JP2005281144A - 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法 - Google Patents

光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005281144A
JP2005281144A JP2004093453A JP2004093453A JP2005281144A JP 2005281144 A JP2005281144 A JP 2005281144A JP 2004093453 A JP2004093453 A JP 2004093453A JP 2004093453 A JP2004093453 A JP 2004093453A JP 2005281144 A JP2005281144 A JP 2005281144A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optically active
phenyl
group
represented
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004093453A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4751579B2 (ja
Inventor
Wataru Kuriyama
亙 栗山
Shiyouyuu Chiyou
小勇 張
Motonobu Takenaka
元伸 竹中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takasago International Corp, Takasago Perfumery Industry Co filed Critical Takasago International Corp
Priority to JP2004093453A priority Critical patent/JP4751579B2/ja
Publication of JP2005281144A publication Critical patent/JP2005281144A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4751579B2 publication Critical patent/JP4751579B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other In-Based Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課 題】 光学純度の高い光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を安価に、収率よく、かつ工業的有利に製造できる方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
Figure 2005281144

で表される1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を、触媒の存在下に水素ガスと反応させて一般式(2)
【化2】
Figure 2005281144

(式中、*は不斉炭素を意味する)
で表される光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を製造する方法において、触媒として、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いることを特徴とする光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法に関し、更に詳しくは、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンを触媒の存在下に不斉水素化させて光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを製造する方法に関する。
従来、光学活性な1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを合成する場合、ラセミ体の1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを合成し、光学活性なカルボン酸を用いて光学分割する方法などが常法であった。しかしながら、この方法ではせっかく光学分割しても希望する化合物は光学分割する前に存在している量を越えることが出来ないという不都合さが残っていた。それらの点を解決するために、イミン類の触媒的不斉水素化反応による合成法が盛んに研究されてきた。
その一例として、例えば特許文献1には、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンをイリジウム錯体と光学活性ホスフィン化合物の存在下に水素添加反応させて光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを製造する方法が具体的に実施例として記載されている。
しかしながら、この方法は、イリジウム錯体が高価であると共に、目的物の収率や光学学純度が低く、必ずしも満足できるものではなかった。
特開2001−26580号公報
本発明は、光学純度の高い光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を安価に、かつ収率よく製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、触媒としてルテニウム−光学活性ホスフィン錯体、とりわけ後記の一般式(5)で示されるルテニウム−ホスフィン錯体を用いることにより、光学純度の高い光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を安価に、かつ高収率で取得できることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の各発明[1]〜[3]を包含する。
[1] 下記一般式(1)
Figure 2005281144
で表される1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を、触媒の存在下に水素ガスと反応させて一般式(2)
Figure 2005281144
(式中、*は不斉炭素を意味する)
で表される光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を製造する方法において、触媒として、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いることを特徴とする光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩の製造方法。
[2] 光学活性ホスフィンが、一般式(3)
Figure 2005281144
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
または一般式(4)
Figure 2005281144
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
