JP2005274108A - 燃焼状態の分析システム及び分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボイラや吸収式冷温水器、給湯器などの燃焼機器における振動燃焼の発生を検知することができる燃焼状態の分析システム及び分析方法を提供する。
【解決手段】 燃焼機器において燃焼している火炎の燃焼音(圧力変動)と発光強度変動(熱発生変動)とを同時測定し、これら2つの測定値の相関関数を分析することにより、燃焼振動由来の燃焼音の有無、並びに燃焼不安定化の可能性が高い遷移状態であるかどうかを判断する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、ボイラや吸収式冷温水器、給湯器などの燃焼機器における燃焼状態の分析システム及び分析方法に関し、特に、振動燃焼の発生を検知することができる燃焼状態の分析システム及び分析方法に関するものである。
一般に、ボイラ等の燃焼機器における燃焼状態の分析及び評価は、その騒音レベルを測定することにより行われている。燃焼機器が発する騒音(燃焼音)は、機器の大きさや構造によって異なってくるため、正常な燃焼音と異常な燃焼音とを判別するには、機器の運転管理者等の経験や勘に大きく頼ることとなる。一方、周囲雑音(暗騒音)が大きい環境では、運転管理者等が燃焼音を聞き分けるのが困難となるため、測定装置を用いて燃焼音の周波数解析を実施する場合もある。
また、従来、燃焼機器の燃焼量又は運転負荷と燃料中の空気比又は排ガスのO濃度とをパラメータとして、正常運転が行われる燃焼範囲を予め測定しておき、燃焼機器の稼動中にこの燃焼範囲内で運転が行われているかどうかを監視することにより、燃焼機器における燃焼状態を自動的に診断することが行われている。燃焼範囲は、燃焼機器の排ガス中のNOx、CO排出濃度等が目標値をクリアし、かつ、振動燃焼が発生せず安定な燃焼が実現できる範囲として決められる。このような燃焼範囲を示すマップの例を図11に示す。
特許文献1には、燃焼機器の固有振動数、機器内の圧力分布又は速度分布などのパラメータを用いて、振動燃焼が発生する領域及び発生しない領域を示す振動エリアマップを作成する方法が開示されている。
特許文献2には、燃焼機器内の圧力変動周波数解析し、その周波数帯域に基づいて振動安定性を処理する制御装置及び制御方法が開示されている。
特許文献3には、振動燃焼現象の解析モデルから得られる音圧の周波数応答結果に顕著なピークが発生しないようにバーナの設計変更及び燃焼装置形状の変更を行うことにより、燃焼装置の設計段階で振動燃焼の発生を予防する技術が開示されている。
特許文献4には、混合燃料の予混合管を出口流速が異なる通常予混合管と特殊予混合管とから構成し、それぞれの噴射弁における熱発生の位相を変化させることにより、熱発生の密度を低下させ、圧力の変動振幅を低減させて、振動燃焼を抑制した燃焼機器が開示されている。
特開平8−210635号公報(図9等) 特開平9−269107号公報(要約等) 特開平11−132458号公報(要約等) 特開2003−106527号公報(第0015段落等)
上記した燃焼範囲は、燃焼機器の出荷時や試運転時などに適切に調整・設定されたものであるが、燃焼機器の使用を継続することにより、燃焼条件が経年的に変化してしまうことがある。例えば、流量調節用弁の弁開度のズレ、吸気フィルタの目詰まり等による送風機能力の低下などにより、燃料や空気流量条件が初期設定値と異なってしまったり、焼損等バーナ部品の経年劣化などにより、燃焼状態が変化してしまったりすることがある。このような場合、当初設定された燃焼範囲内で燃焼機器を運転しても、本来の正常運転が行えないこととなる。
このような状況下、燃焼機器において共鳴や振動燃焼などが発生するトラブルがしばしば発生する。振動燃焼に関しては、トラブル改善に向けて経験的・試行錯誤的に対応が行われているが、振動燃焼は複雑な現象でありその発生メカニズムが十分解明されていないため、燃焼機器における燃焼状態から振動燃焼が発生しているかどうかを的確に判断する方法は確立されていない。従来の燃焼音を観測して振動燃焼の発生を判断する方法では、周囲雑音が大きい場合には、精確な判断が行えないこともあり、また、燃焼機器ごとに燃焼音の特性が異なるので、一般的な判断基準を定めることもできないでいる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ボイラや吸収式冷温水器、給湯器などの燃焼機器における振動燃焼の発生を検知することができる燃焼状態の分析システム及び分析方法を提供しようとするものである。
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、燃焼機器において燃焼している火炎の燃焼音(圧力変動)と火炎発光強度変動(熱発生変動)とを同時測定し、これら2つの測定値の相関関数を分析することにより、燃焼振動由来の燃焼音の有無、並びに燃焼不安定化の可能性が高い遷移状態であるかどうかを判断することに想到した。
