期間にわたる試験による評価を行えなかった。本発明のモデル動物は、長期生存可能なマウス脳梗塞モデルであり、これを用いて同薬剤が脳梗塞急性期治療薬として有効かどうかを評価した。
まず、成熟雄SCIDマウスの左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。血管閉塞1時間後よりシロスタゾール60mg/kgの投与を開始し、2日目まで計5回経口投与した。3日目以降は薬物濃度0.1%の混餌飼料で投与継続した。脳梗塞後14日目に動物を灌流固定し、MAP2及びNeuNに対する免疫組織化学を施行した。脳梗塞容積は梗塞巣を含む脳切片上(220μm間隔、計12枚)の残存する神経細胞領域を測定することで算出し、健常側脳より算出した全脳容積に対する比率(%I)を用いて評価した。この結果をグラフ化して図13に示す。図13の左側は、梗塞部分の容積の変化を示し、グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は全脳容積に対する容積の比(%I)を示す。図13の右側は、14日後の対照(プラセボ)との比較を示し、グラフの横軸は左側が対照(プラセボ)で、右側がシロスタゾール投与群を示し、縦軸は全脳容積に対する梗塞の容積の比(%I)を示す。
梗塞後7、14日目では大きな変化はないので、梗塞の進展(delayed infarct expansion)は7日目以降は見られない。14日目でシロスタゾールノ効果を判定したところ(図13右図)、有意差をもってシロスタゾール群が梗塞容積が小さかった。
この結果、シロスタゾール群とコントロール群の%Iは、それぞれ19.4±3.2(N=6)、22.6±2.8(N=11)であり、シロスタゾール群の脳梗塞容積はコントロール群に比し有意に縮小していた(P<0.05)(図13の右側参照)。
シロスタゾールには血流改善作用のあることが報告されているが、本発明のスクリーニング方法により、シロスタゾールに脳梗塞縮小効果のあることが示され、本発明のスクリーニング方法の薬剤評価系としての有用性が確認された。
同様に、エリスロポエチンの脳梗塞に及ぼす影響について検討した。エリスロポエチン(EPO)は赤血球の分化増殖のみならず、血管内皮前駆細胞(EPC)に作用して血管新生作用も報告されている(Bahlmann, F.H., et al., (2004) Blood 103:921-926 ;Jaquet, K., et al., (2002) Microvasc. Res., 64: 326-333)。しかし、虚血性神経障害に対してはその効果は明かではない。そこで、本発明の長期生存可能なマウス脳梗塞モデルを用い、EPOが脳梗塞急性期に血管新生を誘導して治療薬として有効かどうかを評価した。
成熟雄SCIDマウスの左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。血管閉塞後よりBrdUを投与し、さらに1、2、3日目にEPO(25単位(U))を皮下注した。対照としてPBSを投与した。脳梗塞後7、14、28日目に動物を灌流固定し、MAP2、NeuN、BrdU、CD13に対する免疫組織化学を施行した。
CD13で免疫染色した脈管形成におけるEPOの効果を図14に図面に代わる写真で示す。図14の左側はEPO投与群の場合を示し、右側は対照としたPBS投与群を示す。また、脳梗塞後7日目の時点ですでにEPO投与群では、PBS投与コントロール群に比し、CD13陽性の活性化血管内皮細胞数が有意に多く、梗塞と正常脳の境界部の有効血管数(angiographic score)も有意に高かった(図14参照)。
さらに、梗塞後28日目ではBruUとNeuN陽性の新生神経細胞細胞数もEPO群では3.8±1.1であるのに対して、PBS投与群では0.5±0.3であり、P<0.05で有意に多かった。
この結果、エリスロポエチンは脳梗塞後の血管新生を促進し、神経再生を亢進させる効果のあることが示され、本発明のスクリーニング方法の薬剤評価系としての有用性が確認された。
次に、本発明のスクリーニング方法による移植療法評価系としての有用性を、血管内皮前駆細胞移植による脳梗塞治療の効果により検討した。
血管内皮前駆細胞(EPC)の移植は血管新生を促進することから虚血性心疾患や下肢虚血性疾患の治療に応用されている。そこで、本発明の長期生存可能なマウス脳梗塞モデルを用いて脳梗塞後のEPC移植が血管新生を介して脳障害を軽減するかを検討した。
成熟雄SCIDマウスの左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。ヒト臍帯血由来のCD34陽性細胞(5×10個)を中大脳動脈閉塞後48時間目に尾静脈より注入した(CD34群)。コントロールとしてはCD34陰性細胞投与群(陰性群)とPBS投与群(PBS群)を作成した。脳障害の程度は形態学的検討(左右大脳皮質幅の比、TUNEL染色によるアポトーシスの程度、BrdU標識による再生神経や再生血管内皮細胞数)と行動テスト(オープンフィールドテストと驚愕反射)で評価した。形態学的検討は脳梗塞後7、14、35、90日目の動物を用い、行動テストは梗塞後35日目の動物を用いて施行した。CD34陽性細胞による血管新生はヒトあるいはマウス特異的内皮細胞マーカー(CD31抗体)とBrdU標識を用いた免疫組織化学で評価した。また、抗血管再生作用をもつエンドスタチン(Endostatin)投与がCD34陽性細胞移植による血管新生にいかに影響を及ぼすかも検討した。
