以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の資産運用管理システム10の全体構成が示されている。図2は、資産運用管理システム10によるモデルポートフォリオの管理の流れおよび個別ポートフォリオの管理の流れの説明図である。図3には、資産運用管理システム10によるモデルポートフォリオの管理のための処理の流れがフローチャートで示され、図4には、個別ポートフォリオの管理のための処理の流れがフローチャートで示されている。また、図5には、資産運用管理システム10によるモデルポートフォリオの管理のための処理に伴う画面遷移が示され、図6には、個別ポートフォリオの管理のための処理に伴う画面遷移が示されている。さらに、図7には、モデルシミュレーションの画面例が示され、図8には、個別ポートフォリオシミュレーションの画面例が示されている。
図1において、資産運用管理システム10は、顧客の金融資産の運用に必要な各種の処理を行う運用管理サーバ20と、ポートフォリオのポジション(変動する金融資産の保有形態のその時々の状況)の管理を行うポートフォリオ管理サーバ40と、運用マネージャが操作する1つまたは複数の運用マネージャ端末装置50と、運用サブマネージャが操作する1つまたは複数の運用サブマネージャ端末装置80と、トレーダが操作する1つまたは複数のトレーダ端末装置90とを備え、これらがネットワーク1で接続されている。
なお、本実施形態では、運用対象となる顧客の金融資産は、株式および現金(キャッシュ)であるものとして説明を行うが、本発明の適用対象は、株式に限定されるものではない。
ネットワーク1は、例えば、投資顧問会社内に設けられたイントラネットやLAN等、あるいは投資顧問会社と別の提携会社とを接続するインターネット、エクストラネット、MAN、WAN、公衆電話回線、専用回線等により構成され、有線ネットワークでもよく、無線ネットワークでもよく、それらの組合せでもよい。
運用管理サーバ20は、コンピュータにより構成され、サーバ側個別リバランス処理手段20Aを含んで構成されている。また、運用管理サーバ20には、旧モデルポートフォリオ記憶手段21と、新モデルポートフォリオ記憶手段22と、個別ポートフォリオ記憶手段23と、売買指示データ記憶手段24と、発注予定データ記憶手段25と、発注指示データ記憶手段26と、注文書データ記憶手段27と、汎用ガイドライン記憶手段28と、個別ガイドライン記憶手段29と、個別展開データ記憶手段30とが接続されている。
サーバ側個別リバランス処理手段20Aは、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bと、個別売買案作成処理手段20Cと、個別ガイドラインチェック処理手段20Dとを含んで構成され、運用マネージャ端末装置50や運用サブマネージャ端末装置80に設けられた端末側個別リバランス処理手段72とともに、本発明における個別リバランス処理手段、すなわちズームポートフォリオまたは修正ズームポートフォリオをそれぞれ個別ターゲットとして各顧客毎の個別ポートフォリオをリバランスする処理を行う手段を構成するものである。
個別ポートフォリオ取得処理手段20Bは、個別ポートフォリオ記憶手段23から各顧客毎の個別ポートフォリオのポジションデータを取得する処理を行うものである。この個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得される個別ポートフォリオのポジションデータは、前回の個別ポートフォリオのリバランス時における各金融資産の数量(各銘柄の保有株数)を維持し、かつ、直近の時価単価(データを取得する日の前日の終値)で再評価されたデータである。
個別売買案作成処理手段20Cは、売買指示データ記憶手段24から売買指示データ(モデルターゲットについての時価構成比データを含むポジションデータ)を読み込んで指図ターゲットのポジションデータとして設定するとともに、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得した個別ポートフォリオのポジションデータを、各銘柄について指図ターゲット作成時の時価単価で評価し直し、この再評価データと指図ターゲットのポジションデータとを用いて、リバランス前の個別ポートフォリオを構成する各銘柄の数量(株数)と、指図ターゲットを拡大または縮小したズームポートフォリオを構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出することにより、個別ポートフォリオを構成する各銘柄についての売買案(個別売買案)を、各顧客毎に自動作成する処理を行うものである。但し、実際の処理手順は、同様な結果が得られる処理手順として、先ず、指図ターゲットを構成する各銘柄の時価構成比率と、リバランス前の個別ポートフォリオを構成する各銘柄の時価構成比率との差分を算出し、その後、この差分をリバランス前の個別ポートフォリオの時価総額ベースで各銘柄の株数の差分(つまり、売買株数)に換算するという手順を採用してもよい(後述する表7、表8を用いた説明参照)。なお、指図ターゲットの作成の際に、売買指示データ記憶手段24に記憶された売買指示データとしてのモデルターゲットのポジションデータの中に、時価単価がない銘柄があった場合(数量がゼロの銘柄の場合に、時価単価がないことがあり得る。)には、その時点(指図ターゲット作成時)の時価単価を取得して設定する。
個別ガイドラインチェック処理手段20Dは、個別ガイドライン記憶手段29に記憶されたデータに基づき、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得した個別ポートフォリオや、指図ターゲット(売買指示データ記憶手段24から読み込んだ売買指示データ、すなわちモデルターゲットのデータ)について、各顧客毎に個別に組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)が含まれるか否かのチェックを含む事前個別ガイドラインチェック処理を行うものである。この個別ガイドラインチェック処理手段20Dは、運用マネージャ端末装置50や運用サブマネージャ端末装置80に設けられた確定個別ガイドラインチェック処理を行う個別ガイドラインチェック処理手段72Cと同様な処理を行う。
旧モデルポートフォリオ記憶手段21は、前回のモデルポートフォリオのリバランス時の各金融資産の数量(各銘柄の保有株数)を維持した旧モデルポートフォリオのポジションデータを記憶するものである。この旧モデルポートフォリオ記憶手段21に記憶されている旧モデルポートフォリオのポジションデータは、ポートフォリオ管理サーバ40から例えば毎晩送られてくる、またはポートフォリオ管理サーバ40から例えば毎晩取得する直近のデータ(各銘柄について、毎日の終値を時価単価として再評価したデータ)である。
新モデルポートフォリオ記憶手段22は、運用マネージャ端末装置50でモデルポートフォリオ作成処理手段60を用いて運用マネージャにより今回新たに作成された新モデルポートフォリオのスタイル案のポジションデータを記憶するものである。この新モデルポートフォリオ記憶手段22に記憶されているスタイル案のポジションデータは、モデルポートフォリオ作成処理手段60により作成されて運用マネージャ端末装置50の新モデルポートフォリオ記憶手段53に記憶されたデータを、運用管理処理手段70により運用管理サーバ20に送り込んで保存したものである。
個別ポートフォリオ記憶手段23は、複数の顧客の各々が保有する金融資産(本実施形態では、株式およびキャッシュ)により構築された各顧客毎の個別ポートフォリオのデータを記憶するものである。この個別ポートフォリオ記憶手段23に記憶されている各顧客毎の個別ポートフォリオのポジションデータは、ポートフォリオ管理サーバ40から例えば毎晩送られてくる、またはポートフォリオ管理サーバ40から例えば毎晩取得する直近のデータ(各銘柄について、毎日の終値を時価単価として再評価したデータ)である。
売買指示データ記憶手段24は、売買指示データ作成処理手段71Fにより作成された売買指示データを記憶するものである。この売買指示データは、モデルターゲットについての時価構成比データを含むポジションデータであり、各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランスを行う際の指図ターゲットとなるポジションデータである。従って、モデルポートフォリオのリバランス処理と、各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランス処理とを連携させるためのデータである。なお、これらのリバランス処理の連携は、時価構成比データのみを受け渡すことで実現することができるが、本実施形態では、図8に示すように指図ターゲットのポジションデータについての画面表示を行うために、モデルターゲットのポジションデータ(図7に画面表示されたデータ)を全て受け渡すものとする。また、売買指示データという呼称は、売買指示を直接に与えるデータという意味ではなく、売買指示を作成するための基礎となるデータという意味である。
発注予定データ記憶手段25は、発注予定データ作成処理手段72Dにより作成された各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランスに伴う各顧客毎の発注予定データを記憶するものである。この発注予定データは、例えば、スタイル、口座番号、売買銘柄、売買区分(売りか買いかの別)、売買数量(売買株数)、単価、売買金額等である。
発注指示データ記憶手段26は、運用マネージャ端末装置50で発注指示書作成処理手段73を用いて運用マネージャにより作成された各顧客毎または全顧客分をまとめた発注指示データを記憶するものである。
注文書データ記憶手段27は、トレーダ端末装置90で注文書作成処理手段74を用いてトレーダにより作成された各顧客毎または全顧客分をまとめた注文書データを記憶するものである。なお、注文を全顧客分についてまとめて執行したとしても、各顧客毎に個別に注文を受けたという形態は維持される(そのような取扱いとなる)。
汎用ガイドライン記憶手段28は、運用マネージャ端末装置50でデータ登録処理手段75を用いて運用マネージャにより入力された汎用ガイドラインのデータを記憶するものである。この汎用ガイドラインのデータは、例えば、全ての顧客について共通して組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)のデータ等である。なお、汎用ガイドラインのデータ入力は、運用サブマネージャが代行してもよい。
個別ガイドライン記憶手段29は、運用サブマネージャ端末装置80でデータ登録処理手段75を用いて運用サブマネージャにより入力された個別ガイドラインのデータを記憶するものである。この個別ガイドラインのデータは、例えば、各顧客毎に個別に組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)のデータ等である。なお、個別ガイドラインのデータ入力は、運用マネージャが兼任で行ってもよい。
個別展開データ記憶手段30は、個別売買案作成処理手段20Cにより作成された個別展開データを記憶するものである。この個別展開データには、各顧客毎の個別ポートフォリオについて自動作成された個別売買案のデータの他に、運用マネージャ端末装置50や運用サブマネージャ端末装置80で個別売買シミュレーション処理手段72Bにより図8に示すような画面表示を行うために必要となるデータ(個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得した個別ポートフォリオのポジションデータ、および指図ターゲットのポジションデータ)も含まれる。
ポートフォリオ管理サーバ40は、コンピュータにより構成され、旧モデルポートフォリオおよび個別ポートフォリオのポジション管理を行うものであり、旧モデルポートフォリオ記憶手段41と、個別ポートフォリオ記憶手段42とが接続されている。このポートフォリオ管理サーバ40は、例えば毎晩、その日の終値で旧モデルポートフォリオおよび個別ポートフォリオをそれぞれ構成する各銘柄を再評価し(この際、各銘柄の保有株数は維持される。)、再評価後のデータで旧モデルポートフォリオ記憶手段41および個別ポートフォリオ記憶手段42に記憶されたデータを更新する処理を行う。なお、ポートフォリオ管理サーバ40には、既存のポジション管理システムを採用してもよい。
