JP2005271220A - 繊維強化複合材用基材及び繊維強化複合材成形品 - Google Patents

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敏和 竹田
Masaki Shimada
政紀 島田
Kunihiko Shinomiya
邦彦 篠宮
Toshio Yamane
敏男 山根
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Abstract

【課題】安価で、且つ、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ、パラボラアンテナなどの各種構造体の一部若しくは全部、更には車両用部材などとして使用可能な物性を備え、しかもリサイクル性に富み、且つ、樹脂含浸時の膨潤の抑制や形状の維持が可能な繊維強化複合材用基材及び繊維強化複合材成形品を提供する。
【解決手段】繊維強化複合材用基材1は、シート状の引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が10GPa以上の連続した有機繊維にて形成される有機繊維シートに拘束処理を施した構成とするか、又は、繊維強化複合材用機材1は、有機繊維にて形成される不織布に拘束処理を施した構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、廃液タンク、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ、パラボラアンテナなどの各種構造体の一部(構造部材)若しくは全部、更には車両用部材などとして好適に適用し得る繊維強化複合材用基材及び繊維強化複合材成形品に関するものである。
従来、例えば、廃液タンクなどの槽構造体などの各種構造体の軽量化、防錆化を図るために、これらの一部若しくは全部を繊維強化複合材(繊維強化プラスチック:FRP)で構成することが提案され、実用化されている。
又、自動車、列車、モノレールなど車両の軽量化などのニーズにより、車両用部材としての繊維強化複合材の使用が提案され、あるものは実用化されるに至っている。
例えば、槽構造体の一部若しくは全部に、強化繊維としてガラス繊維を用いて、熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂を含浸させて硬化させた繊維強化複合材、即ち、ガラス繊維強化複合材が採用されている。
一方、近年の環境保全の関心の高まりから、プラスチックのリサイクルが広く行われるようになってきている。プラスチックのリサイクル方法の一つとして、プラスチックをコークス炉で熱分解して、炭化水素油、コークス、コークス炉ガスとして再利用する方法がある。
しかしながら、強化繊維としてガラス繊維を用いるガラス繊維強化複合材で成形された製品は、リサイクルが難しく、従来、主に埋め立てによって処理されてきた。このような製品には、ガラス繊維を多く含むため、例えば、上記熱分解などのプロセスによってはリサイクルできないからである。
強化繊維として炭素繊維を用いる炭素繊維強化複合材は、例えば上記熱分解によるプロセスにて、コークスとして鉄鋼材料として再利用することができる。このような環境への配慮から、又軽量化などのニーズから、ガラス繊維強化複合材から炭素繊維強化複合材への転換が図られている。
しかし、炭素繊維は高価であり、未だ繊維強化複合材としてガラス繊維強化複合材が広く利用されているのが現状である。
このように、従来、安価で、且つ、強化繊維プラスチック成形品として使用し得る強度を有しているばかりでなく、有効にリサイクルすることのできる繊維強化複合材が求められている。
強化繊維としてガラス繊維を代替し得る程度の物性を有する有機繊維を用いることで、ガラス繊維強化複合材を代替し得ると考えられる。そして、繊維強化複合材に含有される強化繊維が有機繊維であれば、上記コークス炉での再利用などが可能となり、廃棄処理の問題を解決することができる。
ところで、例えば、特許文献1には、一方向に引き揃えられた有機系強化繊維の両面又は片面に、有機繊維を針打ち(ニードルパンチ)するか、予め製造された有機繊維不織布を針打ちして一体化し、これに樹脂を含浸、固化させて成る有機繊維強化複合材料が開示されている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、強化繊維として有機繊維を使用する場合、詳しくは後述するように有機繊維の不織布、織物を好適に用い得ることを見出したが、単に有機繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させると、膨張することが分かった。これは、特に、有機繊維の不織布の場合に顕著である。本発明は、如何なる理論によっても制限されるものではないが、これは、有機繊維と樹脂との親和性が強いために、樹脂を含浸させる際に界面張力によって膨潤するためであると考えられる。一方、有機繊維の織物を用いる場合、単にこれにマトリックス樹脂を含浸させると、例えば、ポリエステル繊維やビニロン繊維のように表面が非常に滑らかで滑り易く、何らかの目止め処理をしないと、有機繊維織物の形状の維持が難しいことが分かった。
このように、強化繊維−樹脂複合材が成形時に膨潤し、成形厚みが制御できないことや、繊維が滑ることで織物の形状が不安定となったり、繊維の曲がりなどの変形が起こり、成形品の強度のバラツキが発生することは、成形品の強度設計、コストなどの面で好ましくない。
特開平10−18152号公報
本発明は、上述のような従来の課題を解決するべく成されたものでる。つまり、本発明の目的は、安価で、且つ、廃液タンク、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ、パラボラアンテナなどの各種構造体の一部若しくは全部、更には車両用部材などとして使用可能な物性を備え、しかもリサイクル性に富み、且つ、樹脂含浸時の膨潤の抑制や形状の維持が可能な繊維強化複合材用基材及びこの基材を用いて形成された繊維強化複合材成形品を提供することである。
