JP2005282862A - 電食防止転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気的ブラシの設置や特殊なグリース封入等の手段に代えて外輪の外径面と内輪の内径面のいずれか一方あるいは双方及び少なくとも該軌道輪の一方の側面を被うように絶縁層を形成することで、軸受内に流れる電流値を最小限に抑えた電食防止転がり軸受を提供することである。
【解決手段】外輪と内輪と、その外輪と内輪の間に配される転動体と、その外輪の外側に片側から嵌め合わされる絶縁層とで構成され、該絶縁層は、外径側の円周方向に溝を備えて軸受の外輪外径面を収容する部分と、軸受の側面においてシールをなす部分が一体に形成されたリング状に構成されており、前記絶縁層の材質は、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコンゴム、フッ素ゴムのいずれかが選択され、前記絶縁層の誘電率は、1kHz時に2〜6.2である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インバータによって速度制御されるファンモータに使用され、電食防止が図り得る転がり軸受の改良に関する。
従来、ファンモータ(以下、単にモータともいう)に組み込まれる転がり軸受(以下、単に軸受ともいう)は、外輪がハウジングに内輪がモータのロータ軸にそれぞれすきま嵌め又は締まり嵌めされて取り付けられる。締まり嵌めされるものはいうまでもないが、すきま嵌めされる場合も、軸受の剛性を高めて振動を防止するなどの目的で内輪または外輪の側面を間座等を介して押圧することにより軸受に予圧がかけられるために、外輪とブラケット、及び内輪とロータ軸とはそれぞれ電気的に導通状態になる。
一方、ファンモータは、風量を制御するために回転数を可変できるインバータを介して速度制御される場合が増えてきている。その場合、インバータのキャリア周波数を高く設定することによってスイッチングによるモータ騒音を低減することができ、また半導体素子の性能向上、回路技術の向上によりキャリア周波数を高く設定することが可能となってきたこともあって、インバータのキャリア周波数は高く設定されるようになってきている。
それに伴って、インバータ駆動されるモータに発生する軸電圧が増加し、ロータ軸とハウジング間ひいては軸受の内外輪間に電位差が生じることにより軸受内に転動体を経て電流が流れ、その結果、内外輪の軌道面もしくは転動体の転動面に電食を生じる可能性が増加してきている。
従来、インバータで駆動されるファンモータに電食のおそれがあるときには、次のような対策がとられている。
(1)電気的ブラシを設置することが可能な場合は、ロータ軸に電気的ブラシを接触させてロータ軸とハウジングとを等電位に保ち、軸受の内外輪に電流が流れることを防止する。
(2)または、軸受に電気的導通性を付与したグリースを封入することにより、軸受の内外輪間を等電位に保ち電流が流れることを防止する。
(3)または、軸受に基油粘度の高いグリースを封入して、軸受外輪と転動体、及び軸受内輪と転動体との間に形成される油膜厚さを厚くすることにより、内外輪を電気的に絶縁させる。
特開平8−106870 特開平7−12129
しかしながら、これら従来の電食防止対策には、それぞれに以下のような問題点があった。
電気的ブラシの設置については、モータのロータ軸の一端はハウジング内に収納されて電気的ブラシ設置のスペースが無く、またロータ軸の他端には合成樹脂などの絶縁物で形成されたファンが取り付けられるので、ロータ軸に電気的ブラシを接触させることが困難な場合が多く、実際問題としてファンモータに電気的ブラシを設置することは不可能なことが多い。
また、たとえ電気的ブラシの設置が可能であったとしても、当該ブラシの摩耗粉がファンモータから排出されて空気中に塵埃として放出されるという不具合がある。このことは、例えば電気的ブラシを設置したファンモータをクリーンルームに使用した場合には致命的な欠陥となってしまうため、実用に供することはできない
