JP2005273520A - ターボコンパウンドシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 排気通路14に設けられたターボ過給機15の主タービン15bより排ガス下流側にパワータービン17が設けられ、パワータービンのパワーシャフト17aとエンジン10のクランク軸10aが変速伝達装置18を介して連結される。変速伝達装置は渦電流式カップリング21を備える。渦電流式カップリングの回転磁石体はクランク軸に歯車列22を介して連結され、円周方向に所定の角度毎にS極及びN極が交互に位置するように複数の永久磁石素片を配設することにより円板状に形成される。また渦電流式カップリングの回転導体はパワーシャフトに歯車列を介して連結され、回転磁石体から所定の間隔をあけて設けられかつ回転磁石体に対して相対回転可能に構成される。
【選択図】 図1
Description
このように構成されたターボコンパウンドエンジンの制御装置では、エンジンの広範囲の運転状況に基づいて、コンピュータがバイパス弁を開閉し、電磁又は油圧クラッチを接続又は遮断することにより、パワータービンのタービン効率の高い状態でエネルギの回収を行うことができる。この結果、エネルギの回収効率を向上できるようになっている。
また、上記従来の特許文献1に示されたターボコンパウンドエンジンの制御装置では、電磁又は油圧クラッチの制御が接続又は遮断の2値制御であるため、接続から遮断への切換え時又は遮断から接続への切換え時に、エンジンへのエネルギの伝達又は遮断が急激に行われ、変速伝達装置に比較的大きな衝撃が作用する問題点があった。
本発明の目的は、比較的僅かな部品の追加で、かつ比較的小さなスペースの確保で、変速伝達装置に大きな衝撃が作用することなく、排ガスのエネルギを回収してこのエネルギによりエンジンを支援できる、ターボコンパウンドシステムを提供することにある。
その特徴ある構成は、変速伝達装置18が渦電流式カップリング21を備え、渦電流式カップリング21が、クランク軸10a又はパワーシャフト17aに直接又は歯車列19を介して連結され円周方向に所定の角度毎にS極及びN極が交互に位置するように複数の永久磁石素片29aを配設することにより円板状又は筒状に形成された回転磁石体29と、パワーシャフト17a又はクランク軸10aに直接又は歯車列22を介して連結され回転磁石体29から所定の間隔をあけて設けられかつ回転磁石体29に対して相対回転可能に構成された円板状又は筒状の回転導体33とを有するところにある。
この請求項1に記載されたターボコンパウンドシステムでは、主タービン15bから排出された排ガスがパワータービン17に流入し、排ガスの持つエネルギによりパワータービン17が回転すると、この回転力はパワーシャフト17a及び歯車列19を介して回転導体33に伝達され、回転導体33が回転磁石体29に対して相対的に回転する。このとき回転磁石体29から発生した磁界のうち回転導体33を通過する磁界が変化し、電磁誘導により起電力が発生するため、回転導体33に上記磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。この結果、上記渦電流と回転磁石体29の発生した磁界が互いに作用するので、フレミングの左手の法則に従って回転磁石体29が回転導体33に追従して回転導体33と同一の方向に回転する。この回転磁石体29の回転力は歯車列22を介してクランク軸10aに伝達される。また回転導体33と回転磁石体29は接触していないので、回転導体33及び回転磁石体29間に回転差があっても、回転導体33や回転磁石体29が摩耗することはない。更に排ガスの流量が急激に変化しても、回転導体33及び回転磁石体29間に作用する磁力のみで回転磁石体29が回転導体33に追従して回転しているため、回転磁石体29は緩やかに変化するため、変速伝達装置18に大きな衝撃が作用することはない。
この請求項2に記載されたターボコンパウンドシステムでは、回転導体33及び回転磁石体29が円板状に形成されているため、回転導体33から回転磁石体29への伝達トルクの影響は、回転導体33の内周近傍に発生した渦電流より外周近傍に発生した渦電流の方が大きくなる。これにより回転導体33及び回転磁石体29の直径を大きくした方が上記伝達トルクを増大できる。
