JP2005279553A - 液体定量吐出装置およびその製造方法、ならびに液体の定量吐出方法および粒子の定数吐出方法 - Google Patents

液体定量吐出装置およびその製造方法、ならびに液体の定量吐出方法および粒子の定数吐出方法

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誠 三原
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Abstract

【課題】 簡易且つコンパクトな構成で微量の液体を高精度で定量吐出することができ、また、粒子分散液を定量吐出することにより粒子の定数吐出が可能な液体定量吐出装置およびその製造方法、ならびに液体の定量吐出方法および粒子の定数吐出方法を提供する。
【解決手段】 流路内壁と吐出液体、および吐出液体と吐出対象との親和性の差違に基づいて、吐出液体を第一の流路1から注入することにより、吐出液体14との親和性がより高い第二の流路2に優先的に充填し、この第二の流路2の末端開口部4を吐出液体14との親和性がより高い、別途の対象物5と接触させることにより、第二の流路2の容積によって規定される定量の液体14を対象物5に吐出する。
【選択図】 図12

Description

本発明は、微量の液体を定量吐出するための(パッシブ)液体定量吐出装置およびその製造方法、ならびにこの装置を用いた液体の定量吐出方法および粒子の定数吐出方法に関する。
液体を定量で吐出するための機構として、一般には液体吐出部毎に何らかのアクティブな吐出機構を設けた方法が使用され、代表的な吐出機構としてポンプを用いた機構が使用されている。定量吐出に用いられるポンプには、回転翼を用いるターボ型、ピストンとシリンダーによる容積型などの方式がある。しかし、定量で液体を吐出する機構を個別の吐出部に多数有するような装置では、これに対応して多数のポンプが必要となりコストが増加する。また、吐出液体が微量である場合、流路のサイズを小さくする必要があるが、これによりレイノルズ数が小さくなり粘性の影響が大きくなるため、ポンプによる吐出が困難となる。
この他の液体吐出機構として、ピエゾ素子あるいは加熱による液体の気泡化を利用した技術が実用化され、インクジェットプリンターなどに使用されている。また、特定の物質を使用し、温度やpHなどの外的刺激によるこの物質の体積変化を利用した技術も提案されている。
上記した液体の定量吐出方法では、液体を収容する容器の容積を変化させ、その容積変化に伴う圧力により液体を吐出させている。このため、液体の吐出量は容積変化の制御に依存し、吐出量が微小になると定量制御が幾何級数的に困難となる。
近年では、これらの問題点の解決する方法として、吐出部毎に電極を設けて電圧を印加することで非常に微量な液体を吐出する方法も提案されている。しかしながらこの方法も含め、いずれの吐出方法においても吐出機構毎に吐出をアクティブに制御するための配線や電気的スイッチング機構が必要であり、吐出部が多数でかつ微小になると配線は幾何級数的に困難となりさらにコスト高になるという問題点がある。
一方、液体に分散したラテックス粒子などの粒子を一定数吐出する機構として、フローサイトメーターによる方法が実用化されている。この方法では、微細な空間内に粒子を個別に流し、粒子を1個ずつレーザーなどを用いてカウントしながら所定数を捕捉する。この方法は確実に所定数の粒子を捕捉する点では優れているが、装置が高価であり、また粒子を個別にカウントしながら吐出するために吐出効率は低下する。
特許文献1には、2つの流路をこれらよりも細い流路で繋いだ構造とし、一方の流路からこの細い流路へ毛管引力によって液体を導入し、次いでこの細い流路の容積で規定される所定量の液体を、差圧などによって他方の流路へ移動させる微量液体制御機構が記載されている。
特開2002−357616号公報
しかし、例えば吐出機構とは独立した別途の吐出対象に選択的に吐出するような機構、例えば、容器状の複数の吐出対象に対して、同一もしくは異なる種類の微量液体を個別に
定量的に、任意の量で吐出するような機構が求められているが、上記の機構ではこれを実現できていない。
本発明は上記したような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、吐出装置における個別の吐出部毎にアクティブな吐出機構や配線、電気的なスイッチング機構を必要とせず、簡易且つコンパクトな構成で微量の液体を高精度で定量吐出することができ、また、粒子分散液を定量吐出することにより粒子の定数吐出が可能な液体定量吐出装置およびその製造方法、ならびに液体の定量吐出方法および粒子の定数吐出方法を提供することを目的としている。
本発明は、流路内壁と吐出液体、および吐出液体と吐出対象との親和性の差違に着目してなされたものである。すなわち、
・吐出液体が2つの連結した流路に注入することにより、吐出液体が吐出液体との親和性が高い流路に優先的に充填され、
・優先的に充填された流路の液体だけを残して非優先の流路の液体を排除し、
・優先的に充填された流路の末端開口部を、吐出液体との親和性がより高い吐出対象部と接触させた場合、充填液体は吐出対象部に移動し、
・優先的に充填された流路の容積によって、吐出対象部への液体吐出量を制御することができ、
・吐出機構と吐出対象部とを独立させ、吐出対象物あるいは吐出機構の吐出開口部の少なくともどちらかを移動させて吐出対象部と吐出機構の吐出開口部を選択的に接触させる事で、パッシブな方法でありながら吐出対象部の任意の箇所に吐出物を吐出することができる
という構成からなる発明である。
(i) 本発明の液体定量吐出装置は、両端が開放された第一の流路と、
この第一の流路から分岐し、その分岐点における断面積が、該分岐点における第一の流路の断面積よりも小さい第二の流路とが設けられ、
第一の流路から供給された吐出液体を第二の流路に充填し、前記分岐点において第一の流路の液体を排除した後、第二の流路の末端側の開口部を吐出装置とは独立した任意に選択可能な吐出対象と接触させることにより、第二の流路の容積で規定される所定量の液体を該吐出対象に吐出することを特徴としている。