電気的導通性を付与したグリースの封入については、当該グリースはカーボン粒子のような電気良導体を含有させてあるために、軸受の回転騒音が通常のグリースに比べて大きくならざるを得ない。また、こうした高価な特殊グリースを使用すると軸受のコストアップになるという弊害もある。
基油粘度の高いグリースの封入については、当該グリースの粘度に起因する軸受トルクの増大により温度上昇が引き起こされる不具合、及び軸受の内外輪間を通過する電流が周波数の高い交流であるとすると、油膜厚さ程度の間隙では電流が導通してしまうおそれがあるという不具合がある。また、封入したグリースの経時劣化もしくは異物のグリース内侵入により油膜形成状態が変動し、そのため電気的に導通状態と絶縁状態とが交互に起きて電食が発生する可能性もあり、完全な対策とはなり得ない。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電気的ブラシの設置や特殊なグリース封入等の手段に代えて外輪の外径面と内輪の内径面のいずれか一方あるいは双方及び少なくとも該軌道輪の一方の側面を被うように絶縁層を形成することで、軸受内に流れる電流値を最小限に抑えた電食防止転がり軸受を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために第1の発明がなした技術的手段は、外輪と内輪と、その外輪と内輪の間に配される転動体と、その外輪の外側に片側から嵌め合わされる絶縁層とで構成され、該絶縁層は、外径側の円周方向に溝を備えて軸受の外輪外径面を収容する部分と、軸受の側面においてシールをなす部分が一体に形成されたリング状に構成されており、前記絶縁層の材質は、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコンゴム、フッ素ゴムのいずれかが選択され、誘電率は、1kHz時に2〜6.2であることを特徴とする電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第2の発明がなした技術的手段は、前記第1の発明において、絶縁層の材質として、ポリアミド系エラストマー、シリコンゴムのいずれかが選択され、前記絶縁層の誘電率は、1kHz時に3〜5であることを特徴とする請求項1に記載の電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第3の発明がなした技術的手段は、前記第1の発明において、絶縁層は、軸受の外輪外径面を収容する部分のハウジング挿入側の厚みを薄肉に形成するか、緩やかな上り傾斜状のテーパ面を設けるか、円周に面取りを施すかのいずれかの構成を採用することによりハウジングへの挿入性を向上させることを特徴とする電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第4の発明がなした技術的手段は、前記第2の発明において、絶縁層は、軸受の外輪外径面を収容する部分のハウジング挿入側の厚みを薄肉に形成するか、緩やかな上り傾斜状のテーパ面を設けるか、円周に面取りを施すかのいずれかの構成を採用することによりハウジングへの挿入性を向上させることを特徴とする電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第5の発明がなした技術的手段は、前記第1の発明において、少なくともシールをなす部分には芯材を有することを特徴とする電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第6の発明がなした技術的手段は、前記第2の発明において、少なくともシールをなす部分には芯材を有することを特徴とする電食防止転がり軸受としたことである。
さらに第7の発明がなした技術的手段は、前記第5の発明において、絶縁層の芯材は、金属であることを特徴とする転がり軸受としたことである。
さらに第8の発明がなした技術的手段は、前記第6の発明において、絶縁層の芯材は、金属であることを特徴とする転がり軸受としたことである。
さらに第9の発明がなした技術的手段は、前記第1の発明において、転がり軸受は、インバータによって速度制御されるファンモータ用転がり軸受であることを特徴とする転がり軸受としたことである。