旧モデルポートフォリオ記憶手段41は、旧モデルポートフォリオについて、ポートフォリオ管理サーバ40により例えば毎晩更新される直近のポジションデータ(毎日の終値で再評価されたデータ)を記憶するものである。
個別ポートフォリオ記憶手段42は、各顧客毎の個別ポートフォリオについて、ポートフォリオ管理サーバ40により例えば毎晩更新される直近のポジションデータ(毎日の終値で再評価されたデータ)を記憶するものである。
運用マネージャ端末装置50は、コンピュータ(モバイル端末を含む。)により構成され、運用マネージャの作業に必要な各種処理を行う処理手段51と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示手段52と、新モデルポートフォリオ記憶手段53とを備えている。
処理手段51は、モデルポートフォリオ作成処理手段60と、運用管理処理手段70とを含んで構成されている。
モデルポートフォリオ作成処理手段60は、運用マネージャによる新モデルポートフォリオのスタイル案の作成を支援する処理を行うものである。このモデルポートフォリオ作成処理手段60は、既存のモデルポートフォリオ作成用プログラムにより実現してもよい。
運用管理処理手段70は、モデルリバランス処理手段71と、端末側個別リバランス処理手段72と、発注指示書作成処理手段73と、注文書作成処理手段74と、データ登録処理手段75とを含んで構成されている。
モデルリバランス処理手段71は、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aと、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bと、モデル売買案作成処理手段71Cと、モデル売買シミュレーション処理手段71Dと、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eと、売買指示データ作成処理手段71Fとを含んで構成されている。
旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aは、旧モデルポートフォリオ記憶手段21から旧モデルポートフォリオのポジションデータを取得する処理を行うものである。
新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bは、新モデルポートフォリオ記憶手段22から新モデルポートフォリオのスタイル案のポジションデータを取得する処理を行うものである。
モデル売買案作成処理手段71Cは、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより取得した旧モデルポートフォリオのポジションデータを、各銘柄についてスタイル案作成時の時価単価で評価し直し、この再評価データと、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bにより取得したスタイル案のポジションデータ(運用マネージャにより今回新たに作成された新モデルポートフォリオのポジションデータ)とを用いて、旧モデルポートフォリオ(時価総額を新モデルポートフォリオに合わせる換算処理を行ったもの)を構成する各銘柄の数量(株数)と、新モデルポートフォリオを構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出することにより、モデルポートフォリオを構成する各銘柄についての売買案(モデル売買案)を自動作成する処理を行うものである。但し、実際の処理手順は、同様な結果が得られる処理手順として、先ず、旧モデルポートフォリオ(時価総額を新モデルポートフォリオに合わせる換算処理を未だ行っていないもの)を構成する各銘柄の時価構成比率と、新モデルポートフォリオを構成する各銘柄の時価構成比率との差分を算出し、その後、この差分を新モデルポートフォリオの時価総額ベースで各銘柄の株数の差分(つまり、売買株数)に換算するという手順を採用してもよい(後述する表3、表4を用いた説明参照)。なお、スタイル案に時価単価がない銘柄があった場合(数量がゼロの銘柄の場合に、時価単価がないことがあり得る。)には、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより取得した旧モデルポートフォリオのポジションデータの中の時価単価をそのまま使用する。
モデル売買シミュレーション処理手段71Dは、モデル売買案作成処理手段71Cにより作成されたモデル売買案を、図7に示すように表示手段52の画面上に表示するとともに、モデル売買案に対する運用マネージャによる修正入力を受け付けて最終的なモデルターゲットを作成する処理を行うものである。このモデル売買シミュレーションは、運用マネージャが運用マネージャ端末装置50を操作して行うものである。なお、図7の画面表示処理は、全てモデル売買シミュレーション処理手段71Dにより行われる。
汎用ガイドラインチェック処理手段71Eは、モデルポートフォリオのスタイル案について、全ての顧客について共通して組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)が含まれるか否かのチェックを含む事前汎用ガイドラインチェック処理を行うとともに、モデルターゲットについて、共通して組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)が含まれるか否かのチェックを含む確定汎用ガイドラインチェック処理を行うものである。
売買指示データ作成処理手段71Fは、モデル売買シミュレーション処理手段71Dを用いた運用マネージャによる売買シミュレーションを経て作成されたモデルターゲット(結果的に、スタイル案のままの状態でモデルターゲットとなったものを含む。)のポジションデータを、運用マネージャ端末装置50での運用マネージャの指示操作に基づき、売買指示データとして売買指示データ記憶手段24に保存する処理を行うものである。この売買指示データには、時価構成比率のデータが含まれる。なお、この売買指示データ作成処理手段71Fによる売買指示データの作成前に、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eによる確定汎用ガイドラインチェック処理が行われる。
端末側個別リバランス処理手段72は、個別展開指示処理手段72Aと、個別売買シミュレーション処理手段72Bと、個別ガイドラインチェック処理手段72Cと、発注予定データ作成処理手段72Dとを含んで構成され、運用管理サーバ20のサーバ側個別リバランス処理手段20Aとともに、本発明における個別リバランス処理手段を構成するものである。なお、端末側個別リバランス処理手段72による各処理は、主として運用サブマネージャ(運用マネージャが兼任してもよい。)が運用サブマネージャ端末装置80を操作することにより実行されるものであるが、運用マネージャ端末装置50と運用サブマネージャ端末装置80とには同じプログラム(運用管理処理手段70を実現するためのプログラム)が搭載されるので、図1では説明の便宜上、端末側個別リバランス処理手段72は、運用マネージャ端末装置50に設けられている状態で図示されている。
個別展開指示処理手段72Aは、運用マネージャ端末装置50での運用マネージャの指示操作または運用サブマネージャ端末装置80での運用サブマネージャの指示操作に基づき、運用管理サーバ20のサーバ側個別リバランス処理手段20Aに対し、個別ポートフォリオのポジションデータの取得、売買指示データの読込、および個別売買案の自動作成の実行指令を出す処理を行うものである。
個別売買シミュレーション処理手段72Bは、運用管理サーバ20の個別売買案作成処理手段20Cにより自動作成された個別売買案のデータを含む個別展開データ(個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得した個別ポートフォリオのポジションデータ、および指図ターゲットのポジションデータも含まれる。)を、個別展開データ記憶手段30から読み込み、図8に示すように表示手段52の画面上に表示するとともに、個別売買案に対する運用サブマネージャ(運用マネージャが兼任してもよい。)による修正入力を受け付けて最終的な個別ターゲットを作成する処理を行うものである。なお、図8の画面表示処理は、全て個別売買シミュレーション処理手段72Bにより行われる。
個別ガイドラインチェック処理手段72Cは、個別ガイドライン記憶手段29に記憶されたデータに基づき、個別ターゲットについて、各顧客毎に個別に組入れが禁止されている金融資産(本実施形態では、株式銘柄)が含まれるか否かのチェックを含む確定個別ガイドラインチェック処理を行うものである。この個別ガイドラインチェック処理手段72Cは、運用管理サーバ20の個別ガイドラインチェック処理手段20Dに設けられた事前個別ガイドラインチェック処理を行う個別ガイドラインチェック処理手段20Dと同様な処理を行う。
発注予定データ作成処理手段72Dは、運用サブマネージャ端末装置80での運用サブマネージャの指示操作に基づき、個別ターゲットのポジションデータから発注予定データを作成し、発注予定データ記憶手段25に保存する処理を行うものである。なお、この発注予定データ作成処理手段72Dによる発注予定データの作成前に、個別ガイドラインチェック処理手段72Cによる確定個別ガイドラインチェック処理が行われる。
発注指示書作成処理手段73は、運用マネージャ端末装置50での運用マネージャの入力操作に基づき、発注予定データ記憶手段25に記憶された発注予定データを直近の終値データで確定させて発注指示データを作成し、発注指示データ記憶手段26に保存する処理を行うものである。
注文書作成処理手段74は、トレーダ端末装置90でのトレーダの入力操作に基づき、発注指示データ記憶手段26に記憶された発注指示データを用いて注文書データを作成し、注文書データ記憶手段27に保存する処理を行うものである。そして、注文書データ記憶手段27に記憶された注文書データは、売買注文を執行する別のシステム(既存のシステムでもよい。)に送信され、これに基づき注文が執行される。なお、注文書作成処理手段74による処理は、トレーダがトレーダ端末装置90を操作することにより実行されるものであるが、運用マネージャ端末装置50とトレーダ端末装置90とには同じプログラム(運用管理処理手段70を実現するためのプログラム)が搭載されるので、図1では説明の便宜上、注文書作成処理手段74は、運用マネージャ端末装置50に設けられている状態で図示されている。
データ登録処理手段75は、運用マネージャ端末装置50での運用マネージャ(運用サブマネージャが代行してもよい。)の入力操作に基づき、汎用ガイドラインのデータを汎用ガイドライン記憶手段28に保存する処理を行うとともに、運用サブマネージャ端末装置80での運用サブマネージャ(運用マネージャが兼任で行ってもよい。)の入力操作に基づき、個別ガイドラインのデータを個別ガイドライン記憶手段29に保存する処理を行うものである。このデータ登録処理手段75により登録されるデータには、例えば、全ての顧客について共通してまたは各顧客毎に組入れが禁止される売買禁止銘柄(例えば、対象銘柄の銘柄コードを登録する。)、管理銘柄(例えば、対象銘柄の銘柄コードを登録する。)、最大時価構成比(例えば、時価構成比の最大をパーセント等で登録する。)、閾値(例えば、リバランスを行わないという判断の基準値となる時価構成比の変動幅をパーセント等で登録する。)、キャッシュ残最小時価構成比(例えば、リバランス時のキャッシュの最小の時価構成比をパーセント等で登録する。)、担当者マスタ(各担当者のマスタ情報であるユーザID、パスワード、担当スタイル等を登録する。)等が含まれる。