(ii) 本発明の液体定量吐出装置は、両端が開放された第一の流路と、
この第一の流路から分岐し、その内壁と吐出液体との接触角が、第一の流路の内壁と該吐出液体との接触角よりも小さい第二の流路とが設けられ、
第一の流路から供給された吐出液体を第二の流路に充填し、前記分岐点において第一の流路の液体を排除した後、第二の流路の末端側の開口部を吐出装置とは独立した任意に選択可能な吐出対象と接触させることにより、第二の流路の容積で規定される所定量の液体を該吐出対象に吐出することを特徴としている。
(iii) 本発明の液体定量吐出装置は、上記(i)または(ii)の装置において、第二の流路の末端側の開口部が、該開口部の周囲から突出していることを特徴としている。
(iv) 本発明の液体定量吐出装置は、上記(i)〜(iii)のいずれかの装置において、第一の流路から、複数の第二の流路が分岐されていることを特徴としている。
(v) 本発明の液体定量吐出装置は、上記(i)〜(iv)のいずれかの装置において、液体移送を制御する同一の手段によって吐出液体が移送される複数の第一の流路が設けられていることを特徴としている。
(vi) 本発明の液体定量吐出装置は、上記(i)〜(v)のいずれかの装置において、複数の異なる液体を充填する複数の第一の流路が設けられ、各第一の流路毎に、複数の第二の流路が分岐されていることを特徴としている。
(vii) 本発明の液体定量吐出装置の製造方法は、上記(i)〜(vi)のいずれかの装置
における第二の流路を異方性エッチングにより形成することを特徴としている。
(viii) 本発明の液体定量吐出装置の製造方法は、上記(iii)の装置における第二の
流路の末端側の開口部を異方性エッチングにより突出形成することを特徴としている。
(ix) 本発明の液体の定量吐出方法は、上記(i)〜(vi)のいずれかの装置を用い、
第一の流路の片側開口部から液体を注入し、第二の流路に液体を充填する工程と、
前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
第二の流路の開口部を吐出対象と接触させ、第二の流路内に保持された吐出液体を吐出対象部分に定量吐出させる工程とを含むことを特徴としている。
(x) 本発明の液体の定量吐出方法は、上記(iv)の装置を用い、
第一の流路の片側開口部から液体を注入し、複数の第二の流路に液体を充填する工程と、
前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
液体が保持された第二の流路の各開口部と、独立した複数の吐出対象とを接触させ、これにより同一の液体を同時に複数の吐出対象へ定量吐出させる工程とを含むことを特徴としている。
(xi) 本発明の液体の定量吐出方法は、上記(vi)の装置を用い、
複数の第一の流路の片側開口部からそれぞれ異なる液体を注入し、各第一の流路における複数の第二の流路に液体を充填する工程と、
前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
液体が保持された第二の流路の各開口部と、吐出装置とは独立した複数の任意の吐出対象とを接触させ、これにより該液体を同時に吐出装置とは独立した複数の吐出対象へ定量吐出させる工程とを含むことを特徴としている。
(xii) 本発明の液体の定量吐出方法は、上記(ix)〜(xi)のいずれかの方法において
、第二の流路の開口部を吐出対象に複数回接触させ、これにより液体の吐出量を任意に制御することを特徴としている。
(xiii) 本発明の粒子の定数吐出方法は、上記(i)〜(vi)のいずれかの装置を用い

第一の流路の片側開口部から粒子分散液を注入し、第二の流路に粒子分散液を充填する工程と、
前記分岐点において第一の流路に残留する粒子分散液を排除する工程と、
第二の流路の開口部を吐出対象と接触させ、第二の流路内に保持された粒子分散液を吐出対象部分に吐出し、これにより定数の前記粒子を吐出する工程とを含むことを特徴としている。
本発明の液体定量吐出装置によれば、個別の吐出部毎に吐出のための機構を必要とせず、簡易且つコンパクトな構成で微量の液体を高精度で定量吐出することができ、また、粒子分散液を定量吐出することにより粒子の定数吐出が可能である。
本発明の製造方法によれば、微量の液体を高精度で定量吐出することが可能な液体定量吐出装置を得ることができる。
本発明の液体の定量吐出方法によれば、簡易且つコンパクトな構成で微量の液体を高精度で定量吐出することができる。
本発明の粒子の定数吐出方法によれば、簡易且つコンパクトな構成で高精度な粒子の定数吐出が可能である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態における液体定量吐出装置の断面図、図2(a)は図1の位置Aにおける第一の流路
の断面図、図2(b)は位置Bにおける第二の流路の断面図である。図1に示したように、本実施形態の液体定量吐出装置には、両端が開放された第一の流路1と、この第一の流路1の途中で分岐した第二の流路2とが設けられている。
図2(a)、(b)に示したように、第一の流路1と第二の流路2との分岐点3における第二の流路2の断面積S2は、分岐点3における第一の流路の断面積S1よりも小さいことが必要である。これにより、吐出する液体と第二の流路2との親和性が、この液体と第一の流路1との親和性よりも高くなり、第一の流路1に注入された液体は分岐点3を経て優先的に第二の流路2に導かれる。すなわち、断面積の差違によって液体の単位量あたりの流路壁との接触面積密度に差異が生じ、これによる表面張力の差違により、より細い第二の流路2に吐出液体が優先的に充填される。
これらの流路の断面積は、流路の途中で変化していてもよいが、第二の流路2の末端側の開口部4まで液体が充填されるためには、第一の流路1と第二の流路2の材質が同一である場合には、第二の流路2の開口部4における断面積が、その分岐点3における断面積以下であることが必要である。
また、液体と第二の流路と親和性を高めるために、第二の流路の壁に凹凸を設けて表面積を大きくしてもよい。この場合には単純な断面積ではなく、表面積同士で比較する必要がある。
