JP2005269957A - 核酸結合タンパク質の検出方法 - Google Patents

核酸結合タンパク質の検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005269957A
JP2005269957A JP2004086380A JP2004086380A JP2005269957A JP 2005269957 A JP2005269957 A JP 2005269957A JP 2004086380 A JP2004086380 A JP 2004086380A JP 2004086380 A JP2004086380 A JP 2004086380A JP 2005269957 A JP2005269957 A JP 2005269957A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
double
binding protein
stranded
probe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004086380A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Yokoyama
憲二 横山
Hirotaka Miyaji
寛登 宮地
Takashi Fukumori
隆志 福森
Masao Karube
征夫 輕部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2004086380A priority Critical patent/JP2005269957A/ja
Publication of JP2005269957A publication Critical patent/JP2005269957A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質を検出する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る核酸結合タンパク質の検出方法は、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1) 核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブと標的試料とを接触させる工程、
(2) 工程1の後、前記二本鎖核酸プローブを、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
(3) 工程2の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
(4) 工程3において、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたときに、核酸結合タンパク質の存在を検出する工程。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸結合タンパク質の検出方法に関する。また、核酸結合タンパク質の核酸結合阻害または促進化合物のスクリーニング方法に関する。
転写因子をはじめとするDNA結合タンパク質は、DNAに結合することにより遺伝子の発現などの調節を行うタンパク質であり、DNA−タンパク質相互作用の解析は遺伝子機能を理解する上で非常に重要である。近年、DNA結合タンパク質の研究は、分子機構の解明、癌その他の重要疾患の病態のプロテオーム解析のみならず、これらの成果を基にした新しい分子診断・分子治療、創薬などの分野での応用が期待されている。
DNA結合タンパク質の検出のため、これまで、各種の方法が試みられている。
たとえば、従来、ゲルシフトアッセイ法と呼ばれるDNA結合タンパク質の検出方法が知られている。この検出方法は、DNA−タンパク質複合体をアクリルアミドゲル、またはアガロースゲル中で電気泳動した場合、DNAのみの場合と比べて移動度が遅れることを利用した検出法である。検出はDNAを[32P]等で標識することで行う(非特許文献1)。
しかし、DNA−タンパク質複合体は、複合体を形成したまま泳動すると、DNAのみの場合に比べ泳動速度が遅くなり、たとえば、検出に数時間程度の時間がかかる。
また、フットプリンティング法と呼ばれる方法も知られている。この方法は、特定の遺伝子配列を認識し、結合するタンパク質因子の存在を同定し、その結合する遺伝子部位を決定する方法である。片末端を[32P]などで標識したDNA断片を細胞抽出液ないしその精製分画とインキュベートした後、ヌクレアーゼや化学処理によって塩基配列非特異的に切断する。反応精製物を電気泳動すると一塩基ずつ長さの違うバンドが現れるが、タンパク質が結合した部位は切断から保護されるためその位置のバンドが消失し、結合部位の同定を行うことができる。(非特許文献2)しかし、この方法は、結果の定量が困難であること、ランダムにDNAを分解するためDNA結合タンパク質が結合していた位置を特定することが困難で、また特異的な吸着であるかどうかの判断ができない。
また、マイクロプレートでの検出法と呼ばれる方法も知られている。これは、DNA結合タンパク質検出用キットとして市販もされている(たとえば、クロンテック社、Active motif社(フナコシが販売))もので、96穴マイクロプレートにDNAが固定化されており、これに測定サンプルを反応させ、抗体で検出を行う方法である。しかしながら、抗体は高価であり、既知のタンパク質しか検出できない。
また、二本鎖DNAアレイを用いる方法も知られている(非特許文献3、4、5)。この方法は、二本鎖DNAをガラス基板などにアレイ化し、基板上で測定サンプルを反応させた後、DNAに結合したタンパク質を抗体などを用いて検出する方法である。しかし、抗体は高価であり、また、一般に検出は二次抗体を必要とする。
さらに、表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いる方法も知られている。この方法は、SPRの原理を利用した検出法でセンサーとなる金薄膜にDNAまたは、タンパク質を固定化し、測定サンプルと反応させ、結合したタンパク質あるいは、DNAを検出する(非特許文献6)。しかし、この方法では、固相で反応が行われるため、反応が制限され、また装置が高価である。
またさらに、サウスウェスタン法という方法も知られている。この方法は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法にてタンパク質を分離した後、ニトロセルロースフィルターなどへ転写する。これに、[32P]などで標識したDNAをプローブとして用い、DNAプローブと標的物質との結合を測定の指標とする方法である(非特許文献7)。しかし、この方法では操作が煩雑であり、また、タンパク質をニトロセルロースフィルターに転写することにより、DNAとの結合能が低下または失活するという問題があった。
Fried, R. W., Crothers, D. M. Equilibria and kinetics of lac repressor-operator interactions by polyacrylamide gel electrophoresis. Nucleic Acids Res 23, 6505-6525 (1981) Galas, D., Schmitz, A. DNase footprinting: A simple method for the detection of protein-DNA binding specificity. Nucleic Acids Rel 5, 3157-3170 (1978) Carlson, R., Brent, R. Double-stranded DNA arrays:next steps in the surface campaign. Nat Biotechnol 17, 536-537 (1999). Bulyk, M. L., Gentalen, E., Lockhart, D. J., Church, G. M. Quantifying DNA-protein interactions by double-stranded DNA arrays. Nat Biotechnol 17, 573-577 (1999). Bulyk, M. L., Huang, X. H., Choo, Y., Church, G. M. Exploring the DNA-binding specificities of zinc fingers with DNA microarrays. Proc Natl Acad Sci USA 98, 7158-7163 (2001). Jost, J. P., Munch, O., Andersson, T. Study of Protein-DNA Interactions by Surface-Plasmon Resonance (Real-Time Kinetics). Nucleic Acids Res 19, 2788-2788. (1991) Singh, H., Lebowitz, J. H., Baldwin, A. S., Sharp, P. .Molecular-Cloning of an Enhancer Binding-Protein - Isolation by Screening of an Expression Library with a Recognition Site DNA. Cell 52, 415-423 (1988).