すなわち、本発明は、燃焼音を測定する測音手段と、火炎発光を測定する測光手段と、前記測音手段及び測光手段それぞれからの測定データを分析する分析手段とを含んだ燃焼状態の分析システムであって、前記分析手段は、測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求め、前記相関関数の周波数特性に基づいて振動燃焼の発生状態を分析する分析システムを提供するものである。
燃焼における火炎発光強度変動は熱発生率の変動と強い相関関係にあるため、火炎発光強度変動の測定データを使用することにより、燃焼による熱発生率の変動を分析パラメータとして取り込むことができる。また、測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を取ることにより、これら2つの測定データの変動(波形)の類似度及び相関の高さを表すことができる。従って、本発明の燃焼状態分析システムは、同時計測した燃焼音及び火炎発光の変動(波形)の相関を分析することにより、燃焼音に振動燃焼由来の騒音が含まれているかどうかを判断するものである。
本発明の燃焼状態分析システムにおいて、前記分析手段は、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数に倍音関係が成立するかどうかとに基づいて、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする。これは、振動燃焼の発生状態の違いが、相関関数の周波数特性(波形の卓越性や周期性など)に影響していることに着目したためである。
本発明の燃焼状態分析システムにおいて、前記分析手段は、1のピーク周波数をn倍した値(n×f1)と他のピーク周波数(f2)との乖離度を、それらのピーク周波数間に倍音関係が成立するかどうかの尺度として用いることを特徴とする。但し、nは2以上の整数である。これにより、前記1のピークと前記他のピークとの間に倍音関係が成立するかどうかを定量的に表すことが可能となる。
本発明の燃焼状態分析システムにおいて、前記分析手段は、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数の乖離度とに、予め保持してある分析基準を適用することにより、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする。例えば、燃焼機器が安定燃焼状態の時に測定された測定データを用いて、燃焼状態診断マップを予め作成しておき、実際の燃焼機器稼動時には、測定データから求められる前記相関関数のピークレベル比及び乖離度に燃焼状態診断マップを適用するようにすれば、自動的に振動燃焼の発生状態を分析することができる。
本発明の燃焼状態分析システムにおいて、前記分析手段は、振動燃焼が発生している状態、発生していない状態、及び振動燃焼が今後発生する可能性が高い遷移状態のいずれであるかを分析することを特徴とする。
本発明は、また、燃焼音及び火炎発光を測定するステップと、測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求めるステップと、前記相関関数の周波数特性に基づいて振動燃焼の発生状態を分析するステップとを含んだ燃焼状態の分析方法を提供するものである。
本発明は、また、燃焼音及び火炎発光を測定するステップと、測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求めるステップと、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数に倍音関係が成立するかどうかとに基づいて、振動燃焼の発生状態を分析するステップとを含んだ燃焼状態の分析方法を提供するものである。
本発明の燃焼状態分析方法において、1のピーク周波数をn倍した値(n×f1)と他のピーク周波数(f2)との乖離度を、それらのピーク周波数間に倍音関係が成立するかどうかの尺度として用いることを特徴とする。但し、nは2以上の整数である。
本発明の燃焼状態分析方法において、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数の乖離度とに、予め保持してある分析基準を適用することにより、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする。
本発明の燃焼状態分析方法において、前記振動燃焼の発生状態を分析するステップでは、振動燃焼が発生している状態、発生していない状態、及び振動燃焼が今後発生する可能性が高い遷移状態のいずれであるかを分析することを特徴とする。
本発明は、また、上記した燃焼状態分析方法を、燃焼音及び火炎発光の測定データを保持するコンピュータ上で実行させるためのプログラムを提供するものである。
