本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態にかかる携帯機器は、2つの筐体が開閉自在に連結された折り畳み型の携帯電話機である。なお、本実施の形態にかかる携帯機器は、ラジオ放送やテレビ放送等の視聴機としての機能、および、携帯ゲーム機としての機能を備えている。
図1は、本実施の形態にかかる携帯電話機1の、開いた状態を示す斜視図である。図2は、携帯電話機1の、閉じた状態を示す斜視図である。図3は、携帯電話機1を図2中の矢印III方向から見た斜視図である。
図1〜図3に示すよう、携帯電話機1は、カメラ機能を有する折り畳み型の携帯電話機であり、カメラ部(図示せず)を備える一方の筐体を表裏反転させることができるタイプの携帯電話機である。
携帯電話機1は、第1の筐体2と、第1の筐体2に対して回動軸5(第1の回転軸)を中心に回動自在に連結されたヒンジ部3と、ヒンジ部3に対して回転軸6(第2の回転軸)を中心に回転自在に連結された第2の筐体4とから構成されている。なお、第1および第2の筐体2,4やヒンジ部3は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene resin)やPC−ABS(Polycarbonate - Acrylonitrile Butadiene Styrene resin)等のプラスチック樹脂を材料として構成されている。
また、回動軸5と回転軸6とは互いに略直交するように設けられている。そして、ヒンジ部3および第2の筐体4は、回動軸5を中心に角変位自在に回転させることができる。これにより、携帯電話機1の形状は、図1に示す開いた状態と図2および図3に示す閉じた状態との間で変化する。
図1および図2に示すように、第1の筐体2は、略矩形形状の表面7aを有するベース部7と、表面7aの所定位置から突出して形成された突出部8とからなる。表面7aは、携帯電話機1を開いた状態で外側に面し、閉じた状態で内側に面する表面である。すなわち、表面7aは、携帯電話機1を閉じた状態では筐体4によって覆われており(閉塞しており)、携帯電話機1を開くことによって外部に対して開放状態となる。ベース部7は、表面7aに対して略直角に連なり、表面7aを挟んで互いに平行に延在する、一対の側面7bを有する。
表面7aには、数字および文字を入力するためのキーなどから構成される入力ボタン群9と、携帯電話機1における各種設定/機能切替を行うための機能ボタン群10とが設けられている。これら入力ボタン群9や機能ボタン群10のキートップ部は、ABSやPC−ABS等のプラスチック樹脂を材料として構成されており、さらに機能ボタン群10のキートップ部には、クロームメッキ等のメッキ加工が施されている。
なお、これら入力ボタン群9および機能ボタン群10は、携帯電話機1の開閉操作および携帯電話機1を閉じた状態での機器への押圧によってキー操作されないように配置されている。具体的には、携帯電話機1が閉じた状態で、第1および第2の筐体2,4との間に間隙Aが設けられるよう設計されている。
また、表面7aには、携帯電話機1を開いた状態での通話等に用いる第1のマイクに対応するマイク孔11aと、携帯電話機1を閉じた状態での通話等に用いる第2のマイクに対応するマイク孔11bとが穿設されている。すなわち、第1のマイクは、マイク孔11aを介して伝導された音声を適切に取得(入力)できるように、マイク孔11aに対応(関連)する位置に配置されている。同様に、第2のマイクは、マイク孔11bを介して伝導された音声を適切に取得できるように、マイク孔11bに対応する位置に配置されている。第1のマイク孔11aは、突出部8が形成された端部側と反対側の端部に配置されている。第2のマイク孔11bは、突出部8の近傍に配置されており、第1の筐体2とヒンジ部3および第2の筐体4とが対向するように回転軸5を中心としてヒンジ部3を第1の筐体2に対して回転させ、携帯電話機1を閉じた状態において、中央部3mに対向する位置に配置されている。すなわち、図2に示す、第1の筐体2とヒンジ部3との間に生じる間隙Bと、ヒンジ部3と第2の筐体4との間に生じる間隙Cとの中間に配置されている。
なお、この第2のマイク孔11bの配置については、携帯電話機1を閉じた状態において、第1の筐体2とヒンジ部3との間に生じる間隙Bまたはヒンジ部3と第2筐体4との間に生じる間隙Cが上部に来る位置であっても良い。