で表されるホスフィンの光学活性体である前記[1]記載の製造方法。
[3] ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体が、単離された下記一般式(5)
Figure 2005281144
(式中、Lは一般式(3)または(4)で表されるホスフィンの光学活性体を示し、XはCl、BrまたはIを示し、a、b、c、d、e、f、g、W、YおよびZは下記i)〜vi)の組み合わせのいずれかである。)
で表される錯体である前記[2]に記載の製造方法。
i)a=2、b=0、c=4、d=2、e=1、f=1、g=0およびY=N(CHCH
ii)a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1、g=0、W=ベンゼンまたはp−シメン、およびY=Cl、BrまたはI
iii)a=1、b=0、c=1、d=1、e=2、f=3、g=1、Y=(μ−Cl)、(μ−Br)または(μ−I)、およびZ=(CHNHまたは(CHCHNH
iv)a=1、b=2、c=0、d=1、e=1、f=0、g=0、およびW=CHCOまたはCFCO
v)a=1、b=1、c=1、d=2、e=1、f=0、g=0、およびW=H
vi)a=3、b=0、c=5、d=3、e=1、f=1、g=0、およびY=Cl、BrまたはI
本発明方法によれば、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩から光学純度の高い光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を安価に、収率よく、工業的有利に製造できる。
以下、本発明について説明する。
原料として用いられる一般式(1)
Figure 2005281144
で表される1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンは、公知の方法により製造することができ、例えば、ベンゾイルクロリドと2−フェニルエチルアミンとから得られるアミド化合物を五酸化リンを用いて環化させる方法(J.Med.Chem.,(1989)、32(6)、1242−1248)等により得ることができる。
また、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンの塩は、対になる酸性化合物と1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンを溶媒中で撹拌することにより容易に得られる。更に、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンと酸性化合物との混合溶液から、塩を取り出すことなく、酸性化合物存在下に不斉水素化反応を行うこともできる。対になる酸性化合物としては無機酸、有機酸またはルイス酸が挙げられ、具体的には塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ブロモ酢酸、トリフルオロ酢酸、ぎ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、サリチル酸、ピクリン酸、フマル酸等が挙げられる。
本発明に使用されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体は、ルテニウム化合物と光学活性ホスフィン化合物と所望により中性有機配位化合物、アミン化合物とからなる錯体が挙げられる。
上記ルテニウム化合物は、通常この分野で用いられるルテニウム化合物であればよく、例えばRuCl、RuBr及びRuIのようなハロゲン化ルテニウム及びその水和物、[RuCl(ベンゼン)]、[RuBr(ベンゼン)]、[RuI(ベンゼン)]、[RuCl(p−シメン)]、[RuBr(p−シメン)]、[RuI(p−シメン)]、[RuCl(cod)]、[RuBr(cod)]、RuI(cod)]等の錯体が挙げられる(上記「cod」は1,5−シクロオクタジエンを表す。以下同じ。)。
上記光学活性ホスフィン化合物は、通常この分野で用いられる光学活性ホスフィン化合物であればよく、例えば二座配位性のホスフィン化合物が挙げられ、さらに好ましくは、軸不斉を有する光学活性ホスフィン化合物である。
上記光学活性ホスフィン化合物の具体例としては、例えば一般式(3)
Figure 2005281144
(式中、記号は前記と同一意味を有する)
または一般式(4)
Figure 2005281144
(式中、記号は前記と同一意味を有する)
で表されるホスフィンの光学活性体などが挙げられる。
以下、一般式(3)および(4)中の各置換基について説明する。
一般式(3)および(4)において、R、R、R、R、R、R、RおよびRで表される「ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基」は、フェニル基、またはハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されたフェニル基である。
ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されたフェニル基は、フェニル基の1個または2個以上の水素原子がハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置き換えられたフェニル基が挙げられる。前記置換基は2個以上の場合、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、とりわけフッ素原子が好ましい。上記低級アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基が挙げられる。また、上記低級アルコキシ基は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状、分枝状または環状のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(3)で示される光学活性ホスフィン化合物の具体例としては、例えば2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(以下、BINAPという)、2,2’−ビス[ジ(p−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル(以下、T−BINAPという)、2,2’−ビス[ジ(m−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル(以下、DM−BINAPという)、2,2’−ビス[ジ(p−tert−ブチルフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(p−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(シクロペンチル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル(以下、Cp−BINAPという)、2,2’−ビス[ジ(シクロヘキシル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル(以下、Cy−BINAPという)等が挙げられる。これらのうち、BINAPまたはT−BINAPがより好ましい。
