JP2005274417A - 測定方法および測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数のセンサウェルユニットについて全反射減衰の状態を測定する測定方法および測定装置において、測定のスループットを向上させる。
【解決手段】 測定装置に、センサウェルユニット20と、試料の分析を行う測定手段としての表面プラズモン共鳴測定装置5と、センサウェルユニット20を保管する恒温部3と、センサウェルユニット20の温度を測定する温度センサ9と、センサウェルユニット20を恒温部3、測定部4および装置外部に選択的に配置する搬送手段7と、表面プラズモン共鳴測定装置5および搬送手段7等を制御する制御手段としてのCPU2等とを備え、CPU2により、恒温部3内に保管されたセンサウェルユニット20の温度が目標温度Tgになるまでの所要時間tgを推定し、恒温部3内に複数のセンサウェルユニット20が保管されている際に、搬送手段7に、所要時間tgが早く経過したセンサウェルユニット20から順に表面プラズモン共鳴測定装置5へ搬送させて測定を行うようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料中の物質を分析する表面プラズモン共鳴測定装置等の測定方法および測定装置に関するものである。
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分析する表面プラズモン共鳴測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
上記の系を用いる表面プラズモン共鳴測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られ、かつ表面プラズモン共鳴による全反射減衰が生じ得るように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して全反射減衰角もしくはその変化に関する情報を取得する情報取得手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変えて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化にしたがって反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した光ビームの成分を全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に光検出手段により暗線として検出される。
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく、もしくは、p偏光成分のみを検出するように設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPから表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εとεS をそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
Figure 2005274417
試料の誘電率εS が分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、全反射減衰角を知ることにより、特定物質の定量分析を行うことができる。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサとして、例えば非特許文献1の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサも知られている。この漏洩モードセンサは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られ、かつ光導波層での導波モードの励起による全反射減衰が生じ得るように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰角もしくはその変化に関する情報を取得する情報取得手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モードセンサにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、光導波層においてエバネッセント波が発生し、ある特定の波数を有するエバネッセント波が導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、該特定の波数を有するエバネッセント波を発生させた入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
また、以上のような測定装置は、バイオセンサとして、薄膜上(表面プラズモン共鳴測定装置の場合は金属膜上、漏洩モードセンサの場合は光導波層上)に特定物質(例えば抗原)と結合するセンシング物質(例えば抗体)を配し、各検体についてそのセンシング物質との結合の有無および/または結合状態を測定する等の試料分析に用いられる。このような試料分析方法としては、各検体を含む試料液の溶媒による屈折率変化の影響を排除するために、その溶媒と同一のバッファ液のみをウェルに分注し、検体を含まない状態での屈折率情報(例えば、全反射減衰角)を取得し、その後、液体試料を分注して反応後の屈折率情報状態を測定することにより検体のみの反応を正確に抽出する方法が提案されている。
なお、表面プラズモン共鳴測定装置としては、前述の全反射減衰を生じる特定入射角の測定をする装置のほか、複数の波長の光ビームを界面に入射させ、各波長毎の全反射減衰の程度を検出する装置、あるいは、光ビームを界面に入射させるとともに、この光ビームの一部を、界面入射前に分割し、この分割した光ビームを界面で反射した光ビームと干渉させて、該干渉の状態を測定する装置等種々のタイプがある。いずれも、薄膜層上の測定対象物の屈折率もしくはその変化に関する情報を間接的に取得することにより測定対象物の分析等に用いられる測定装置である。
