JP2005281541A - ポリオレフィン系樹脂フィルムおよび袋 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂フィルムおよび袋 Download PDF

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Abstract

【課題】 滑り性および透明性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムおよび該フィルムを用いてなる袋を提供すること。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂を含有する層からなる表面層(S)を少なくとも片面に有するポリオレフィン系樹脂フィルムであって、該表面層(S)が下記要件(R1)および(R2)を充足する表面粗さを有するポリオレフィン系樹脂フィルム。
(R1):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)が2000nm2以上であること。
(R2):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)中での、波長が0.4〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−2)の割合が15%以上であること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルムおよび該フィルムを用いてなる袋に関するものである。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂フィルムは、各種包装用フィルムとして使用されている。被包装体を確認できる用途に用いるフィルムには透明性が要求さており、例えば、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを配合したポリエチレン樹脂からなるフィルム(例えば、特許文献1参照。)や、直鎖状低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを配合したポリエチレン樹脂からなるフィルム(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
特公平7−61683号公報 特開平10−237187号公報
しかしながら、従来のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、被包装物を梱包するときに、フィルムが滑りにくい為、作業性が低下することや、フィルムを袋にして用いた場合に袋の口開きが悪いことがあり、滑り性において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、滑り性および透明性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムおよび該フィルムを用いてなる袋を提供することにある。
本発明により、滑り性および透明性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムおよび該フィルムを用いてなる袋を提供することができる。
本発明の第一は、ポリオレフィン系樹脂を含有する層からなる表面層(S)を少なくとも片面に有するポリオレフィン系樹脂フィルムであって、該表面層(S)が下記要件(R1)および(R2)を充足する表面粗さを有するポリオレフィン系樹脂フィルムにかかるものである。
(R1):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)が2000nm2以上であること。
(R2):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)中での、波長が0.4〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−2)の割合が15%以上であること。
本発明の第二は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であり、メルトフローレートレイシオ(MFRR)が30以上であり、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mz/Mw)が3.4以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する層を少なくとも一方の表面に有するポリオレフィン系樹脂フィルムにかかるものである。
本発明の第三は、上記フィルムを用いてなる袋にかかるものである。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を含有する層からなる表面層(S)を少なくとも片面に有するフィルムであって、該表面層(S)が下記要件(R1)および(R2)を充足する表面粗さを有するフィルムである。
(R1):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)が2000nm2以上であること。
(R2):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)中での、波長が0.4〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−2)の割合が15%以上であること。
表面層(S)のポリオレフィン系樹脂は、オレフィンに基づく単量体単位を50重量%以上有する樹脂であり、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂などがあげられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂が好適に用いられ、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体などをあげることができる。これらの中では、後述するエチレン−α−オレフィン共重合体が好適に用いられる。
表面層(S)は、波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)が2000nm2以上である表面粗さを有する(要件(R1))。該I0.4−20が小さすぎると、滑り性に劣ることがあり、好ましくは2200nm2以上であり、より好ましくは2300nm2以上である。該I0.4−20は、通常10000nm2以下であり、透明性を高める観点から、好ましくは7000nm2以下であり、より好ましくは5000nm2以下である。