図15は実施例15として示したCD34−陽性細胞移植注入の脳梗塞に与える影響をみたものである。図15には脳梗塞作成後2日目にCD34−陽性(CD34−positive)細胞を静脈投与して14日目(c)、90日目(f)の脳である。また、それぞれコントロールとしてCD34−陰性(CD34−negative)細胞(b,e)あるいはPBS(リン酸緩衝液添加生理食塩水)(a,d)を注入したものの14日目(b,a)および90日目(e,d)の脳である。CIはそれぞれの群(CD34−positive, CD34−negative, PBS)について7,14,35,90日目のものを示す。CIは嗅球を除く大脳皮質の前後長の半分の位置で測定した(右下段)、CI=B/Aで、単なる幅の比である。なお、これと似たCortical area indexは面積の比で、%Iは容積比となる。
図15下左側のグラフの黒三角印(▲)はCD34−陽性(CD34−positive)細胞の場合を示し、黒四角印(■)はCD34−陰性(CD34−negative)細胞の場合を示し、及び黒丸印(●)はPBSの場合を示す。CI値は、1日目から3日目までは減少傾向にあり、その後14日目までは0.34と一定であったが、35日目以降は0.37とむしろ増加した。この結果、左右大脳皮質幅の比(Cortical Width Index)(CI)は、7日目では0.34と3群間で差はなかったが、14日目以降はCD34群が陰性群とPBS群に比べて有意に増加していた。
また、図16は実施例15として示したCD34−陽性細胞移植注入の脳梗塞に与える影響をみたものである。図16には脳梗塞作成後2日目にCD34−陽性(CD34−positive)細胞、CD34−陰性(negative)細胞、PBSを静脈投与して35日目の脳である。梗塞面積を算出するために設定した領域を右中断のAとBで示す。B/Aはcortical area indexであり、脳梗塞の広さを示す。左下段はそれぞれの群の35日目のcortical area indexを示している。右下段はCD34−陽性(CD34−positive)細胞注入後35日目の脳で、血管再生をCD31に対する免疫組織化学でみたものである。CD31は血管内皮細胞のマーカーである。右下段では新生血管が梗塞巣に向かって走行している様子が示されている。
また、オープンフィールドテストでは脳障害が強いほど動物の活動量は増えるが、CD34群は他群に比し行動量が少なく、また暗所での行動パターンも偽手術正常群と同様のレベルであった(図6参照)。驚愕反射では大脳からの抑制がとれるとその強度は大きく持続時間も長くなるが、CD34群は偽手術正常群と同様のレベルまで回復していた(図6参照)。
図17は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をマウス脳梗塞後に静脈投与して、14日目にマウス脳をヒトCD31に対する抗体で免疫組織化学を行った結果を示す図面に代わる写真である。CD31は血管内皮のマーカーであり、この抗体はヒト内皮細胞のみに反応し、マウスでは反応しない。同様にフォンビルブランド因子(VWF)抗体でも行った。これも同様に血管内皮細胞のマーカーである。これらがマウス脳内に存在するということは注入したヒトCD34細胞が血管内皮に分化し、生着したことを示す。この結果、注入移植したヒトCD34細胞はマウス脳の梗塞周辺部で血管内皮細胞に分化していたことがわかった。
図18は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植の血管再生に及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にCD34陽性細胞、CD34陰性細胞、PBSを静脈内注入し、その24時間後にカーボンブラック注入法にて脳灌流領域を観察すると同時に同じ脳スライスをTTC染色した。梗塞(TTC染色されていない部分)と正常脳(TTC染色部)の境界部の有効血管(カーボンブラックで灌流されている血管)数(angiographic score)を3群間で比較した結果を示すグラフと、それらの図面に代わる写真である。左上と中央上ははCD34陽性細胞注入例とその拡大像で、下左、中央はそれぞれCD34陰性細胞、PBS注入例である。右下グラフは脳1スライスあたりの平均有効血管数(angiographic score)を示す。梗塞と正常脳の境界部の有効血管数(angiographic score)や、BruU 陽性の新生血管内比細胞数はCD34群で有意に多かった。
図19は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植の神経再生に及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にPBS(a)、CD34陰性細胞(b)、CD34陽性細胞(c)を静脈内注入した。再生細胞をBrdUで標識し、脳梗塞作成後35日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成し、BrdUとNeuNに対する二重標識間接蛍光抗体法を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて再生神経を同定した結果を示す図面に代わるカラー写真である。a,b,cとも原写真で赤(白黒では黒い灰色)で示すのはBrdU陽性細胞の核であり、原写真で緑(白黒では灰色)はNeuN陽性の神経細胞核である。図19cの原写真で黄色(白黒では灰色)に見えるのは赤とみどりが混合されてみえており、NeuN陽性の神経が同時にBrdU陽性で再生したものであることを示す。グラフdは3群における1脳切片あたりのBrdU陽性/NeuN陽性細胞(再生神経細胞)の数を示す。グラフeは3群における1脳切片あたりの全NeuN陽性細胞(再生神経細胞 + 既存の神経細胞)の数を示す。また、BrdU陽性の再生神経細胞数もCD34群で有意に多く、反対にTUNEL 陽性のアポトーシス細胞は少なく、結果として梗塞部ではない前大脳動脈領域の大脳皮質容積が増大していた。
