JP2005281140A - Sccaによるjnk−1キナーゼ活性の抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、細胞のアポトーシスメカニズムを解明し、新規かつ有効な抗アポトーシス手段を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、細胞中の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1(c−Jun N末端キナーゼ−1)のキナーゼ活性を抑制する方法及び組成物を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を亢進させることにより、JNK−1の活性を抑制する方法を提供する。
アポトーシスは発生過程における不要細胞の排除、恒常性維持のための細胞の除去、感染や癌に対する生体防御などの目的のために引き起こされる細胞死である。アポトーシスは様々なシグナル伝達系を介して実行されることで知られる。アポトーシス誘導シグナルは細胞内においてアポトーシスの誘導又は阻害に関与する制御因子に伝えられ、これらの因子により細胞死が決定されると、最終的にアポトーシス実行因子が活性化され、細胞死が誘導される。アポトーシス誘導シグナルとしては、紫外線(UV)照射、酸化剤暴露、乾燥などの様々なストレス性刺激があり、これによりアポトーシス制御因子、例えばBcl−2ファミリー因子、各種カスパーゼ、JNK、p53などにシグナルが伝達され、細胞死が決定される。
アポトーシス制御因子の一つであり、細胞増殖・分化、ガン化などにおける情報伝達で中心的な役割を果たしているMAPキナーゼファミリーに属するJNK(c−Jun N−末端キナーゼ)も、様々なストレス刺激に応答して、活性化される。JNKについてはJNK−1,2,3の三つの遺伝子が存在し、JNK−1及び2は主に表皮細胞に存在するのに対し、JNK−3は脳に存在することが知られる。JNK−1は紫外線照射により活性化され、アポトーシスを誘導するのに対し、JNK−2は紫外線照射では活性化されず、両者の機能に差異があることも知られる。JNKの内在性阻害因子については、JNK相互作用因子(JNK Interacting Protein; JIP)が知られているのみである(M. Dickens et al. Science Vol. 277, pp.693 (1997); A. J. Whitmarsh et al. Science Vol. 281, pp.1671 (1998))。しかしながら、JIPは特異性が低く、これらのJNKや上流の活性化に関する他のMAPキナーゼとも結合することが知られている。JNKの活性化を特異的に阻害できれば、JNKにより誘導されるアポトーシスを抑制することができ、これにより紫外線照射などのストレス性刺激を原因とする様々な障害、特に皮膚障害のための新たな治療・予防方法、化粧品、医薬組成物の開発が期待される。
Science Vol.277, pp.693 (1997) Science Vol.281, pp.1671 (1998) British Journal of Dermatology (1983) 109, 77-85 J. Invest. Dermatol. 118, 147-154 (2002) J. Biol. Chem. (1997) 27213, 1849-55
本発明は、細胞、特に表皮細胞のアポトーシスメカニズムを解明し、新規かつ有効な抗アポトーシス手段を提供することを課題とする。
皮膚病の一つに、表皮細胞の増殖・分化異常と炎症細胞浸潤を特徴とする慢性、再発性の炎症性不全角化症である乾癬がある(Hopso-Havu et al. British Journal of Dermatology (1983) 109, 77-85)。乾癬は遺伝的素因に種々の環境因子が加わって発症すると考えられる。乾癬の発症した表皮と正常表皮とを比較すると、乾癬表皮の上層において扁平上皮癌関連抗原(Squamous Cell Carcinoma Antigen、以下「SCCA」と称す)の発現の亢進が認められることが知られる(Takeda A.ら、 J. Invest. Dermatol. (2002) 118(1), 147-154)。SCCAは子宮頚部扁平上皮癌細胞から見出された抗原であり、子宮頚部、肺、食道、皮膚の扁平上皮癌で高い血中濃度を示し、扁平上皮癌の診断や治療効果の判定によく利用されている。SCCAは皮膚扁平上皮癌の診断にも利用されるが、本発明者の研究においては、皮膚における扁平上皮癌においてSCCA発現は高くないことが認められた。SCCAは染色体18q21.3上にタンデムに並んでいる二つの遺伝子SCCA−1及びSCCA−2によりコードされる。SCCA−1及びSCCA−2共に分子量約45,000のタンパク質であり、非常に相同性が高いが、反応部位のアミノ酸配列が異なり、異なる機能を有していると考えられている(Schick et al. J. Biol. Chem. (1997) 27213, 1849-55)。