新モデルポートフォリオ記憶手段53は、運用マネージャによりモデルポートフォリオ作成処理手段60を用いて作成された新モデルポートフォリオのスタイル案のポジションデータを記憶するものである。
なお、運用管理処理手段70は、緊急時にスタイル別に対象銘柄を一括売却する処理を行う手段、および解約口座の保有株を一括売却する処理を行う手段も備えている。
運用サブマネージャ端末装置80は、コンピュータ(モバイル端末を含む。)により構成され、運用マネージャ端末装置50に搭載されたプログラムと同じプログラム(運用管理処理手段70を実現するプログラム)が搭載されている。なお、運用サブマネージャは、モデルポートフォリオのスタイル案の作成は行わないので、運用サブマネージャ端末装置80には、運用マネージャ端末装置50に搭載されたモデルポートフォリオ作成処理手段60を実現するプログラムは搭載されていない。また、図示は省略されているが、運用サブマネージャ端末装置80にも運用マネージャ端末装置50と同様な表示手段が設けられているので、説明の便宜上、これを表示手段52と記載するものとする。
トレーダ端末装置90は、コンピュータ(モバイル端末を含む。)により構成され、運用マネージャ端末装置50に搭載されたプログラムと同じプログラム(運用管理処理手段70を実現するプログラム)が搭載されている。なお、トレーダは、モデルポートフォリオのスタイル案の作成は行わないので、トレーダ端末装置90には、運用マネージャ端末装置50に搭載されたモデルポートフォリオ作成処理手段60を実現するプログラムは搭載されていない。また、図示は省略されているが、トレーダ端末装置90にも運用マネージャ端末装置50と同様な表示手段が設けられているので、説明の便宜上、これを表示手段52と記載するものとする。
以上において、運用管理サーバ20に含まれるサーバ側個別リバランス処理手段20Aやその他の処理手段、ポートフォリオ管理サーバ40に含まれるポジション管理等を行う処理手段、運用マネージャ端末装置50の処理手段51に含まれるモデルポートフォリオ作成処理手段60および運用管理処理手段70(71〜75)、運用サブマネージャ端末装置80の運用管理処理手段70、並びにトレーダ端末装置90の運用管理処理手段70は、それぞれ運用管理サーバ20、ポートフォリオ管理サーバ40、運用マネージャ端末装置50、運用サブマネージャ端末装置80、およびトレーダ端末装置90を構成する各コンピュータ本体(パーソナル・コンピュータのみならず、その上位機種のものも含む。)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。
また、運用管理サーバ20に接続された各記憶手段21〜30、ポートフォリオ管理サーバ40に接続された各記憶手段41,42、および運用マネージャ端末装置50の新モデルポートフォリオ記憶手段53は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
このような本実施形態においては、以下のようにして資産運用管理システム10を用いて1人の運用マネージャによる複数の顧客の個別ポートフォリオについての同一運用が行われる。
先ず、資産運用管理システム10によるモデルポートフォリオの管理の流れ、および個別ポートフォリオの管理の流れを、図2を参照して概説する。図2では、後述する図7および図8において画面表示の対象となる状態や作業については実線で示し、計算上想定される状態ではあるが画面表示の対象とはならない状態については破線で示されている。
図2において、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより、旧モデルポートフォリオ記憶手段21から前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された旧モデルポートフォリオ100を取得する。この旧モデルポートフォリオ100は、図7の画面200における「旧モデルポートフォリオ」表示欄210に対応する。一方、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bにより、運用マネージャにより今回新たに作成された新モデルポートフォリオのスタイル案101を取得する。このスタイル案101は、図7の画面200における「新スタイル(案)」表示欄220に対応する。
そして、旧モデルポートフォリオ100をスタイル案作成時(例えば2003年12月1日)の時価単価で評価し直して旧モデルポートフォリオ102とし、さらに、この再評価された旧モデルポートフォリオ102について、時価総額を新モデルポートフォリオのスタイル案101に合わせる換算処理(ズーム処理)を行い、拡大または縮小された旧モデルポートフォリオ103を想定する。なお、旧モデルポートフォリオ102,103は、いずれも図7の画面200には表示されない。
続いて、旧モデルポートフォリオ103を構成する各銘柄の数量(株数)と、新モデルポートフォリオのスタイル案101を構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出することにより、モデル売買案104を自動作成する。このモデル売買案104は、図7の画面200における「売買案」表示欄230に対応する。なお、実際の計算処理では、各銘柄の数量(株数)同士の差分を直接に算出するのではなく、旧モデルポートフォリオ102を構成する各銘柄の時価構成比と、新モデルポートフォリオのスタイル案101を構成する各銘柄の時価構成比との差分に基づき、各銘柄の数量(株数)同士の差分を算出してもよい(後述する表3、表4を用いた説明参照)。
それから、運用マネージャは、モデル売買案104を参照、勘案しつつ、モデル売買シミュレーションによる修正作業105を行い、最終的にモデルポートフォリオのリバランス後の状態としてのモデルターゲット106を得る。このモデル売買シミュレーションによる修正作業105は、図7の画面200における「売買シミュレーション」入力欄240での作業に対応し、モデルターゲット106は、図7の画面200における「モデルターゲットポジション」表示欄250に対応する。そして、得られたモデルターゲット106から、時価構成比データを含む売買指示データ110を作成する。
その後、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより、個別ポートフォリオ記憶手段23から前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された各顧客毎の個別ポートフォリオ120を取得する。この個別ポートフォリオ120は、図8の画面300における「現ポジション」表示欄310に対応する。一方、個別売買案作成処理手段20Cにより、売買指示データ記憶手段24から売買指示データ110を読み込み、モデルターゲット106と時価構成比が一致するように指図ターゲット121を作成する。この指図ターゲット121は、図8の画面300における「指図ターゲットポジション」表示欄320に対応する。
それから、個別ポートフォリオ120を指図ターゲット作成時(例えば2003年12月1日)の時価単価で評価し直し、再評価された個別ポートフォリオ122を想定する。この個別ポートフォリオ122は、図8の画面300には表示されない。一方、指図ターゲット121を、個別ポートフォリオ122と時価総額が同じになるように、時価構成比を維持したまま拡大または縮小し、ズームポートフォリオ123を想定する。このズームポートフォリオ123は、図8の画面300には表示されない。
続いて、個別ポートフォリオ122を構成する各銘柄の数量(株数)と、ズームポートフォリオ123を構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出することにより、個別売買案124を自動作成する。この個別売買案124は、図8の画面300における「売買案」表示欄330に対応する。なお、実際の計算処理では、各銘柄の数量(株数)同士の差分を直接に算出するのではなく、個別ポートフォリオ122を構成する各銘柄の時価構成比と、指図ターゲット121を構成する各銘柄の時価構成比との差分に基づき、各銘柄の数量(株数)同士の差分を算出してもよい(後述する表7、表8を用いた説明参照)。
それから、運用サブマネージャは、個別売買案124を参照、勘案しつつ、個別売買シミュレーションによる修正作業125を行い、最終的に個別ポートフォリオのリバランス後の状態としての個別ターゲット(修正ズームポートフォリオ)126を得る。この個別売買シミュレーションによる修正作業125は、図8の画面300における「売買シミュレーション」入力欄340での作業に対応し、個別ターゲット126は、図8の画面300における「スタイル別ターゲットポジション」表示欄350に対応する。そして、得られた個別ターゲット126から、発注予定データ130を作成する。
次に、資産運用管理システム10によるモデルポートフォリオの管理の流れ、および個別ポートフォリオの管理の流れを、図3〜図8を参照して詳述する。
図3において、運用マネージャは、運用マネージャ端末装置50の電源を投入し、運用マネージャ端末装置50に搭載されたプログラムを立ち上げて資産運用に関する一連の処理を開始する(ステップS1)。運用マネージャは、運用マネージャ端末装置50を操作し、運用管理処理手段70により、図5に示すようなフロント業務メニュー画面400を表示手段52の画面上に表示させる。この画面400には、「モデル管理」ボタン401と、「個別ポートフォリオ管理」ボタン402と、「発注指示書作成」ボタン403と、「注文書作成(トレーダ)」ボタン404と、「マスタメンテ」ボタン405と、ユーザID入力部406と、パスワード入力部407とが設けられている。
図5の画面400において、運用マネージャが、ユーザID入力部406およびパスワード入力部407に自己のユーザIDおよびパスワードを入力して「マスタメンテ」ボタン405をクリックすると、データ登録処理手段75により、汎用ガイドラインの入力設定用の画面が表示されるので、運用マネージャは、この画面で汎用ガイドラインのデータ入力を行う。そして、入力されたデータは、データ登録処理手段75により、汎用ガイドライン記憶手段28に登録保存される(図3のステップS2)。例えば、運用マネージャは、全ての顧客に共通して組み入れが禁止される売買禁止銘柄、ポートフォリオを構成する1つ1つの銘柄の時価構成比の最大値、リバランスを行うか否かの閾値となる時価構成比の変動幅(差分)、ポートフォリオにおけるキャッシュの構成比率の最小値等を設定する。なお、この登録処理は、事前に行っておくものである。
続いて、図3において、運用マネージャは、運用マネージャ端末装置50を操作し、モデルポートフォリオ作成処理手段60(既存のプログラムにより実現されるものでもよい。)により、新モデルポートフォリオのスタイル案のポジションデータを作成し、これを運用マネージャ端末装置50の新モデルポートフォリオ記憶手段53に保存する。また、運用マネージャは、新モデルポートフォリオ記憶手段53に保存したスタイル案のポジションデータを、運用管理処理手段70により運用管理サーバ20に送り込み、運用管理サーバ20の新モデルポートフォリオ記憶手段22にも保存する(ステップS3)。
それから、運用マネージャは、再び、図5のフロント業務メニュー画面400を表示させ、「モデル管理」ボタン401をクリックする。すると、表示手段52の画面上には、図5に示すようなモデル管理メニュー画面410が表示される。この画面410には、「一括処理」ボタン411と、「モデルシミュレーション」ボタン412と、「売買指示データ作成状況」ボタン413と、「発注予定データ作成状況」ボタン414とが設けられている。
図5の画面410において、運用マネージャが「一括処理」ボタン411をクリックすると、図5に示すようなモデルポジションデータ取得画面420が表示される。この画面420で、運用マネージャは、取得したい旧モデルポートフォリオのスタイルを選択(複数選択可能)し、この画面420に設けられた「モデルポジションデータ取得」ボタン421をクリックする。すると、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより、運用管理サーバ20の旧モデルポートフォリオ記憶手段21から、前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された旧モデルポートフォリオ100(図2参照)の取得処理が行われ、この処理が終了すると、旧モデルポートフォリオポジションの取得が終了した旨のメッセージ430が画面表示される(図3のステップS4)。