また、第1のマイクおよびそれに対応する第1のマイク孔11aを廃止し、携帯電話機1を開いたときと閉じたときの何れの状態でも第2のマイクを用いるようにしても良い。このような構成とする場合、部品点数の増加を招くことなく、携帯電話機1を開いたときと閉じたときの何れの状態でも通話が可能となるよう構成することができる。
さらに、側面7bの一方には、第1の筐体2の内部に収容されるカメラ部の使用時に操作されるシャッタボタン12が設けられている。
ヒンジ部3に隣り合って位置し、回動軸5が延びる方向に延在する表面7aの周縁には、突出部8が設けられている。突出部8は、回動軸5が延びる方向に距離を隔てて位置し、表面7aに対して略水平となる表面8aと、表面7aに略直角となるように表面8aにおける表面7aと離れた位置に連なる一対の側面8bとを有する。表面8aには、着信メロディ等の音声を高レベルで出力する第1のスピーカ用の、第1のスピーカ孔13が設けられている。突出部8における回転軸5方向の両端となる面である一対の側面8cの各々は、一対の側面7cの各々より所定の距離だけ内側に寄った位置で、表面7aに連なっている。したがって、突出部8は、表面7aの周縁の両端を除いた中心付近に設けられている。
第1の筐体2には、突出部8に回動自在に設けられたヒンジ部3と、ヒンジ部3に対して回転軸6を中心に回転自在に設けられた第2の筐体4とが接続されている。回転軸6の延長線は、突出部8の中心、つまり、一対の側面8cの各々からの距離が等しい位置で回動軸5に直交している。
ヒンジ部3は、回動軸5が延びる方向に延在する中央部3mと、中央部3mの両端から回転軸6が延びる方向に延在する両端部3nとによって、U字状に形成されている。ヒンジ部3は、両端部3nが突出部8の一対の側面8cを挟み込むように位置決めされている。ヒンジ部3の内部には、図示しないヒンジ装置とアンテナが収容されている。そして、ヒンジ装置によって、両端部3nと側面8cとが、回動自在に連結されている。これにより、中央部3mと第2の筐体4とが、第1の筐体2に対して回転自在に連結されている。また、アンテナを介して例えば基地局との信号の送受信が行われる。
第2の筐体4は、ヒンジ部3が連結される端部側が一部切り欠かれた略矩形形状の表面4aを有する。表面4aには、第1の表示部14が設けられている。第1の表示部14は、液晶ディスプレイやEL(electro luminescent)ディスプレイなどによって構成されており、表示ドライバ部を介して与えられる画像データに基づいて画像を表示する。また、表面4aには、通話等に用いるレシーバのレシーバ孔15が穿設されている。レシーバ孔15は、第2の筐体4における、ヒンジ部3が連結される端部側と反対側の(対向する)端部側に配置されている。なお、第1の表示部14は、表面4aにおける、ヒンジ部3が連結される端部側とレシーバ孔15との間に設けられている。また、表面4aには、第1の表示部14を外側にして携帯電話機1を閉じたときに用いる操作ボタン群16が設けられている。操作ボタン群16は、第1の表示部14の四隅にそれぞれ設けられている。
また、第2の筐体4には、ヒンジ部3が連結される端部側の切り欠かれた部分に、緩衝部材17が設けられている。この緩衝部材17は、ABSやPC−ABS等のプラスチック樹脂や、プラスチック樹脂にメッキ加工を施したものよりも低硬度で且つ弾性を有するTPE(Thermoplastic-Elastomer)やTPEE(Thermoplastic-Polyester-Elastomer)等のゴム含有プラスチック樹脂(エラストマー)を材料として構成されている。
この緩衝部材17が設けられる部分は、携帯電話機1を閉じたときに第1の表示部14が閉塞される状態(表示部14が第1の筐体2における表面7aに対向している状態)でのヒンジ部3に対する第2の筐体4の角度を0度、携帯電話機1を閉じたときに第1の表示部14が開放される状態(第2の筐体4における表示面14の反対側の面である表面4bが、第1の筐体2における表面7aに対向している状態)でのヒンジ部3に対する第2の筐体4の角度を180度としたとき、第2の筐体4をヒンジ部3に対して90度回転させた状態で、ヒンジ部3を第1の筐体2に対して回動させたときに第1の筐体2に接触する、第2の筐体4の角部である。
このように、第1の筐体2を構成する材質より低硬度の材質からなる緩衝部材17を備えることにより、第2の筐体4の強度低下を抑制することができ、また、第1の筐体2および第2の筐体4の接触による破損を防止できる。なお、緩衝部材17は、第1の筐体2を構成する材質と同等、もしくは第1の筐体2を構成する材質よりも硬い材質であっても良い。このような材質を用いる場合、緩衝部材17が変形したり、第2の筐体4に対して緩衝部材17が移動する等、第2の筐体4に対する押圧による力や摺動による力を軽減できるような構成とすれば良い。