以上説明したタイプの測定装置においては、試料交換等測定時のハンドリングの効率化を図るために、上述の誘電体ブロックと、誘電体ブロックの上面に配された薄膜層と、該薄膜層上に試料を保持する試料保持部とが一体的に形成されたセンサウェルユニットが特許文献2等において提案されている。特許文献2において提案されているセンサウェルユニットは、誘電体からなる本体に、その上面に開口する検体ウェル(従来の試料保持部)を設け、該検体ウェルの内底面に薄膜層を設けてなるものであり、本体の検体ウェル下部が従来の誘電体ブロックとして光ビームの入出力部の役割を担うものとして構成されている。また、多数の試料についての測定を高速に行うためおよびハンドリングのさらなる効率化のために、バー状もしくはプレート状の誘電体からなる本体に検体ウェルを1次元状もしくは2次元状に複数備えてなるセンサウェルユニットが提案されており、該センサウェルユニットの複数の検体ウェルに対して並列的に複数の光ビームを入射させ、各ウェルの界面における反射光を個別に検出する測定装置も提案されている。
特開平6−167443号 特開2002−296172号 「分光研究」第47巻 第1号(1998)
前述の通り、同一検体ウェルについて時間をおいて複数回測定し、検体とセンシング物質の結合の有無を含む結合状態の変化を調べる場合、複数の試料についての効率的な測定を行うために、1回目の測定が終了した第1のセンサウェルユニットを測定部(のセンサ保持手段)から取外し、第2のセンサウェルユニットを測定部に設置して測定を行い、もう一度第1のセンサウェルユニットを設置して測定を行うという動作を繰り返すバッチ処理を行うことがある。この場合、センサウェルユニットの温度を各測定毎に一定に管理しないと温度変動による測定誤差を生じてしまうため、センサウェルユニットの温度が所定の温度になるまでインキュベーター等の恒温部に保管する必要がある。
しかしながら、測定を行うために恒温部から搬出されたセンサウェルユニットは、恒温部外の空気との温度差や、試料の化学反応による発熱等によって個々に温度が変動するため、測定が終了した後、恒温部内で所定の温度になじませるまでに掛かる時間がセンサウェルユニット毎に異なる。そのため、温度差の大きいセンサウェルユニットに合わせてある程度の時間恒温部内で保管しないと、全てのセンサウェルユニットを所定温度になじませることができないため、測定のスループットが低下してしまう。なお、恒温部内に保管される全てのセンサウェルユニット毎に温度センサを設けて温度を監視し、所定温度になじんだセンサウェルユニットから測定を行うようにすることによりスループットの低下は避けられるが、コストの面からは不適当である。
本発明は上記事情に鑑みて、恒温部内でセンサウェルユニットの温度管理を行う場合に、スループットの高い測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
本発明による測定方法は、誘電体ブロック、誘電体ブロックの上面に設けられた薄膜層、薄膜層上に試料を保持する試料保持部を備えたセンサウェルユニットと、光ビームを出射する光源、センサウェルユニットを所定位置に着脱自在に保持するセンサ保持手段、光ビームを、誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックの上面と薄膜層との界面で全反射条件が得られる入射角度で入射させる光ビーム入射手段、および前記界面で反射された光ビームに基づいて、薄膜層上の測定対象物の屈折率情報を取得する屈折率情報取得手段を備えた測定手段と、所定温度に管理され、複数のセンサウェルユニットを保管する恒温部とを備えた測定装置を用いて、センサウェルユニットの温度が前記所定温度に近い目標温度なるまで恒温部内にセンサウェルユニットを保管し、前記目標温度となったセンサウェルユニットについて、測定手段により測定を行う測定方法において、センサウェルユニットの温度を測定し、測定したセンサウェルユニットの温度と、恒温部の前記所定温度との差に基づいて、恒温部内に保管したセンサウェルユニットの温度が前記目標温度になるまでの所要時間を推定し、恒温部内に複数のセンサウェルユニットを保管した際に、所要時間が早く経過したセンサウェルユニットから順に、恒温部から取り出して測定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明による測定装置は、誘電体ブロック、誘電体ブロックの上面に設けられた薄膜層、薄膜層上に試料を保持する試料保持部を備えたセンサウェルユニットと、光ビームを出射する光源、センサウェルユニットを所定位置に着脱自在に保持するセンサ保持手段、光ビームを、誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックの上面と薄膜層との界面で全反射条件が得られる入射角度で入射させる光ビーム入射手段、および前記界面で反射された光ビームに基づいて、薄膜層上の測定対象物の屈折率情報を取得する屈折率情報取得手段を備えた測定手段と、所定温度に管理され、複数のセンサウェルユニットを保管する恒温部と、センサウェルユニットの温度を測定する温度測定手段と、センサウェルユニットを、恒温部内から測定手段の前記所定位置へ搬送する搬送手段と、搬送手段を制御する制御手段とを備え、制御手段が、温度測定手段により測定されたセンサウェルユニットの温度と、恒温部の前記所定温度との差に基づいて、恒温部内に保管されたセンサウェルユニットの温度が前記所定温度に近い目標温度になるまでの所要時間を推定し、恒温部内に複数のセンサウェルユニットが保管されている際に、搬送手段に、所要時間が早く経過したセンサウェルユニットから順に測定手段へ搬送させるものであることを特徴とするものである。
本発明の測定方法に用いる測定装置、および本発明の測定装置は、前記薄膜層を、金属膜からなるものとし、前述の表面プラズモン共鳴による効果を利用して測定を行う、所謂表面プラズモン共鳴測定装置として構成されたものとすることができる。また、前記薄膜層を、誘電体ブロックの前記上面に形成されたクラッド層と該クラッド層上に形成された光導波層からなるものとし、該光導波層における導波モードの励起による効果を利用して測定を行う、所謂漏洩モードセンサとして構成されたものとすることができる。
また、「測定対象物の屈折率情報を取得する」とは、例えば、薄膜層上に配される試料の屈折率自体を取得するものであってもよいし、あるいは薄膜層上に抗体等のセンシング物質を固定し、抗原抗体反応による屈折率の変化や変化の有無を取得するものであってもよい。
屈折率情報の取得方法は、界面に対して種々の入射角度で入射させた光ビームの該界面での反射光を検出して、全反射減衰角もしくはその角度変化を検出することにより屈折率もしくは屈折率変化を取得するものであってもよいし、また、D.V.Noort,K.johansen,C.-F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585-588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより屈折率もしくは屈折率変化を取得するものであってもよい。さらに、P.I.Nikitin,A.N.Grigorenko,A.A.Beloglazov,M.V.Valeiko,A.I.Savchuk,O.A.Savchuk, Surface Plasmon Resonance Interferometry for Micro-Array Biosensing, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.235-238 に記載されているように、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させるとともに、この光ビームの一部を、この光ビームが前記界面に入射する前に分割し、この分割した光ビームを、前記界面で全反射した光ビームと干渉させて、その干渉後の光ビームの干渉縞の変化を検出することにより屈折率の変化を取得するものであってもよい。
すなわち、「測定対象物の屈折率情報」とは、測定対象物の屈折率に応じて変化するものであればいかなるものでもよく、測定対象物の屈折率に応じて変化する全反射減衰角や全反射減衰を生じる光ビーム波長、測定対象物の屈折率変化に応じて変化する全反射減衰角の変化や全反射減衰を生じる光ビーム波長の変化あるいは干渉縞の変化等がその例である。
また、「所定温度に近い目標温度」とは、所定温度を基準に、測定結果が許容誤差範囲に入る温度差の温度を意味する。この目標温度は所定温度と同じであってもよい。
本発明の測定方法によれば、センサウェルユニットと、測定手段と、恒温部とを備えた測定装置を用いて、センサウェルユニットの温度が目標温度なるまで恒温部内にセンサウェルユニットを保管し、目標温度となったセンサウェルユニットについて、測定手段により測定を行う測定方法において、センサウェルユニットの温度を測定し、測定したセンサウェルユニットの温度と、恒温部の温度(所定温度)との差に基づいて、恒温部内に保管したセンサウェルユニットの温度が所定温度に近い目標温度になるまでの所要時間を推定し、恒温部内に複数のセンサウェルユニットを保管した際に、所要時間が早く経過したセンサウェルユニットから順に、恒温部から取り出して測定を行うようにしたため、恒温部内に保管する複数のセンサウェルユニットのなじませ時間を、温度差の大きいセンサウェルユニットのなじませ時間に合わせる必要がなくなるため、測定のスループットを向上させることができる。
本発明の測定装置によれば、センサウェルユニットと、測定手段と、恒温部に加え、センサウェルユニットの温度を測定する温度測定手段と、センサウェルユニットを、恒温部内から測定手段へ搬送する搬送手段と、搬送手段を制御する制御手段とを備え、制御手段を、温度測定手段により測定されたセンサウェルユニットの温度と、恒温部の温度(所定温度)との差に基づいて、恒温部内に保管されたセンサウェルユニットの温度が所定温度に近い目標温度になるまでの所要時間を推定し、恒温部内に複数のセンサウェルユニットが保管されている際に、搬送手段に、所要時間が早く経過したセンサウェルユニットから順に測定手段へ搬送させるものとすることにより、恒温部内に保管する複数のセンサウェルユニットのなじませ時間を、温度差の大きいセンサウェルユニットのなじませ時間に合わせる必要がなくなるため、測定のスループットを向上させることができる。
また、恒温部内に保管されるセンサウェルユニット毎に温度測定手段を設ける必要がないため、コストの増加を招くことなく装置を実現することが可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の測定装置の構成図を示すものである。図2は、上記測定装置の測定手段として用いられる表面プラズモン共鳴測定装置およびセンサウェルユニットの断面図を示すものである。図3は、上記表面プラズモン共鳴測定装置の変位測定手段およびセンサウェルユニットの配置を概略的に示した正面図である。図4(a)〜(c)は、上記表面プラズモン共鳴測定装置のセンサ保持手段にセットされたセンサウェルユニットと静電プローブおよび光角度変位計との位置関係を模式的に示した上面図、正面図および側面図である。
本実施の形態の測定装置1は、試料が分注されるセンサウェルユニット20と、センサウェルユニット20に分注された試料の分析を行う測定手段としての表面プラズモン共鳴測定装置5と、表面プラズモン共鳴測定装置5を収容する測定部4と、所定温度に管理され、センサウェルユニット20を保管する恒温部3と、恒温部3の温度を測定する温度センサ6と、センサウェルユニット20の温度を測定する温度センサ9と、センサウェルユニット20を恒温部3、測定部4および装置外部に選択的に配置する搬送手段7と、センサウェルユニット20に対して試料の分注を行う分注器8と、表面プラズモン共鳴測定装置5、搬送手段7、分注器8を制御する制御手段としてのCPU2とを備えてなる。
センサウェルユニット20は、細長い透明な誘電体からなる本体21を備え、この本体21の上面21aに開口し、所定の深さaを有する複数(例えば16個)の検体ウェル23が該本体21に一列に設けられ、各検体ウェル23の内底面23aに金属膜12が蒸着により被着されてなるものである。すなわち、本体21は、後述の光ビームに対して透明な誘電体ブロック22と検体ウェル23の側壁を構成する試料保持部とが一体的に形成されてなるものであり、誘電体ブロック22の上面はすなわち検体ウェル23の内底面23aに他ならない。したがって、検体ウェル23の内底面23aに設けられた金属膜12とは誘電体ブロック22の上面に設けられた金属膜であり、検体ウェル23の内底面23aと金属膜12との界面とは、誘電体ブロック22の上面と金属膜12との界面に相当するものである。また、センサウェルユニット20の本体21の外底面21cを位置測定用の基準面21cとしている。
本体21は例えば透明樹脂等からなり、検体ウェル23は開口部から下方に向かって次第に径が縮小する断面円形に構成されている。また、検体ウェル23の内底面23aに設けられている金属膜12上には、さらに特定物質と結合するセンシング物質14が固定されている。この検体ウェル23には、例えば、検体を含む試料液が蓄えられる。
また、本体21の図中左端からは第1フランジ24が、右端からは第2フランジ25がそれぞれ延出しており、これらフランジ24,25は、互いに同じ厚さを有するとともに、本体21の上面21aと面一(つらいち)の平坦な上面24a,25aと、上面24a,25aと平行平面をなす下面24b,25bを備えている。
表面プラズモン共鳴測定装置5は、定盤17と、後述の6軸微動ステージ38上に配置された、センサウェルユニット20を定盤17の上方の所定位置に着脱自在に保持するセンサ保持手段18と、光ビームLを出射する、検体ウェル23と同数の光源50A,50B,…50Pと、各光源50A,50B,…50Pから出射された光ビームLを誘電体ブロック22に対して、該誘電体ブロック22の上面(すなわち検体ウェル23の内底面23a)に設けられた薄膜層との界面23bで全反射条件が得られるように種々の入射角度で入射させる、検体ウェル23と同数の光ビーム入射手段60A,60B,…60Pと、界面23bで反射された光ビームLの強度を検出する、検体ウェル23と同数の光検出手段70A,70B,…70Pと、光検出手段70A,70B,…70Pの出力に基づいて全反射減衰角情報を取得するコンピュータシステム等からなる信号処理部10と、この信号処理部10に接続された表示手段11と、センサウェルユニット20の位置変位を測定する変位測定手段30と、センサウェルユニット20の位置を機械的に調整する、定盤17上に配置された6軸微動ステージ38および該ステージ38を駆動するための信号を出力する駆動手段39からなる位置調整手段とを備えてなる。本実施形態においては光検出手段70A,70B,…70Pと、信号処理部10により屈折率情報取得手段の一つである全反射減衰情報取得手段が構成されている。
なお、本実施形態においては、図中に示すように、定盤17に平行面をxy面とし、該xy面内において光ビーム入射手段60、センサ保持手段18、光検出手段70の並び方向をy軸方向、それに直交する方向をx軸方向、xy面に垂直な方向をz軸方向としている。また、x、y、zの各軸周りの回転方向θ、φ、ψ方向、すなわちyz面内における回転方向をθ、zx面内における回転方向をφ、xy面内における回転方向をψとしている。
6軸微動ステージ38は、互いに直交するx、y、z軸、および各軸周りの回転方向θ、φ、ψの6つの軸を有するステージであり、各軸が上述の定盤17を基準として定められた各軸方向と一致するように配置されている。
センサ保持手段18は、センサウェルユニット20の両フランジ24,25の下面24b,25bを支持する部分を備え、該両フランジ24および25の下面24b,25bで該センサウェルユニット20を支持して定盤17の上方の所定位置にセンサウェルユニット20を保持するものである。このセンサ保持手段18は、センサウェルユニット20をその検体ウェル23の並び方向が略x軸方向に沿うように保持するものであり、センサウェルユニット20の定盤17に対する上下方向への変位というのはz軸方向への変位に他ならない(図2および図3参照)。
光ビーム入射手段60A,60B,…60Pと、光検出手段70A,70B,…70Pは、センサ保持手段18を挟むように定盤17にそれぞれ固定部2a、2bを介して配置されており、16個の検体ウェル23のそれぞれに1対の光ビーム入射手段60A,60B,…60Pと光検出手段70A,70B,…70Pが整合する状態に配設されている。
各光ビーム入射手段60A,60B,…60Pは、対応するレーザ光源50A,50B,…50Pから発散光状態で発せられた光ビームLを平行光とするコリメータレンズ61、光ビームLを集光する集光レンズ62とを備えてなる。
光検出手段70Aは、多数の受光素子が1列に配されてなるラインセンサから構成されており、光ビームLの進行方向に対して受光素子の並設方向がほぼ直角となる方向(図2中の矢印A方向)に配設されている。ラインセンサとしては、フォトダイオードアレイ、CCDラインセンサ等が挙げられるが、その他、光検出手段としては2分割フォトダイオードなどを用いてもよい。
変位測定手段30は、定盤17に対して固定された位置に配置された、5本の静電プローブ31a〜31eと、光角度変位計32と、該静電プローブ31a〜31eの制御を行うコンソール37とを備えてなり、これらによりセンサウェルユニット20の、直交座標軸x,y,z軸および回転方向θ,φ,ψそれぞれへの変位を測定することができる。
図示の通り、センサウェルユニット20の長さ方向がx軸に沿うように、かつセンサウェルユニット20の上面がz軸に対して垂直となるように配置されている。
図4(a)に示す、センサウェルユニット20の第2フランジ25の側面25dに面するように配置されている静電プローブ31aはセンサウェルユニット20のx軸方向への変位を測定するものであり、センサウェルユニット20の第1フランジ24、第2フランジ25の側面24c,25cに面するように、互いに平行に配置されている2本の静電プローブ31bおよび31cはセンサウェルユニット20のy軸方向への変位を測定するものである。また、静電プローブ31bおよび31cの出力からセンサウェルユニット20の基準位置からのψ方向への変位(回転角度)を得ることができる。
図4(b)に示す、センサウェルユニット20の本体21の基準面(外底面)21cに面するように、互いに平行に配置されている2本の静電プローブ31dおよび31eはセンサウェルユニット20のz軸方向への変位を測定するものであり、同時に、これら2本の静電プローブ31dおよび31eの出力から、センサウェルユニット20の基準位置からのφ方向への変位(回転角度)を得ることができる。
静電容量を測定する静電プローブ31a〜31eとしては、例えば、センササイズ直径が0.5mm、測定フルスケールが±25μmのプローブを使用する。但し、センササイズおよび測定フルスケールはこれに限るものではない。
コンソール37は、静電プローブ31a〜31eのプローブ先端のセンサと測定対象面との間に静電容量を発生させ、対象面とセンサとの距離に応じて静電容量が変化することから測定対象面の変位を静電容量の変化として検出し、電圧に置換して出力するものである。なお、測定対象面となるセンサウェルユニット20の本体21の基準面(外底面)21c、第1フランジ24、第2フランジ25の側面24c,25cおよび25dにはそれぞれ金等の金属膜が蒸着により被着されている。
また、図4(c)に示す、センサウェルユニット20のx軸方向中央下方に配置されている光角度変位計32は、光てこ型の光センサであり、センサウェルユニット20の基準面21cのx軸方向中央部に光ビームを入射させ、その反射光を受光してセンサウェルユニット20の、基準位置からのθ方向への変位(回転角度)を測定するものである。なお、センサウェルユニット20の基準面21cの光ビームが入射される部分は金等が蒸着されミラー面とされている。
駆動手段39は、変位測定手段30により測定されたセンサウェルユニット20の位置変位に応じて、センサウェルユニット20の位置が基準位置となるように、6軸微動ステージ38を駆動させるための駆動信号を出力するものである。
これにより、駆動手段39の出力を受け6軸微動ステージ38が駆動され、6軸微動ステージ38上のセンサ保持手段18の位置が微動調整され、結果としてセンサウェルユニット20の位置、すなわち界面23bの位置が調整される。
既述の通り、上記の表面プラズモン共鳴測定装置5を用いて、同一検体ウェル23について時間をおいて複数回測定し、検体とセンシング物質14の結合の有無を含む結合状態の変化を調べる場合、複数の試料についての効率的な測定を行うために、1回目の測定が終了した第1のセンサウェルユニット20をセンサ保持手段18から取外し、第2のセンサウェルユニット20を測定部に設置して測定を行い、もう一度第1のセンサウェルユニット20を設置して測定を行うという動作を繰り返すバッチ処理を行うことがある。この場合、センサウェルユニット20の温度を各測定毎に一定に管理しないと温度変動による測定誤差を生じてしまうため、センサウェルユニット20の温度が目標温度Tgになるまで所定温度Tcに管理された恒温部3に保管してなじませる必要があるが、測定を行うために一旦恒温部3から搬出されたセンサウェルユニット20は、恒温部3外の空気との温度差や、試料の化学反応による発熱等によって個々に温度が変動するため、測定が終了した後、恒温部3内で再び目標温度Tgになじませるまでに掛かる時間がセンサウェルユニット20毎に異なる。
そのため、想定される中で最大の温度差のセンサウェルユニット20に合わせ、最大温度差のセンサウェルユニット20が目標温度Tgになじむまでに要する所要時間を定め、恒温部3内に保管される全てのセンサウェルユニット20について保管してから所要時間経過した後に再測定を行うようにしなければならないため、測定のスループットが低下するという問題があった。また、恒温部3内に保管される全てのセンサウェルユニット20毎に温度センサ9を設けて温度を監視し、目標温度Tgになじんだセンサウェルユニット20から測定を行うようにすることによりスループットの低下は避けられるが、コストの面からは不適当である。
そのため、本実施の形態による測定装置1は、センサウェルユニット20と、測定手段としての表面プラズモン共鳴測定装置5と、恒温部3に加え、センサウェルユニットの温度を測定する温度センサ9と、センサウェルユニット20を恒温部3、測定部4および装置外部に選択的に配置する搬送手段7と、搬送手段7を制御する制御手段としてのCPU2を備え、CPU2を、温度センサ9により測定されたセンサウェルユニット20の温度Twと、恒温部3の温度(所定温度)Tcとの差に基づいて、恒温部3内に保管されたセンサウェルユニット20の温度が所定温度Tcに近い目標温度Tgになるまでの所要時間tgを推定し、恒温部3内に複数のセンサウェルユニット20が保管されている際に、搬送手段7に、所要時間tgが早く経過したセンサウェルユニット20から順に表面プラズモン共鳴測定装置5へ搬送させるものとすることにより、恒温部3内に保管する複数のセンサウェルユニット20のなじませ時間を、温度差の大きいセンサウェルユニット20のなじませ時間に合わせる必要がなくなるため、測定のスループットを向上させることができる。
また、恒温部内に保管されるセンサウェルユニット20毎に温度センサ9を設ける必要がないため、コストの増加を招くことなく装置を実現することが可能である。
ここで、CPU2による所要時間tgの推定方法、およびセンサウェルユニット20の管理について詳細に説明する。図5は、温度勾配下でのセンサウェルユニット20の温度推移を示すグラフである。
温度勾配の存在下において、目標温度Tgを(1)式のように定義する。
Tg=(Tw−Tc)exp(−tg/τ)+Tc (1)
ただし、Tw:センサウェルユニット20の温度(℃)、Tc:恒温部3の温度(℃)、tg:センサウェルユニット20の温度が目標温度Tgになるまでの所要時間(s)、τ:熱時定数(s)とする。なお、熱時定数τは、温度変化が定常値の63.2%に達するまでの時間を表しており、センサウェルユニット20の形状や恒温部3内での設置環境によって予め定まる値である。
(1)式から、センサウェルユニット20の温度が目標温度Tgになるまでの所要時間tgは、(2)式のように表される。
tg=τ×In((Tw−Tc)/(Tg−Tc)) (2)
本実施の形態においては、センサウェルユニット20を恒温部3内へ搬入した際に温度センサ9でセンサウェルユニット20の温度Twを測定し、各センサウェルユニット20毎に、センサウェルユニット20の温度が目標温度Tgになるまでの所要時間tgを算出する。
所要時間tgの算出が済んだセンサウェルユニット20は、恒温部3内の複数の設置位置のいずれかに設置され、保管される。
なお、設置位置には個別にIDが付与されており、CPU2は、各センサウェルユニット20の所要時間tgと、このセンサウェルユニット20の設置位置IDとを関連つけて管理することにより、所要時間tgが経過したセンサウェルユニット20を識別することが可能となる。
CPU2は、恒温部3内に複数のセンサウェルユニット20が保管されている際に、搬送手段7に、所要時間tgが早く経過したセンサウェルユニット20から順に表面プラズモン共鳴測定装置5へ搬送させる。
次に、表面プラズモン共鳴測定装置5による試料分析について説明する。なおここでは、センサウェルユニット20の16個の検体ウェル23のうち、光ビーム入射手段60Aおよび光検出手段70Aに整合する状態とされた1つの検体ウェル23を例に取って説明を行うが、その他の検体ウェル23においても測定は同様になされるものである。
表面プラズモン共鳴測定を行う際には、半導体レーザ等からなる光源50Aが駆動され、光源50Aから光ビームLが発散光の状態で出射する。この光ビームLは光ビーム入射手段60Aのコリメータレンズ61により平行光化され、集光レンズ62によって集光されて収束光状態で誘電体ブロック22に入射し、誘電体ブロック22の上面(すなわち検体ウェル23の内底面23a)と金属膜12との界面23bに対して種々の入射角成分を含む状態で入射する。なお、この入射角θの範囲は、上記界面23bにおいて光ビームLの全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。なおここで、検体ウェル23の内底面23aと界面23bは略同一面とみなすことができる。
上記界面23bに入射した光ビームLは該界面23bで全反射し、全反射した光ビームLは光検出手段70Aによって検出される。光ビームLは、上述の通り界面23bに対して種々の入射角成分を含む状態で入射するから、全反射した光ビームLにも、種々の反射角で反射した成分が含まれることになる。光検出手段70Aにおいては、この種々の反射角で全反射された光ビームLの各成分を、それぞれ異なる受光素子が受光し、各受光素子によって検出された上記反射光ビームLの強度分布を示す信号を出力する。
界面23bに特定入射角θSPで入射した上記光ビームLの成分は、金属膜12と該金属膜上の物質との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光成分については反射光強度が鋭く低下する。つまり上記特定入射角θSPが全反射解消角であり、この角度θSPにおいて反射光強度は極小値を示す。この反射光強度が低下する領域は、反射した光ビームL中の暗線Dとして観察され、光検出手段70Aが出力する光量検出信号から各受光素子毎の検出光量を調べ、暗線を検出した受光素子の位置に基づいて上記入射角(全反射減衰角)θSPを求めることができる。図6は、光ビームLの界面への入射角θと光検出手段70Aで受光した光ビームの光強度Iとの関係を概略的に示すものである。この全反射減衰角θSPは、ウェル底面の金属膜12に接している物質の誘電率つまりは屈折率が変化すると、それに応じて図6中において左右方向に変動する。なお、この入射角θおよび特定入射角θSPは、あくまでの界面への入射角をいうものであり、前述のz軸周りの回転方向θとは異なるものである。
本実施の形態において金属膜12の表面に固定されているセンシング物質14は、特定物質と結合するものであり、このセンシング物質14上に特定物質を含む試料液が滴下されると、特定物質とセンシング物質14との結合状態に応じて金属膜12上の測定対象物たるセンシング物質14の屈折率が変化して、図6の特性曲線が左右方向に移動する形に変化する(すなわち全反射減衰角θSPが左右方向に変動する)。そこで、全反射減衰角θSPの変化を測定することにより、試料液中に特定物質が存在するか否かを検出することができる。なおこの場合は、試料液15およびセンシング物質14の双方が、分析対象の試料となる。このような特定物質とセンシング物質との組合せとしては、例えば抗原と抗体とが挙げられる。
信号処理部10は、以上の原理に基づいて試料液15中の特定物質とセンシング物質14との反応状態を検出し、その結果を表示部11に表示する。
以上の測定操作は他の15個の検体ウェル23に対しても並行して同様になされ、16個の検体ウェル23に蓄えられている試料液15に対する測定が同時になされる。なお、16個の検体ウェル23に対する光ビームLの照射および全反射減衰角θSPの検出は、互いに厳密に同時に行う必要はなく、開始あるいは終了の時間が互いに多少ずれていても構わない。
上述の通り、試料液15にセンシング物質14と結合する特定物質が存在するか否かは、試料液15を検体ウェルに分注する前後における全反射減衰角の変化を測定することにより検出することができる。なお、試料液の溶媒による屈折率変化の影響を除去するために、試料液分注前の測定は、試料液の溶媒と同一成分のバッファ液を検体ウェルに溜めた状態で行う。
試料液分注前の測定(反応前測定)と試料液分注後の測定(反応後測定)との間には、試料分注、および所定の反応時間等のための時間を要する。この測定間の時間を有効に活用するため、1つのセンサウェルユニット20についての反応前測定後に、一旦センサウェルユニット20を測定手段から外し、別のセンサウェルユニット20についての反応前測定(あるいは反応後測定)を行うというバッチ処理が行われており、これによりハイスループット化を実現することができる。
以下、本実施の形態の測定装置における、CPU2による試料分析測定の制御手順を説明する。
試料分析測定に際しては、まず、外部に待機しているセンサウェルユニット20の各検体ウェル23へ分注器8によりバッファ液を分注させる。その後、センサウェルユニット20を、搬送手段7により恒温部3へ搬送させ、恒温部3内でセンサウェルユニット20の温度が目標温度Tgとなるまで放置させる。
その後、センサウェルユニット20を、搬送手段7により表面プラズモン共鳴測定装置5のセンサ保持手段18に搬送させ、センサウェルユニット20の各検体ウェル23について、上述の反応前測定を実行完了させる。
反応前測定の後、センサウェルユニット20の各検体ウェル23に分注器8によりそれぞれ試料液15を分注させた後、センサウェルユニット20を搬送手段7により恒温部3内に戻させる。
その後、再び、センサウェルユニット20の温度が目標温度Tgとなるまで放置させた後、搬送手段7により表面プラズモン共鳴測定装置5のセンサ保持手段18に搬送させ、センサウェルユニット20の各検体ウェル23について、上述の反応後測定を実行完了させる。
この反応後測定は、試料液15中にセンシング物質14と結合する特定物質が存在する場合両者が結合反応した状態でなされるものであり、この測定値から反応前の測定値を差し引くことにより、検体の反応のみによる屈折率変化を検出することができる。
このように、反応後測定は、反応前測定時のセンサウェルユニット20の温度と略同じ温度で行われるため、バッファ液による屈折率変化の影響を高精度に差し引き、検体の反応のみによる屈折率変化を高精度に検出することができる。
なお既述のとおり、1つのセンサウェルユニット20の反応前測定と反応後測定の間には、他の1または複数のセンサウェルユニット20の反応前測定もしくは反応後測定を行う。
なお、上述のような反応前後の変化を測定する場合のみならず、反応の時間経過を見るために、一定時間経過毎に複数回測定を行う場合にも略同一の温度を再現することができる。また、全反射減衰角に基づく対象試料の定量分析の際にも常に略同一の温度で測定を行うことにより、高い精度で試料の全反射減衰角の測定を行うことができ信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の測定装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、測定手段を表面プラズモン共鳴測定装置から漏洩モードセンサに変更したものである。図7は、漏洩モードセンサ9およびセンサウェルユニット20’の断面図である。図2中の要素と同等の要素には同符合を付しており、それらについての説明は必要のない限り省略し、主として相違点のみ説明する。
この第2の実施の形態の測定装置における測定手段は、先に説明した漏洩モードセンサであり、本例においても上記と同様の複数のウェル23を備えたセンサウェルユニット20’に対応している。ただし、図7に示すようにウェル23の底面に金属膜にかえて、クラッド層40が形成され、さらにその上には光導波層41が形成されてなる。それ以外の構成は第1の実施の形態の表面プラズモン共鳴測定装置と同一である。
センサウェルユニット20’の本体21は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスからなるものである。一方クラッド層40は、本体21(すなわちその一部である誘電体ブロック22)よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層41は、クラッド層40よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層40の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層41の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
上記構成の漏洩モードセンサにおいて、光源50から出射した光ビームLを誘電体ブロック22を通して各ウェル23のクラッド層40に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビームLが誘電体ブロック22とクラッド層40との界面23bで全反射するが、クラッド層40を透過して光導波層41に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層41を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層41に取り込まれるので、上記界面23bで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
光導波層41における導波光の波数は、該光導波層41の上の試料液15の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料液15の屈折率や、それに関連する試料液15の特性を分析することができる。また、表面プラズモン共鳴測定装置の場合と同様に、光導波層41上に特定物質と結合するセンシング物質14を設けておくことにより、試料液15中の特定物質の有無等の検出を行うことができる。
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、さらに別の測定装置を第3の実施の形態として以下に説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較して測定手段の態様を変更したものである。図8は、第3の実施の形態の測定装置における測定手段の要部構成を模式的に示した図である。なお、上述の各実施の形態と異なる、被検体とセンシング物質との結合状態を得る測定方法に関する部分のみ図8に示し以下に説明する。
本実施の形態の測定装置においては、センサウェルユニット20を挟んで光源320A〜PとCCD360A〜Pとが配設されており、これら光源320A〜PとCCD360A〜Pとの間には、コリメータレンズ350A〜P、干渉光学系、集光レンズ355A〜Pおよびアパーチャー356A〜Pが配設されている。
上記干渉光学系は、偏光フィルタ351A〜P、ハーフミラー352A〜P、ハーフミラー353A〜Pおよびミラー354A〜Pにより構成されている。
さらに、CCD360A〜Pは信号処理部361に接続されており、信号処理部361は表示部362に接続されている。
以下、本実施の形態の測定装置における試料の測定について説明する。
光源320A〜Pが駆動されて光ビーム330A〜Pが発散光の状態で出射される。この光ビーム330A〜Pはコリメータレンズ350A〜Pにより平行光化されて偏光フィルタ351A〜Pに入射する。偏光フィルタ351A〜Pを透過して界面に対してp偏光で入射するようにされた光ビーム330A〜Pは、ハーフミラー352A〜Pにより一部がレファレンス光ビーム330Rとして分割され、ハーフミラー352A〜Pを透過した残りの光ビーム330Sは界面に入射する。界面で全反射した光ビーム330Sおよびミラー354A〜Pで反射したレファレンス光ビーム330Rはハーフミラー353A〜Pに入射して合成される。合成された光ビーム330’は集光レンズ355A〜Pにより集光され、アパーチャー356A〜Pを通過してCCD360A〜Pによって検出される。このとき、CCD360A〜Pで検出される光ビーム330’は、光ビーム330Sとレファレンス光ビーム330Rとの干渉の状態に応じて干渉縞を発生させる。
