JP2005272565A - 抗酸化剤 - Google Patents

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Eiji Takai
英司 高井
Noritsugu Sasaki
則嗣 佐々木
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Abstract

【課題】
本発明では、抗酸化活性が強い、優れた抗酸化剤を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
白豆杉抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。および、該抗酸化剤を含むことを特徴とする医薬品、食品、飼料及び香粧品。

Description

本発明は、医薬品、食品、飼料、香粧品などに使用することができる新規な抗酸化剤に関する。
一般に、食品は農産物、水産物、畜産物などから生産されている。しかし、食品原料や製品、特に不飽和脂肪酸類を含有するものは、その加熱を含む製造過程に於いて、あるいは、保存中に空気中の酸素による酸化ないし過酸化反応により酸敗を受け易く、何らかの抗酸化剤が使用されている。
このような抗酸化剤としては、合成品であるブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)などが多く使用されてきたが、最近発ガン性の疑いが持たれるようになり、その使用に再検討がなされている。
そこで、合成抗酸化剤に代わって、安全性の高い、効果の十分な抗酸化剤を天然物から取得する試みが多々なされ、実用に供されているものもある。例えば、現在、食品加工等に用いられている天然物由来の抗酸化剤としては、各種植物油に含まれるトコフェロール類、各種植物組織中に含まれるルテオリン、ケルセチン、ルチン等のフラボノイド、茶葉、コーヒー豆、カカオ豆等に含まれるコーヒー酸、没食子酸、フェルラ酸等のフェノール酸やカテキン類、ゴマ油中に含まれるセサモール、セサミノール等のリグナン類、各種香辛料類の抽出物、タンパク加水分解物(ペプチド、アミノ酸)などが挙げられる(例えば、特許文献1〜5等参照)が、これらも抗酸化活性、利便性及び安全性のすべてを満足するものではない。
特開昭59−045385号公報 特開昭59−166585号公報 特開昭60−036584号公報 特公昭61−034792号公報 特開平03−007565号公報
一方、酸素の毒作用により動物生体内に生成する過酸化物や発ガン性物質などは動物の細胞に悪い影響を与えることが考えられており、こうした酸素による生体成分の過酸化は細胞の老化を引き起こし、ひいては個体の寿命を短くするものと考えられている(フリーラジカル老化説)。したがって、安全性の高い天然由来の抗酸化剤は生体内における抗酸化的な防御機構を支援する物質として、食品、特に健康食品や栄養食品のほか、医薬品や香粧品の技術分野において非常に期待されている。
本発明は、食品、飼料、香粧品、医薬品及び生体に有害な作用を及ぼす活性酸素に対して、抗酸化作用を有する新たな抗酸化剤を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、白豆杉抽出物に強い抗酸化活性を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の抗酸化剤は、白豆杉より得られるものであり、強い抗酸化活性を示す。
本発明の抗酸化剤は、白豆杉を原料として製造される。
本発明で使用される白豆杉(Pseudotaxus chienii)とは、紅豆杉科白豆杉属に属し、中国特有の単種属植物である。これまでに、枝からは11b,20−hopanediol、b−sitosterol、tsugalactoneが、葉からは2−guaiacylpropane−1,3−diol、vanillic acid、ferulic acid、3,5−dimethoxyphenol、taxicatin、5−hydroxymaltol、quercetin−3−rhamnoside、(±)−catechin、ecdysterone、b−sitosterol、D−glucose、(±)−10−nonacosanol、octacosanoic acid、pseudotaxlactoneが確認されている。しかし、生理活性については詳細な検討はなされていない。