第一の流路と第二の流路の内壁材質は、同一でも異なっていてもよいが、異なる材質を使用する場合には、第二の流路と吐出液体との親和性が、第一の流路と吐出液体との親和性よりも高くなるように材質を選択することが望ましい。
これらの流路は、液体が流れるものであれば特に限定されないが、具体的には、例えばプレートの上面もしくは内部に溝を設けたもの、平面板に設けた溝に別の平面板で蓋をして溝を密封したもの、太さの異なるキャピラリーなどの中空管を第一の流路と第二の流路の少なくともいずれかとして接続したもの、中空管と溝とを接続したものなどを使用することができる。これらの中では、流路の周囲全体が壁で覆われた構造のものが、液体と流路内壁との接触面積が大きくなりこれらの親和性がより大きくなる点から好ましい。特に、作製が容易であるために、平面板に溝を切り、これに平面板などで蓋をして流路を形成することが好ましい。
平面板に溝を切って流路を作製する場合、溝を切る方法としては、例えば樹脂による射出成型、プレス成型、押し出し成型などによる成型;レーザー、ドリル、ホーニング、サンドブラストなどによる穴開け;電鋳メッキが挙げられる。また、MEMSおよび半導体作製技術に用いられているフォトリソグラフィーによる方法、MEMS技術および放射線露光などにより型を作成して行う、樹脂やPDMS(ポリジメチルシロキサン)などのスタンピングによる方法を使用することができる。また、第二の流路は第一の流路を構成する溝の底面に穴を開けて形成することもでき、その場合もこれらの方法を使用することができる。
溝を切った平面板に蓋をして流路を形成する場合、溝と蓋との隙間に毛細管現象により液体が浸入することを防止するために、この隙間を封止することが望ましい。この隙間を封止する方法としては、例えば接着剤を使用する方法、溝もしくは蓋に熱可塑性の材料を使用して熱溶着する方法、ソーダガラスと金属材料との組み合わせにより陽極接合する方法が挙げられる。接着剤を使用する方法としては、透明な蓋を使用し、これをUV接着剤で溝を切った平面板と接合した後、UV硬化により接着する方法が挙げられる。
第一の流路および第二の流路は、連続していれば必ずしも直線である必要は無く、所定の面積に長い流路を取るために、例えばW形状や螺旋形状としてもよい。第二の流路は第一の流路を構成する溝と同一面となるように設けてもよく、あるいはこの溝と異なる面、例えば第一の流路を構成する溝の底部あるいは上部に設けてもよい。第一の流路と第二の流路は、直角に分岐する以外に、これらの流路が成す角度が鋭角もしくは鈍角となるように分岐していてもよい。
第二の流路の容積は、特に限定されないが、本実施形態の液体定量吐出装置は小容量の液体の吐出に適しており、第二の流路の容積は好ましくは10マイクロリッター以下、より好ましくは1マイクロリッター以下、さらに好ましくは0.1マイクロリッター以下である。吐出量が10マイクロリッター以上である場合、市販の吐出機構を使用しても高精度な定量吐出が可能であるが、本実施形態の液体定量吐出装置では10マイクロリッター以下の容量の液体を、吐出量の誤差を最小として高精度に吐出することができる。
第二の流路の好ましい形成方法として、金属の異方性エッチングによる方法が挙げられる。この方法では、図8(a)、(b)に示したように金属結晶または金属酸化物結晶を材料として、その異方性を利用して異方性エッチングすることにより第二の流路2を形成する。一般に所定の容積の流路を設ける場合、機械的な方法、フォトリソグラフィー法などを用いることが可能である。
フォトリソグラフィーによる方法としてはドライエッチングあるいはウエットエッチングのいずれの方法も使用可能である。特に微細な第二の流路を形成する場合はシンクロトロン放射光によるX線ビームを用いるX線リソグラフィーによる方法を使用することが出来る。これらの方法の中では、これらの方法は例えば権田俊一監修 「薄膜作成応用ハンドブック」エヌティーエス(2003),板生清他編著「光デバイス精密加工ハンドブック」オプトロニクス社(2003年)などに記載されている。
特に異方性エッチングの場合、表面のマスクの形状を制御すれば流路溝の角度は結晶の異方性に従って所定の角度でエッチングされるため、形状の変動要因はマスクのパターンと結晶の厚さのみであり、容積が高精度に制御された流路を形成することができる。
異方性エッチングで流路を形成した場合、金属または金属酸化物結晶の結晶異方性を利用するため、流路形状に角が生じ、液体との親和性により角にメニスカス現象に伴う液残りが生じることがある。このメニスカスによる液残りを避けるためには、第二の流路の容積における要求精度次第であるが、このような角の生じない異方性エッチングを採用することが好ましい。
なお、第一の流路も異方性エッチングにより形成することができるが、第一の流路は容積の制御が不要であるために特にこの方法である必要はなく、別途により容易な方法で形成してもよい。
異方性エッチングにより第二の流路を形成する具体例を、図9を参照しながら説明する。ここでは表面が(100)の結晶構造からなる金属シリコンウエハーを使用し、KOHもしくはTMAHを用いて異方性エッチングを行っているが、必要に応じて(110)の結晶構造からなる金属シリコンウエハーを使用することも可能である。
エッチングレートは(100)面に対して最大に、(111)面で最小になり、54.7°の傾斜角で(111)面が現れる。この結果、容積は√2/6[Wo3−(Wo−1.41L)3]となり、エッチングホールの径とシリコンウエハーの厚さを正確に制御することにより容積が高精度に制御される。ここで、Woはエッチングホールを正方形とした場合のエッチングホールの幅、Lはエッチングの深さである。
このような異方性エッチングの具体的な方法は、精密工学会、編著「ナノスケール加工技術」日刊工業新聞社(1993年)、および板生清他編著「光デバイス精密加工ハンドブック」オプトロニクス社(2003年)に記載されている。