さらに第10の発明がなした技術的手段は、前記第2の発明において、転がり軸受は、インバータによって速度制御されるファンモータ用転がり軸受であることを特徴とする転がり軸受としたことである。
そのため、インバータ駆動されるモータに軸電圧が生じても、軸受の内外輪間には電位差はほとんど生じることがない。したがって、軸受の内外輪間に流れる電流値を最低限に抑えることになり、内外輪の軌道面あるいは転動体の転動面の電食を防止することができる。
また、絶縁層のゴムあるいは熱可塑性エラストマーの弾性を利用して運転時に生じる軸方向伸縮の吸収も可能となると共に、線膨張の大きいゴムあるいは熱可塑性エラストマーを用いることでクリープ発生も防止可能である。
絶縁層の材料は、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、あるいは合成ゴムで、例えば耐油性や耐熱性を考慮して選定し、ゴムとしてはアクリルゴム、アクリロニトリルブタジェンゴム(NBR)、フッ素ゴム、水素添加アクリロニトリルブタジェンゴム(H−NBR)、熱可塑性エラストマーとしてはポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、合成樹脂としてはポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等からから適宜選択する。
さらに、誘電率の他、軸受の使用環境を考慮すると、一定レベル以上の耐熱性と耐油性を有し、また低コストである必要があり、絶縁層として用いることのできる材料(合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム)の誘電率は、周波数1kHzで7以下、より好ましくは5以下である。
誘電率が7を超えると、軸受の内外輪間に流れる電流値が高くなり、電食が発生する。また、軸受の内外輪間を通過する電流が周波数の高い交流であるとすると、流れる電流値は小さくなるものの、電流が流れて結果的には電食が発生して、軸受の回転による騒音レベルが大きくなるものも材質によってある。
具体的には以下の表1記載の材料が好適である。特に誘電率が低いものが絶縁効果においては最適で、低ければ低い程よいが実用的には1以上と考えられる。
Figure 2005282862
なお、絶縁層材料は上記例に何等限定されるものでなく、本発明の範囲内において他の材料を選択するも可能である。また、絶縁層の材料には、ガラス繊維やチタン酸カリウムウィスカなどの強化材など各種充填材や酸化防止剤などの各種添加剤を配合してもよい。その際、充填材や添加剤を加えることによって、誘電率は多少変化することが考えられるので、誘電率が7を超えない範囲内で添加する必要がある。
また絶縁層を、軸受のシールと一体的に形成することも本発明の範囲内である。絶縁層をシールと一体で形成することによって、低コスト化を図ることができる。絶縁層をシールと一体に形成する場合、軸受に内蔵されるグリースの漏れなど、シールとしての機能を有効に発揮する為には、柔軟性を有する熱可塑性エラストマーと合成ゴムがよく、特に表1中の熱可塑性エラストマー、あるいは合成ゴムがよい。また、シールとして安定した形状を維持する為に、金属・合成樹脂の芯材と一体化されていてもよい。さらに、絶縁層は次の(1)〜(3)のいずれかの構成を採用することにより、ハウジングへの挿入性を向上させることも可能である。
(1)外輪外径面上に設けられる絶縁層部分のハウジング挿入側の厚みを薄肉に形成する。(2)緩やかな上り傾斜状のテーパ面を設ける。(3)円周に面取りを施す。また、絶縁層は、次の(1)又は(2)のいずれかの構成を採用することにより、熱膨張による軸方向変化を吸収するものとすることも可能である。
(1)絶縁層上に凸部を設ける。(2)絶縁層上の円周方向に溝を設ける。
本発明の電食防止転がり軸受によれば、外輪の外径面と内輪の内径面のいずれか一方又は双方及びこれら外輪、内輪の少なくとも一方の側面に合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴムの何れかからなる絶縁層を形成したことから、この軸受をインバータ駆動されるファンモータに用いると、従来のように電気的導通性を有する特殊なグリースを使用したり塵埃が発生し易い電気的ブラシを設置することなく、軸受内外輪間を流れる電流を最低限に抑えることができ、その結果、内外輪軌道面あるいは転動体転動面の電食を防止できるという効果を奏する。