また、本実施の形態では、ヒンジ部3に対する第2の筐体4の回転範囲が0度から180度となるよう構成し、第2の筐体4を上部(回転軸6の延長線上であって、第2の筐体4に対してヒンジ部3側とは反対側)から見たとき、0度の状態から時計回り(右回り)に180度まで回転し、180度の状態から反時計回り(左回り)に0度まで回転するよう構成している。したがって、緩衝部材16は、ヒンジ部3が連結される端部側の一方の角部に設けられている。
このような構成とすることで、第2の筐体4において、第1の筐体2を構成する材質より低硬度の材質からなる部分を最小限に抑えることができ、第2の筐体4の強度低下をより抑制することができる。また、ヒンジ部3に対して第2の筐体4を回転させる場合の、ヒンジ部3と第2の筐体4とを結ぶ信号線(リード線やフレキシブル基板)の捩れを最小限に抑えることができる。さらに、ユーザは、緩衝部材17が常に表面7a側に来るように第2の筐体4を回転させれば良いため、回転方向が認識し易く、誤った方向に回転させることを抑制することができる。そのため、第2の筐体4を誤った方向に回転させることによって生じるヒンジの破壊を抑制することができる。
図3に示すように、表面7aの反対側に位置するベース部7の表面7cには、突出部8の裏側に位置するように、撮影レンズ18およびフラッシュ19が並んで設けられている。フラッシュ19は、後に説明するカメラ部で撮影する際の補助光源として使われる。一般的には、補助光源にはキセノン管が用いられ、また最近では、RGBのLED(light emitting diode)が用いられている。これらの3色のLEDを同時発光させることによって、白色光の照明を得ることができる。
表面7cには、撮影レンズ18の近傍に位置するように、第2の表示部20および着信メロディ等の音声の出力に用いる第2のスピーカ用の、第2のスピーカ孔21が並んで設けられている。第2の表示部20は、液晶ディスプレイやELディスプレイなどによって構成されている。
図4は、携帯電話機1における第1の筐体2、ヒンジ部3、第2の筐体4の連結部を、図1中のIV方向から見た断面図である。この図に示すように、第1の筐体2の内部には、突出部8とベース部7との間で連通する内部空間22が規定されている。内部空間22には、撮影レンズ18の背面側に位置してカメラ部23と第1のスピーカ24が収容されている。カメラ部23は、オートフォーカス機能、20倍デジタルズーム機能および2倍光学ズーム機能等を備える高性能カメラである。第1のスピーカ24は着信メロディやラジオ放送またはテレビ放送の音声等を出力する高出力スピーカである。
カメラ部23は、CCD(charge coupled device)イメージセンサまたはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサなどの撮影素子と、RGBの3色のカラーフィルタとを備える。カメラ部23では、被写体で反射されて撮影レンズ18に入射した光を、カラーフィルタを通してRGBの3色光に変換し、RGBの3色光をそれぞれCCDに入射させる。
なお、第1のスピーカ24に代えて通話等に用いられる低出力のレシーバを内部空間22に収容するようにしても良く、このような構成とすることで、携帯電話機1を閉じた状態で、このレシーバと第1のマイクとを用いた通話を可能とすることができる。また、第1のスピーカ24を電気的に高出力用と低出力用に切り替えるようにすることでも前述の効果を奏することができるが、この場合には、通話中に第1のスピーカ24が高出力にならないよう規制する回路を設けると良い。これにより、通話中に第1のスピーカ24が高出力になることによりユーザが聴覚障害を起こすといったことを防止することができる。
図5は、図1に示した携帯電話機1の分解組立図である。図中には、開いた状態の携帯電話機1が表面7aおよび4a側から示されている。図4および図5に示すよう荷、第1の筐体2は、表面7aを有するキャビネット2pと、表面7cを有する背面キャビネット2qとから構成されている。第2の筐体4は、表面4aを有するキャビネット4pと、表面4bを有する背面キャビネット4qとから構成されている。
