JP2005282472A - ヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外気温度センサ1と、冷却水温度センサ2と、エンジン13が停止してからの時間を測定する経過時間タイマ3と、ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段4と、外気温度センサ1が測定した外気温度と、冷却水温度センサ2が測定したエンジン冷却水温度と、経過時間タイマ3が測定した時間と、標高記憶手段4が記憶する標高とをパラメータとして、エンジン13を始動するときに、スロットル弁131の開度を決定して、スロットル弁131を制御するスロットル弁開度初期値決定プログラム100と制御パラメータ最適値テーブル500とを有する。
【選択図】図1
Description
このGHPのガスエンジンは、低温時の始動性が悪いという特性を持っており、従来、ガスエンジンの始動性を確保するために、最悪条件での始動を考慮した制御仕様になっていた。一方で最悪条件のみを最適化してチューニングを行った場合、対極的な条件である高温状態での再始動など、極めて始動性の良い場面では、始動直後の回転の吹き上がり現象などの問題を引き起こす可能性がある。このため両者のトレードオフにより、始動条件を決定しているが、これは対極にある条件については、どちらも最適なものにはなりえないという問題があった。
特許文献1では、この点に鑑み、図8及び図9に示すように、始動性の制御パラメータは変更せず、スタータ26への供給電圧のみを変えることにより、スタータ26の回転トルク不足を解消する方法が提案されている。即ち、外気温度が所定値以下に低下した時、又はオイル交換からのガスエンジン13の運転時間が所定値以上になった時、エンジンオイルの粘度が所定以上になったと判定し、スタータ26への供給電圧を通常モードより高めて、始動性向上モードでエンジン始動を行うようにしている。
(1)始動性に関する条件として、エンジンオイルの粘度に関係する条件しか考慮されておらず、広い使用環境条件に適応させようとする場合に不十分である。
(2)始動性の制御パラメータの最適制御とコストとのトレードオフにより、安定した始動性を確保するという観点からも不十分である。
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、始動性に関する条件を幅広く考慮して、それぞれの条件を良い水準から悪い水準までを含め、始動制御に関わるパラメータ全体を各条件に合わせてチューニングを段階的に変更するヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置を提供することを目的とする。
(1)エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、外気温度センサと、冷却水温度センサと、エンジンが停止してからの時間を測定する経過時間タイマと、前記ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段と、前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記冷却水温度センサが測定したエンジン冷却水温度と、前記経過時間タイマが測定した時間と、前記標高記憶手段が記憶する標高とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、スロットル弁の開度を決定して、前記スロットル弁を制御するスロットル弁開度初期値決定プログラムと制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とする。
(2)エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、外気温度センサと、冷却水温度センサと、前記ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段と、前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記冷却水温度センサが測定したエンジン冷却水温度と、前記標高記憶手段が記憶する標高とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、燃料弁の開度を決定して、前記燃料弁を制御する燃料弁開度初期値決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とする。
(3)エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、外気温度センサと、エンジンが停止してからの時間を測定する経過時間タイマと、前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記経過時間タイマが測定した時間とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、スタータをオン状態とする時間を決定して、前記スタータを制御する最大スタータオン時間決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とする。
なお、本発明のエンジン始動制御装置を適用する場合、3つの請求項すべてを含めるか、2つの請求項を組み合わせるか、又は単独の請求項のみとするかいずれでも可能である。どのような組み合わせにするかは、設計仕様の検討段階において、市場及び顧客ニーズの検討及び性能とコストとのトレードオフ検討等により決定される。
・エンジン冷却水温度
・エンジン停止からの経過時間
・標高区分
本発明はこの始動性を推定するパラメータに対して、次に示す始動制御に関わるパラメータ全体を最適値に設定するようにしたものである。
・エンジン始動時のスロットル弁開度初期値
・エンジン始動時の燃料弁開度初期値
・最大スタータON時間
次に、エンジン始動時の燃料弁開度は、スロットル弁の4つの始動条件に対して、停止からの経過時間の寄与度がほとんどなく、外気温度及びエンジン冷却水温度が低いほど、エンジンの始動性が悪いので、それぞれ温度が低い場合に大きく設定される。標高区分は標高が高いほど空気が希薄になり、エンジンの始動性が悪くなるので、標高が高い場合に燃料弁開度が大きくなるように補正される。このように燃料弁の始動条件は、外気温度、エンジン冷却水温度及び標高区分の3つをパラメータとして、燃料弁開度が最適な値に決定される。