一般式(4)で表されるホスフィンの光学活性体の具体例としては、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス(ジフェニルホスフィン)(SEGPHOS)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス[ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン](DM−SEGPHOS)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス[ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン](DTBM−SEGPHOS)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス[ジ(4−メトキシフェニル)ホスフィン]、(4,4’−ジ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス(ジシクロヘキシルホスフィン)(Cy−SEGPHOS)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5,5’−ジイル−ビス[ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィン]などが挙げられる。
さらに、中性有機配位化合物としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられ、アミン化合物としては、例えばトリ低級アルキルアミン(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、ジ低級アルキルアミン(例、ジメチルアミン、ジエチルアミン等)、ピリジンなどが挙げられる。
ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の例として、以下のものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Ru(OAc)(L)、Ru(OCOCF)(L)、RuCl(L)NEt、[{RuCl(L)}(μ−Cl)][MeNH]、[{RuCl(L)}(μ−Cl)][EtNH]、RuCl(L)、RuBr(L)、RuI(L)、RuCl(L)(ピリジン)、RuBr(L)(ピリジン)、RuI(L)(ピリジン)、[RuCl(ベンゼン)(L)]Cl、[RuBr(ベンゼン)(L)]Br、[RuI(ベンゼン)(L)]I、[RuCl(p−シメン)(L)]Cl、RuBr(p−シメン)(L)]Br、[RuI(p−シメン)(L)]I、[Ru(L)](OTf)、[Ru(L)](BF、[Ru(L)](ClO、[Ru(L)](SbF、[Ru(L)](BF、RuCl(L)、RuHCl(L)
(上記において、Lは光学活性ホスフィン化合物を、Acはアセチル基を、Etはエチル基を、Meはメチル基を、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を示す。以下同じ。)
本発明で使用されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体は、単離された下記一般式(5)
Figure 2005281144
(式中、Lは一般式(3)または(4)で表されるホスフィンの光学活性体を示し、XはCl、BrまたはIを示し、a、b、c、d、e、f、g、W、YおよびZは下記i)〜vi)の組み合わせのいずれかである。)で表される錯体であるのが好ましい。
i)a=2、b=0、c=4、d=2、e=1、f=1、g=0およびY=N(CHCH
ii)a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1、g=0、W=ベンゼンまたはp−シメン、およびY=Cl、BrまたはI
iii)a=1、b=0、c=1、d=1、e=2、f=3、g=1、Y=(μ−Cl)、(μ−Br)または(μ−I)、およびZ=(CHNHまたは(CHCHNH
iv)a=1、b=2、c=0、d=1、e=1、f=0、g=0、およびW=CHCOまたはCFCO
v)a=1、b=1、c=1、d=2、e=1、f=0、g=0、およびW=H
vi)a=3、b=0、c=5、d=3、e=1、f=1、g=0、およびY=Cl、BrまたはI
一般式(5)で示されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体のうち、a=2、b=0、c=4、d=2、e=1、f=1、g=0およびY=N(CHCHであり、Lが一般式(3)で示される化合物の光学活性体である錯体が好ましく、a=2、b=0、c=4、d=2、e=1、f=1、g=0およびY=N(CHCHであり、Lが光学活性BINAPである錯体がより好ましい。
本発明にかかるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体は、公知の方法または自体公知の方法を用いて製造される。例えばJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,922(1985)に記載のように、[Ru(cod)Clと光学活性ホスフィン化合物をトリアルキルアミンの存在下、トルエン溶媒中で加熱還流することにより調製できる。また、特開平11−269185号公報記載の方法で、[Ru(ベンゼン)Clと光学活性ホスフィン化合物をジアルキルアミン存在下にテトラヒドロフラン中で加熱還流することにより調製できる。また、J.Chem.Soc.,Chem.commun.,1208(1989)に記載の方法で[Ru(p−シメン)Iと光学活性ホスフィン化合物とを塩化メチレンとエタノール中で加熱撹拌することにより調製することができる。
本発明の反応は水素付加反応であり、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩をルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の存在下に水素ガスを反応させることにより実施できる。ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の使用量は、反応条件やルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の種類等によって異なるが、通常、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩に対するモル比で1/50〜1/5000、好ましくは1/200〜1/2000程度の範囲である。
また、本発明の水素付加反応は溶媒中で好適に実施することができる。溶媒としては、基質および触媒を溶解できるものが好ましく、具体的にはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類等が挙げられる。溶媒の使用量は、反応条件等により適宜選択することができる。
本発明の水素付加反応の水素圧は、通常1〜10MPaであり、好ましくは3〜6MPaである。反応温度は、触媒の種類等によって自ずから異なるが、通常5〜150℃であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は、反応条件により自ずから異なるが、通常5〜30時間である。