以上、説明したように、本発明の燃焼状態の分析システム及び分析方法によれば、家庭用又は業務用のボイラや吸収式冷温水器、給湯器などの燃焼機器における振動燃焼の発生を検知し、また、振動燃焼が発生する不安定燃焼状態に移行する可能性の高い遷移状態であることを検知することができる。特に、燃焼状態の評価において、燃焼音の圧力変動と火炎発光強度変動との相関関数を求めるが、単純に相関関数の大きさの比較をするのではなく、相関関数の周波数特性(波形の卓越性や周期性)を分析するので、設置環境(暗騒音レベル)や機器定格出力(燃焼量)に左右されることなく燃焼状態の分析を行うことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の燃焼状態の分析システム及び分析方法を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図10は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
図1は、本発明の燃焼状態の分析システムの全体構成を概略的に示す図である。図1において、本システムは、煙道及び観察窓を有する燃焼室と、燃焼室における燃焼状態を測定するためのマイクロフォン及び光電子倍増管と、マイクロフォン及び光電子倍増管による測定データを解析するための解析装置とから構成されている。
本システムにおいて、マイクロフォンは、燃焼室において発生する燃焼音を測定するための一般的な側音装置であり、燃焼室の煙道から約1m離れた位置に配置している。光電子倍増管は、燃焼室内の火炎の発光強度を測定するための一般的な装置である。解析装置は、パーソナルコンピュータ等から構成することができ、マイクロフォン及び光電子倍増管から受信した測定データを解析するためのソフトウェアや、解析結果を表示するモニタ、ユーザからの入力を受け付ける入力デバイス等を備えている。
燃焼室において燃焼運転を行っている間、マイクロフォン及び光電子倍増管は、燃焼室における燃焼状態を定常的に測定し、その測定データを解析装置に送信する。解析装置では、マイクロフォンにより測定した燃焼音の測定値と、光電子倍増管により測定した火炎発光の測定値との相関関数を分析し、一定の条件に従って、燃焼室における燃焼状態を判定し、モニタ等に出力する。
尚、本実施形態では、火炎発光強度の測定に光電子倍増管を用いたが、これに代えて紫外線検出式火炎検知器を利用することも可能である。この場合、検知器から出力される火炎検知信号を解析装置において火炎発光強度に変換すれば、上記と同様の測定データを得ることができる。
尚、解析装置における具体的な解析方法については、以下の実施例において詳細に説明する。
本発明の燃焼状態の分析システム及び分析方法の実施例として、図1に示す構成に従って、ボイラ缶体を模擬した水冷実験炉に市販のボイラ用バーナを取り付けた燃焼装置を作成し、光電子倍増管を観察窓に向けて設置し、実験炉煙道から約1m離れた地点にマイクロフォンを設置して、安定燃焼下や振動燃焼発生下など様々な環境下、燃焼量や運転状態など様々な条件下で燃焼実験を行い、解析装置において、燃焼音と火炎発光強度変動の測定データの周波数解析を行った。尚、燃焼音はC特性により測定した。
図2は、振動燃焼発生下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。図2の(a)のグラフに示されるように、振動燃焼発生下では、燃焼音の圧力変動(騒音レベル)の周波数特性に卓越周波数成分が現れるという特徴がある。また、火炎発光強度変動についても、圧力変動の波形と同様に周波数特性に卓越周波数成分が現れている。図2の(b)のグラフに示す燃焼音の圧力変動と火炎発光強度変動の相関関数から高い相関性が読み取れるため、振動燃焼発生下では、燃焼室で発生する燃焼音は熱発生率変動に由来していることが分かる。
図3は、安定燃焼下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。図3の(a)のグラフに示されるように、安定燃焼下では、燃焼音の圧力変動(騒音レベル)の周波数特性に卓越周波数成分が現れず、比較的ブロードな周波数特性となっている。また、図3の(b)のグラフに示す燃焼音の圧力変動と火炎発光強度変動の相関関数を見ると、両関数の相関性が低いことが読み取られる。
図4は、振動燃焼発生下及び安定燃焼下において測定した燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数の周波数分析を行った結果を示す図であり、(a)及び(b)は、それぞれ、図2(b)及び図3(b)に示す相関関数の周波数特性を示すグラフである。本実施例では、燃焼音と火炎発光強度変動のクロススペクトルを測定したものをそれらの相関関数の周波数特性としている。