本発明は、上記のような従来技術に基づく課題を解決しようとするものであって、迅速かつ簡便に、DNAやRNAなどの核酸に結合するタンパク質(核酸結合タンパク質)を検出する方法を提供することを課題とする。また、本発明は、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質の核酸への結合阻害/促進化合物のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
〔1〕以下の工程を含む、核酸結合タンパク質の検出方法;
(1) 核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブと標的試料とを接触させる工程、
(2) 工程1の後、前記二本鎖核酸プローブを、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
(3) 工程2の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
(4) 工程3において、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたときに、核酸結合タンパク質の存在を検出する工程。
〔2〕前記工程2において、前記二本鎖核酸プローブを、エキソヌクレアーゼで消化することを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記相補鎖合成用基質が、検出用に標識された基質を含むことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕二本鎖核酸プローブを、予測される核酸結合タンパク質に対して過剰量用いることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕二本鎖核酸プローブの一方の3'末端が、ヌクレアーゼ耐性を有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記二本鎖核酸プローブが、ヘアピン−ループ構造であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕前記核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列が、1〜30塩基からなることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕前記二本鎖核酸プローブが二本鎖DNAプローブであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕前記二本鎖核酸プローブが二本鎖RNAプローブであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕以下の工程を含む、核酸結合タンパク質の二本鎖核酸プローブへの結合を阻害または促進する化合物のスクリーニング方法;
(1) 標的化合物と、核酸結合タンパク質または核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブとを接触させる工程、
(2) 工程1の後、工程1で用いなかった前記二本鎖核酸プローブまたは前記核酸結合タンパク質を混合する工程、
(3) 工程2の後、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
(4) 工程3の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
(5) 工程4の後、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたか否かを確認する工程、
(6) 工程5において、
(a)相補的な塩基配列を含む核酸が合成されなかったとき、または予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量が低下したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合阻害化合物である、
(b)相補的な塩基配列を含む核酸が予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量より増加したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合促進化合物である、
と判定する工程。
〔11〕前記工程2において、前記二本鎖核酸プローブを、エキソヌクレアーゼで消化することを特徴とする〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記相補鎖合成用基質が、検出用に標識された基質を含むことを特徴とする〔10〕または〔11〕に記載の方法。
〔13〕標的化合物を、二本鎖核酸プローブに対して過剰量用いることを特徴とする〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕前記二本鎖核酸プローブが二本鎖DNAプローブであることを特徴とする〔10〕〜〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕前記二本鎖核酸プローブが二本鎖RNAプローブであることを特徴とする〔9〕〜〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼまたは核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする核酸結合タンパク質検出キット。
〔17〕核酸結合タンパク質、核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼまたは核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする二本鎖核酸結合阻害または促進化合物のスクリーニングキット。
本発明の核酸結合タンパク質の検出方法によれば、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質を検出することができる。また、本発明の核酸結合タンパク質の二本鎖核酸プローブへの結合を阻害または促進する化合物のスクリーニング方法によれば、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質結合促進/阻害化合物をスクリーニングすることができる。
<核酸結合タンパク質の検出方法>
本発明に係る核酸結合タンパク質の検出方法は、以下の工程(1)〜(4)を含むことを特徴としている。
(1) 核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブと標的試料とを接触させる工程、
(2) 工程1の後、前記二本鎖核酸プローブを、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
(3) 工程2の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
(4) 工程3において、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたときに、核酸結合タンパク質の存在を検出する工程。
工程1
前記工程(1)においては、核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な結合部位を含む二本鎖核酸プローブ(以下、二本鎖核酸プローブ中の二本鎖核酸の部分を「ステム」ということがある。)と標的試料とを接触させる。
工程1においては、標的試料中に核酸結合タンパク質が含有されている場合には、該核酸結合タンパク質は、核酸中の特異的に結合可能な認識配列に結合する。このような核酸としては、たとえば、DNA、RNAが挙げられる。また、DNAとRNAのハイブリッドであってもよい。
したがって、核酸がDNAの場合、前記二本鎖核酸プローブは二本鎖DNAプローブであり、前記核酸がRNAの場合、前記二本鎖核酸プローブは二本鎖RNAプローブである。さらにこれらの二本鎖核酸プローブは、二本鎖DNAまたは二本鎖RNAの類縁体であってもよい。
このような、二本鎖核酸プローブと結合する核酸結合タンパク質は、公知のものであっても未知のものであってもよい。なお、核酸結合タンパク質は、一本鎖または二本鎖のいずれの鎖を認識するタンパク質でもよい。
例えば、タンパク質と認識配列が公知の場合、該公知のタンパク質の有無を検出できる。
たとえば、公知のDNA結合タンパク質としては、λファージ転写因子croタンパク質、ATF2、c-Fos、DP-1、c-Myb、c/EBP、CREB、FosB、E2F-1、c-Myc 、Egr-1、c-Fos、c-Jun、E2F-2、Infl 1、Infl 2、Onc 1、Onc 2、Onc 3、Max、HIF-1α、c-Rel、JunD、Rb、USF1、HIF-1β、NFκB p50、Sp-1、p107、USF2、Oct I、NFκB p65、 STAT1、Sp-1、p53、Oct IIなどが挙げられる。