本実施形態の液体定量吐出装置では、図1に示したように、第二の流路2の末端側の開口部4が、その周囲から突出するように形成されている。第一の流路1から供給された液体を第二の流路2で保持した後、この突出した開口部4を吐出対象部に接触させることにより、第二の流路2の容積で規定される所定量の液体を吐出する。この際、開口部4が突出しているために、選択的に吐出対象に接触させて吐出することができ、吐出対象部以外の領域へ吐出液が誤吐出することが防止される。
この突出した開口部は、樹脂成型の場合には成型時に金型の凹部分を反転成型する方法により形成することができる。あるいは、例えばダイシング法、フォトエッチング法、サンドブラスト法などにより、突出させる部分を残して他の部分を切除することによって形成することもできる。ダイシング法としては、既存のダイシングソーなどを利用した機械的な切断、レーザーによる物理的な切断などが挙げられる。フォトエッチング法では、例えば突出部を形成する箇所にフォトレジストなどでパターンマスクをして、マスクのされていない部分をウエットあるいはドライエッチングする。サンドブラスト法では、フォトレジスト法と同様に突出部を形成する箇所をマスクしてサンドブラストにより切除部分を掘削しながら除去する。
また、この突出した開口部を形成するための好ましい方法として、金属および金属酸化物の異方性エッチングが挙げられる。この方法では、図10(a)に示したように金属結晶材料または金属酸化物結晶に第二の流路用の穴6を形成した後、その異方性を利用して底面側から異方性エッチングすることにより図10(b)に示したように突出した開口部4を形成する。異方性エッチングは具体的には前述した方法で行うことができる。
この方法を利用して、図10(b)のように底面からエッチングすることにより、流路の開口部4を三角の凸状に残してその周辺が凹部となる形状を作製することができる。この方法ではマスクを利用するため、例えば第一の流路から複数の第二の流路を分岐させたものを作製する場合、それぞれの開口部に同時に凸形状を形成することができる。また、開口部の先端は鋭角を成しているので、この先端が吐出対象と接触した際に接触面積が最小となり、これにより接触に伴う汚染などの問題を最小化することができるとともに、根元部分に向かって開口部の金属厚さが大きくなるので、この汚染の最小化と機械的な強度とを両立することが可能である。
以上のように、本実施形態の装置によれば、第二の流路の開口部を吐出対象に接触させるだけでこの吐出対象に液体を吐出することができる。また、第二の流路の容積だけを制御して第一の流路の容積は制御する必要は無く、第一の流路に少なくとも第二の流路の容積を上回る任意の容積の液体を投入するだけでよく、第一の流路に液体を注入する装置による各吐出部毎の特別な吐出制御は不要であるため、制御機構として非常に簡便であり、低コストで製造することができる。
図3は本発明の他の実施形態における液体定量吐出装置の断面図である。同図に示したように、本実施形態の定量液体吐出装置には、両端が開放された第一の流路1と、この第一の流路1の途中で分岐した第二の流路2とが設けられ、その内壁2aと吐出液体との接触角α2が、第一の流路1の内壁1aと該吐出液体との接触角α2よりも小さくなっている。これにより、吐出液体と第二の流路2との親和性が、この液体と第一の流路1との親和性よりも高くなり、第一の流路1に注入された液体は分岐点3を経て優先的に第二の流路
2に導かれる。
これらの流路内壁の材質は、使用する吐出液体に基づいて選択され、液体が親水性の場合は第二の流路の内壁材質を第一の流路のそれよりも親水性にし、液体が親油性(疎水性)の場合は第二の流路の内壁材質を第一の流路それよりも親油性(疎水性)にすることにより、第二の流路に優先的に液体を導入することができる。
親水性の内壁用材料としては、有機材料では、例えばポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、エポキシ樹脂、セルロースおよびその誘導体、酢酸ビニルが挙げられる。これらの材料は水溶性あるいは親水性であり膨潤による第二の流路の容積変化の防止のために架橋することが好ましい。無機材料では、例えばガラス、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、ステンレスが挙げられる。
親油性あるいは疎水性の内壁用材料としては、有機材料では、例えばスチレン系樹脂、ポリMMA樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、PPS樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が挙げられる。無機材料では、例えば金属シリコン、シリコーン、チタン、ニッケル、アルミ、鉄、金、およびこれらの合金が挙げられる。
これらの材料を使用して、例えば、異なる親和性の材料で形成した第一の流路と第二の流路を接合して吐出装置を作製する。このように異なる各材料を接合する場合、流路が同一水平面上に配置されるようにこれらを接合してもよく、あるいは材料面同士を上下に重ねて各流路がそれぞれ水平方向と垂直方向を向くように接合してもよい。
流路が同一水平面上に配置されるように接合する場合、予め接合してある2つの材料のそれぞれにサブトラクティブ法により切削やエッチングで流路を設けるか、あるいはアディティブ法により、少なくとも1つの流路をフォトレジストなどで仮充填しておき、それ以外の部分を第一の流路とは異なる材料で充填した後にフォトレジストなどを除去する。
材料面同士を上下に重ねて接合する方法としては、図4に示したように、溝11を切った材料7と、溝11と接合する箇所に貫通穴12を開けた材料8を用意して、これらを接着剤、熱溶融接合、摩擦接合、陽極接合などにより接合する方法が挙げられる。
あるいは、図18に示したように、溝11aを切った材料7と、貫通穴12の代わりに溝11bが形成された材料8を用いて、これらの溝が相対するように交差する形で接合してもよい。この方法によれば、一方の材料における第一の溝と、他方の材料における第二の溝とを交差するだけでよく、位置合わせなどの問題を最小限にすることができる。
