JP2005286210A - 希土類磁石の製造方法及び電磁波照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 欠陥の少ない保護層を形成可能であり、しかも磁気特性を良好に維持することができる希土類磁石の製造方法、及びこれに好適に用いることができる電磁波照射装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体に、酸化性雰囲気下で電磁波を照射することにより、磁石素体の表面に保護層を形成する工程を有するものである。この工程においては、電磁波を発生する発生手段、電磁波発生手段から生じた電磁波を伝える伝送手段、磁石素体を内部に収容可能な電磁波照射室、及び、一端部が伝送手段に接続されるとともに他端部が電磁波照射室の内部に挿入され、伝送手段から電磁波照射室の内部に電磁波を導入する導入手段とを備える電磁波照射装置を好適に用いることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体に、酸化性雰囲気下で電磁波を照射することにより、磁石素体の表面に保護層を形成する工程を有するものである。この工程においては、電磁波を発生する発生手段、電磁波発生手段から生じた電磁波を伝える伝送手段、磁石素体を内部に収容可能な電磁波照射室、及び、一端部が伝送手段に接続されるとともに他端部が電磁波照射室の内部に挿入され、伝送手段から電磁波照射室の内部に電磁波を導入する導入手段とを備える電磁波照射装置を好適に用いることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、希土類磁石の製造方法及びこれに用いる電磁波照射装置に関する。
高性能の永久磁石としては、希土類磁石が知られている。希土類磁石は、従来の空調機、冷蔵庫等の家庭用電化製品のみならず、産業機械、ロボット、燃料電池車、ハイブリッドカー等の駆動用モータへの応用が検討されており、これらの小型化、省エネルギー化を実現し得るものとして期待されている。このような希土類磁石のなかでも、R−Fe−B(Rは希土類元素)系の磁石は、25MGOeを超えるような高いエネルギー積を示す高性能磁石であることから注目を集めている。
しかし、このような希土類磁石は、磁石の主成分として希土類元素及び鉄を含有していることから極めて酸化されやすかった。しかも、温度に対する耐性が低いという性質を有していた。よって、これらの磁石は耐食性が低い傾向にあり、長期使用による経時的な磁気特性の低下を避けることが困難であった。
そこで、このようなR−Fe−B系の希土類磁石を用いる場合には、その耐食性を向上させることを目的として、磁石素体の表面上に保護膜を形成することが行われている。保護膜の形成方法としては、保護膜原料を含む塗布液を塗布する方法や、保護膜を化学的又は物理的気相堆積法等により積層する方法が実施されている。
ところが、これらのように、磁石素体の表面上に保護膜を形成させる方法においては、以下に示すような保護膜の欠陥が生じ易かった。すなわち、例えば塗布により保護膜を形成する場合、余分に付着した塗布液の一部が、膜形成中に剥離してパーティクルとなり、これが保護膜と磁石素体との間に入り込んで、保護膜にピンホールを発生させる原因となっていた。
また、気相堆積法等により保護膜を形成する場合、磁石素体と保護膜とはその構成材料が異なっていることから、成膜時に磁石素体と保護層との熱膨張係数の差に基づく応力が発生する場合があった。このため、磁石素体と保護層との間の密着性が弱く、保護層の剥離やクラック等が生じ易い傾向にあった。
そこで、近年では、このような不都合を解消するために、磁石素体の表面を熱的に酸化して、磁石素体表面に保護層である酸化膜を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法においては、磁石素体の表面が変換されて保護層を形成していることから、上述したような素体表面上に膜を形成させた場合の不都合を生じることが極めて少ない。
特開2002−57052号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法においては、200〜1100℃という高温条件で10分〜10時間という長時間の熱処理を実施していることから、このような熱処理による磁石素体の劣化が生じ易い傾向にあった。このため、こうして得られた希土類磁石は、保護層が形成されていない状態の磁石素体に比して、磁気特性が著しく低下してしまっていた。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、欠陥の少ない保護層を形成可能であり、しかも磁気特性を良好に維持することができる希土類磁石の製造方法、及びこれに好適に用いることができる電磁波照射装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体に、酸化性雰囲気下で電磁波を照射することにより、磁石素体の表面に保護層を形成する工程を有することを特徴とする。
かかる製造方法においては、磁石素体に対して酸化性雰囲気下で電磁波を照射することにより、磁石素体の表面近傍の構成材料を酸化して、これにより磁石素体の表面に保護層を形成させている。希土類元素を含む磁石素体は、このように電磁波を照射されると、その表面近傍領域が迅速に加熱されて当該領域が高温となる。このため、本発明の希土類磁石の製造方法においては、磁石素体の表面を熱的に酸化して保護層を形成させる際に、電磁波の照射を短時間行えばよいため、上記従来技術のように磁石素体を高温且つ長時間の条件で加熱する必要がない。