白豆杉の原料としては生あるいは乾燥したものであっても良い。形状は特に限定しないが、抽出効率および操作の簡便さなどを考慮すると5mm以下に裁断又は粗砕した乾燥葉を用いることが好ましい。
本発明の抗酸化剤は、前記原料より任意の方法で抽出することができる。具体的には、加熱抽出、連続抽出、浸漬抽出、撹拌抽出、向流抽出、超臨界抽出などが挙げられるが、工業上の利便性及び抽出効率から加熱撹拌抽出が好ましい。
これら抽出において使用する溶媒は、極性溶媒であることが好ましい。極性溶媒の種類としては、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテルなどの有機溶媒、水またはこれらの混合溶媒が挙げられるが、食品への使用における安全性などの面から含水エタノールが特に好ましく用いられる。
本発明において極性溶媒抽出を行う場合、白豆杉1重量部に対し極性溶媒1〜100重量部を使用することが好ましい。例えば、含水エタノールを用いる場合、含水エタノールの量が白豆杉1重量部に対し5〜50重量部であることがさらに好ましい。また、含水エタノールの水とエタノールは任意の比率で混合することができるが、90:10〜1:99であることがさらに好ましい。抽出温度は、特に限定されないが10〜80℃が好ましく、20〜60℃であることがさらに好ましい。また、抽出時間も特に限定されないが数分〜2時間が好ましく、10〜60分撹拌抽出を行うことがより好ましい。
さらに、上記含水エタノール抽出液を活性炭等による多孔質体の吸着作用によって、脱色および脱臭を図るのが好ましい。具体的には、抽出液中に活性炭を投入し、必要に応じて攪拌した後、濾過にて活性炭を除去する。そして、その後必要に応じて抽出溶媒を減圧留去する。
上記の抽出液は必要に応じて、極性溶媒を除去して、水溶液や固形物としても良い。また、抽出液を乾燥して固形物とする場合は、デキストリンなどの賦形剤を加えることもでき、スプレードライや凍結乾燥など公知の方法で乾燥することができる。得られた固形物は必要に応じて、適宜粉砕もしくは磨砕することができ、さらに公知の方法によって錠剤、タブレット状などに成形することもできる。
本発明の抗酸化剤は、医薬品、食品、飼料、香粧品に添加することが可能である。例えば食品では、コーヒー、紅茶、茶、果汁、清涼飲料水などの飲料類、牛乳、バター、チーズ、クリームなどの乳製品、みそ汁、スープなどの加工食品、食用油脂、加工油脂、マーガリンなどの油脂類、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料、その他栄養剤、シロップ、ジャムなどの液状もしくは流動状の食品、米飯、もち、パン、ジャガイモ製品などの穀類加工品、チョコレート、キャンディー、焼き菓子などの菓子類、ハム、ソーセージなどの食肉加工品、その他ふりかけなど固形状食品に添加することが可能である。また医薬品においては、例えば経口投与剤、坐剤、塗布剤、軟膏、貼付剤、浴剤、点眼剤、注射液に使用することができる。また飼料としては、各種キャットフード、ドッグフードなどのペットフード類、牛馬用飼料、養豚飼料などに使用することができる。また香粧品では、例えばローション、乳液、クリーム、パック剤、皮膚洗浄剤、ハップ剤、ペースト剤、エッセンス、ゲル剤、シャンプー、リンス、パウダー、ファンデーション、化粧水、染顔料、ヘアートニック、養毛剤、浴剤、美白剤、UVケア製品などに使用することができる。このときの添加量としては、上記食品中、白豆杉抽出液として、0.001〜85重量%、好ましくは0.01〜60重量%である。また、水又はアルコールによる抽出物を用いる場合には、当該添加量の1/2〜1/10程度の添加量でも差し支えない。
また、抗酸化剤、例えばトコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどの市販抗酸化剤と複数併用して使用することもできる。併用する際の白豆杉抽出物対抗酸化剤の比は10:90〜90:10が好ましく、50:50〜80:20がさらに好ましい。
白豆杉からの抗酸化剤の製造
風乾させた白豆杉の葉10gに20、50、99v/v%エタノール60gを添加し、60℃で1時間撹拌し、濾過した。得られた濾液を遠沈分離し、上澄から溶媒を減圧留去することにより、抽出物を得た。