また、第一の流路と第二の流路を同一の材料で作製し、いずれかの流路の表面を処理して異なる溶媒親和性としてもよい。例えば、いずれかの流路をレジスト、ワックスなどで充填マスクしておき、マスクしていない流路表面を改質することができる。表面を改質する方法としては、改質前の流路表面とは異なる親和性のコーティング剤で表面コーティングする方法、コロナ、酸素プラズマ、熱処理などで表面酸化して親水性を増す方法などが挙げられる。
図5は本発明の他の実施形態における定量液体吐出装置の断面図である。同図に示したように、本実施形態の液体定量吐出装置では、両端が開放された第一の流路1から、第二の流路2が複数分岐されている。吐出液体を第2の流路へ優先的に充填する手段としては、前述した断面積の相違による方法および接触角の相違による方法のいずれであってもよい。このように複数の分岐点3を有する流路構造を得る方法としては、第一の流路の底面
から第二の流路を形成する方法が特に好ましく、コンパクトな装置サイズとすることができる。具体的には、ドリリング、フォトエッチングなどにより容易にこのような構造を形成することができる。
本実施形態によれば、流路内壁の親和性の相違により第一の流路1から複数の第二の流路2へ液体を容易に導入することができる。さらに、従来のようにポンプやバルブなどのアクティブ吐出機構を液体の個別の吐出口毎にあるいはこれに対応する流路毎に個別に設ける必要が無く、低コスト且つ簡易な構成である。また、それぞれ容積が異なる第二の流路を第一の流路に接続して、吐出容量に対応した第二の流路から吐出することで、吐出対象の容量に応じて吐出量を変更することも可能である。
図6および図7は、本発明の他の実施形態における液体定量吐出装置を示す。図6(a)は液体定量吐出装置の一例を示した流路方向に沿った断面図、図6(b)はそのA−A線による断面図である。図7(a)は液体定量吐出装置の一例を示した上面図、図7(b)はそのB方向矢視図である。
本実施形態の吐出装置では、液体移送を制御する同一の手段によって液体移送が制御される第一の流路が複数設けられている。これらの第一の流路は、例えば図6に示したように同一水平面上に設けられていてもよく、あるいは図7に示したように異なる水平面上に設けられていてもよい。
このように複数の第一の流路を設けることにより、異なる複数の液体をそれぞれ異なる流路に導入し、異なる液体を同時に吐出することができる。また、同一の液体を複数の吐出対象に吐出することもできる。さらに、これらの第一の流路から分岐するそれぞれの第二の流路の容積を変えることより、吐出対象物に対して任意の種類の液体を、任意の容量で吐出することが可能である。
以上の各実施形態のように、液体定量吐出装置に複数の第二の流路を設けることができるが、これら第二の流路の数は特に限定されず、複数の第二の流路の累積容積が第一の流路の容積以下であればよく、好ましくは複数の第二流路の累積容積が第一の流路の容積の80%以下、より好ましくは60%,さらに好ましくは40%以下である。
図11は、本発明の一実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。液体の吐出は、次のように行われる。まず、第一の流路1の片側開口部から液体14を注入し、第二の流路2に液体14を充填する(図11(a))。次いで分岐点3において第一の流路1に残留する液体14を排除した後(図11(b))、第二の流路2の開口部4を吐出対象5と接触させ(図11(c))、第二の流路2内に保持された吐出液体14を吐出対象5に定量吐出させる(図11(d))。なお、容器状の吐出対象5内にはあらかじめ受け液15が滴下されており、第二の流路2の開口部4をこの受け液15と接触させる。
第一の流路への液体の注入は、各種の方法で行うことができ、例えば溝を切った平面板に蓋をして形成した第一の流路に対して、上部蓋を穿孔することによって液体をスポットするための穴を設け、スポッターなどでこの穴から第一の流路にスポットして液体を注入することができる。また、第一の流路と外部の投入管とを接続して、第一の流路とこの投入管との間に差圧を生じさせて液体を注入することができる。
第一の流路の片側の開放端から液体を注入した後、差圧などにより反対側の開放端方向へ液体を移動させる。液体が第二の流路との分岐点に達すると表面張力の差により液体は瞬間的に第二の流路に入り込む。第二の流路が複数ある場合には、充填したい流路まで液体を移動させることにより、この流路よりも手前側で分岐するそれぞれの第二の流路とと
もに連続的に液体を充填することができる。
第二の流路に液体を充填した後、第一の流路に差圧を加えることにより、分岐点において第一の流路に残留する液体を分岐点から排除する。次いで、第二の流路の開口部と吐出対象部とを、その少なくともいずれかをXYテーブルなどに載置して移動させることにより接触させる。すると瞬間的に第二の流路に保持された液体は吐出対象に吐出される。吐出対象の接触物は固体、液体のいずれでもよいが、液体の方が第二の流路の開口部が損傷する可能性が少ないために好ましい。このため、容器などの吐出対象に微量の液滴を予め収容しておき、この液滴と第二の流路の開口部とを接触させることが好ましい。
図19は、本発明の他の実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。本実施形態では、それぞれ異なる種類の液体が充填される三本の第一の流路1a、1b、1cが設けられ、それぞれの第一の流路は複数の第二の流路2a、2b、2cを有している。吐出対象部5として、ピッチがSxの間隔で液体が充填された凹面マトリックス5a〜5f…が設けられている。第一の流路1a、1b、1cには、Sxの間隔で第二の流路の吐出部開口部4a、4b、4cが設けられている。第一の流路は、同一平面にSyのピッチ間隔で順番に設けられている。Syの間隔はSxと同等か、あるいは吐出対象の基板面積よりも大きいことが吐出対象を任意に選択する点から望ましい。あるいは、第一の流路1a、1b、1cを、図7のように垂直に設けてもよい。
第一の流路1a、1b、1cの片側開口部から、それぞれ種類の異なる液体14a、14b、14cを注入し、第二の流路にこれらの液体を充填する(図19(a))。次いで分岐点3a、3b、3cにおいて第一の流路に残留する液体を排除する(図19(b))。