上記目的は本発明に係る繊維強化複合材用基材及び繊維強化複合材成形品にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、シート状の引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が10GPa以上の連続した有機繊維にて形成される有機繊維シートに拘束処理を施したことを特徴とする繊維強化複合材用基材である。
上記第1の本発明において、前記有機繊維シートは、織物、或いは、その積層体であってよく、一実施態様では、前記有機繊維シートを構成する織物は、有機繊維を2軸平織又は朱子織にて織成したものである。
上記第1の本発明の一実施態様によると、前記拘束処理は、加熱処理、又は加熱加圧処理である。好ましい一実施態様では、前記拘束処理における加熱温度は、100℃〜180℃である。一実施態様では、前記拘束処理における加圧圧力は、2kgf/mm2〜6kgf/mm2である。前記拘束処理は、該拘束処理部を前記有機繊維シートに対し一方向に進行させながら連続して行うことができる。一実施態様では、前記拘束処理時に、該拘束処理の進行方向に引張力を掛ける。その引張力は、好ましい一実施態様では1kgf/m〜5kgf/mである。又、他の実施態様では、前記拘束処理の進行方向に掛ける引張力に加えて若しくは代えて、前記拘束処理時に、該拘束処理の進行方向と交差する方向、通常、略直交する方向に引張力を掛ける。その引張力は、好ましい一実施態様では、0.5kgf/m〜1kgf/mである。
上記第1の本発明の他の実施態様によると、前記拘束処理は、ステッチング処理である。又、本発明の他の実施態様によると、前記拘束処理は、有機繊維の一部を接着することである。一実施態様では、前記接着は、前記有機繊維シートに常温硬化樹脂を噴霧して行う。
上記第1の本発明において、前記有機繊維シートの有機繊維は、ポリエステル繊維又はビニロン繊維の単独であるか、又は混合したものであってよい。
第2の本発明によると、有機繊維にて形成される不織布に拘束処理を施したことを特徴とする繊維強化複合材用基材が提供される。本発明の一実施態様によると、前記拘束処理は、加熱処理、又は加熱加圧処理である。一実施態様では、前記拘束処理における加熱温度は、80℃〜180℃である。又、一実施態様では、前記拘束処理における加圧圧力は、2kgf/mm2〜6kgf/mm2である。又、本発明において、前記不織布の有機繊維は、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はナイロン繊維の単独であるか、又は混合したものであってよい。
第3の本発明によると、上記第1、第2の本発明の繊維強化複合材用基材の単独若しくは複数層重ねた積層体の各層に、マトリックス樹脂を含浸させ、成形して硬化したことを特徴とする繊維強化複合材成形品が提供される。本発明の一実施態様によると、前記繊維強化複合材成形品は、少なくとも1層の上記第1の本発明の繊維強化複合材用基材と、少なくとも1層の上記第2の本発明の繊維強化複合材用基材と、を有する。本発明の一実施態様によると、前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂を含む群から選択される熱硬化性樹脂である。前記成形品は、廃液タンク、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ若しくはパラボラアンテナの一部若しくは全部、或いは車両用部材であってよい。
本発明によれば、繊維強化複合材用基材は、安価で、且つ、廃液タンク、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ、パラボラアンテナなどの各種構造体の一部若しくは全部、更には車両用部材などとして使用可能な物性を備え、しかもリサイクル性に富み、且つ、樹脂含浸時の膨潤の抑制や形状の維持が可能な繊維強化複合材、繊維強化複合材成形品を得ることができる。
以下、本発明に係る繊維強化複合材用基材及び繊維強化複合材成形品を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1を参照して、本発明の第1の態様によれば、繊維強化複合材用基材(以下、単に「基材」という。)1は、所定の物性を備える連続した第1の有機繊維f1にて形成される有機繊維シート2に拘束処理を施して作製される。そして、この基材1にはマトリックス樹脂が含浸され、硬化されて繊維強化複合材から成る成形品10(例えば、図4参照。)が形成される。
又、図3を参照して、本発明の第2の態様によれば、基材1は、第2の有機繊維f2にて形成される不織布(マット、フェルトを含む。後述。)(以下、「有機繊維マット」という。)に拘束処理を施して作製される。そして、上記同様、この基材1から成形品10が作製される。
成形品10は、有機繊維シート2若しくは有機繊維マット3を用いた基材1を単独若しくは複数層重ねた積層体に、マトリックス樹脂を含浸させ、成形して硬化させて作製することができる。好ましくは、図7に示すように、成形品10は、有機繊維シート2を用いた基材1(第1の基材1A)から成る第1層と、有機繊維マット3を用いた基材1(第2の基材1B)と、を有する積層体の各層にマトリックス樹脂を含浸させ、成形して硬化させて作製される。
先ず、有機繊維シート2を用いて作製される基材1(第1の基材1A)について説明する。
有機繊維シート2を構成する第1の有機繊維f1は、引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が10GPa以上の有機繊維から成る。本発明者の検討によれば、引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が10GPa以上であれば、従来各種構造部材を形成していたガラス繊維強化複合材を代替することのできる有機繊維強化複合材を得ることができる。第1の有機繊維f1は、通常、引張強度が1500MPa以下のものでよく、又、引張弾性率が20GPa以下のものでよい。
ここで、例えば、上記コークス炉での熱分解プロセスによるリサイクルを考えると、有害ガスの発生の懸念から、塩化ビニル樹脂を含む有機繊維の使用は望ましくない。