またRNA結合タンパク質としては、DRBP (dsRNA binding proteins)などがあり、たとえば、DRBP76、PACT、RAXなどが挙げられる。
未知のタンパク質を用いる場合、たとえば、該未知のタンパク質を含む標的試料と、二本鎖核酸プローブとを接触させ、結合した部位に対応する認識配列を決定することができる。また、結合タンパク質の結合力の強弱測定や定量測定にも利用することができる。
本発明で用いる核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブは、核酸合成機を用いて化学的に合成することができる。また、微生物やPCR法を利用して生物学的に増幅した核酸を二本鎖核酸プローブとすることもできる。
本発明で用いる二本鎖核酸プローブ中に含まれる特異的に結合可能な認識配列は公知の配列を含み、通常、該認識配列の核酸の鎖長は、好ましくは1〜30塩基、さらに好ましくは8〜30塩基、より好ましくは15〜25塩基である。
このような認識配列は3'末端から、好ましくは10〜30塩基、さらに好ましくは15〜25塩基下流に配置している。このような3'末端から始まる塩基配列(以下「3'末端配列」ということがある。)の配列は特に限定されない。認識配列の上流に存在する該3'末端配列が上記の長さの鎖長であると、工程4において合成された相補鎖により核酸結合タンパク質を検出するのに好適である。また、工程2における消化酵素による分解を適度な時間で完了することができる。
また、ステム部分の長さは、好ましくは11〜60塩基、さらに好ましくは16〜55塩基、より好ましくは30〜50塩基である。ステムがこの範囲の長さであると、操作の利便性が向上する、消化時間および標識時間が短縮される、擬陽性の出現を低下させるといった利点がある。
本発明では、二本鎖核酸プローブは、全体として1本鎖であっても、2本鎖であってもよい。
全体として二本鎖の場合に、工程2においてエキソヌクレアーゼを用いるときは、二本鎖核酸プローブの3'末端の一方は、エキソヌクレアーゼに対して耐性を有することが好ましい。3'末端の一方がこのようなヌクレアーゼ耐性を有することにより、検出感度の向上および検出の安定性の向上を図ることができる。
二本鎖核酸プローブにヌクレアーゼ耐性を与える方法は、片側が突出した末端をもつ構造であってもよく特に限定されるものではない。このため、この分野において通常用いられる方法をいずれも利用することができる。また、片側の鎖が固定化担体に固定化されている構造をもつものであってもかまわない。
たとえば、DNA合成装置などの核酸合成装置で二本鎖核酸プローブを合成するときに、公知の方法によって必要な部位にホスホロチオエート(Phosphorothioate)結合を導入すれば、該二本鎖核酸プローブにヌクレアーゼ耐性を与えることができる。
このような方法としては、たとえば、固相ホスホルアミダイト(Phosphoramidite)法で核酸を合成する場合であれば、ヨウ素水等による酸化工程に代えて適当なS化試薬(ホスホロチオエート化試薬)によって酸化処理を行うことで通常のリン酸ジエステル結合ではなくホスホロチオエート結合を二本鎖核酸プローブに導入することができる。S化試薬としては、3H−1,2−benzodithiole-3-one1,1-dioxide(Beaucage's Reagent)、TETD/Acetonitrile(TETD:tetraethylthiuram disulfide)等が知られている。この方法によれば、ホスホロチオエート結合を二本鎖核酸プローブの任意の部位に導入することができる。
また、核酸のうち、DNAへのヌクレアーゼ耐性を付与する方法として、たとえばDNAポリメラーゼによってDNAを合成する際に、デオキシリボヌクレオシドトリリン酸のα位のリン原子に結合した酸素を硫黄に置換したものを基質として用いることによって、二本鎖DNAプローブにホスホロチオエート結合を導入することができる。このような置換化合物としては、α−S−デオキシチミジントリリン酸、α−S−デオキシシトシントリリン酸、α−S−デオキシアデニントリリン酸、およびα−S−デオキシグアニントリリン酸等(これらの置換化合物を総称してSdXTPという。)が挙げられる。DNAポリメラーゼによる合成反応を行うときに、デオキシヌクレオシドトリリン酸(dXTP)に代えて、SdXTPを基質とすることにより、合成された二本鎖DNAプローブは、ホスホロチオエート化され、ヌクレアーゼ耐性を得ることができる。
なお、DNAポリメラーゼによるDNAへの取り込みの効率はSdXTPがdXTPよりかなり低いので、始めにSdXTPを取り込ませた後に、分解用のdXTPを加えるか、あるいはSdXTP濃度を高めに設定しておくことが必要である。
他のヌクレアーゼ耐性の付与手段としては、前記ホスホロチオエート化の他に、メチルホスホネート(Methylphosphonate)結合、ホスホロアミデート(Phosphoroamidate)結合、ポリアミド核酸(Polyamide nucleic acid(PNA))結合等の導入方法が挙げられる。これらの結合によって二本鎖核酸プローブのリン酸結合部位、リボース部位、核酸の塩基部位が修飾、あるいは構造をモディファイされてヌクレアーゼ耐性を得ることができる。
また、DNAアレイのように多数のプローブを基板等に固定して配置したものでもよい。このとき、片鎖が固定化されているため、ヌクレアーゼ耐性とすることができる。
核酸が全体として一本鎖の場合、2本鎖核酸プローブは、ヘアピン−ループ構造(ステム−ループ構造)であることが好ましい。ヘアピン−ループ構造の核酸は、核酸合成機を用いて化学的に合成することができる。また、微生物やPCR法を利用して生物学的に増幅して合成することもできる。
このような通常の方法により、両末端からの一定の塩基が互いに相補的で、その中に特異的に結合可能な認識配列を含み、中心にループ部分を有する核酸を合成する。中心のループ部分の塩基数は、好ましくは3〜10塩基、さらに好ましくは4〜8塩基である。
たとえば、核酸を、緩衝液等の溶液中、80〜100℃の範囲で5〜60分程度インキュベートし、その後徐々に0〜10℃に冷却することにより、ヘアピン−ループ構造を有する二本鎖DNAプローブを得ることができる。
本発明で用いる二本鎖核酸プローブは、5'末端は特に修飾する必要はなく、たとえば、リン酸化というような処理は不要である。
核酸結合タンパク質と前記二本鎖核酸プローブとの接触は、通常、溶媒中、好ましくは20〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃程度で、5分〜30分程度の時間インキュベートして行う。溶媒として緩衝液を用いる場合、緩衝液としてはたとえばトリス−塩酸緩衝液等を好ましく用いることができ、この場合、pHは好ましくは7〜9、さらに好ましくは7.5〜8.5である。
標的となる核酸結合タンパク質の量を正確に予め予測することは困難な場合があるが、二本鎖核酸プローブの使用量は、予想される核酸結合タンパク質1モルに対して、好ましくは0.5〜100モル、さらに好ましくは1〜10モルであり、過剰量用いることが望ましい。過剰量の二本鎖核酸プローブを用いることにより、高い検出感度を確保することができる。
工程1〜工程4は連続して行うことが可能であり、工程3において行う相補鎖合成のため、工程1の段階から予めデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP:dATP、dTTP、dCTP、dGTP)や、検出用の核酸を混合しておいてもよい。
工程2
前記工程2は、工程1の後、前記二本鎖核酸プローブを消化酵素で消化する工程である。消化酵素としては、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼが挙げられる。
二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼとしては、エキソヌクレアーゼIII(ExonucleaseIII(ExoIII))などが挙げられる。
エキソヌクレアーゼIIIは、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解する活性を有するものであればその由来は限定されない。たとえば、大腸菌由来のものが挙げられ、他の微生物、あるいは遺伝子組換えにより得られたものを利用することもできる。
本発明で用いることのできるエンドヌクレアーゼは、核酸結合タンパク質非存在下で、核酸を伸長できない塩基数まで消化できるエンドヌクレアーゼである。再伸長反応は通常、公知のポリメラーゼを用いて行うことができる。
このような、通常、ポリメラーゼにより再伸長できない塩基数(残存する塩基数)は、好ましくは4塩基以下、さらに好ましくは0〜3塩基である。
このような、核酸を再伸長できない塩基数まで消化できるエンドヌクレアーゼとしては、たとえば、核酸中の一方の鎖にニックを導入するエンドヌクレアーゼが挙げられ、たとえば、DNaseI (Deoxyribonuclease I)、S1 Nuclease、Mung Bean Nuclease、Micrococcal Nuclease、RNase、RNase A、RNaseT1などが挙げられる。