表面層(S)は、波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)中での、波長が0.4〜2.0μmである表面粗さの表面粗さ強度(I0.4−2)の割合が15%以上である表面粗さを有する(要件(R2))。ただし、I0.4−20を100%とする。該割合が小さすぎると透明性に劣ることがあり、好ましくは18%以上であり、より好ましくは20%以上である。
フィルムの表面粗さは、走査型プローブ顕微鏡(例えば、Digital Instruments社製D−3000型など。)を用いて測定され、具体的には、下記条件で測定される。
走査モード:断続接触モード(タッピングモード、ダイナミックモード、サイクリックコンタクトモードなど。)
プローブの振動数:共振周波数300kHz前後
走査速度:0.5Hz(走査範囲100μm×100μmのとき)
1Hz(走査範囲10μm×10μmのとき)
セットポイント比:通常0.6前後
(ここでセットポイント比とは、振動したプローブが試料表面と接触しないように、試料表面から十分遠ざけたときのプローブの振動振幅をAo(V)とし、該プローブを試料表面に近づけて、チップの先端を断続的に試料表面と接触させながら表面粗さを測定している時のプローブの振動振幅をAsp(V)として、Asp/Aoで求められる値である。なお、チップとはプローブの先端に取り付けられている鋭い先端を持った部分のことで、走査型プローブ顕微鏡ではここが試料表面と相互作用することにより測定が行われる。)
測定環境:室温、大気中
観察像:高さ像
画素数:512×512画素
なお、表面粗さの測定では、通常、試料を侵さない溶媒であらかじめ表面を洗浄することによって試料表面の汚れを除去し、静電気除去ブロアー等で試料の帯電を除去する。また、床からの振動の影響と騒音の影響を排除するため、密閉できる防音カバーを備えた防振台上内に装置を設置し、測定時は防音カバーを密閉することが好ましい。
得られた表面粗さ曲線には、試料の傾きを補正するため、表面粗さ曲線の中心線の傾きが水平となる補正を行う。該補正は、市販のプログラムを用いて行ってもよく、該プログラムとしては、例えば、Digital Instruments社製 走査型プローブ顕微鏡用コントローラーNanoScope IIIaのOff line解析機能の中のFlatten機能(Flatten Order 1)を用いることができる。
フィルムの表面粗さ強度I0.4−20は、上記の走査範囲100μm×100μmの測定結果から得られた表面粗さ曲線を、L/nの波長を有する256本の正弦曲線(以下、基本曲線と称する。)の合成曲線として、該基本曲線の夫々の振幅(単位:nm)を求め、波長が0.4〜20μmである基本曲線の振幅の自乗値を総和した値である。ここで、L:走査範囲の1辺の長さ(100μm)、n:1からN/2までの整数(Nは走査範囲の一辺の画素数(512画素))である。フィルムの表面粗さ強度I0.4−2は、上記の波長が0.4〜20μmである基本曲線の中で、波長が0.4〜2.0μmである基本曲線について、その振幅の自乗値を総和した値である。基本曲線の振幅の算出には、市販のプログラムを用いて行ってもよく、該プログラムとしては、例えば、Digital Instruments社製 走査型プローブ顕微鏡用コントローラーNanoScope IIIaのOff line解析機能の中のPower Spectral Density解析機能を用いることができる。
表面層(S)は、フィルムの良好な透明性を維持しつつ、滑り性を高める観点から、波長が0.1〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−2)が470nm2以上である表面粗さを有することが好ましく、I0.1−2が500nm2以上である表面粗さを有することがより好ましい(要件(R3))。該I0.1−2は、通常1000nm2以下である。
表面層(S)は、フィルムの良好な透明性を維持しつつ、滑り性を高める観点から、波長が0.1〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−2)中での、波長が0.1〜1.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−1)の割合が40%以上である表面粗さを有することが好ましく、0.1〜2.0μmである凹凸波長の表面粗さ強度(I0.1−2)中の0.1〜1.0μmである凹凸波長の表面粗さ強度(I0.1−1)の割合が50%以上である表面粗さを有することがより好ましい(要件(R4))。
フィルムの表面粗さ強度I0.1−2は、上記の走査範囲10μm×10μmの測定結果から得られた表面粗さ曲線を、L/nの波長を有する256本の正弦曲線(以下、基本曲線と称する。)の合成曲線として、該基本曲線の夫々の振幅(単位:nm)を求め、波長が0.1〜2.0μmである基本曲線の振幅の自乗値を総和した値である。ここで、L:走査範囲の1辺の長さ(10μm)、n:1からN/2までの整数(Nは走査範囲の一辺の画素数(512画素))である。フィルムの表面粗さ強度I0.1−1は、上記の波長が0.1〜2.0μmである基本曲線の中で、波長が0.1〜1.0μmである基本曲線について、その振幅の自乗値を総和した値である。基本曲線の振幅の算出には、市販のプログラムを用いて行ってもよく、該プログラムとしては、例えば、Digital Instruments社製 走査型プローブ顕微鏡用コントローラーNanoScope IIIaのOff line解析機能の中のPower Spectral Density解析機能を用いることができる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であり、メルトフローレートレイシオ(MFRR)が30以上であり、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mz/Mw)が3.4以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する層を少なくとも一方の表面に有するフィルムである。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体の炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンであり、より好ましくは1−ブテンである。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、好ましくは、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体であり、最も好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定される成分上記のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常0.01〜100g/10分である。