本発明者はSCCAが関与する表皮の生理学的メカニズムの解明を目的とする研究を行っていたところ、SCCAが細胞のアポトーシスを抑制する作用を有する抗アポトーシス因子であることを驚くべきことに見出した。
簡単に説明すると、本発明者はSCCA−1及びSCCA−2に注目して皮膚UV防御メカニズムの検討を行い、免疫組織的方法や、in situ ハイブリダイゼーションを行った結果、露光部位皮膚のSCCAの発現は非露光部位と比較して顕著に亢進していることが明らかとなった。さらに、ヒト皮膚へのUV照射により有棘層及び顆粒層においてSCCAの発現が強力に亢進することが明らかになった。基底層におけるタンパク質発現は認められなかった。また、三次元皮膚モデル、培養ヒト角化細胞でも同様にUV照射によるSCCA発現の亢進は確認された。
本発明者は次にSCCA発現の認められない3T3細胞にヒトSCCA−1及びSCAA−2遺伝子を導入し、安定発現系を確立した。アネキシン(Annexin)V−FITC及びプロピジウムイオダイン(PI)をアポトーシス指標にFACS(蛍光活性化セルソーティング)で解析した結果、いずれのSCCA安定発現系においてもUV照射によるアポトーシスが有意に減少することが明らかになった。
さらに、SCCAを高発現するHaCat細胞にpSilencerベクターで恒常的にsiRNAを発現させるRNA干渉法によりSCCA−1及びSCCA−2のノックダウン(siSCCA)細胞株を樹立した。定量的PCRによりsiSCCA細胞株におけるSCCA発現が90%以上抑制されていることが確認された。50mJ/cm2のUV照射をした結果、コントロール株では38%の細胞がアポトーシスを生じるのに対し、siSCCA細胞株では約80%の細胞がアポトーシスを引き起こすことが明らかとなった。
次に、本発明者は皮膚細胞においてSCCAと相互作用する因子を抗体アレー法でスクリーニングしたところ、SCCAが紫外線、放射線、酸化傷害などのストレスに関与するストレスキナーゼ、JNKと相互作用することを見出した。さらにSCCAとJNKとの関係を検討したところ、SCCAはJNK−1のキナーゼ活性を特異的に抑制することを見出した。JNK−1は転写因子c−Junのリン酸化を通じてアポトーシスを誘導することで知られており、従ってSCCAはJNK−1のキナーゼ活性を抑制することで、細胞の紫外線照射などのストレス性刺激により誘導されるアポトーシスを抑制することが明らかとなった。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その第一の観点において、細胞中の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1(c−Jun N末端キナーゼ−1)のキナーゼ活性を抑制する方法を提供する。細胞は、好ましくは表皮細胞、例えば角化細胞、顆粒細胞、有棘細胞等である。
別の観点において、本発明は細胞中のSCCAの発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1のキナーゼ活性を抑制し、これによりJNK−1の活性化を原因とする疾患を治療又は予防するための方法を提供する。好ましくは、JNK−1の活性化を原因とする疾患が肌の紫外線照射による皮膚障害である。この場合、細胞は、好ましくは表皮細胞、例えば角化細胞、顆粒細胞、有棘細胞等である。
更なる別の観点において、本発明は細胞のJNK−1のキナーゼ活性を抑制し、これによりJNK−1の活性化を原因とする疾患を治療又は予防するための医薬組成物又は皮膚外用剤であって、治療的又は予防的に有効な量のSCCAを含有する医薬組成物などを提供する。好ましくは、JNK−1の活性化を原因とする疾患が肌の紫外線照射による皮膚障害である。細胞は、好ましくは表皮細胞、例えば角化細胞、顆粒細胞、有棘細胞等である。
本発明により、ストレス性刺激、特に紫外線照射による障害、特に皮膚障害を治療、予防するために有効な手段の提供が可能となる。
前述のとおり、JNKのみを特異的に抑制できる内在性阻害因子に関する報告はない。そして、SCCAがJNK−1のストレス刺激による活性化を抑制できることは、本発明者がはじめて見出した驚くべき事実である。
本発明は、細胞中の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1のキナーゼ活性を抑制する方法を提供する。JNKは、細胞増殖・分化、ガン化などにおける情報伝達で中心的な役割を果たしているMAPキナーゼファミリーに属し、紫外線照射を含む様々なストレス刺激に応答して活性化される。JNKについてはJNK−1,2,3の三つの遺伝子が存在し、JNK−1は紫外線照射により活性化され、アポトーシスを誘導するのに対し、JNK−2は紫外線照射では活性化されず、両者の機能に差異があることが知られている。生体内でのJNK−1の基質はc−Junであることが知られる。c−JunはJNK−1によりリン酸化されることでアポトーシスを誘導する転写因子である。本発明者は、SCCAがJNK−1のキナーゼ活性を特異的な阻害することでc−Junのリン酸化を抑制し、その結果c−Junによるアポトーシス誘導を抑制することを見出した。
