JP6265905B2 - 普遍的リアルタイム多分析物検出用の二官能性オリゴヌクレオチドプローブ - Google Patents

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Description

本発明は、プローブ領域とメディエーター領域とを含むメディエータープローブに関する。さらに、本発明はメディエータープローブと検出分子とを含む系、この系の使用、及び少なくとも1つの標的分子を検出する方法に関する。
サンプルの検出及び任意の分析を可能にする分子生物学の多数の研究方法が従来技術において記載されている。これらの方法の1つは、マイクロアレイを用いた少量の生体サンプル材料における検出及び数千回の個別検出の並行分析である。様々な形態のマイクロアレイが存在し、これらはコンピューターチップと同様、非常に小さな空間に大量の情報を含有し得るため、「ジーンチップ」又は「バイオチップ」と称される場合もある。
マイクロアレイは、典型的には平面の基板上での様々な分析物の高度並行検出を可能にする。マイクロアレイの固定化プローブ分子は、少量の液体の移動により格子(アレイ)上の規定の位置(スポット)において生産プロセスの過程で好適な基板上に固定化及び/又は合成される。この捕捉分子の2次元空間分解固体化は、核酸又はペプチド及び/又はタンパク質が検出され得るように設計することができる。原則として、in situリソグラフィー法では、短いオリゴヌクレオチド及び/又はアミノ酸鎖の合成しか可能でない。生産されるDNAマイクロアレイは好適な条件下で数ヶ月間保管することができるが、タンパク質アレイは短期間しか保管することができない。
マイクロアレイ分析については、分析対象のサンプルを好適なバッファーと混合し、典型的には相補配列セグメントとのハイブリダイゼーション事象が起こるように、状況に応じてマイクロアレイを用いてインキュベートする。マイクロアレイシステムの感度の低さに基づき、核酸を検出する場合にサンプルを先の反応工程において(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RT−PCR又は全ゲノム増幅(WGA)を用いて)増幅し、検出用の蛍光色素で標識するか、又は例えばマイクロアレイ上で付加的な検出プローブとインキュベートする。ペプチド及びタンパク質は酵素的に増幅することができず、分析対象のサンプルの精製によって濃縮される。一方、例えばローリングサークル増幅(RCA)を用いて、ハイブリダイゼーションが成功した後にシグナル増幅をマイクロアレイ上で行うアプローチが存在する。この手順は幾つかの時間のかかる工程を伴い、不正確さ及び汚染のリスクを増大させる。典型的な用途としては、発現分析及び病原体又は耐性マーカーの検出におけるマイクロアレイが挙げられる。様々な合成技法及び適用の概要が従来技術において当業者に利用可能である。
従来技術では、固定化した対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドに対する増幅DNAフラグメントのハイブリダイゼーションが記載されており、当業者に利用可能な常法の1つとみなされる。プライマー分子を様々な濃度で用いた先の増幅工程は、好ましくは生成されるマイクロアレイの捕捉分子と相互作用する一本鎖標識DNAをもたらす。媒体をマイクロアレイに移した後、検出をハイブリダイゼーションが成功した後に直接蛍光を用いて又はビオチン標識プライマーを使用して行うことができ、ハイブリダイゼーション工程に続いて、特に可溶性の基質を不溶性の反応生成物へと変換するストレプトアビジン修飾ホースラディッシュペルオキシダーゼを用いたインキュベーションを行う。発色沈殿物の検出によって、標的分子と捕捉分子との間の結合事象を検出することができる。固定化プライマーの伸長反応を、ビオチン標識ヌクレオチドを組み込む予備増幅した標的配列(複数の場合もあり)のハイブリダイゼーション後に任意に行ってもよい。ストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを用いたインキュベーション及び好適な基質の添加の後、発色反応生成物の形成によって標的配列の存在を検出することができる。
別の実施の形態(DNAアレイベースの多重定量PCR(multiplex quantitative DNA array-based PCR)、MQDA−PCR)では、初めに数回のPCRサイクルについて検出対象の核酸を二官能性プライマーと並行して増幅する。これにより、普遍的5’末端を有する増幅産物がもたらされ、普遍的プライマーを用いた競合的な準単一(quasi-monoplex)増幅が可能となる。次に、分離工程において、標的配列特異的なプローブを修飾ヌクレオチドの付加によって標識し、マイクロアレイにハイブリダイズさせる。二官能性プライマーを使用することによって、異なる配列により顕著に反応効率に影響を与えることなく、多重化度が増大した二段階PCR反応を行うことができる。複雑な手順プロトコルは、作業手順への組込みに悪影響を及ぼす。繰り返される試薬及び/又は反応生成物の添加及び除去、更にはマルチコンテナー(multicontainers)間の反応バッチの移動は多大な労力(「実践時間(hands-ontime)」)、長い待ち時間(「結果を得るまでの時間」)及び手順誤りのリスクを伴う。個々のPCR反応についてバッチを調製することに加えて、手順は例えば二官能性プライマーを消化し、プローブを標識し、マイクロアレイ上でインキュベートする複数のインキュベーション工程を含む。これにより、検出対象の標的配列とチップ表面に固定化した捕捉分子との間の直接的な相関が生じる。したがって、この方法は新たなマイクロアレイを作製することなく様々な標的配列に適合させることができない。これらの方法の別の欠点は、サンプル材料を増幅後に2つの反応容器間で移動させなければならないことであるが、これは手順誤り及び汚染を伴い得る。
汚染のリスクを最小限に抑える可能性の1つは、反応容器内で増幅及びハイブリダイゼーションを行うことである。2つの反応コンパートメントが空間的に分離していることにより、異なる反応を互いに時間的に隔てて1つの容器内で行うことができる。従来技術には、2つのコンパートメント及び1つのバッファーリザーバが反応容器に組み込まれている「管内マイクロアレイ」系が記載されている(非特許文献1)。容器を逆さにすることで液体を下部セクションから上部セクションへと移し、先の反応バッファーと混合することにより、反応容器を開ける必要はない。このため、反応媒体を容器間で移動させるか又は能動素子を用いて作業する必要なしに、増幅工程を後続のハイブリダイゼーションとともに行うことができる。固定化される捕捉分子は検出対象の標的配列によって決まるため、特異的なアレイレイアウトを用いて選択した配列のみを検出することができる。したがって、このようにして作製されたマイクロアレイは新たに選択された標的配列に適合させることができず、必要に応じて新たな作業手順で作製した後、系に組み込まなければならない。
加えて、従来技術では、反応バッチ中の特異的核酸の検出を固定化プローブの鎖伸長によって行うことができることが記載されている。そうすることで、標的配列をdUTPの存在下で増幅させた後、下流の工程でウラシル−N−グリコシラーゼを用いておよそ20塩基対〜50塩基対長のセグメントへと酵素的に断片化する。次に、バッチを5’末端に固定化された標的配列相補プローブからなるマイクロアレイ上でインキュベートする。ハイブリダイゼーションの後、典型的には標的分子の5’領域がプローブの3’領域と重複する二重鎖が形成される。非結合フラグメントを除去した後、アレイをとりわけポリメラーゼ及び標識ddNTPを含有する反応ミックスとともにインキュベートする。標識化(蛍光色素)は4つのヌクレオチドの各々で異なる。ddNTPの使用によって、他のヌクレオチドがddNTPに連結することができないため、相補標的配列の存在下で正確に1つのヌクレオチドの固相プローブへの特異的な付加が可能となる。このため、好適な検出方法によって、どのヌクレオチドがどのプローブセグメントに結合するかを決定することが可能となる。したがって、好適なプローブセグメントを使用した場合、この方法は標的配列の検出及びシークエンシングに好適である。特別な実施の形態では、該方法によって最大で640個の標的配列の高度多重化及び並行SNP検出が可能となる。増幅を行った後に反応バッチを移動させなければならない他の現行の技術水準の方法と同様、このバッチでも汚染及び手順誤りのリスクが存在する。固相オンチッププローブは、典型的には検出対象の完全な遺伝子座をカバーする必要があり、そのため各々の配列セグメントに複数のプローブが必要とされる。
特許文献1及び特許文献2はどちらも、所要のプライマー分子を固相に固定化するPCRベースの増幅方法を記載している。結果として、増幅核酸分子は同様に固相上のみに存在する。分析対象のサンプル中の標的配列の存在下で、核酸は「プライマー1」に結合することができ、酵素的に伸長させることができる。繰り返される変性工程において、核酸鋳型は新たに形成される核酸鎖から解離することにより、次のアニーリングサイクルに利用可能である。次のサイクルでは、このようにして形成された増幅産物が、伸長することができ、同様に固定化核酸鎖を形成する固定化された「プライマー2」にハイブリダイズすることができる。この手順で形成された核酸鎖は他のプライマー分子と相互作用することができ、核酸鋳型として働き得る。この核酸の検出方法は「ブリッジTM−PCR」として知られている。
様々なプライマー対を規定のアレイに固定化することで、これにより達成される多重化度のために複数の標的配列を並行して検出することができる。この方法の欠点の1つは、様々なプライマー分子が均一であり、プライマーの伸長によって形成された核酸鎖が次のサイクルに十分な数の付加的な相互作用パートナーを有するように、十分な密度でそれぞれのスポットに分散する必要があることである。このため、この固相PCRの反応効率はおよそ30%であり、線形相間増幅の量は表面増幅のおよそ10倍となる。これらの研究に、ヒドロゲルに固定化されたプライマー及び液相中の付加的なプライマーを使用することによって、Pemov et al.は同等の反応効率(≒34%)を達成した(非特許文献2)。5’固定化プライマーは2つの機能的セグメントからなり、各々が普遍的5’領域及び標的配列特異的な3’領域から構成される。反応溶液中に遊離して存在する普遍的プライマーは、固相プライマーの普遍的セグメントと同じ同一配列を有する。標的配列の修飾コピーは一連の相間増幅及び固相増幅で形成され、普遍的液相プライマーを用いた準単一PCRによって増幅することができる。この固相支持多重化方法は、修飾ヌクレオチドを組み込んだ後にPCR後工程(例えば、修飾された検出オリゴヌクレオチドを用いたインキュベーション、及び/又は洗浄工程及びインキュベーション工程)を行わなければならないという欠点を有する。
ネステッド固相PCRは、増幅工程中に固相に増幅産物を固定化する従来技術に記載されている別の方法である(ネステッドオンチップPCR(NOC PCR))。この方法では少なくとも3つの異なるプライマー分子を使用し、そのうちの2つが外部プライマー対(P1及びP2)を形成し、第3のプライマー分子(P3)はP1及びP2が隣接するセグメント内に結合し、P3が固相に固定化される。P1及びP2はP3と比較して過剰に存在する。この方法は液相/固相増幅系の組合せである。この方法の利点はネステッドPCRと同様、感度及び特異性の増大にある。好適な固体化方法及び基板の選択によって、複数の標的配列の高度に並行な検出を行うことができる。分析は配列特異的なプローブ又は標識ヌクレオチドによって行うことができ、後者の変形例を用いてリアルタイム検出が可能である。このアプローチの欠点の1つは、配列が標的分子と直接相関する標的配列特異的なP3プライマー分子の使用である。
