JP2005287320A - 個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるdnaに対する影響の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクの診断に有用な、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法を提供すること。
【解決手段】 個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法は、個体から採取されたゲノムDNAについて、化学物質への曝露によりDNAがメチル化される部位であるバイオマーカーのメチル化状態を調べることを含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法に関する。
内分泌攪乱化学物質のような化学物質は変異原性を持っていないか、持っていても弱い。しかし、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol (DES))のような内分泌攪乱物質は、個体のゲノムDNA中のシトシンをメチル化することが知られている。このメチル化修飾は、細胞分裂の際にも安定に保持されるのであたかも突然変異が起こったかのような振る舞いをし、その結果遺伝子発現に異常をきたしているものと考えられる。多くの場合、メチル化された遺伝子は変化し不活性に、逆に脱メチル化された遺伝子は活性になるなどエピジェネティック変化(DNA配列の変化(いわゆる突然変異)ではないにもかかわらず有糸分裂や減数分裂を経て伝わり得る遺伝子の変化)も突然変異と類似の作用を示すことがある。ゲノムDNAがメチル化修飾を受けた場合、突然変異と同様、各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクが高まると考えられる。
従来、DESのような内分泌攪乱化学物質が、ゲノムDNA中のシトシンのメチル化をもたらすことが知られており(非特許文献3及び非特許文献4)、どのような物質がDNAのメチル化修飾作用を有しているかがさかんに調べられている。また、Not Iのような制限酵素がメチル化感受性を有し(すなわち、その認識部位中のシトシンがメチル化されているとDNAが切断されない)ていることも公知であり、また、このようなメチル化感受性制限酵素を利用したRLGS(restriction landmark genomic scanning)と呼ばれる方法(後述)により、メチル化部位を同定することも公知である。
国際公開公報WO 02/40710 内分泌攪乱化学物質特別シンポジウム 講演要旨集pp.33-35, 内分泌攪乱化学物質特別シンポジウム発行 Frommer M. Proc Natl Acad Sci USA 1992; 89: 1827-1831 Li S et al. Cancer Res 1997; 57: 4356-4359 Li S et al. Mol Carcinogen 2003; 38: 78-84 Dahl C and Guldberg P. Biogerontology 2003; 4: 233-250
ヒトで化学物質曝露のリスク評価をしようとする場合、現在の曝露量と個々人の感受性に関連する遺伝的背景の2つを考慮する必要があると考えられる。従来は遺伝的背景といえばDNA配列の違いを意味していたが、塩基配列の変化を伴わないエピジェネティック変化も遺伝的背景と同等の影響を持つので、DNA配列による従来の考えによる遺伝的背景とエピジェネティック変化による背景の両方を考慮することが必要である。従来、個体の現在のDNAを調べることにより個体が胎児期から現在に至るまでの間に受けてきた化学物質に対する曝露による影響を測定することにより、現在の当該個体の遺伝的背景を診断し、それによって、各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクを診断しようという思想はなかった。
本発明の目的は、各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクの診断に有用な、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法を提供することである。
本発明は、個体から採取されたゲノムDNAについて、化学物質への曝露によりDNAがメチル化される部位であるバイオマーカーのメチル化状態を調べることを含む、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法を提供する。