押出成形性を高める観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、より好ましくは0.07g/10分以上である。また、フィルムおよび袋の強度を高める観点から、好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは7.0g/10分以下であり、さらに好ましくは5.0g/10分以下である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、890〜970kg/m3である。フィルムおよび袋の強度を高める観点から、好ましくは945kg/m3以下であり、より好ましくは935kg/m3以下である。また、フィルムおよび袋の剛性を高める観点から、好ましくは910kg/m3以上であり、より好ましくは915kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K6760に記載のアニーリングを行った試料を用いて、JIS K7112に規定された方法に従って測定される。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であり、メルトフローレートレイシオ(MFRR)が30以上であることが好ましい。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力に優れたエチレン−α−オレフィン共重合体であり、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は従来知られた通常のエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea)が高く、メルトフローレートレイシオ(MFRR)が高い。従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、通常35kJ/molよりも低く、MFRRは通常30より小さい値であり、押出成形性およびインフレーション成形性に劣ることや、該共重合体を用いた袋は強度に劣ることがある。なお、メルトフローレートレイシオ(MFRR)は、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重211.8Nの条件で測定されるメルトフローレートを、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートで除した値である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、フィルムの良好な透明性を維持しつつ、滑り性を高める観点から、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mz/Mw)が3.4以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。なお、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー法により測定されたポリスチレン換算の値である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、押出成形性およびインフレーション成形性をより高める観点から、より好ましくは40kJ/mol以上であり、さらに好ましくは50kJ/mol以上であり、特に好ましくは60kJ/mol以上である。また、インフレーション成形性をより高める観点や、フィルムおよび袋の透明性をより高める観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)を配合することが好ましい。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRRは、押出成形性およびインフレーション成形性をより高める観点から、さらに好ましくは35以上である。また、フィルムおよび袋の強度をより高める観点から、MFRRは、好ましくは500以下であり、より好ましくは400以下である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形性をより高める観点から、温度190℃、角周波数100rad/secでの溶融複素粘度をη*(単位:Pa・sec)とし、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)として、下記式(1)を充足することが好ましく、
η* < 1550×MFR-0.25−420 式(1)
下記式(1−2)を充足することがより好ましく、
η* < 1500×MFR-0.25−420 式(1−2)
下記式(1−3)を充足することが更に好ましく、
η* < 1450×MFR-0.25−420 式(1−3)
下記式(1−4)を充足することが特に好ましい。
η* < 1350×MFR-0.25−420 式(1−4)
なお、η*は、Eaを求める粘弾性測定での条件と同条件で測定されるものである。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、押出成形性を高める観点、フィルムおよび袋の透明性を高める観点から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が5〜30であるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。該分子量分布(Mw/Mn)は、より好ましくは7〜20であり、さらに好ましくは8〜20である。なお、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー法により測定されたポリスチレン換算の値である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形性およびインフレーション成形性を高める観点から、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、190℃における溶融張力をMT(単位:cN)として、下記式(2)を充足することが好ましい。
2×MFR-0.59 < MT < 40×MFR-0.59 式(2)
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形性をより高める観点から、下記式(2−2)を充足することがより好ましく、
2.2×MFR-0.59 < MT 式(2−2)
下記式(2−3)を充足することが更に好ましい。
2.5×MFR-0.59 < MT 式(2−3)
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、インフレーション成形性をより高める観点から、下記式(2−4)を充足することがより好ましく、