また、図20は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植のアポトーシスに及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にCD34陰性細胞(a)、CD34陽性細胞(b)を静脈内注入した。脳梗塞作成後14日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成し、TUNEL(Terminal Deoxynucleotidyl Transferase-Mediated dUTP Nick End-Labeling)法にてアポトーシス細胞を検討した結果を示す図面に代わる写真である。図20はCD34陰性細胞(CD34−)、CD34陽性細胞(CD34+)注入マウスの脳梗塞周囲の大脳皮質におけるTUNEL陽性細胞(アポトーシス細胞)を示し、右側のグラフは1切片あたりのアポトーシス細胞数を示す。
次に、血管新生を抑制する作用のあるエンドスタチン(Endostatin)投与の脳梗塞および神経再生や血管再生に及ぼす影響を検討する目的で、梗塞作成直後よりエンドスタチンを持続皮下注入し、コントロールとしてはPBSを持続皮下注した。また、再生細胞をBrdUにて標識した。梗塞作成後48時間目にCD34陰性細胞(CD34−)、CD34陽性細胞(CD34+)を静脈内注入した。脳梗塞作成後7日目あるいは14日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成した結果を示すグラフである。BrdUで標識された血管内皮細胞数(ECs)(図21a)、CI値(cortical width index)(図21b)、Small NeuN細胞数(neuronal precursor cells;NPCs)(図21c)、及び大脳皮質における全神経細胞数(NeuN positive cells)(図21d)を測定した結果をそれぞれしめしている。黒のグラフは梗塞後14日目のものであり、白抜きのグラフは7日目のものである。この結果、エンドスタチン(Endostatin)投与により血管新生をはじめこれらCD34の効果は消失し、エンドスタチンを投与したPBS群ではむしろ脳萎縮が進行していた。
以上の結果から、ヒト由来血管内皮前駆細胞はSCIDマウス梗塞脳に生着して血管内皮細胞として機能することが明かとなった。血管新生による循環改善は神経細胞再生亢進とアポトーシス抑制をもたらして脳機能を改善することが示され、本発明のスクリーニング方法による細胞移植の評価系としての有用性が確認された。このような血管内皮前駆細胞移植は新たな脳梗塞治療戦略を生み出すと考えられた。
本発明の脳梗塞用モデル動物は、SCIDマウスの脳動脈を閉塞することにより、容易にかつ極めて再現性よく脳の一定部分に虚血領域を作成することができ、虚血の程度(脳血流の低下程度)は一定で個体差がなく、再現性が極めてよい。そして、当該虚血領域は一定時間を経過すると脳梗塞におちい、脳梗塞領域は一定で個体差がなく、再現性が極めてよく、モデル動物として優れたものである。また、本発明の脳梗塞用モデル動物は、長期間生存可能(6ヶ月以上)であり、脳梗塞病態のメカニズムの解明手段に適しているだけでなく、薬剤(痴呆治療薬、脳保護薬、抗血小板剤、抗浮腫剤、脳循環改善剤、高脂血症治療薬、高血圧治療薬など脳血管障害と血管性痴呆の治療を目的に使用される薬剤)の評価系としても極めて有効であり、本発明の脳梗塞用モデル動物を用いることにより、脳梗塞の治療薬だけでなく、脳梗塞後の脳機能の回復に有効な薬剤を簡便にスクリーニングすることが可能となる。さらに、本発明の脳梗塞用モデル動物は、脳再生のメカニズムの解明手段に適しており、脳再生に必要な神経幹細胞や血管形成細胞などの成熟脳における動態を解明することも可能となるだけでなく、これらの細胞の移植による有効性を簡便にスクリーニングすることができる。したがって、本発明の脳梗塞用モデル動物を用いることにより、脳梗塞に関連する各種の研究や開発において、使用される実験動物の数を最小限にとどめることができ、動物愛護の観点からも推奨される実験モデル動物である。
本発明の脳梗塞用モデル動物は、脳梗塞領域の周囲に極めて多量の神経幹細胞を発現させることができ、採取する神経幹細胞の分化ステージを選択することができると共に、成熟脳における神経幹細胞の分化の促進による脳機能の回復のためのモデルとして使用することも可能となる。また、本発明の脳梗塞用モデル動物が産生する神経幹細胞は分裂・増殖することが可能であり、神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイトに分化することができ、脳実質にmigrateすることができる。そして、成熟マウス脳由来の神経幹細胞と発現蛋白が異なり、胎生期脳由来の神経幹細胞と同様の形質を保つことができることから、同個体あるいは別個体に移植することが可能であり、脳血管障害や神経変性疾患に対する神経移植治療法の研究や開発に広く応用可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