核酸の特異的検出への固定化プライマー分子の使用は、PCRベースの方法単独に限定されない。病原体の等温検出がヘリカーゼ依存性増幅(HDA)を用いて120分以内に首尾よく行われたことが従来技術に記載されている。増幅産物を蛍光標識リバースプライマーで標識する。反応を行った後、チップを洗浄し、蛍光シグナルを分析する。特異的な高感度反応を行うためには、反応バッチを65℃まで加熱しなければならない。加えて、チップをポンプ素子と接続し、50μLという比較的大きなサンプル容量を適切に混合する必要がある。能動アクチュエータとバイオチップとの接続は概して欠点とみなされ、労力の増大を伴う。達成される感度は臨床診断目的には低すぎる。このため、例えば検出限界は5×10ゲノム当量の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び1.3×10ゲノム当量の淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と記載されている(非特許文献3)。この方法によって作製されるバイオチップは、分析物特異的なヌクレオチドが固定化形態で存在するため、規定の標的配列の検出のみに使用される。
加えて、リアルタイムでの標的配列の検出を記載し及び/又は付加的な処理工程を伴わない方法が従来技術に開示されている。これらの方法は増幅系及び検出系を組み合わせることによって実行される。例えば、ドナー血漿サンプル中の3つの異なるウイルスの並行検出及び定量化を行うことが可能であると述べられている。外部プライマー対及び内部プライマー対が必要とされ、外部プライマー対は逆転写に使用される。フォワードプライマーがヒドロゲルパッドに固定化され、リバースプライマーが液相中に遊離して存在する内部プライマー対は、オンチップPCRに使用される。好適な色素を使用することによって、スポット内の二本鎖増幅産物をマーキングし、アニーリング工程において検出する。この方法のダイナミックレンジは6log(10コピー〜10コピー)である。配列非特異的な色素の使用は任意の二本鎖増幅産物の普遍的検出を可能にする。しかしながら、欠点は特異性が保証されず、非特異的な増幅産物を区別することができないことである。
特許文献3は、熱的に調節することができる標的配列特異的なプライマー分子をフローセルに固定化する方法を記載している。また、フローセルは、全内部共鳴蛍光(TIRF)を用いて通常は平面の表面を通して励起光を導く特性を有する。標的配列及び典型的なPCR試薬、並びに蛍光標識ヌクレオチド(例えばCy5−dUTP)を添加した後、DNA依存性固相プライマー伸長を好適な方法によって検出することができる。
Liu et al.は、PCRによる増幅とマイクロアレイ分析による検出とを1つの反応に組み合わせた核酸の多重分析を開発している(非特許文献4)。これは、液相中のプライマー分子及び標的配列特異的な3’固定化TaqManプローブのアレイを用いて行われる。相補標的配列の存在下で、TaqManプローブはポリメラーゼによって切断され、それにより抑制された蛍光シグナルが回復する。光学デバイスを用いて局所的に分解されたシグナルを検出することができる。このプラットホームを使用して、1つのサンプル中に5つの異なる標的配列が検出された。このバッチは潜在的にリアルタイム分析にも好適である。プライマーは反応溶液中に遊離して存在するため、標的配列の酵素増幅は液相のみで行うことができる。プローブは必須の相互作用パートナーではなく、したがって任意に増幅反応は蛍光シグナルによって固相上に表されない。付加的なフルオロフォア標識オリゴヌクレオチドプローブが標的配列の特異的検出に使用される。高感度かつ特異的な核酸検出のバイオセンサーとしての分子指標の使用が従来技術に記載されている。マイクロアレイ分析への分子指標又はTaqManプローブの使用は、ハイブリダイゼーション事象の前後に行われる別個の反応工程におけるオリゴヌクレオチドマイクロアレイと同様に、標的配列を蛍光色素で標識する必要がないという利点を有する。しかしながら、マイクロアレイの外側での予備増幅工程が必要とされる場合、労力及び汚染リスクの増大がもたらされる。固定化された分子指標又はTaqManプローブは、典型的には少なくとも3つの修飾(固体化、蛍光ドナー及び蛍光アクセプタのための基)を有し、標的配列又はアレイレイアウトの任意の変化がある場合に、その後の新たなプローブの作製及び固体化の高いコストが生じる。
加えて、Hologic社(旧Third Wave Technology)によって開発されたいわゆる「Invaderアッセイ」が従来技術において記載されている。このアッセイでは等温条件下での標的配列の存在を検出することができる。最も簡単な場合では、この方法には構造特異的ヌクレアーゼ、2つの標的配列特異的オリゴヌクレオチド(インベーダーオリゴヌクレオチド、並びに蛍光ドナー及び蛍光アクセプタを有するプローブ)が必要とされる。検出反応において、2つのオリゴヌクレオチドが標的配列の鎖とハイブリダイズし、インベーダーオリゴヌクレオチドの3’末端及びプローブの5’末端が重複し、三重鎖構造(三重複合体)が形成される。これにより形成された三重鎖構造は、プローブを切断し(一次反応)、それによりそれまで抑制されていた蛍光シグナルを回復する構造特異的ヌクレアーゼの基質となる。Invaderアッセイの別の実施の形態では、プローブは任意の蛍光修飾を有しないが、放出されるプローブの5’領域はFRET検出分子と相互作用することによって後続の検出反応(二次反応)を活性化し、局所三重鎖構造を形成することができる。この複合体の切断後に蛍光シグナルが得られる。記載の反応において、シグナル増幅が起こるが、標的配列の増幅は起こらない。この「Invaderアッセイ」は単一ヌクレオチド多型(SNP)の検出にも用いることができる。
「Invaderアッセイ」に由来するInPlex(商標)系は、標的配列の予備増幅とInvader(商標)アッセイとを組み合わせたものであり、標的配列を初めにPCRによって増幅し、次いで反応カートリッジへと移し、数時間インキュベートする(検出反応)。InvaderPlus(商標)反応は、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)に由来するポリメラーゼ及び酵素Cleavase(商標)を用いて、PCRとインベーダー反応とを1つの反応容器で組み合わせたものである。初めに、標的配列をPCRによって増幅し、次いでポリメラーゼを99℃で不活性化する。次の工程において、反応ミックスを、インベーダーオリゴヌクレオチド及びプローブが標的配列に付加する温度まで冷却する。この構造はCleavase(商標)によって認識され、その際、切断反応がシグナル生成とともに起こり得る。このエンドポイント反応は典型的には2時間持続する。欠点の1つは、このために検出可能な多数の標的分子が存在しなければならないことである。検出方法及び増幅を並行して行うことは不可能である。したがって、これらのアッセイの感度は多くの疑問の調査には不適切である。
標的配列特異的プローブを局所分解により好適な表面に固定化し、ゲノムDNAにおけるSNPの検出に使用することができる、幾つかの固相ベースのアプローチが従来技術で既知である。検出は蛍光の変化によって直接的に、及び/又は切断生成物とプライマーとのライゲーション、及び普遍的ローリングサークル増幅、及び配列非特異的な蛍光色素及び/又はビオチン標識オリゴヌクレオチドによる標識化、続くストレプトアビジンコーティング金粒子とのインキュベーションの成功後に間接的に行われる。この等温プロセスでは標的配列の増幅が起こらないため、1回の分析に対する典型的なインキュベーション時間は最大24時間であり、その後に蛍光測定を行う。
マイクロアレイ分析は複数の工程、典型的には固定化捕捉分子の配列の選択、サンプルの調製及び増幅、ハイブリダイゼーション及び/又はインキュベーション、後続の洗浄工程、並びにシグナル測定及びデータ処理を含む。これまで従来技術に記載されているマイクロアレイは、標的分子と固定化捕捉分子との間の直接的相互作用の原理に基づくため、異なる標的分子が検出され次第、修飾された捕捉分子を使用しなければならない。原則として、これには修飾されたアレイの合成が必要とされ、多大な時間及びコストが問題となる。複雑な還元プロセスのために、経済的理由から大量の配列レイアウトが作製される。したがって、修飾された配列レイアウトはその後の多大なコスト及び処理労力を伴うため、マイクロアレイを用いた作業がもたらす検出対象の標的分子に関する柔軟性は低い。さらに、普遍的マイクロアレイが従来技術に開示されている。固定化捕捉分子の配列が標的配列とは独立している普遍的核酸マイクロアレイは、例えばアフィメトリクス「GeneChip Universal Tagアレイ」として市販されている。これらの方法は普遍的マイクロアレイ配列レイアウトに基づき、固定化オリゴヌクレオチド(ZIPコード及び/又はUniversal Tag)は検出対象の配列とは独立し、それを妨げない。典型的な検出反応では、標的配列を通常は別個の反応容器で増幅し、任意に精製する。次いで、標的配列の存在下で、特異的な検出プローブ及び蛍光プローブを並べて標的配列の塩基配列に直接ハイブリダイズさせるライゲーション工程を行う。検出プローブは、アドレス指定配列として働き、マイクロアレイのZIPコードプローブに相補的な標的配列非特異的オーバーハング(相補ZIPコード、cZIPコード)を有する。ライゲーションは、ZIPコードマイクロアレイへのハイブリダイゼーションに使用される検出プローブ及び蛍光プローブの生成物をもたらす。或る特定の特異的ZIPコードスポットでの蛍光シグナルは、反応ミックス中の標的配列の存在の間接的指標である。コード化されたマイクロビーズ(ビーズ)を固相として使用してもよい。次いで、明確に識別可能なビーズを各々の捕捉分子に割り当てるが、これは規定のヌクレオチド配列又は染色及び/又は強度によって達成される。この配分のために、後続の工程においてビーズの自動化検出及び並行分析を行うことができる。この方法は、ビーズが液相中に均質化形態で存在し、得られる反応動態が同等な液相/固相相互作用よりも高いという利点を有する。
普遍的マイクロアレイを用いた発現分析のための「cDNA媒介アニーリング、選択、伸長及びライゲーション」(DASL;cDNA-Mediated Annealing, Selection, Extension andLigation)と称される方法も従来技術に記載されている。初めに、ビオチン標識オリゴ−d(T)18を用いてRNAを書き換え、ランダム配列を有するプライマー分子をcDNAへと転写する。次に、2つの遺伝子座特異的なオリゴヌクレオチド間でハイブリダイゼーション工程を行うが、どちらのオリゴヌクレオチドも普遍的遺伝子座非特異的配列オーバーハングを有する。3’末端オリゴヌクレオチドは、配列特異的領域と非特異的配列オーバーハングとの間に組み入れられるアドレス指定配列を有する。アドレス指定配列は、普遍的マイクロアレイ上の規定の配列と相補的である。伸長反応においては、オリゴヌクレオチド間の領域を相補的に追加し、次の工程においてライゲートする。特別なオリゴヌクレオチドを使用することで、増幅ライゲーション生成物を蛍光標識プライマーによって標識して、ライゲーション生成物をPCRによって複製することができる。次の工程では、ハイブリダイゼーションを普遍的アレイ及び/又はビーズ上で行う。DASLプロセスは上記の普遍的マイクロアレイと比較して、伸長反応によって欠損ヌクレオチドが補完されるため、ライゲートされるオリゴヌクレオチドの配列選択の可能性がより高いという利点をもたらす。しかしながら、この反応のために、誤差の影響を受けやすい別の工程がプロセスに組み入れられる。多数の処理工程及び分析工程のために、これらは非常に時間集約的な方法であり、増幅核酸フラグメントを反応容器間で移動させる必要があることから汚染リスクも存在する。さらに、この方法はエンドポイント測定に対してしか設計されない。