次いで、第二の流路2aの開口部4aを凹面マトリックス5a、5dと接触させ(図19(c))、液体14aを吐出させる。吐出後、吐出開口部4aを切り離し、次いで吐出機構部あるいは吐出対象部5のいずれかをSyだけ移動させ、図19(c)に示した操作を第一の流路1b、1cについても同様に逐次行い、液体14b、14cを吐出する。
この方法により、同一線上に14a、14b、14c、14a、14b、14cの順に液体が凹面マトリックス5a〜5f…へ吐出される。さらに吐出対象部5を吐出間隔Sxだけ移動させることで、マトリックスの数だけ同様な操作を繰り返す。その結果、14a、14b、14c、14a、14b、14c…のスポットをマトリックス状に形成することができる。
上記の方法は、例えば液晶ディスプレイ用カラーフィルターなどに使用することができ、例えば吐出対象部のスペースの部分をあらかじめブラックマトリックスとして従来の方法で作成し、ブラックマトリックスを土手として形成された凹部の全てにカラーレジスト溶液と親和性のある液体を充填する。
次いで、赤色カラーレジスト溶液14aを第一の流路1aを経由して複数の第二の流路2aに逐次充填し、Sxの間隔で赤色カラーレジスト溶液14aを吐出対象部に接触吐出し、乾燥あるいはUV硬化させる。以後同様に、緑、青、のカラーレジスト14b、14cを吐出することで、吐出対象部にマトリックスの第一のラインに赤、緑、青のカラーレジストを吐出パターニングすることが可能となる。
次いで、第一の流路から、カラーレジスト溶液を空となった第二の流路の分岐点に達するか超えるまで導き、第二の流路にそれぞれの液体を充填して、吐出機構部、あるいは吐出対象部のいずれかを所定の距離だけ移動させマトリックスの第二のラインに同様に赤、
緑、青の吐出を行う。
この操作を逐次繰り返すことで、所望のマトリックスに赤、緑、青のカラーレジストを吐出し、溶剤を蒸発させ、カラーレジストを乾燥固化することでカラーパターンを形成することができる。
従来、カラーフィルターの作成方法としてフォトリソグラフィー方法が使用されているが、この方法は多数の工程が必要であり、コスト高となる。インクジェット法による方法も検討されているが、ノズル口ごとにアクティブな吐出機構を設ける必要があり、カラーフィルターが大面積になるにつれインクジェット装置がコスト高となる。印刷による方法も実用化されているが、インキの転写むらが生ずることがある。
これに対して、本実施形態によれば、三本の第一の流路とそれから分岐する多数の第二の流路から構成されるきわめて簡便な装置により、定量のインキをカラーフィルターレジストとして吐出することができる。
図12は、本発明の他の実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。液体の吐出は、次のように行われる。まず、第一の流路1の片側開口部から液体14を注入し、複数の第二の流路2に液体14を充填した後、分岐点3において第一の流路1に残留する液体14を排除し(図12(a))、液体14が保持された第二の流路2の各開口部4と、独立した複数の吐出対象5とを接触させ(図12(b))、これにより同一の液体14を同時に複数の吐出対象5へ定量吐出させる(図12(c))。なお、容器状の吐出対象5内にはあらかじめ受け液15が滴下されており、第二の流路2の開口部4をこの受け液15と接触させる。
これらの独立した吐出対象を、それぞれの第二の流路に対応する位置に配置することにより、複数の吐出対象に並行して液体が吐出される。例えば、各吐出対象を独立した移動体テーブルに載置して、それぞれ独立に吐出対象を吐出開口部に移動させ、次いでこれらを接触させることにより、複数の吐出対象における任意の箇所に、同一液体を同時に吐出することができる。
図13は、本発明の他の実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。本実施形態では、液体の吐出を、図11および図12に示した方法により同一の吐出対象に対して複数回行い、これにより吐出対象に対する液体の吐出量を任意に制御している。すなわち、第二の流路2の開口部4を吐出対象5aおよび5cに接触させて、第二の流路2の容積に応じた所定量の液体14を吐出した後(図13(a))、さらに第二の流路2に液体14を充填するとともに、液体14を吐出させる吐出対象5aのみを開口部4の下方に位置合わせし(図13(b))、第二の流路2の開口部4を吐出対象5に接触させて(図13(c))、第二の流路2の容積に応じた所定量の液体を吐出対象5aへさらに吐出する(図13(d))。
吐出液量の必要性に応じて、同一の容積の第二の流路を複数有するものを用いて目的量に応じた回数だけ吐出を行ってもよく、あるいは、それぞれ異なる容積の流路を複数有するものを用いて、目的量に応じた容積の流路を複数選択して吐出を行ってもよい。例えば、容積単位が100、10、5、3、1単位である複数の第二の流路が第一の流路から分岐したものを使用し、吐出対象Aには103単位を、吐出対象Bには121単位を吐出する場合、最初のサイクルでは100単位および3単位の流路開口部と吐出対象Aとを接触させ、次いで、次のサイクルでは100単位、10単位、10単位および1単位の流路開口部と吐出対象Bとを接触させることにより、所定量の液体をこれらの吐出対象に吐出することができる。
上述した各実施形態の液体吐出方法は、粒子の定数吐出に適用することができる。すなわち、第一の流路の片側開口部から粒子分散液を注入し、第二の流路に粒子分散液を充填した後、これらの分岐点において第一の流路に残留する粒子分散液を排除し、次いで、第二の流路の開口部を吐出対象と接触させ、第二の流路内に保持された粒子分散液を吐出対象部分に吐出し、これにより定数の粒子を吐出する。
分散液中の粒子が均一に分散されている場合、吐出対象へ吐出される粒子数は均一となる。粒子が均一に分散されるためには、粒子の大きさが、粒子の比重×粒子径が20μm以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。ここで粒子径の単位はミクロンである。粒子の比重×粒子径が20μmよりも大きい場合、粒子が沈降しやすく溶液中の粒子が均一とならないために吐出粒子数が均一になりにくくなる。