従って、SCCAの発現を亢進させることで、ストレス性刺激により誘導される細胞のアポトーシスを原因とする障害の治療、予防が可能となる。かかるストレス性刺激には紫外線、各種化学系酸化剤、大気汚染物質に対する皮膚の暴露、乾燥刺激、熱刺激などが挙げられる。ストレス性刺激による障害には、例えばストレス性刺激が原因とする皮膚細胞死による皮膚老化、例えばしわ、しみの形成、乾燥肌、かぶれ、湿疹、火傷などが挙げられる。本発明は、特にSCCAの発現不全を示す被験体の上記障害の治療・予防に有効であり得る。
SCCAは上述のとおり扁平上皮癌細胞や乾癬表皮に存在する分子量約45,000のタンパク質である。SCCA−1及びSCCA−2のアミノ酸配列及びそれらをコードする核酸配列はTakeda A et al. J. Invest. Dermatol. 118, 147-154 (2002)(前掲)に記載されている。表皮細胞のSCCA−1及び/又はSCCA−2の発現の亢進は、例えばその発現を亢進させる薬剤を適用することにより達成できる。
薬剤としては、SCCA−1及び/又はSCCA−2自体を使用してもよい。この場合、SCCAは天然SCCAでも組換SCCAであってもよく、また全長タンパク質でも、JNK−1キナーゼ活性を抑制する活性を有する限りにおいて、そのフラグメントなどの誘導体をも意味する。従って、一つの態様において、本発明は細胞のJNK−1のキナーゼ活性を抑制し、これによりJNK−1の活性化を原因とする疾患を治療又は予防するための医薬組成物であって、治療的又は予防的に有効な量のSCCAを含有する医薬組成物又は皮膚外用剤を提供する。SCCAの治療的又は予防的に有効な量とは、SCCAがJNK−1のキナーゼ活性を抑制し、その細胞のアポトーシスを抑制するのに十分な量を意味し、医師、獣医などにより適宜決定されるであろう。特に限定するわけではないが、好ましくは、本発明に係る組成物はSCCAを1μM〜100mM、より好ましくは10μM〜10mM、さらに好ましくは100μM〜1mMの量で含む。
また、本発明に係る医薬組成物又は皮膚外用剤は、上記必須成分たるSCCA又はその誘導体以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
その他、組成物の用途に合わせ、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類なども適宜配合することができる。
本発明に係る医薬又は化粧組成物は、その用途に合わせ、例えば化粧料、医薬品、医薬部外品等の外用剤、例えば化粧水、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤、軟膏、ヘアーローション、ヘアートニック、ヘアーリキッド、シャンプー、リンス、養毛・育毛剤等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。
被験体におけるSCCAをコードする遺伝子が不活性状態又は沈黙状態にあり、その結果細胞がSCCA欠損状態にあるときは、SCCA−1及び/又はSCCA−2遺伝子自体を表皮細胞に導入することで、あるいはSCCA−1及び/又はSCCA−2遺伝子の発現を亢進させる調節配列、例えばプロモーターやエンハンサーをそれらの遺伝子に対し作用可能な位置に配置することにより達成することもできる。
SCCA−1及び/又はSCCA−2をコードする遺伝子を細胞内に導入する方法としては、ウイルスベクターを利用した遺伝子導入方法、あるいは非ウイルス性の遺伝子導入方法(日経サイエンス、1994年4月号、20-45頁、実験医学増刊、12(15)(1994)、実験医学別冊「遺伝子治療 の基礎技術」、羊土社(1996))のいずれの方法も適用することができる。ウイルスベクターによる遺伝子導入方法としては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNAウイルス、又はRNAウイルスに、SCCA−1及び/又はSCCA−2をコードするDNAを組み込んで導入する方法が挙げられる。このうち、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルスを用いた方法が、特に好ましい。非ウイルス性の遺伝子導入方法としては、発現プラスミドを直接投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。