次に、最大スタータON時間は、スロットル弁の4つの始動条件に対して、エンジン冷却水温度及び標高区分の寄与度がほとんどなく、外気温度が低いほど、エンジンの始動性が悪いので、温度が低い場合に長く設定される。エンジン停止からの経過時間は、経過時間が短いほど始動性が良いので、逆に経過時間が長い場合に、最大スタータON時間が長くなるように補正される。このように外気温度及びエンジン停止からの経過時間の2つをパラメータとして、最大スタータON時間が最適な値に決定される。
また、本発明のエンジン始動制御装置は、外気温度センサと、冷却水温度センサと、前記ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段と、前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記冷却水温度センサが測定したエンジン冷却水温度と、前記標高記憶手段が記憶する標高とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、燃料弁の開度を決定して、前記燃料弁を制御する燃料弁開度初期値決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有するので、エンジン始動時の燃料弁開度を最適な値に決定することができる。従って、不利な条件下でも良好な始動性を発揮することができ、また逆に始動性の良い条件下では、起動直後の回転の吹き上がり現象などの問題を防ぐことができ、かつエンジンのコストダウンも図ることが出来る。
また、本発明のエンジン始動制御装置は、外気温度センサと、エンジンが停止してからの時間を測定する経過時間タイマと、前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記経過時間タイマが測定した時間とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、スタータをON状態とする時間を決定して、前記スタータを制御する最大スタータオン時間決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有するので、エンジン始動時の最大スタータON時間を最適な値に決定することができる。従って、不利な条件下でも良好な始動性を発揮することができ、かつエンジンのコストダウンも図ることが出来る。
図1に示すように、圧縮機14に連結されたガスエンジン13には、起動力を与えるためのスタータ26が付設されている。ガスエンジン13はマイクロコンピュータ(マイコン)30により、エンジン始動の制御パラメータを最適にするように制御される。スタータ26は、商用電源をトランス27で変換した電圧により駆動され、トランス27で生成する複数の電圧をスタータ26に切り替えて印加できるように、トランス27とスタータ26との間には電圧切替手段28が設けられている。
マイコン30のROMには、ガスエンジン13の始動性を推定するパラメータの水準に応じて、エンジン始動の制御パラメータを最適にするように制御するため、スロットル開度初期値決定プログラム100、燃料弁開度初期値決定プログラム200及び最大スタータON時間決定プログラム300と、制御パラメータ最適値テーブル500とを備える。制御パラメータ最適値テーブル500は、図3のスロットル弁開度初期値の決定のための3つのテーブル(b)、(c)、(d)、図4の燃料弁開度初期値の決定のための2つのテーブル(b)、(c)、及び図5の最大スタータON時間の決定のための2つのテーブル(b)、(c)を含んだものである。
始動性を推定するパラメータの組み合わせに対して、エンジンの始動性の制御パラメータ最適値テーブル500がマイコン30のROMに記憶されている。最適値テーブル500には、予め実験から求めた各制御パラメータの最適値をインプットしている。始動制御に入るとマイコン30は、スロットル弁開度、燃料弁開度初期値及び最大スタータON時間の各テーブルを参照して、制御パラメータを読み、その値で始動制御をスタートする。以下、制御パラメータ毎に詳細に説明する。
次のステップA103で図3(d) のテーブルから、標高区分による補正値を読み、スロットル弁開度初期値に補正値を加算する。図3(d)のテーブルは、標高区分を、低地から高地に3水準でレベル3から1に区分し、各レベルに対して、ステップA102のスロットル弁開度に対して加算する補正値を示す。例えば、標高区分がレベル3(標高が最も低いレベル)の場合は、スロットル弁開度に加算する補正値+0%を示し、レベル1(標高が最も高いレベル)の場合は、スロットル弁開度に加算する補正値+6%を示す。このように、スロットル弁開度に対して、標高区分の寄与度はあまり大きくない。
最後のステップA104で、エンジン始動時のスロットル弁の規定開度にステップA103までの計算値(%)を乗算し、スロットル弁開度初期値を決定する。
次のステップB102で図4(c) のテーブルから、標高区分よる補正値を読み、燃料弁開度初期値に補正値を加算する。図4(c)のテーブルは、図3(d)と同様のテーブルであり、標高区分に対して、ステップB101の燃料弁開度に対して加算する補正値を示す。例えば、標高区分がレベル3(標高が最も低いレベル)の場合は、燃料弁開度に加算する補正値+0%を示し、レベル1(標高が最も高いレベル)の場合は、燃料弁開度に加算する補正値+20%を示す。このように、燃料弁開度に対して、標高区分の寄与度は大きい。
最後のステップB103で、燃料弁開度初期値の規定開度にステップB102までの計算値(%)を乗算し、燃料弁開度初期値を決定する。以上の燃料弁開度初期値の決定についての具体的な例は、スロットル弁開度の場合と同様であるので省略する。
次のステップC102で図5(c) のテーブルから標高区分よる補正値を読み、最大スタータON時間に補正値を加算する。図5(c)のテーブルは、図3(c)と同様のテーブルであり、標高区分に対して、ステップC101の最大スタータON時間に対して加算する補正値を示す。例えば、標高区分がレベル3(標高が最も低いレベル)の場合は、最大スタータON時間に加算する補正値+0%を示し、レベル1(標高が最も高いレベル)の場合は、最大スタータON時間に加算する補正値+20%を示す。このように、最大スタータON時間に対して、標高区分の寄与度は大きい。
最後のステップC103で、最大スタータON時間の規定ON時間にステップC102までの計算値(%)を乗算し、最大スタータON時間を決定する。以上の最大スタータON時間の決定についての具体的な例は、スロットル弁開度の場合と同様であるので省略する。