なお、ポートフォリオ管理サーバ40は、例えば毎晩、その日の終値の時価単価で旧モデルポートフォリオ記憶手段41に記憶された旧モデルポートフォリオのポジションデータを再評価して更新する処理を行う(図3のステップS5)。そして、運用管理サーバ20が更新後のデータを取りに行くか、あるいはポートフォリオ管理サーバ40が運用管理サーバ20へ更新後のデータを送り込むことにより、旧モデルポートフォリオ記憶手段41の更新後のデータが、例えば毎晩、運用管理サーバ20の旧モデルポートフォリオ記憶手段21にコピーされる。
続いて、メッセージ430の表示後に、図5に示すようなテキストファイル選択ダイアログ画面440が表示手段52の画面上に表示される。この画面440で、運用マネージャは、取得したい新モデルポートフォリオのスタイル案を選択し、この画面440に設けられた「テキストデータ取得」ボタン441をクリックする。すると、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bにより、新モデルポートフォリオ記憶手段22に保存されている新モデルポートフォリオのスタイル案101(図2参照)のポジションデータ(本実施形態では、一例としてテキストデータとする。)の取得処理が行われ、この処理が終了すると、新モデルポジションの取得が終了した旨のメッセージ450が画面表示される(図3のステップS6)。
そして、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aによる旧モデルポートフォリオの取得処理および新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bによる新モデルポートフォリオのスタイル案の取得処理が終了すると、モデル売買案作成処理手段71Cにより、モデル売買案の自動作成処理が行われる(図3のステップS7)。また、この際、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eにより、汎用ガイドライン記憶手段28のデータに基づき、旧モデルポートフォリオや新モデルポートフォリオのスタイル案に売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む事前汎用ガイドラインチェック処理が自動的に行われる(ステップS7)。そして、事前汎用ガイドラインチェック処理の結果が、事前汎用チェックリスト460(図5参照)として画面表示または印字出力される。
それから、図5の画面410において、運用マネージャは、「モデルシミュレーション」ボタン412をクリックする。すると、モデル売買シミュレーション処理手段71Dにより、図5に示すようなモデルシミュレーション画面200が表示手段52の画面上に表示される。図7には、図5の画面200の詳細内容が示されている。
図7において、モデルシミュレーション画面200には、スタイル表示欄201と、銘柄コード表示欄202と、銘柄名表示欄203と、「旧モデルポートフォリオ」表示欄210と、「新スタイル(案)」表示欄220と、「売買案」表示欄230と、「売買シミュレーション」入力欄240と、「モデルターゲットポジション」表示欄250と、「汎用ガイドラインチェック」ボタン261と、「売買指示データ作成」ボタン262とが設けられている。
「旧モデルポートフォリオ」表示欄210には、旧モデルポートフォリオを構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄211と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄212と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄213と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄214とが設けられている。この「旧モデルポートフォリオ」表示欄210に表示されるデータは、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより旧モデルポートフォリオ記憶手段21から取得した前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された旧モデルポートフォリオ100(図2参照)のポジションデータである。
「新スタイル(案)」表示欄220には、新モデルポートフォリオのスタイル案を構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄221と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄222と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄223と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄224とが設けられている。この「新スタイル(案)」表示欄220に表示されるデータは、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bにより新モデルポートフォリオ記憶手段22から取得した新モデルポートフォリオのスタイル案101(図2参照)のポジションデータ(例えば2003年12月1日の時価単価で評価されたデータ)である。
「売買案」表示欄230には、モデルポートフォリオを構成する各銘柄についての売買の別を表示する「売買区分」表示欄231と、各銘柄の売買数量(売買株数)を表示する「数量」表示欄232と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄233と、各銘柄の売買金額(売買数量×時価単価)を表示する「売買金額」表示欄234とが設けられている。この「売買案」表示欄230に表示されるデータは、図2のモデル売買案104のデータである。
「売買シミュレーション」入力欄240には、モデルポートフォリオを構成する各銘柄についての売買の別を表示する「売買区分」表示欄241と、各銘柄の売買数量(売買株数)を入力する「数量」入力欄242と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄243と、各銘柄の売買金額(売買数量×時価単価)を表示する「売買金額」表示欄244とが設けられている。これらの各欄241〜244には、「売買案」表示欄230の各欄231〜234の数値がデフォルト表示される。また、「数量」入力欄242には、運用マネージャが修正したい数値を入力することができ、これにより各欄241,244は自動修正されるようになっている。この「売買シミュレーション」入力欄240で行われる作業は、図2のモデル売買シミュレーションによる修正作業105である。
「モデルターゲットポジション」表示欄250には、モデルターゲットを構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄251と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄252と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄253と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄254とが設けられている。この「モデルターゲットポジション」表示欄250に表示されるデータは、図2のモデルターゲット106のポジションデータである。
図7のモデルシミュレーション画面200において、運用マネージャは、「売買案」表示欄230のデータを参照、勘案しながら、「売買シミュレーション」入力欄240で入力操作を行うことにより、自動作成されたモデル売買案に修正を加える(図3のステップS8)。例えば、B社株に対し、モデル売買案は、数量3,000株の買いとなっているが、「数量」入力欄242における3,000株という数値を修正して4,000株の買いにすると、「売買金額」表示欄244の数値は、3,750,000円(数量3,000株×時価単価1,250円)の買いから、5,000,000円(数量4,000株×時価単価1,250円)の買いに自動修正される。また、これに伴って、「モデルターゲットポジション」表示欄250の数値も自動修正され、「数量」表示欄251の数値は、6,000株から1,000株増加して7,000株となり、「時価」表示欄253の数値は、7,500,000円(数量6,000株×時価単価1,250円)から、8,750,000円(数量7,000株×時価単価1,250円)となり、「時価構成比」表示欄254の数値は、25.00%(7,500,000円÷30,000,000円)から29.17%(8,750,000円÷30,000,000円)となる。以上の処理は、モデル売買シミュレーション処理手段71Dにより行われる。
なお、詳細は表3、表4を用いて後述するが、モデル売買案の作成は、スタイル案の時価総額(図7の例では、3,000万円)をベースとして行われるので、その修正もスタイル案の時価総額をベースとして行われることになるため、モデル売買シミュレーションにより取り扱われる売買数量は、「旧モデルポートフォリオ」表示欄210の数値(つまり、図2の旧モデルポートフォリオ100の数値データ)に対する売買数量ではなく、計算上想定されている図2の旧モデルポートフォリオ103に対する売買数量という位置付けになる。
そして、運用マネージャは、モデル売買シミュレーションを行う過程で、適宜、画面200の「汎用ガイドラインチェック」ボタン261をクリックし、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eにより、汎用ガイドライン記憶手段28のデータに基づき、モデルターゲットの中に売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む確定汎用ガイドラインチェック処理を行う。そして、この確定汎用ガイドラインチェック処理の結果が、確定汎用チェックリスト470(図5参照)として画面表示または印字出力される。
さらに、運用マネージャは、モデル売買シミュレーションを終了し、モデルターゲットを確定した後に、画面200の「売買指示データ作成」ボタン262をクリックする。すると、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eにより、汎用ガイドライン記憶手段28のデータに基づき、モデルターゲットの中に売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む確定汎用ガイドラインチェック処理が自動的に行われ、その結果が、確定汎用チェックリスト480(図5参照)として画面表示または印字出力され、その後、売買指示データ作成処理手段71Fにより、モデルターゲットの時価構成比データを含む売買指示データ110(図2参照)が作成され、売買指示データ記憶手段24に保存される(ステップS9)。
なお、運用マネージャは、図5のモデル管理メニュー画面410の「売買指示データ作成状況」ボタン413をクリックすることにより、売買指示データ記憶手段24に保存された売買指示データの作成状況の一覧490を参照して確認することができ、「発注予定データ作成状況」ボタン414をクリックすることにより、発注予定データ記憶手段25に保存された発注予定データの作成状況の一覧500を参照して確認することができる。