また、希土類元素を含む磁石素体に対して電磁波を照射した場合には、その表面近傍領域のみが選択的に加熱される。よって、磁石素体の内部が過度に酸化されるのを防止することができ、素体の表面近傍領域に均一な厚さの保護層を形成することができる。
さらに、上記本発明の希土類磁石の製造方法においては、磁石素体の表面近傍領域を保護層に変換させている。このため、磁石素体表面上に異種の構成材料からなる保護膜を形成させていた従来の方法のような、膜形成時におけるパーティクルの発生が殆ど見られないほか、磁石素体と保護層との間の応力も発生し難い。
ここで、上述した酸化性雰囲気とは、周囲に磁石素体を酸化させ得る物質(ガス等)が存在している雰囲気をいうものとする。このような雰囲気下においては、加熱等の所定の操作を施すことで、これらの物質による磁石素体の酸化が生じ得る状態となっている。
上述したように、上記本発明により形成させる保護層は、磁石素体の構成材料の酸化物からなるものである。すなわち、本発明の希土類磁石の製造方法においては、電磁波を照射することにより磁石素体の構成材料を酸化して、この構成材料の酸化物からなる保護層を形成することが好ましい。
また、上記電磁波は、マイクロ波であるとより好ましい。マイクロ波に属する波長を有する電磁波は、希土類元素を含む磁石素体を加熱する能力に特に優れるものである。したがって、電磁波としてマイクロ波を用いることにより、磁石素体の表面への保護層の形成をさらに効率良く行うことができる。
上記磁石素体に含まれる希土類元素としては、Ndを含有していることが好ましい。このようにNdを含む希土類磁石は、極めて優れた磁気特性を有するものとなる。
さらに、酸化成雰囲気は、O2ガス、N2Oガス又はO3ガスを含む雰囲気であるとより好ましい。これらのガスを含む酸化性雰囲気においては、磁石素体における表面近傍の構成材料の酸化が生じやすいことから、保護層の形成が更に容易となる。なかでも、O3ガスを含む雰囲気であると、この酸化がより生じ易くなるため、更に好ましい。
またさらに、保護層は、その厚さが0.1〜5μmとなるように形成させると好ましい。このような厚さの保護層を有する希土類磁石は、優れた耐久性を有するとともに、磁石素体の内部が過度に酸化されていないことから、磁石素体そのものと比較して磁気特性が良好に維持されたものとなる。
さらに、本発明の希土類磁石の製造方法における上記工程は、所定の電磁波照射装置を用いることで効率良く実施することができる。すなわち、上記工程においては、磁石素体を内部に収容可能な電磁波照射室と、電磁波を発生する発生手段と、電磁波発生手段で生じた電磁波を電磁波照射室の内部に導入する伝送手段とを備える電磁波照射装置を用い、電磁波照射室の内部に磁石素体を収容し、磁石素体の周囲を酸化性雰囲気に維持しながら、この電磁波照射室の内部に電磁波を導入することにより、磁石素体に前記電磁波を照射することが好ましい。
このように、保護層を形成させる際に上述した電磁波照射装置を用いると、電磁波発生手段により発生した電磁波は、伝送手段を介して容器内部に収容された磁石素体に照射されることとなる。このような電磁波照射装置によれば、電磁波発生手段において発生した電磁波を、効率良く磁石素体に照射することができるようになる。よって、磁石素体の表面に保護層を形成することが容易となる。
より具体的には、電磁波としてマイクロ波を用いる場合には、伝送手段が、導波管と、この導波管内を進行するマイクロ波を横切るように導波管の内部に挿入されたアンテナとを含むものであると好適である。こうすれば、導波管内を伝わるマイクロ波を、直線偏波から円偏波に変換することが可能となり、磁石素体に対してより均一にマイクロ波を照射することが可能となる。さらに、アンテナは、矩形導波管におけるE面又はH面を貫通するように設けられており、このアンテナの矩形導波管から露出した一端部分が、例えば電磁波照射室に電磁波を伝送するための円形導波管等の内部に挿入されているとより好ましい。この際、アンテナは、矩形導波管のE面又はH面におけるマイクロ波の進行方向に対して垂直方向の幅の中央部分を通るように形成されていると、最も効率良くマイクロ波を伝えられることから特に好ましい。
また、本発明による電磁波照射装置は、上記本発明の希土類磁石の製造方法に好適に用いられるものである。すなわち、磁石素体を内部に収容可能であり、且つ、磁石素体の周辺を酸化性雰囲気に維持可能な電磁波照射室と、電磁波を発生する発生手段と、電磁波発生手段から生じた電磁波を電磁波照射室の内部に導入する伝送手段とを備えることを特徴とする。
上記電磁波照射装置における電磁波としては、マイクロ波が好適である。これにより、保護層の形成をより効率良く行うことができる。またこの場合、伝送手段は、導波管と、この導波管内を進行するマイクロ波を横切るように導波管の内部に挿入されたアンテナとを含むことが好ましい。こうすれば、上述の如く、磁石素体に対してより均一にマイクロ波を照射することが可能となる。
この電磁波照射装置においては、電磁波照射室が円筒状の形状を有しており、その軸を中心にして回転可能となっているとより好ましい。こうすると、磁石素体が収容された電磁波照射室を回転させることで、その内部に収容された磁石素体も回転することとなり、これにより、磁石素体の全面に対して効率良く電磁波を照射することができる。