MT < 25×MFR-0.59 式(2−4)
下記式(2−5)を充足することが更に好ましい。
MT < 15×MFR-0.59 式(2−5)
なお、従来の通常のエチレン−α−オレフィン共重合体は、式(2)の左辺を通常満たさない。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形、インフレーション成形性を高める観点、フィルムおよび袋の強度、透明性を高める観点から、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、極限粘度を[η](単位:dl/g)として、下記式(3)を充足することが好ましい。
1.02×MFR-0.094 < [η] < 1.50×MFR-0.156 式(3)
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、フィルムおよび袋の強度、透明性をより高める観点から、下記式(3−2)を充足することがより好ましく、
1.05×MFR-0.094 < [η] 式(3−2)
下記式(3−3)を充足することが更に好ましい。
1.08×MFR-0.094 < [η] 式(3−3)
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形性、インフレーション成形性をより高める観点から、下記式(3−4)を充足することがより好ましく、
[η] < 1.47×MFR-0.156 式(3−4)
下記式(3−5)を充足することが更に好ましい。
[η] < 1.42×MFR-0.156 式(3−5)
なお、JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートが同じである従来のエチレン−α−オレフィン共重合体と上記のエチレン−α−オレフィン共重合体とを比較した場合、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度は、上記のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも、通常高い値である。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、下記助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる触媒の存在下、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
助触媒担体(A)は、(a)ジエチル亜鉛、(b)フッ素化フェノール、(c)水、(d)シリカおよび(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
上記(a)、(b)、(c)各成分の使用量は特に制限はないが、各成分の使用量のモル比率を成分(a):成分(b):成分(c)=1:y:zとすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、成分(a)に対して使用する成分(d)の量としては、成分(a)と成分(d)との接触により得られる粒子に含まれる亜鉛原子のモル数が、該粒子1gあたり0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)に対して使用する成分(e)の量としては、成分(d)1gあたり成分(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)として、好ましくはラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gあたり、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)のジルコニウム原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子が1〜2000モルとなる量である。
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。また、フィルムの滑り性を高める観点から、さらに好ましい反応温度は80〜95℃であり、もっとも好ましくは83〜90℃である。また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、酸化防止剤、抗ブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、加工性改良剤等の添加剤;他の樹脂などを含有していてもよく、該添加剤や他の樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等が挙げられる。それぞれ単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
該フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名Irganox1076、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名Irganox1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名Irganox3114、チバスペシャルティケミカルズ社製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン(商品名Sumilizer GA80、住友化学工業社製)等が挙げられる。
被包装物への酸化防止剤の移行や、酸化防止剤による被包装物の臭いや味覚の変化を少なくする観点から、フィルム全重量に対するフェノール系酸化防止剤の添加量は500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは200ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
該リン系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト(商品名アデカスタブPEP8)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名Irgafos168、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト(商品名Sandostab P−EPQ、クラリアントシャパン社製)、ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(商品名:スミライザーGP、住友化学工業社製)等が挙げられる。