SCIDマウスの脳虚血の作成
3%ハロセン麻酔下に、SCIDマウスの左頬骨を切除し、頭蓋底を露出させた。中大脳動脈の走行部位に直径1.5mmの骨窓を歯科用ドリルで作成した。硬膜、クモ膜を剥離し、中大脳動脈を分離して結紮準備とした。中大脳動脈結紮法としては凝固用ピンセットにて電気凝固後に切断する永久結紮法、動脈瑠結紮用クリップを用いた一過性結紮法のいずれも行えた。結紮部位は、動脈が嗅索を通過した直後、すなわち遠位側M1部位(distal M1 portion)とした。この部分の結紮により、中大脳動脈の皮質枝の血流を選択的に途絶させた。
大脳皮質中大脳動脈領域の血流変化を頭蓋骨に装着したアクリル製プローブを介してレーザードプラー血流計で測定した。
結果を図1に示す。中大脳動脈の結紮直後より脳血流は測定した25匹全例で前値の25%以下となり、均一な血流低下をともなう虚血であることが証明された。
虚血脳灌流領域の測定
実施例1で中大脳動脈を結紮したときの血流灌流領域の変化をカーボンブラック灌流法により測定した。即ち、中大脳動脈の結紮後3時間目にカーボンブラックインク200μlを心臓内に注入し、5分間間生存させた。その後、脳を摘出し、ブレインスライサー(brain slicer)にて冠状脳スライス(1mm厚)を作成してカーボンブラック灌流領域を測定した。
結果を図2に示す。施行した15例、全例で左中大脳動脈皮質枝領域に選択的にカーボンブラックが灌流されず、本発明の方法による脳虚血部位がきわめて均一であることが証明された。
脳梗塞領域の測定
実施例1で中大脳動脈を結紮して、中大脳動脈の結紮後1、3、7日目に脳を摘出しブレインスライサー(brain slicer)にて作成した冠状脳スライスを用いてTTC(2,3,5-triphenyltetrazolium)染色を行った。
結果を図3に示す。各群4匹、計12匹はすべて左中大脳動脈皮質枝領域に選択的に梗塞が作成されており、本発明の方法による脳梗塞部位がきわめて均一であることが証明された。
脳梗塞後の生存率
実施例1で中大脳動脈の結紮により脳梗塞を作成したマウスの生存を観察した。長期観察目的で手術した動物42匹は全例35日目まで生存した(生存率100%)。その内16匹は35日目以降も観察を続け、90日目までは全例生存を確認したが、180日目までには16匹中1匹が死亡した(180日目までの生存率90%以上)。本発明のモデル動物を用いた脳梗塞後の長期観察が可能であることが証明された。
脳梗塞による行動変化
実施例1の方法で作成した中大脳動脈領域の皮質脳梗塞がマウスの行動変化を、オープンフィールドテスト、聴覚性驚情反射強度の馴化およびプレパルスインヒビションテスト(PPI)、水迷路学習実験、受動的回避学習実験、及び積極的回避学習実験を、これらの試験ガイダンスに従って脳梗塞後3−4週間目に行った。
この結果、本発明の脳梗塞用モデル動物が脳梗塞後遺症としての大脳皮質機能不全モデルとして適切であることが証明された。
脳梗塞後の脳形態変化
実施例1の方法により脳梗塞を作成した後、1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出した。摘出脳は全例中大脳動脈領域の欠損が観察された。残存大脳皮質の大きさを定量化する目的で、梗塞側大脳皮質の大脳裂からの幅を正常側と比較しその比をCI(cortical width index)として算出した。
結果を図5及び図15に示す。この結果、本発明の脳梗塞用モデル動物が脳梗塞疾患モデルとしてのみならず、脳再生モデルとしても適していることを示している。
虚血性神経障害
実施例1の方法により脳梗塞を作成した後、1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。その後脳切片をMAP2に対する免疫組織化学に供した。即ち、脳切片をマウスモノクローナル抗微小管結合タンパク質2(MAP2)を含むリン酸緩衝液(2000倍希釈)にて12時間反応させ(第一反応)、洗浄後ビオチン標識ヤギ抗マウスIgG(第二反応)、次いでアビジン/ビオチン/ペルオキシダーゼ複合体と反応させた。MAP2、NeuNの可視化はDAB反応によって行い、光学顕微鏡で観察した。
結果を図16に示す。この結果、本発明の脳梗塞用モデル動物が、の虚血性の神経細胞傷害が大脳皮質神経に限局していることを示している。
脳梗塞容積の経時後変化
実施例1の方法で脳梗塞を作成した後、1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。脳梗塞容積は梗塞巣を含む脳切片上(220μm間隔、計12枚)の残存する神経細胞領域(MAP2陽性領域)を測定することで算出し、健常側脳より算出した全脳容積に対する比率(%I)を算出した。結果をグラフ化して図7a(図7の左上側)に示す。
また、脳梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の大脳皮質の容積の比(L/R比)を測定した。結果をグラフ化して図7b(図7の左下側)に示す。同様に、梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の線条体の容積の比(L/R比)を測定した。結果をグラフ化して図7c(図7の右下側)に示す。