又、従来、高強度、高引張弾性率の強化繊維としてアラミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)繊維が用いられている。しかし、これらの有機繊維は液晶化された繊維であり、熱可塑の特性を有しておらず、且つ、リサイクルする際に炭化するのみで、元の樹脂構造へ戻ることはなく、つまり、リサイクルの形態として効率的とはいえず好ましくない。又、これらの有機繊維は、高価である。
更に、ポリプロピレン、レーヨン、カシミロンなどの有機繊維は、いずれも強化繊維としての必要物性を満足できない。
好ましくは、第1の有機繊維f1は、ポリエステル繊維又はビニロン繊維である。これらの有機繊維は、上記必要物性を満足すると共に、比較的安価で、又例えば上記コークス炉での熱分解によって炭化するのみではなく、有用な炭化水素油等に熱分解され、リサイクルの形態として効率的である。第1の有機繊維f1として、これらの有機繊維を単独で若しくは混合して用いて有機繊維シート2を構成することができる。
有機繊維シート2は、主に成形品10の強度を向上させるためのものであり、連続した有機繊維を用いる。
有機繊維シート2としては、強度設計やハンドリングの観点から織物(織布、クロス)を使用することが好ましい。この場合、織物は、有機繊維、例えば、ポリエステル繊維を織物組織としたものでよく、比較的安価である。織物は、複数本のフィラメントを平行に或いは緩く撚りを掛けて集束して作製されるストランド、若しくはこのストランドを更に平行に或いは緩く撚りを掛けて複数本束ねたロービングを織物組織としたものであってよい。織物組織は公知任意のものを利用し得るが、強度設計やハンドリングの観点から、2軸平織、朱子織が好適である。例えば、成形品10を従来のガラス繊維強化複合材から成るものの代替として用いる場合、当該ガラス繊維強化複合材との比較などにおいて要求強度、価格などの諸要因に応じて適宜選択すればよいが、通常、織物目付は200〜800g/m2とされ、例えば、第1の有機繊維f1としてポリエステル繊維を用いる場合、織物目付は300〜500g/m2とするのが好適である。勿論、織物組織は2軸に限らず、更に多軸に、例えば、3軸組織としてもよい。又、有機繊維シート2としては、織物の積層体を使用してもよい。
上述のような有機繊維シート2を用いた基材1には、マトリックス樹脂が含浸され、成形、硬化されて繊維強化複合材から成る成形品10が形成される。ここで、強化繊維として有機繊維を用いる場合に、単に有機繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させると、前述のような問題があり、特に、有機繊維シート2として織物を用いる場合には、繊維の表面が滑らかで滑り易いことから、繊維の曲がりなどが発生し、織物の形状の維持が難しいことが分かった。
このように、有機繊維シート2が繊維の曲がりなどの変形が起こると、成形品10の強度のバラツキが発生することとなり、成形品10の強度設計、コストの面で好ましくない。
そこで、本発明においては、マトリックス樹脂が含浸される前に、有機繊維シート2に拘束処理を施す。そして、その後マトリックス樹脂を含浸させて、含浸させたマトリックス樹脂を硬化させる。
織物とされる有機繊維シート2に対する拘束処理としては、マトリックス樹脂が含浸される際に目止めを入れることができれば、利用し得る任意の手段を用いることができるが、本発明者は、鋭意検討した結果、有機繊維シート2を織った後に、マトリックス樹脂を含浸させる前に、有機繊維シート2を加熱、又は加熱加圧することで、極めて簡便、低コストにて有機繊維シート2の拘束処理を行うことができることが分かった。
加熱温度は、好ましくは100℃以上で、有機繊維シート2を構成する有機繊維の軟化温度以下とする。より好ましくは、この加熱温度は、100℃〜180℃とされ、例えば、第1の有機繊維f1としてポリエステル繊維を用いる場合、140℃〜150℃とすることで好結果が得られる。上記範囲よりも低温だと、拘束効果が得にくくなり、一方、例えば190℃など、より高温では繊維が溶融することがある。
又、有機繊維シート2を加熱する際に繊維の収縮を抑えるために、同時に加圧することが好ましい。この加圧の圧力は、好ましくは2kgf/mm2(19.6MPa)〜6kgf/mm2(58.8MPa)とする。これより小さいと成形後の厚み制御が甘くなり、一方、これより大きいとつぶれすぎて樹脂含浸が悪くなる。
即ち、図1に示すように、最も好ましくは、加熱手段により加熱されると共に所定クリアランスをもって対向配置されるか、互いに加圧される一対のローラ(ホットロール)51(有機繊維基材の一方の側面に当接するローラと、他方の側面に当接する支持台であってもよい。)を用いることで、有機繊維シート2に熱、更には圧力を付加して拘束処理することができる。これにより、拘束処理部、即ち、加熱加圧部を有機繊維シート2に対し一方向に進行させて、連続的に有機繊維シート2に拘束処理を施すことができ、生産性も向上する。通常、有機繊維シート2をローラに対して移動させるが、反対にローラを有機繊維シート2に対し移動させてもよい。
又、加熱処理、又は加熱加圧処理とされる拘束処理時に、拘束処理の進行方向にテンション(引張力)を掛けると、繊維の収縮、繊維の曲がりなどの変形を更に良好に抑えることができる。拘束処理の進行方向に掛ける引張力は、好ましくは、例えば、有機繊維シート2がポリエステル繊維の2軸平織りで織物目付300g/m2であるような場合、引張方向と略直交する巾1m当たり、1kgf(9.8N)〜5kgf(49N)程度がよい。これより小さいと、この方向に引張力を掛ける効果が得られず、又これより大きいと、織物の目がくずれることがある。