この請求項3に記載されたターボコンパウンドシステムでは、主タービンから排出された排ガスがパワータービンに流入し、排ガスの持つエネルギによりパワータービンが回転すると、この回転力はパワーシャフト17a及び歯車列19を介して回転導体63に伝達され、回転導体63が回転磁石体59に対して相対的に回転する。このとき回転磁石体59から発生した磁界のうち回転導体63を通過する磁界が変化し、電磁誘導により起電力が発生するため、回転導体63に上記磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。この結果、上記渦電流と回転磁石体59の発生した磁界が互いに作用するので、フレミングの左手の法則に従って回転磁石体59が回転導体63に追従して回転導体63と同一の方向に回転する。この回転磁石体59の回転力は歯車列22を介してクランク軸に伝達される。また回転導体63及び回転磁石体59が筒状に形成されているため、回転導体63及び回転磁石体59の直径を請求項2と同一とすると、回転導体63から回転磁石体59への伝達トルクは請求項2より大きくなる。これにより回転導体63から回転磁石体59への伝達トルクを請求項2と同一とすると、渦電流式カップリング51を請求項2より小型化できる。
また回転導体と回転磁石体は接触していないので、回転導体及び回転磁石体間に回転差があっても、回転導体や回転磁石体が摩耗することはなく、排ガスの流量が急激に変化しても、回転導体及び回転磁石体間に作用する電磁力のみで回転磁石体又は回転導体が回転導体又は回転磁石体に追従して回転しているため、回転磁石体又は回転導体は緩やかに変化するため、変速伝達装置に大きな衝撃が作用することはない。
更に永久磁石素片の第1素片と第2素片を交互に配設することにより回転磁石体を筒状に形成し、回転導体を回転磁石体の湾曲外面又は湾曲内面のいずれか一方に対向するように設ければ、回転導体及び回転磁石体が筒状に形成されているため、回転導体及び回転磁石体の直径を上記円板状の回転導体及び回転磁石体と同一とすると、回転導体又は回転磁石体から回転磁石体又は回転導体への伝達トルクは円板状のものより大きくなる。この結果、上記伝達トルクを円板状のものと同一とすると、渦電流式カップリングを円板状のものより小型化できる。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、エンジン10の吸気ポートには吸気マニホルド11を介して吸気管12が接続され、排気ポートには排気マニホルド13を介して排気管14が接続される。吸気管12にはターボ過給機15のコンプレッサ15aが設けられ、このコンプレッサ15aより吸気下流側の吸気管12にはインタクーラ16が設けられる。また排気管14にはターボ過給機15の主タービン15bが設けられ、この主タービン15bより排ガス下流側の排気管14にはパワータービン17が設けられる。コンプレッサ15aの回転翼と主タービン15bの回転翼15cとは主シャフト15dにより連結される。エンジン10から排出される排ガスのエネルギにより主タービン15bの回転翼15c及び主シャフト15dを介してコンプレッサ15aの回転翼が回転し、このコンプレッサ15aの回転翼の回転により吸気管12内の吸気が圧縮されるように構成される。またターボ過給機15により圧縮された吸気は上記インタクーラ16により冷却されるようになっている。
エンジン10が始動してシリンダから排ガスが排出されると、この排ガスは排気マニホルド13及び排気管14を通ってターボ過給機15の主タービン15bに流入し、排ガスの持つエネルギにより主タービン15bの回転翼15cが回転する。この回転力は主シャフト15dを介してコンプレッサ15aの回転翼に伝達され、コンプレッサ15aの回転翼の回転により吸気管12内の吸気が圧縮される。主タービン15bから排出された排ガスはパワータービン17に流入し、排ガスの持つエネルギによりパワータービン17の回転翼17bが回転する。この回転力はパワーシャフト17a、第1タービン側歯車19a、第2タービン側歯車19b及び導体保持具31を介して回転導体33に伝達され、回転導体33が回転磁石体29に対して相対的に回転する。このとき回転磁石体29から発生した磁界のうち回転導体33を通過する磁界が変化し、電磁誘導により起電力が発生するため、回転導体33に上記磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。この結果、上記渦電流と回転磁石体29の発生した磁界が互いに作用するので、フレミングの左手の法則に従って回転磁石体29が回転導体33に追従して回転導体33と同一の方向に回転する。この回転磁石体29の回転力はカップリング軸27、第3エンジン側歯車22c、第2エンジン側歯車22b、第1エンジン側歯車22a及びフライホイール23を介してクランク軸10aに伝達される。回転磁石体29の回転方向はエンジン10の回転方向と同一であるので、回転磁石体29の回転はエンジン10の回転を支援する。これにより燃費を向上できるとともに、エンジントルクを増大できる。また回転導体33と回転磁石体29は接触していないので、回転導体33及び回転磁石体29間に回転差があっても、回転導体33や回転磁石体29が摩耗することはない。また排ガスの流量が急激に変化しても、回転導体33及び回転磁石体29間に作用する磁力のみで回転磁石体29が回転導体33に追従して回転しているため、回転磁石体29は緩やかに変化するため、変速伝達装置18に大きな衝撃が作用することはない。