また、この電磁波照射装置に用いる電磁波照射室は、複数の磁石素体を収容できるものであるとさらに好ましい。こうすれば、一度に複数の磁石素体に対して電磁波を照射することができ、これにより、大量の希土類磁石を短時間で製造することが可能となる。
本発明の希土類磁石の製造方法によれば、保護層の形成時における高温・長時間の加熱を低減でき、また、その際のパーティクルや応力の発生を効果的に低減できる。その結果、欠陥が少ない保護層を有していることから耐久性に優れており、しかも良好な磁気特性を有する希土類磁石を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このような希土類磁石の製造方法に好適に用いることができる電磁波照射装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、好適な実施形態に係る製造方法により得られた希土類磁石について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る製造方法により得られた希土類磁石を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示した希土類磁石1のII−II線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
希土類磁石1は、磁石素体2と、この磁石素体2の表面領域に形成された保護層4とを備えており、略直方体構造を有する磁石である。磁石素体2は、希土類元素を含有するものである。ここで、希土類元素とは、長周期型周期表第3周期の元素及びランタノイドに属する元素のことをいい、このような希土類元素には、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。
これらの希土類元素を含有する磁石素体2としては、上記希土類元素と遷移元素とを組み合わせて含有させた組成を有するものが好ましい。この組み合わせの磁石素体2としては、希土類元素として、Nd、Dy、Pr及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有していることが好ましく、これらの元素にLa、Sm、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb及びYからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含有させたものがより好ましい。
より具体的には、磁石素体2の構成材料としては、R−Fe−B(Rは希土類元素)系やR−Co系の構造を有するものが例示できる。前者の構造を有する材料においては、RとしてはNdが好ましく、また後者の構造を有する材料においては、RとしてはSmが好ましい。
なかでも、希土類磁石1における磁石素体2の構成材料としては、R−Fe−B系の構造を有する材料が好ましい。このような材料は実質的に正方晶系の結晶構造の主相を有しており、また、この主相の粒界部分に希土類元素の配合割合が高い希土類リッチ相、及びホウ素原子の配合割合が高いホウ素リッチ相を有している。これらの希土類リッチ相及びホウ素リッチ相は磁性を有していない非磁性相であり、このような非磁性相は通常、磁石構成材料中に0.5〜50体積%含有されている。また、主相の粒径は、通常1〜100μm程度である。
R−Fe−B系の構成を有する磁石素体2においては、希土類元素の含有量が8〜40原子%であると好ましい。希土類元素の含有量が8原子%未満である場合、主相の結晶構造がα鉄とほぼ同じ結晶構造となり、保持力(iHc)が小さくなる傾向にある。一方、40原子%を超えると希土類リッチ相が過度に形成されてしまい、残留磁束密度(Br)が小さくなる傾向にある。
また、Feの含有量は42〜90原子%であると好ましい。Feの含有量が42原子%未満であるとBrが小さくなり、また、90原子%を超えるとiHcが小さくなる傾向にある。さらに、Bの含有量は2〜28原子%であると好ましい。Bの含有量が2原子%未満であると菱面体構造が形成されやすく、これによりiHcが小さくなる傾向にあり、また28原子%を超えると、ホウ素リッチ相が過度に形成されて、これによりBrが小さくなる傾向にある。
上述した構成材料においては、R−Fe−BにおけるFeの一部が、Coで置換されていてもよい。このようにFeの一部をCoで置換すると、磁気特性を低下させることなく温度特性を向上させることができる。この場合、Coの置換量は、Feの含有量よりも大きくならない程度とすることが望ましい。Co含有量がFe含有量を超えると、磁石素体2の磁気特性が小さくなる傾向にある。
また、上記構成材料におけるBの一部は、C、P、S又はCu等の元素により置換されていてもよい。このようにBの一部を置換することによって、磁石素体の製造が容易となるほか、製造コストの低減も図れるようになる。このとき、これらの元素の置換量は、磁気特性に実質的に影響しない量とすることが望ましく、構成原子総量に対して4原子%以下とすることが好ましい。