ヒンジ部3は、キャビネット3pと背面キャビネット3qとから構成されている。キャビネット3pと背面キャビネット3qとは、内部にヒンジ装置25を収容して組み合わされる。ヒンジ装置25は、中央部3mと第2の筐体4とを回転自在に連結するヒンジ機構26と、両端部3nと側面8bとを回動自在に連結する2つのヒンジ機構27とから構成されている。ヒンジ装置25は、ヒンジ機構26から2方向に枝分かれして延在し、その先端にヒンジ機構27が設けられた形状を有する。カメラ部23および第1のスピーカ24は、2つのヒンジ機構27の間に位置して第1の筐体2の内部に収容される。
このような構成によれば、ヒンジ部3に連結される突出部8の内部にまで連通する内部空間22にカメラ部23と第1のスピーカ24が収容される。このため、光学ズーム機能等を備えた大型のカメラ部23であっても、第1の筐体2の表面7c側を突出させることなく、第1のスピーカ24とともに第1の筐体2の内部に収容することができる。これにより、第1の筐体2の厚みが大きくなることがないため、携帯電話機1の小型化を図ることができる。
図6は、携帯電話機1を90度開いた状態(ヒンジ部3および第2の筐体4を、回転軸5を中心に第1の筐体2に対して閉じた状態から90度回動させた状態)とし、第2の筐体4を、回転軸6を中心にヒンジ部3に対して図1に示す状態から90度だけ回転させた状態を示す斜視図である。第2の筐体4は、この状態のときに、第1の表示部14が設けられた表面4aと、入力ボタン群9および機能ボタン群10が設けられた第1の筐体2の表面7aとが直交するように位置決めされている。
図7は、図6に示した状態から、携帯電話機1を180度開いた状態(ヒンジ部3および第2の筐体4を、回転軸5を中心に第1の筐体2に対して閉じた状態から180度回動させた状態)とし、第2の筐体4を、回転軸6を中心にヒンジ部3に対してさらに90度だけ回転させた状態を示す斜視図である。この場合、第2の筐体4の表面4aと第1の筐体2の表面7cとが同一方向を向き、第2の筐体4の表面4bと第1の筐体2の表面7aとが同一方向を向くように位置決めされる。なお、図1、図6および図7に示す状態に限らず、第2の筐体4は回転軸6を中心に適当な角度だけ回転させることができる。したがって、表面4aに設けられた第1の表示部14を所望の方向に向けることができる。
このように携帯電話機1では、第2の筐体4が、第1の筐体2に対して2方向に回転自在に設けられている。このため、カメラ部23を用いて被写体を撮影する場合に、ユーザは、その撮影の条件にあわせて第1の表示部14の向きを選択することができる。たとえば、正面に立った被写体を撮影する場合、ユーザは、第2の筐体4を図1に示す状態に位置決めすればよい。これにより、ユーザは、撮影レンズ18を被写体に向けながら、第1の表示部14に映し出された被写体の姿を確認することができる。また、第2の筐体4を図6に示す状態に位置決めすれば、ユーザは、正面に立った被写体の姿を、第1の表示部14を被写体が位置する方向とは異なる方向臨み込むような姿勢を取りながら確認することができる。
また、ユーザが自分の姿を撮影する場合、ユーザは、第2の筐体4を図7に示す状態に位置決めすれば良い。これにより、撮影レンズ18を自分に向けながら、第1の表示部14に映し出された自分の姿を確認することができる。なお、カメラ部23がセルフタイマ機能を備える場合、ユーザは、携帯電話機1から離れた位置に立って自分の姿を撮影することもできる。また、この場合、図3中の第2の表示部20にセルフタイマのカウントダウンを表示させても良い。
図8は、図6に示した状態から、携帯電話機1を閉成方向(回転軸5を中心として閉じる方向)に回動させた状態を示す斜視図である。この図に示すように、携帯電話機1において、第2の筐体4に設けられた緩衝部材17が、第1の筐体2の表面7aに設けられた機能ボタン群10のうち“Fキー”を押下するように閉じられる。携帯電話機1では、このような場合でも、“Fキー”は機能ボタン群10のうちでも使用頻度が高いことから耐久性が高くなるよう構成されていること、および緩衝部材17がTPEやTPEE等のゴム含有プラスチック樹脂によって構成されていることから、回動時の衝撃に伴う操作キーの破損を抑制することができる。
また、第2の筐体4に対して回動軸5を中心に閉成方向に回動させる力を加えている状態で、第2の筐体4を、回転軸6を中心として回転させると、第2の筐体4に設けられた緩衝部材17が、第1の筐体2の表面7aや機能ボタン群10の一部と接触しながら移動する。この場合、緩衝部材17が、第1の筐体2の表面7aや機能ボタン群10より低硬度の材質である、TPEやTPEE等のゴム含有プラスチック樹脂によって構成されていることから、第1の筐体2の表面7aや機能ボタン群10に対する傷の発生を抑制することができる。