上記のようにして、一般式(2)
Figure 2005281144
(式中、*は不斉炭素を意味する)
で表される光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩が得られるが、該化合物の立体配位は使用するルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の立体配位を適宜選択することにより、R体またはS体を製造することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例中、転化率はガスクロマトグラフ(NEUTRA BOND−1 30m×0.25mm I.D.0.4μm)により、また光学純度(%ee)は液体クロマトグラフ(Daicel CHIRALCEL OD−H)により求めた。
(実施例1)
攪拌子を入れた100mLオートクレーブに、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン(1g、4.82mmol)とRuCl{(R)−T−BINAP}・NEt(21.9mg、0.0121mmol)を仕込んだ。窒素置換した後、5mLのトルエンを加えた。続いて水素置換した後、水素圧6MPaにて90℃、15時間攪拌した。反応液を分析したところ、(R)−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが光学純度88.9%ee、転換率56.9%で生成していた。
(実施例2)
攪拌子を入れた100mLオートクレーブに、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩(1g、4.10mmol)とRuCl{(R)−T−BINAP}・NEt(18.7mg、0.0103mmol)を仕込んだ。窒素置換した後、5mLのメタノールを加えた。水素置換した後、水素圧3MPaにて90℃、19時間攪拌した。反応混合物にトルエンと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した後、反応液を分析した。その結果、(R)−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが光学純度59.7%ee、転換率89.3%で生成していた。
(実施例3)
攪拌子を入れた100mLオートクレーブに、1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン(1g、4.82mmol)とRuCl{(R)−BINAP}・NEt(8.2mg、0.00485mmol)を仕込んだ。窒素置換した後、5.96mLのトルエンとギ酸(182μL、4.82mmol)を加えた。水素置換した後、水素圧3MPaにて90℃、15時間攪拌した。反応液にトルエンと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した後、反応液を分析した。その結果、(R)−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが光学純度66.7%ee、転換率91.4%で生成していた。
(実施例4)
攪拌子を入れた100mLオートクレーブに1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩(500mg、2.05mmol)とRu(OAc){(R)−BINAP}(8.6mg、0.0102mmol)を仕込んだ。窒素置換した後、2.5mLのメタノールとサリチル酸メチル(10.6μL、0.0818mmol)を加えた。水素置換した後、水素圧3MPaにて90℃、19時間攪拌した。反応液にトルエンと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した後、反応液を分析した。その結果、(R)−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが光学純度65.4%ee、転換率83.1%で生成していた。
本発明の製造方法によって得られる光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩は、医薬農薬中間体として有用であり、また、キラルカルボン酸の光学分割に有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005281144
    で表される1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を、触媒の存在下に水素ガスと反応させて一般式(2)
    Figure 2005281144
    (式中、*は不斉炭素を意味する)
    で表される光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩を製造する方法において、触媒として、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いることを特徴とする光学活性1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはその塩の製造方法。
  2. 光学活性ホスフィンが、一般式(3)
    Figure 2005281144
    (式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
    または一般式(4)
    Figure 2005281144
    (式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基および低級アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
    で表されるホスフィンの光学活性体である請求項1記載の製造方法。
  3. ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体が、単離された下記一般式(5)
    Figure 2005281144
    (式中、Lは一般式(3)または(4)で表されるホスフィンの光学活性体を示し、XはCl、BrまたはIを示し、a、b、c、d、e、f、g、W、YおよびZは下記i)〜vi)の組み合わせのいずれかである。)
    で表される錯体である請求項2に記載の製造方法。
    i)a=2、b=0、c=4、d=2、e=1、f=1、g=0およびY=N(CHCH
    ii)a=1、b=1、c=1、d=1、e=1、f=1、g=0、W=ベンゼンまたはp−シメン、およびY=Cl、BrまたはI
    iii)a=1、b=0、c=1、d=1、e=2、f=3、g=1、Y=(μ−Cl)、(μ−Br)または(μ−I)、およびZ=(CHNHまたは(CHCHNH
    iv)a=1、b=2、c=0、d=1、e=1、f=0、g=0、およびW=CHCOまたはCFCO
    v)a=1、b=1、c=1、d=2、e=1、f=0、g=0、およびW=H
    vi)a=3、b=0、c=5、d=3、e=1、f=1、g=0、およびY=Cl、BrまたはI