図4の(a)に示すグラフにおいて、振動燃焼発生下の測定データの相関関数は、周期性が強く、周波数67[Hz]に卓越した成分を有している。これは、振動燃焼がある固有の周波数で激しく振動するという特徴に対応していると考えられる。一方、図4の(b)に示すグラフにおいて、安定燃焼下の測定データの相関関数は、周期性が弱く、周波数成分のピークを複数有している。尚、図4に示す各グラフにおいて、最も高いレベルのピークが現れる周波数をf1、そのレベルをC1とし、2番目に高いレベルのピークが現れる周波数をf2、そのレベルをC2と表示している。
ここで、測定データの相関関数の周期性の強弱を判断するための基準として、図4に示す各グラフにおいて、最も高いピークのレベルC1と2番目に高いピークのレベルC2との比C1/C2を指標として用いることとした。図4の(a)及び(b)のグラフから、C1/C2の値が大きいほど、すなわち、相関関数の特定周波数成分が卓越しているほど、振動燃焼が発生している可能性が高いことが予想されるからである。
上記したように、本実施例では、安定燃焼下や振動燃焼発生下など様々な環境下、燃焼量や運転状態など様々な条件下で燃焼実験を行い、得られた測定データの周波数解析を行っている。図5は、C1/C2の値と燃焼音の圧力変動(騒音レベル)との関係に基づいて、グラフ上に各測定データをプロットした図である。尚、燃焼音の圧力変動については、実際に測定された音圧[Pa]を同条件かつ安定燃焼下で測定される音圧[Pa]で除した相対的な圧力変動レベルSPL-I[-]を用いて表している(SPL-I[-]=実際に測定された音圧[Pa]/同条件かつ安定燃焼下で測定される音圧[Pa])。また、本実験では、安定燃焼下や振動燃焼発生下など様々な環境下で燃焼音の圧力変動の測定を行った結果、相対値であるSPL-Iレベルが1.3を上回った場合に、振動燃焼発生下と判断することができることが分かった(図中の点線は、SPL-Iレベル=1.3を表している)。
図5のプロット図において、各プロットはC1/C2が大きいほどSPL-Iが大きくなるという傾向が見られる。図中、C1/C2>60の領域については、ほぼ全てのプロットがSPL-Iレベル=1.3を超えており、かつ、相関関数の特定周波数成分が卓越している(C1/C2が大きい)ことから、ほぼ全て振動燃焼発生下の測定データであるものと判断できる。一方、図中、C1/C2≦60の領域、特に20≦C1/C2≦60の領域については、SPL-Iレベルの高レベル側から低レベル側まで幅広くプロットが点在していることから、安定燃焼下の測定データと振動燃焼発生下の測定データとが混在していることが分かる。
そこで、図5のプロット図において、C1/C2≦60の領域にプロットされた測定データの判断方法について、さらに考察する。
図6は、非常に強い振動燃焼の発生下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。図6の(a)のグラフにおいて、燃焼音の圧力変動及び火炎発光強度変動の周波数特性に着目すると、特に低周波数側ではピークが一定周期で出現していることが分かる。この測定データでは、基本周波数f1=37[Hz]におけるピークと、基本周波数f1の整数倍の周波数(n×f1:n=2,3,4,…)におけるピーク(倍音成分)とが出現している。(b)のグラフにおいても、相互相関関数にも強い相関が現れていることが分かる。振動燃焼の発生下では、このように振動の倍音成分が観測されることが特徴として知られており、(a)のようなグラフが得られれば、燃焼室内は基本周波数f1[Hz]で激しく振動している燃焼状態であると判断することができる。
図7は、図6(b)に示す相関関数の周波数特性を示すグラフである。このグラフと図4(a)に示す同様のグラフとを比較すると、非常に強い振動燃焼の発生下では、振動の倍音成分が観測されるため、最も高いピーク(基本周波数f1=37[Hz]において現れる)の他のピークに対する卓越性が低くなっていることが分かる。図7のグラフにおいて、基本周波数f1における最大ピークのレベルをC1とし、倍音周波数f2(=2×f1)における2番目に高いピークのレベルをC2とすると、C1/C2=4.9(<60)となっている。
ここで、図7のグラフにおいて、最も高いピークは基本周波数f1において現れており、2番目に高いピークは基本周波数f1の2倍の周波数において現れる倍音成分であることに着目する。この非常に強い振動燃焼の発生下で現われる特徴を利用して、最も高いピークが現われる周波数f1と2番目に高いピークが現れる周波数f2とが倍音関係にあるかどうかによって、非常に強い振動燃焼の発生の有無を判断する方法が考えられる。
具体的には、2番目に高いピークが現れる周波数f2が最も高いピークが現れる周波数(基本周波数)f1の倍音周波数(2倍である場合には2×f1)からどれだけ乖離しているかを示す乖離度を規定し、これによって非常に強い振動燃焼の発生の有無を判断することができる。本実施例では、乖離度をFh=|1-f2/(2×f1)|[-]と定義することとする。乖離度Fhが0に近づくほど、f2がf1の倍音成分(本例では2倍の倍音成分)である蓋然性が高いと判断できる。