虚血脳における脳再生過程
実施例1の方法により脳梗塞を作成する前後にブロモデオキシウリジン(5-Bromodeoxyuridine )(BrdU)(200mg/kg)を皮下投与し、脳梗塞を作成した後、1、3、7、14、35日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。その後脳切片をBrdUに対する免疫組織化学に供した。結果を図8及び図9に示す。この結果、脳再生過程ではSVG由来の再生細胞と骨髄由来の再生細胞が関与することが明らかとなった。
脳室下帯組織(subventricular zone:SVZ)における神経幹細胞の産生
実施例1の方法により脳梗塞を作成した後、1、7、14、35、90、180日目にマウスを経心的にPLP固定液で灌流固定後、脳を摘出し、ビブラトームを用いて脳切片を作成した。これらの試料にPSA−NCAM、DCX、NeuN、MAP2、NG2、PDGFRα、及びムサシ1(Musashi1)をそれぞれ用いて、染色し、顕微鏡で観察した。
結果を図10に示す。SVZには梗塞後7日目にはNotch1陽性細胞がみられたが、それ以降はみられなかったことから、SVZ細胞の分化増殖シグナルは梗塞後1週間程度で終了すると考えられた。
梗塞下の神経幹細胞の産生
実施例10と同様にして、梗塞下の神経幹細胞を梗塞後14日目以降に観察した。
結果を図11に示す。この結果、本発明の脳梗塞用動物モデルが、脳梗塞下の組織に神経幹細胞を脳梗塞発症後長期間にわたって産生する神経幹細胞産生動物として有用であることを明かになった。
脳梗塞下組織(Stem Road)由来の神経幹細胞の単離と培養
脳梗塞作成後35日目のSCIDマウスをクリーンベンチ内で断頭し、脳梗塞周囲の瘢痕組織および脳梗塞下組織を採取した。その後、DMEMとN−2の基本培養液内(250μl)で単細胞になるまでピペッティングし、10mlの培養液を加えて600rpmで5分間遠心した。細胞を3mlの培養液にて再浮遊させ、bFGF(50μg/ml)とEGF(20μg/ml)存在下に小細胞バインディング(low cell binding)プレート上で10日間培養を行った。
結果を図12に示す。この結果、10日後にはニューロスフィア(neurosphere)(球状の細胞塊)が細胞顕微鏡下で観察された。次いでハイバインディング(high binding)プレート上でさらに培養した。10日後に分化したニューロスフィア(neurosphere)をパラフォルムアルデヒドを含む固定液にて固定し、発現タンパクの検討を行った。これらはネスチン(Nestin)陽性、ムサシ1陽性の神経幹細胞であることが確認された。
また、同様に、浮遊しているニューロスフィア(neurosphere)を採取しハイバインディング(high binding)プレート上でさらに培養し、10日後に分化したニューロスフィア(neurosphere)をパラフォルムアルデヒドを含む固定液にて固定し、発現タンパクの検討を行った。これらは、DCX陽性で、一部NeuN陽性、MAP2陽性の神経細胞であった。
血小板凝集抑制剤の脳梗塞に及ぼす影響の検討
成熟雄SCIDマウス(17−20g)の左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。血管閉塞1時間後よりシロスタゾール投与を開始し、2日目まで計5回経口投与した(60mg/kg×5)。3日目以降は薬物濃度0.1%の混餌飼料で投与継続した。脳梗塞後14日目に動物を灌流固定し、MAP2、NeuNに対する免疫組織化学を施行した。脳梗塞容積は梗塞巣を含む脳切片上(220u間隔、計12枚)の残存する神経細胞領域を測定することで算出し、健常側脳より算出した全脳容積に対する比率(%I)を用いて評価した。
結果を図13に示す。
エリスロポエチンの脳梗塞に及ぼす影響の検討
成熟雄SCIDマウス(17−20g)の左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。血管閉塞後よりBrdUを投与し、さらに1、2、3日目にEPO(25U)を皮下注した。脳梗塞後7、14、28日目に動物を灌流固定し、MAP2、NeuN、BrdU、CD13に対する免疫組織化学を行った。
結果を図14に示す。
血管内皮前駆細胞移植による脳梗塞治療効果
成熟雄SCIDマウス(17−20g)の左側中大脳動脈を直達法により凝固切断することにより脳梗塞を作成した。ヒト臍帯血由来のCD34陽性細胞(5×10個)を中大脳動脈閉塞後48時間目に尾静脈より注入した(CD34群)。コントロールとしてはCD34陰性細胞投与群(陰性群)とPBS投与群(PBS群)を作成した。脳障害の程度は形態学的検討(左右大脳皮質幅の比、TUNEL染色によるアポトーシスの程度、BrdU標識による再生神経や再生血管内皮細胞数)と行動テスト(オープンフィールドテストと驚愕反射)で評価した。形態学的検討は脳梗塞後7、14、35、90 日目の動物を用い. 行動テストは梗塞後35 日目の動物を用いて施行した。CD34 陽性細胞による血管新生はヒトあるいはマウス特異的内皮細胞マーカー(CD31抗体)とBrdU 標識を用いた免疫組織化学で評価した。また、抗血管再生作用をもつエンドスタチンの投与がCD34陽性細胞移植による血管新生にいかに影響を及ぼすかも検討した。