図9は、表示面14が外側を向くように携帯電話機1を閉じた場合の、携帯電話機1の状態を示す斜視図である。また、図10は、この場合の、第1の筐体2の状態を示す透視斜視図である。すなわち、図9および図10は、第2の筐体4を図7に示す状態から、第2の筐体4を、回動軸5を中心に閉成方向に回動させた状態を示している。この場合、携帯電話機1は、第1の表示部14および操作ボタン群16が設けられた表面4aが外側を向き、表面4bが内側を向くように閉じられる。そして、この場合、ユーザは、例えばシャッタボタン12(図1参照)に右手の人差し指を掛け、両手で携帯電話機1を把持した状態で撮影を行うことができる。すなわち、携帯電話機1を、専用のデジタルカメラのようにして構えることができる。このため、携帯電話機1をカメラとして用いる際の使い勝手を向上させることができる。
また、この場合、第1の表示部14と第1のスピーカ24(あるいはスピーカ孔13)を略同一面とすることができるため、ラジオ放送やテレビ放送等の視聴機として用いる際の携帯電話機1の使い勝手を向上させることができる。また、レシーバ15も音声出力部として用いることにより、第1の表示部14を挟んで左右に音声出力部を配置することもできる。これにより、ステレオ再生を実現することができる。
また、携帯電話機1を閉じた状態で第1の表示部14を確認しながら操作ボタン群16を操作することができるため、携帯ゲーム機として用いる際の携帯電話機1の使い勝手を向上させることができる。この場合にも、第1の表示部14と第1のスピーカ24(あるいはスピーカ孔13)が略同一面となることから、ユーザは臨場感のあるゲームを体感することができる。また、第1のスピーカ24に代えて、もしくは第1のスピーカ24と並列に、上下左右のキーからなる十字キーを設けるようにしても良い。これにより、携帯ゲーム機として用いる際の操作性を向上することができ、携帯電話機1の使い勝手をより向上させることができる。
さらに、携帯電話機1を閉じた状態で、第2のマイク孔11bは、中央部3mに対向する位置、すなわち第1の筐体2とヒンジ部3との間に生じる間隙Bと、ヒンジ部3と第2筐体4との間に生じる間隙Cとの中間に配置されることから、これら間隙B,Cから間隙Aを通じて音声を拾いやすく、携帯電話機1を閉じた状態での通話品質を向上することができる。
次に、図11を参照して、携帯電話機1の電気的構成を説明する。図11は、携帯電話機1の概略構成を示す機能ブロック図である。この図に示すように、携帯電話機1は、アンテナ28、無線部29、通信制御部30、スピーカ駆動制御部31、レシーバ32、第1のスピーカ24、第2のスピーカ33、送話制御部34、第1のマイク35、第2のマイク36、表示制御部37、第1の表示部14、第2の表示部20、操作入力部38、入力ボタン群9、機能ボタン群10、操作ボタン群16、カメラ部23、画像制御部39、光源制御部40、フラッシュ19、記憶部41、第1のホール素子42、第2のホール素子43、状態検出制御部44および主制御部45によって構成されている。
無線部29は、アンテナ28を介して基地局あるいは他の通信機器との間でやり取りされる通信データの送受信処理を行う。また、この無線部29では、ラジオ放送やテレビ放送を受信することができる。通信制御部30は、各種通信の制御を行う。例えば、ラジオ放送やテレビ放送の受信制御や、ウエブサイトにおけるアプリケーションプログラム(例えば、ゲームプログラム等)をウエブサーバーからダウンロードするための送受信制御、発信時における発呼制御、通話制御、着信時における着呼制御、電子メールの送受信制御などが行われる。
スピーカ駆動制御部31は、音声出力時においてレシーバ32、第1スピーカ24、第2のスピーカ33を駆動する制御を行う。この第1のスピーカ24および第2のスピーカ33における駆動状態の切り替えは、状態検出制御部44による端末状態の検出結果や、携帯電話機1の各種機能の使用状態に基づいて行われる。
送話制御部34は、通話時に第1のマイク35および第2のマイク36から入力される音声信号の入力制御を行う。この第1のマイク35および第2のマイク36からの入力の切り替え(第1のマイク35および第2のマイク36の有効/無効の切り替え)は、状態検出制御部44による端末状態の検出結果に基づいて行われる。
表示制御部37は、第1の表示部14および第2の表示部20に表示する内容を切り替える制御を行う。この画面表示の切り替えは、状態検出制御部44による端末状態の検出結果等に基づいて行われる。操作入力部38は、入力ボタン群9、機能ボタン群10、操作ボタン群16におけるキー操作に基づいて入力処理を行う。
画像制御部39は、カメラ部23からの撮像データや記憶部41から読み出された画像データを表示用データに展開したり、JPEGデータに圧縮するなどの制御を行う。光源制御部40はフラッシュ19の発光制御を行う。
状態検出制御部44は、携帯電話機1がいずれの端末状態にあるのかの検出を行う状態検出手段である。すなわち、第1および第2のホール素子42,43のオンオフに基づいて、携帯電話機1が閉じているかどうか、また第2の筐体4がヒンジ部3に対して0度の状態にあるのかが判別される。これにより、端末状態が自動的に検出されるので、音声の入出力や画像表示の切り替えを自動的に行わせることができる。なお、第1および第2のホール素子42,43は、第1または第2の筐体2,4あるいはヒンジ部3に設けられ、第1および第2のホール素子42,43に対向する他の筐体に設けられたマグネットからの磁力を検知することでオンオフするようになっている。
次に、図12および図13を参照して、携帯電話機1の開閉動作および第2の筐体4の回転動作に伴う音声入力や表示内容の切り替え制御動作を説明する。図12は、携帯電話機1における音声入力や表示内容の切り替え制御動作の流れを示すフロー図である。
電源ON時(待受時、通話時、テレビ視聴時等)において、主制御部45は、状態検出部44からの検出信号を監視している。この状態で、状態検出部44が携帯電話機1の状態変化を検出すると、主制御部45は状態検出部44からの検出信号に基づいて音声入力や表示内容の切り替え制御を行う。
具体的には、まず、主制御部45は、状態検出部44によって、第2の筐体4およびヒンジ部3が、第1の筐体1に対して0度の状態であるか否か、すなわち、携帯電話機1が閉じられているか否かを検出する(ステップS1)。そして、携帯電話機1が閉じられている場合、主制御部45は、状態検出部44によって、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転しているか否かを検出する(ステップS2)。
ここで、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転している場合、主制御部45は、表示制御部37を制御し、第1の表示部14をオフにし(ステップS3)、第2の表示部20をオンにする(ステップS4)。さらに、主制御部45は、送話制御部34を制御して、第1のマイクをオフ(無効)にし(ステップS5)、第2のマイクをオン(有効)にする(ステップS6)。そして、音声入力や表示内容の切り替え制御動作を終了する。
一方、ステップS2において、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転していなかった場合、すなわち、状態検出部44が、第2の筐体4がヒンジ部3に対して180度回転された状態で携帯電話機1が閉じられたことを検出した場合、主制御部45は、表示制御部37を制御し、第1の表示部14をオンにし(ステップS7)、第2の表示部20をオフにする(ステップS8)。その後、ステップS6およびS6の処理を行い、音声入力や表示内容の切り替え制御動作を終了する。
また、ステップS1において、携帯電話機1が閉じていなかった場合、主制御部45は、状態検出部44によって、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転しているか否かを検出する(ステップS9)。すなわち、状態検出部44によって、第2の筐体4がヒンジ部3に対して0度の状態で、携帯電話機1が開かれているか否かを検出する。
そして、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転していない場合、主制御部45は、主制御部45は、表示制御部37を制御し、第1の表示部14をオンにするとともに、第1の表示部14の一部(例えば画面左下)に、第2の筐体4が右回りに回転可能なことを視覚的に表す“右回りアイコン”を表示させる。図13(a)は、第1の表示部14の画面左下に、第2の筐体4が右回りに回転可能なことを視覚的に表す“右回りアイコン”を表示した状態を示す平面図である。