また、RNA-DNAハイブリッドを特異的に認識するRNaseH(Ribonuclease H)やDNA Topoisomeraseなどの修飾酵素を用いて核酸にニックを導入してもよい。
これらのうちでは、エキソヌクレアーゼを用いることが、反応の安定性、反応モデル構築の簡便性などの点から好ましい。
前記二本鎖核酸プローブの消化は、たとえばエキソヌクレアーゼIIIを用いる場合、工程1の後、エキソヌクレアーゼIIIの存在下に行う。反応は、好ましくは20〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃の温度で、2分〜20分程度行う。反応は、工程1から連続して行っても、いったん工程1における反応生成物を分離してから工程2を実施してもよい。
工程1と分離して行う場合、溶媒としては、工程1と同様の溶媒を用いることができる。
消化酵素の使用量は、二本鎖核酸プローブ1モルに対して、好ましくは1〜100モルである。
エキソヌクレアーゼによる消化は、ステムの3'末端から進むが、前記工程1において、核酸結合タンパク質が結合している二本鎖の核酸では、該核酸結合タンパク質の存在により、消化が途中で停止する。すなわち、核酸結合タンパク質が結合した二本鎖核酸プローブは、3'末端を有する二本鎖が残存する。一方、工程1において、核酸結合タンパク質が結合していない二本鎖核酸プローブでは、ステム部分は全て消化され、3'末端を有する二本鎖部分が存在しない。
この結果、前記工程3において、核酸結合タンパク質が結合した二本鎖核酸プローブのみを残存する3'末端から伸長させることができる。
一方、本発明で用いるエンドヌクレアーゼによる消化も、エキソヌクレアーゼと同様の原理により、鎖を消化するが、核酸結合タンパク質が結合している二本鎖の核酸では、該核酸結合タンパク質の存在により、消化が途中で停止する。核酸結合タンパク質が結合していない二本鎖核酸プローブでは、ステム部分は、ポリメラーゼなどによって再伸長できない塩基数にまで消化される。
工程3
工程3は、工程2の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程である。
本明細書において「相補鎖」とは、塩基配列が塩基対のワトソン・クリック則に従って、もう一方の核酸と水素結合による2重鎖を形成し得る鎖であり、「相補的」とは、そのような2重鎖を形成し得る状態をいう。具体的には、アデニン(A)に対してはチミン(T)またはウラシル(U)、グアニン(G)に対してはシトシン(C)が対応する相補鎖である。
なお、本発明では、相補鎖の合成によって得られる二本鎖核酸は、当初の二本鎖核酸プローブの塩基配列と完全に相補的である必要はなく、少なくとも得られる二本鎖核酸の塩基全体の少なくとも70%が前記の相補性を当初の二本鎖核酸プローブとの関係において有することが好ましい。相補性が70%未満となると、ハイブリダイズ自体が困難となり、相補鎖を合成することが困難になる。
相補鎖合成用基質としては、通常、4種類のデオキシリボヌクレオチド(dNTP)、およびリボヌクレオチド(dUTP)を用いることができる。また、相補鎖合成用基質として、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの誘導体を利用し、核酸誘導体を合成することができる。
この種の誘導体として、蛍光色素や結合性リガンドで修飾したデオキシヌクレオチド誘導体を用いることができる。したがって、本明細書において核酸は、該核酸の誘導体を含む。
本発明では、検出工程で、合成された相補鎖を検出することができればよく、相補鎖合成用基質は、検出用の標識された基質を含む場合も、検出用の標識された基質を含まない場合のいずれも包含する。
このうち、相補鎖合成用基質は、検出用の標識された基質を含むことが好ましい。このような検出用の標識された基質として、たとえば、標識を含む前記デオキシリボヌクレオチドの誘導体、リボヌクレオチドの誘導体を用いることができる。
標識は、一般に核酸の標識技術として知られている方法を利用できる。たとえば、具体的には、蛍光成分、発光成分、ラジオアイソトープ、ビオチン、ハプテン等が挙げられる。
たとえば、前記検出用の塩基として、蛍光標識されたdNTP、dUTPを好ましく用いることができる。蛍光標識されたdNTP、dUTPとしては、たとえば、Alexafluor488-dUTP、Alexa Fluor 488-5-dUTP、Cascade Blue-7-dUTP、Alexa Fluor 488-5-dUTP、Alexa Fluor 488-7-OBEA-dCTP、Fluorescein-12-dUTP、Oregon Green 488-5-dUTP、BODIPY FL-14-dUTP、Rhodamine Green-5-dUTP、Alexa Fluor 532-5-dUTP、BODIPY TMR-14-dUTP、Teramethylrhodamine-6-dUTP、Alexa Fluor 546-14-dUTP、Alexa Fluor 546-16-OBEA-dCTP、Alexa Fluor 568-5-dUTP、Texas Red-12-dUTP、Texas Red-5-dUTP、BODIPY TR-14-dUTP、Alaxa Fluor 594-5-dUTP、Alaxa Fluor 594-7-OBEA-dCTP、BODIPY 630/650-14-dUTP、BODIPY 650/665-14-dUTP、Alexa Fluor 647-12-OBEA-dCTPなどが挙げられる。
また、発光標識の場合、DIG(ジゴキシゲン)を結合したdUTP(デオキシウリジン5´−三リン酸)などを用い、CSPD、CDP-Star、Lumi-Phos 530、Lumigen PPDなどを発光試薬として用い、検出する方法が挙げられる。
さらに、ラジオアイソトープによる場合、32Pを用い、検出する方法が挙げられる。
ビオチンによる場合、ビオチン化ヌクレオチド(ビオチン−16−dUTP、ビオチン−11−dUTPなど)を用いる方法が挙げられる。
ハプテンによる場合、スルホン化DNA等の修飾塩基などを使用する方法が挙げられる。
核酸結合タンパク質の検出の場合、これらのうち、蛍光、ラジオアイソトープによる標識を用いることが、バックグラウンドの観点から好ましい(S/N比が高い)。
前述の通り、これらの相補鎖合成用基質は、工程1で予め存在させておいてもよいし、工程3で添加してもよい。
相補的な塩基配列を含む核酸の合成反応は、ポリメラーゼの存在下に行う。工程3は、工程2から連続して行っても、いったん工程2における反応生成物を分離してから工程3を実施してもよい。工程2と分離して行う場合、溶媒としては、工程2と同様の溶媒を用いることができる。
消化酵素として、エキソヌクレアーゼを用いる場合、ポリメラーゼは3'末端がOH基で好ましくは3塩基以上、さらに好ましくは4塩基以上の核酸分子(プライマー)により合成を開始する活性を有するものであればその由来は限定されない。たとえば、核酸がDNAの場合、大腸菌由来のDNAポリメラーゼが挙げられ、他の微生物あるいは遺伝子組換えによりえら得たものを利用することもできる。
消化酵素としてエンドヌクレアーゼを用いる場合、ポリメラーゼは、エンドヌクレアーゼにより消化されて残存する塩基数を超える塩基数で合成を開始する活性を有するものが好ましい。通常、残存する塩基数は、好ましくは4塩基以下、さらに好ましくは0〜3塩基であり、このような塩基数では伸長反応を起こさないポリメラーゼを用いる。
DNAポリメラーゼとしては、前記消化されたDNAプローブの3'末端から、検出用の基質を含む相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する機能を有する任意のDNAポリメラーゼを利用することができる。
たとえば、利用可能なDNAポリメラーゼとして下記のものが挙げられる。
タカラ社製 ExTaq 、Taq 、Z Taq、Pyrobest DNA polymerase、
ファルマシア社製 Taq DNA Polymease,Cloned for PCR、
QIAGEN社製 Hot Star Taq、
TOYOBO社製 KOD DNA Polymerase
これらのDNAポリメラーゼの中でも、Taq DNA polymerase (TaKaRa Ex Taq TM R-PCR Version)などの耐熱性DNAポリメラーゼは、温度の昇降を利用したDNA合成制御を行う反応系を使用する場合に、熱負荷に対する安定性が高いため好ましい。
また、RNAを鋳型として伸長反応を行う場合、逆転写酵素活性を有するポリメラーゼが必要である。たとえば、Thermus thermophilus(高熱菌)由来、Tth DNA polymeraseなどが挙げられる。
これらの酵素は、その触媒作用が維持される条件の下で利用される。各酵素の至適条件は公知である。酵素活性に影響を与える要因として、温度、塩濃度、pH、変性剤や保護剤の存在、あるいはその他に各酵素が要求する各種の補因子などを示すことができる。これらの諸条件は、当業者が適宜設定することができる。