また、今回作成されたモデルターゲット(つまり、リバランス後のモデルポートフォリオ)のポジションデータは、次回のモデルポートフォリオのリバランスに用いるために、ポートフォリオ管理サーバ40の旧モデルポートフォリオ記憶手段41に保存される。
一方、図4において、運用サブマネージャは、運用サブマネージャ端末装置80の電源を投入し、運用サブマネージャ端末装置80に搭載されたプログラムを立ち上げて資産運用に関する一連の処理を開始する(ステップS21)。運用サブマネージャは、運用サブマネージャ端末装置80を操作し、運用管理処理手段70により、図6に示すようなフロント業務メニュー画面400を表示手段52の画面上に表示させる。この画面400は、図5に示したものと同じ画面である。
図6の画面400において、運用サブマネージャが、ユーザID入力部406およびパスワード入力部407に自己のユーザIDおよびパスワードを入力して「マスタメンテ」ボタン405をクリックすると、データ登録処理手段75により、個別ガイドラインの入力設定用の画面が表示されるので、運用サブマネージャは、この画面で個別ガイドラインのデータ入力を行う。そして、入力されたデータは、データ登録処理手段75により、個別ガイドライン記憶手段29に登録保存される(図4のステップS22)。例えば、運用サブマネージャは、各顧客毎に組み入れが禁止される売買禁止銘柄等を設定する。なお、この登録処理は、事前に行っておくものである。また、各顧客毎の売買禁止銘柄は、契約時に各顧客が指定した銘柄である。
そして、図3で示した如く、運用マネージャによりモデルポートフォリオのリバランスが行われ、新しいモデルターゲットが確定し、その時価構成比データを含む売買指示データが売買指示データ記憶手段24に保存された後には、図4に示す如く、運用サブマネージャ(運用マネージャが兼任してもよい。)により、以下のような作業が行われる。
すなわち、運用サブマネージャは、図6のフロント業務メニュー画面400を表示させ、「個別ポートフォリオ管理」ボタン402をクリックする。すると、表示手段52の画面上には、図6に示すような個別ポートフォリオ管理メニュー画面510が表示される。この画面510には、「一括処理」ボタン511と、「個別ポートフォリオシミュレーション」ボタン512と、「売買指示データ作成状況」ボタン513と、「発注予定データ作成状況」ボタン514とが設けられている。
図6の画面510において、運用サブマネージャが「一括処理」ボタン511をクリックすると、図6に示すような個別ポートフォリオポジションデータ取得画面520が表示される。この画面520で、運用サブマネージャは、取得したい個別ポートフォリオを選択(複数選択可能)し、この画面520に設けられた「個別PFポジションデータ取得」ボタン521をクリックする。すると、個別展開指示処理手段72Aにより、運用管理サーバ20のサーバ側個別リバランス処理手段20Aに個別展開処理の指令が送られ(図4のステップS23)、運用管理サーバ20では、この指令を受けて、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより、運用管理サーバ20の個別ポートフォリオ記憶手段23から、前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された個別ポートフォリオ120(図2参照)の取得処理が行われる(ステップS24)。
なお、ポートフォリオ管理サーバ40は、例えば毎晩、その日の終値の時価単価で個別ポートフォリオ記憶手段42に記憶された各顧客毎の個別ポートフォリオのポジションデータを再評価して更新する処理を行う(ステップS25)。そして、運用管理サーバ20が更新後のデータを取りに行くか、あるいはポートフォリオ管理サーバ40が運用管理サーバ20へ更新後のデータを送り込むことにより、個別ポートフォリオ記憶手段42の更新後のデータが、例えば毎晩、運用管理サーバ20の個別ポートフォリオ記憶手段23にコピーされる。
続いて、個別売買案作成処理手段20Cにより、売買指示データ記憶手段24からモデルターゲットについての時価構成比データを含む売買指示データを取得し、取得した売買指示データに基づき指図ターゲット121(図2参照)を作成する(ステップS26)。つまり、モデルターゲットを指図ターゲットとして設定する。そして、個別売買案作成処理手段20Cにより、個別売買案の自動作成処理が行われる(ステップS27)。また、この際、個別ガイドラインチェック処理手段20Dにより、個別ガイドライン記憶手段29のデータに基づき、個別ポートフォリオや指図ターゲットに各顧客毎の売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む事前個別ガイドラインチェック処理が自動的に行われる(ステップS27)。
そして、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bによる個別ポートフォリオの取得処理、並びに個別売買案作成処理手段20Cによる指図ターゲットの作成処理および個別売買案の作成処理が終了すると、個別ポートフォリオポジションデータの取得と指図ターゲットポジションデータの作成が終了した旨のメッセージ530(図6参照)が画面表示される。また、事前個別ガイドラインチェック処理の結果が、事前個別チェックリスト540(図6参照)として画面表示または印字出力される。
それから、図6の画面510において、運用サブマネージャは、「個別ポートフォリオシミュレーション」ボタン512をクリックする。すると、個別売買シミュレーション処理手段72Bにより、図6に示すような個別ポートフォリオシミュレーション画面300が表示手段52の画面上に表示される。図8には、図6の画面300の詳細内容が示されている。
図8において、個別ポートフォリオシミュレーション画面300には、スタイル表示欄301と、銘柄コード表示欄302と、銘柄名表示欄303と、「現ポジション」表示欄310と、「指図ターゲットポジション」表示欄320と、「売買案」表示欄330と、「売買シミュレーション」入力欄340と、「スタイル別ターゲットポジション」表示欄350と、「個別ガイドラインチェック」ボタン361と、「発注予定データ作成」ボタン362とが設けられている。
「現ポジション」表示欄310には、リバランス前の個別ポートフォリオを構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄311と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄312と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄313と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄314とが設けられている。この「現ポジション」表示欄310に表示されるデータは、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより個別ポートフォリオ記憶手段23から取得した前日(例えば2003年11月30日)の時価単価で評価された個別ポートフォリオ120(図2参照)のポジションデータである。
「指図ターゲットポジション」表示欄320には、指図ターゲットを構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄321と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄322と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄323と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄324とが設けられている。この「指図ターゲットポジション」表示欄320に表示されるデータは、個別売買案作成処理手段20Cにより売買指示データ記憶手段24から読み込んだ売買指示データ(時価構成比データを含む。)に基づき作成された指図ターゲット121(図2参照)のポジションデータ(例えば2003年12月1日の時価単価で評価されたデータ)である。
「売買案」表示欄330には、個別ポートフォリオを構成する各銘柄についての売買の別を表示する「売買区分」表示欄331と、各銘柄の売買数量(売買株数)を表示する「数量」表示欄332と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄333と、各銘柄の売買金額(売買数量×時価単価)を表示する「売買金額」表示欄334とが設けられている。この「売買案」表示欄330に表示されるデータは、図2の個別売買案124のデータである。
「売買シミュレーション」入力欄340には、個別ポートフォリオを構成する各銘柄についての売買の別を表示する「売買区分」表示欄341と、各銘柄の売買数量(売買株数)を入力する「数量」入力欄342と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄343と、各銘柄の売買金額(売買数量×時価単価)を表示する「売買金額」表示欄344とが設けられている。これらの各欄341〜344には、「売買案」表示欄330の各欄331〜334の数値がデフォルト表示される。また、「数量」入力欄342には、運用サブマネージャ(運用マネージャが兼任してもよい。)が修正したい数値を入力することができ、これにより各欄341,344は自動修正されるようになっている。この「売買シミュレーション」入力欄340で行われる作業は、図2の個別売買シミュレーションによる修正作業125である。
「スタイル別ターゲットポジション」表示欄350には、個別ターゲットを構成する各銘柄の数量(株数)を表示する「数量」表示欄351と、各銘柄の時価単価を表示する「時価単価」表示欄352と、各銘柄の時価(数量×時価単価)を表示する「時価」表示欄353と、各銘柄の時価構成比を表示する「時価構成比」表示欄354とが設けられている。この「スタイル別ターゲットポジション」表示欄350に表示されるデータは、図2の個別ターゲット(修正ズームポートフォリオ)126のポジションデータである。
図8の個別ポートフォリオシミュレーション画面300において、運用サブマネージャは、「売買案」表示欄330のデータを参照、勘案しながら、「売買シミュレーション」入力欄340で入力操作を行うことにより、自動作成された個別売買案に修正を加える(図4のステップS28)。例えば、C社株に対し、個別売買案は、数量6,000株の売りとなっているが、「数量」入力欄342における6,000株という数値を修正して5,000株の売りにすると、「売買金額」表示欄344の数値は、▲1,800,000円(数量▲6,000株×時価単価300円)の売りから、▲1,500,000円(数量▲5,000株×時価単価300円)の売りに自動修正される。また、これに伴って、「スタイル別ターゲットポジション」表示欄350の数値も自動修正され、「数量」表示欄351の数値は、26,000株から1,000株増加して27,000株となり、「時価」表示欄353の数値は、7,800,000円(数量26,000株×時価単価300円)から、8,100,000円(数量27,000株×時価単価300円)となり、「時価構成比」表示欄354の数値は、20.54%(7,800,000円÷37,975,000円)から21.33%(8,100,000円÷37,975,000円)となる。以上の処理は、個別売買シミュレーション処理手段72Bにより行われる。
なお、詳細は表7、表8を用いて後述するが、個別売買案の作成は、指図ターゲット121(図2参照)の時価総額(図8の例では、3,000万円)をベースとして行われるのではなく、個別ポートフォリオ122(図2参照)の時価総額(図8の例では、37,975,000円)、換言すればズームポートフォリオ123(図2参照)の時価総額をベースとして行われるので、その修正も個別ポートフォリオ122の時価総額をベースとして行われることになるため、個別売買シミュレーションにより取り扱われる売買数量は、「現ポジション」表示欄310の数値(つまり、図2の個別ポートフォリオ120の数値データ)に対する売買数量としても成立する。図2の個別ポートフォリオ120と個別ポートフォリオ122とは、時価総額は異なるが、これらを構成する各銘柄の数量(株数)は、一致しているからである。この点が、図7のモデル売買シミュレーションと異なる点である。