この引張力は、例えば、次のようにして、有機繊維シート2に適用することができる。即ち、従来、例えば製織装置などにおいて経糸(繊維束)の送出ロール若しくはボビン、又織成された織物の巻き取りロール若しくはボビンなどに近接して張力調整手段が設けられる。張力調整手段は、例えば、経糸或いは織物が巻回される3つのロールから成り、搬送方向中央のロールを上下動させることで張力を所定の値に設定し、適用することができる。これと同様のものを、例えば、拘束処理部の上流及び/又は下流に設けることで、所定の値の張力を、有機繊維シート2の搬送方向に適用することができる(図1中矢印T1)。このような張力を付加する手段自体は種々のものが当業者に知られており、又本発明においては利用可能なものを任意に用いることができるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
更に、上述のような拘束処理の進行方向に引張力を掛けるのに加えて、拘束処理の進行方向と交差する方向、通常、略直交する方向に引張力を掛けることも、繊維の収縮、繊維の曲がりなどの変形を抑える上で有効である。この方向の引張力は、好ましくは、例えば、有機繊維シート2がポリエステル繊維の2軸平織りで織物目付300g/m2であるような場合、引張方向と略直交する巾1m当たり、0.5kgf(4.9N)〜1kgf(9.8N)程度がよい。これより小さいと、この方向に引張力を掛ける効果が得られず、又これより大きいと、織物の目がくずれることがある。
この引張力は、例えば、次のようにして有機繊維シート2に適用することができる。即ち、従来、製織装置などにおいて織成された織物の幅方向端部のほつれなどを防止するために、接着剤や接着テープなどとされる耳止めが施される。そして、緯糸の耳を切断するカッターと巻き取りロール若しくはボビンとの間などにおいて、この耳止めを保持して、織物を幅方向に広げる幅出し手段が設けられることがある。幅出し手段は、例えば、円盤の外周に織物に係合する複数の針を設けたものとされる。そして、この針を耳止め部の織物に係合させて円盤を回転させると共に、織物の搬送方向で下流側ほど織物の幅方向で広幅となるように、織物の幅方向両端部に設ける該幅出し手段の配向若しくは針の形状が設定される。これと同様の幅出し手段を、例えば、拘束処理部の上流及び/又は下流に設けることで、所定の値の張力を、有機繊維シート2の搬送方向と交差する方向、通常、略直交する方向に加えることができる(図中矢印T2)。このような張力を付加する手段自体自体は種々のものが当業者には知られており、又本発明においては利用可能なものを任意に用いることができるので、これ以上の説明は省略する。尚、場合によっては、拘束処理の進行方向と交差する方向のみに引張力を適用してもよい。
又、有機繊維シート2を拘束処理する手段としては、上記加熱、加圧の他、次のものを好適に用い得る。
有機繊維シート2を作製した後、図2に示すようにステッチングSによって拘束処理することができる。拘束処理として行うステッチングSは、例えば、図示の通り所定間隔を隔てて略平行に施すことができ、この場合、各ステッチングSの幅間隔s1は、3〜10mm、又ステッチングSの送りs4は、5〜20mmとすることで好結果が得られる。勿論、更に多方向にステッチングSを施してもよい。この場合、ステッチングSは、マトリックス樹脂の含浸により実質的に膨潤しない繊維で行うのが好ましく、ガラス繊維を用いることができる。又、ステッチングSは、チェーンステッチでも、ジグザグ状のトリコットステッチなど他の任意の態様でもよい。
更に、有機繊維シート2を拘束処理する手段として、有機繊維シート2を作製した後に、それを構成する有機繊維の一部を接着剤によって接着することで、拘束処理することができる。接着剤としては、例えば、常温又は加熱して硬化するポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、変性メラミン樹脂などを用いることができる。好ましくは、接着剤は、有機繊維シート2を圧縮した後、その表面から噴霧して硬化させる。拘束処理として有効であれば、接着剤の適用量は適宜設定し得るものであるが、好ましくは、2〜10重量%である。これより少ないと有効に拘束処理できない場合があり、一方、これより多いと、成形しづらくなる虞がある。尚、上述のように、有機繊維シート2を加熱、又は加熱加圧するか、或いはステッチングSにより拘束処理した上で、更に接着剤により接着してもよい。
次に、有機繊維マット3を用いて作製される基材1(第2の基材1B)について説明する。
詳しくは後述するように、有機繊維マット3を用いた基材1は、主に成形品10の曲げ剛性を確保するために、成形品10に厚みを付与するために好適に用いられる。従って、有機繊維マット3を構成する第2の有機繊維f2は、上記第1の有機繊維f1について説明したように、塩化ビニル樹脂のようにリサイクルプロセスに鑑みて有害ガスの発生が懸念されるものでなければ、任意の有機繊維から選択することができる。但し、リサイクルの観点から有効に再利用でき、又比較的安価であるものが好ましく、アラミド繊維、PBO繊維のように高価で、リサイクルプロセスにおいて炭化するだけの有機繊維は好ましない。
このように、第2の有機繊維f2は、必ずしも第1の有機繊維f1と同様に必要物性を備えるものである必要はないが、副次的に強度が要求される用途などもあることから、引張強度が500MPa以上、引張弾性率が10GPa以上である有機繊維を好ましく用いることができる。又、第2の有機繊維f2は、第1の有機繊維f1と同種であっても異種であってもよいが、後述する拘束処理における加熱温度の選択、或いはリサイクルの観点などから、好ましくは同種のものを用いる。第2の有機繊維f2としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はナイロン繊維を好適に用いることができる。
有機繊維マット3は、上述のように、主に増厚の目的にて好適に使用され、強化繊維たる第2の有機繊維f2としては、所謂、不織布を用いる。ここで、不織布とは、機械的な製織工程を経ずにマット状にしたものであり、マット(コンティニュアスマット)、或いはフェルトと呼ばれるものを含む。マットとは、一般に、ニードルパンチなどによって機械的に繊維を互いに絡み合わせたものをいう。フェルトとは、一般に、マットの表層に接着剤を噴霧するなどして賦形したしたものをいう。ここでは、簡単のため、これらマット、フェルトを含む不織布を有機繊維マットと呼んでいる。有機繊維マット3を構成する第2の有機繊維f2の繊維長は、好ましくは、10〜100mmである。例えば、ポリエステルフェルトを好適に用いることができる。