結果を図6、及び図17〜21に示す。
脳梗塞は重篤な疾患であり、発症後命を落とさなかったとしても重篤な後遺症が残り、脳梗塞の治療・予防、また発症後の脳機能の回復方法に関して、より有効な処置法の開発が切望されている。本発明は、脳梗塞に対して有効な治療・予防又は発症後の速やかな脳機能の回復方法を開発するための極めて有効な処方を提供するものであり、製薬産業をはじめとする各種の医療関連産業において有用であり、産業上の利用性がある。
図1は、免疫不全マウス(SCIDマウス)の中大脳動脈を結紮し、大脳皮質中大脳動脈領域の血流変化をレーザードプラー血流計で測定した結果をグラフ化して示すものである。図1の横軸は結紮からの時間(分(’)又は時間(h))を示し、縦軸は結紮前の血流量を100%とした血流量の比(%)を示す。 図2は、本発明の脳梗塞用動物モデルの中大脳動脈結紮による血流灌流領域の変化をカーボンブラック(carbon black)灌流法にて検討した結果を示す図面に代わるカラー写真である。 図3は、本発明のSCIDマウスの1群及びC57B6マウスの1群、各群4匹における中大脳動脈結紮によって作成される脳梗塞領域を2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム(2,3,5-triphenyltetrazolium )(TTC)染色法にて検討した結果を示す図面に代わるカラー写真である。図3上段は1日目のものであり、中段は3日目のものであり、下段は7日目のものである。図3の左側が本発明のSCIDマウス、その右側3列は対照としたC57B/6マウスの3例を示す。 図4は、本発明のSCIDマウスの2匹のSCIDマウスにおいて中大脳動脈結紮後、1日目にMRIを施行し、T2強調画像を得た結果を示す図面に代わる写真である。図4の各写真は、脳の前方(左上段)から後方(左下段)まで1mm幅で撮像したものである。 図5は、本発明の脳梗塞用動物モデルの脳梗塞後の脳の形態変化を調べるために、8匹のマウスの脳梗塞後の脳萎縮の程度を摘出脳で観察した結果を示す図面に代わるカラー写真である。 図6は、脳梗塞後35日目のマウス行動テストである。a、b、c、dはオープンフィールドテストの結果である。オープンフィールドテストでは一定時間内の活動量を測定する。この活動量は水平方向の活動量(Locomotion)と垂直方向(立ち上がり;rearing)それぞれで評価される。eは、Startle amplitude(驚愕反射の強さ)の結果を示し、fは明所から暗所へ移動する時間(潜時;Latency)を示す。 図7は、本発明の脳梗塞用動物モデルの脳梗塞容積の経時後変化を検討した結果をグラフ化したものである。図7a(図7の左上側)は、残存する神経細胞領域(MAP2陽性領域)を測定することで算出し、健常側脳より算出した全脳容積に対する比率(%I)を用いて評価した結果を示す。グラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸は%Iを示す。図7b(図7の左下側)は、脳梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の線条体の容積の比(L/R比)を測定した結果を示す。図7bのグラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸はL/R比を示す。図7c(図7の右下側)は、図7bと同様にして梗塞作成後の左脳(梗塞側)と右脳(健常側)の大脳皮質の容積の比(L/R比)を測定した結果を示す。図7cのグラフの横軸は脳梗塞作成後の日数(日)を示し、縦軸はL/R比を示す。 図8は、本発明の脳梗塞用動物モデルの虚血脳における脳再生過程をブロモデオキシウリジン(5-Bromodeoxyuridine )(BrdU)を皮下投与し、虚血脳における脳細胞再生を検討した結果を示す図面に代わるカラー写真である。図8の左側は、梗塞周辺におけるものであり、右側はSVZにおけるものである。図8の上から梗塞発生前(sham)、梗塞後1日目、3日目、及び14日目をそれぞれ示す。 図9は、本発明の脳梗塞用動物モデルの虚血脳における脳再生過程をブロモデオキシウリジン(5-Bromodeoxyuridine )(BrdU)を皮下投与し、虚血脳における脳細胞再生を検討した結果をグラフ化して示したものである。図9A(図9の左側)はスライス中の全陽性細胞数を示し、図9B(図9の右側)はスライス中の内皮細胞における陽性細胞数を示す。各グラフの横軸は梗塞発症からの日数を示し(cは対照を示す。)、縦軸は細胞数を示す。図9中の黒抜きの棒は梗塞発症部位と同じ側の場合を示し、白抜きの棒はその反対側の場合を示す。 図10は、本発明の脳梗塞用動物モデルに脳梗塞を作成後、脳を摘出し、脳切片を作成し、これらの試料にPSA−NCAM、DCX、NeuN、MAP2、NG2、PDGFRα、及びムサシ1(Musashi1)をそれぞれ用いて、染色し、顕微鏡で観察した結果を示す図面に代わるカラー写真である。図10の左上は、梗塞側の梗塞周囲に出現したPSA−NCAM陽性構造(灰色(原図では黄色)の矢頭)とSVZに出現したPSA−NCAM(黒色(原図では青)の矢頭)で、右下は健常側(反対側)のSVZのPSA−NCAM(黒色(原図では青)の矢頭)、中央上は左上の拡大像で、右上はその連続切片のムサシ1(Musashi1)、左下はその連続切片のDCX、中央下段はその連続切片のNeuNである。 