粒子の比重×粒子径がこのような条件を満たす粒子として、例えば、粒子径が0.168ミクロンから15.62ミクロンの範囲で均一分散された、JSR株式会社製の濁度検体用標準粒子“クリーンテックス”を使用することができる。
この他、吐出する粒子としては、例えばアガロースなどのセルロース系粒子、スチレン、スチレンジビニルベンゼン、PMMA、アクリル系樹脂、架橋アクリルアミド粒子、架橋PVA粒子、あるいはこれらのような有機粒子と磁性体のハイブリッド、シリカ系などを使用することができる。
粒子の分散液中における濃度は10質量%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。濃度が10質量%よりも高い場合、粒子同士が凝集して均一な分散が妨げられることがある。
本発明の液体定量吐出装置を作製して液体の定量吐出を行った試験例を以下に示す。図14は、市販の122.5×122.5×10mmのアクリル樹脂板9に、機械的な切削加工により幅5mm、深さ5mmの溝11を両端まで貫通するように切削したものであり、図14(a)は上面図、図14(b)は側面図である。また、溝11側とは反対の面から溝11へ貫通するφ=10mmの液体投入用受け皿10を機械切削加工により形成した。
一方、厚さ300ミクロンの6インチシリコンウエハー((100)面)を用意して、プラズマCVD装置を用いて窒化シリコンを厚さ0.5ミクロンに製膜し、この窒化シリコン膜上に、JSR株式会社製レジストTHBを30ミクロンの厚さに塗布した。マスクアライナーにより所定のパターンをレジストに転写した後、ウエットエッチングを行い、レジスト現像液にて不要なパターンに相当するレジストを剥離することによって、レジストTHBに所定の大きさの四角い穴形状を形成した。さらにプラズマドライエッチャーでレジストTHBの四角パターンを膣化シリコン膜に転写した後、レジストを酸素プラズマで灰化させて除去した。ウエハーは54.7°の傾斜で(111)面を有するため、図15に示したように側面が傾斜した突起パターン13が形成された。
次いで、上記と同様の方法にて、同様の異方性エッチングにより図16に示したように突起パターン13の間に貫通穴12を形成した。
得られたウエハーを焼成炉に入れ、窒素雰囲気下において1000℃で1時間焼成して表面を酸化した。次いで、ウエハーを150℃に加熱した電熱プレート上に、突起パターン13を下側にして載置し、全体を150℃に加熱した。
次いで、図14のアクリル樹脂の溝11の中心に、このシリコンウエハーの貫通穴12が位置するようにして、アクリル樹脂をシリコンウエハーに熱溶着した。このようにして、図17に示したように、アクリル樹脂9の溝11を第一の流路1とし、シリコンウエハーの貫通穴12を第二の流路2として、突起パターン13を開口部4の突起部とした吐出装置を得た。
この吐出装置の2つの液体投入受け皿23にテフロン(R)チューブを介して樹脂容器を連結し、この樹脂容器に赤色染料で染色した染色水を入れて、アクリル樹脂の第一流路に赤色染料で染色した染色水を差圧注入した。差圧注入した染色水が全ての第二流路に充填されたことを第二流路の底面から顕微鏡観察を行い確認した。
次いで、この染色水を入れた樹脂容器の代わりに、空の樹脂シリンジをテフロン(R)チューブに接続し、アクリル樹脂製の液体投入受け皿に空気を差圧導入して樹脂シリンジに圧力を掛け、空気圧により第一の流路の染色水をその開放端面から排出した。前記と同様に顕微鏡で第二の流路を観察したところ、第二の流路に依然として染色水が留まっていることが確認された。
第二の流路に染色水が貯まった状態の吐出装置の下から、マイクロカバーガラス(Mitsunami Glass製 18x18mm,No.1)を平行を保ちながらゆっくりと接近、接触させて、吐出装置の第二の流路の図16の穴径0.628mmの部分に貯まった染色液の開口部をマイクロカバーガラスと接触させて溶液をガラスに移動させた。染色液を移し取る前後のマクロカバーガラスの質量変化を、島津製作所製ミクロ天秤LIBROR AEM-5200を用いて測定した。
その結果を表1に示した。表1の結果より、第二の流路の容積は計算上0.0563mm3である
ことから、ほぼ染色液の全量を第二の流路へと流すことができた。
Figure 2005279553
図1は、本発明の一実施形態における液体定量吐出装置の断面図である。 図2(a)は図1の位置Aにおける第一の流路の断面図、図2(b)は位置Bにおける第二の流路の断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態における液体定量吐出装置の断面図である。 図4は、吐出液体に対する親和性が異なる2つの材料を上下に重ねて接合する様子を示した図である。 図5は、本発明の他の実施形態における定量液体吐出装置の断面図である。 図6は、本発明の他の実施形態における液体定量吐出装置を示し、図6(a)は流路方向に沿った断面図、図6(b)はそのA−A線による断面図である。 図7は、本発明の他の実施形態における液体定量吐出装置を示し、図7(a)は上面側からの流路配置を説明する図、図7(b)はそのB方向矢視図である。 図8(a)、(b)は、異方性エッチングにより形成した第二の流路の断面図である。 図9は、異方性エッチングにより第二の流路を形成する具体例を説明する断面図である。 図10は、異方性エッチングにより第二の流路の開口部を形成する方法を説明する断面図であり、図10(a)はエッチング前、図10(b)はエッチング後の状態を示す。 図11は、本発明の一実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。 図12は、本発明の一実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。 図13は、本発明の一実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。 図14は、流路用の溝を切ったアクリル樹脂板を示し、図14(a)はその上面図、図14(b)は側面図である。 図15は、突起パターンを形成したシリコンウエハーの断面図である。 図16は、貫通穴を形成したシリコンウエハーの断面図である。 図17は、溝を切ったアクリル樹脂板と貫通穴を形成したシリコンウエハーとを接合して流路を形成した状態を示した断面図であり、図17(a)は第一の流路の方向に沿った断面図、図17(b)はこれと第一の流路と垂直な断面図である。 図18は、吐出液体に対する親和性が異なる2つの材料を上下に重ねて接合する様子を示した図である。 図19は、本発明の一実施形態における液体の定量吐出方法を説明する図である。