被包装物への酸化防止剤の移行や、酸化防止剤による被包装物の臭いや味覚の変化を少なくする観点から、フィルム全重量に対するリン系酸化防止剤の添加量は500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは200ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
上記の抗ブロッキング剤としては、無機系抗ブロッキング剤、有機系抗ブロッキング剤が挙げられる。無機系抗ブロッキング剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、タルク、アルミノ珪酸塩、カオリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。有機系抗ブロッキング剤としては、例えば、エポスタ-MA(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
上記の滑剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル等が挙げられる。
被包装物への滑剤の移行や、滑剤による被包装物の臭いや味覚の変化を少なくする観点から、フィルム全重量に対する滑剤の添加量は1500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは750ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
上記の帯電防止剤としては、例えば、炭素原子数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、炭素原子数8〜22の脂肪酸のアルキルジアルカノールアミド、ポリエチレングリコールエステル、アルキルジエタノールアミン等が挙げられる。
上記の顔料としては、例えば、白色顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
上記の他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー等が挙げられる。
上記の添加剤や他の樹脂などと、ポリオレフィン系樹脂との配合物は、公知の方法で溶融混練することにより、例えばタンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどで混合した後、更に単軸押出機、多軸押出機で溶融混練造粒する、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練することにより製造される。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、公知の成形方法、例えば、インフレーションフィルム成形法、Tダイキャストフィルム成形法等により製造される。好ましくは、インフレーションフィルム成形法である。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、他の樹脂と共押出しすること、あるいは、他の樹脂からなるフィルムと貼合することなどにより、他の樹脂からなる層を設けてもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、通常5〜200μmであり、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
本発明の袋は、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを用いてなる袋である。該袋は、公知の成形方法、例えば、インフレーション成形法で成形されたチューブ状のフィルムを引取り方向(MD方向)に直交する方向(TD方向)にヒートシールする方法、Tダイキャストフィルム成形法で成形されたフィルムを二枚重ね、四方をシールする方法などにより製造される。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムおよび袋は、滑り性および透明性に優れるため、内容物の視認性が必要な製品の包装や、自動包装機を使用するような高滑り性を要求される包装に、好適に用いられる。また、滑剤の配合量を、従来よりも減量あるいは無添加にできるため、内容物への添加剤の移行に対しての要求レベルが高い用途、例えば、電子部品包装、医療器具包装やマスキングフィルムに好適に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
I.重合体の物性
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定した。
(2)メルトフローレートレイシオ(MFRR)
JIS K7210に規定された方法に従い、荷重211.8N、温度190℃の条件で測定したメルトフローレートを、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定したメルトフローレートで除した値をMFRRとした。
(3)密度(単位:Kg/m3
JIS K7112のうち、A法に規定された方法に従って、測定した。なお、試料には、JIS K6760に記載のアニーリングを行った。
(4)分子量分布(Mz/Mw、Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(7)により、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)を測定し、分子量分布として、Z平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)および重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(5)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
(6)溶融複素粘度(η*、単位:Pa・s)
上記の(5)で測定された190℃での溶融粘弾性から、角周波数が100rad/secにおける190℃の溶融粘度を求めた。
(7)溶融張力(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、温度が190℃の条件で、9.5mmφのバレルに充填した溶融樹脂を、ピストン降下速度5.5mm/分で、径が2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出し、該押し出された溶融樹脂を、径が150mmφの巻き取りロールを用い、40rpm/分の巻き取り上昇速度で巻き取り、溶融樹脂が破断する直前における張力値を測定した。この値が大きいほど溶融張力が大きいことを示す。