以上、説明したヒートポンプシステムのエンジン13の始動制御は、図6に示すように以下のシーケンスで行われる。
1) スロットル弁及び燃料弁を決定された初期開度になるように駆動する。
2) スロットル弁及び燃料弁以外の設定を起動状態にセットする。
3) スタータを起動し、エンジンを始動する。
4) ・エンジンが始動した場合は、そのまま通常運転制御に移行する。
・エンジンが始動しない場合は、最大スタータON時間までリトライを行う。設定された最大スタータON時間を経過してもエンジンが始動しない場合は、始動制御プロセスを中断する。
マイコン30のROMには、予め実験から求めた制御パラメータ最適値テーブル500を備え、始動性を推定するパラメータの組み合わせに対して、始動性を制御するパラメータの最適値が記憶される。始動制御に入ると最適な制御パラメータがマイコン30から読み出され設定される。
エンジン始動時の燃料弁開度初期値は、外気温度及びエンジン冷却水温度は、それぞれの温度が低いほど、スロットル弁開度は大きく設定される。また、エンジン停止からの経過時間は寄与せず、標高区分は標高が高いほど空気が希薄になるので、燃料弁開度が大きくなるように補正値が加算される。このように燃料弁の始動条件は、外気温度、エンジン冷却水温度及び標高区分の3つをパラメータとして、燃料弁開度が最適な値に決定される。
最大スタータON時間は、スロットル弁の4つの始動条件に対して、エンジン冷却水温度及び標高区分の寄与度がほとんどなく、外気温度が低いほど、エンジンの始動性が悪いので、温度が低い場合に長くなるように設定される。エンジン停止からの経過時間は、経過時間が短いほど始動性が良いので、逆に経過時間が長い場合に、最大スタータON時間が長くなるように補正される。このように外気温度及びエンジン停止からの経過時間の2つをパラメータとして、最大スタータON時間が最適な値に決定される。
また、請求項2の発明によれば、外気温度センサ1と、冷却水温度センサ2と、ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段4と、外気温度センサ1が測定した外気温度と、冷却水温度センサ2が測定したエンジン冷却水温度と、標高記憶手段4が記憶する標高とをパラメータとして、エンジン13を始動するときに、燃料弁132の開度を決定して、燃料弁132を制御する燃料弁開度初期値決定プログラム200と制御パラメータ最適値テーブル500とを有するので、エンジン始動時の燃料弁開度を最適な値に決定することができる。従って、不利な条件下でも良好な始動性を発揮することができ、また逆に始動性の良い条件下では、起動直後の回転の吹き上がり現象などの問題を防ぐことができ、かつエンジン13のコストダウンも図ることが出来る。
また、請求項3の発明によれば、外気温度センサ1と、エンジン13が停止してからの時間を測定する経過時間タイマ3と、外気温度センサ1が測定した外気温度と、経過時間タイマ3が測定した時間とをパラメータとして、エンジン13を始動するときに、スタータ26をON状態とする時間を決定して、スタータ26を制御する最大スタータオン時間決定プログラム300と制御パラメータ最適値テーブル500とを有するので、エンジン始動時の最大スタータON時間を最適な値に決定することができる。従って、不利な条件下でも良好な始動性を発揮することができ、かつエンジン13のコストダウンも図ることが出来る。
2 冷却水温度センサ
3 経過時間タイマ
4 標高記憶手段
13 ガスエンジン
26 スタータ
30 マイクロコンピュータ
100 スロットル弁開度初期値決定プログラム
131 スロットル弁
132 燃料弁
200 燃料弁開度初期値決定プログラム
300 最大スタータON時間決定プログラム
400 エンジン始動性パラメータデータ
500 制御パラメータ最適値テーブル
Claims (3)
- エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、
外気温度センサと、
冷却水温度センサと、
エンジンが停止してからの時間を測定する経過時間タイマと、
前記ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段と、
前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記冷却水温度センサが測定したエンジン冷却水温度と、前記経過時間タイマが測定した時間と、前記標高記憶手段が記憶する標高とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、スロットル弁の開度を決定して、前記スロットル弁を制御するスロットル弁開度初期値決定プログラムと制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置。 - エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、
外気温度センサと、
冷却水温度センサと、
前記ヒートポンプシステムが設置された場所の標高を記憶する標高記憶手段と、
前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記冷却水温度センサが測定したエンジン冷却水温度と、前記標高記憶手段が記憶する標高とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、燃料弁の開度を決定して、前記燃料弁を制御する燃料弁開度初期値決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置。 - エンジンを圧縮機の駆動源とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置において、
外気温度センサと、
エンジンが停止してからの時間を測定する経過時間タイマと、
前記外気温度センサが測定した外気温度と、前記経過時間タイマが測定した時間とをパラメータとして、前記エンジンを始動するときに、スタータをオン状態とする時間を決定して、前記スタータを制御する最大スタータオン時間決定プログラムと前記制御パラメータ最適値テーブルとを有することを特徴とするヒートポンプシステムのエンジン始動制御装置。
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