これらの条件が酵素活性の維持に必要な範囲に設定されれば、前記相補鎖合成基質を利用して、相補鎖を合成できる。
工程2により、前記核酸結合タンパク質が結合していた二本鎖核酸プローブは、該核酸結合タンパク質の存在により、消化が途中で停止し、3'末端を有する二本鎖が存在している。このため、工程3においては、該消化した二本鎖核酸プローブはポリメラーゼを認識して、相補鎖の合成が進行する。
一方、核酸結合タンパク質が結合していなかった二本鎖核酸プローブは、工程2においてステム部分が全て消化され、3'末端を有する二本鎖部分が存在しないので、ポリメラーゼを認識できず、相補鎖の合成が行われない。
工程4
工程4は、工程3において、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたときに、核酸結合タンパク質の存在を検出する工程である。
工程3において、相補鎖の合成が行われた場合、相補鎖の検出は、検出用の基質の種類に応じて対応する検出方法を採用する。
たとえば検出用の標識を有する相補鎖合成用基質を用いる場合には、相補鎖中の標識を検出することにより、相補鎖が合成された二本鎖の核酸を検出することができる。この結果、核酸結合タンパク質の存在を確認することができる。
たとえば、検出用の相補鎖合成用基質として、蛍光されたdNTPあるいはdUTPを用いる場合、ゲルなどを用いて電気泳動を行った後、蛍光スキャニングを実施するか、蛍光偏光法、FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)法により検出することができる。
また、発光による検出の場合、CCDカメラ、光電子増倍管、イメージングプレートを用いて検出することができる。
さらに、ラジオアイソトープによる検出の場合、1)試料中の放射性物質の分布を写真乳剤膜に直接記録する技術(オートラジオグラフィー)による検出を行い、放射性核種をトレーサーとして含む試料を写真乾板や感光乳剤と接触させて感光させ、感光剤の黒化度によって試料の特定の場所に存在する放射性核種の分布を調べる方法を用いるか、2)輝尽性蛍光体に中性子コンバーターを均一に混入させた積分型エリア熱中性子検出器であるイメージングプレートを用いて検出できる。また、3)合成反応により取り込まれなかった遊離放射性物質をゲルろ過カラムにより回収した後、液体シンチレーションカウンターなどで測定することができる。
また、単に、SybrGreenなどインターカレーターを用いて検出することもできる。このような方法によれば、検出用の標識を含まない相補鎖合成用基質を用いる場合の伸長反応により合成された相補鎖の検出も可能である。
以下本発明の核酸結合タンパク質の検出原理を、例示した図1(核酸がDNA、消化酵素がエキソヌクレアーゼ、標識(蛍光)を用いる場合の例)を用いてより具体的に説明するが、本発明は、図1の例示に限定されるものではない。
適当な長さ(図1では69 mer)の1本鎖DNAを熱変性後徐冷し、片方の鎖にループ構造を保有する二本鎖DNAプローブに再変性させる。二本鎖DNAプローブのステム部分には、DNA結合タンパク質(図1(1)の左カラム:λファージ転写因子croタンパク質)の結合配列が存在している。
このようにして作製したループとステム構造を保有する2本鎖DNAプローブとDNA結合タンパク質の結合反応を行った後、消化酵素(図1(2):3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を持つExonucleaseIII)を加えDNAの消化を行う。
このとき、DNA結合タンパク質が結合した二本鎖DNAプローブではステムの3'末端から進むDNAの消化が、DNA結合タンパク質の存在により途中で停止する(図1(3)左カラム)。
一方、DNA結合タンパク質が結合していないDNAではステム部分はすべて消化され、直鎖状の一本鎖DNAが残る(図1(3)右カラム)。
次に、検出用の基質(図1ではdUTPに蛍光色素が修飾されたAlexafluor488-dUTP)を含む相補鎖合成用の基質の存在下に、DNAポリメラーゼ(図1(3)では、高熱菌由来taq DNAポリメラーゼ)を加えて伸長反応を行う。
消化酵素による消化がDNA結合タンパク質の結合部位で停止した二本鎖DNAプローブでは3'末端は二本鎖を組むため、DNAポリメラーゼが伸長反応を行う際のプライマーとして作用し、プローブDNAの3'側が再合成される(図1(4)左カラム)。
しかし、ステムの3'側から2本鎖部分がすべて消化された二本鎖DNAプローブは伸長反応が起こらない(図1(4)右カラム)。
このとき、伸長反応において検出用の基質(図1(3)、(4)では、dUTPに蛍光色素が修飾されたAlexafluor488-dUTP)も再合成されたステムに含有されることとなる。
伸長反応後の二本鎖DNAプローブを電気泳動法等を用いて解析することにより、DNA結合タンパク質が結合した場合のみ、検出用の基質が取り込まれた二本鎖DNAプローブを確認することができる。
<核酸結合阻害/促進化合物のスクリーニング方法>
本発明に係る核酸結合タンパク質の二本鎖核酸プローブへの結合を阻害または促進する化合物のスクリーニング方法は、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1) 標的化合物と、核酸結合タンパク質または核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブとを接触させる工程、
(2) 工程1の後、工程1で用いなかった前記二本鎖核酸プローブまたは前記核酸結合タンパク質を混合する工程、
(3) 工程2の後、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
(4) 工程3の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
(5) 工程4の後、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたか否かを確認する工程、
(6) 工程5において、
(a)相補的な塩基配列を含む核酸が合成されなかったとき、または予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量が低下したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合阻害化合物である、
(b)相補的な塩基配列を含む核酸が予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量より増加したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合促進化合物である、
と判定する工程。
工程1、2は、標的化合物を、核酸結合タンパク質および/または二本鎖核酸プローブと共存させる工程である。
標的化合物は、前記核酸結合タンパク質および/または二本鎖核酸プローブに作用して、前記核酸結合タンパク質が二本鎖核酸プローブに結合するのを促進または阻害しうる化合物である。
標的化合物の種類に限定はなく、有機化合物、高分子化合物など全てが対象となる。
工程1における接触反応は特に限定されないが、通常、溶媒中、好ましくは20〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃程度で、5分〜30分程度の時間インキュベートして行う。溶媒として緩衝液を用いる場合、緩衝液としてはたとえばトリス−塩酸緩衝液等を好ましく用いることができ、この場合、pHは好ましくは7〜9、さらに好ましくは7.5〜8.5である。
標的化合物は、二本鎖核酸プローブ、または核酸結合タンパク質1モルに対して、好ましくは1.5〜100モル、さらに好ましくは1〜10モルであり、過剰量用いることが望ましい。過剰量の標的化合物を用いることにより、高い検出感度を確保することができる。
工程2において、工程1で用いなかった前記二本鎖核酸プローブまたは前記核酸結合タンパク質を混合し、標的化合物を、核酸結合タンパク質および/または二本鎖核酸プローブと共存させる。
工程2における反応は特に限定されないが、通常、溶媒中、好ましくは20〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃程度で、5分〜30分程度の時間インキュベートして行う。溶媒として緩衝液を用いる場合、緩衝液としてはたとえばトリス−塩酸緩衝液等を好ましく用いることができ、この場合、pHは好ましくは7〜9、さらに好ましくは7.5〜8.5である。
工程3〜5は、前記核酸結合タンパク質の工程2〜4と同様にして行うことができる。
工程5において相補鎖が合成されたか否かを確認し、工程6において、
(a)相補的な塩基配列を含む核酸が合成されなかったとき、または予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量より低下したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合阻害化合物である、