有機繊維マット3における第2の有機繊維f2の目付は、例えば、成形品10に要求される曲げ剛性或いは厚さ、価格、更には副次的に要求される強度などの諸要因に応じて適宜選択すればよいが、通常、100〜600g/m2とされ、例えば、第2の有機繊維f2としてポリエステル繊維を用いる場合、300〜500g/m2とするのが好適である。
上述のような有機繊維マット3を用いた基材1には、マトリックス樹脂が含浸され、成形、硬化されて繊維強化複合材から成る成形品10が形成される。ここで、強化繊維として有機繊維を用いる場合に、単に有機繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させると、前述のような問題があり、特に、有機繊維マット3においては膨潤の問題が顕著となる。そして、斯かる膨潤が起こると、成形厚みの制御ができず、成形品10の強度設計、コストの面で好ましくない。
そこで、本発明においては、マトリックス樹脂が含浸される前に、有機繊維マット3に拘束処理を施す。そして、その後マトリックス樹脂を含浸させて、含浸させたマトリックス樹脂を硬化させる。
本発明者の検討によれば、有機繊維マット3に対しては、最も好ましくは、有機繊維マット3を作製した後に、マトリックス樹脂を含浸させる前に、有機繊維マット3を加熱、又は加熱加圧することで拘束処理を行うことができる。
即ち、図3に示すように、加熱手段により加熱されると共に所定クリアランスをもって対向配置されるか、互いに加圧される一対のローラ(ホットロール)51(有機繊維基材の一方の側面に当接するローラと、他方の側面に当接する支持台であってもよい。)を用いることで有機繊維マット3に熱、更には圧力を印加して拘束処理することができる。これにより、拘束処理部、即ち、加熱加圧部を有機繊維マット3に対し一方向に進行させて連続的に有機繊維マット3に拘束処理を施すことができ、生産性も向上する。通常、有機繊維マット3をローラに対して移動させるが、反対にローラを有機繊維マット3に対して移動させてもよい。
加熱温度は、好ましくは80℃以上で、有機繊維マット3を構成する有機繊維の軟化点以下とする。より好ましくは、80℃〜180℃とされ、例えば、第2の有機繊維f2としてポリエステル繊維を用いる場合、140℃〜150℃とすることで好結果が得られる。又、加熱加圧する場合、圧力は、好ましくは2kg/mm2(19.6MPa)〜6kg/mm2(58.8MPa)とする。
次に、基材1を使用しての成形品10の製造方法について説明する。ここでは、有機繊維シート2を用いた第1の基材1Aから成る第1層と、有機繊維マット3を用いた第2の基材1Bから成る第2層と、を有する成形品10を作製するものとする。
成形品10は、第1及び第2の基材1Bにそれぞれ独立してマトリックス樹脂を含浸させた後、完全に硬化する前に重ねて硬化させてもよいし、第1及び第2の基材1A、1Bを重ね合わせた後にマトリックス樹脂を含浸させて硬化させてもよいし、更に、第1及び第2の基材1A、1Bにそれぞれマトリックス樹脂を含浸させた後、完全に硬化させた後に重ねて接着し一体としてもよい。
(I)先ず、第1、第2の基材1A、1Bを用いて、ハンドレイアップにより成形品10を作製することができる。つまり、例えば、水タンク、廃液タンクなどの作製において、所定の寸法に切り出された第1、第2の基材1A、1Bのそれぞれにマトリックス樹脂を含浸させ、樹脂又は木材にて形成された型の内側若しくは外側から樹脂が含浸された第1、第2の基材1A、1Bを貼着する。図4を参照して、この時、第1、第2の基材1A、1Bは、浸漬、塗布、噴霧、注入などの適宜の手段により予めマトリックス樹脂を含浸させた後、型61に所定の順序で貼着することができる(第1、第2の基材1A、1Bはそれぞれ複数層であってよい。)。或いは、型61にマトリックス樹脂を塗布等の適宜の手段により適用した上に第1、第2の基材1A、1Bのいずれかを貼着し、次いでその上からマトリックス樹脂を適用して、更に第1、第2の基材1A、1Bのいずれかを貼着することで(当然、所望によりこの操作を更に繰り返して更に第1、第2の基材1A、1Bを多層積層してもよい。)、第1、第2の基材1A、1Bにマトリックス樹脂を含浸させてもよい。又、この場合マトリックス樹脂は常温硬化型のものであることが好ましく、マトリックス樹脂が硬化した後に、型61を取り外す。このようにして、第1、第2の基材1A、1Bにマトリックス樹脂を含浸させ、成形して、硬化させることにより、成形品10が作製される。その後、必要であれば、オートクレーブなどにより更に加熱(養生)して完全に硬化させる。
(II)又、例えば、図5に示すように、バスタブなどの作製において、第1、第2の基材1A、1Bに予め浸漬、塗布、噴霧、注入などの適宜の手段によりマトリックス樹脂を含浸させ、これを所望の順番で重なり合うように金型62にチャージし、加熱加圧することで成形すると共にマトリックス樹脂を硬化させることができる。そして、離型することで、成形品10が得られる。その後、必要であれば、オートクレーブなどにより更に加熱(養生)して完全に硬化させる。
尚、上述のように、第1、第2の基材1A、1Bは、それぞれ独立してマトリックス樹脂を含浸させて、完全に硬化させた後接着して一体としてもよい。又、場合によっては、第1、第2の基材1A、1Bは、それぞれ独立して又は重ね合わせた状態で、マトリックス樹脂を含浸させた後予備硬化させて、所謂、プリプレグ状態として、成形し完全に硬化させる前に所定期間保管してもよく、この場合、マトリックス樹脂は加熱硬化型とするとよい。
成形品10は、図7に示すように第1の基材1Aと第2の基材1Bとを1層ずつ積層したものに限定されるものではなく、所望に応じて、図8に示すように、第2の基材1Bの両側面に第1の基材1Aを配置して作製することも可能であり、更に強度、弾性率を向上させることができる。又、図9に示すように、更に第1、第2の基材1A、1Bを、例えば、これに限定されるものではないが交互に更に積み重ねた構成、即ち、第1、第2の基材1A、1Bの組み合わせを複数有する成形品10としてもよい。
第1、第2の基材1A、1Bに含浸させるマトリックス樹脂としては、熱硬化性の樹脂を適宜用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂を好適に用いることができる。第1、第2の基材1A、1Bにマトリックスを含浸させ、硬化させた繊維強化複合材から成る成形品10の繊維体積含有率Vfは、通常、15〜50%とされ、例えば、第1、第2の有機繊維f1、f2としてポリエステル繊維を用いる場合、20〜40%とすることで好結果が得られる。
本発明に従う成形品10は、廃水タンク、飼料タンク、水タンクバスタブ、船などの槽構造体、或いはゴミ箱、ベンチ、パラボラアンテナなどの全部若しくは一部として好適に用いることができる。更には、成形品10は、列車、モノレール、自動車の外装、内装などの車両用部材としても有用である。又、成形品10は、略平坦或いは湾曲した形状に限定されるものではなく、例えば、図6に断面を示すようにパイプ状としたり、或いは棒状としたりすることもできる。
以上説明した有機繊維シート2、有機繊維マット3にそれぞれ拘束処理を施して作製される第1、第2の基材1A、1B、特に、有機繊維マット3に拘束処理を施して作製される第2の基材1Bでは、マトリックス樹脂含浸時の厚みの変動を±10%以下に抑えることができる。これにより、成形品10の成形厚みを良好に制御することができる。本発明者の検討によれば、有機繊維シート2、有機繊維マット3をそれぞれ拘束処理せずにマトリックス樹脂を含浸させた場合、20%〜50%程度の厚み変動が生じる場合がある。
又、特に、織物とされる有機繊維シート2に拘束処理を施して作製される第1の基材1Aは、繊維の曲がりなどの変形が良好に抑えられ、成形品における引張強度についても、拘束処理を施したものの方が、これを施さなかったものより高く、安定した数値を示すことが分かった。
成形品10は、好ましくは、有機繊維シート2を用いた第1の基材1Aと、有機繊維マット3を用いた第2の基材1Bとを有することによって、主に第1の基材1Aによって引張強度(σ)が強化され、又主に第2の基材1Bによって厚みを稼ぐことにより断面剛性(EI)が強化される。そして、例えば、従来各種構造部材として用いられていたガラス繊維強化複合材の代替として用いることができる。
例えば、ポリエステル繊維とされる有機繊維の比重は、ガラス繊維のほぼ半分と軽いため、少々強度が弱くても、基材の繊維投入量を増やすことにより同一重量以下で、ガラス繊維並の強度を確保することができる。又、加熱加圧により拘束処理を施す場合、圧縮効果によって繊維体積含有率の向上を図ることができ、成形品10の厚み増を避けることができる。一方、断面剛性に関しても繊維引張弾性率がガラス繊維のそれよりも低くても、厚みを少し厚くすることにより、重量を増すことなく同等の断面剛性を得ることができる。
又、本発明によれば、成形品10は、ガラス繊維強化複合材とは異なり、例えば、上記コークス炉でのリサイクルプロセスによって、効率的にリサイクルすることができる。
更に、有機繊維シート2、有機繊維マット3を構成する有機繊維f1、f2として、例えばポリエステルを用いる場合など、繊維自体比較的安価で、又斯かる繊維を用いて形成された有機繊維シート2、有機繊維マット3としての織物、マットは、例えば市販されているものから適宜に選択することが可能であり、第1、第2の基材1A、1B、更には成形品10を比較的安価に得ることができる。
以下、本発明の具体例を通して、本発明の効果を更に詳しく説明する。
(具体例)
本発明に従う基材1を用いて形成した成形品10の具体例1〜6、及び比較例1〜4について、基材1の厚さの変動、引張強度、引張弾性率、引張強度標準偏差を調べた結果を表1に示す。具体例1及び2は織物(クロス)とされる有機繊維シート2単独についてホットロールにより拘束処理したもの、具体例3及び4は有機繊維マット3単独についてホットロールにより拘束処理したもの、具体例5は、上記同様のクロス単独についてステッチにより拘束処理したもの。具体例6は、上記同様のクロス単独について接着により拘束処理したものである。又、比較例1及び2は、それぞれ上記同様のクロス、マット単独について拘束処理を施さなかったものである。更に、比較例3及び4は、それぞれ強化繊維としてガラス繊維を用いたクロス、マットにマトリックス樹脂を含浸・硬化させたものについての結果である。各具体例、比較例における詳細設定を以下に示す。
・具体例1〜6、比較例1及び2
第1、第2の有機繊維f1、f2としてポリエステル繊維を用いた。ポリエステル繊維は、平均径28μmのフィラメントを190本収束させたストランドを、更に5本収束させたロービングを用いた。このポリエステル繊維のロービングの物性を次に示す。
ポリエステル繊維のロービング:
引張強度:1000MPa
引張弾性率:19GPa
比重:1.38g/cm3
有機繊維シート2としては、上記ポリエステル繊維を目付300g/m2の平織組織の織物(クロス)(東洋紡績(株)製、エステル)を用いた。
有機繊維マット3としては、上記ポリエステル繊維の長繊維を不織布状に纏めた、繊維目付429g/m2のマット(東洋紡績(株)製、ボランス)を用いた。
又、マトリックス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子(株)製、リゴラック)を用いた。それぞれ基材にマトリックス樹脂を含浸させた後、常温で24時間養生した。
各具体例における拘束処理の詳細設定を次に示す。
[ホットロール]
温度 140℃
クリアランス
クロスについて 0.4mm(圧力約4kgf/mm2(39.2MPa))
マットについて 0.4mm(圧力約4kgf/mm2(39.2MPa))
(0.9m/minで加熱、加圧しながら搬送)
[ステッチング]
ステッチング繊維 ガラス繊維(Eガラス)(日東紡(株)製、グラスファイバー)
チェーンステッチ
ステッチング幅間隔s1 5mm
ステッチングの送りs2 10mm
[接着]
接着剤 エポキシ樹脂製
量 4重量%
(ポリエステル繊維を圧縮した後、接着剤を噴霧し、常温硬化させ作製した。)
・比較例3及び4