特許文献4及び特許文献5は、電場の局所操作によるマイクロ電子チップ上の規定の微小位置(スポット)への電気泳動による荷電(生体)分子の輸送を可能にする方法を記載している。商品名NanoChip(商標)で商品化されたこの「能動マイクロ電子アレイ」は、個別にアドレス指定可能な電極の秩序構造からなる。1つ又は複数の電極に電圧を印加することによって、荷電分析物を半導体チップ上の規定のスポットへと特異的に移動させ、そこで濃縮することができる。スポットが相補捕捉分子又は親和性を有する分子を備える場合、ハイブリダイゼーション又は親和性事象を電気泳動輸送によって短時間で行うことができる。電極の極性及び印加電圧は随意に変更することができ、この方法によって正味の負電荷を有する粒子(例えば核酸、一部のタンパク質)及び正味の正電荷を有する粒子(例えば一部のタンパク質)の操作が可能となる。様々な捕捉分子による複数のスポットの占有によって適用サンプルを用いた多重分析を行うことができる。次いで、電極の極性を反転することによって、捕捉分子からの標的分子の反発力を誘導し、相互作用の強度(選択性)を決定し、非特異的結合を最小限に抑える(電気的厳密性(electric stringence))。捕捉分子は、典型的にはチップ表面のストレプトアビジン修飾ポリマーゲルに選択的に結合するビオチン修飾を用いて固定化される。ナノチップデバイスプラットホームは原則としてDNAハイブリダイゼーション、SNP分析又はSTR分析、並びに細胞型決定及びオンチップSDA反応に好適である。検出は、標識プローブの受動的ハイブリダイゼーション又は従来の抗体技法によって行うことができる。印加電圧のために、標的分子を損傷し得る電気分解生成物(H、OH、H、O及びフリーラジカル)が電極領域で形成される。この影響を最小限に抑えるには、ポリマーゲルの形態の別個の中間層を適用する必要がある。このプラットホームでは分子間相互作用の検出しか可能でないため、サンプル材料を通常は上流の工程で濃縮しなければならない。これは特に、典型的には非対称PCRを用いて増幅する核酸について必要である。デバイスプラットホームは、例えば印加電圧及び流体の制御を調節する系及びマイクロチップ制御装置からなる。
標的分子を検出する別の普遍的アプローチは、High-Throughput Genomics(HTG)によって販売されている(例えば特許文献6又は特許文献7)。このアプローチの基礎は、固相(マイクロタイタープレート)の3’末端に固定化される様々なアンカーオリゴヌクレオチドの普遍的アレイである。上記のアンカーオリゴヌクレオチドに相補的な5’セグメントを有し、更には標的分子特異的3’セグメントを有するリンカー分子は、このアレイ位置でのハイブリダイゼーション後に結合特異性を変化させる。新たに構成したアレイを用いて核酸を検出する場合、リンカー分子はオリゴヌクレオチドからなり、タンパク質の検出については、分子は典型的にはオリゴヌクレオチド−抗体複合体からなる。発現分析のためのmRNAの検出に対してHTGによって提案される一実施の形態は、市販のマイクロタイタープレート上の1つの空洞当たり16個の異なる遺伝子座の並行検出を可能にする。そのようにして、例えば細胞を溶解させ、mRNA相補DNAプローブの存在下で別個の容器において変性させる。ハイブリダイゼーションが成功した後、S1ヌクレアーゼを添加することによって一本鎖核酸(mRNA及び過剰のDNAプローブ)を消化させる。二重鎖のRNA部分をアルカリ加水分解によって分解すると、中和後のバッチ中に化学量論量のDNAプローブが存在する。次いで、バッチをアレイに移し、DNAプローブに一部相補的な検出プローブ及びペルオキシダーゼ修飾を有する相補検出複合体を用いて逐次的ハイブリダイゼーションを行う。好適な基質を添加した後、上記のハイブリダイゼーション複合体が首尾よく形成されたアレイの位置で局所化学発光シグナルが生じる。この方法は多数の処理工程のために労働集約的である。別の欠点は、増幅反応がアッセイプロトコルに組み入れられないことによるアッセイ感度の低さである。このため、例えば非常に低い核酸濃度でしか十分な感度で検出することができない。さらに、付加的なハイブリダイゼーション工程は干渉、ひいては不要な非特異的反応又は偽陽性シグナルをもたらす可能性がある。
核酸ベースの方法を用いてタンパク質を検出する方法が従来技術に開示されている。これらの方法では、分析物は固定化タンパク質(例えば抗体)と相互作用し、これを続いてタンパク質核酸複合体とともにインキュベートする。後続の洗浄工程では、非結合分子を除去する。複合体は、続いて添加される環状DNA分子に相補的なヌクレオチド配列を含有する。好適なポリメラーゼで処理することにより、DNA分子のRCAコンカテマーによってプライマーが伸長し、生成する。金修飾プローブ又は配列非特異的な蛍光色素とのインキュベーション後に、分析物に結合した捕捉分子及び検出複合体を有するマイクロアレイの領域を特異的に標識する。このため、好適な検出方法を用いて、分析物の結合結果を局所分解により検出することができる。ここでの欠点の1つは、これらの方法がそれぞれの分析物と直接相関する2つの異なるタンパク質及び/又はタンパク質−核酸複合体を使用することである。タンパク質及びそれに由来する方法の使用は、合成のために主要なコスト要因である。Chimera Biotec社は、抗体−DNAキメラ、すなわち抗体が結合した合成DNAフラグメントを用いる、同社が開発したImperacer(商標)技術と同様の原理のアプローチを追求した。この抗体が適当な抗原に結合した場合、リアルタイムPCRを用いて結合DNAフラグメントを増幅し、後続の洗浄工程後に検出することができる。
中央研究所では、臨床化学、医学微生物学及び医学免疫生物学、並びに輸血医学の分野を含む医療診断試験が自動分析装置を用いて行われる。これらのハイスループット系に加えて、例えば重要な血液値又はマーカータンパク質のポイントオブケア多分析物分析を可能にする明らかに小さな系が存在する。これらは、反応カートリッジ内に既に存在する試薬によるサンプルの発色反応の吸収測定(例えば、AbaxisのPiccolo(商標) Xpress)、抗体標識膜を用いたフロースルーイムノアッセイ、及びその後の金修飾検出抗体による分析物の標識化(例えばAxis ShieldのAfinion)又は線形試験ストリップ(例えばAbbottPoint-of-Careのi−STAT(商標)、RocheのCobas h232、BioSite(商標)のTriage(商標)系)等の様々な検出原理を利用する。これらの方法では、試験液を毛細管力によって吸収剤材料にサンプルを吸収させ、輸送し、任意に分離する特別な反応カートリッジに適用する。市販の試験キットは、典型的には免疫蛍光技術に基づく。規定の区域で、試薬を事前に材料に適用し(検出抗体)、及び/又はそこに固定化する(捕捉抗体)。この手順は典型的には任意のサンプル調製を必要とせず、全血、血漿又は尿について(任意に血液細胞及び粒子用の内部フィルターを用いて)試験を行うことができ、大抵の場合幾つかの分析物を1つの反応で検出する。結果は約15分で取得可能である。現在市販されている試験キットは、心臓病、病原体及び様々な医薬の代謝産物に対するマーカーを含む。ここに記載の実施の形態の利点は、高い利便性(単純な手順プロトコル、サンプル調製なし)及び短い処理時間からなる。欠点は、主に臨床診断試験に使用されるこれらのデバイスが専用の消耗材料としか適合せず、それらの使用が臨床的に関連するマーカー及びパラメーター(例えば心血管疾患)に限定されていることである。さらに、製造業者が試験キットを発売している或る特定の標的分子についてしか検出反応を行うことができないため、それらの使用は製造業者によって大幅に制限される。
上記の試験ストリップ原理は、検出対象の核酸を増幅し、標的配列特異的な捕捉分子及び検出分子を有する試験ストリップに適用する核酸分析にも用いられている。毛細管力によって、標的配列は試験ストリップの様々な区域を通過し、様々な相補分子又はアフィン(affine)分子と相互作用する。(例えば金標識検出分子を用いて)試験ストリップの規定の位置での検出バンドを決定することによって、分析対象のサンプル溶液における標的配列の存在を決定することができる。任意の核酸配列を検出する普遍的アプローチが従来技術に記載されている(例えば非特許文献5)。ここでサンプル溶液を増幅し、二官能性レポータープローブとともにインキュベートする。プローブの一部分が標的配列にハイブリダイズし、プローブの別の部分が小胞上で相補配列の固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。増幅された標的配列の別の部分がビオチン修飾オリゴヌクレオチドに結合する。試験ストリップを溶液に適用した後、ハイブリダイゼーション複合体の指向性輸送が起こり、それがストレプトアビジン修飾区域に蓄積し、検出され得る。試験ストリップに基づく核酸分析は、上流の増幅工程及び関連のPCR後生成物の操作を必要とする。加えて、この系は低い多重パラメーターレベル、低い感度及び制限的な定量化によって限定される。
臨床分析及びin vitro診断試験の様々な分野において、多分析物検出方法は極めて重要であるため、幾つかの例を下記に挙げる(ただし、これらの例に限定されない)。例えば、血液型の決定については、関連するAB0遺伝子型決定だけでなく、輸血及び組織移植のために決定する必要があるヒト好中球抗原(HNA)プロファイルの作成も重要である。HIV変異体及びB型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルスの血液ドナーサンプルの並行試験は、イムノアッセイ又は核酸ベースの技法を用いて日常的に行われる。病原体の特異的検出は、短い分析時間の後にそれによる診断を可能にする幾つかのゲノム遺伝子座の決定を必要とする。
様々なマーカー遺伝子及び制御遺伝子の活性の決定は発現プロファイルの作成を可能にする。これは、例えば細胞分裂及び分化に影響を与え、したがってがんと密接に関連するがん遺伝子の同定、又は患者の遺伝子型に応じた或る特定の薬物の有効性の予測(オーダーメイド医療)に使用することができる。頻繁に出現する遺伝性疾患は、分子生物学的(出生前)診断試験によって検出することができる。これらとしては、とりわけ嚢胞性線維症(cystic fibrosis (mucoviscidosis))、フェニルケトン尿症(代謝異常)及びサラセミア(赤血球の分解)が挙げられる。加えて、プロカルシトニン又はサイトカイン等の炎症マーカーの結合検出は感染の重症度を推測することを可能にする。
多数の診断問題から、複数の標的分子、遺伝子座又は他のマーカー、並びに内部対照及び/又は参照の分析が必要とされ、1回の分析につき単一のパラメーターの決定しか可能にしない方法は通常はあまり意義がない。複数のパラメーターの検出について様々な個別分析を並行して行う場合、これは一方で非経済的である。サンプル溶液を、異なる標的分子が検出される幾つかの均一な反応バッチに分割しなければならない。ここでの欠点の1つは、サンプル溶液の「n」個のアリコートへの分割のために、個々の反応における物質の量が1/nに低減し、それにより検出反応の感度が低減することである。
別の欠点は、多くの検出方法の低い感度から、分析物に応じた先の濃縮工程及び/又は増幅工程なしに低い核酸濃度又はタンパク質濃度でのサンプルの分析が不可能であることである。低濃度核酸のマイクロアレイベースの並行分析では、一方で予備増幅を付加的な工程とするが、これは物質の初期量及び反応効率に応じて均一な増幅を行うことができず、定量的な結果が限られた範囲内でしか可能でないという問題を伴う。別の欠点は、付加的な工程と関連するだけでなく、汚染のリスクを伴うことから、増幅産物を異なる反応容器及びデバイス間で移動させる必要性である。