そして、運用サブマネージャは、個別売買シミュレーションを行う過程で、適宜、画面300の「個別ガイドラインチェック」ボタン361をクリックし、個別ガイドラインチェック処理手段72Cにより、個別ガイドライン記憶手段29のデータに基づき、個別ターゲットの中に各顧客毎の売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む確定個別ガイドラインチェック処理を行う。そして、この確定個別ガイドラインチェック処理の結果が、確定個別チェックリスト550(図6参照)として画面表示または印字出力される。
さらに、運用サブマネージャは、個別売買シミュレーションを終了し、個別ターゲットを確定した後に、画面300の「発注予定データ作成」ボタン362をクリックする。すると、個別ガイドラインチェック処理手段72Cにより、個別ガイドライン記憶手段29のデータに基づき、個別ターゲットの中に各顧客毎の売買禁止銘柄が含まれているか否かのチェックを含む確定個別ガイドラインチェック処理が自動的に行われ、その結果が、確定個別チェックリスト560(図6参照)として画面表示または印字出力され、その後、発注予定データ作成処理手段72Dにより、発注予定データ130(図2参照)が作成され、発注予定データ記憶手段25に保存される(ステップS29)。
なお、運用サブマネージャは、図6の個別ポートフォリオ管理メニュー画面510の「売買指示データ作成状況」ボタン513をクリックすることにより、売買指示データ記憶手段24に保存された売買指示データの作成状況の一覧570を参照して確認することができ、「発注予定データ作成状況」ボタン514をクリックすることにより、発注予定データ記憶手段25に保存された発注予定データの作成状況の一覧580を参照して確認することができる。
また、今回作成された各顧客毎の個別ターゲット(つまり、リバランス後の個別ポートフォリオ)のポジションデータは、次回の個別ポートフォリオのリバランスに用いるために、ポートフォリオ管理サーバ40の個別ポートフォリオ記憶手段42に保存される。
その後、運用マネージャは、運用マネージャ端末装置50を操作し、図5のフロント業務メニュー画面400を表示させ、この画面400で「発注指示書作成」ボタン403をクリックする。すると、発注指示書作成処理手段73により、発注指示書作成用の画面が表示手段52の画面上に表示されるので、運用マネージャは、この画面で発注予定データ記憶手段25に保存された発注予定データを用いて発注指示書の作成処理を行う。そして、作成された発注指示データは、発注指示書作成処理手段73により発注指示データ記憶手段26に保存される。
続いて、トレーダは、トレーダ端末装置90を操作し、図5のフロント業務メニュー画面400を表示させ、この画面400で「注文書作成(トレーダ)」ボタン404をクリックする。すると、注文書作成処理手段74により、注文書作成用の画面が表示手段52の画面上に表示されるので、トレーダは、この画面で発注指示データ記憶手段26に保存された発注指示データを用いて注文書の作成処理を行う。そして、作成された注文書データは、注文書作成処理手段74により注文書データ記憶手段27に保存される。そして、この注文書データ記憶手段27に保存された注文書データに基づき売買注文が執行される。
以下には、モデル売買案作成処理手段71Cによるモデル売買案の自動作成処理(図3のステップS7の処理)の詳細を説明する。
表1には、旧モデルポートフォリオ取得処理手段71Aにより取得した旧モデルポートフォリオ100(図2参照)のポジションデータが左側に示され、新モデルポートフォリオ取得処理手段71Bにより取得した新モデルポートフォリオのスタイル案101(図2参照)のポジションデータが右側に示されている。表1のデータは、図7のデータと一致している。この例では、スタイル案101の時価総額は、固定額として定められている例えば3,000万円(新規参入顧客の最低投資金額)となっている。一方、旧モデルポートフォリオ100の時価総額は、前回のモデルポートフォリオのリバランス時(例えば1ヶ月前)に3,000万円であったものが、その後の時価変動で下落し、一例として1,980万円になった状態が示されている。
なお、この例では、A社株〜F社株が組入対象銘柄とされ、ポートフォリオを構成する銘柄の数は少なく、各銘柄の時価構成比の最大値は20%を超えて比較的大きな比率となっているが、本発明を適用する際に組入対象とする金融資産(本実施形態では、株式)の数は任意であり、より多くの銘柄でポートフォリオを構築し、各銘柄の時価構成比の最大値を、より小さな比率(例えば10%以下等)としてもよい。このような時価構成比の最大値は、運用マネージャによりデータ登録処理手段75を用いて入力設定されて汎用ガイドライン記憶手段28に登録保存され、汎用ガイドラインチェックを行う際のチェック項目とすることができる。
モデル売買案作成処理手段71Cは、先ず、前日の時価単価(例えば2003年11月30日の終値)で評価された旧モデルポートフォリオ100(図2参照)のポジションデータを、スタイル案101の時価単価(例えば2003年12月1日の終値)で評価し直して旧モデルポートフォリオ102(図2参照)を作成する。
表2には、スタイル案101の時価単価で評価し直した旧モデルポートフォリオ102が左側に示されている。従って、左側の旧モデルポートフォリオ102の時価単価と、右側のスタイル案101の時価単価とは一致している。これにより各銘柄の時価(数量×時価単価)が変化し、これに伴って時価総額は、旧モデルポートフォリオ100についての1,980万円から、旧モデルポートフォリオ102についての2,000万円に変化するとともに、時価構成比も変化している。
また、スタイル案101に時価単価がない場合には、モデル売買案作成処理手段71Cは、表1の旧モデルポートフォリオ100の時価単価をそのまま使用する。例えば、表1に示す如く、スタイル案101のE社株については、数量(株数)がゼロであるため時価単価がない状態となっているので、表2に示す如く、旧モデルポートフォリオ102のE社株の時価単価として、表1の旧モデルポートフォリオ100のE社株の時価単価70円(例えば2003年11月30日の終値)をそのまま使用する。なお、スタイル案101の作成時点(例えば2003年12月1日)では、E社株の時価単価は例えば65円であるものとする。但し、前日の時価単価70円で代用計算するのではなく、スタイル案101の作成時点の時価単価65円を別途取得して計算に使用してもよい。
続いて、モデル売買案作成処理手段71Cは、旧モデルポートフォリオ102を構成する各銘柄の時価構成比と、スタイル案101を構成する各銘柄の時価構成比との差分を求める。
表3には、各銘柄の時価構成比の差分を求めた結果が示されている。例えば、B社株については、25.00%(スタイル案101)−12.50%(旧モデルポートフォリオ102)=12.50%(差分)となり、C社株については、20.00%(スタイル案101)−30.00%(旧モデルポートフォリオ102)=−10.00%(差分)となっている。差分値のマイナスは、売区分を示す。
この際、時価構成比の差分が閾値(例えば、2%等)の範囲内の銘柄については、モデル売買案を作成しない。なお、売買を行わないというモデル売買案を作成すると考えてもよい。この閾値は、汎用ガイドライン記憶手段28に登録保存されている。但し、いずれか一方が0%の場合には、閾値に関係なく売買案を作成する。例えば、E社株、F社株については、差分が−17.50%、10.00%となっているが、これらの数値がたとえ閾値の範囲内であっても売買案を作成する。
また、全ての顧客に共通して組入れが禁止される売買禁止銘柄についても売買案を作成しない。この売買禁止銘柄であるか否かの判断は、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eにより行われ、売買禁止銘柄が含まれている場合には、事前汎用チェックリスト460(図5参照)にエラー表示または印字が行われる。すなわち、モデル売買案作成処理手段71Cは、スタイル案101の中に汎用ガイドラインチェック処理手段71Eにより売買禁止銘柄であると判断された銘柄があった場合には、図7の画面200における「新スタイル(案)」表示欄220に、その売買禁止銘柄を削除した後の状態を表示するので(つまり、その銘柄の表示行を作成しないか、またはその銘柄の表示行の数値を全てゼロにして表示するので)、「売買案」表示欄230についても、その銘柄の表示行が作成されないか、またはその銘柄の表示行の数値が全てゼロになる。なお、既に旧モデルポートフォリオに組み入れられている銘柄が、新たに共通の売買禁止銘柄になった場合には、「新スタイル(案)」表示欄220のその銘柄の表示行の数値が全てゼロになって表示され、これにより生じた差分は、全部売りになる。
それから、モデル売買案作成処理手段71Cは、売買すべき数量を算出する。この際、売買数量は、表3の計算で求めた旧モデルポートフォリオ102とスタイル案101との時価構成比の差分に、スタイル案101の時価総額(例えば、3,000万円)を乗じ、それをスタイル案作成時の時価単価(旧モデルポートフォリオ102の時価単価)で除することにより求める。
表4には、モデル売買案の算出結果が示されている。A社株の売買数量は、(0.00%×30,000,000円)÷400円=0株となり、B社株の売買数量は、(12.50%×30,000,000円)÷1,250円=3,000株(買い)となり、C社株の売買数量は、(−10.00%×30,000,000円)÷300円=−10,000株(売り)となり、D社株の売買数量は、(5.00%×30,000,000円)÷100円=15,000株(買い)となり、E社株の売買数量は、(−17.50%×30,000,000円)÷70円=−75,000株(売り)となり、F社株の売買数量は、旧モデルポートフォリオ102の時価構成比が0.00%なので、スタイル案101のF社株の数量10,000株がそのまま買いになり、10,000株×1=10,000株となる。なお、F社株の売買数量については、他の銘柄と同様に、(10.00%×30,000,000円)÷300円=10,000株(買い)を計算してもよい。
また、上記の計算で得られた数量は、単元株の株数で丸める処理を行う。すなわち、単元株単位で端数が生じた場合には、切り捨てを行って売買数量とする。
なお、上記の計算では、旧モデルポートフォリオ102とスタイル案101との時価構成比の差分に基づき売買数量を算出しているが、旧モデルポートフォリオ102の時価総額をスタイル案101の時価総額(3,000万円)に合わせる換算処理を行って旧モデルポートフォリオ103を作成した後、この旧モデルポートフォリオ103を構成する各銘柄の数量(株数)と、スタイル案101を構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出し、売買数量を求めてもよい。例えば、B社株の売買数量は、6,000株(スタイル案101)−{2,000株×(30,000,000円/20,000,000円)}(旧モデルポートフォリオ103)=3,000株(買い)という計算を行ってもよく、この計算式は、上記の(12.50%×30,000,000円)÷1,250円=3,000株(買い)という計算式と等価である。
次に、個別売買案作成処理手段20Cによる個別売買案の自動作成処理(図4のステップS27の処理)の詳細を説明する。
表5には、個別ポートフォリオ取得処理手段20Bにより取得した個別ポートフォリオ120(図2参照)のポジションデータが左側に示され、売買指示データ110(図2参照)に基づき作成された指図ターゲット121(図2参照)のポジションデータが右側に示されている。表1のデータは、図8のデータと一致している。この例では、指図ターゲット121の時価総額は、固定額として定められている例えば3,000万円(新規参入顧客の最低投資金額)となっている。一方、個別ポートフォリオ120の時価総額は、現在(正確には、昨日)までの含み益分を合わせて37,510,000円となっている。