さらに、iHcの向上や製造コストの低減等を図る観点から、上記構成に加え、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、Ta、Mo、W、Sb、Ge、Sn、Zr、Ni、Si、Ga、Cu、Hf等の元素を添加してもよい。これらの添加量も磁気特性に影響を及ぼさない範囲とすることが好ましく、構成原子総量に対して10原子%以下とすることが好ましい。また、その他、不可避的に混入する成分としては、O、N、C、Ca等が考えられ、これらは構成原子総量に対して3原子%程度以下の量で含有されていても構わない。
このような組成を有する磁石素体2は、例えば粉末冶金法によって製造することができる。この方法においては、まず鋳造法やストリップキャスト法等の公知の合金製造プロセスにより所望の組成を有する合金(インゴット)を作製する。次に、この合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いて10〜100μmの粒径となるように粉砕した後、更にジェットミル、アトライター等の微粉砕機により0.5〜5μmの粒径となるようにする。
こうして得られた粉末を、好ましくは磁場のなかで圧力を加えて成形する。この場合、磁場中の磁場強度は10kOe以上であると好ましく、成形圧力は1〜5トン/cm2程度であると好ましい。その後、得られた成形体を、好ましくは不活性ガス雰囲気又は真空下中、1000〜1200℃で0.5〜10時間焼結させた後に急冷する。さらに、この焼結体に、不活性ガス雰囲気又は真空中、500〜900℃で1〜5時間の熱処理を施した後、焼結体を所望の形状に加工して、磁石素体2を得る。
なお、磁石素体2は、上述した方法以外にも、例えば公知の超急冷法、温間脆性加工法、鋳造法、メカニカルアロイング法によって製造することもできる。さらに、磁石素体2としては、市販のものを準備してもよい。
保護層4は、上記構成を有する磁石素体2の表面上に形成されたものである。この保護層4は、酸化性雰囲気下で磁石素体2の表面に電磁波を照射して、これにより磁石素体2の表面近傍領域に存在する当該素体2の構成材料を酸化することによって形成されたものである。すなわち、保護層4は、磁石素体2の構成材料の酸化生成物から構成されており、例えば、Nd−Fe−B系の構成を有する磁石素体2の場合、Fe2O3、FeO4、NdO、Nd2O3等の成分を含有している。
ここで、図3を参照して、希土類磁石1における磁石素体2と保護層4との界面付近の構造について説明する。図3は、希土類磁石1における磁石素体2と保護層4との界面付近の断面構造を模式的に示す図である。
図3に示すように、磁石素体2は、主相22と、ホウ素リッチ相24と、これらの間に形成された希土類リッチ相26とから構成されている。
また、この磁石素体2の表面に形成された酸化物からなる保護層4は、希土類磁石1の表面から略一定の深さ(図中の上下方向)の領域に形成された状態となっている。この保護層4の厚さとしては、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましく、1〜2μmが更に好ましい。
一方、図4は、従来の熱酸化等により保護層を形成させた希土類磁石における、磁石素体と保護層との界面付近の断面構造を模式的に示す図である。かかる希土類磁石100においては、磁石素体102は、磁石素体2と同様、主相122、ホウ素リッチ相124及び希土類リッチ相126とから構成されており、その表面領域に保護層104が形成されている。
しかしながら、この従来の希土類磁石100における保護層104は、磁石素体102を高温・長時間の条件で加熱することにより形成されたものである。通常、希土類リッチ相は、極めて酸化されやすい性質を有していることから、希土類磁石100においては、上述のような高温・長時間加熱によって、希土類磁石100の表面から深い領域にある希土類リッチ相126までもが酸化された状態となっている。つまり、希土類磁石100においては、保護層104が、磁石素体102内部の深い領域にまで形成されている。
このように、好適な実施形態に係る製造方法により形成された希土類磁石1においては、保護層4が、磁石素体2における表面から一定の深さ領域にのみ選択的に形成されている。一般に、希土類磁石の磁気特性は磁石素体の粒界に存在する希土類リッチ相に大きく依存していると考えられる。したがって、上述のように構成された希土類磁石1は、磁石素体2内部の希土類リッチ相26が良好な状態となっていることから、従来の熱酸化により保護膜を形成させたものに比して、極めて良好な磁気特性を発揮し得る。
次に、図5及び図6を参照して希土類磁石1の製造方法の一例を説明する。かかる製造方法においては、上述した方法等により磁石素体2を製造した後、得られた磁石素体2に電磁波であるマイクロ波を照射することにより、当該磁石素体2の表面に保護層4を形成する。
まず、このようなマイクロ波の照射に好適に用いることができるマイクロ波照射装置について説明する。
図5は、実施形態に係る希土類磁石の製造方法に用いるマイクロ波照射装置(電磁波照射装置)の構成を概略的に示す図である。
マイクロ波照射装置80は、一部がガス供給室60内に配置されたマイクロ波照射部50(電磁波照射室)と、このマイクロ波照射部50の内部にマイクロ波を供給するマイクロ波出力部30とから構成されている。
マイクロ波出力部30は、マイクロ波発生手段32(発生手段)から、導波管34a、スタブチューナー36、導波管34b及びアンテナ40が順に連結された構成を有している。なお、マイクロ波出力部30は、上述した構成に加え、主にマイクロ波の反射電力を吸収する機能を有するアイソレーターをマイクロ波発生手段32とスタブチューナー36との間に備えていてもよい。