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示す。図4において図2と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、渦電流式カップリング51が、パワーシャフト17aを回転可能に保持するとともにタービン側歯車列19を収容するケーシング56と、パワーシャフト17aと平行に設けられケーシング56に回転可能に挿入されかつ突出端に第3エンジン側歯車22cが嵌着されたカップリング軸57と、このカップリング軸57に非磁性材料性のブッシング58及び筒状の鉄板62を介して嵌着された筒状の回転磁石体59と、ケーシング56に収容され回転磁石体59の外周面を所定の間隔をあけて囲むようにカップリング軸57及びケーシング56に回転可能に取付けられかつ外周面に第2タービン側歯車19bが嵌着された導体保持具61と、この導体保持具61の内周面に挿着された筒状の回転導体63とを有する(図4)。
また、上記第1の実施の形態では、回転導体を回転磁石体の両端面に対向するように配設したが、回転導体を回転磁石体の両端面のいずれか一方に対向するように設けてもよい。
更に、上記第2の実施の形態では、回転導体を回転磁石体の湾曲外面に対向するように設けたが、回転導体を回転磁石体の湾曲内面に対向するように設けてもよい。
10a クランク軸
14 排気管(排気通路)
15 ターボ過給機
15b 主タービン
17 パワータービン
17a パワーシャフト
18 変速伝達手段
19 タービン側歯車列
21,51 渦電流式カップリング
22 エンジン側歯車列
29,59 回転磁石体
29a,59a 永久磁石素片
33,63 回転導体
59b 第1素片
59c 第2素片
Claims (3)
- エンジン(10)の排ガスが通る排気通路(14)にターボ過給機(15)の主タービン(15b)が設けられ、この主タービン(15b)より排ガス下流側の排気通路(14)にパワータービン(17)が設けられ、前記パワータービン(17)のパワーシャフト(17a)と前記エンジン(10)のクランク軸(10a)とが変速伝達装置(18)を介して連結されたターボコンパウンドシステムにおいて、
前記変速伝達装置(18)が渦電流式カップリング(21,51)を備え、
前記渦電流式カップリング(21,51)が、
前記クランク軸(10a)又は前記パワーシャフト(17a)に直接又は歯車列(22)を介して連結され円周方向に所定の角度毎にS極及びN極が交互に位置するように複数の永久磁石素片(29a,59a)を配設することにより円板状又は筒状に形成された回転磁石体(29,59)と、
前記パワーシャフト(17a)又は前記クランク軸(10a)に直接又は歯車列(19)を介して連結され前記回転磁石体(29,59)から所定の間隔をあけて設けられかつ前記回転磁石体(29,59)に対して相対回転可能に構成された円板状又は筒状の回転導体(33,63)と
を有することを特徴とするターボコンパウンドシステム。 - 永久磁石素片(29a)の両端面にS極及びN極がそれぞれ位置するように前記永久磁石素片(29a)がそれぞれ扇状に形成され、
隣接する前記永久磁石素片(29a)の極性が異なるように交互に裏返して配設することにより回転磁石体(29)が円板状に形成され、
回転導体(33)が前記回転磁石体(29)の両端面のいずれか一方又は双方に対向するように配設された請求項1記載のターボコンパウンドシステム。 - 永久磁石素片(59a)が、湾曲外面にS極が位置しかつ湾曲内面にN極が位置する円弧状の第1素片(59b)と、湾曲外面にN極が位置しかつ湾曲内面にS極が位置する円弧状の第2素片(59c)とからなり、
前記第1素片(59b)と前記第2素片(59c)を交互に配設することにより回転磁石体(59)が筒状に形成され、
回転導体(63)が回転磁石体(59)の湾曲外面又は湾曲内面のいずれか一方に対向するように設けられた請求項1記載のターボコンパウンドシステム。
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