個別売買案作成処理手段20Cは、先ず、前日の時価単価(例えば2003年11月30日の終値)で評価された個別ポートフォリオ120(図2参照)のポジションデータを、指図ターゲット121の時価単価(例えば2003年12月1日の終値)で評価し直して個別ポートフォリオ122(図2参照)を作成する。なお、指図ターゲット121におけるE社株の時価単価には、売買指示データ110から取得したのではなく、別途取得された65円という本日の単価が入っている。
表6には、指図ターゲット121の時価単価で評価し直した個別ポートフォリオ122が左側に示されている。従って、左側の個別ポートフォリオ122の時価単価と、右側の指図ターゲット121の時価単価とは一致している。これにより各銘柄の時価(数量×時価単価)が変化し、これに伴って時価総額は、個別ポートフォリオ120についての37,510,000円から、個別ポートフォリオ122についての37,975,000円に変化するとともに、時価構成比も変化している。
続いて、個別売買案作成処理手段20Cは、個別ポートフォリオ122を構成する各銘柄の時価構成比と、指図ターゲット121を構成する各銘柄の時価構成比との差分を求める。
表7には、各銘柄の時価構成比の差分を求めた結果が示されている。例えば、B社株については、25.00%(指図ターゲット121)−13.16%(個別ポートフォリオ122)=11.84%(差分)となり、C社株については、20.00%(指図ターゲット121)−25.27%(個別ポートフォリオ122)=−5.27%(差分)となっている。差分値のマイナスは、売区分を示す。
この際、時価構成比の差分が閾値(例えば、2%等)の範囲内の銘柄については、個別売買案を作成しない。なお、売買を行わないという個別売買案を作成すると考えてもよい。但し、いずれか一方が0%の場合には、閾値に関係なく売買案を作成する。例えば、E社株、F社株については、差分が−12.83%、10.00%となっているが、これらの数値がたとえ閾値の範囲内であっても売買案を作成する。
また、各顧客毎に組入れが禁止される売買禁止銘柄についても売買案を作成しない。この売買禁止銘柄であるか否かの判断は、個別ガイドラインチェック処理手段20Dにより行われ、売買禁止銘柄が含まれている場合には、事前個別チェックリスト540(図6参照)にエラー表示または印字が行われる。すなわち、個別売買案作成処理手段20Cは、作成しようとする指図ターゲット121の中に(つまり、スタイル案101やモデルターゲット106(図2参照)の中に)個別ガイドラインチェック処理手段20Dにより売買禁止銘柄であると判断された銘柄があった場合には、図8の画面300における「指図ターゲットポジション」表示欄320に、その売買禁止銘柄を削除した後の状態を表示するので(つまり、その銘柄の表示行を作成しないか、またはその銘柄の表示行の数値を全てゼロにして表示するので)、「売買案」表示欄330についても、その銘柄の表示行が作成されないか、またはその銘柄の表示行の数値が全てゼロになる。なお、既に個別ポートフォリオに組み入れられている銘柄が、新たに各顧客毎の売買禁止銘柄になった場合には、「指図ターゲットポジション」表示欄320のその銘柄の表示行の数値が全てゼロになって表示され、これにより生じた差分は、全部売りの扱いとする。
それから、個別売買案作成処理手段20Cは、売買すべき数量を算出する。先ず、個別ポートフォリオ122の時価構成比が指図ターゲット121の時価構成比を上回っている銘柄については、売りとなるので、この売り数量を計算する。この際、売り数量は、表7の計算で求めた個別ポートフォリオ122と指図ターゲット121との時価構成比の差分に、個別ポートフォリオ122の時価総額(図8の例では、37,975,000円)を乗じ、それを指図ターゲット作成時の時価単価で除することにより求める。
表8には、売りの対象銘柄が★印で示されている。この例では、時価構成比の差分がマイナスになっているC社株、D社株、E社株が売り銘柄となる。なお、ここでは、閾値を例えば2%とする。従って、A社株は、時価構成比の差分がマイナスになっているものの、その数値(絶対値)が1.06%であり、閾値2%の範囲内であるため、売買は行わないものとする。具体的には、C社株の売り数量は、(−5.27%×37,975,000円)÷300円=−6,670.94…株となり、D社株の売り数量は、(−3.69%×37,975,000円)÷100円=−14,012.77…株となり、E社株の売り数量は、指図ターゲット121の時価構成比が0.00%なので、個別ポートフォリオ122のE社株の数量75,000株がそのまま売りになり、75,000株×−1=−75,000株となる。
そして、上記の計算で得られた数量を、単元株の株数で丸める処理を行う。すなわち、単元株単位で端数が生じた場合には、切り捨てを行って売買数量とする。例えば、C社株については、単元株が1,000株であるから、−6,670.94…株の端数を切り捨てて−6,000株とし、D社株については、単元株が1,000株であるから、−14,012.77…株の端数を切り捨てて−14,000株とし、E社株については、単元株が1,000株であるから、そのまま−75,000株を売買数量とする。
なお、上記の計算では、個別ポートフォリオ122と指図ターゲット121との時価構成比の差分に基づき売買数量を算出しているが、指図ターゲット121の時価総額(3,000万円)を、時価構成比を維持したまま個別ポートフォリオ122の時価総額(37,975,000円)に合わせる換算処理(拡大または縮小のいずれかのズーム処理であるが、ここでは、拡大するズーム処理となる。)を行ってズームポートフォリオ123を作成した後、このズームポートフォリオ123を構成する各銘柄の数量(株数)と、個別ポートフォリオ122を構成する各銘柄の数量(株数)との差分を算出し、売買数量を求めてもよい。例えば、C社株の売買数量は、{20,000株×(37,975,000円/30,000,000円)}(ズームポートフォリオ123)−32,000株(個別ポートフォリオ122)=−6,683.33…株(売り)という計算を行ってもよく、この計算式は、上記の(−5.27%×37,975,000円)÷300円=−6,670.94…株(売り)という計算式と等価である。なお、値が若干相違するのは、時価構成比の有効桁数の関係によるものである。
表9には、上記のようにして求めた売買数量と、売買株価(時価単価)とを乗じて売買金額を算出した結果が示されている。そして、求めた売買金額の合計額−8,075,000円を個別ポートフォリオ122のキャッシュ1,500,000円から引く処理を行う。なお、売りの金額であるため、必ずマイナスになるので、キャッシュに売り金額を加算していることになる。すなわち、1,500,000円−(−8,075,000円)=9,575,000円を算出する。
続いて、個別ポートフォリオ122の時価構成比が指図ターゲット121の時価構成比を下回っている銘柄については、買いとなるので、この買い数量を計算する。この際、買い数量は、表7の計算で求めた個別ポートフォリオ122と指図ターゲット121との時価構成比の差分に、個別ポートフォリオ122の時価総額(図8の例では、37,975,000円)を乗じ、それを指図ターゲット作成時の時価単価で除することにより求める。
表10には、買いの対象銘柄が★印で示されている。この例では、時価構成比の差分がプラスになっているB社株、F社株が買い銘柄となる。具体的には、B社株の買い数量は、(11.84%×37,975,000円)÷1,250円=3,596.99…株となり、F社株の買い数量は、(10.00%×37,975,000円)÷300円=12,658.33…株となる。
そして、上記の計算で得られた数量を、単元株の株数で丸める処理を行う。すなわち、単元株単位で端数が生じた場合には、切り捨てを行って売買数量とする。例えば、B社株については、単元株が100株であるから、3,596.99…株の端数を切り捨てて3,500株とし、F社株については、単元株が100株であるから、12,658.33…株の端数を切り捨てて12,600株を売買数量とする。
表11には、上記のようにして求めた売買数量と、売買株価(時価単価)とを乗じて売買金額を算出した結果が示されている。そして、求めた売買金額の合計額8,155,000円を、キャッシュに売り金額を加算して得られた前記9,575,000円から引く処理を行う。すなわち、9,575,000円−8,155,000円=1,420,000円を算出する。
ここで、上記の算出値1,420,000円がキャッシュの最低保持比率を下回らなければ、表11の売買案をそのまま使用する。このキャッシュの最低保持比率は、データ登録処理手段75により運用マネージャまたは運用サブマネージャにより予め設定登録されている。例えば、キャッシュの最低保持比率を3%とした場合には、37,975,000円×3%=1,139,250円となるので、1,420,000円は、キャッシュの最低保持比率を上回っているため、表11の売買案がそのまま使用される。
一方、キャッシュの最低保持比率を5%とした場合には、37,975,000円×5%=1,898,750円となるので、1,420,000円は、キャッシュの最低保持比率を下回る。この場合には、キャッシュの最低保持比率を下回らない範囲で売買対象銘柄を、指図ターゲット121の時価構成比が大きい順に、1単元株ずつ購入していく。なお、この場合には、事前個別チェックリスト540(図6参照)にキャッシュ不足として表示又は印字される。
表12には、買いの対象銘柄であるB社株、F社株を1単元株ずつ購入していく処理のループ1回目、35回目、111回目の状態が示されている。ループ1回目では、キャッシュ9,575,000円から売買金額155,000円(125,000円+30,000円)が引かれ、キャッシュ残高は、9,420,000円となる。ループ35回目では、キャッシュ9,575,000円から売買金額5,425,000円(4,375,000円+1,050,000円)が引かれ、キャッシュ残高は、4,150,000円となる。ここで、B社株については、このループ35回目の時点で売買すべき数量に達したので、以降、対象外となる。ループ111回目では、キャッシュ9,575,000円から売買金額7,705,000円(4,375,000円+3,330,000円)が引かれ、キャッシュ残高は、1,870,000円となる。従って、F社株を111単元株購入すると、キャッシュ残高が足りなくなるので、ここでループを抜ける。
表13には、キャッシュの最低保持比率5%の値1,898,750円を保持した売買案が示されている。表13の売買案では、F社株は、111単元株ではなく、110単元株(110×100=11,000株)となっている。
表14には、売り買い両方の売買案が示されている。ここで、いわゆる赤残チェック処理を行う。この赤残チェック処理は、売り対象の銘柄が実際の売買で予定額より安くしか売れなくなった場合、あるいは買い対象の銘柄が実際の売買で予定額より高くしか買えなくなった場合を想定し、これらの場合にキャッシュがマイナスになるか否かをチェックする処理である。この赤残チェック処理の結果、キャッシュがマイナスになった場合には、事前個別チェックリスト540(図6参照)に赤残エラーとして表示又は印字され、運用サブマネージャへの警告が行われる。計算式は、個別ポートフォリオ122のキャッシュ−{売りの総額×(1−売り下限値)}−{買いの総額×(1+買い上限値)}である。但し、売りの総額は、マイナスの値で代入する。具体的には、売り下限値および買い下限値を共に10%として計算すると、1,500,000円−(−8,075,000円×90%)−(7,675,000×110%)=325,000円となるので、赤残エラーにはならない。一方、売り下限値および買い下限値を共に15%として計算すると、1,500,000円−(−8,075,000円×85%)−(7,675,000×115%)=−462,500円となるので、赤残エラーになる。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、資産運用管理システム10は、端末側個別リバランス処理手段72およびサーバ側個別リバランス処理手段20Aを備えているので、運用マネージャが、自己の運用スタイルに沿ってモデルポートフォリオを作成すると、このモデルポートフォリオを指図ターゲットとし、時価構成比を保ったまま、この指図ターゲットとしてのモデルポートフォリオを拡大または縮小してズームポートフォリオを算出する処理を行い、このズームポートフォリオを基準として各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランス作業を行うことができる。