図8は、乖離度Fh[-]と燃焼音の圧力変動(騒音レベル)との関係に基づいて、グラフ上に各測定データをプロットした図である。燃焼音の圧力変動については、図5と同様に相対的な圧力変動レベルSPL-I[-]を用いて表している。図8のプロット図において、Fhが0.2よりも小さい領域ではSPL-Iが増大する傾向があり、特に、Fh<0.1の領域ではSPL-Iが大幅に増大している。Fh<0.1の領域では、乖離度Fhが0に近い値のであるから、強い振動燃焼が発生していると判断することができる。
また、0.1≦Fh≦0.2の領域では、強い振動燃焼が発生しているかどうかは分からないが、振動燃焼が発生する状態に遷移する蓋然性が高い遷移領域であると考えられる。燃焼現象に現れる圧力などの変動には、その変動周波数が跳躍的に変化する特徴がある。特に系の固有振動数fv近傍の周波数の変動は、fvに引き込まれ(Lock-In現象)共振状態となり、共鳴・振動燃焼が発生する傾向がある。0.1≦Fh≦0.2の領域では、その前兆となる燃焼状態にあると考えられ、振動燃焼には至っていないが燃焼不安定化の傾向があると考えられる。
一方、Fh>0.2の領域では、相関関数の周波数特性に倍音関係が生じておらず、SPL-Iの値も低いため、安定燃焼状態にあると判断することができる。
以上より、振動燃焼の発生の有無を判断するにあたって、燃焼音の圧力変動と火炎発光強度変動の相関関数に着目して、特定周波数成分の卓越性を示すC1/C2と、倍音関係の発生を示すFhの2つの判断基準を利用できることが分かった。これら2つの判断基準を用いて燃焼状態を診断するための診断マップを図9に示す。
図9に示す燃焼状態診断マップでは、2つの判断基準C1/C2及びFhの値を、それぞれ横軸及び縦軸に取り、各種の燃焼状態に対応する領域を示している。領域I〜IVについて、以下のとおり燃焼状態を診断することができる。
・[領域I] C1/C2>60である場合には、相関関数の卓越周波数成分の変動が支配的な状態であり、Fh値によらず振動燃焼状態であると判断することができる。
・[領域II] C1/C2≦60であり、かつ、Fh<0.1である場合には、相関関数の周波数特性に倍音関係が生じているので、C1/C2値によらず振動燃焼状態であると判断することができる。
・[領域III] C1/C2<20であり、かつ、Fh>0.2である場合には、倍音関係にない複数の周波数成分が存在する安定燃焼状態であると判断することができる。
・[領域IV] 20≦C1/C2≦60であり、かつ、Fh≧0.1である場合、並びに、C1/C2<20であり、かつ、0.1≦Fh≦0.2である場合には、振動燃焼が発生する不安定燃焼状態に移行する可能性の高い遷移状態であると判断することができる。
以上、説明した本発明の実施例によれば、燃焼装置に設置したマイクロフォンと光電子倍増管から測定される燃焼音の圧力変動と、火炎発光変動とから、これらの相関関数の周波数特性を分析し、その分析結果に予め作成しておいた燃焼状態診断マップを適用することにより、燃焼装置における燃焼状態を自動的に分析・診断することができる。この燃焼状態の分析・診断を行う処理の流れを示すフローチャートを図10に示す。
また、本実施例では、不安定燃焼状態に移行する可能性の高い遷移状態をも検知することができるので、振動燃焼トラブルが発生する前に、メンテナンスや燃焼調整を実施するなどの高度な運転管理を行うことも可能である。
以上、本発明の燃焼状態の分析システム及び分析方法について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
本発明の燃焼状態の分析システム及び分析方法は、家庭用又は業務用のボイラや吸収式冷温水器、給湯器などの燃焼機器における振動燃焼の発生を検知し、また、振動燃焼が発生する不安定燃焼状態に移行する可能性の高い遷移状態であることを検知するシステム及び方法として利用可能である。
本発明の燃焼状態の分析システムの全体構成を概略的に示す図である。 振動燃焼発生下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。 安定燃焼下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。 振動燃焼発生下及び安定燃焼下において測定した燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数の周波数分析を行った結果を示す図であり、(a)及び(b)は、それぞれ、図2(b)及び図3(b)に示す相関関数の周波数特性を示すグラフである。 実施例で得られた実験データについて、C1/C2の値と燃焼音の圧力変動(騒音レベル)との関係に基づいて、グラフ上に各測定データをプロットした図である。 