JP2004093453A 2004-03-26 2004-03-26 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法 Expired - Fee Related JP4751579B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004093453A JP4751579B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004093453A JP4751579B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005281144A true JP2005281144A (ja) 2005-10-13
JP4751579B2 JP4751579B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=35179923

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004093453A Expired - Fee Related JP4751579B2 (ja) 2004-03-26 2004-03-26 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4751579B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103159677A (zh) * 2013-03-19 2013-06-19 济南圣泉唐和唐生物科技有限公司 1-苯基-1,2,3,4-四氢异喹啉的制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63239245A (ja) * 1986-11-14 1988-10-05 Takasago Corp 光学活性カルボン酸の製法
JP2001026580A (ja) * 1999-05-10 2001-01-30 Sumitomo Chem Co Ltd 光学活性1−アリール−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン類の製造法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63239245A (ja) * 1986-11-14 1988-10-05 Takasago Corp 光学活性カルボン酸の製法
JP2001026580A (ja) * 1999-05-10 2001-01-30 Sumitomo Chem Co Ltd 光学活性1−アリール−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン類の製造法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103159677A (zh) * 2013-03-19 2013-06-19 济南圣泉唐和唐生物科技有限公司 1-苯基-1,2,3,4-四氢异喹啉的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4751579B2 (ja) 2011-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2681057B2 (ja) 2,2’―ビス(ジフェニルホスフィノ)―5,5’,6,6’,7,7’,8,8’―オクタヒドロ―1,1’―ビナフチル及びこれを配位子とする遷移金属錯体
JP3566955B2 (ja) 新規ルテニウム錯体およびこれを触媒として用いるアルコール化合物の製造方法
US9796678B2 (en) Method for manufacturing optically active compound
US8076503B2 (en) Process for production of optically active aminophosphinylbutanoic acids
US7244860B2 (en) Substituted ferrocenyldiphosphines as ligands for homogeneous hyrogeneration catalysts
KR101579991B1 (ko) 거울상이성질성의 삼치환된 3,4-디하이드로-이소퀴놀린 유도체의 제조 공정
ES2544579T3 (es) Procedimiento de producción de un beta-aminoácido ópticamente activo
US6583312B2 (en) Process for preparing optically active trimethyllactic acid and its esters
JP2546830B2 (ja) 新規なキラルロジウム−ジホスフイン錯体
KR101579992B1 (ko) 삼치환된 3,4-디하이드로-1h-이소퀴놀린 화합물, 상기 화합물의 제조 공정 및 상기 화합물의 용도
JP4751579B2 (ja) 光学活性テトラヒドロイソキノリン類の製造方法
JP2009235067A (ja) 軸不斉リン化合物とその製造方法
JP2008201760A (ja) 光学活性スピロ化合物及びその製造方法
JPWO2006022020A1 (ja) イリジウム錯体
JP2001163864A (ja) エナミン類の不斉水素化によるキラルアミン類の製造方法
JP5232374B2 (ja) 2位に置換基を有する光学活性キヌクリジノール類の製造方法
ES2443994T3 (es) Ligandos quirales para el uso en síntesis asimétricas
JP2006063028A (ja) 光学活性3−キヌクリジノール類の製造方法
JP4713134B2 (ja) 光学活性アルキルフタリド類の製造方法
JPH09294932A (ja) ルテニウム−ホスフィン錯体
KR100425526B1 (ko) 키랄 디포스핀 화합물 및 이를 이용한 비대칭 반응
US8222433B2 (en) Axially asymmetric phosphorus compound and production method thereof
JP5616976B2 (ja) ジアステレオ選択的にアルコール化合物を製造する方法及びルテニウム化合物
Liu Asymmetric synthesis of chiral phosphines and arsines promoted by organometallic complexes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100506

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110408

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110418

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4751579

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees