JP2005274452A - 脂質二分子膜を半導体基板上に作製する方法、その方法により作製された半導体基板、およびその基板を用いたデバイス - Google Patents

脂質二分子膜を半導体基板上に作製する方法、その方法により作製された半導体基板、およびその基板を用いたデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】 密着性を持たせるための修飾層を半導体基板上に持たずに、有機の二分子膜を半導体基板上に直接作製すること。
【解決手段】 修飾層を持たずに二分子膜を半導体基板上に直接作製させるため、その作製時の温度を制御し、その温度を二分子膜を形成している脂質の液晶転移温度以上にしている。修飾層を持たないため、二分子膜内に配置されるバイオセンサ(たんぱく質)と半導体基板との距離が近づき、そのためバイオセンサの微小な変化を電子デバイスで確実に捉えることができる。この効果は、半導体基板(特にシリコン基板)に形成されるので、酸化膜を除去することにより、酸化膜が無い分、距離が近付き、さらに顕著な効果として発現できるようになる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生物の光・電子情報処理機能を半導体デバイスに融合したバイオナノデバイスの製造に重要な貢献を及ぼす有機の脂質二分子膜に関し、特に二分子膜を半導体基板上に直接固定する方法、二分子膜が半導体基板上に直接形成された半導体基板、およびその半導体基板を用いたバイオ系電子デバイスに関する。
半導体デバイスの微細化・超高密度化を支えながら発展してきたナノテクノロジーは、現代においては汎用的な技術となっている。すなわちナノテクノロジーは、いまや半導体デバイスのみならず、さまざまな分野へ適用範囲が広がりつつある。とくに近年期待されているのは、バイオテクノロジーとナノテクノロジーとの融合による新たな技術分野の創出である。このような技術分野は、バイオナノテクノロジー(bio−nanotechnology)やナノバイオテクノロジー(nano−biotechnology)と呼ばれ、21世紀の新たな革新的技術として位置づけられている。
バイオナノテクノロジーと一言で言っても、この分野が包含する技術分野は幅広い。その中でとくに興味がもたれるもののひとつは、シリコンデバイスと生体分子との融合技術であろう。シリコンデバイス、特に大規模集積回路は、ナノテクノロジーの最大の産物である。そのシリコンデバイスの動作原理は荷電キャリアを制御することによって得られるデジタル的なオンオフスイッチング特性に基づいており、シリコンデバイスの発展はこの動作原理で動くデバイスをいかに小さくするかという課題を克服して発展してきた。
一方で生体分子は、その機能発現の過程がシリコンデバイスと大きく異なる。たとえば、抗原抗体反応(antigen−antibody reaction)に見られるように、生体分子そのものは高精度の物質選択性を有するセンサである。その生体分子の動作原理は、荷電キャリアの制御というよりはむしろ、物質の特異的な形状の認識に立脚している。同様の機能を人工物で模倣しようとした場合、その実現が不可能であるか、あるいは可能であっても非常に複雑な構成を要し、デバイスサイズの増大を伴う。
このようにシリコンデバイスと生体分子の機能発現の原理は根本的に異なる。これら両者を融合することは、今までにない新しいコンセプトに基づくデバイスの創出につながるという認識はあるものの、一方で無機物質であるシリコンと生体分子とを結びつけ、電子デバイス化を図ることは、これまであまり多く技術開発されていない分野でもある。この理由としては、無機物質のシリコンを取り扱う半導体産業的な手法と、生体分子を取り扱うバイオ・製薬産業的な手法とが、異なる技術分野に属していたことが背景にある。
生体分子の中でも、特に生体特有の機能発現をつかさどる分子は、たんぱく質である。生体の機能を模倣したバイオナノデバイスを実現するためには、光あるいは電気などの外部刺激により機能を発現するたんぱく質を、シリコンデバイス表面に固定化することがひとつの方針である。たんぱく質はその形を維持することにより機能をも維持できるという特徴を持つことが多い。
そのため、シリコンデバイスと生体分子との融合を考えた場合、たんぱく質がその形状を維持したままシリコン表面に固定化される環境を構築することが求められる。そのような環境は、シリコン表面に固定した脂質二分子膜(lipid bilayer membrane)により実現できる。すなわち、目的のたんぱく質を埋め込んだ脂質二分子膜を、シリコン表面に固定することにより、目的のたんぱく質の形状を維持した状態で、シリコンデバイスとの調和を図った融合が可能になる。
脂質二分子膜は、いうまでもなく、生体細胞膜を構成する最も基本的な構造である。生体細胞膜に存在するたんぱく質、いわゆる膜たんぱく質は、その種類は少なくない。また、イオンチャネルやプロトンポンプなど、従来のシリコンデバイスにない機能を持ち合わせるものが多い。
したがって、上記の問題点の解決法のひとつは、シリコンデバイス表面に脂質二分子膜を固定化し、その脂質二分子膜中に目的の膜たんぱく質を埋め込む、あるいはあらかじめ目的の膜たんぱく質を埋め込んだ脂質二分子膜をシリコンデバイス表面に固定化するという手法である。
ここで、実際の生体細胞膜の構成をみると、細胞膜面積の約50%を脂質二重層が占め、残りをたんぱく質が占めている。生体を模倣するためには、生体中であるがままのこのような複雑な組成、構造の生体細胞膜を直接シリコン表面に固定化することがよいかもしれない。しかしながら、このような複雑な生体細胞膜を取り扱うことは、その多様性ゆえに、産業上の利用を考慮した場合、むしろ不適である。むしろ、単純な構造の脂質二分子膜を取り扱う方が、製品としての均質性などを考慮すれば、はるかに生産性が高い。
一般的に基板表面に脂質二分子膜を固定する方法としては、Langmuir Blodgett(LB)法がよく知られている(非特許文献1)。LB法は、水槽に張った水の表面に目的の脂質を展開することで、気液界面に目的の脂質の単分子膜(ラングミュア膜という)を形成する。この膜を、気液界面上で適切な圧力を加えながら、基板上に転写する。脂質二分子膜を形成するには、基板への転写を往復運動として二回行なう必要がある。LB法の利点として、大面積化、圧力などのパラメータ調整による脂質二分子膜の制御などが挙げられる。一方、そのLB法の欠点としては、大面積化に伴う欠陥の増加、パラメータの最適化、さらには上述したような工程がプロセスとして煩雑であることが挙げられる。
LB法に代わる手法としては、ベシクルフュージョン(vesicle fusion)法がある。これは、溶液中に脂質分子を加えそれを分散させることにより、脂質二分子膜が溶液中で丸くなった球状小胞体(ベシクルと呼ばれる)を作製しておき、この溶液中に目的の基板を浸漬することにより、ベシクルと基板表面との相互作用によって脂質二分子膜を基板表面に転写する手法である。ベシクルフュージョン法は、脂質の自己組織化によりベシクル形成が行なわれるので、その作製は容易であり、また基板上への転写に要する工程も少ないという利点がある。さらに、生体細胞膜(生体細胞膜自身もベシクルである)などの複雑な構造を持つものを基板上に転写することができる。ベシクルフュージョン法の欠点としては、基板上への転写がベシクルと基板表面との相互作用によるので、必ずしも転写が確実ではない点である。これを補うために、一般には基板表面の修飾が必須である。親水性のベシクルとの相互作用を強めるために基板表面を親水性に変換するための表面修飾を施す、あるいはベシクルを静電力によって吸着させるために基板表面を含アミノ基物質で修飾するなどの方法が、それらの例として挙げられる。
また、LB法とベシクルフュージョン法のいずれの場合も、従来技術では基板として主に絶縁体である石英やマイカ(mica)が用いられてきた。シリコン基板表面への脂質二分子膜の固定の報告もあるが、この場合も、上述の表面修飾を施した後に、LB法ないしはベシクルフュージョン法にて脂質二分子膜の固定化が行われている。
また、脂質二分子膜の三つのタイプとして、(1)基板表面と脂質二分子膜が化学結合形成しているもの、(2)基板表面に修飾を施して脂質二分子膜を固定しているもの、(3)基板表面に別物の膜を作成して生体分子を埋め込むもの、が報告されている(非特許文献2のFig.1参照)。
L. K. Tamm and H. M. McConell, Biophys. J. 47, 105 (1985) E. Sackmann, Science 271, 43 (1996)
上述したように、人工脂質二分子膜をその表面に固定化した半導体シリコン基板は、将来のバイオナノデバイス構築の基礎となる材料である。現在まで、脂質二分子膜の固定化法としてLB法があったが、大面積化に伴う欠陥の増加、パラメータの最適化、さらには上述したような工程がプロセスとして煩雑であるといった操作上の課題があった。
この課題を解決する簡便な代替方法としてベシクルフュージョン法が知られているが、生体細胞膜やすでにたんぱく質を含むような複雑な構造を含む脂質二分子膜が主な対象であった。さらに、ベシクルフュージョン法は基板上への転写がベシクルと基板表面との相互作用によるので、必ずしも転写が確実ではないという点があり、そのためシリコンウエハ表面の有機化合物による修飾を必要としていた。
また、上記いずれの従来手法も、脂質二分子膜はマイカ等の絶縁体基板に固定化されることが主であった。脂質二分子膜を半導体基板であるシリコン基板に固定化する例も一部あるが、その際にはシリコン表面の修飾を施した後に脂質二分子膜を固定化する方法がとられてきた。
本発明は、上記の点に鑑みて成されたもので、その目的は、シリコンに代表される半導体基板表面の有機化合物による修飾を必要とせずに、LB法やベシクルフュージョン法という簡易な手法により、半導体表面に人工脂質二分子膜を直接固定化し、空気中でも安定である脂質二分子膜が半導体基板上に形成された基板、およびそれを用いたデバイスを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、脂質二分子膜を半導体基板表面に他の物質の介在をもつことなく直接つけることを主眼としている。そのため、本発明では、脂質二分子膜を用いて水溶液中でベシクルを形成させ、LB法やベシクルフュージョン法により酸化膜をもたない半導体基板上あるいは酸化膜を有する半導体基板の酸化膜上にベシクルを用いて脂質二分子膜を固定化している。
また、本発明では、脂質二分子膜を用いて水溶液中でベシクルを形成させ、LB法やベシクルフュージョン法により所定の温度管理下で酸化膜をもたない半導体基板あるいは酸化膜を有する半導体基板の酸化膜上にベシクルを用いて脂質二分子膜を固定化し、特にその作製時の温度制御の温度を二分子膜を形成している脂質の液晶転移温度以上においている。
さらにまた、本発明では、脂質二分子膜を半導体基板表面に吸着させるにあたり、特にその表面が平坦であることを優先させている。すなわち、用いた二分子膜は、後述するようにせいぜいその膜厚が5nm程度であり、少なくともこの二分子膜を吸着させる半導体基板表面は、その5nmに比べて十分無視できるほどの平坦性を持つ必要がある。逆に言うと、5nm程度ないしはそれ以上の凹凸がある粗い半導体基板表面には、その形状ひいては機能を保持したまま二分子膜を吸着させることは困難だからである。
また、本発明を適用したデバイスでは、デバイスとして機能している半導体の直近に脂質二分子膜を形成し、さらにその脂質二分子膜の中にたんぱく質を埋め込むことにより、たんぱく質の機能発現をより半導体デバイス動作に反映させることを可能としている。
本発明に用いられる上記半導体基板は、シリコン基板を代表とするものであるが、その他の半導体基板として、GaAs基板、InP基板、InAs基板、GaP基板、GaSb基板、GaN基板、ZnSe基板、Ge基板などを用いることができ、シリコン基板と同様な効果を奏することが本発明者により確認されている。
本発明においては、前述した従来法の利点を活かしながら、なおかつ半導体デバイス機能と生体分子機能との相互作用を強固なものにし、バイオナノデバイス構築の要素技術となりうることを念頭に置いている。本発明が、従来技術と異なる点は、脂質二分子膜を半導体基板表面に他の物質の介在をもつことなく直接つけることを主眼としている点である。この利点として、(1)表面修飾の工程を経ることなく半導体基板表面に脂質二分子膜を固定化できる、(2)動作している半導体デバイスのより直近に生体分子を固定化できる、点が挙げられる。すなわち、本発明では、修飾層を持たないため、二分子膜内に配置されるバイオセンサ(たんぱく質)と半導体基板との距離が近づき、そのためバイオセンサの微小な変化を電子デバイスで確実に捉えることができる。この効果は、半導体基板(特にシリコン基板)に形成されるときは、酸化膜を除去することにより、酸化膜が無い分、距離が近付き、さらに顕著な効果として発現できるようになる。
本発明を適用して得られた膜は、また空気中で安定に存在し、さらに、半導体デバイス動作時に到達する高温下においても安定に存在する膜である特徴も有している。
また、本発明における、表面に直接脂質二分子膜を形成することのさらなる利点は、デバイス動作している半導体の直近に、脂質二分子膜ないしはその脂質二分子膜に埋め込まれたたんぱく質などの生体分子を存在させることにより、これらの生体分子が発現する機能と半導体デバイス機能とのより強い相互作用を期待できる点である。
これによって、たとえば脂質二分子膜がたんぱく質を取り込むときに生じる変化、あるいは、たとえば既に脂質二分子膜中に埋め込まれたたんぱく質がそのたんぱく質と選択的に結合する分子と結合したときの変化、などの変化は微小であるが、それらの変化を直下に存在する半導体デバイスで検出し、あるいは逆に、それらの直下に存在する半導体デバイスの動作を変化させることで、直上にある生体分子の形や機能を制御できる。
また、シリコンデバイスは通常そのデバイス表面をシリコン酸化膜が覆った構造を持つが、このようなシリコン酸化膜を有する半導体表面に対しても、本発明は有効である。その際も、上述のように、酸化膜の表面には他の物質を介することなく直接脂質二分子膜を形成することにより、シリコンデバイス動作領域のより近くに生体分子を置くことができるという特徴は変わらない。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1の(A)〜(D)は本発明のシリコン基板上に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜を示す模式図である。図1の(A)は酸化膜をもたないシリコン基板上11に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜13を示し、図1の(B)は酸化膜12を有するシリコン基板11上に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜13を示す。また、図1の(C)は図1の(A)の構成の脂質二分子膜13に埋め込まれたたんぱく質14を示し、図1の(D)は図1の(B)の構成の脂質二分子膜13に埋め込まれたたんぱく質14を示す。
図2の(A)に示すように、本発明で用いる脂質は、人工脂質であって、親水性の頭部22と疎水性の尾部23を有している。
本発明に好適な脂質として、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)を例にとり、その分子構造(化学構造式)を図2の(A)に示した。一般のホスファチジルコリンは、図2の(B)に示すように、コリン、リン酸、グリセロールからなる親水性の頭部22と、カルボルシル基と長鎖炭化水素からなる2本の脂肪酸の疎水性の尾部23とを有している。その脂肪酸の部分は炭素数10〜30個の飽和脂肪酸、あるいは不飽和脂肪酸からなる。また、他のリン酸脂質、例えばホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、などにも本発明は適用可能であり、これらの脂肪酸の炭素数も上記と同じく10〜30個の飽和脂肪酸を用いることができる。
リン酸脂質の炭素数としては、好ましくは13〜17個であり、最も好ましい炭素数は13個(DMPC:ジミリストイルホスファチジルコリン)、15個(DPPC)である。また、これらの脂肪酸の中に二重結合や三重結合などの不飽和部分を含んでいても同様な効果を得られる。後述の実施例では、これら2本の脂肪酸を同じものとしたが、脂肪酸の長さや不飽和部を含む位置などが異なっているものでも良く、これらの混合物により二分子膜を形成しても良い。
ベシクルを作る方法として、脂質と水あるいは脂質とリン酸バッファーの混合物24に、継続的に強い震とう攪拌を施したり、あるいは超音波照射をすることによって、脂質は自己組織化を生じて、図2の(A)に示すように、ベシクル21を形成する。
脂質は、分子としては水溶性に乏しく、水およびリン酸バッファー溶液に対してきわめて難溶である。しかしながら、クロロホルムなどの有機溶剤には容易に溶解する。脂質のクロロホルム溶液を調整すれば、それを用いて脂質の薄膜が容易に成膜できる。この薄膜を真空層内で十分に乾燥してクロロホルムを除去し、そこに水あるいはリン酸バッファーを加えて静置、あるいは震とう攪拌、あるいは超音波照射を施すことにより、効率的なベシクル形成が可能である。
以上のような既知の方法で調製したベシクル21を、ベシクルフュージョン法により、シリコン基板11に固定化した過程を図3の(A)〜(D)に模式的に示す。この過程を順に説明する。まず、ベシクルを含む溶液に静置されたシリコン基板11(図3の(A)参照)に、ベシクル21が衝突する(図3の(B)参照)。衝突したベシクル21は、その衝突面あるいは衝突していない面に亀裂を生じて、割れる(図3の(C)参照)。ベシクル21が割れると同時に、脂質二分子膜13はシリコン基板11に平面状となって吸着し、固定化される(図3の(D)参照)。但し、二分子膜を作製する方法は、上記のベシクルフュージョン法に限定されず、LB法も本発明に適用できる。
基板11としては、市販のシリコンウエハを用いた。これは、より一般性のあるシリコンウエハを用いて本発明を実証することにより、本発明の産業への有用性を示す目的を含んでいる。したがって、本発明で用いた基板11はSi(111)、Si(100)の平坦基板であるが、本発明はさらに高指数のシリコン基板にも一般化可能であり、あるいは傾斜基板に対しても有効である。
本発明は、シリコン基板11の表面に、他の有機物質あるいは生体物質による処理を施さないで、脂質二分子膜13を直接固定化する特徴を備えている。市販のシリコン基板の表面は、通常シリコン酸化膜で被覆されているので、この酸化膜をフッ酸あるいはフッ化アンモニウム水溶液あるいはこれらの混合物あるいはこれらの希釈物を用いて溶解し、除去する。この時点では、シリコン基板表面には酸化膜は存在せず、その組成はSiであり、最表面に存在するSi原子は水素によって終端されて、Si−H結合を形成しているのみである。この状態のシリコン基板は、疎水性である。さらに、このシリコン基板を酸に浸漬することにより、表面のSi−HはSi−OHに変換される。この場合も、シリコン基板表面にあるSi原子に直接Si−OHが形成している、あるいは存在するとしても、数原子層程度の酸化層の表面にSi−OHが形成しているのみである。この状態のシリコン基板は、親水性であり、ベシクルとの相互作用はより強いものとなる。
ここで、通常の意味での表面修飾は、シリコン表面への有機物質あるいは生体物質の化学結合形成、あるいは化学吸着、あるいは物理吸着、あるいは静電吸着を意味する。この従来技術の表面修飾と対比して、本発明は、酸化膜をもたないシリコン基板上、あるいは酸化膜を有するシリコン基板上に、“他の物質を介することなく直接的に”脂質二分子膜を固定化する方法を提供するものである。
このような酸化膜をもたないシリコン基板11、あるいは酸化膜を有するシリコン基板11を、さらに上述の方法で調製したベシクル水溶液あるいはベシクル―リン酸バッファー溶液24中に浸漬する。このとき、ベシクルを形成する脂質は、それぞれ固有の液晶転移温度を有している。望ましくは、そのベシクルを形成する脂質の液晶転移温度以上にベシクル溶液24を保った状態において、シリコン基板11を浸漬し、シリコン基板11への脂質二分子膜13の固定化をおこなうとよい。
このように、ベシクル溶液24を脂質の液晶転移温度以上に保つことにより、脂質二分子膜13の内部で個々の脂質分子が流動性を持つ。このため、シリコン基板11の表面にベシクル13が吸着する際に、脂質分子の再配列が容易になり、結果として欠陥のない緻密な脂質二分子膜13をシリコン基板11上に形成することができる。
本発明の脂質二分子膜を有するシリコン表面を利用したデバイスとして、シリコンセンサの例を図4〜図6に示す。図4はシリコンセンサの概念図である。シリコンワイヤは電源および電流計を備えた外部回路に接続されている。図5の(A)〜(C)に示すように、このシリコンワイヤの表面に、脂質二分子膜13、あるいは脂質二分子膜13とそれに埋め込んだたんぱく質14A,14Bを上述の本発明の方法で固定する。このシリコンワイヤ部位の断面を示す図6の(A)、(B)は、シリコンワイヤ11の表面に、他の物質を介在することなく脂質二分子膜13が固定されていることを示している。シリコンワイヤ表面には、シリコン酸化膜12が存在しなくてもよく、またシリコン酸化膜12を有していてもよい。
いずれの場合においても、シリコンワイヤの表面には、本発明の方法により脂質二分子膜13が固定されている。脂質二分子膜13は、さらにその中にたんぱく質14を含んでいてもよく、タンパク質14の分子は脂質二分子膜13中で集合体を形成していてもよく、あるいは孤立していてもよいし、あるいは複数のタンパク質分子が共存していてもよい。
このようにして得られた構造は、溶液中に浸漬して使用することも可能であるし、または空気中、真空中などの無溶媒下で動作させることも可能である。いずれの場合も、あらかじめシリコンワイヤに外部電圧を引加して回路に流れる電流をモニターしておく。脂質二分子膜に生体分子が吸着したり、あらかじめ埋め込んであるたんぱく質が認識可能な分子を認識したり、光や熱などの外部刺激が生じたりすると、電流値の変動がおき、それを検出することにより、特定の生体分子や刺激を検知できる。特に、溶液中に浸漬して使用する場合は、脂質二分子膜への生体分子の吸着や、あらかじめ埋め込んだタンパク質分子による特定の分子の選択的認識が可能になる。
一方、溶媒のない環境下で使用する場合は、通常生体内で生じている選択的な分子認識を利用することはできないが、光や熱などの外部刺激に対しては、それらの刺激の認識、さらには刺激を認識した後に光・電子的な性質への変換を生じる、などの効果が期待できる。
図7の(A)は、本発明の別のデバイスへの応用例を示す。図中のソース電極72、ドレーン電極71、シリコン酸化膜12などは、基本的には公知のシリコン半導体デバイス技術により作製された電界効果型トランジスタと同様のものである。従来では通常、酸化膜の上部に、金属によるゲート電極が設けられるが、本発明では脂質二分子膜13をp型シリコンウエハ11上に固定化することにより、ゲート電極の代わりに生体分子認識能を有する脂質二分子膜13を形成することができる。このデバイスを溶液中において、たとえば脂質二分子膜13に埋め込まれたたんぱく質14が、別の分子を認識した際には、認識によって生じた変化が、通常の電界効果型トランジスタで言うところのゲートと同様の働きをして、トランジスタ動作をすることが可能である。
また、脂質二分子膜13の直下にあるシリコン酸化膜12は必ずしも必要でない。この状況を図7の(B)に示す。より単純な構造でありながら、上記と同様の条件下で脂質二分子膜13に埋め込まれたたんぱく質14が別の分子を認識した際には、p型シリコンウエハ11中を流れる電流に対するゲート効果は、シリコン酸化膜12の厚さを隔てていない分、より効果的に働く。
(実施例1,2)
次に、本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
以下の実施例では、本発明の手法が産業上の重要な材料であるSi(111)、Si(100)に適用可能であることを示し、また固定化した人工脂質二分子膜がシリコンデバイスの動作温度の上昇を念頭にいれた高温に対して安定であることを示している。
なお、本発明に用いられる半導体基板は、シリコン基板を代表とするものであるが、その他の半導体基板として、GaAs基板、InP基板、InAs基板、GaP基板、GaSb基板、GaN基板、ZnSe基板、Ge基板などを用いることができ、シリコン基板と同様な効果を奏することが判明されている。
まず、本発明の実施例1,2により、Si(111)面へのジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)二分子膜の固定とその確認を行なった。
[1]Si(111)ウエハーの親水性処理
市販のSi(111)ウエハーを割って、5 mm × 10 mmの小片とした。このSi(111)小片を、純水によるリンス(10分)、過酸化水素水:硫酸の1:4混酸に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)の順で処理、その後風乾することにより、平坦で疎水的な表面を持つSi(111)小片(Si(111)− I)を得た。
この疎水表面を持つSi(111)小片を、さらに過酸化水素水:硫酸の1:4混酸に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)の順で処理、その後に風乾することにより、平坦で親水的な表面を持つSi(111)小片(Si(111)−II)を得た。
[2]DPPCベシクル溶液の調製
10mLのサンプル瓶にDPPC2.4mgを秤量し、この中に1mLの純水(18.2MΩ)を加えた。これを震とう攪拌した後、さらに超音波攪拌を10秒程度施して、白色けん濁液とした。これをあらかじめ50℃に設定しておいた恒温槽中に置き、10時間静置した。10時間の後も、溶液は白色けん濁液であった。これをDPPCの液晶転移温度(42℃)以上である50℃の温度を保ちながら、0.8および0.2ミクロンのフィルターにて引き続きろ過し、DPPCベシクル溶液を無色透明の水溶液として得た。
[3]DPPC脂質二分子膜のSi(111)表面への吸着
[2]で得られたベシクル溶液を50℃に保ち、この中へ[1]で得られたSi(111)−IおよびSi(111)−IIを置き、50℃を保ったまま10時間浸漬した。このウエハーをベシクル溶液から取り出し、あらかじめ50℃に保温しておいた純水にて洗浄を繰り返し、室温にて風乾することにより、表面にDPPC脂質二分子膜が吸着したSi(111)−I(実施例1)およびSi(111)−II(実施例2)を得た。
[4]Si(111)表面へ吸着したDPPC脂質二分子膜の原子間力顕微鏡による確認
本発明の実施例1および実施例2の試料が、本発明の目的のものであることは、原子間力顕微鏡による観察で確認した。図8の(A)に実施例1の試料表面の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード)を示し、図8の(B)に実施例2の試料表面の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2μm ×2μm)を示す。図中、黒く見えるところがシリコン基板11、白く見えるところが脂質二分子膜13,13aである。平坦なシリコン基板表面に平均高さ5.9nmの構造がみられた。平均高さはDPPC二分子膜の膜厚に一致し、観察された構造がDPPC二分子膜のものであることが確認された。
図8の(C)の模式図に示すように、実施例1では、脂質二分子膜に一部重なり合っている状態が見られた。図8の(D)の模式図に示すように、実施例2では、脂質二分子膜が一枚のみで存在する状態が確認された。
(実施例3,4)
本発明の実施例3,4により、Si(100)面へのジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)二分子膜の固定とその確認を行なった。
[1]Si(100)ウエハーの親水性処理
実施例1と同様、市販のSi(100)ウエハーを割って、5 mm × 10 mm の小片とした。このSi(100)小片を、純水によるリンス(10分)、過酸化水素水:硫酸の1:4混酸に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)の順で処理、その後に風乾することにより、平坦で疎水的な表面を持つSi(100)小片(Si(100)−I)を得た。この疎水表面を持つSi(100)小片を、さらに過酸化水素水:硫酸の1:4混酸に浸漬(5分)、純水によるリンス(10分)の順で処理、その後に風乾することにより、平坦で親水的な表面を持つSi(100)小片(Si(100)−II)を得た。
[2]DMPCベシクル溶液の調製
10mLのサンプル瓶にDMPC1.0mgを秤量し、ここに1mLのクロロホルムを加えると、DMPCは速やかに溶解した(ここで、DMPCの液晶転移温度は23〜24.5℃である)。この溶液0.2mLの10mLのサンプル瓶にとり、風乾することによりサンプル瓶底部にDMPC薄膜を作製した。この中にリン酸バッファー溶液(pH=8.0)1mLを加え、室温にて数日間震とう攪拌を続け、白色けん濁液とした。これを室温にて、0.8および0.2ミクロンのフィルターにて引き続きろ過し、DMPCベシクル溶液を無色透明の水溶液として得た。
[3]DPPC脂質二分子膜のSi(111)面への吸着
[2]で得られたDMPCベシクル溶液を50℃に保ち、この中へ[1]で得られたSi(100)−IおよびSi(100)−IIを置き、室温にて24時間浸漬した。このウエハーをベシクル溶液から取り出し、純水にて洗浄を繰り返し、室温にて風乾することにより、表面にDPPC脂質二分子膜が吸着したSi(100)−I(実施例3)およびSi(100)−II(実施例4)を得た。
[4]Si(100)表面へ吸着したDMPC脂質二分子膜の原子間力顕微鏡による確認