マイクロ波発生手段32は、マイクロ波帯の波長の電波を発生する装置である。なお、本明細書においては、マイクロ波とは0.3〜30GHz帯の周波数(10mm〜1mの波長)の電波を示すものとし、いわゆるセンチ波及び極超短波といわれる電波も含まれるものとする。このようなマイクロ波発生手段32としては、上記周波数帯の電波を発するものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、マグネトロン、クライストロン、ガン・ダイオード等が挙げられる。
矩形導波管34aは、断面矩形の形状を有する導波管であり、金属により構成されている。この導波管34aは、その内部においてマイクロ波を伝搬するものであり、マイクロ波発生手段32により発生したマイクロ波をスタブチューナー36に伝送する。
スタブチューナー36は、内部のマイクロ波の反射を小さくしてインピーダンス整合を図るものである。マイクロ波出力部30においては、3つのスタブが用いられたスリースタブチューナーが用いられており、これにより、高い自由度でインピーダンス整合をとることが可能となっている。
矩形導波管34bは、矩形導波管34aと同様の導波管であり、スタブチューナー36において調整されたマイクロ波をアンテナ40に伝えるものである。また、アンテナ40は、一端部がこの矩形導波管34bに接続されるとともに、他端部がマイクロ波照射部50内に挿入されている。アンテナ40においては、この他端部からマイクロ波が放出され、これにより、導波管34bに伝送されたマイクロ波がマイクロ波照射部50内に導入される。
ここで、図6を参照して、矩形導波管34bとアンテナ40との接続状態を詳細に説明する。図6は、図5に示すマイクロ波照射装置の要部の断面構造を模式的に示す図である。
図示されるように、アンテナ40は、矩形導波管34bのE面(図示せず)上に接続された同軸管39から矩形導波管34bを貫通するように設けられており、その端部(上述した他端部)がマイクロ波照射部50側に突き出た構造となっている。また、このアンテナ40は、矩形導波管34bのE面における、マイクロ波の進行方向に対して垂直方向の幅の中央部分を通るように設けられている。
さらに、矩形導波管34bの上端には、矩形導波管34bの短絡位置を自由に変えられるように可動短絡板38が設けられている。この可動短絡板38を用いて矩形導波管34bの短絡位置を調整することにより、矩形導波管34b内部においてマイクロ波の位相の調整が可能となり、電場ベクトル成分(マイクロ波進行方向の成分についての成分)が最大となる位置を調整することができる。これにより、導波管34b内でマイクロ波電場ベクトルが最大となる位置と、アンテナ40の位置とを、ほぼ一致させることが可能となる。なお、アンテナ40としては、図示したロッド型のもののほか、スロットアンテナ、スポークアンテナ等も適用可能である。
このように、アンテナ40は、矩形導波管34b内を進行するマイクロ波を横切るように設けられている。より好適な場合には、当該導波管34b内を伝搬されるマイクロ波の進行方向に対して直交しており、しかも、矩形導波管34bのE面上におけるマイクロ波の進行方向に対して垂直方向の幅の中央にあたる位置を貫通するような状態で設けられる。このように形成されたアンテナ40によると、導波管34b内を伝搬してきたマイクロ波の電場ベクトルの最大成分(マイクロ波進行方向に対して横方向の成分における最大成分)がアンテナ40に伝播され、これによりかかるマイクロ波が直線偏波から円偏波に変換された状態で放射されることとなる。その結果、矩形導波管34bをマイクロ波照射部50内に直接導入させたような場合に比して、磁石素体2に対して均一に且つ効率よくマイクロ波を照射できるようになる。
一方、マイクロ波照射部50は、一対の円形導波管52a,52bと、これらの間に挟まれた円筒状のバレル部54から構成され、全体として筒状の形状を成している。マイクロ波照射装置80においては、このバレル部54が、磁石素体2へのマイクロ波の照射を行うための電磁波照射室に該当する。また、上述した矩形導波管34a,34b及びスタブチューナー36、並びにこの円形導波管52aが、マイクロ波発生手段32において発生したマイクロ波をバレル部54に導入するための伝送手段として機能する。
バレル部54は、メッシュ状の部材から構成されており、内部に磁石素体2を収容可能なものである。このバレル部54は、モータ等により構成される回転機構56によって、その軸線を中心にして回転可能となっている。バレル部54としては、高い電気伝導性を有する材料であれば、金属や樹脂材料等から構成されたものを特に制限なく適用できる。例えば、より良好な保護層4を形成する観点からは、磁石素体2の表面を傷つけにくい素材(例えば、4フッ化エチレン樹脂等)で表面をコーティングされたステンレス材料により構成されるものであると好ましい。