マイクロアレイ分析は、典型的には平面基板上の局所分解による固定化捕捉分子(結合パートナー又はプローブ)と、液相中に自由に拡散して存在する標的分子との直接的相互作用に基づく。この方法の欠点の1つは、標的分子と捕捉分子との相互作用を検出するための標的分子の上流の増幅及び/又は濃縮、標識化、並びに幾つかのハイブリダイゼーション工程及び洗浄工程という幾つかの工程を含むことである。加えて、ここで記載の捕捉分子と標的分子との間の直接的な依存関係による別の問題は、新たな実験問題が生じる場合、例えば異なる遺伝子型のウイルスを検出すべき場合に別のプローブの固体化が必要となることである。
別の欠点は、複雑な生産プロセス及び高いセットアップ費(アレイの構成、処理要素の精製)のために、大量生産の場合にしか配列レイアウトの作成が経済的でないことである(スケール効果)。この限られた柔軟性により、高度に並行な自動化可能な処理の利点が低減する。プローブが検出対象の標的分子とは独立した普遍的核酸マイクロアレイによる検出によって、この欠点を克服することができるが、これらの方法に伴う労力は高く、成功していない。ここに記載の普遍的マイクロアレイの技術的な欠点に加えて、核酸及びタンパク質等の様々な物質群の複合多重分析を可能にする生化学的な系はこれまで従来技術では知られておらず、異なるタイプの検出に様々な方法又は装置の部材を使用しなければならない。
特許文献8は、固相ヘアピンオリゴヌクレオチドの使用に関する。標的配列に相補的な部分の切離しをもたらす酵素反応は、ヘアピンオリゴヌクレオチド上での標的配列のハイブリダイゼーション反応によって促される。したがって、標識をヘアピンオリゴヌクレオチドに結合することができる。欠点の1つは、標的配列を固相ヘアピンオリゴヌクレオチドに拡散させなければならないことである。ここでの拡散速度は標的配列のサイズのために低い。
米国特許第5,641,658号 米国特許第6,300,070号 独国特許出願公開第10316159号 米国特許第5,653,939号 米国特許第6,099,803号 米国特許出願公開第2001/0034025号 米国特許第6,238,869号 米国特許出願公開第20020110826号
Liu, Q. et al., 2007, Microarray-in-a-tube fordetection of multiple viruses, Clin. Chem., 53, 188-194 Pemov, A. et al., 2005, DNA analysis with multiplexmicroarray-enhanced PCR. Nucleic Acids Res., 33, e11 Andresen, D., von Nickisch Rosenegk, M. and Bier, F.F., 2009, Helicase-dependent on-chip amplification and its use in multiplexpathogen detection, Clin. Chim. Acta, 403, 244-248 Liu, H. P. et al., 2006, TaqMan probe array forquantitative detection of DNA targets, Nucleic Acids Research, 34 Baeumner, A. J. et al., 2004, A universal nucleic acidsequence biosensor with nanomolar detection limits, Anal. Chem., 76, 888-894
このため、本発明の目的は、生体分子の検出を可能にし、普遍的に使用することができ、従来技術の欠点又は短所を有しない系、手段又は方法を提供することであった。
この目的は独立請求項によって達成される。有利な実施の形態は従属請求項から導かれる。
第1の実施の形態において、本発明は、プローブ領域とメディエーター領域とを含む少なくとも1つの標的分子の検出用のメディエータープローブであって、該メディエータープローブがオリゴヌクレオチドであり、上記プローブ領域が3’末端にあり、上記メディエーター領域が該オリゴヌクレオチドの5’末端にあることを特徴とし、上記領域間に化学的、生物学的及び/又は物理的な切断スポットが存在し、上記プローブ領域が鋳型分子に対して親和性を有し、上記メディエーター領域が検出分子に対して更なる親和性を有し、該メディエータープローブが上記鋳型分子の増幅プロセス中に上記切断部位で切断され、切断された該メディエーター領域と上記検出分子との相互作用が検出可能なシグナルを誘発する、メディエータープローブに関する。
メディエータープローブを、従来技術において開示されているプローブ又は系の欠点又は短所なしに、標的分子及び/又は検出分子の検出に利用可能とすることができることは実に驚くべきことであった。放出されたメディエーター領域の存在が検出反応を誘発することが特に有利である。標的分子の存在と検出反応との関連はメディエーター領域及び/又はメディエータープローブの特性のみに依存し、任意の標的分子と任意の検出反応及び/又は検出分子との間の自由な結合が可能になる。
このため、メディエータープローブは特に、標的分子及び/又は鋳型分子及び/又は検出分子と相互作用し得る少なくとも2つの機能的領域を有する分子の特徴を示す。メディエータープローブは有利には、任意に補助分子との相互作用を伴って標的分子の存在下で検出反応を誘発する。
プローブ領域は鋳型分子及び/又は標的分子の一部と相補的であるのが好ましい。メディエータープローブのプローブ領域が鋳型分子に結合して増幅される。結合は、鋳型分子に対する親和性を有することから、メディエータープローブのプローブ領域のみと起こる。メディエーター領域は鋳型分子に対していかなる親和性も有さず、相補配列セグメントも有しない。したがって、メディエータープローブのこの部分は鋳型分子に結合せず、フラップ構造が形成される。増幅反応において、メディエータープローブが切断部位で切断され、メディエーター領域が放出される。メディエーター領域は遊離する。メディエーター領域は検出分子の一部に相補的な領域を有するのが好ましい。メディエーター領域は検出分子に結合し、検出可能なシグナルが誘発される。鋳型分子の存在に関する推論を検出可能なシグナルから得ることができる。鋳型分子自体が検出対象の標的分子であっても、又はそれと関連していてもよく、標的分子の存在に関する情報が鋳型分子によって生成され得る。
メディエータープローブが切り離されることにより、検出分子を除いて相互作用パートナーを有しないメディエーター分子が放出される。このため、従来の核酸ベースのアプローチと比較すると、非対称PCR又はLATE PCRの場合と同様に、プライマー関係の付加的な最適化により検出対象の鎖の再アニーリングを防ぐ必要はない。これにより費やされる労力が大幅に低減する。典型的には20ヌクレオチド〜25ヌクレオチドというその長さのために、メディエーター分子は、例えば増幅機構によって生成する核酸フラグメント及びハイブリダイゼーション反応について生成する核酸フラグメントよりも高い拡散定数を有する。
本発明の意味において、「検出分子」という用語又は検出分子は、特にメディエーター領域が直接的又は間接的に相互作用することができ、処理によって任意に検出反応(例えば蛍光シグナルの変化)を誘発することができる分子の特徴を示す。
「増幅」という用語は特に核酸分子の複製を表す。
補助分子は特に、標的分子及び/又は鋳型分子の存在下でメディエータープローブの状態の変化に寄与する分子を指す。1つ又は複数の物質群に由来する様々な補助分子、例えば酵素(ポリメラーゼ)、核酸(オリゴヌクレオチド)を使用することができる。プローブ領域が標的分子又は鋳型分子に結合し、補助分子によって酵素的に伸長するのが好ましい。
メディエータープローブが1個〜70個、好ましくは15個〜60個、とりわけ好ましくは35個〜45個のヌクレオチドを有するのが好ましい。とりわけ好ましい結果は、メディエーター領域が切断後のサイズの小ささのために検出分子へと高い拡散速度で拡散し得ることから、これらのサイズで達成される。したがって、本発明は、標的自体が検出分子に到達しなければならない従来技術による実施の形態と比較して有利である。
メディエータープローブが、いかなる技術的に複雑な修飾もなしに安価に合成することができるオリゴヌクレオチド、例えば蛍光ドナー及び/又はアクセプタからなることも特に有利である。
標的分子及び/又は鋳型分子がDNA、RNA、タンパク質、アプタマー及び/又はそれらの組合せを含む群から選択される生体分子であるのが好ましい。分子の一部のみ、例えば認識配列又はエピトープが検出対象であり、本発明の意味において標的分子であることが好ましい場合もある。標的分子(複数の場合もあり)はサンプル溶液であるのが好ましい。標的分子の組合せが本発明の意味において混合物と称される場合もある。驚くべきことに、異なる物質群の分子(例えばタンパク質及びDNA、又はDNA及びRNA)を個別に又はバッチ中で並行して検出することができ、普遍的に使用可能な作用物質を利用可能である。
本発明の意味において、アプタマーは特に、その構造的特性のために他の物質群の分子(例えばタンパク質)と相互作用及び/又は結合することができるオリゴヌクレオチドを表す。アプタマーは他の分子、例えばタンパク質に対してより大きな結合親和性を有する一本鎖核酸であるのが好ましい。好ましいアプタマーは、互いに相互作用することができる(本発明の意味において閉じた形態と称される)末端領域である「領域i」及び「領域ii」を付加的に有する。標的分子に対して親和性を有する「領域iii」、並びにプライマー分子及びメディエータープローブに対する結合配列である「領域iv」という2つの領域が、これとは区別される。領域iiiが標的分子と相互作用及び/又は結合する場合に、領域ivはプライマー及びメディエータープローブの結合のみを可能にする。
標的分子が同時に鋳型分子でもあるのが好ましい。この実施の形態は、例えば標的分子がDNA配列である場合に使用される。この場合、付加的な鋳型分子は増幅反応に必要とされず、標的分子自体が増幅される。
標的分子自体を増幅することができない場合、鋳型分子を増幅反応に使用することが有利であり、この場合、増幅反応は、標的分子を検出することができるように、標的分子の存在に関する推論を可能にするものでなくてはならない。これは本発明による様々な方法で達成することができる。このため、鋳型分子が標的分子の存在のみに起因して形成されるか、又は鋳型分子が標的分子と相互作用することにより構造の変化を受けることが好ましい場合もある。
例えば、標的分子がタンパク質であり、それぞれの鋳型分子がアプタマーであるのが好ましい。アプタマーはプローブ領域に対する結合部位を有する。ここで、アプタマーがタンパク質に結合し、この結合の間にのみ結合部位にプローブ領域が接近可能であるのが好ましい。これにより、標的分子(タンパク質)の存在に関する任意の推論が得られずにアプタマー単独の存在が検出されることがなくなる。標的分子が存在する場合にのみ、アプタマーが標的分子に結合することができ、プローブ領域に対するその結合部位は、好ましくは二次構造の変化によって接近可能である。次いで、メディエータープローブのプローブ領域がアプタマーに結合し得る。アプタマーの増幅によって、メディエーター領域がプローブ領域から切り離され、それにより検出分子に結合し得る。このため、タンパク質をアプタマーの存在によって検出することができる。