ガラス繊維として、フィラメントを200本収束させたストランドを、更に2310tex.になるように収束させた、平均線径13μmのロービングを用いた。このガラス繊維のロービングの物性を次に示す。
ガラス繊維のロービング:
引張強度:3430MPa
引張弾性率:72.5GPa
比重:2.54g/cm3
ガラス繊維クロスとして、上記ガラス繊維を用いた縦糸6本/25mm、横糸6本/25mm(繊維重さ570g/m2)の平織組織の織物(クロス)(日東紡(株)製、WR570C)を用いた。
又、ガラス繊維マットとして、上記ガラス繊維の短繊維(50mm)を不織布状に纏めた、繊維目付434g/m2のもの(日東紡(株)製、M#450)を用いた。
上記ガラス繊維クロス、マットをそれぞれ単独で、上記各具体例と同じマトリックス樹脂に浸漬した後、常温で24時間以上養生した。
尚、表1中Vfは繊維体積含有率である。又、繊維の膨潤程度は、目標Vfに対する変動(%)で示し、併せてマトリックス樹脂を目標Vfに含浸させた基材の厚さと、実際にマトリックス樹脂を含浸・硬化させた後の基材の厚み変動(%)とを示す。引張強度及び引張弾性率は、JIS−K7073−1988の方法に準拠して測定した。
Figure 2005271220
これに限定されるものではないが、有機繊維シート(クロス)単独での引張強度は400〜600MPa、引張弾性率は6〜12GPa、有機繊維マット(マット)1層の引張強度は110〜150MPa、引張弾性率は2.5〜3.5GPaであれば、従来ガラス繊維強化複合材にて作製されていた成形品の代替として有用である。
表1の結果から、本発明に従う成形品(具体例1〜6)は、マトリックス樹脂を含浸させたときの厚さ変動、引張強度、引張弾性率において、従来ガラス繊維強化複合材にて作製されていた成形品の代替として満足いく特性を有していることが分かった。本発明者の検討によると、マトリックス樹脂を含浸させることによる基材の厚さの変動は、±10%以内であれば、成形品の強度設計が困難になるなどの問題はない。一方、強化繊維としてポリエステル繊維を用いて拘束処理を施さなかった基材を用いた成形品は、マトリックス樹脂の含浸により厚さ変動が許容範囲を超えた。又、特に、有機繊維シート2に拘束処理を施したもの(具体例1、2、5、6)は、これを施さなかったもの(比較例1及び2)よりも引張強度が高く、又安定した値を示すことが分かった。
以上説明したように、本発明に従う繊維強化複合材用基材、これを用いて作製した成形品は、例えば部材設計などとの組み合わせにより、従来ガラス繊維強化複合材、これを用いて形成されていた成形品を代替することができ、リサイクル性などの観点から極めて有用である。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。従来、繊維強化複合材と、ハニカム構造体或いはウレタンフォームなどの発泡材とされる軽量部材(芯材)とを組み合わせ、例えば繊維強化複合材を芯材の一方の側面に添着したり、強化繊維複合材によって芯材の両側面から挟んだりしたハイブリッド構造部材が知られている。
本発明に従う基材1を用いて形成された成形品10は、例えば図10(a)に示すように、従来周知の芯材31と組み合わせてハイブリッド構造部材30を形成するのに使用することもできる。この場合、成形品10を成形した後、芯材31の一方の側面若しくは両側面に添着してもよいし、或いは本発明に従う成形品10を成形する過程において組み合わせてもよい。例えば、上述のようにマトリックス樹脂を含浸させた有機繊維シート2を用いた第1の基材1Aと、有機繊維マット3を用いた第2の基材1Bとを重ね合わせた積層体を芯材31の一方の側面若しくは両側面に配置し、一緒に常温若しくは加熱硬化させることなどによっても組み合わせることができる。
これにより、成形品10のみの場合よりも更に曲げ剛性が強化された、軽量のハイブリッド構造部材30を得ることができる。
又、本発明に従う基材1を用いて形成された成形品10は、例えば炭素繊維強化複合材と組み合わせて用いられる、従来ハニカム構造や発泡プラスプラスチックス層などとされていた芯材として使用することもできる。勿論、更にハニカム構造などの芯材を設けてもよい。
例えば、図10(b)に示すように、一方向に引き揃えた炭素繊維を強化繊維とした炭素繊維強化繊維複合材32を、例えば第1及び第2の基材1A、1Bの積層体とされる成形品10の第1の基材1A若しくは第2の基材1B、又は両方の上に添着(プリプレグ状の炭素繊維複合材32を、マトリックスを含浸された第1の基材1A及び/又は第2の基材1B上、若しくはマトリックス樹脂が硬化された成形品10上に配置した後、常温若しくは加熱硬化させてもよい。)して、ハイブリッド構造部材30を構成することができる。
特に、芯材の表面層に設ける炭素繊維強化複合材の強化繊維として、熱伝導性の良い炭素繊維を用い、表面層の熱を炭素繊維強化複合材により平面的に拡散させて部材を不燃性とし、車両用部材として用いることが提案されている。例えば、このような用途において、本発明に従う基材1を用いて形成された成形品10を芯材として用い、車両用部材を形成することができる。
尚、ハイブリッド構造部材30に含まれる炭素繊維と有機繊維は共に、例えば、前述のようなコークス炉でのリサイクルプロセスによりリサイクルすることができる。つまり、炭素繊維は、コークス炉によるリサイクルプロセスによりコークスとして鉄鋼材料としてリサイクルされ、又有機繊維は、炭化水素油、コークス、コークス炉ガスとして効率的にリサイクルされる。例えば、従来ガラス繊維強化複合材にてされた芯材を用いるコンポジット構造部材30における芯材の代替として用いる場合、リサイクルの観点から非常に有用である。
以上、本実施例によれば、本発明に従う基材1を用いて形成された成形品10と芯材31とを組み合わせるか、或いは成形品10を芯材として用いることで、ハイブリッド構造部材を提供することができる。