また、外径面に備えられる絶縁層の材質を柔軟性を有する合成樹脂、熱可塑性エラストマーあるいは合成ゴムを用いると、上記効果に加えて、更に軸受のハウジングへの挿入が容易で且つハウジング内で突っ張ってクリープ防止機能を発揮するという効果を得られる。
以下、本発明に係る電食防止転がり軸受の実施形態を図面を参照して説明する。尚、図面は玉軸受とした場合の一実施形態を示すが、ころ軸受も本発明の範囲内である。
図1で、Aは本実施形態の電食防止転がり軸受で、1は内輪、2は外輪、3は転動体、4は保持器、そして5は絶縁層を示す。
絶縁層5は、本実施形態においてはシールを一体的に形成してなるタイプを示す。すなわち絶縁層5は、外輪外径面2a上の円周方向全域および側面2bの円周方向全域に形成されると共に、該側面2b側に位置する絶縁層部分5bからさらに延設されてシール6が一体的に形成されたリング状とされている。
絶縁層5は、合成樹脂、熱可塑性エラストマーあるいは合成ゴムからなり、具体的にはたとえば上記表1に記載したものがあげられ、誘電率が7(1kHz)以下のものが好ましい。また、表1記載の材料は一例にすぎず特に限定はされず任意である。
シール6は、絶縁層5と同じ材質である合成樹脂、熱可塑性エラストマーあるいは合成ゴムにて一体的に形成される柔軟部6aと、金属あるいは合成樹脂からなる芯材6bとで構成されている。本実施形態におけるシール6の構造も一実施形態にすぎず、これに何等限定されるものではなく、他の形状あるいは芯材を備えない構造など本発明の範囲内において変更可能なものである。例えば、図1に示すシール6は非接触タイプとしたが、接触タイプであってもよい。また本実施形態では、絶縁層5と一体的なシール6が装着されているのと反対側には、シールド板7が装着されている。
本実施形態では、外輪外径面2a上に設けられる絶縁層部分5aのハウジング挿入側5cの厚みを薄肉状に形成しているため、ハウジングへの挿入性が向上されている。そして、本実施形態では、緩やかな上り傾斜状のテーパ面5dを設けているため上記挿入性をさらに向上せしめている。
また、本実施形態では外輪2側にのみ絶縁層5を備えたもので説明したが、内輪1側に備えるものとしてもよく、また外輪2と内輪1の双方に備えるものとしてもよく任意である。
本実施形態のように、絶縁層5をシール6と一体とした構造とすると、別体としたものに比べて、シール+α程度の低コストとすることができるという効果を奏する。
シール6を一体的に形成する絶縁層5の他の実施形態として、図2乃至図6に示す形態があげられる。
図2は、シール6に芯材を備えることなく絶縁層5と同一材料をもって一体的に形成した実施の一形態である。図3は、外輪外径面2aの全域と両側面2b,2bの双方に絶縁層5a,5b,5bが連続形成されると共に、夫々の側面2b,2bに設けられた絶縁層部分5b,5bからシール6,6が夫々一体的に延設されている。この構成とすることで、別途シールを設けなくとも両側のシール6,6が同時に備えられることとなる。
図4は、外輪外径面2aに備えられる絶縁層5上に凸部8…を設けることで、絶縁層5上面を凹凸状に形成するものとした構造で、図5は外輪外径面2aに備えられる絶縁層5の円周方向に溝9…を、そして図6は外輪外径面2aに備えられる絶縁層5の軸方向に溝10…を設けるものとした。このように外径面に凸部8…あるいは溝9…,10…を設けることにより、ハウジングとの接触面積が小さくなるため、より変形がし易くなり、熱膨張による軸方向変化(収縮)を吸収できる。
図7は、本発明の他の実施形態で、絶縁層がシールと別体に形成されている実施の一形態を示す。図中7は、シール(シールド板)を示す。
本実施形態の電食防止転がり軸受Bは、外輪外径面2a上の円周方向全域および側面2bの円周方向全域にわたって覆うようにリング状に絶縁層11が形成され、外輪2の外周に圧入されている。