また、上記遺伝子を実際に医薬として作用させるには、DNAを直接体内に導入する in vivo法、およびヒトからある種の細胞を取り出し体外でDNAを該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法がある(日経サイエンス、1994年4月号、20-45頁、月刊薬事、36(1), 23-48(1994)、実験医学増刊、12(15)(1994))。in vivo法がより好ましい。in vivo法により投与される場合は、疾患、症状等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等に投与することができる。in vivo法により投与する場合は、一般的には注射剤等とされ、必要に応じて慣用の担体を加えてもよい。また、リポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)の形態にした場合は、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤とすることができる。
細胞中のSCCAの亢進は、例えば皮細胞中のSCCA−1及び/又はSCCA−2の量を直接測定することにより決定することができる。好ましくは、この測定はSCCA−1及び/又はSCCA−2に特異的な抗体を利用し、当業界において周知の方法、例えば蛍光物質、色素、酵素などを利用する免疫染色法、ウェスタンブロット法、免疫測定方法、例えばELISA法、RIA法など、様々な方法により実施できる。また、皮膚からRNAを抽出し、SCCA−1及び/又はSCCA−2をコードするmRNAの量を測定することにより決定することもできる。mRNAの抽出、その量の測定も当業界において周知であり、例えばRNAの定量は定量ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により行われる。以上の他、SCCA−1及び/又はSCCA−2の既知の生物活性を測定することによりSCCA−1及び/又はSCCA−2の発現量を測定することもできる。他に、SCCA−1及び/又はSCCA−2の発現はin situハイブリダイゼーション法やその生物活性の測定を通じて決定することができる。
以下、具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
免疫組織化学的検査
表皮生検をAMeX手順(Sato Y. et al. Am. J. Pathol., 125, 431-435(1986))に従い、冷却アセトンで固定してからパラフィンの中に包埋した。切片をキシレンで脱パラフィン処理し、アセトン、次いでPBSで洗浄した。次にその切片の非特異的結合部位を10%正常ウサギ血清(Histofine, Tokyo, Japan)でブロックした。
表皮切片を抗−SCCA−1モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, CA, USA)(1:500に希釈)、抗−SCCA−2モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, CA, USA)(1:500に希釈)又は抗−SCCAポリクローナル抗体(Takeda A. et al. J. Invest. Dermatol. 118, 147-154 (2002)に記載のとおりにして精製)のそれぞれとインキュベーションした。PBSで洗浄後、切片をヘマトキシリンでカウンター染色し、DAKO Envision System(DAKO Corp., CA, USA)で観察を行った。
図1は、表皮検体として、非露光部位である上腕部(ヒト24歳)、臀部(ヒト46歳)、太腿部(ヒト75歳)由来の表皮、及び露光部位である頬部(ヒト20歳、76歳)、目瞼(ヒト82歳)由来の表皮を採取し、抗体としてSCCA−1及びSCCA−2の両者に結合する抗−SCCAポリクローナル抗体を用い、顕微鏡観察した結果である。図1から、非露光部位と比べ、露光部位の表皮上層でSCCAが顕著に亢進していることがわかる。しかしながら、露光部位でも、基底層ではSCCAの発現の亢進は認められなかった。
図2は、表皮検体として、UV照射(トランスルミネーターTOREX FL205−E−30/DMR(Toshiba Medical Supply)を用い、2MED(Minimum Erythema Dose)の照射量にて照射)を施したヒト表皮及び照射を施していないコントロール表皮におけるSCCA−1及びSCCA−2のそれぞれの発現の顕微鏡観察結果である。抗体として、抗−SCCA−1モノクローナル抗体及び抗−SCCA−2モノクローナル抗体それぞれを使用した。図2から、SCCA−1及びSCCA−2共に、ヒト表皮にUVを照射することで発現が亢進されることが明らかとなった。また、発現の亢進は皮膚有棘層及び顆粒層において顕著であった。
以上により、表皮にUVが照射されると、表皮、特にその有棘層及び顆粒層においてSCCA−1及びSCCA−2の発現が亢進されることが明らかとなった。
定量PCR実験