円形導波管52a,52bは、金属材料から構成された断面円形の導波管である。これらは、円形導波管52aが伝送手段の一部として機能しているほか、バレル部54を両側から支える役割を果たしている。また、円形導波管52aのマイクロ波出力部30に対向している端部はアンテナ40を導入する穴部を除いて封止されており、当該端部は矩形導波管34bに当接した状態となっている。さらに、円形導波管52b内には、可動短絡板58が設けられており(図6参照)、これにより、マイクロ波照射部50内の短絡位置を任意に変えることができるようになっている。ここで、円形導波管52bのマイクロ波出力部30方向と反対側の端部は可動短絡板58の保持機構を導入する穴部(図示せず)を除いて封止された状態となっている。なお、円形導波管52a,52bの上記端部は、必ずしも上述したように封止されていなくてもよく、開放された形状であってもよい。この場合、円形同波管52aとマイクロ波照射部30との間、および、円形同波管52bと可動短絡板58の保持機構との間(図示せず)をふさぐような導電性カバーを設けることが好ましい。
また、円形導波管52a、52bとバレル部54との間は開放されていてもよい。この場合には、アンテナ40から照射されたマイクロ波が外部に漏れるのを防止するために、円形導波管52aの端部と、バレル部54との間の距離を0.5〜1cm程度、好ましくは0.1〜0.5cm程度とする。
さらに、マイクロ波照射部50においては、バレル部54がガス供給室60内に配置された状態となっている。このガス供給室60には、酸化性ガス供給部70がガス導入管74を介して接続されており、ここから所定の酸化性ガスがガス供給室60内に供給される。これにより、ガス供給室60の内部を酸化性雰囲気に維持することができる。
そして、このようにガス供給室60の内部に供給された酸化性ガスは、バレル部54を構成するメッシュ状の側壁を通って当該バレル部54の内部に導入される。こうして、バレル部54内部に収容された磁石素体2の周辺が酸化性雰囲気に維持される。なお、ガス供給室60内に供給された酸化性ガスは、排出部72又は円形導波管52aの開放端から排出される。
次いで、上述した形態のマイクロ波照射装置を用いた希土類磁石1の製造方法について説明する。
まず、磁石素体2をマイクロ波照射部50におけるバレル部54内に導入する。バレル部54内に導入する磁石素体2の数は特に制限されず、複数の磁石素体2を導入してもよい。この場合、複数の磁石素体2に対して同時にマイクロ波を照射することができ、一度に多くの希土類磁石1を製造することが可能となる。このように、マイクロ波照射部50におけるバレル部54は、複数の磁石素体2を収容できる容量を有していると好ましい。
次いで、回転機構56を駆動させてバレル部54の回転を開始する。このときのバレル部54の回転速度は、この回転に伴う磁石素体2の回転が十分に生じる速度とすることが望ましく、0.1〜10rpm程度とすることが好ましい。また、これとともに、酸化性ガス供給部70から、ガス導入管74を通して酸化性ガスをガス供給室60に供給する。これにより、ガス供給室60内、さらにバレル部54内における磁石素体2の周辺が酸化性雰囲気に維持される。
酸化性ガスとしては、O2ガス、N2Oガス又はO3ガスが好ましい。なかでも、酸化性ガスとしては、O2ガスが好ましく、O2ガス及びN2ガスの混合ガスであるとより好適である。この酸化性ガスの供給は、O2ガスの流量が5.0〜8.0sccmとなり、全ガスの流量が20sccm程度となるように実施することが好ましい。また、ガス供給室60内の圧力は、大気圧とすることが望ましい。
続いて、マイクロ波発生手段32においてマイクロ波を発生させる。マイクロ波発生手段32の出力は、例えばマグネトロンを用いる場合、10〜100W程度とすることが好ましい。こうして生じたマイクロ波は、矩形導波管34aを通ってスタブチューナー36に到達し、このスタブチューナー36において進行波の電力が最大となり、かつ、反射波の電力が最小となるよう調整される。
その後、マイクロ波は、矩形導波管34bに伝送され、可動短絡板38によって位相を調整されて、アンテナ40によりマイクロ波照射部50の内部に導入される。そして、マイクロ波は、円形導波管52aを通ってバレル部54内に供給され、これによりこのバレル部54内に配置された磁石素体2に対してマイクロ波が照射される。このとき、マイクロ波は可動短絡板58による位相調整によって、電場ベクトルが最大となる領域とバレル部54とがほぼ一致するように調整することができる。
この方法においては、マイクロ波の照射は、バレル部54を回転しながら行っている。このため、バレル部54の回転に伴って、その内部に収容された磁石素体2も回転することになる。このため、マイクロ波は、例えば磁石素体2の向きを変えるなどといった特段の操作を行わなくても、磁石素体2の全面に照射することが可能となる。なお、この場合の磁石素体2に対するマイクロ波の照射時間は、バレル部54内に収容された磁石素体2の数等に応じて適宜変更することが望ましいが、例えば、一つの磁石素体2を収容した場合には、1〜30分程度が好適である。ただし、マイクロ波は、磁石素体2の表面から過度に深い領域までは殆ど到達しないことから、上記の好適な時間よりも長時間の照射を行った場合であっても、磁石素体2の磁気特性の劣化を引き起こすことは極めて少ない。
このようにして磁石素体2にマイクロ波の照射を行った場合、マイクロ波は、磁石素体2の表面から1μm程度の深さまで到達し、この領域の磁石素体2の構成材料を好ましくは40〜200℃、より好ましくは70〜150℃程度に加熱する。かかる温度に加熱された磁石素体2の構成材料は、上述した酸化性ガス等に接触することで酸化され、保護層4を構成する酸化物に変換される。こうして、マイクロ波の照射により磁石素体2の表面近傍領域に保護層4が形成され、図3に示す断面構造を有する希土類磁石1が得られる。
上述した製造方法によって希土類磁石が得られるが、本発明の希土類磁石の製造方法及び電磁波照射装置は上述のものに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上述したマイクロ波照射装置80は、その構成を適宜変更することができる。例えば、マイクロ波出力部30には、その適当な場所に、アイソレーター、方向性結合器、接続導波管等を更に連結させることができる。また、矩形導波管34a等に代えて同軸ケーブルを用いてもよい。さらに、マイクロ波照射部50(バレル部54)内へのマイクロ波の導入は、必ずしもアンテナを介して行わなくてもよく、導波管34b等をこれらのなかに直接挿入するようにして行ってもよい。
さらにまた、電磁波照射室としては、円筒形で且つ回転可能なバレル部54を有するマイクロ波照射部50に代えて、例えば、断面矩形であり回転不可能な導波管を適用してもよい。この場合、磁石素体2を点接触で保持できる保持部材等をこの照射室内に設置すれば、これに磁石素体2を保持することによって、磁石素体2の向きを変えることなく、磁石素体2の略全面に対してマイクロ波を照射することが可能となる。
またさらに、磁石素体2の構成材料は、大気雰囲気程度の酸化性雰囲気であれば、マイクロ波の照射により十分に酸化反応を生じさせることができる。よって、厳密な酸化性雰囲気の条件が必要とされない場合等においては、バレル部54が大気に開放された状態であれば、上述したような酸化性ガスをあえて導入しなくともよい。
また、上述したマイクロ波照射装置は、マイクロ波出力部を他の周波数帯の電磁波を照射可能な出力部に置き換えることもできる。これにより、種々の周波数を有する電磁波を磁石素体2に対して照射することが可能となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[実施例1]
(希土類磁石の製造)
粉末冶金法によって作製した14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子比)の組成を有する焼結体を、アルゴンガス雰囲気中、600℃で2時間、熱処理した後、56×40×8(mm)の大きさの直方体形状に加工し、さらにバレル研磨処理により面取りを行って磁石素体を得た。次いで、この磁石素体を、アルカリ性脱脂液で洗浄した後、硝酸溶液により表面の活性化を行い、その後十分に水洗した。
粉末冶金法によって作製した14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子比)の組成を有する焼結体を、アルゴンガス雰囲気中、600℃で2時間、熱処理した後、56×40×8(mm)の大きさの直方体形状に加工し、さらにバレル研磨処理により面取りを行って磁石素体を得た。次いで、この磁石素体を、アルカリ性脱脂液で洗浄した後、硝酸溶液により表面の活性化を行い、その後十分に水洗した。
水洗後の磁石素体を、一部が大気に開放されている所定の金属性容器(電磁波照射室)内に、点接触により保持した状態で配置した。この容器内に、マイクロ波発生手段であるマグネトロンによって発生したマイクロ波(周波数2.45GHz、パワー1.5W)を、導波管及びこれに接続したアンテナを介して導入し、これにより磁石素体に対してマイクロ波の照射を行った。この照射時間は10分とした。このマイクロ波の照射により、磁石素体の表面近傍領域の材料が酸化されて、磁石素体全面にその酸化物からなる厚さ1.5μmの保護層が形成された。このようにして、磁石素体表面に保護層を有する希土類磁石を得た。
(特性評価)
得られた希土類磁石について、水蒸気雰囲気、120℃、0.2×106Paにおける24時間の加湿高温試験(PCT試験)を行った。その結果、希土類磁石の重量減少は見られなかった。また、PCT試験後の希土類磁石を目視で観察したところ、保護層にピンホール、クラック等の欠陥は生じていないことが確認された。さらに、PCT試験前後のフラックスロス(Fluxloss;磁束損失)を測定したところ、減少量は0.24%であり、測定誤差範囲にとどまる程度のものであった。
[比較例1]
得られた希土類磁石について、水蒸気雰囲気、120℃、0.2×106Paにおける24時間の加湿高温試験(PCT試験)を行った。その結果、希土類磁石の重量減少は見られなかった。また、PCT試験後の希土類磁石を目視で観察したところ、保護層にピンホール、クラック等の欠陥は生じていないことが確認された。さらに、PCT試験前後のフラックスロス(Fluxloss;磁束損失)を測定したところ、減少量は0.24%であり、測定誤差範囲にとどまる程度のものであった。
[比較例1]
(希土類磁石の製造)
実施例1と同様にして得られた磁石素体に対して、大気中で600℃に10分間保持する熱処理を行い、これにより磁石素体の表面にその構成材料の酸化物からなる厚さ1.5μmの保護層を形成させた。こうして、磁石素体表面に保護層を有する希土類磁石を得た。
実施例1と同様にして得られた磁石素体に対して、大気中で600℃に10分間保持する熱処理を行い、これにより磁石素体の表面にその構成材料の酸化物からなる厚さ1.5μmの保護層を形成させた。こうして、磁石素体表面に保護層を有する希土類磁石を得た。
(特性評価)