本発明により、各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクの診断に有用な、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法が提供された。本発明の方法を用いることにより、これまでに個体が受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響を調べることができ、特に、感受性が高い、胎児期に受けた化学物質への曝露による影響を包含する遺伝的な影響が、現時点での個体中でどの程度存在しているのかを知ることができる。また、本発明により、このような測定に用いられるバイオマーカーとして有用な部位も新たに提供された。
上記の通り、本発明の方法は、個体から採取されたゲノムDNAについて、化学物質への曝露によりDNAがメチル化される部位であるバイオマーカーのメチル化状態を調べることを含む。
本発明の方法の出発物質となるゲノムDNAは、個体から採取されたものである。個体は、何ら限定されるものではなく、ヒトやその他の哺乳動物、鳥類等のその他の動物等の生物由来のDNAを挙げることができ、好ましくはヒトである。ゲノムDNAは、細胞から常法により調製することができ、下記実施例にもその1例が詳細に記載されている。また、化学物質への曝露の程度ないしは化学物質に対する遺伝子の感受性は、組織によって異なり、ゲノムDNAを採取する組織が異なれば、見出されるバイオマーカーの種類も異なる。下記実施例では、子宮組織及び精巣上体由来のゲノムDNAを出発物質として用い、新たなバイオマーカーを合計7個見出したが、ゲノムDNAを抽出する組織はこれらに限定されるものではなく、いずれの組織であってもよい。診断のためには、簡便に採取できる組織が好ましく、この観点から血液細胞が好ましい。
化学物質への曝露によりDNAがメチル化される部位であるバイオマーカーは、メチル化感受性制限酵素を用いたRLGS法により決定することができる。ここで、メチル化感受性制限酵素とは、その認識部位に少なくとも1個のシトシンを含み、該シトシンがメチル化されていない場合には、DNAを切断するが、シトシンがメチル化されている場合には切断しない酵素を意味する。メチル化感受性制限酵素の例としては、Not I及びBssH II等を挙げることができ、Not Iが好ましい。Not Iの制限酵素部位は、gcggccgcであり、シトシンを多く含むため、本発明で用いるバイオマーカーの検出に有利である。
RLGS法の原理自体は公知である。先ず、ゲノムDNA試料をNot I等のメチル化感受性制限酵素で消化する(以下、説明を簡略化するため、Not Iをメチル化感受性制限酵素として用いた場合について説明する)。そうすると、Not Iの制限部位であるgcggccgcのうちのいずれかのシトシンがメチル化されている場合には切断が起きず、いずれのシトシンもメチル化されていない場合には切断が起きる。Not Iで切断された場合には、突出末端が生じるので、この突出末端を標識する。突出末端の標識には、放射標識を好ましく用いることができ、例えば、シーケナーゼ(Sequenase、商品名)の存在下で放射標識デオキシヌクレオシド三リン酸を作用させることにより、突出末端を平滑化すると同時に放射標識することができる。次に、放射標識したNot I消化物を二次元電気泳動にかける。なお、電気泳動による断片の分離性を向上させるために、所望により、Not I以外の制限酵素(下記実施例ではPvu IIを使用)でさらに消化した後、電気泳動にかけてもよい。一次元目の電気泳動終了後に、さらに別の制限酵素(下記実施例ではPst Iを使用)で消化した後、二次元目の電気泳動を行なう。二次元目の電気泳動後に、オートラジオグラフィー等により、Not I切断部位の標識を検出する。
そうすると、シトシンがメチル化されずにNot Iで切断された断片の末端は、標識されているので標識が電気泳動ゲル上にスポットとして検出され、一方、Not I制限部位のシトシンがメチル化されていた場合には、Not Iで切断されず、従って、切断部位が標識されるということもないので標識は検出されない。内分泌攪乱化学物質で処理した動物と処理していない動物の同じ組織からそれぞれ採取したゲノムDNAについて上記RLGSを行い、その検出スポットを比較する。あるNot I制限部位が内分泌攪乱化学物質によりメチル化される場合、内分泌攪乱化学物質で処理していない動物由来のゲノムDNAを用いた場合にはスポットが検出されるが、内分泌攪乱化学物質で処理した動物由来のゲノムDNAを用いた場合にはスポットが検出されなくなる。逆に、内分泌攪乱化学物質によりシトシンの脱メチル化が起きる場合には、上記と逆になるがいずれにせよ内分泌攪乱化学物質で処理した動物と処理していない動物で、シトシンのメチル化について差異が生じる。したがって、両者のスポットを比較することにより、その内分泌攪乱化学物質によりメチル化される部位、すなわち、本発明においてバイオマーカーとして利用可能な部位を見つけ出すことができる。