符号の説明
1 第一の流路
2 第二の流路
3 分岐点
4 開口部
5 吐出対象(部)
6 第二の流路用の穴
7 材料
8 材料
9 アクリル樹脂板
10 液体投入用受け皿
11 溝
12 貫通穴
13 突起パターン
14 吐出液体
15 受け液

Claims (13)

  1. 両端が開放された第一の流路と、
    この第一の流路から分岐し、その分岐点における断面積が、該分岐点における第一の流路の断面積よりも小さい第二の流路とが設けられ、
    第一の流路から供給された吐出液体を第二の流路に充填し、前記分岐点において第一の流路の液体を排除した後、第二の流路の末端側の開口部を吐出装置とは独立した任意に選択可能な吐出対象と接触させることにより、第二の流路の容積で規定される所定量の液体を該吐出対象に吐出することを特徴とする液体定量吐出装置。
  2. 両端が開放された第一の流路と、
    この第一の流路から分岐し、その内壁と吐出液体との接触角が、第一の流路の内壁と該吐出液体との接触角よりも小さい第二の流路とが設けられ、
    第一の流路から供給された吐出液体を第二の流路に充填し、前記分岐点において第一の流路の液体を排除した後、第二の流路の末端側の開口部を吐出装置とは独立した任意に選択可能な吐出対象と接触させることにより、第二の流路の容積で規定される所定量の液体を該吐出対象に吐出することを特徴とする液体定量吐出装置。
  3. 第二の流路の末端側の開口部が、該開口部の周囲から突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の液体定量吐出装置。
  4. 第一の流路から、複数の第二の流路が分岐されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体定量吐出装置。
  5. 液体移送を制御する同一の手段によって吐出液体が移送される複数の第一の流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体定量吐出装置。
  6. 複数の異なる液体を充填する複数の第一の流路が設けられ、各第一の流路毎に、複数の第二の流路が分岐されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体定量吐出装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の液体定量吐出装置を製造するに際し、第二の流路を異方性エッチングにより形成することを特徴とする液体定量吐出装置の製造方法。
  8. 請求項3に記載の液体定量吐出装置を製造するに際し、第二の流路の末端側の開口部を異方性エッチングにより突出形成することを特徴とする液体定量吐出装置の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の装置を用い、
    第一の流路の片側開口部から液体を注入し、第二の流路に液体を充填する工程と、
    前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
    第二の流路の開口部を吐出対象と接触させ、第二の流路内に保持された吐出液体を、吐出装置とは独立した任意の吐出対象に定量吐出させる工程とを含むことを特徴とする液体の定量吐出方法。
  10. 請求項4に記載の装置を用い、
    第一の流路の片側開口部から液体を注入し、複数の第二の流路に液体を充填する工程と、
    前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
    液体が保持された第二の流路の各開口部と、吐出装置とは独立した複数の任意の吐出対象とを接触させ、これにより同一の液体を同時に吐出装置とは独立した複数の吐出対象へ
    定量吐出させる工程とを含むことを特徴とする液体の定量吐出方法。
  11. 請求項6に記載の装置を用い、
    複数の第一の流路の片側開口部からそれぞれ異なる液体を注入し、各第一の流路における複数の第二の流路に液体を充填する工程と、
    前記分岐点において第一の流路に残留する液体を排除する工程と、
    液体が保持された第二の流路の各開口部と、吐出装置とは独立した複数の任意の吐出対象とを接触させ、これにより該液体を同時に吐出装置とは独立した複数の吐出対象へ定量吐出させる工程とを含むことを特徴とする液体の定量吐出方法。
  12. 第二の流路の開口部を吐出対象に複数回接触させ、これにより液体の吐出量を任意に制御することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の液体の定量吐出方法。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の装置を用い、
    第一の流路の片側開口部から粒子分散液を注入し、第二の流路に粒子分散液を充填する工程と、
    前記分岐点において第一の流路に残留する粒子分散液を排除する工程と、
    第二の流路の開口部を吐出対象と接触させ、第二の流路内に保持された粒子分散液を吐出対象に吐出し、これにより定数の粒子を吐出する工程とを含むことを特徴とする粒子の定数吐出方法。
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