(b)相補的な塩基配列を含む核酸が予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量より増加したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合促進化合物である、
と判定する。
予測される合成量として、標的化合物の非存在下で検出した場合(対照)を用い、この場合と比較して、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されないまたは低下したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合阻害化合物である、あるいは、標的化合物の非存在下で検出した場合(対照)と比較して、相補的な塩基配列を含む核酸が増加したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合促進化合物である、と判定することもできる。
合成量の測定には、工程4における検出用の基質として発光、ラジオアイソトープを用いることが好ましい。これらを用いると、工程5を経て得られる相補的な塩基配列を含む核酸を定量的に測定することができる。
予測される相補的な塩基配列を含む核酸量は、コントロールとして、標的化合物を用いない系を対照させることにより設定することが可能である。この系との検出指標の相対的な定量比較により、標的化合物が核酸結合タンパク質結合阻害化合物であるか、促進化合物であるのかの判定を行うことができる。
生命現象は、遺伝子発現により合成されるタンパク質が正常に発現・機能することにより営まれるが、異常な遺伝子発現は発がんやアポトーシスの原因となる。遺伝子発現の大部分は、転写因子と呼ばれるDNA結合タンパク質により制御されている。このため、たとえば、正常な遺伝子発現の原因となるDNA結合タンパク質のDNAへの結合を促進する化合物は、該正常遺伝子の働きが低下している場合の疾患の予防あるいは治療剤となりうる。また、たとえば、異常な遺伝子発現の原因となるDNA結合タンパク質のDNAへの結合を阻害する化合物は、該異常遺伝子により誘発される疾患の予防あるいは治療剤となりうる。
<核酸結合タンパク質検出キット、二本鎖核酸結合阻害/促進化合物のスクリーニングキット>
本発明に係る核酸結合タンパク質検出キットは、核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする。
また、本発明に係る二本鎖核酸結合阻害または促進化合物のスクリーニングキットは、核酸結合タンパク質、核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする。
以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。たとえば、使用する酵素、目的とする核酸結合タンパク質によって反応条件が変化することはいうまでもない。たとえば超低温菌や高温菌など特殊環境微生物の核酸結合タンパク質の場合は反応温度(接触条件)を目的とする生物種に合わせて変更する必要がある。
使用した試薬及び装置
Thermus aquaticus 由来の組換えDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)はBOEHRINGER MANNHEIM社から購入した。
デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dTTP、dCTP、dGTP)、エキソヌクレアーゼIII、短鎖DNAの電気泳動用アガロースゲルであるMetaPhor Agarose、電気泳動後のDNAの染色剤SYBR Green Iはタカラバイオ社から購入した。
デオキシウリジン三リン酸(dUTP)に蛍光物質が修飾されたAlexa Fluor 488-5-dUTPはモレキュラープローブ社から購入した。
λファージ由来のDNA結合タンパク質(以下「Cro」または「Croタンパク質」という。)は、遺伝子をクローニングしてタンパク質発現用ベクターpGEX-6P-2に改変したものを大腸菌[BL21(DE3)pLysS]にトランスフォームし、培養した菌体より分離、精製した。
反応用緩衝液に使用した2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(Tris)、塩化マグネシウム、塩化カリウムは和光純薬から購入した。
ゲル濾過スピンカラムはアマシャムバイオサイエンス社製AutoSeq G-50を使用した。
電気泳動にはコスモバイオ社製のミューピッドαを使用した。
電気泳動後のゲルの解析に用いた蛍光イメージスキャナーはアマシャムバイオサイエンス社製のフルオロイメージャー595を使用し、解析後の画像処理はImage Quant(version 4.2 a)で行った。
サーマルサイクラーはアプライドバイオシステムズ社製のGene Amp PCR System 9600を使用した。
〔調製例1〕
二本鎖DNAプローブの調製
本研究で使用した合成DNAの配列を以下(表1)に示した。各DNAは69merで中心の5 merがループを形成し、両端の32 merずつが互いに相補的でステムを形成する。下記のように、ステムの部分にCroタンパク質の結合サイトを含むもの(L-Cro)と含まないコントロール(L-control)をそれぞれ設計した。
各10 μMのDNA溶液(20 mM Tris-HCl (pH 7.6)、100 mM NaCl)を、95℃で10分間インキュベートした後、30分間かけて4℃に徐冷して二本鎖DNAプローブを作製した。
[L-Cro]配列番号1
CACAGACACATATCACCGCAAGGGATAGACCGTTTTTCGGTCTATCCCTTGCGGTGATATGTGTCTGTG
[L-Control]配列番号2
CACAGACACACACACGGGACTTTCCCAGACCGTTTTTCGGTCTGGGAAAGTCCCGTGTGTGTGTCTGTG
〔実施例1〕
DNA結合タンパク質の結合、DNAの消化、および伸長反応
調製例1で調製したL−Croの二本鎖DNAプローブ(20 pmol)を反応溶液中[10 mM Tris-HCl (pH8.3), 50 mM KCl, 1.5 mM MgCl2, 40μM dATP, 40μM dGTP, 40μM dCTP, 40μM Alexa Fluor 488-5-dUTP]で、Croタンパク質(40 pmol)と室温で15分間インキュベートし、DNA−タンパク質複合体を形成させた。
づづけてExonucleaseIII (12U) を加え、37℃で10分間DNAの消化を行った。95℃にて15分間加熱しExonuclease IIIを失活処理した。
さらに、Taq DNAポリメラーゼ(1U)を加え、72℃で60分間伸長反応を行った。反応は200μlのPCRチューブで行い、温度制御はサーマルサイクラーを用いた。反応条件を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、溶液にBSA(Bovine Serum Albumin、ウシ血清アルブミン)1.6μg(終濃度3.4μM)を含有させた反応溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応条件を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、Croタンパク質を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件下に、反応を行った。反応条件を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、L−Cro(20 pmol)を用いる代わりに、調製例1で調製したL−Controlの二本鎖DNAプローブ(20 pmol)を用いた以外は、実施例1と同様の条件下に、DNA結合タンパク質の結合、DNAの消化、および伸長反応を行った。反応条件を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、Croタンパク質を添加せず、消化反応を行わなかった以外は、実施例1と同様の条件下に、反応を行った。反応条件を表1に示す。
電気泳動および蛍光検出
実施例1、2および比較例1〜3で得られた反応後のDNAをゲル電気泳動で解析した。ゲルは3%アガロースゲル、泳動用緩衝液に1×TAE(40 mM Tris-Acetate、1 mM EDTA)を用い、室温で100V、30分間泳動を行った。
泳動したゲルはフルオロイメジャーで488nmのレーザーと530 nmのバンドパスフィルターを用いて蛍光解析した(図2の左半分の写真)。
さらに、その後ゲルをSYBR Green IIで30分間染色し、フルオロイメージャーで解析した(図2の右半分の写真)。
反応の特異性の確認
反応後のサンプルを電気泳動で解析した結果を図2に示す。またその泳動(図 2)、Croタンパク質とL-Croの混合サンプルでのみ蛍光標識されたDNAが観察された。これは、伸長反応でDNA鎖内にAlexa Fluor 488-5-dUTPが取り込まれたことを示している。