本発明に係る繊維強化複合材用基材の一実施例の斜視模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材用基材の他の実施例の斜視模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材用基材の他の実施例の斜視模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の作製方法の一実施例を説明するための模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の作製方法の他の実施例を説明するための模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の他の適用例を示す模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の他の適用例を示す模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の他の適用例を示す模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の他の適用例を示す模式図である。 本発明に係る繊維強化複合材成形品の更に他の適用例を示す模式図である。
符号の説明
1 繊維強化複合材用基材(基材)
2 有機繊維シート(クロス)
3 有機繊維マット(マット)
10 繊維強化複合材成形品

Claims (23)

  1. シート状の引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が10GPa以上の連続した有機繊維にて形成される有機繊維シートに拘束処理を施したことを特徴とする繊維強化複合材用基材。
  2. 前記有機繊維シートは、織物、或いは、その積層体であることを特徴とする請求項1の繊維強化複合材用基材。
  3. 前記有機繊維シートを構成する織物は、有機繊維を2軸平織又は朱子織にて織成したものであることを特徴とする請求項2の繊維強化複合材用基材。
  4. 前記拘束処理は、加熱処理、又は加熱加圧処理であることを特徴とする請求項1、2又は3の繊維強化複合材用基材。
  5. 前記拘束処理における加熱温度は、100℃〜180℃であることを特徴とする請求項4の繊維強化複合材用基材。
  6. 前記拘束処理における加圧圧力は、2kgf/mm2〜6kgf/mm2であることを特徴とする請求項4又は5の繊維強化複合材用基材。
  7. 前記拘束処理は、該拘束処理部を前記有機繊維シートに対し相対的に一方向に進行させながら行い、前記拘束処理時に、該拘束処理の進行方向に引張力を掛けることを特徴とする請求項2〜6のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材。
  8. 前記拘束処理の進行方向に掛ける引張力は、1kgf/m〜5kgf/mであることを特徴とする請求項7の繊維強化複合材用基材。
  9. 前記拘束処理は、該拘束処理部を前記有機繊維シートに対し相対的に一方向に進行させながら行い、前記拘束処理時に、該拘束処理の進行方向と交差する方向に引張力を掛けることを特徴とする請求項2〜8のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材。
  10. 前記拘束処理の進行方向と交差する方向に掛ける引張力は、0.5kgf/m〜1kgf/mであることを特徴とする請求項9の繊維強化複合材用基材。
  11. 前記拘束処理は、ステッチング処理であることを特徴とする請求項1、2又は3の繊維強化複合材用基材。
  12. 前記拘束処理は、有機繊維の一部を接着することであることを特徴とする請求項1、2又は3の繊維強化複合材用基材。
  13. 前記接着は、前記有機繊維シートに常温硬化樹脂を噴霧して行うことを特徴とする請求項12の繊維強化複合材用基材。
  14. 前記有機繊維シートの有機繊維は、ポリエステル繊維又はビニロン繊維の単独であるか、又は混合したものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材。
  15. 有機繊維にて形成される不織布に拘束処理を施したことを特徴とする繊維強化複合材用基材。
  16. 前記拘束処理は、加熱処理、又は加熱加圧処理であることを特徴とする請求項15の繊維強化複合材用基材。
  17. 前記拘束処理における加熱温度は、80℃〜180℃であることを特徴とする請求項16の繊維強化複合材用基材。
  18. 前記拘束処理における加圧圧力は、2kgf/mm2〜6kgf/mm2であることを特徴とする請求項16又は17の繊維強化複合材用基材。
  19. 前記不織布の有機繊維は、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はナイロン繊維の単独であるか、又は混合したものであることを特徴とする請求項15〜18のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材。
  20. 請求項1〜19のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材の単独若しくは複数層重ねた積層体の各層に、マトリックス樹脂を含浸させ、成形して硬化したことを特徴とする繊維強化複合材成形品。
  21. 少なくとも1層の請求項1〜14のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材と、少なくとも1層の請求項15〜19のいずれかの項に記載の繊維強化複合材用基材と、を有することを特徴とする請求項20の繊維強化複合材成形品。
  22. 前記マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂を含む群から選択される熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項20又は21の繊維強化複合材成形品。
  23. 前記成形品は、廃液タンク、飼料タンク、水タンク、バスタブ、船、ゴミ箱、ベンチ若しくはパラボラアンテナの一部若しくは全部、或いは車両用部材であることを特徴とする請求項20、21又は22の繊維強化複合材成形品。

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