得られた希土類磁石について、実施例と同様のPCT試験を行ったところ、0.1%の重量減少が認められた。また、PCT試験後の希土類磁石を目視で観察したところ、表面に紛体が多数発生しているのが観測された。さらに、PCT試験前後のフラックスロスを測定したところ、減少量は10.5%と大きな値であった。
得られた希土類磁石について、実施例と同様のPCT試験を行ったところ、0.1%の重量減少が認められた。また、PCT試験後の希土類磁石を目視で観察したところ、表面に紛体が多数発生しているのが観測された。さらに、PCT試験前後のフラックスロスを測定したところ、減少量は10.5%と大きな値であった。
1…希土類磁石、2…磁石素体、4…保護層、22…主相、24…ホウ素リッチ相、26…希土類リッチ相、30…マイクロ波出力部、32…マイクロ波発生手段、34a,b矩形導波管、36…スタブチューナー、38…可動短絡板、39…同軸管、40…アンテナ、50…マイクロ波照射部、52a,b…円形導波管、54…バレル部、56…回転機構、58…可動短絡板、60…ガス供給室、70…酸化性ガス供給部、74…ガス導入管、72…排出部、80…マイクロ波照射装置。
Claims (13)
- 希土類元素を含有する磁石素体に、酸化性雰囲気下で電磁波を照射することにより、前記磁石素体の表面に保護層を形成する工程を有することを特徴とする希土類磁石の製造方法。
- 前記電磁波を照射することにより、前記磁石素体の構成材料を酸化して、該構成材料の酸化物からなる前記保護層を形成することを特徴とする請求項1記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記電磁波は、マイクロ波であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記希土類元素として、Ndを含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記酸化性雰囲気は、O2ガス、N2Oガス又はO3ガスを含む雰囲気であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記保護層を、その厚さが0.1〜5μmとなるように形成させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記工程においては、
前記磁石素体を内部に収容可能な電磁波照射室と、
電磁波を発生する発生手段と、
前記電磁波発生手段で生じた電磁波を前記電磁波照射室の内部に導入する伝送手段と、を備える電磁波照射装置を用い、
前記電磁波照射室の内部に前記磁石素体を収容し、該磁石素体の周囲を酸化性雰囲気に維持しながら、該電磁波照射室の内部に前記電磁波を導入することにより、前記磁石素体に前記電磁波を照射する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の希土類磁石の製造方法。 - 前記電磁波がマイクロ波であり、
前記伝送手段が、導波管と、該導波管内を進行する前記マイクロ波を横切るように前記導波管の内部に挿入されたアンテナと、を含む、
ことを特徴とする請求項7記載の希土類磁石の製造方法。 - 希土類元素を含有する磁石素体に電磁波を照射する電磁波照射装置であって、
前記磁石素体を内部に収容可能であり、且つ、前記磁石素体の周辺を酸化性雰囲気に維持可能な電磁波照射室と、
電磁波を発生する発生手段と、
前記電磁波発生手段から生じた電磁波を前記電磁波照射室の内部に導入する伝送手段と、
を備えることを特徴とする電磁波照射装置。 - 前記電磁波は、マイクロ波であることを特徴とする請求項9記載の電磁波照射装置。
- 前記伝送手段は、導波管と、該導波管内を進行する前記マイクロ波を横切るように前記導波管の内部に挿入されたアンテナと、を含むことを特徴とする請求項10記載の電磁波照射装置。
- 前記電磁波照射室は、円筒状の構造を有しており、該円筒の軸を中心にして回転可能であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電磁波照射装置。
- 前記電磁波照射室は、複数の前記磁石素体を収容可能であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の電磁波照射装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004100262A JP2005286210A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 希土類磁石の製造方法及び電磁波照射装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012212830A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-01 | Hitachi Metals Ltd | R−t−b系焼結磁石の製造方法及び製造装置 |
-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004100262A patent/JP2005286210A/ja not_active Withdrawn
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