このようにして見つけ出したスポットをゲルから切り出し、スポットに含まれるDNA断片をクローニングしてその塩基配列を決定することにより、バイオマーカーとして利用可能な部位及びその近傍の塩基配列を知ることができる。なお、RLGS法の二次元電気泳動後のゲルからスポットを切り出した場合には、Not I断片以外の種々のゲノムDNA断片も混入している可能性が高く、目的とするバイオマーカーを含む断片のシーケンシングが容易ではない場合がある。このような場合、別途、クローニング用のゲルを調製し、それを利用して目的のDNA断片をクローニングし、その塩基配列を決定することができる。すなわち、RLGS法に供したのと同じゲノムDNA試料を、Not I及び他の制限酵素(下記実施例ではPst Iを使用)で消化し、Not I切断部位(突出末端)を不動化した樹脂とリガーゼの存在下で反応させる。そうすると、Not I-Pst I断片が樹脂に不動化される。この状態で樹脂を洗浄すると、Not I切断部位を持たないDNA断片は洗い流される。その後、樹脂にNot Iを作用させると、Not I-Pst I断片が樹脂から切り出される。この断片のNot I部位を上記と同様にして標識し、上記RLGS の二次元目の電気泳動と同じ条件で電気泳動する。そうすると、Not I-Pst I断片は、上記RLGS の二次元目の電気泳動におけるNot I-Pst I断片と同じように移動するから、先にRLGS法により決定されたバイオマーカー含有断片がどのスポットを形成しているのかがわかる。バイオマーカー含有断片が構成するスポットをゲルから切り出し、常法によりクローニングしてその塩基配列を決定する。このようにすると、Not I切断部位を有さない他のDNA断片は、先の工程で除去されているので、目的の断片を容易にクローニングし、その塩基配列を決定することができる。
なお、上記したRLGS法の基本原理は公知であるが、用いる制限酵素の組み合わせや、試料となるゲノムDNAが由来する組織の種類等により、見出されるバイオマーカーは異なる可能性が少なくない。本発明の実施例に記載した方法により見出されたバイオマーカーは、DNAのメチル化状態を調べるためのバイオマーカーとして新規なものである。
下記実施例に具体的に記載された方法により、精巣上体由来の試料から4個のバイオマーカーが同定され、子宮由来の試料から3個のバイオマーカーが同定された。決定された塩基配列を図1ないし図7及び配列番号1ないし7に示す。図1ないし図7中、Not I部位には二重下線を引いた。図1ないし図7に示す全ての塩基配列において、Not I部位の3'側隣接領域はベクター由来の領域である。一方、Pst I部位には下線を引いた。Pst I部位よりも上流の領域もベクター由来の領域である。なお、図3及び図4以外の配列では、Pst I部位が記載されていないが、これは、シーケンシング用のプライマーをPst I部位の上流近傍に設定したために、Pst I部位よりも下流の領域から塩基配列決定がなされたためである。配列番号1ないし7には、図1ないし図7に示す塩基配列のうち、試料のゲノムDNA由来の領域の配列のみを示し、配列番号8ないし14には、図1ないし図7と同一の塩基配列(ベクター由来配列も含む)を示す。
DNAのメチル化状態を調べるためのバイオマーカー及びその近傍の塩基配列が上記方法により一旦決定されると、未知の試料についてゲノムDNAのメチル化状態を調べるためには、上記RLGS法を上記と同様に行なってバイオマーカー含有断片のスポットの標識を測定する必要はなく(測定してもよいが)、すでに多数開発されているより簡便な方法が利用できる (非特許文献5)。すなわち、ゲノムDNA試料をNot Iで消化した後Not I部位(バイオマーカー)を含む領域をPCR等の核酸増幅法で増幅し、その産物を電気泳動にかける方法で容易に調べることができる。この場合、増幅断片が検出された場合にはそのNot I部位はメチル化されており、増幅断片が検出されない場合にはメチル化されていない。あるいは、DNAを重亜硫酸ナトリウムで処理すると、シトシンがウラシルに変化するが、シトシンがメチル化されている場合にはウラシルに変化しないことが知られている(非特許文献2)。