非常に強い振動燃焼の発生下における燃焼音と火炎発光強度変動の測定データを示す図であり、(a)は燃焼音と火炎発光強度変動の周波数特性を示すグラフ、(b)は燃焼音と火炎発光強度変動の相関関数を示すグラフである。 図6(b)に示す相関関数の周波数特性を示すグラフである。 乖離度Fh[-]と燃焼音の圧力変動(騒音レベル)との関係に基づいて、グラフ上に各測定データをプロットした図である。 燃焼音の圧力変動と火炎発光強度変動の相関関数に着目して、特定周波数成分の卓越性を示すC1/C2と、倍音関係の発生を示すFhの2つの判断基準を用いて燃焼状態を診断するための診断マップを示す図である。 本発明の実施例に従って、燃焼装置における燃焼状態の分析・診断を行う処理の流れを示すフローチャートである。 従来用いられている燃焼範囲を示すマップの例を示す図である。

Claims (11)

  1. 燃焼音を測定する測音手段と、
    火炎発光を測定する測光手段と、
    前記測音手段及び測光手段それぞれからの測定データを分析する分析手段とを含んだ燃焼状態の分析システムであって、
    前記分析手段は、測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求め、
    前記相関関数の周波数特性に基づいて振動燃焼の発生状態を分析する分析システム。
  2. 前記分析手段は、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数に倍音関係が成立するかどうかとに基づいて、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする請求項1に記載の分析システム。
  3. 前記分析手段は、1のピーク周波数をn倍した値(n×f1)と他のピーク周波数(f2)との乖離度を、それらのピーク周波数間に倍音関係が成立するかどうかの尺度として用いることを特徴とする請求項2に記載の分析システム。
    但し、nは2以上の整数である。
  4. 前記分析手段は、前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数の乖離度とに、予め保持してある分析基準を適用することにより、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする請求項3に記載の分析システム。
  5. 前記分析手段は、振動燃焼が発生している状態、発生していない状態、及び振動燃焼が今後発生する可能性が高い遷移状態のいずれであるかを分析することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の分析システム。
  6. 燃焼音及び火炎発光を測定するステップと、
    測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求めるステップと、
    前記相関関数の周波数特性に基づいて振動燃焼の発生状態を分析するステップとを含んだ燃焼状態の分析方法。
  7. 燃焼音及び火炎発光を測定するステップと、
    測定された燃焼音と火炎発光との相関関数を求めるステップと、
    前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数に倍音関係が成立するかどうかとに基づいて、振動燃焼の発生状態を分析するステップとを含んだ燃焼状態の分析方法。
  8. 請求項7に記載の燃焼状態の分析方法において、
    1のピーク周波数をn倍した値(n×f1)と他のピーク周波数(f2)との乖離度を、それらのピーク周波数間に倍音関係が成立するかどうかの尺度として用いることを特徴とする方法。
    但し、nは2以上の整数である。
  9. 請求項8に記載の燃焼状態の分析方法において、
    前記相関関数の2以上のピークレベルの比と、2以上のピーク周波数の乖離度とに、予め保持してある分析基準を適用することにより、振動燃焼の発生状態を分析することを特徴とする方法。
  10. 請求項6から9のいずれか1項に記載の燃焼状態の分析方法において、
    前記振動燃焼の発生状態を分析するステップでは、振動燃焼が発生している状態、発生していない状態、及び振動燃焼が今後発生する可能性が高い遷移状態のいずれであるかを分析することを特徴とする方法。
  11. 請求項6から10のいずれか1項に記載の燃焼状態の分析方法を、燃焼音及び火炎発光の測定データを保持するコンピュータ上で実行させるためのプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101380551B1 (ko) * 2012-04-30 2014-04-01 한국과학기술원 발생소음을 이용하여 소각 상태를 제어하는 소각기
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