次に、表皮におけるSCCA−1及びSCCA−2の発現がUV照射により亢進されることを遺伝子レベルで確認する実験を行った。
ヒト角化細胞をケラチノサイト−SFM培地(GIBCO, Invitrogen)中、L−グルタミン及び上皮細胞成長因子の存在下で高湿、CO25%の雰囲気において、37℃にて培養した。集密度60〜70%の細胞にUVBを0〜48時間にわたり、照射した。UVB照射はトランスルミネーターTOREX FL205−E−30/DMR(Toshiba Medical Supply)を用い、50mJ/cm2の強度で行った。コントロール細胞にはUVB照射を施さなかった。
上記培養細胞から総RNAを、Isogen(Nippon Gene)を用い、添付の説明書に従い、単離精製した。SCCA−1及びSCCA−2それぞれの発現レベルを定量リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により決定した。簡単には、総RNAをSuperscript II(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用い、cDNAへと変換させた。その試料をABI PRISM 7900HT Sequence Detection System(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用い、2−ステップPCRを40サイクル行い、増幅させた。内部標準としてGAPDH(グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)を用いた。
使用したプライマーは下記のとおりである。
SCCA−1:
順方向プライマー
5'-GTGCTATCTGGAGTCCT-3'(配列番号1)
逆方向プライマー
5'-CTGTTGTTGCCAGCAA-3'(配列番号2)
Taq Man プローブ
5'-CATCACCTACTTCAACT-3'(配列番号3)
SCCA−2:
順方向プライマー
5'-CTCTGCTTCCTCTAGGAACACAG-3'(配列番号4)
逆方向プライマー
5'-TGTTGGCGATCTTCAGCTCA-3'(配列番号5)
Taq Man プローブ
5'-AGTTCCAGATCACATCGAGTT-3'(配列番号6)
GAPDH:
順方向プライマー
5'-GAAGGTGAAGGTCGGAGTC-3'(配列番号7)
逆方向プライマー
5'-GAAGATGGTGATGGGATTTC-3'(配列番号8)
Taq Man プローブ
5'-AGGCTGAGAACGGGAAGCTTGT-3'(配列番号9)
リポーター色素(6−カルボキシ−フルオレセイン)をTaq Manプローブ配列の5’末端に結合させ、そしてクエンチャー色素(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)をその3’末端に組み込ませた。
図3に培養ヒト角化細胞におけるSCCAの発現についてのUVB照射の影響の結果を示す。SCCA−1、SCCA−2、共にUV照射により発現が亢進されることが明らかとなった。従って、表皮細胞はUV照射により、遺伝子レベルでSCCA−1、SCCA−2の発現が亢進されることが明らかとなった。
UV照射におけるSCCAの役割の検討
以上により、表皮細胞では、UV照射を受けることでSCCA−1及びSCCA−2の発現が亢進することが解明された。次に、SCCA−1及びSCCA−2がUV照射を受けた表皮細胞においてどのような役割を担っているかを検討した。
SCCA−1及び2高発現細胞の樹立
3T3細胞(ATCCより入手)はSCCA−1及び2を発現しないマウス胎児由来の細胞である。この細胞に、下記のとおりにしてSCCA−1又は2をコードする遺伝子を導入した。
SCCA−1及びSCCA−2のcDNA(Takeda A et al. J. Invest. Dermatol. 118, 147-154 (2002))をBam HI及びKpn Iで二重消化した。それらをpTarget ベクターの中にサブクローニングし、次いでLipofectamine Plus(GIBCO, Invitrogen Corp.)を用い、3T3細胞に導入した。簡単に述べると、無血清DMEM培地(Invitrogen Corp.) 675μl中のcDNA 20μgを75μlのPlus試薬と混合し、25℃にて15分放置した。Lipofectamine(100μl)を650μlの無血清DMEM培地に添加し、次いでそれを上記cDNA−Plus混合物に加え、そして25℃にて15分放置した。このcDNA混合物を10mlの無血清DMEM培地に添加し、そして3T3細胞をその中で37℃にて4時間、5%のCO2雰囲気下でインキュベーションした。その培地を10%のFCS(Invitrogen Corp.)含有のDMEM培地と交換し、そして一晩インキュベーションした。翌日、G418(Calbiochem)を最終濃度500μg/mlとなるように添加した。G418は培養期間中この濃度に保っておいた。培地は2〜3日ごとに交換した。培養4週間後、いくつかのG418耐性コロニーを単離することができ、SCCA−1及びSCCA−2発現細胞系が樹立された。