この現象を利用することにより、シトシンがメチル化されている場合といない場合とで、その塩基配列を異ならしめることが可能になる。例えば、ゲノムDNA試料を重亜硫酸ナトリウムで処理した後、Not I部位(バイオマーカー)を含む領域をPCR等の核酸増幅法により増幅し、増幅断片をNot Iで消化して切断されるか否かを調べるか又は増幅断片の塩基配列を決定する。前者の場合、メチル化が起きている場合には、シトシンのウラシルへの変換が起きていないので、Not Iで切断されるが、メチル化が起きていない場合には、シトシンがウラシルに変換されているので、Not Iでは切断されない。切断されたか否かは、Not I消化物を電気泳動にかけることにより容易に調べることができる(常法であるRFLP法)。あるいは、重亜硫酸ナトリウムで処理したゲノムDNA試料をベクターに組み込んだ上で塩基配列の変換がおこっているかどうかを判定することも出きる。この場合、図1ないし図7中に示されるNot I部位は、その直下流がベクター由来の配列であるので、Not I部位を含む領域を増幅する場合には、例えば、先ず、ゲノム試料を、Not I及びPst I(他の制限酵素でもよく、用いなくてもよい)で消化し、その消化物を、塩基配列が既知のクローニングベクターのNot I-Pst I部位に挿入してから、ベクター領域に一方のプライマーを設定してPCRを行なうことにより、Not I部位を含む領域を増幅することができる。もちろん、その場合でも他方のプライマーは、ゲノムDNA領域に設定する必要がある。なお、バイオマーカーはNot I部位であるから、Not I部位の塩基配列が変化しているか否かを調べればよいので、増幅断片がベクター由来の領域を含んでいても差し支えはない。あるいは、Not I部位にPCR用のプライマーを設定して、増幅が起きるか否かを調べることによりNot I部位のシトシンがウラシルに変換されたか否か、ひいては、Not I部位のシトシンがメチル化されたか否かを調べることもできる。なお、重亜硫酸ナトリウムによるシトシンの変換反応のためのキットも市販されているが、アルカリ変性したゲノムDNA試料を3M程度の重亜硫酸ナトリウム存在下で例えば50℃で12〜20時間反応させ、変換させたDNAは市販のDNA精製キットなどで精製して増幅反応やシーケンス反応等に供せられる。また、PCRは周知であり、そのためのキット及び装置も市販されているので、鋳型DNAの塩基配列がわかっていれば容易に実施可能である。PCRに用いるプライマーのサイズは、通常15塩基から50塩基、好ましくは18塩基から35塩基程度であり、鋳型DNA又はその相補鎖に相補的な塩基配列を有するものを好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1. 材料及び方法
(1) マウスのDES処理および採材
妊娠マウス(57BL/6妊娠12日目, SLC, 静岡) を購入し、仔を出産させた。出産日を第0日とし、第1日から第5日まで1日1回、DES処理群はDES (0.003 μgまたは3 μg) を溶解した25 μLのセサミ油(Sigma, 東京)を、コントロール群はセサミ油のみを仔マウスの皮下に注射した。マウスは気温20℃、明期暗期それぞれ12時間の条件で飼育した。餌は、妊娠マウスおよび出生後第21日以降の仔マウスにはCE-2(日本クレア)を与えた。出生後第21日までの仔マウスは親マウスに授乳させた。仔マウスは第30日に屠殺し、オスからは精巣上体を、メスからは子宮を摘出した。組織は液体窒素で凍結し、使用するまで-80℃で保存した。
(2) 組織からのゲノムDNAの抽出
組織(精巣上体、子宮)は液体窒素で冷やしながら粉砕し、25 mLの10 mg/mLプロテイナーゼK (Merck, ドイツ) を含む溶解緩衝液(150 mM EDTA, 10 mM Tris-HCl, pH 8.0, 1 % SDS) に懸濁し、55℃で20分間インキュベートした。等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール (50:49:1) を加え、30分間穏やかに撹拌してタンパク質を抽出した。水層部分をとり、再度等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールでタンパク質を抽出した。水層を取り、等量のイソプロピルアルコールを加え、穏やかに混合してゲノムDNAを析出させた。DNAは70%エタノールで1回洗浄し、TE緩衝液 (10 mM Tris-HCl, 1 mM EDTA, pH 7.6)に溶解し、使用するまで4℃で冷蔵保存した。