このため、運用マネージャは、各顧客の個別ポートフォリオの管理を行うにあたり、従来のように各顧客毎の個別ポートフォリオについてそれぞれ手作業で売買案を作成し、リバランスする作業を行う必要がなくなり、モデルポートフォリオの管理を行うだけで済むので、運用マネージャの作業の手間を軽減することができる。
従って、1人の運用マネージャによる複数の顧客のポートフォリオに対する同一運用を容易に実現することができる。しかも、同一運用の対象となる複数の顧客のポートフォリオは、それぞれ時価総額が異なっていてもよく、参加時期が異なっていてもよい。
また、少額の資金を投じる個人投資家の1人1人に対し、それぞれ運用マネージャを担当者として張り付けるという必要もなくなるため、投資顧問会社は、コスト低減を図ることができ、採算の取れる業務を行うことができるうえ、これに伴って投資家に課す手数料を安価にすることもできる。
また、資産運用管理システム10は、モデルリバランス処理手段71を備えているので、運用マネージャは、モデルポートフォリオのリバランス作業を容易に行うことができ、運用マネージャの作業効率を向上させることができる。
さらに、資産運用管理システム10は、モデル売買案作成処理手段71Cを備えているので、運用マネージャにより作成されたスタイル案に基づき、モデル売買案を自動的に作成することができる。このため、運用マネージャは、自分で手計算をしてモデル売買案を作成する必要がなくなるので、運用マネージャによるモデルポートフォリオのリバランス作業の効率を向上させることができる。
そして、資産運用管理システム10は、モデル売買シミュレーション処理手段71Dを備えているので、運用マネージャは、表示手段52の画面上でモデル売買案を確認することができるうえ、このモデル売買案を参照、勘案しつつ、スタイル案に修正を加えて最終的なモデルターゲット(モデルポートフォリオのリバランス後の状態)を容易に作成することができる。このため、運用マネージャによるモデルポートフォリオのリバランス作業の効率を、より一層向上させることができる。
また、資産運用管理システム10は、個別売買案作成処理手段20Cを備えているので、運用マネージャにより作成された指図ターゲットとしてのモデルポートフォリオに基づき、個別売買案を自動的に作成することができる。このため、運用マネージャまたは運用サブマネージャは、自分で手計算をして個別売買案を作成する必要がなくなるので、運用マネージャまたは運用サブマネージャによる各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランス作業の効率を向上させることができる。
さらに、資産運用管理システム10は、個別売買シミュレーション処理手段72Bを備えているので、運用サブマネージャは、表示手段52の画面上で個別売買案を確認することができるうえ、この個別売買案を参照、勘案しつつ、指図ターゲットを拡大または縮小して算出されるズームポートフォリオに対して修正を加え、最終的な個別ターゲット(各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランス後の状態)となる修正ズームポートフォリオを容易に作成することができる。このため、運用サブマネージャによる各顧客毎の個別ポートフォリオのリバランス作業の効率を、より一層向上させることができる。
そして、モデル売買案作成処理手段71Cは、時価構成比の差分が閾値の範囲内の銘柄についてはモデル売買案を作成しない構成とされているので、リバランスの前後で各銘柄の時価構成比に僅かな差分が生じたときにもモデル売買案が作成され、その銘柄が売買対象となってしまうという不都合を未然に防止することができる。
また、個別売買案作成処理手段20Cは、時価構成比の差分が閾値の範囲内の銘柄については個別売買案を作成しない構成とされているので、リバランスの前後で各銘柄の時価構成比に僅かな差分が生じたときにも個別売買案が作成され、その銘柄が売買対象となってしまうという不都合を未然に防止することができる。
特に、本実施形態の場合には、モデルポートフォリオを時価変動に応じて変動させるのではなく、新規参入顧客の最低投資金額(例えば3,000万円)で固定するので、運用マネージャが意図的な売買指示を出さなくても、売買指示が出てしまう状況となるため、これを上記の閾値の設定により解消することができる。
また、資産運用管理システム10は、汎用ガイドラインチェック処理手段71Eを備えているので、共通の売買禁止銘柄をリバランスの際に組入対象から容易かつ確実に外すことができる。
さらに、資産運用管理システム10は、個別ガイドラインチェック処理手段20D,72Cを備えているので、各顧客毎の売買禁止銘柄をリバランスの際に組入対象から容易かつ確実に外すことができる。
そして、資産運用管理システム10では、運用マネージャにより毎回作成されるモデルポートフォリオの時価総額は、新規参入顧客の最低投資金額(例えば、3,000万円)で固定されているので、最低投資金額で新規参入(途中参加)してくる顧客に対応することができる。
また、個別売買案作成処理手段20Cは、売り数量を算出した後、買い数量を仮算出し、さらに時価構成比の高い上位の組入銘柄から順に1単元株ずつ各銘柄の買い数量を増加させていくことにより買い数量を決定する処理を行う構成とされているので(表8〜表14参照)、キャッシュ残高を一定比率以上に保ちつつ、運用マネージャが作成したモデルポートフォリオと類似する、つまり略相似関係にある各顧客毎の個別ポートフォリオを容易に構築し、リバランスを行うことができる。従って、運用マネージャの意図に沿った運用を実現することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記実施形態の資産運用管理システム10は、モデルポートフォリオの時価総額を、新規参入顧客の最低投資金額として定められている金額(例えば、3,000万円)で固定することにより、最低投資金額で新規参入(途中参加)してくる顧客に対応するシステムとなっていたが、モデルポートフォリオの時価総額を時価変動に伴って変動させる構成とし、顧客が新規参入する際には、モデルポートフォリオの時価総額以上の金額を投資しないと参加することができないシステムとしてもよい。但し、顧客の都合に合わせる業務を行うという観点等からは、最低投資金額を固定額で定め、モデルポートフォリオの時価総額をその最低投資金額で固定することが好ましい。
また、前記実施形態では、モデルターゲットの作成と指図ターゲットの作成とは同じ日に行われていたが、これらの作成日は、異なっていてもよい。但し、運用マネージャの運用意図をなるべく忠実に個別ポートフォリオに反映させるという観点等から、これらの作成日は、同じ日であることが好ましい。また、モデルターゲットの作成と指図ターゲットの作成とを異なる日に行う場合には、指図ターゲットを構成する各銘柄の時価構成比と、モデルターゲットを構成する各銘柄の時価構成比とを一致させてもよく、あるいはモデルターゲットを構成する各銘柄の数量(株式の場合には、株数)を維持しつつモデルターゲットを指図ターゲット作成日の時価単価で評価し直して時価総額および時価構成比を変化させ、これを指図ターゲットとすることにより、モデルターゲットの時価構成比と指図ターゲットの時価構成比とを異ならせてもよい。但し、後者のように各銘柄の数量を維持して時価構成比の変化を許容する場合には、なるべくモデルターゲットの作成日と指図ターゲットの作成日とを近くして時価構成比の変化を小さく抑えることが好ましい。
さらに、前記実施形態では、図8に示すように、個別ポートフォリオシミュレーション画面300には、「指図ターゲットポジション」表示欄320が設けられていたが、指図ターゲットとともに、あるいは指図ターゲットに代えてズームポートフォリオのポジションデータを画面表示する構成としてもよい。
そして、前記実施形態では、運用対象となるポートフォリオは株式で構成されていたが、例えば公社債等の他の金融資産で構成してもよい。
また、前記実施形態では、本発明における個別リバランス処理手段の一部の機能が運用管理サーバ20により実現されていたが、これらの機能は端末装置50,80により実現してもよい。そして、前記実施形態で端末装置50,80により実現されていたモデルポートフォリオ作成処理手段60および運用管理処理手段70の少なくとも一部の機能は、運用管理サーバ20により実現してもよい。
さらに、前記実施形態では、個別売買案作成処理手段20Cは、売り数量を算出した後、買い数量を仮算出し、さらに時価構成比の高い上位の組入銘柄から順に1単元株ずつ各銘柄の買い数量を増加させていくことにより買い数量を決定する処理を行う構成とされていたが(表8〜表14参照)、本発明における個別売買案作成処理手段は、これに限定されるものではなく、次のような構成としてもよい。
例えば、先ず、全ての銘柄を全株売ったと仮定してキャッシュとした後、そのキャッシュの全額(時価総額に相当)のうち、一定比率(例えば5%等)の金額を残し、その他の金額(例えば95%等)を指図ターゲットの時価構成比で各銘柄に割り振る。そして、各銘柄について、割り振りで定まった株数に対し、単元株に満たない端数株を切り捨てて単元株単位で保有株数を仮決定して購入し、端数株の分の金額を一旦キャッシュとして保持した後、時価構成比の高い上位の組入銘柄から順に1単元株ずつ各銘柄の保有株数を増加させていき、キャッシュの最低保持比率(例えば5%等)を下回らない範囲でリバランス後の各銘柄の最終的な保有株数を決定し、この保有株数に基づき売買数量を算出して売買案とする処理を行う構成としてもよい。なお、売買禁止銘柄について売買案を作成しない場合には、一旦、その分をキャッシュとして保持した後、時価構成比の高い上位の組入銘柄から順に1単元株ずつ配分していく。また、時価構成比の差分が閾値の範囲内にある銘柄について売買案を作成しない場合には、買いを行わないことになる銘柄が生じるときは、一旦、その分をキャッシュとして保持して再配分し、売りを行わないことになる銘柄が生じるときは、その分を見越して予めキャッシュを多めに確保しておいてもよい。
また、先ず、全ての銘柄を全株売ったと仮定してキャッシュとした後、そのキャッシュの全額(時価総額に相当)のうち、一定比率(例えば5%等)の金額を残し、その他の金額(例えば95%等)を指図ターゲットの時価構成比で各銘柄に割り振る。そして、各銘柄について、割り振りで定まった株数に対し、単元株に満たない端数株を切り上げて単元株単位で保有株数を仮決定して購入し、この端数株の分の金額を一旦キャッシュから減じた後、時価構成比の低い下位の組入銘柄から順に1単元株ずつ各銘柄の保有株数を減少させていき、キャッシュの最低保持比率(例えば5%等)を上回る範囲でリバランス後の各銘柄の最終的な保有株数を決定し、この保有株数に基づき売買数量を算出して売買案とする処理を行う構成としてもよい。
以上のように単元株に満たない端数株を切り捨ててその分をキャッシュに回した後、時価構成比の高い上位の組入銘柄から順に1単元株ずつ再配分したり、あるいは単元株に満たない端数株を切り上げてその分をキャッシュから充当した後に、時価構成比の低い下位の組入銘柄から順に1単元株ずつ配分を減らしていく構成とした場合には、単純な四捨五入を行う場合に比べ、より運用マネージャの意図に沿った運用を実現することができる。つまり、単純な四捨五入の処理を行うと、運用マネージャが意図しない銘柄の数量が多くなってしまう可能性があるが、それを解消することができる。