SCCA−1をコードするcDNAが導入された細胞(SCCA−1導入細胞)はSCCA−1を特異的且つ安定的に発現し、そしてSCCA−2をコードするcDNAが導入された細胞(SCCA−2導入細胞)はSCCA−2を特異的且つ安定的に発現することが確認された。また、同様の操作で非特異的な配列の導入された3T3細胞(コントロール細胞)はSCCA−1、SCCA−2のいずれも発現しなかった。
上記SCCA−1導入細胞、SCCA−2導入細胞及びコントロール細胞を用い、UV照射を与えたときのSCCA−1、SCCA−2が果たす役割について検討した。詳しくは、表皮細胞におけるUV誘導アポトーシスに対するSCCA−1、SCCA−2の役割について検討した。
上記各種細胞を10%のFCSを含むDMEM培地中で高湿、CO25%の雰囲気において、37℃にて培養した。集密度60〜70%の細胞にUVBを0〜48時間にわたり、照射した。UVB照射はトランスルミネーターTOREX FL205−E−30/DMR(Toshiba Medical Supply)を用い、50mJ/cm2の強度で行った。
これらの細胞についてのアポトーシス評価はFACS COULTER(EPIX XL-MCL, Becjman Coulter)を用い、アネキシンV−FITC及びプロピジウムイオダイン(PI)二重染色法(Annexin V-FITC kit, Immunotech)を指標とするFACS(蛍光活性化セルソータ)解析により行った。
その結果を図4に示す。図4から明らかなとおり、SCCA−1及びSCCA−2導入細胞のいずれもUV照射によるアポトーシスが有意に減少することが認められた。従って、SCCA−1及びSCCA−2共に、UVによる誘導されるアポトーシスを抑制できるものと推定された。
このことを確認するため、本発明者は次にSCCA−1及びSCCA−2ノックダウン細胞株をRNA干渉法により樹立し、UV照射における表皮細胞内でのSCCA−1及びSCCA−2の役割についてさらに検討した。
SCCAノックダウン細胞の樹立
HaCat細胞(H. Hans. et al. Experimental Cell Research 239, 399-410 (1998))はSCCAを高発現するヒト角化細胞である。この細胞に、RNA干渉法に従い、pSilencerベクター(Ambion)で恒常的にsiRNA(short interference RNA)を発現させることにより、SCCA−1及び2のノックダウン細胞株を樹立した。
siRNAはpSilencerベクターを用い、添付の説明書に従い、構築した。詳しくは、SCCAをコードする遺伝子のヌクレオチド番号46〜66位に相補性な21merのオリゴヌクレオチド(ACATGAACTT GGTGTTGGCT T:配列番号10)を含む65merのセンスオリゴヌクレオチド(配列番号11)と、ヌクレオチド番号46〜66位に相同な21merのオリゴヌクレオチド(AAGCCAACAC CAAGTTCATG T;配列番号12)を含む65merのアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号13)とから成る二本鎖オリゴヌクレオチドをpSilencerベクターのHind III部位及びBam HI部位にクローニングした。HaCat細胞へのトランスフェクションはLipofectamine 2000(Invitrogen)を用い、添付の説明書に従って行った。コントロール細胞は、哺乳動物の遺伝子配列と有意な相同性、相補性をもたない二本のオリゴヌクレオチドから成る二本鎖オリゴヌクレオチドを用い、作製した。安定な細胞系はトランスフェクション細胞をハイグロマイシン−B選択培地の中で4〜6週間培養して選択を行うことにより獲得した。SCCAの発現が抑制されていることを確認するため、上述のとおりにして、リアルタイムPCRによりSCCA−1及びSCCA−2の発現を測定した。
センスオリゴヌクレオチド(配列番号11)
GATCCCGGCCAACACCAAGTTCATGTTTCAAGAGA ACATGAACTTGGTGTTGGCTT TTTTGGAAA
(下線部が相同領域)
アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号13)
AGCTTTTCCAAAA AAGCCAACACCAAGTTCATGT TCTCTTGAAACATGAACTTGGTGTTGGCCGG
(下線部が相補性領域)
その結果を図5に示す。上記siRNAの導入された細胞では、コントロールに比べ、SCCA−1及び2ともに発現が90%以上抑制(ノックダウン)されていることが確認された。
上記ノックダウン細胞及びコントロール細胞を用い、表皮細胞におけるUV誘導アポトーシスに対するSCCA−1、2の役割について検討した。