(8)極限粘度([η]、単位:dl/g)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を5重量%溶解したテトラリン溶液(以下、ブランク溶液と称する。)と、該ブランク溶液に対して、エチレン重合体樹脂の濃度が1mg/mlとなる135℃のテトラリン溶液(以下、サンプル溶液と称する。)とを調整し、ウベローデ型粘度計により、該ブランク溶液と該サンプル溶液の135℃での降下時間を測定し、該降下時間から135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下記式より算出した。
[η]=23.3×log(ηrel)
II.フィルムの物性
(9)HAZE(単位:%)
ASTM D1003に規定された方法に従った。この値が小さいほど透明性が優れることを示す。
(10)Gloss(単位:%)
JIS Z 8741に規定された45°鏡面光沢測定方法に従った。この値が大きいほど光沢が良好であることを示す。
(11)滑り性(静摩擦係数μs、動摩擦係数μk)
テスター産業社製、AB−401型摩擦係数測定器を使用し、重さ500gのスレッド、滑り速度700mm/分の条件で70mm滑り板を移動させる以外は、JIS K7125−1987に従って測定した。この値が小さいほど滑り性が優れる。
III.フィルムの表面粗さ測定
(1)表面粗さ曲線の測定
下記条件により、表面粗さ曲線を測定した。
装置:走査型プローブ顕微鏡
(Digital Instruments社製大型試料観測装置D−3000型)
走査モード:タッピングモード
プローブ:シリコン単結晶製(NanoWorld社製NCHR−W)
プローブの振動数:表2に記載の値を用いた。
走査範囲:100μm×100μm、10μm×10μm
走査速度:0.5Hz(走査範囲100μm×100μmのとき)
1Hz(走査範囲10μm×10μmのとき)
セットポイント比:表2に記載の値を用いた。
測定環境:室温、大気中、
観察像:高さ像
画素数:512×512画素
試料はあらかじめアセトンで洗浄することによって表面の汚れを除去し、約1cm×1cmに切り出した後、金属製の試料台上に粘着剤で固定した。また試料を固定した試料台は金属製のチャックに磁石で固定し、チャックは測定部の花崗岩製の基盤に真空ポンプで吸引して固定し測定を実施した。また、試料の帯電は測定前に静電気除去ブロワ−(フィーサ製静電気ワイパーダイナックPB160M)で除去した。
なお、測定部は床からの振動と騒音の影響を排除するため密閉可能な防音カバーを備えた防振台(Digital Instruments社製VT−103−3K)上に設置し、測定時は防音カバーを密閉した。ノイズフロアー測定用標準試料(日本ビーコ社製シリコンウェハー)を用いて、下記の条件で高さ像を測定し、走査型プローブ顕微鏡用コントローラー(Digital Instruments社製NanoScope IIIa)のOff line解析機能中のRoughness解析機能によりノイズ高さの標準偏差値(RMS値)を求めたところ0.055nm以下であった。
走査モード:タッピングモード
プローブ:シリコン単結晶製(NanoWorld社製NCHR−W)
プローブの振動数:256.7kHz
走査範囲:1nm×1nm
走査速度:10Hzおよび2.44Hz
セットポイント比:0.87(走査速度10Hzのとき)
0.85(走査速度2.44Hzのとき)
測定環境:室温、大気中
観察像:高さ像
画素数:512×512画素
(2)表面粗さ強度(0.4〜20μm)の算出
走査範囲100μm×100μmの測定で得られた表面粗さ曲線を、走査型プローブ顕微鏡用コントローラー(Digital Instruments社製NanoScope IIIa)の「Flatten」機能を用いて、走査型プローブ顕微鏡により得られた高さ像の傾きをFlatten Order 1で補正した。次に「Power Spectral Density」機能を用いて、波長100μmから0.391μmの基本曲線について、夫々の基本曲線の振幅の自乗値を求めた。該自乗値から、表面粗さ強度I0.4−20、表面粗さ強度I0.4−2、表面粗さ強度I0.4−20中の表面粗さ強度I0.4−2の割合を算出した。
(3)表面粗さ強度(0.1〜2.0μm)の算出
走査範囲10μm×10μmの測定で得られた表面粗さ曲線を、走査型プローブ顕微鏡用コントローラー(Digital Instruments社製NanoScope IIIa)の「Flatten」機能を用いて、走査型プローブ顕微鏡により得られた高さ像の傾きをFlatten Order 1で補正した。次に「Power Spectral Density」機能を用いて、波長10μmから0.0391μmの基本曲線について、夫々の基本曲線の振幅の自乗値を求めた。該自乗値から、表面粗さ強度I0.1−2、表面粗さ強度I0.1−1、表面粗さ強度I0.1−2中の表面粗さ強度I0.1−1の割合を算出した。
実施例1
(1)助触媒担体の調製
特開2003−171415号公報の実施例10(1)および(2)に記載の成分(A)の合成と同様の方法で、固体生成物(以下、固体生成物(a)と称する。)を得た。
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記固体生成物(a)0.7kgと、ブタン100リットル、1−ブテン0.02kg、常温常圧の水素として12リットルを仕込んだ後、オートクレーブを42℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.1MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム225mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド75mmolを投入して重合を開始した。50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記固体生成物(a)1g当り13gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
(3)連続気相重合
連続式流動床気相重合装置を用いて、重合温度は85℃、重合圧力は2MPaとし、上記予備重合触媒成分、トリイソブチルアルミニウム、エチレン、1−ブテンおよび水素を反応器内に連続的に供給して、反応ガス中のエチレンに対する水素のモル比を1.8%、エチレンに対する1−ブテンのモル比を3%、平均重合時間5hrの条件として、エチレンと1−ブテンの共重合を実施した。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、PE−1と称する。)のパウダーを得た。