検出対象の標的分子がRNA配列である場合、鋳型分子が好ましくは逆転写酵素によって生成する、対応するcDNAであるのが好ましい。このようにして発生するcDNAは続いて増幅の鋳型分子となる。逆転写については、5’配列オーバーハングを有する修飾プライマーを使用することが有利である場合もある。この実施の形態は、メディエータープローブがcDNAのみに結合し、RNAに対する鋳型の元のDNA遺伝子座には結合しないことが確実になるため、元のDNAも存在する場合に特に有利である。この実施の形態のために、遺伝子のDNA及びそれから転写されるRNA(プライマーオーバーハングを有するcDNAによる)を、続いて並行して検出することができることから、様々な遺伝子の遺伝子発現に関する結論付けを可能にする検出を行うことも可能となる。2つの異なるメディエータープローブがかかる方法に使用され、2つのプローブ領域の一方がプライマーオーバーハングの一部を含む領域に結合する。したがって、このプローブ領域はcDNAのみに結合することができ、元のDNAには結合しない。
アプタマーと関連の標的分子との複合体又は2つ以上の物質群、例えば核酸及びタンパク質の相互作用生成物を標的分子として使用してもよい。様々な標的分子を個別に又は1つの反応バッチ中で並行して検出することができる。メディエータープローブがオリゴヌクレオチド又は対応する誘導体からなり、標的分子が核酸、対応する誘導体、又はDNA、RNA、タンパク質、アプタマーを含む分子、及び/又はアプタマーと関連のDNA、RNA若しくはタンパク質との複合体であり、検出分子がオリゴヌクレオチド又はその誘導体であるのが好ましい。
別の好ましい実施の形態では、本発明は、プローブ領域及びメディエーター領域が機能的及び/又は空間的に、好ましくはヌクレオチドによって重複するメディエータープローブに関する。
メディエータープローブがプローブ領域及びメディエーター領域に加えて別の領域を含むのが好ましい。この領域は、メディエーター領域に相補的な又は親和性を有するロック領域であるのが好ましい。ロック領域は有利にはプローブ領域の3’末端に位置する。これにより、3つの領域が機能的かつ空間的に重複し得る。プローブ領域と鋳型分子との直接的又は間接的な相互作用によって、メディエーター領域及び/又はロック領域に変化が生じ、メディエーター領域とロック領域及び/又は完全なメディエータープローブとの間の親和性及び/又は相互作用が変化する。ロック領域を含むメディエーター領域は、このようにして付加的な保護が生じ、メディエーター領域が鋳型分子に結合又はアニーリングしなくなるため有利である。メディエーター領域及びロック領域が互いに親和性を有するか、又は互いに相補的であることから、メディエータープローブは鋳型分子及び/又は標的分子の非存在下でヘアピン構造を形成し得る。
メディエータープローブがその3’末端に保護化学基を有することも好ましい。この実施の形態は、非切断メディエータープローブの酵素的に触媒される配列伸長が起こらなくなることから有利である。保護化学基はリン酸基、ビオチン、反転(inverted)ヌクレオチド、標的配列に相補的でないヌクレオチドを含む群から選択され得る。当業者はオリゴヌクレオチド、特に3’末端の伸長を防ぐことができる他の保護化学基に精通している。
プローブ領域及びメディエーター領域は、互いに独立して自由に組み合わせることができるのが好ましい。このため、例えば検出分子を、適切なメディエーター領域と任意のプローブ領域とを連結し、それを合成することによって他の標的分子と相関させることもできる。これにより、特に本発明によるメディエータープローブの使用の高い柔軟性が達成される。
別の好ましい実施の形態では、本発明はメディエータープローブと検出分子とを含む系であって、上記検出分子がオリゴヌクレオチドであり、少なくとも、
a.蛍光アクセプタ若しくは蛍光ドナー、及び/又は固相に結合する化学基及び/又は保護化学基を有する上記検出分子の5’末端の第1の領域と、
b.上記メディエーター領域と相互作用する第2の領域と、
c.蛍光ドナー若しくは蛍光アクセプタ、及び/又は保護化学基を有する第3の領域と、
を有することを特徴とする、系に関する。
普遍的に使用することができ、特に微生物学的検出法における汚染事例の最小化に寄与し得る系を利用可能とすることができたことは全く驚くべきことであった。様々な分子を、生化学的反応を用いて、好ましくは普遍的検出チップ上で標準的検出分子を使用して検出することができる。これは、特に標的分子と検出分子との間の直接的な物理的相互作用が打ち消されることから可能となる。メディエータープローブは、標的分子と検出分子との間のメディエーター(情報担体)として機能する。メディエータープローブは(付加的な補助分子の存在下で)好ましくは標的分子又は鋳型分子との相互作用によって切断され、活性化メディエーター分子を放出し、検出反応が開始される。
本発明による系は、標的分子とは独立して設計される検出分子の設計を可能にする。このため、標準的な一連の検出分子を使用することによって、サンプル中の様々な標的分子を検出することが可能となり、メディエータープローブを適合し、好適な補助分子(例えばプライマー)又は鋳型分子(例えばアプタマー)を使用することによって、反応をそれぞれの標的分子に安価に適合させることができる。この有利な特性のために、典型的には従来技術において記載されている、標的分子と固定化された捕捉分子との間の直接相関の問題が解決される。
メディエーター領域は有利には切断後に反応溶液中に拡散して存在し、検出分子の領域2、メディエーターハイブリダイゼーション配列と相互作用することができる。検出分子は、好ましくは固相に結合し得るか、又は溶液中に遊離して存在し得る。
これらの検出分子はこれらの標的分子とは物理的に相互作用しない。標的分子と検出分子との間の結合は、対応するメディエータープローブによって間接的にのみ起こる。標的分子は、メディエータープローブを使用することによって任意の検出分子に自由に割り当てることができる。
検出分子を固相に固定化する場合、普遍的マイクロアレイ又は検出アレイを利用可能にすることができる。それにより作製される普遍的マイクロアレイは、規定の保管条件下で長期間保管することができ、これは特に従来技術のタンパク質アレイと比較して明確な利点である。したがって、計画的実験と独立した保管は重要でない。
このため、本発明は、標的分子に対して特異的な液相反応を迅速かつ安価に適合することができることから、標的分子とは独立し、様々な多分析物分析に使用することができる標準的マイクロアレイを初めて利用可能とするものである。
したがって、前処理工程及び/又は後処理工程のない反応カートリッジを用いた様々な実験を、標準的マイクロアレイを作製することによって行うことができ、これには経費削減の利点があり、カートリッジは大量に作製することができる(スケール効果)。このため、標準的反応カートリッジの1つのバッチで検出反応(例えば日常分析の領域内)を行うことが可能である。
マイクロアレイは、好ましくは好適な固相(典型的には平面)上の固定化した捕捉分子の局所的に分解された少なくとも1次元的な(one-dimensionally)アレイを指す。代替的な方法は、例えば異なる着色により明確な識別を可能にするビーズを用いた固相支持アプローチを可能にする。或る特定の捕捉分子を規定の種類のビーズに固定化することができる。
ビーズは、好ましくは特に直径5μm〜100μmのマイクロビーズを指す。これらは、修飾及び/又は官能基化された形態で表面上及び/又は内部に任意に存在し得る。ビーズの使用は、規定の反応容量で大きな表面積を利用可能にすることを可能にする。
好適な補助分子、例えば酵素、特にポリメラーゼによりメディエーター領域が伸長し、検出分子の領域1が連続的に分解される。検出分子は好ましくは5’末端及び関連の蛍光アクセプタQが切り離されることによって変化し、それまで抑制されていた蛍光ドナーFの蛍光シグナルが回復する。領域1と領域3との相互作用がこの末端が切り離されることによって抑制される場合、二次構造の構造が排除される。この場合、メディエーター分子は、検出分子の新たに形成される5’末端まで、或る特定の条件下で上記の補助分子によって相補的に伸長し得る。この伸長によって、伸長したメディエーター分子は、検出分子の領域1及び領域2に相補的な配列セグメントを有する。
本発明による系は、いかなる処理後の汚染のリスクもなく廃棄することができる閉じた反応容器内での様々な標的分子の検出を可能にする。このことは従来技術と比較して相当な利点となる。
さらに、上記検出分子が、
d.固相に結合する化学基及び/又は保護化学基を含む上記検出分子の3’末端の第4の領域、
を有することが有利である。
この変形例は、検出分子をこのようにして固定化することができ、例えばマイクロアレイを作製することができるため有利である。オリゴヌクレオチドの固定化に考え得る化学基を例として挙げる。化学基は使用される界面化学及び必要とされ得る任意の結合分子に応じて異なる:OH(ヒドロキシル)、NH(アミノ)、Ph(リン酸)、アクリダイト(acrydite)又はシラン。当業者は、オリゴヌクレオチドを表面上に固定化する方法に精通している。特に、5’末端の推定的固定化を可能にするには、検出分子は化学基及び/又は保護化学基を有する。
ヘアピン構造が検出分子の5’末端と内部配列セグメントとの相補ハイブリダイゼーションによって設計されるのが好ましく、検出分子の3’末端は不対配列セグメントを含む。メディエーター領域を不対3’配列セグメントの配列領域に付加した後、メディエーター領域をポリメラーゼによって伸長させるのが好ましく、検出分子のヘアピン構造の5’末端のヌクレオチドがポリメラーゼのヌクレアーゼ活性に基づいて除去される。この構造が形成された後、蛍光ドナーF及び蛍光アクセプタQは互いに相互作用し、Fの蛍光シグナルが抑制される(蛍光共鳴エネルギー移動、FRET)。
メディエータープローブ及び/又は検出分子は蛍光標識ヌクレオチドを有するのが好ましい。検出分子が5’末端上及び/又はヘアピン構造内に少なくとも1つの蛍光修飾を有するのが特に好ましい。検出分子は、蛍光共鳴エネルギー移動が可能な1つ又は複数の蛍光修飾を有し、切断後に互いに空間的に分離することができ、蛍光シグナルにおける変化の検出が可能となる。
配列特異的又は配列非特異的な蛍光プローブ及び/又は発色プローブ又は蛍光色素は、メディエータープローブ及び/又は検出分子の少なくとも1つの領域と有利に相互作用することができる。加えて、検出分子が5’末端領域及び/又はヘアピン構造内に少なくとも1つの蛍光修飾を有し、蛍光修飾が補助分子によるメディエーター領域との反応後に検出分子から切り離され、及び/又は検出分子のヘアピン構造の5’末端が除去され、検出分子上で蛍光シグナルの変化が検出されることが有利であり得る。
検出分子が二次構造の変化、蛍光、リン光、質量、吸収、光散乱、電気伝導性、酵素活性及び/又は親和性の変化を含むメディエーター領域との直接的又は間接的な相互作用の結果として変化するのが好ましい。
メディエーター領域と検出分子の第2の領域との直接的又は間接的な相互作用による検出分子の変化が存在し、この変化は好ましくは物理的又は化学的に測定することができる。
検出分子の第2の領域に結合したメディエーター領域が少なくとも1つの補助分子によって酵素的に伸長し、補助分子が好ましくは結合したメディエーター領域の3’末端に結合することが有利であることも判明した。
補助分子は触媒、タンパク質、核酸、天然物質、酵素、酵素系、細胞溶解物、細胞構成要素、細胞構成要素に由来する誘導体及び/又は合成分子を含む群から選択される。
補助分子が核酸増幅系及び/又は制限酵素系の分子であることも好ましい。