また、実施例1、2について、SYBR Green IIによる染色したものは、蛍光標識されたDNAが検出された位置に対応する位置にのみ観測された。
この結果から、本実験系を用いてDNA結合タンパク質であるCroタンパク質を特異的に検出できることが確認された。(図2中の矢印のバンド)
図2中、「E」は実施例を示し、「CE」は比較例を示す。図3、4において以下同じ。
〔実施例3〜7〕
実施例1と同様にして、DNA結合タンパク質の結合、DNAの消化、伸長反応を行った。L-Cro20 pmolに対しCroタンパク質の量を2.5〜40 pmolに変化させ、DNA結合タンパク質の検出限界の検討を行った。実験条件を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例1において、Croタンパク質を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件下に、反応を行った。反応条件を表2に示す。
〔比較例5〕
実施例1において、L−Cro(20 pmol)を用いる代わりに、調製例1で調製したL−Control(20 pmol)を用いた以外は、実施例1と同様の条件下に、DNA結合タンパク質の結合、DNAの消化、および伸長反応を行った。反応条件を表2に示す。
以上の結果を図3に示す。図3の左半分の写真は蛍光解析の結果であり、図3の右半分の写真はSYBR Green IIにより染色し、フルオロイメージャーで解析した結果である。
その結果、2.5〜40 pmolの範囲にわたって、DNA結合タンパク質を検出することができた(図3中の矢印のバンド)。また、実施例3、4、5について、SYBR Green IIによる染色したものは、蛍光標識されたDNAが検出された位置に対応する位置にのみ観測された。
〔実施例8〜10〕
DNAの消化、伸長時間を変え、反応時間の検討を行った。Croタンパク質と各L-Croの複合体を室温で15分間それぞれ形成させた後、Exonuclease III (12U) で37℃、10分、3分、5分間DNAの消化を行った後、Taq DNAポリメラーゼ (1U) による伸長反応を72℃で、それぞれ60分、3分、3分間行った。反応条件を表3に示す。他の反応条件は実施例1と同様である。
この結果、最速で消化3分間、伸長3分間でDNA結合タンパク質を検出することができた(図4上の矢印のバンド)。なお、図4の上半分の写真は蛍光解析の結果であり、図4の下半分の写真はSYBR Green IIにより染色し、フルオロイメージャーで解析した結果である。実施例8、9、10について、SYBR Green IIによる染色したものは、蛍光標識されたDNAが検出された位置に対応する位置にのみ観測された。
図4中、a〜cは下記の通りである。b、cは、aの比較対象として示した。
a:L-cro+Croタンパク質
b:L-croのみ(Croタンパク質を含まない)
c:L-control+Croタンパク質
本発明の核酸結合タンパク質の検出方法によれば、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質を検出することができる。また、本発明の核酸結合タンパク質の二本鎖核酸プローブへの結合を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法によれば、迅速かつ簡便に核酸結合タンパク質結合促進/阻害化合物をスクリーニングすることができる
図1は、DNA結合タンパク質の検出方法の原理を模式的に示した図である。 図2は、反応後のDNAをゲル電気泳動で解析した写真である。 図3は、反応後のDNAをゲル電気泳動で解析した写真である。 図4は、反応後のDNAをゲル電気泳動で解析した写真である。

Claims (17)

  1. 以下の工程を含む、核酸結合タンパク質の検出方法;
    (1) 核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブと標的試料とを接触させる工程、
    (2) 工程1の後、前記二本鎖核酸プローブを、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
    (3) 工程2の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
    (4) 工程3において、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたときに、核酸結合タンパク質の存在を検出する工程。
  2. 前記工程2において、前記二本鎖核酸プローブを、エキソヌクレアーゼで消化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記相補鎖合成用基質が、検出用に標識された基質を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 二本鎖核酸プローブを、予測される核酸結合タンパク質に対して過剰量用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 二本鎖核酸プローブの一方の3'末端が、ヌクレアーゼ耐性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記二本鎖核酸プローブが、ヘアピン−ループ構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列が、1〜30塩基からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記二本鎖核酸プローブが、二本鎖DNAプローブであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記二本鎖核酸プローブが、二本鎖RNAプローブであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 以下の工程を含む、核酸結合タンパク質の二本鎖核酸プローブへの結合を阻害または促進する化合物のスクリーニング方法;
    (1) 標的化合物と、核酸結合タンパク質または核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブとを接触させる工程、
    (2) 工程1の後、工程1で用いなかった前記二本鎖核酸プローブまたは前記核酸結合タンパク質を混合する工程、
    (3) 工程2の後、核酸を3'末端から分解するエキソヌクレアーゼ、または核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼで消化する工程、
    (4) 工程3の後、消化された二本鎖核酸プローブの3'末端から、相補鎖合成用基質により、相補的な塩基配列を含む核酸を合成する工程、
    (5) 工程4の後、相補的な塩基配列を含む核酸が合成されたか否かを確認する工程、
    (6) 工程5において、
    (a) 相補的な塩基配列を含む核酸が合成されなかったとき、または予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量が低下したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合阻害化合物である、
    (b) 相補的な塩基配列を含む核酸が予測される相補的な塩基配列を含む核酸の合成量より増加したときに、前記標的化合物が、核酸結合タンパク質結合促進化合物である、
    と判定する工程。
  11. 前記工程2において、前記二本鎖核酸プローブを、エキソヌクレアーゼで消化することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記相補鎖合成用基質が、検出用に標識された基質を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
  13. 標的化合物を、二本鎖核酸プローブに対して過剰量用いることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記二本鎖核酸プローブが、二本鎖DNAプローブであることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記二本鎖核酸プローブが、二本鎖RNAプローブであることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
  16. 核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼまたは核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする核酸結合タンパク質検出キット。
  17. 核酸結合タンパク質、核酸結合タンパク質が特異的に結合可能な認識配列を含む二本鎖核酸プローブ、二本鎖の核酸を認識して3'末端から分解するエキソヌクレアーゼまたは核酸を伸長できない塩基数まで消化しうるエンドヌクレアーゼ、および相補鎖合成用基質で構成されることを特徴とする二本鎖核酸結合阻害または促進化合物のスクリーニングキット。