(3) Restriction Landmark Genomic Scanning (RLGS) 法
RLGSはNotI, PvuIIおよびPstIを用いて行った。ゲノムDNA (3.5μg/7μL TE) は0.4 μM dGTPαS, 0.2 μM dCTPαS (Amersham、東京), 0.4 μM ddATP, 0.4 μM ddTTP (TaKaRa、京都)存在下Klenow fragment (TaKaRa)で処理した。そのDNAは20ユニットのNotIで消化し、生じた突出末端はSequenase Ver2.0 (USB Co.Ltd., NE)を用いて0.33μM [α-32P]dCTPと0.33μM [α-32P]dGTP (Perkin Elmer、アメリカ)で、37℃、1時間反応させてラベルした。ラベルしたDNA (1μg) は20ユニットのPvuII (Nippon Gene、富山) [反応条件…37℃で1時間] で消化し、1次元目の電気泳動 (0.9 %アガロース, 23 h, 230V) を行った(泳動用緩衝液:1M Tris-acetate pH8.0、400mM 酢酸ナトリウム、30 mM EDTA、360 mM NaCl)。ゲル中に分離されたDNA断片は1000ユニットのPstI (Nippon Gene) で消化したのち、2次元目の電気泳動 (5 % アクリルアミド, 20 h, 150 V, TBE緩衝液) を行った(TBE緩衝液: 10.8 g Tris, 5.5 g ホウ酸, 0.75 g EDTA /L)。ゲルは乾燥させ、分離したDNA断片はX線フィルム (Kodak XAR5, Eastman Kodak, アメリカ) に-80℃で2〜4週間露光させて検出した。メチル化していないあるいはその程度が低い場合にはスポットが観察され、メチル化の程度が高くなるとスポットは消失する。
(4) クローニング用のゲルの作成
100μgのゲノムDNAを100ユニットのNotIで消化し、さらに150ユニットのPstIで消化した。消化したDNAはフェノール処理とエタノール沈殿で精製し、100μLの滅菌水に溶かした。これに50μLのEasy Anchor NotI樹脂 (Nippon Gene) と600ユニットの大腸菌DNAリガーゼおよびリガーゼ用反応液を加え、16℃で16時間反応させてNotI末端を持つDNAを樹脂に結合した。樹脂を洗浄して結合しなかったDNA断片を除いた後、200ユニットのNotIで37℃、3時間反応させて樹脂からDNA断片を切り出した。DNA断片はフェノール処理、エタノール沈殿で精製し、10μLのTE緩衝液に溶解した。こうして得られたDNA溶液のうち1μLを0.33μM [α-32P]dCTPと0.33μM [α-32P]dGTPとSequenase Ver2.0で37℃で1時間反応させてラベルし、5μLの反応停止液を加えた後、ラベルせずにおいていた9μLのDNA断片を加え、電気泳動サンプルとした。電気泳動およびスポットの検出は前出のとおりである。
(5) スポットクローニング
シーケンス用のゲルから切り抜いたDNA断片はゲルから電気泳動的に溶出し、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出およびエタノール沈殿で精製した。抽出したDNAはpBluescript II SK-(Stratagene, アメリカ) のNotI部位とPstI部位の間に挿入した。挿入した断片はプライマーセット(配列M4: 5'-GTTTTCCCAGTCACGAC、RV: 5'-CAGGAAACAGCTATGAC )を用いたPCR法で増幅した (反応条件: 94℃ 5分、[94℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 2分] を30サイクル、72℃ 8分、4℃)。PCR産物はpGEM-T easyベクター (Promega, アメリカ) に組み込みクローン化した。
(6) シーケンス解析
シーケンスはpBluescript II SK-のPstI部位上流部分に対するKSプライマー(tc gaggtcgacggtatc)を用いビッグダイターミネーターV3.1による反応液をDNAシーケンサ (ABI 310) で解析した。得られた配列データはBLAST (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/、National Center for Biotechnology Information、アメリカ) でホモロジーを検索した。