また、本実施形態においては、内輪1側に絶縁層が備えられるものとはしていないが、内輪1の内径面1a上の円周方向全域と片方の側面1bの円周方向全域を覆うようにリング状の絶縁層11が圧入されるものとしてもよく、また図示形態とは逆に内輪1側にのみ設けるものとするも本発明の範囲内である。
上記絶縁層11の角部には、ハウジングへの当該電食防止転がり軸受Bの挿入性が良くなるように、円周に面取り11aが施されている。
絶縁層11は、合成樹脂、熱可塑性エラストマーあるいは合成ゴムからなるもので、特に誘電率が7以下(1kHz)のものがよく、例えば上記表1に記載する材料で形成され、コスト的には、合成樹脂や熱可塑性エラストマーが射出成形で製造でき好適である。
また、絶縁層11は薄肉のため、充填材を混入しないと破損等を起しやすいことから、通常はガラス繊維などを含有するものを使用してもよい。
尚、本実施形態の電食防止転がり軸受Bには、特にシールを一体的に形成してはいないが、図1に示したようにシールを一体的に形成するものとしてもよく、これに何等限定されず本発明の範囲内において他の形状を選択可能である。また、絶縁層11が、外輪2の外径面2aと、一方の側面2bにのみ位置するものをもって説明したが、両方の側面2b,2bに位置するものとしてもよく、さらに図4乃至図6に示すような凸部8…、溝9,10…を設けた凹凸状に絶縁層上面を形成することも本実施形態の一形態である。
図8は、上記図7に示した本発明の電食防止転がり軸受Bを、2個一対でファン駆動用電動モータ12内に取り付けた状態を示す断面図である。両電食防止転がり軸受Bの外輪2は、それぞれモータハウジング13の両端部に形成した保持段部14或いは保持凹部15の内側に、絶縁層(リング状絶縁部材)11を介して嵌め込まれている。尚、13aはハウジング本体、13bはハウジング前蓋、13cはハウジング後蓋である。また、16はモータ回転軸、17はロータ、18はステータである。
そして、絶縁層11の大鰐部11bを、上記保持段部14或いは保持凹部15の奥面に対向させた状態で固定されている。前記大鰐部11bは、軸受外輪2の一側面(端面)2bと保持段部14或いは保持凹部15の奥面とに挟持されて、これら両面が当接するのを阻止する。
また、各絶縁層(リング状絶縁部材)11の円筒部11cは、外輪2の外径面(外周面)2aと、保持段部14或いは保持凹部15の内周面との間に挟持されて、これら両周面同士が当接するのを阻止する。なお、外輪2の他方の側面(端面)2bは空気中にさらされた状態になっており、特に絶縁層11で被う必要がない。
このように、本発明の電食防止転がり軸受をモータ中に組み込むことによって、インバータからステータ18に印可される高周波電流に基づいてモータ回転軸16に軸電圧が惹起されても、この回転軸16とモータハウジング13との間に電流が流れることを最低限に抑えることができる。
すなわち、上記回転軸16を支持する電食防止転がり軸受Bの外輪2と、これらの外輪2を保持している部材であるモータハウジング13との取付け個所が絶縁されているので、上記回転軸16の電位がモータハウジング13の電位より高くなっても、これら外輪2を組み込んでなる各電食防止転がり軸Bに流れる電流は最低限に抑えられる。従って、これら各電食防止転がり軸受Bに電食が発生する事がない。
次に、本実施形態の軸受における電食試験を所定条件の下に行い、その試験結果を表2に示す。
電食試験
試験軸受:6202(NS7グリース封入)
アキシャル荷重:3kgf
印加電流:12mA/2個
回転時間:500hr,1000hr,1500hr(各1)
供試体:(1)実施例1:図1記載の転がり玉軸
受絶縁層厚さ:0.5mm
材質:シリコンゴム SNNS(東洋シール(株)製)
誘電率:3.7(1kHz)
(2)実施例2:図7記載の転がり玉軸受
絶縁層厚さ:0.5mm
材質:40wt%GF入りPPS樹脂
フォートロン(商標)1140A4(ポリプラスチックス(株)製)
誘電率:4.6(1kHz)
(3)実施例3:図7記載の転がり玉軸受
絶縁層厚さ:0.5mm
材質:ポリエステルエラストマハイトレル(商標)3548W(東レ・デュポン(株)製)
誘電率:6.2(1kHz)