図9の(A)は実施例3の、図9の(B)は実施例4の原子間力顕微鏡像である。前述の実施例1および実施例2と同様に、本発明の実施例3および実施例4の試料表面の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2μm×2μm)により、Si(100)表面へのDMPC脂質二分子膜の吸着を確認した。図中、黒く見えるところがシリコン基板11、白く見えるところが脂質二分子膜13,13aである。平坦なシリコン基板表面に平均高さ5.7 nm の構造がみられた。平均高さはDMPC二分子膜の膜厚に一致し、観察された構造がDMPC二分子膜のものであることが確認された。
図9の(C)は実施例3、図9の(D)は実施例4の模式図である。図9の(C),(D)の模式図に示すように、実施例3、4では、脂質二分子膜13の上にさらに脂質二分子膜13aが重なっている状態が見られた。
(実施例5,6)
本発明の実施例5,6により、Si(111)面へ固定したDPPC二分子膜の熱安定性を確認した。
Si(111)表面に固定化したDPPC二分子膜の熱安定性を調べるために、前述の実施例2で得られた基板を真空中におき、50℃(実施例5)、70℃(実施例6)の温度をかけ、12時間置いた。その後、真空を保ったまま40℃以下までの冷却をまってから、その試料を空気中に暴露した。このときの実施例5、6の表面の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2μm×2μm)を図10の(A)、(B)に示す。図10の(A)は実施例5の、図10の(B)は実施例6の原子間力顕微鏡像である。いずれもDPPC二分子膜は安定に存在していることから、本発明の脂質二分子膜が通常のシリコンデバイス動作温度程度では安定に存在することが示された。
(変形例)
なお、本発明の好適な実施形態と実施例を例示して説明したが、本発明の実施形態と実施例は上記例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内であれば、その構成部材等の置換、変更、追加、個数の増減、形状の変更等の各種変形は、全て本発明の実施形態と実施例に含まれる。例えば、上記の各実施例では、二分子膜を形成させる物質として人工脂質を単独で用いたが、これら人工脂質の混合物からなる二分子膜でも良い。また、天然の細胞膜などを構成している自然界に存在する天然脂質と人工脂質との混合物を使用した二分子膜でも良く、それらの混合比率や、天然脂質と人工脂質のうち何種類を選択するかなど適宜選択できることも本発明の範疇である。なお、天然の細胞膜などの二分子膜は、その材料となる脂質が複数種類の混合物から成り立っている。また、上記の各実施例では、二分子膜を作製する方法としてベシクルフュージョン法を例示したが、本発明はベシクルフュージョン法に限定されず、LB法も本発明に適用できる。
以上説明したように、本発明によれば、半導体表面への脂質二分子膜の形成が容易に行なえ、例えばすでにMOS−FETが作製されているシリコンデバイス基板にも展開でき、人工脂質二分子膜中へは、たんぱく質などの生体分子を、それらの特徴である形状を維持したまま埋め込むことが可能であり、これにより得られた基板はさらにバイオセンサなどのデバイスにも応用可能となる。このように、本発明の表面に脂質二分子膜を固定化した半導体基板は、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーとの融合を基礎としたバイオナノデバイス構築への要素技術となりうる。
本発明を適用したシリコン基板上に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜の模式図であって、(A)は酸化膜をもたないシリコン基板上に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜を示す模式図、(B)は酸化膜を有するシリコン基板上に他の物質を介することなく固定化された脂質二分子膜を示す模式図、(C)は(A)の脂質二分子膜にたんぱく質を埋め込んだ状態を示す模式図、(D)は(B)のの脂質二分子膜にたんぱく質を埋め込んだ状態を示す模式図を示す。 (A)は脂質分子(DPPC)が形成するベシクルの構造の模式図、(B)はDPPCの構造を示す模式図である。 本発明に係わる、ベシクルフュージョン法によりベシクルがシリコン基板上に脂質二分子膜を形成する過程の模式図であって、(A)はベシクルを含む溶液にシリコン基板が静置された状態、(B)はシリコン基板にベシクルが衝突した状態、(C)は衝突したベシクルに亀裂が生じた状態、(D)はベシクルが展開し脂質二分子膜がシリコン基板に平面状となって吸着し固定化された状態を示す模式図である。 本発明を適用したシリコンセンサの概念図である。 (A)〜(C)はそれぞれ図4のシリコンセンサ部位の詳細例を示す模式図である。 (A)は図5(A),(B)のシリコンセンサの断面を示し、(B)は図5(C)のシリコンセンサの断面を示す模式図である。 (A),(B)はそれぞれ本発明を適用した電界効果型のFETをベースにしたシリコンデバイスの模式図である。 (A)、(B)は本発明の実施例1、2の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2μm×2μm)を示す図、(C),(D)は(A),(B)に対応の脂質二分子膜の形態の模式図である。 (A)、(B)は本発明の実施例3,4の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2μm×2μm)を示す図、(C),(D)は(A),(B)に対応の脂質二分子膜の形態の模式図である。 (A)、(B)は本発明の実施例5、6の原子間力顕微鏡像(室温、空気中、タッピングモード、2 μm ×2 μm)を示す模式図である。
符号の説明
11 シリコン基板(p型シリコンウエハ)
12 シリコン酸化膜
13,13a 脂質二分子膜
14、14A,14B たんぱく質
21 ベジクル
22 親水部
23 疎水部
24 混合液
71 ドレーン電極
72 ソース電極

Claims (14)

  1. 脂質二分子膜を形成する脂質を用いて水溶液中でベシクルを形成させ、
    前記ベシクルを用いて酸化膜をもたない半導体基板上あるいは酸化膜を有する半導体基板の該酸化膜上に前記脂質二分子膜を直接固定化することを特徴とする、脂質二分子膜を半導体基板上に作製する方法。
  2. 脂質二分子膜を形成する脂質を用いて水溶液中でベシクルを形成させる第1の工程と、
    前記ベシクルを用いて所定の温度による温度管理下で酸化膜をもたない半導体基板上、あるいは酸化膜を有する半導体基板の該酸化膜上に前記脂質二分子膜を直接固定化する第2の工程を有し、
    前記所定の温度を前記脂質二分子膜を構成している脂質の液晶転移温度以上に設定していることを特徴とする、脂質二分子膜を半導体基板上に作製する方法。
  3. 前記脂質二分子膜を前記半導体基板表面に吸着させるにあたり、該半導体基板表面を該脂質二分子膜の膜厚以下の平坦度としていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記半導体基板上に固定化された前記脂質二分子膜の中にバイオセンサなどのたんぱく質または他の生体分子を埋め込む第3の工程をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記半導体基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記半導体基板として面方位を(111)または(100)を用いることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記脂質二分子膜は該脂質二分子膜を構成する脂質が複数種の脂質の混合物からなる二分子膜であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 水溶液中でベシクルを形成する脂質を用い、酸化膜をもたない半導体基板上、あるいは酸化膜を有する半導体基板の該酸化膜上に、前記脂質からなる脂質二分子膜を直接固定化していることを特徴とする半導体基板。
  9. 前記半導体基板表面の平坦度が前記脂質二分子膜の膜厚以下の平坦度であることを特徴とする請求項8に記載の半導体基板。
  10. 前記半導体基板上に固定化された前記脂質二分子膜の中にバイオセンサなどのたんぱく質または他の生体分子を埋め込んでいることを特徴とする請求項8ないし9のいずれかに記載の半導体基板。
  11. 前記半導体基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の半導体基板。
  12. 前記半導体基板として面方位が(111)または(100)のものを用いたことを特徴とする請求項11に記載の半導体基板。
  13. 前記脂質二分子膜は該脂質二分子膜を構成する脂質が複数種の脂質の混合物からなる二分子膜であることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の半導体基板。
  14. 請求項8ないし13のいずれかに記載の半導体基板を用いて構成したことを特徴とするバイオ系電子デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007225300A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Mie Univ 物質認識機能と情報変換機能を併せ持つセンサー
JP2011160718A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 脂質二分子膜基板
WO2017134804A1 (ja) * 2016-02-05 2017-08-10 株式会社日立製作所 センサ素子およびセンサデバイス

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