好ましい実施の形態では、検出分子は5’末端領域上及び/又はヘアピン構造内に1つ又は複数の蛍光修飾を有していてもよく、好適な酵素によるハイブリダイズしたメディエーター領域の処理後に、5’末端ヌクレオチドが好適な酵素によってこの検出分子から切り離され、検出分子上で蛍光シグナルの変化を検出することができる。このようにして放出されたメディエーター分子は、溶液中に遊離して存在するか又は固相に固定化されている少なくとも1つの検出分子複合体と相互作用するのが好ましい。検出分子複合体は1つ又は複数の異なる又は同様の化学的修飾を有し、メディエーター領域との相互作用後に検出可能なシグナルを生成し得る。検出分子の物理的又は化学的に測定可能な変化が、メディエーター領域と検出分子の第2の領域との直接的又は間接的な相互作用によって起こるのが好ましい。この領域は、メディエータープローブが切り離された場合にのみシグナルを誘発することができる。メディエータープローブのメディエーター領域は、依然としてメディエータープローブと結合しているため、好ましくはシグナルを直接的(例えばハイブリダイゼーション)又は間接的(例えばポリメラーゼによる処理)に誘発せず、そうでなければ標的分子とは独立して生じるシグナルの場合であり得る。この測定可能な変化は補助分子(例えばポリメラーゼ)によっても生じ得る。
メディエーター領域の直接的な検出反応では、メディエーター領域は検出分子を直接的に変化させる。間接的な検出反応では、メディエーター領域は、メディエーター領域を伸長させる補助検出分子、特にポリメラーゼとの相互作用によって検出分子の変化を誘導する。メディエーター領域は、有利には検出反応中の検出分子の変化を引き起こし、それ自体が好適な補助検出分子による変化を受ける。この実施の形態は、検出反応において変化したメディエーター分子とメディエータープローブ切断に直接由来するメディエーター分子との間の明らかな区別を可能にするため有利である。
補助検出分子は、特にメディエーター領域及び検出分子と有利に相互作用し、好ましくは検出反応を誘発する分子を表す。1つ又は様々な物質群の様々な補助検出分子を使用することができる。
補助検出分子は好ましくは触媒、タンパク質、核酸、天然物質、酵素、酵素系、細胞溶解物、細胞構成要素、それに由来する誘導体若しくは合成分子等の様々な物質群、又はこれらの物質群の様々な分子の混合物から選択される。
さらに、補助検出分子が構造的に特異的な形で切り離されるのが好ましい。補助分子が核酸増幅系及び/又は制限酵素系の分子を含むのが好ましい。メディエータープローブのプローブ領域は、好ましくは標的分子及び/又は鋳型分子と塩基対合によって相互作用することができ、補助分子はメディエータープローブを切断することができ、メディエーター領域は検出分子と塩基対合によって相互作用し、補助検出分子は検出分子の成分を切り離す。この切断反応は標的分子の間接的な保護となる。切り離される検出分子の成分は好ましくは蛍光ドナー又は蛍光アクセプタであり得る。
しかしながら、補助検出分子によって配列特異的切断を行い、補助分子が核酸増幅系であり、補助検出分子が制限酵素系又は核酸増幅系と制限酵素系との混合物であることが好ましい場合もある。検出分子はオリゴヌクレオチド又は誘導体であり、対応する制限酵素系の認識配列を含有し、検出分子上のメディエーター領域が相補的部分に結合し、核酸増幅系によって伸長する。このため、それにより生成する配列二重鎖は、それを少なくとも2つの部分へと切り離す制限酵素系の少なくとも1つの認識配列パターンを含有する。配列二重鎖の切断の後、シグナル、例えば蛍光又は質量の変化を好ましくは検出することができる。しかしながら、配列二重鎖を切り離した後に、存在する相補的な又は部分的に相補的な核酸配列によって少なくとも1つの切断フラグメントが増幅反応を開始することが有利である場合もある。該核酸配列は溶液中に遊離して存在していても、又は固相に固定化されていてもよい。
好ましい実施の形態では、増幅は蛍光プローブ若しくは別の形で標識したヌクレオチドの組込み、又は配列特異的な蛍光プローブ若しくは発色プローブの付加、又は配列非特異的な蛍光色素の付加によって検出することができる。増幅産物は有利には直接的又は間接的に検出することができ、検出により標的分子の間接的な証拠がもたらされる。
それにより放出されるメディエーター領域は、好ましくは好適な核酸の存在下で1つ又は複数の異なる酵素、例えばポリメラーゼによって、好ましくは酵素的に触媒される増幅反応又は重合反応を開始することができる。好適な核酸は一本鎖形態又は二本鎖形態で存在することができ、リバースプライマーを検出反応に付加的に使用してもよい。
検出分子が固相に結合するか、又は溶液中に遊離して存在するのが好ましい。
さらに、検出分子が好ましくはヘアピン構造を有する一本鎖核酸分子又は核酸誘導体であることが有利である。ここで、検出分子の5’末端が内部配列セグメントと相補的にハイブリダイズし、検出分子の3’末端が不対配列セグメントを含むようにヘアピン構造を設計することが有利である。
検出分子は1つ又は複数の同様の又は異なる修飾(例えば脱塩基ヌクレオチド及び/又はホスホチオエート、及び/又は蛍光色素等の官能基)を有するのが好ましい。有利には、メディエーターとの直接的又は間接的な相互作用による検出分子の変化が存在し、変化を物理的に検出することができるように蛍光、リン光、質量、吸収、光散乱、電気伝導性、酵素活性又は親和性の1つ又は複数の変化を含み得る。メディエーターの存在下で、検出分子は好ましくは、例えばリン酸化、脱リン酸化、アミド化、化学基の結合若しくは切断、又は蛍光、リン光若しくは発光の変化等の化学的修飾を受けることができる。
本発明の意味において、脱塩基ヌクレオチドは特に、デオキシリボースが塩基に連結せず、単なるリン酸−糖骨格であるDNAの構成単位を表す。DNA二重鎖では、この位置で水素架橋結合の形成は起こらない。この修飾は、テトラヒドロフラン(THF)を使用することによって合成することができる。
検出分子が5’末端上及び/又はヘアピン構造内に少なくとも1つの蛍光修飾を含有することが好ましい場合もある。
別の好ましい実施の形態では、本発明は、少なくとも1つの標的分子を検出する方法であって、本発明によるメディエータープローブ及び/又は本発明による系を含み、
e.上記メディエータープローブのプローブ領域を、鋳型分子及び/又は標的分子の配列に結合させる工程と、
f.上記鋳型分子及び/又は上記標的分子を増幅する工程と、
g.上記メディエータープローブを少なくとも1つの補助分子によって切断部位で切り離す工程と、
h.上記メディエータープローブの切断したメディエーター領域を検出分子に結合させる工程と、
を含む、方法に関する。
上記メディエータープローブを切り離すことが、分子量、酵素活性、親和性若しくは結合力を含む結合特性、化学的反応性、化学基の存在、伝導性、分極率若しくは電荷を含む電気特性、及び/又は光の吸収及び放出を含む光学的特性を含む群から選択される、上記メディエータープローブの少なくとも1つの領域の物理的特性及び/又は化学的特性の変化を誘導することが好ましい。
特に有利な実施の形態では、標的分子の核酸ベースの増幅によって、鋳型分子(例えばアプタマー)を直接的に増幅することができ、これにより感度が増大する。増幅反応及び検出反応を組み合わせて、並行して行うことができる。これにより、本発明と、検出を線形シグナル増幅及び/又は連続的な増幅及び検出によって行う従来技術に記載のInvader(商標)反応とが明らかに区別される。
標的分子及び/又は鋳型分子とメディエータープローブとの相互作用により、好ましくはメディエータープローブが直接的又は間接的に切り離され、好ましくは以下のフラグメントが生じる:
メディエーター領域のフラグメント及びプローブ領域のフラグメント、又は、
メディエーター領域及びプローブ領域のフラグメント、又は、
メディエーター領域、及び連続したフラグメントとしてのプローブ領域の一部分、及びプローブ領域のフラグメント、又は、
メディエーター領域のフラグメント、ロック領域及び/又はロック領域のフラグメント、並びにプローブ領域のフラグメント、又は、
メディエーター領域、並びにロック領域及び/又はロック領域のフラグメント、並びにプローブ領域のフラグメント、又は、
メディエーター領域、並びに連続したフラグメントとしてのプローブ領域の一部分、並びにロック領域及び/又はロック領域のフラグメント、並びにプローブ領域のフラグメント。
切断されたメディエーター又はフラグメントが、検出分子の第2の領域に結合するメディエーター領域の一部を含有することがとりわけ好ましい。
メディエーター分子は検出反応を用いて検出される。反応機構は記載の標的分子及び/又は鋳型分子の増幅と並行して起こり得る。
本発明による方法は、標的分子及び検出分子の依存関係を解消し(decouples)、標準的マイクロアレイと併用した場合に大抵の標的分子を検出することが可能な新規の液相反応が開発されたことから有利である。様々な標的分子の並行検出が、新規の液相反応と普遍的マイクロアレイとの組合せによって可能となる。
鋳型分子及び/又は標的分子の増幅がPCR、好ましくはリアルタイムPCRによって行われるのが好ましい。
PCRは特にポリメラーゼ連鎖反応、すなわちプライマー分子に隣接する核酸セグメントを指数関数的に増幅する方法を意味する。反応バッチを周期的に加熱及び冷却する。
プライマーは好ましくは、典型的には増幅対象の核酸のセグメントと相補的であり、このセグメントに隣接するオリゴヌクレオチドを意味する。アンプリコンを規定する2つのプライマーは、典型的にはフォワードプライマー及びリバースプライマーと称される。重合は5’末端から3’末端の方向へと行われるため、三量体はポリメラーゼが他のヌクレオチドを共有結合する3’−OH末端を必要とする。
本発明の意味において、リアルタイムPCR中にメディエータープローブを使用することが特に好ましい。リアルタイムPCRをモニタリングする確立された技法の大半は、個々の標的特異的な蛍光プローブを使用する。これにより合成コストが跳ね上がり、これらの系の主な欠点となる。したがって、配列特異性と低コストとを両立する、増幅反応のモニタリングに用いることができる普遍的方法に長いこと関心が持たれていた。本発明は、好ましくは増幅反応、特に好ましくはリアルタイムPCR中に使用され得る本発明によるメディエータープローブによってこの問題を解決することを可能とした。この使用においては、標的分子は、通常のオリゴヌクレオチドプライマー及びポリメラーゼで増幅されるDNA核酸である。配列特異的な検出、好ましくはリアルタイム検出が、標的配列との相互作用後の増幅の際に切断される本発明による二官能性メディエータープローブによって実行される。この切断はポリメラーゼによって触媒される。メディエーター領域は、好ましくは標的配列と相補的でないように設計される。次いで、メディエーター領域は、固定化されるか又は溶液中に存在する検出分子へと拡散する。検出分子は閉じた単位であり、標的とは独立している。したがって、検出分子は普遍的に使用することができ、特異的標的には結合しない。これにより、検出分子を各々の反応及び各々の標的分子に合わせる必要がないため、このタイプの検出のコストが大幅に低減する。
検出分子はヘアピン構造を有し、好ましくは互いに空間的に近接して配置されたフルオロフォア及びクエンチャーを含有するのが好ましい。FRETによる特に効率的な検出がこの配置によって可能となる。不対3’末端では、検出分子はメディエーター領域に相補的なメディエーターハイブリダイゼーション部位も含有する。
FRETは好ましくは蛍光(fluorescence)共鳴エネルギー移動、特にドナー分子からアクセプタ分子へのエネルギー移動を指す。