上記各種細胞をケラチノサイト−SFM培地(GIBCO, Invitrogen)中、L−グルタミン及び上皮細胞成長因子の存在下で高湿、CO25%の雰囲気において、37℃にて培養した。集密度60〜70%の細胞にUVBを照射した。UVB照射はトランスルミネーターTOREX FL205−E−30/DMR(Toshiba Medical Supply)を用い、50mJ/cm2の強度で行った。
これらの細胞についてのアポトーシス評価をFACS COULTERを用い、アネキシンV−FITC及びプロピジウムイオダイン(PI)二重染色法を指標とするFACS(蛍光活性化セルソータ)解析により行った。
その結果を図6に示す。ノックダウン細胞にUV照射を行った結果、コントロール細胞では38%の細胞がアポトーシスを生じるのに対し、ノックダウン細胞では約80%もの細胞がアポトーシスを引き起こすことが明らかになった。従って、SCCAはUV照射により誘導される表皮細胞のアポトーシスを有意に抑制することがわかった。よって、SCCAは表皮細胞のUV防御機構を担うものと考えられる。
抗体アレー
次に、SCCAがどのようにしてUV誘導アポトーシスを抑制するかを調べるため、SCCAと表皮細胞中のタンパクとの相互作用を検討した。
タンパク質間相互作用をスクリーニングするため、Signal Transduction Antibody Array(Hypomatorix, Inc)を利用した。UVBを50mJ/cm2で照射したSCCAを高発現するヒト口腔癌細胞株HSC−4(住商ファーマーインターナショナル株式会社)を、15mMのTris−HCl(pH7.5)、120mMのNaCl、25mMのKCl、2mMのEGTA、2mMのEDTA、0.1mMのDTT、80μMのベスタイン及び10mMのペプタチンを含有する1%のTriton X−100抽出バッファーに溶解させた。不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。400種の抗体が事前に固定化されたニトロセルロース膜を0.1%のBSA及び0.1%のTween−20を含有するブロッキング溶液の中で室温で1時間、ゆっくりと揺らしながらインキュベーションし、次いで上記溶解物と反応させた。さらに室温2時間インキュベーション後、その膜をTBS−T/T(150mMのNaCl、25mMのTris−HCl、0.2%のTriton X−100、0.05%のTween、pH7.5)で2回、次いでTBSで1回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の接合した抗−SCCA−1モノクローナル抗体又は抗SCCA−2モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, CA, USA)を室温にて2時間かけて膜にブロッティングした。TBSで3回洗浄後、膜を増強ケミルミネッセンス(ECL)(Amersham Pharmacia Biotech)検出にかけた。その結果、興味深いことに、SCCA−1及び−2に対するモノクローナル抗体はストレスキナーゼJNKの活性型に特異的な抗体がスッポトされている位置において検出され、従ってSCCA−1は活性型JNKと相互作用することが見出された。尚、SCCAは非活性型JNKとは相互作用しなかった。
共免疫沈澱及び免疫ブロッティング分析
SCCAとJNKとの相互作用を確認するため、以下の分析も行った。
UVBを50mJ/cm2で照射したSCCAを高発現するヒト口腔癌細胞株HSC−4を、15mMのTris−HCl(pH7.5)、120mMのNaCl、25mMのKCl、2mMのEGTA、2mMのEDTA、0.1mMのDTT、80μMのベスタイン及び10mMのペプタチンを含有する1%のTriton X−100抽出バッファーに溶解させた。不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。その上清液をプロテインG−セファロース4Bビーズと4℃で1時間、定常振盪させて予備浄化した。プロテインG−セファロース4Bビーズを2,000rpmにて2分、4℃での遠心分離操作により除去した。その上清液を、抗SCCA抗体(Santa Cruz Biotechnology)の結合したプロテインG−セファロース4Bビーズ又は抗p−JNK抗体(Cell Signaling and BD Pharmingen)の結合したプロテインG−セファロース4Bビーズと4℃で一晩、定常振盪させながらインキュベーションした。そのビーズをTBS−T/T(150mMのNaCl、25mMのTris−HCl、0.2%のTriton X−100、0.05%のTween、pH7.5)で4回洗浄し、4xのサンプルバッファー(20%のグリセリン、260mMのTris−HCl(pH6.8)、8%のSDS)中で煮沸し、そしてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させた。PVDF膜に転写させた後、結合したタンパク質について、抗SCCA抗体又は抗P−JNK抗体のそれぞれを用いるウェスタンブロッティングによりアッセイした。検出にはECL PLUSケミルミネッセンスシステム(Amersham Pharmacia Biotech)を使用した。抗SCCA抗体結合ビーズとのインキュベーションではJNKが検出され、抗p−JNK抗体結合ビーズとのインキュベーションではSCCAが検出されたことから、SCCAがJNKと相互作用することが確認された。