(4)エチレン−1−ブテン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−1のパウダーを、神戸製鋼所社製LCM50押出機を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜215℃の条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。得られたPE−1のペレットの物性を表1に示した。
(5)フィルム加工
前述の造粒ペレットを試料とし、プラコー社製、30mmφ、L/D=28、フルフライトタイプスクリューの単軸押出し機、50mmφ、リップギャップ0.8mmのダイス、二重スリットエアリングを用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み50μのフィルムを得た。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
比較例1
反応器内に更に1−ヘキセンを連続的に供給して、反応ガス中のエチレンに対する水素のモル比を1.4%、エチレンに対する1−ブテンと1−ヘキセンとの合計のモル比を2.7%、1−ブテンと1−ヘキセンのモル比を8:1とし、重合温度は75℃とする以外は、実施例1の(3)に従い重合を行いエチレン−1−ヘキセン−1−ブテン共重合体(以下、PE−2と称する。)のパウダーを得た。
PE−2のパウダーに対して酸化防止剤(住友化学工業(株)製スミライザーGP)を750ppm添加し、実施例1の(4)に従い造粒を行い、PE−2のペレットを得た。得られたPE−2のペレットの物性を表1に示した。
次に、得られたPE−2のペレットを用いたフィルム加工を実施例1の(5)に従い実施した。得られたPE−2のフィルムの物性評価結果を表2に示した。
比較例2
市販のポリエチレン系樹脂(住友化学工業(株)製、高圧法低密度ポリエチレンF238−1;以下、PE−3と称する。)100重量部を用い、実施例1の(5)に従いインフレーションフィルム加工を行い、PE−3のフィルムを得た。PE−3の物性を表1に、得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
比較例3
市販のポリエチレン系樹脂(住友化学工業(株)製、高圧法低密度ポリエチレンF101−1;以下、PE−4と称する。)100重量部を用い、実施例1の(5)に従いインフレーションフィルム加工を行い、PE−4のフィルムを得た。PE−4の物性を表1に、得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
Figure 2005281541









Figure 2005281541

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂を含有する層からなる表面層(S)を少なくとも片面に有するポリオレフィン系樹脂フィルムであって、該表面層(S)が下記要件(R1)および(R2)を充足する表面粗さを有するポリオレフィン系樹脂フィルム。
    (R1):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)が2000nm2以上であること。
    (R2):波長が0.4〜20μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−20)中での、波長が0.4〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.4−2)の割合が15%以上であること。
  2. 表面層(S)が下記要件(R3)および(R4)を充足する表面粗さを有する請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
    (R3):波長が0.1〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−2)が470nm2以上であること。
    (R4):波長が0.1〜2.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−2)中での、波長が0.1〜1.0μmである表面粗さ成分の表面粗さ強度(I0.1−1)の割合が40%以上であること。
  3. エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有するエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であり、メルトフローレートレイシオ(MFRR)が30以上であり、Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mz/Mw)が3.4以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する層を少なくとも一方の表面に有するポリオレフィン系樹脂フィルム。
  4. エチレン−α−オレフィン共重合体が下記式(1)を充足する共重合体である請求項3に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
    η* < 1550×MFR-0.25−420 式(1)
    η* :温度190℃、角周波数100rad/secでの溶融複素粘度
    (単位:Pa・sec)
    MFR:JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18N
    の条件で測定されるメルトフローレート(単位:g/10分)
  5. 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表されるエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が5〜30である請求項3または4に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
  6. エチレン−α−オレフィン共重合体が下記式(2)および(3)を充足する共重合体である請求項3〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
    2×MFR-0.59 < MT < 40×MFR-0.59 式(2)
    1.02×MFR-0.094 < [η] < 1.50×MFR-0.156 式(3)
    MFR:JIS K7210に規定された、温度190℃、荷重21.18N
    の条件で測定されるメルトフローレート(単位:g/10分)
    MT :190℃における溶融張力(単位:cN)
    [η]:極限粘度(単位:dl/g)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルムを用いてなる袋。
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