図11は、梗塞巣内にみられるN−カドヘリン陽性細胞集団と梗塞周囲にみられるN−カドヘリン陽性構造(図11左側)、及び梗塞巣内にあるNotch1陽性細胞集団(図11右側)を示す図面に代わるカラー写真である。 図12は、本発明の脳梗塞用動物モデルが、脳梗塞発症後、産生した脳梗塞下組織(Stem Road)由来の神経幹細胞を分離し、ニューロスフィア(neurosphere)法により培養した結果を示す図面に代わるカラー写真である。図12の上段は脳梗塞巣から得られた細胞を培養した結果の顕微鏡写真を示し、図12の下段は、側脳室周囲から得られた細胞を培養した結果のカラー写真を示す。 図13は、本発明のスクリーニング方法の薬剤評価系としての有用性を血小板凝集抑制剤シロスタゾールを用いて脳梗塞に及ぼす影響を検討した結果をグラフ化したものである。図13の左側は、梗塞部分の容積の変化を示し、グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は全脳容積に対する容積の比(%I)を示す。図13の右側は、14日後の対照(プラセボ)との比較を示し、グラフの横軸は左側が対照(プラセボ)で、右側がシロスタゾール投与群を示し、縦軸は全脳容積に対する梗塞の容積の比(%I)を示す。 図14は、血管再生作用のあるエリスロポエチンの脳梗塞および血管新生に与える効果をみた結果を示す図面に代わるカラー写真である。EPO(エリスロポエチン)投与群では7日目のCD13陽性内皮細胞で示される新生血管内皮細胞数がPBS投与(コントロール)に比べて有意に多く(図左)、また梗塞容積も小さかった。 図15は、本明細書において実施例15として示したCD34−陽性細胞移植注入の脳梗塞に与える影響の結果を示す図面に代わるカラー写真である。図15には脳梗塞作成後2日目にCD34−陽性(CD34−positive)細胞を静脈投与して14日目(c)、90日目(f)の脳である。また、それぞれコントロールとしてCD34−陰性(CD34−negative)細胞(b,e)あるいはPBS(リン酸緩衝液添加生理食塩水)(a,d)を注入したものの14日目(b,a)および90日目(e,d)の脳である。図15下左側のグラフは、CI値の変化を示し、黒三角印(▲)はCD34−陽性(CD34−positive)細胞の場合を示し、黒四角印(■)はCD34−陰性(CD34−negative)細胞の場合を示し、及び黒丸印(●)はPBSの場合を示す。図6右下は、CI値算出のための計測箇所を示す。 図16は、本明細書の実施例15として示したCD34−陽性細胞移植注入の脳梗塞に与える影響をみた結果を示す図面に代わるカラー写真である。図16には脳梗塞作成後2日目にCD34−陽性(CD34−positive)細胞、CD34−陰性(negative)細胞、PBSを静脈投与して35日目の脳である。梗塞面積を算出するために設定した領域を右中断のAとBで示す。B/Aはcortical area indexであり、脳梗塞の広さを示す。左下段はそれぞれの群の35日目のcortical area indexを示している。 図17は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をマウス脳梗塞後に静脈投与して、14日目にマウス脳をヒトCD31に対する抗体で免疫組織化学を行った結果を示す図面に代わるカラー写真である。図17の左側は血管内皮のマーカーのCD31の場合を示し、中側は血管内皮細胞の1種であるマーカーフォンビルブランド因子(VWF)抗体の場合であり、右側はこれらをマージしたものである。 図18は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植の血管再生に及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にCD34陽性細胞、CD34陰性細胞、PBSを静脈内注入し、その24時間後にカーボンブラック注入法にて脳灌流領域を観察すると同時に同じ脳スライスをTTC染色し、梗塞(TTC染色されていない部分)と正常脳(TTC染色部)の境界部の有効血管(カーボンブラックで灌流されている血管)数(angiographic score)を3群間で比較した結果を示すグラフと、それらの図面に代わるカラー写真である。左上と中央上ははCD34陽性細胞注入例とその拡大像で、下左、中央はそれぞれCD34陰性細胞、PBS注入例である。右下グラフは脳1スライスあたりの平均有効血管数(angiographic score)を示す。 図19は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植の神経再生に及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にPBS(a)、CD34陰性細胞(b)、CD34陽性細胞(c)を静脈内注入し、再生細胞をBrdUで標識し、脳梗塞作成後35日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成し、BrdUとNeuNに対する二重標識間接蛍光抗体法を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて再生神経を同定した結果を示す図面に代わるカラー写真である。a,b,cとも原写真で赤(白黒では黒い灰色)で示すのはBrdU陽性細胞の核であり、原写真で緑(白黒では灰色)はNeuN陽性の神経細胞核である。