「プルダウウン」JNKキナーゼアッセイ
(c−Jun融合タンパク質を利用する「プルダウン」JNKキナーゼアッセイ)
上述のとおり、活性型JNK1は紫外線を含む様々なストレス性刺激の伝達をあずかる分子である。活性型JNKは転写因子c−Junのリン酸化を通じてアポトーシスを誘導する。従って、SCCAの抗アポトーシス活性が、JNKのc−Junリン酸化活性の阻害によるものと予想し、我々は組換SCCA−1の存在下及び不在下で、基質としてc−Junを使用し、組換リン酸化JNK1及び組換リン酸化JNK2について、in vitroキナーゼアッセイを行った。
組換SCCA−1は標準の方法で作成した。簡単に説明すると、SCCA−1のcDNAをポリヒスチジンタッグ(6xのHis)とともにpQE−30(Qiagen)にサブクローニングした。Hisタッグ付タンパク質をE.coli BL21(DE31)において合成した。Ni−NTAカラム(Qiagen)及びMono−Q(Amersham)を組換タンパク質の精製のために用いた。
上記組換SCCA−1 2μg、c−Jun融合タンパク質結合ビーズ(Cell Signaling社)及び活性化組換リン酸化JNK1(Cell Signaling社) 2μg又は活性型組換リン酸化JNK2(Cell Signaling社) 2μgを静かに振盪させながら4℃で一晩インキュベーションした。コントロールとして、SCCA−1を含有させていないものをインキュベーションした。2,000rpmで4℃にて2分間の遠心分離操作の後、c−Jun融合ビーズを500μlの溶解バッファー(20mMのTris−HCl(pH7.4)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA、1%のTriton X−100、2.5mMのピロリン酸ナトリウム、1mMのβ−グリセロリン酸塩、1mMのNa3VO4、1μg/mlのロイペプチン及び1mMのPMSF)で2回洗浄し、次いで500μlのキナーゼバッファー(25mMのTris−HCl(pH7.5)、5mMのβ−グリセロリン酸塩、2mMのDTT、0.1mMのNa3VO4、10mMのMgCl2)で2回洗浄し、そして以下のようにしてキナーゼアッセイを行った。
キナーゼアッセイ
c−Jun融合ビーズのペレットを100μMのATPの添加された50μlのキナーゼバッファーに懸濁した。30℃で30分インキュベーション後、反応生物をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、そして抗リン酸化c−Jun抗体(希釈率1:1000)で標識した。その結果を図7に示す。図から明らかなとおり、SCCA−1を活性型JNK1とともにインキュベーションした場合、SCCA−1を含有しないコントロールと比べ、リン酸化c−Junの量は顕著に減少した。従って、SCCA−1はJNK1によるc−Junのリン酸化を抑制することが明らかとなった。一方、SCCA−1を活性型JNK2とともにインキュベーションした場合、コントロールと比べ、リン酸化c−Junの量の有意な増減は認められなかった。従って、SCCA−1はJNK1の活性を特異的に抑制することが示された。
露光及び非露光部位の表皮におけるSCCAの発現。 UV照射による表皮におけるSCCAの発現の変動。 培養ヒト角化細胞におけるSSCA発現に対するUV照射の影響。 SCCA高発現細胞とSCCA非発現細胞との、UV照射により誘導されるアポトーシス率の比較。 SSCAノックダウン細胞株の樹立を示す。 SCCAノックダウン細胞とコントロール細胞との、UV照射により誘導されるアポトーシス率の比較。 「プルダウウン」JNKキナーゼアッセイの結果。

Claims (3)

  1. 細胞中の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1(c−Jun N末端キナーゼ−1)のキナーゼ活性を抑制する方法。
  2. 細胞中のSCCAの発現を亢進させることで、細胞中のJNK−1のキナーゼ活性を抑制し、これによりJNK−1の活性化を原因とする疾患を治療又は予防するための方法。
  3. JNK−1の活性化を原因とする疾患が肌の紫外線照射による皮膚障害である、請求項2記載の方法。
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