リアルタイムPCRでは、標的増幅及び検出は協調反応で同時に行われる。DNA鋳型の変性工程において、それらは2つの単一鎖へと分けられる。アニーリング温度に達するまで冷却すると、プライマー及びメディエータープローブのプローブ領域の両方がハイブリダイゼーションを受ける。5’領域(メディエーター領域)は標的DNAに結合しない。したがって、フラップ構造が形成される。プライマーの伸長において、メディエーター領域がポリメラーゼのヌクレアーゼドメインに取り込まれ、それにより切断される。切断された領域(メディエーター領域)はここで3’−OH基を有する。次いで、プローブ領域がプライマーの伸長時に分解される。標的の任意の重複において、メディエーター領域がそれにより放出される。メディエーター領域は検出分子へと拡散し、それらのメディエーターハイブリダイゼーション部位にハイブリダイズする。ポリメラーゼは好ましくはメディエーター領域の3’末端を伸長し、蛍光発光(fluorescent dequenching)がもたらされる。ここでは2つの異なったシグナル経路が好ましい。検出分子の5’末端がポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって分解され、クエンチャーラジカルが切り離される。しかしながら、ポリメラーゼが検出分子の親二重鎖を不安定化し、5’末端を分解することなくヘアピン構造がアンフォールドすることも好ましい。どちらの経路も最終的にフルオロフォアの発光をもたらす。これら2つの経路は、例えばTaqポリメラーゼが種々のエキソヌクレアーゼ活性について既知であるため並行して行うことができる。本発明の1つの利点は、蛍光放射が各々の増幅サイクルによって連続的に蓄積することにより、特に標的分子の開始量が少量であっても検出が成功し得ることである。
メディエータープローブを検出手段として使用するリアルタイムPCRは、従来技術により既知の系(例えばSISAR又はInvader系)と比較して有利である。検出と増幅反応とを組み合わせることによって、標的分子の高感度検出が可能となり、分析がより正確となる。本発明による系はその両方、すなわち重合活性及びTaqポリメラーゼ活性を必要とする。プライマーの誤った結合による不完全な増幅が、プローブ領域に対する相補領域を有さず、また結合することができない切り離されたメディエーター領域において生じないことから、偽陽性結果が排除される。さらに、メディエータープローブを多重PCR系及び/又は二重PCR系において使用することができ、幾つかの異なるフルオロフォアを使用して複数の異なる検出分子に作用させることが可能である。このようにして多数の標的分子を並行して検出することができることから、これは現行の技術水準の系と比較して大きな利点である。このため、本発明による多重PCR系を例えば診断試験に使用することができ、ここで検出プロセスを加速及び単純化することができ、最終的に労力、材料及びコストを低減することができる。
多重バッチにおいては、様々な群の複数の分析物を同じ群の異なる検出分子によって検出することができる。ここで、多重バッチを同じ群の異なる検出分子を用いて行うことができることが有利である。これはこれまでの従来技術においては可能ではなかった。
本発明の別の大きな利点は、増幅反応の検出との分離(decoupling)である。これにより標準的検出分子を使用することが可能となり、これを大量に生産することができ、したがって生産コストが最小限に抑えられる。
検出分子が、少なくとも1つの補助検出分子によるメディエーター領域との相互作用を変化させる(切断、消化、鎖二重化(strand doubling)、内部ハイブリダイゼーション、リン酸化、脱リン酸化、アミド化、化学基の結合若しくは切断、又は蛍光、リン光若しくは発光の変化を含む)ことも好ましい。ここで、検出分子が5’末端領域上及び/又はヘアピン構造内に少なくとも1つの蛍光修飾を有し、メディエーター領域との反応後に、蛍光修飾が補助検出分子によって検出分子から切り離され、及び/又は検出分子のヘアピン構造の5’末端が除去され、検出分子において蛍光シグナルの変化が検出されることがとりわけ好ましい。
少なくとも1つの標的分子がRNAである方法も好ましい。この場合、RNAは好ましくは逆転写によって初めにcDNAへと転写される。次いで、得られるcDNAはメディエータープローブのプローブ領域が結合し、増幅される鋳型分子となる。検出を可能にするのに僅かなRNAしか必要とされないことから、cDNAへの転写によってRNA標的分子も増幅し得ることがとりわけ有利である。
配列オーバーハングを有するプライマーが転写反応、好ましくは逆転写に使用されることも好ましい。これにより、cDNAに結合することができるが、遺伝子の元のDNAには結合しないメディエータープローブを使用することが可能となる。メディエータープローブをこれに使用すると、そのプローブ領域はcDNAとオーバーハング配列とを含む領域に結合する。元のDNAはオーバーハング配列を有しないため、メディエータープローブによってDNAとcDNAとを区別することができる。これにより、DNAの存在のみが検出され、DNAが対応するシグナルを誘発しないことが確実となる。
さらに、この方法を用いて、同じ遺伝子のRNA(オーバーハング配列を有する対応するcDNAによる)及びDNAを並行して検出することができる。2つの異なる検出分子及び2つの異なるメディエータープローブをこの目的で使用するのが好ましい。
真核細胞のサンプルを分析する場合、同じ遺伝子のRNAとDNAとの区別にイントロン/エクソン配列を使用してもよい。このため、2つの転写エクソンの領域がカバーされるようにプローブ領域をcDNAへの結合に選択することができる。これらの領域は遺伝子のDNA中のイントロンによって分離されるため、メディエーター領域は同様にDNAに結合することができず、cDNAのみに結合する。
別の好ましい方法では、少なくとも1つの標的分子はペプチド又はタンパク質である。鋳型分子は好ましくはアプタマーであり、アプタマーはペプチド又はタンパク質に結合し、したがってメディエータープローブのプローブ領域に対する結合部位が接近可能となる。アプタマー単独ではプローブ領域が接近可能な結合部位を有しないのが好ましい。アプタマーが標的分子(ペプチド又はタンパク質)と相互作用した場合にのみ、結合部位が解放され、接近可能となる。これは二次構造の変化によって起こるのが好ましい。次いで、メディエータープローブのプローブ領域はアプタマーに結合し得る。同時に、アプタマーは増幅反応に利用可能である。アプタマーの増幅によって、メディエーター領域がプローブ領域から切り離され、それにより検出分子に結合し得る。このため、タンパク質をアプタマーの存在によって検出することができる。
アプタマーが増幅するため、シグナルも増幅し、非常に少数のペプチド及び/又はタンパク質であっても検出することができる。
複数の標的分子、例えばDNA及びタンパク質、又はタンパク質及びRNAを同時に検出することが好ましい場合もある。
反応条件に応じて、本発明は、多分析物分析を用いた一工程でのタンパク質及び核酸等の様々な分子及び分子群の並行検出を可能にし、組み合わせたDNA−RNAタンパク質プロファイルをまとめることが可能となる。
したがって、本発明による方法は、混合物中の1つ又は複数の同様の又は異なる生体分子の検出にも用いることができる。
これは、好ましくは制限酵素の活性を用いることによって行われ、検出分子が3’末端領域に保護化学基を有することを特徴とし、保護化学基はメディエーター領域との反応後に補助分子によって検出分子から切り離され、それにより3’末端OH基が形成される。
本発明による方法を多重分析に用いることも好ましい。多重分析は、特に1つの反応バッチでの幾つかの標的分子の並行検出を表す。
従来技術に記載のもののようなPCR反応の多重化度を数桁超える可能性のある様々な異なる標的分子を、標準的アレイレイアウトでメディエータープローブを特に低コストで適合して検出することができる。長さ20ヌクレオチドの核酸分子からなるメディエーター領域は、例えば420(およそ1×1012)個の考え得る異なるヌクレオチド配列を推定すると算出され得る。
標的分子及び/又は鋳型分子とメディエータープローブとの直接的な相互作用では、標的分子及び/又は鋳型分子の存在によってメディエータープローブから活性化メディエーター領域が生じる。間接的な相互作用では、標的分子及び/又は鋳型分子、特に核酸は、メディエータープローブ及びメディエータープローブと構造的に相互作用しない補助分子、特にオリゴヌクレオチドとの相互作用を誘導する。本明細書に記載の補助分子はプライマーとして機能し、種々のタイプの補助分子、特に好適なポリメラーゼによって伸長し、その際にメディエータープローブがポリメラーゼとの構造的相互作用によりメディエーター領域及びプローブ領域へと切断される。このため、メディエーター領域は標的分子の存在下でメディエータープローブから(from)形成される。これらの補助分子は好ましくは触媒、タンパク質、核酸、天然物質、酵素、酵素系、細胞溶解物、細胞構成要素、それに由来する誘導体若しくは合成分子、又はそれらの混合物を含む群から選択される。
メディエータープローブが切り離されることで、分子量(メディエータープローブが切り離された後、それから切り離されたフラグメントはメディエータープローブとは異なる)、酵素活性(メディエータープローブは、新たな遊離3’末端の存在により検出反応を開始することが可能であるというその特性を有利に変化させる)、親和性若しくは結合力を含む結合特性、化学的反応性(メディエータープローブが切り離された後、メディエータープローブのメディエーター領域を含有する切断フラグメントは、3’末端に補助分子(例えばポリメラーゼ)によって伸長し得るヒドロキシル基を有し、これは非切断プローブでは不可能である)、化学基の存在、伝導性、分極率若しくは電荷を含む電気特性、及び/又は光の吸収及び放出を含む光学的特性(メディエータープローブを少なくとも1つの蛍光色素で標識した場合、蛍光シグナルの変化は好ましくは切断後に検出され得る)を含む群から選択される、メディエータープローブの少なくとも1つの領域の物理的及び/又は化学的な特性の変化が生じることは驚くべきことであった。
好ましい実施の形態では、メディエーター領域と複数の同様の検出分子との連続的な相互作用が存在し、それによりシグナル増幅がもたらされる。これにより検出反応の感度が増大する。この実施の形態では、修飾ヌクレオチドが検出分子の合成に有利に使用され、検出反応中に限られた5’末端分解のみが可能となる。これは、分子の合成中の例えば5’末端の最後から2番目のヌクレオチドへの1つ又は複数のホスホチオエート(PTO)修飾の組込みによって起こり得る。PTO修飾の位置は好ましくは領域1、とりわけ好ましくは蛍光ドナーFと蛍光アクセプタQとの間に位置する。図6は修飾ヌクレオチドの好ましい位置を示す。好ましい補助検出分子はPTO結合を切り離さないか、又は低効率でしか切り離すことができず、5’末端(領域1)はこのヌクレオチドを越えて分解することができない。その結果として、メディエーター分子は更に伸長しない。反応条件の好適な調節によって、補助検出分子及びメディエーター分子は検出分子から解離し、別の検出分子の活性化に再び利用可能となり得る。
特に好ましい実施の形態では、メディエーター分子は、各々の反応サイクル及び/又は経時的反応セグメントにおいて複数の同一な特異的検出分子と相互作用し、それによりシグナル生成検出反応を誘発することができる。標的分子の増幅により累積効果が生じるため、反応の感度は顕著に増大する。
好適なデバイスをリアルタイムで使用して検出を行い、及び/又はエンドポイント測定が検出可能であることも好ましい。どちらの場合も、本発明による実施の形態は有利には、例えば洗浄工程又はインキュベーション工程等の任意の後処理を必要としない。