JP2004086380A 2004-03-24 2004-03-24 核酸結合タンパク質の検出方法 Pending JP2005269957A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086380A JP2005269957A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 核酸結合タンパク質の検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004086380A JP2005269957A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 核酸結合タンパク質の検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005269957A true JP2005269957A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35170259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004086380A Pending JP2005269957A (ja) 2004-03-24 2004-03-24 核酸結合タンパク質の検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005269957A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007222160A (ja) * 2006-01-26 2007-09-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 生体由来試料中の蛋白質の解析方法
JP2009008608A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Sysmex Corp Dna結合タンパクの定量方法及び定量用キット
WO2009012356A2 (en) * 2007-07-17 2009-01-22 The General Hospital Corporation Imaging nucleic acid binding proteins
US10793917B2 (en) 2014-07-10 2020-10-06 Momentum Bioscience Limited Method and kit of detecting the absence of micro-organisms

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007222160A (ja) * 2006-01-26 2007-09-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 生体由来試料中の蛋白質の解析方法
JP2009008608A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Sysmex Corp Dna結合タンパクの定量方法及び定量用キット
WO2009012356A2 (en) * 2007-07-17 2009-01-22 The General Hospital Corporation Imaging nucleic acid binding proteins
WO2009012356A3 (en) * 2007-07-17 2009-03-05 Gen Hospital Corp Imaging nucleic acid binding proteins
US10793917B2 (en) 2014-07-10 2020-10-06 Momentum Bioscience Limited Method and kit of detecting the absence of micro-organisms
US11746389B2 (en) 2014-07-10 2023-09-05 Momentum Bioscience Limited Method and kit of detecting the absence of micro-organisms

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Thomson et al. A custom microarray platform for analysis of microRNA gene expression
US6090592A (en) Method for performing amplification of nucleic acid on supports
Li et al. Molecular beacons: an optimal multifunctional biological probe
CA2662837C (en) Methods and substances for isolation and detection of small polynucleotides
CA2556418C (en) Methods and materials using signaling probes
JP6265905B2 (ja) 普遍的リアルタイム多分析物検出用の二官能性オリゴヌクレオチドプローブ
US20170354967A1 (en) Lab-on-chip system for analyzing nucleic acid
KR20060052710A (ko) 기능성 dna 요소와 세포 단백질의 게놈 지도작성
CN103827317A (zh) 用于检测目标核酸的方法与组合物
CN107109473B (zh) 具有多dna间隔序列的序列转换和信号扩增dna及使用其的检测方法
US20140302486A1 (en) Systems and methods for detecting biomarkers of interest
JP2017136086A (ja) 標的核酸の検出方法及びキット
Hu et al. Cooperative toehold: a mechanism to activate DNA strand displacement and construct biosensors
Xu et al. Exponential rolling circle amplification and its sensing application for highly sensitive DNA detection of tumor suppressor gene
CN116829735A (zh) 检测靶核酸序列的方法
Stougaard et al. In situ detection of non-polyadenylated RNA molecules using Turtle Probes and target primed rolling circle PRINS
US20200048685A1 (en) Rna microarray for detecting interaction between protein and rna containing a higher-order structure
JP2005269957A (ja) 核酸結合タンパク質の検出方法
CA2900852A1 (en) Methods and materials using signaling probes
Ogata et al. l-DNA-tagged fluorescence in situ hybridization for highly sensitive imaging of RNAs in single cells
Einat Methodologies for high-throughput expression profiling of microRNAs
US20130323726A1 (en) Methods and materials using signaling probes
JP2005304489A (ja) 標的物質検出用プローブセット及び標的物質検出方法。
Mitra Polony sequencing: DNA sequencing technology and a computational analysis reveals chromosomal domains of gene expression
JP2023049233A (ja) 標的rna検出方法及びプローブキット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20051004

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081217

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090413