図19cの原写真で黄色(白黒では灰色)に見えるのは赤とみどりが混合されてみえており、NeuN陽性の神経が同時にBrdU陽性で再生したものであることを示す。グラフdは3群における1脳切片あたりのBrdU陽性/NeuN陽性細胞(再生神経細胞)の数を示す。グラフeは3群における1脳切片あたりの全NeuN陽性細胞(再生神経細胞+既存の神経細胞)の数を示す。 図20は、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞移植のアポトーシスに及ぼす影響を検討する目的で、脳梗塞作成後48時間後にCD34陰性細胞(a)、CD34陽性細胞(b)を静脈内注入した。脳梗塞作成後14日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成し、TUNEL(Terminal Deoxynucleotidyl Transferase-Mediated dUTP Nick End-Labeling)法にてアポトーシス細胞を検討した結果を示す図面に代わるカラー写真である。図20はCD34陰性細胞(CD34−)、CD34陽性細胞(CD34+)注入マウスの脳梗塞周囲の大脳皮質におけるTUNEL陽性細胞(アポトーシス細胞)を示し、右側のグラフは1切片あたりのアポトーシス細胞数を示す。 図21は、梗塞作成直後よりエンドスタチンを持続皮下注入し、コントロールとしてはPBSを持続皮下注し、それを再生細胞をBrdUにて標識し、梗塞作成後48時間目にCD34陰性細胞(CD34−)、CD34陽性細胞(CD34+)を静脈内注入し、脳梗塞作成後7日目あるいは14日目にマウスを灌流固定して脳切片を作成した結果を示すグラフである。BrdUで標識された血管内皮細胞数(ECs)(図21a)、CI値(cortical width index)(図21b)、Small NeuN細胞数(neuronal precursor cells;NPCs)(図21c)、及び大脳皮質における全神経細胞数(NeuN positive cells)(図21d)を測定した結果をそれぞれ示している。黒のグラフは梗塞後14日目のものであり、白抜きのグラフは7日目のものである。

Claims (18)

  1. 免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮してなる脳梗塞用モデル動物。
  2. 免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管が、中大脳動脈である請求項1に記載の脳梗塞用モデル動物。
  3. 免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮することからなる脳梗塞用モデル動物の製造方法。
  4. 結紮する方法が、クリップ法、血管の凝固・切断法、又は血管内栓子法である請求項3に記載の製造方法。
  5. 結紮される脳の血管が、中大脳動脈である請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 免疫不全マウス(SCIDマウス)の脳の血管を結紮して、脳梗塞用モデル動物として使用する方法。
  7. 免疫不全マウス(SCIDマウス)の、脳梗塞用モデル動物として使用。
  8. 請求項1又は2に記載の脳梗塞用モデル動物に、被検薬物を投与して、当該被検薬物の脳梗塞に対する有効性をスクリーニングする方法。
  9. 請求項8に記載の方法によって脳梗塞に対する有効性が評価された薬剤、及び製薬上許容される担体を含有してなる脳梗塞の治療・予防・処置のための医薬組成物。
  10. 請求項8に記載の方法によって脳梗塞に対する有効性が評価された薬剤が、シロスタゾール、エリスロポエチン(EPO)からなる群から選ばれる1種以上の薬剤である請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 請求項1又は2に記載の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞発症後に神経幹細胞及び血管形成能を有する細胞からなる群から選ばれる1種以上の細胞を移植し、当該移植による脳梗塞発症後の脳機能の回復に対する有効性をスクリーニングする方法。
  12. 神経幹細胞が、胎児脳若しくは成熟脳の脳室下帯組織(subventricular zone;SVZ)由来の神経幹細胞、又は骨髄成体多能性幹細胞(multipotent adult progenitor cell:MAPC)である請求項11に記載の方法。
  13. 血管形成能を有する細胞が、血管内皮前駆細胞(EPC)である請求項11に記載の方法。
  14. 移植される細胞がヒト由来のものである請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 請求項1又は2に記載の脳梗塞用モデル動物に、脳梗塞を発症させ、脳梗塞発症後の脳に産生する神経幹細胞を採取する方法。
  16. 請求項15に記載の方法により採取される、請求項1又は2に記載の脳梗塞用モデル動物の脳梗塞発症後の脳に産生する神経幹細胞。
  17. 請求項16に記載される神経幹細胞を培養する方法。
  18. 請求項16に記載の神経幹細胞を抗原とする抗体。


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