さらに、主制御部45は、第2の表示部20をオフする(ステップS12)とともに、送話制御部34を制御し、第1のマイクをオン(ステップS13)、第2のマイクをオフする(ステップS14)。これにより、音声入力や表示内容の切り替え制御動作を終了する。
一方、ステップS9において、第2の筐体4がヒンジ部3に対して回転していた場合、すなわち、状態検出部44によって、第2の筐体4がヒンジ部3に対して180度回転した状態で携帯電話機1が開かれたことを検出した場合、主制御部45は、表示制御部37を制御し、第1の表示部14をオンにするとともに、第1の表示部14の一部(例えば画面左下)に、第2の筐体4が左回りに回転可能なことを視覚的に表す“左回りアイコン”を表示させる。図13(b)は、第1の表示部14の画面左下に、第2の筐体4が左回りに回転可能なことを視覚的に表す“左回りアイコン”を表示した状態を示す平面図である。
さらに、主制御部45は、第2の表示部20をオフする(ステップS12)とともに、送話制御部34を制御し、第1のマイクをオン(ステップS13)、第2のマイクをオフする(ステップS14)。これにより、音声入力や表示内容の切り替え制御動作を終了する。
このように、携帯電話機1が開いているとき、第1の表示部14の一部(例えば画面左下)に、第2の筐体4が回転可能な方向を視覚的に表すアイコンを表示することにより、ユーザが回転方向を認識し易くなり、ユーザが誤った方向に回転させることを抑制することができる。そのため、第2の筐体4を誤った方向に回転させることによって生じるヒンジの破壊を抑制することができる。しかも、本実施の形態では、上記したように、ユーザは緩衝部材17の位置から回転可能な方向の認識することもできるので、回転可能な方向の視認性がより高くなっている。
なお、第2の表示部20にも第2の筐体4が回転可能な方向を視覚的に表すアイコンを表示するようにしても良い。これにより、第2の筐体4のヒンジ部3に対する回転角度が0度の状態で携帯電話機1が開かれた場合であって、第1の筐体2の主表面7c側から携帯電話機1を見た場合でも、ユーザは第2の筐体4の回転可能な方向を認識することができる。そのため、第2の筐体4を誤った方向に回転させることによって生じるヒンジの破壊をより一層抑制することができる。
また、例えば、第1のスピーカ孔13に代えて表示部を設け、この表示部に、第2の筐体4が回転可能な方向を視覚的に表すアイコンを表示するようにしても良い。これにより、第2の筐体4のヒンジ部3に対する回転角度が180度の状態で携帯電話機1が開かれた場合であって、第1の筐体2の主表面7a側から携帯電話機1を見た場合でも、ユーザは第2の筐体4の回転可能な方向を認識することができる。このため、第2の筐体4を誤った方向に回転させることによって生じるヒンジの破壊をより一層抑制することができる。
また、第2の筐体4が回転可能な方向を視覚的に表すアイコンは、携帯電話機1の開閉操作が行われた場合には即座に表示を切り替え、第2の筐体4の回転操作が行われた場合には即座に表示を切り替えないようにしてもよい。例えば、第2の筐体4の回転途中(1度〜179度)においては、表示中のアイコンの表示を維持し、第2の筐体4の回転が完了(0度または180度)したとき、その状態に基づくアイコンを表示するようにしてもよい。これにより、ユーザが、回転途中において回転可能な方向を誤認することを防止できる。したがって、ユーザは、当初希望した方向に第2の筐体4を確実に回転させることができる。
また、第2の筐体4の回転途中(1度〜179度)においては、右回転および左回転の両方が可能なことから右回りアイコンあるいは左回りアイコンを表示しなくても良く、また、図13(c)に示すように、右回転および左回転の両方が可能なことを視覚的に表すアイコン(左右回りアイコン)を表示するようにしても良い。
なお、本実施の形態では、折り畳み型の携帯電話機1を用いて説明したが、本発明による携帯機器はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、折り畳み式のPHS(Personal Handyphone System;登録商標)、折り畳み式のPDA(personal digital assistants)、折り畳み式のノート型パソコン、折り畳み式のワードプロセッサなどの、他の折り畳み式の携帯機器に対しても適用できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。