白豆杉抽出物のラジカル消去活性の測定
DPPH(2,2−diphenyl−1−picrylhydrazyl)は比較的安定なラジカルとして存在するため、ラジカル消去活性の測定に用いられている。以下の方法を用いて本発明によって得られる抗酸化剤のラジカル消去活性を測定した。
上記実施例1で調製した白豆杉抽出物の250ppmエタノール溶液2mL(最終濃度:100ppm)、0.1M 酢酸緩衝液(pH5.5)2mLに0.5mM DPPHエタノール溶液1mLを添加して総量5mLとしてよく撹拌した。室温で30分間静置後、520nmの吸光度を測定した。対照区として試料の代わりにエタノールのみを添加して測定した。
白豆杉抽出物のスーパーオキシド消去活性の測定
上記実施例1で調製した白豆杉抽出物についてスーパーオキシド消去活性を測定した。なお、測定には、NBT還元法のキットであるSODテストワコー(和光純薬)を使用した。
実施例1で得た抽出物の2.1mg/mL 50%DMSO水溶液(最終濃度:0.1mg/mL)0.1mL、発色試薬(0.1M リン酸緩衝液(pH8)、0.4mmol/L キサンチン、0.24mmol/L ニトロブルーテトラゾリウム)1.0mLを試験管に入れ、37℃で恒温にし、酵素液(キサンチンオキシダーゼ(バターミルク由来) 0.049単位/mL)1.0mLを加えて撹拌した後、37℃で20分間反応させた。20分後に反応停止液(ドデシル硫酸ナトリウム 69mmol/L)を2.0mL添加し、560nmでの吸光度を測定した(本検:検体、E)。また、試料として芳樟抽出物の代わりに希釈溶剤(50%DMSO水溶液)を添加した系(本検:盲検、EBL)、酵素液の代わりにブランク液(0.1M リン酸緩衝液(pH8))を添加した系(盲検:検体盲検、EBL)、試料の代わりに希釈溶媒を、酵素液の代わりにブランク液を添加した系(盲検:試薬盲検、EBLBL)を測定して、以下の式に従いスーパーオキシド消去率を求めた。
((EBL―EBLBL)―(E―EBL))
消去率(%)=―――――――――――――――――――――――― ×100
(EBL―EBLBL
測定操作を下記の表1に示す。
Figure 2005272565
結果を表2に示す。
Figure 2005272565
表2に示すように、白豆杉抽出物は高いラジカル消去活性及びスーパーオキシド消去活性を示した。
スポーツドリンク
果糖37重量部、クエン酸12重量部、クエン酸三ナトリウム0.2重量部、実施例1で得られた抽出物0.1重量部、香料0.1重量部、水50.6重量部を加え、80℃で30分間加熱殺菌後、冷却して清涼飲料水とした。
タブレット
キシリトール15重量部、実施例2で得られた抽出物10重量部、ポリデキストロース7重量部、シュガーエステル2重量部、香料1重量部、パラチノース65重量部を均一に混合した後、打錠機により打錠してタブレットとした。
本発明の抗酸化剤は、強い抗酸化活性を有しているので、医薬品、食品、化粧品など安定化及び生体内の活性酸素消去に有用である。

Claims (2)

  1. 白豆杉抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
  2. 請求項1に記載の抗酸化剤を含むことを特徴とする食品、医薬品、飼料および香粧品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011079744A (ja) * 2009-10-02 2011-04-21 Nippon Menaade Keshohin Kk 皮膚外用剤
CN110531000A (zh) * 2019-09-20 2019-12-03 杭州师范大学 一种用于区分白豆杉和云南红豆杉的代谢标志物及其检测方法

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JP2011079744A (ja) * 2009-10-02 2011-04-21 Nippon Menaade Keshohin Kk 皮膚外用剤
CN110531000A (zh) * 2019-09-20 2019-12-03 杭州师范大学 一种用于区分白豆杉和云南红豆杉的代谢标志物及其检测方法
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