2. 結果
(1) 変化する遺伝子の特定
新生仔マウスに生後直後から5日間DESを投与し、30日齢で精巣上体と子宮のDNAメチレーションの変化をNot Iを用いたRLGS法で網羅的に調べたところ、914個のスポットを分離することができた。3μg/マウス/日でDESを投与した場合、コントロールに対しDES投与群では、精巣上体で1ヶ所のメチル化(スポット#E1)と6ヶ所の脱メチル化(スポット#E2〜7)、子宮で5ヶ所のメチル化(スポット#U1〜5)と6ヶ所の脱メチル化(スポット#U6〜11)が検出された。そのうち精巣上体で変化したスポット#E5、スポット#E6、スポット#E7、スポット#E8および子宮で変化したスポット#U5、スポット#U7、スポット#U10をスポットクローニングし、シーケンスを解析し、マウスゲノムデータベースと照合した。シーケンスの結果は図1ないし図7に示した。
(2) 化学物質の量とメチレーションの変化の関係
新生仔マウスに生後直後から5日間DESを0.003または3μg/マウス/日で投与し、30日齢で子宮のスポット#U5、スポット#U7、スポット#U10のDNAメチレーションの変化をNot Iを用いたRLGS法で調べた。スポット#U5はDESに曝露していないコントロールではメチル化の程度は低かったが、0.003μg/マウス/日以上の曝露でメチル化の程度は高くなった。スポット#U7はコントロールではメチル化の程度は高く、DESの0.003μg/マウス/日の曝露でもメチル化の程度は高いまま維持されたが、DESの3μg/マウス/日の曝露ではメチル化の程度は低下した。スポット#U10はスポット#U7と同様にコントロールではメチル化の程度は高かったが、0.003μg/マウス/日以上の曝露でメチル化の程度は低下した。この結果は、複数の遺伝子を適切に組み合わせることでDES曝露の濃度を推定できることを示している。
Figure 2005287320
本発明の方法を用いることにより、これまでに個体が受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響を調べることができ、特に、感受性が高い、胎児期に受けた化学物質への曝露による影響を包含する遺伝的な影響が、現時点での個体中でどの程度存在しているのかを知ることができる。したがって、本発明の方法は、各種癌の発生、喘息やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症、アルツハイマー症などの神経疾患、血球貪食性疾患のようなウイルス疾患等を引き起こすリスクの診断に有用である。これらのリスクが高い場合には、検査の頻度を高めたり検査を厳重に行う等により、疾患の早期発見を行うことができ、また、予防方法がある疾患では予防方法を講じることもできる。したがって、本発明の方法は、上記疾患の早期治療及び予防に有効である。
本発明の実施例において見出されたバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出された他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出されたさらに他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出されたさらに他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出されたさらに他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出されたさらに他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。 本発明の実施例において見出されたさらに他のバイオマーカーであるNot I部位及びその近傍の塩基配列を示す図である。

Claims (4)

  1. 個体から採取されたゲノムDNAについて、化学物質への曝露によりDNAがメチル化される部位であるバイオマーカーのメチル化状態を調べることを含む、個体がこれまでに受けた化学物質曝露によるDNAに対する影響の測定方法。
  2. 前記バイオマーカーは、メチル化感受性制限酵素を用いたRLGS法により決定されたものである請求項1記載の方法。
  3. 前記メチル化感受性制限酵素がNot Iである請求項2記載の方法。
  4. 前記バイオマーカーが、配列表の配列番号1ないし7のいずれか1に記載の配列中のNot I部位である請求項3記載の方法。

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