試料液15分注後から継続的に複数回測定し、CCD360A〜Pにより検出される干渉縞の変化を検出することにより、試料中の特定物質とセンシング物質との結合の有無を検出することができる。つまりこの場合は、上記特定物質とセンシング物質14との結合状態に応じてセンシング物質14の屈折率が変化すると、界面で全反射した光ビーム330Sおよびレファレンス光ビーム330Rがハーフミラー353A〜Pにより合成される際に、干渉の状態が変化するため、上記干渉縞の変化に応じて結合を検出することができる。
信号処理部361は、以上の原理に基づいて上記反応の有無を検出し、その結果が表示部362に表示される。
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
上記各実施の形態においては、1次元状に複数の検体ウェルが設けられているセンサウェルユニットを例に挙げて説明したが、検体ウェルを1つのみ有する従来の検体チップ状のセンサウェルユニット、あるいは2次元状に複数の検体ウェルが設けられているプレート状のセンサウェルユニットを備えた形態を取ることもできる。
第1の実施の形態の測定装置の構成図 上記測定装置の測定手段である表面プラズモン共鳴測定装置およびセンサウェルユニットの側断面図 上記表面プラズモン共鳴測定装置およびセンサウェルユニットの要部正面図 センサウェルユニットと上記表面プラズモン共鳴測定装置の静電プローブおよび光角度変位計との位置関係を模式的に示した上面図(a)、正面図(b)および側面図(c) 温度勾配下でのセンサウェルユニットの温度推移を示すグラフ 光ビーム入射角と検出光強度との関係を示す図 第2の実施の形態の測定装置の測定手段である漏洩モードセンサの側断面図 第3の実施の形態の測定装置の測定手段の要部概略構成を示す側断面図
符号の説明
1 測定装置
2 CPU
3 恒温部
4 測定部
5 測定手段
6 温度センサ
7 搬送手段
8 分注器
9 温度センサ
10 信号処理部
12 金属膜
14 センシング物質
15 試料液
20 センサウェルユニット
21 センサウェルユニット本体
21c 基準面
22 誘電体ブロック
23 検体ウェル
23a 検体ウェルの内底面(誘電体ブロックの上面)
23b 界面
30 変位測定手段
31a〜e 静電プローブ
32 光角度変位計
37 コンソール
38 6軸微動ステージ
39 駆動手段
40 クラッド層
40 光導波層
50A〜P 光源
60A〜P 光ビーム入射手段
70A〜P 光検出手段(フォトダイオードアレイ)

Claims (2)

  1. 誘電体ブロック、該誘電体ブロックの上面に設けられた薄膜層、該薄膜層上に試料を保持する試料保持部を備えたセンサウェルユニットと、光ビームを出射する光源、前記センサウェルユニットを所定位置に着脱自在に保持するセンサ保持手段、前記光ビームを、前記誘電体ブロックに対して、前記誘電体ブロックの上面と前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる入射角度で入射させる光ビーム入射手段、および前記界面で反射された光ビームに基づいて、前記薄膜層上の測定対象物の屈折率情報を取得する屈折率情報取得手段を備えた測定手段と、所定温度に管理され、複数の前記センサウェルユニットを保管する恒温部とを備えた測定装置を用いて、前記センサウェルユニットの温度が前記所定温度に近い目標温度なるまで前記恒温部内に前記センサウェルユニットを保管し、前記目標温度となった前記センサウェルユニットについて、前記測定手段により測定を行う測定方法において、
    前記センサウェルユニットの温度を測定し、
    測定した前記センサウェルユニットの温度と、前記恒温部の前記所定温度との差に基づいて、前記恒温部内に保管した前記センサウェルユニットの温度が前記目標温度になるまでの所要時間を推定し、
    前記恒温部内に複数の前記センサウェルユニットを保管した際に、前記所要時間が早く経過した前記センサウェルユニットから順に、前記恒温部から取り出して測定を行うことを特徴とする測定方法。
  2. 誘電体ブロック、該誘電体ブロックの上面に設けられた薄膜層、該薄膜層上に試料を保持する試料保持部を備えたセンサウェルユニットと、
    光ビームを出射する光源、前記センサウェルユニットを所定位置に着脱自在に保持するセンサ保持手段、前記光ビームを、前記誘電体ブロックに対して、前記誘電体ブロックの上面と前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる入射角度で入射させる光ビーム入射手段、および前記界面で反射された光ビームに基づいて、前記薄膜層上の測定対象物の屈折率情報を取得する屈折率情報取得手段を備えた測定手段と、
    所定温度に管理され、複数の前記センサウェルユニットを保管する恒温部と、
    前記センサウェルユニットの温度を測定する温度測定手段と、
    前記センサウェルユニットを、前記恒温部内から前記測定手段の前記所定位置へ搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段を制御する制御手段とを備え、
    該制御手段が、前記温度測定手段により測定された前記センサウェルユニットの温度と、前記恒温部の前記所定温度との差に基づいて、前記恒温部内に保管された前記センサウェルユニットの温度が前記所定温度に近い目標温度になるまでの所要時間を推定し、前記恒温部内に複数の前記センサウェルユニットが保管されている際に、前記搬送手段に、前記所要時間が早く経過した前記センサウェルユニットから順に前記測定手段へ搬送させるものであることを特徴とする測定装置。
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