(4)比較例1:図1記載の転がり玉軸受
絶縁層厚さ:0.5mm
材質:ニトリルゴム TNN(東洋シール(株)製)
誘電率:11.5(1kHz)
(5)比較例2:図7記載の転がり玉軸受
絶縁層厚さ:0.5mm
材質:フッ化ビニリデン樹脂ネオフロン(商標)VDFVP−800(ダイキン工業(株)製)
誘電率:7.7(1kHz)
(6)比較例3:両側Zシールド板,絶縁層なし
試験装置:図9,図10(概念図)
Figure 2005282862
表2に示すように、図7に示す絶縁被膜(絶縁層11)を有する転がり軸受を図8に示すファン駆動用電動モータ12に組込み、電食防止効果を確認した結果、絶縁被膜誘電率が7以下とすることで軸受に流れる電流値を4.0mmA以下と出来、1500hr回転後においても電食を防止することができる。尚、内輪1の内径面1a上の円周方向全域と片方の側面1bの円周方向全域を覆うようリング状の絶縁層11を設けても(外輪外径面2a上の円周方向全域および側面2bの円周方向全域に覆うようにリング状に絶縁層11が形成されたものと組合せるのも、又単独に用いることも)同様の効果がある。
本発明転がり軸受の一実施形態を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 他の実施形態の一例を示す縦断側面図。 本発明の電食防止転がり軸受を組込んだ状態のモータの実施形態を示す断面図。 試験装置の概略図。 試験装置の概略図。
符号の説明
1:内輪
2:外輪
2a:外径面
2b:側面
3:転動体
4:保持器
5,11:絶縁層
6:シール

Claims (10)

  1. 外輪と内輪と、
    その外輪と内輪の間に配される転動体と、
    その外輪の外側に片側から嵌め合わされる絶縁層と
    で構成され、
    該絶縁層は、外径側の円周方向に溝を備えて軸受の外輪外径面を収容する部分と、軸受の側面においてシールをなす部分が一体に形成されたリング状に構成されており、
    前記絶縁層の材質は、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコンゴム、フッ素ゴムのいずれかが選択され、
    前記絶縁層の誘電率は、1kHz時に2〜6.2である
    ことを特徴とする電食防止転がり軸受。
  2. 絶縁層の材質として、ポリアミド系エラストマー、シリコンゴムのいずれかが選択され、
    前記絶縁層の誘電率は、1kHz時に3〜5である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電食防止転がり軸受。
  3. 絶縁層は、軸受の外輪外径面を収容する部分のハウジング挿入側の厚みを薄肉に形成するか、緩やかな上り傾斜状のテーパ面を設けるか、円周に面取りを施すかのいずれかの構成を採用することによりハウジングへの挿入性を向上させることを特徴とする請求項1に記載の電食防止転がり軸受。
  4. 絶縁層は、軸受の外輪外径面を収容する部分のハウジング挿入側の厚みを薄肉に形成するか、緩やかな上り傾斜状のテーパ面を設けるか、円周に面取りを施すかのいずれかの構成を採用することによりハウジングへの挿入性を向上させることを特徴とする請求項2に記載の電食防止転がり軸受。
  5. 絶縁層の少なくともシールをなす部分には芯材を有することを特徴とする請求項1に記載の電食防止転がり軸受。
  6. 絶縁層の少なくともシールをなす部分には芯材を有することを特徴とする請求項2に記載の電食防止転がり軸受。
  7. 絶縁層の芯材は、金属であることを特徴とする請求項5に記載の電食防止転がり軸受。
  8. 絶縁層の芯材は、金属であることを特徴とする請求項6に記載の電食防止転がり軸受。
  9. 転がり軸受は、インバータによって速度制御されるファンモータ用転がり軸受であることを特徴とする請求項1に記載の電食防止転がり軸受。
  10. 転がり軸受は、インバータによって速度制御されるファンモータ用転がり軸受であることを特徴とする請求項2に記載の電食防止転がり軸受。
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