上記のPTO修飾に適合するが、併用に限定されない別の好ましい実施の形態では、相補ヌクレオチドと任意の水素架橋を形成することができない脱塩基ヌクレオチド(テトラヒドロフランTHF修飾)が領域cに組み込まれる。これにより、脱塩基ヌクレオチドの反対の位置でのメディエーター領域の伸長反応が抑制され、この際に補助検出分子及び伸長したメディエーター領域が検出分子から解離する(図7を参照されたい)。好ましい修飾のいずれかの使用は、メディエーター分子と複数の検出分子との連続的相互作用を可能にし、これを本発明の意味において特にメディエーターリサイクルと称することができる。メディエーター領域は、検出分子との最初の相互作用及び後続の処理において補助検出分子によって伸長し、この伸長状態で付加的な検出分子とも相互作用することができ、好適な補助検出分子(例えば、5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ)による5’末端(したがって、更には蛍光アクセプタQ)の分解を可能にし得る。標的分子の増幅に関わらずシグナルが生成し、増幅することから、この反応機構によってシグナル増幅が可能になる。標的分子を好適な補助分子を用いて増幅させ、このプロセスをメディエータープローブ切断と組み合わせる場合、標的分子増幅とシグナル増幅とが組み合わされ、検出反応における検出限界を数桁低下させるメディエーターの蓄積が起こる。このことは実に驚くべきことであり、従来技術には記載されていない。さらに、このことは当該技術分野における慣例からの脱却となる。このプロセスを行った後、例えば反応温度を上昇させることによって反応条件を有利に変化させ、酵素、例えばポリメラーゼ及び伸長したメディエーター領域を検出分子から解離させてもよい。当業者は、本発明の特に好ましい実施の形態において反応条件を周期的に変化させ、メディエーター分子を複数の同様の検出分子と相互作用させることができることを認識している。驚くべきことに、これにより反応感度を顕著に増大するシグナル増幅がもたらされる。
検出反応は、メディエーター領域とは対照的に、非切断メディエータープローブがいかなるシグナル生成反応も誘発せず、偽陽性結果が生成しないように設計するのが好ましい。メディエータープローブが切り離されることによって生じるメディエーター領域は、ポリメラーゼ媒介伸長反応に特に有利な3’−OH末端を有する。この切断が起こらない場合、メディエーター配列がメディエータープローブのハイブリダイゼーション配列に共有結合することから、メディエーターの伸長は不可能である(図8を参照されたい)。加えて、メディエータープローブの3’末端の非特異的な伸長は、例えばリン酸基又は幾つかの他の化学基によって保護することができる。
局所的な検出可能な(蛍光)シグナルは、好ましくはメディエーター領域と検出分子との相互作用事象によって生じる。得られる5’末端の切断による好ましいメディエーター伸長によって十分な検出分子が活性化されると、シグナルが増幅し、好適な検出装置(特に光学装置)を用いて検出することができる。これにより反応混合物の存在下での検出が可能となり、いかなる処理工程も必要とされない。好ましい実施の形態は、反応を行った後に開放する必要なしに好適な反応空間内での検出を可能にするという有利な特性を有する。これにより、付加的な労力及び高リスクの汚染を伴うハイブリダイゼーション工程、染色工程及び/又は洗浄工程に起因するマイクロアレイ分析と関連する、従来技術に記載されている問題が回避される。したがって、この好ましい実施の形態は新たな技術分野を開拓し、従来技術において長らく存在する問題を解決するため、当該技術分野の慣例からの脱却とみなすことができる。
上記の利点に加えて、好ましい実施の形態は得られるシグナルを反応の任意の時点で読み取ることを可能にする。これにより、例えば核酸増幅の定量化又はタンパク質相互作用の結合動態の決定に必要とされる反応のリアルタイムのモニタリングが可能となる。このため、好ましい実施の形態は、典型的にはエンドポイント決定のみが行われ、したがってシグナル検出を任意の時点で行うことができない従来技術とは区別される。
多重分析によって、反応混合物中の複数の異なる分析物の検出が決定される。好ましい反応の多重化度を増大させるためには、「n個の」異なる標的分子に対する「n個の」異なるメディエータープローブの使用が好ましい。好ましい実施の形態では、領域1が標的分子と特異的に相互作用するメディエータープローブを検出対象の各々の標的分子に割り当てることができる。切断が成功した後のメディエーターを表す、それぞれのメディエータープローブの領域2は、標的分子に対する親和性を有さず、相補的でもないが、代わりに規定の検出分子に対する特異的な相互作用粒子となる。したがって、検出分子が各々の標的分子に間接的に割り当てられ、その割当てはメディエータープローブによって行われる。様々な標的分子の検出には様々な検出分子が必要とされる。好ましい構造に基づいて、これらの分子が領域5でのみ異なっていれば十分である。任意の配列系列が可能であり、多重パラメーター分析の検出方法が利用可能となることから、実質的に任意の並列度が可能である。したがって、多重パラメーター分析の検出方法として上記系を使用するのが好ましい。系は好ましくは混合物中の1つ又は複数の同様の又は異なる生体分子の検出に使用することができる。さらに、系は少なくとも1つ又は特に複数の標的分子の増幅に有利に使用することができ、これらは有利には同一な標的分子ではない。加えて検出分子が3’末端領域に化学保護基を有し、それがメディエーター領域との反応後に補助分子を用いて検出分子から切り離され、3’末端OH基が生成するように、制限酵素の活性を利用した上で系を使用するのが好ましい場合もある。
本発明による問題に対する解決策では、メディエータープローブが分析対象のサンプルとともに、使い捨ての反応カートリッジに固定化された検出分子に適用された後、好適な方法によって処理され、検出される。次いで、その後の汚染をもたらすことなく反応カートリッジを廃棄することができる。加えて、増幅工程を検出前に又は検出と並行して反応容器内で行うことができ、任意に標的分子の特異的な濃縮を達成することができる。したがって、標的分子濃度の高い反応バッチ(例えばPCR後のバッチ)を増幅領域から検出領域へと移すことにより、関連の工程及び汚染リスクが取り除かれる。
本発明は、上記方法又は系を用いる処理機及びマイクロ流体反応カートリッジにも関する。カートリッジは、特に普遍的検出アレイが存在し、好ましくは1つ又は複数の検出分子の局所的に分解された配置からなる少なくとも1つの反応チャンバを有する。
処理機は、好ましくはカートリッジ及び反応液を一定の温度及び/又は規定の温度プロファイル(加熱及び/又は冷却)に供するものである。処理機は好ましい系又は方法により検出分子の変化を検出することができる。例えば、蛍光シグナルをこのようにして使用してもよい。加えて、処理機は能動素子又は受動素子を用いた反応カートリッジ内の液体輸送を可能にする。先の論考はメディエータープローブ、系及び方法にも適用される。
考え得る一実施の形態において、分析対象のサンプル及び必要な試薬の適用を使い捨てのカートリッジで自動的に行うことができるため、本発明による方法を行うコストを低減することができる。これにより、これらの工程に訓練された人材を使用する必要性が排除される。
別の好ましい実施の形態では、本発明は少なくとも1つの検出分子、本発明の意味においてポリメラーゼ及びdNTPを含むキットに関する。それにより提供されるキットは任意の検出反応に使用することができ、したがって普遍的検出キットに有利である。
本発明及び従来技術を、図及び例示的な実施形態を参照して下記に更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
固定化プローブの侵襲的切断後の様々な固相ベースの検出方法を示す図である。 固定化プローブの侵襲的切断後の様々な固相ベースの検出方法を示す図である。 固定化プローブの侵襲的切断後の様々な固相ベースの検出方法を示す図である。 固定化プローブの侵襲的切断後の様々な固相ベースの検出方法を示す図である。 メディエータープローブの好ましい構造を示す図である。 メディエータープローブと標的分子との好ましい相互作用及びメディエータープローブの切断を示す図である。 好ましい検出分子を示す図である。 好ましい検出分子を示す図である。 酵素メディエーターの好ましい伸長の概略図である。 同上 検出分子内の化学的修飾の好ましい位置の概略図である。 固定化した検出分子を用いたメディエーターの好ましい検出を示す図である。 同上 メディエータープローブと検出分子との好ましい相互作用を示す図である。 好ましいメディエータープローブ技術の適用分野の概略図である。 好ましいメディエータープローブを用いた、固定化した検出分子の反応容器内でのPCRの正規化蛍光プロットを示す図である。 好ましいPCR方法の概略図を示す図である。 メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCRの特徴の比較を示す図である。 同上 同上 同上 メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCRによる様々な標的の増幅を示す図である。 同上 同上 同上
図1A〜図1Dは、固定化プローブの侵襲的切断後の様々な固相ベースの検出方法を示す。(A)直接的な蛍光ベースの侵襲的切断検出。可能性1:プローブを基板表面に固定化する。インベーダーオリゴヌクレオチド(上流オリゴヌクレオチド)及び標的配列(標的)を反応溶液に添加する((1)図を参照されたい)。可能性2:プローブ及びインベーダーオリゴヌクレオチドを表面に固定化する。標的配列を反応ミックスに添加する((2)図を参照されたい)。どちらの場合も、プローブ分子が切断され、蛍光シグナルの変化がもたらされる。出典:Lu, M. C. et al. 2002, A surface invasive cleavage assay for highlyparallel SNP analysis, Hum. Mutat., 19, 416-422。
(B)間接的な切断反応。Dabcyl修飾プローブを固相に固定化する。侵襲的切断が成功した後、ストレプトアビジンコーティング金粒子が結合するビオチン標識リンカーをライゲートする。出典:Nie, B. et al., 2006, Quantitativedetection of individual cleaved DNA molecules on surfaces using goldnanoparticles and scanning electron microscope imaging, Anal. Chem., 78,1528-1534。
(C)後続のローリングサークル増幅による間接的な切断検出。固定化した5’標識プローブの侵襲的切断の後、ライゲーション工程を後続のローリングサークル増幅とともに行う。プローブのみ(a)を固定化し、及び/又はプローブ及びインベーダーオリゴヌクレオチド(b)を固定化する2つの異なる戦略を示す。出典:Chen, Y. et al., 2004, Surface amplification of invasive cleavageproducts, J. Amer. Chem. Soc., 126, 3016-3017。
(D)間接的な蛍光ベースの切断検出。標識した検出プローブを蛍光標識プローブにハイブリダイズし、蛍光シグナルを検出する。洗浄工程及び侵襲的切断を行った後、記載の検出プローブによる付加的なハイブリダイゼーション工程を行う。後続の蛍光測定は、反応バッチにおける標的配列の存在に関する推論を可能にする。出典:Lockett, M. R. et al., 2007, Molecularbeacon-style hybridization assay for quantitative analysis of surface invasivecleavage reactions, Anal. Chem., 79, 6031-6036。
図2はメディエータープローブの好ましい設計を示す。メディエータープローブは特にオリゴヌクレオチドからなり、2つの機能的領域に細分される。領域1は元の分子及び/又は標的分子に対して親和性を有するか又は相補的であり、領域2は特異的な検出分子のみと相互作用する。これらの領域の間に潜在的切断部位が存在する。
図3は、メディエータープローブと鋳型分子及び/又は標的分子との好ましい相互作用並びにメディエータープローブの切断を示す。メディエータープローブ、補助分子1(ここではプライマー)及び補助分子2(ここでは、重合活性及びヌクレアーゼ活性を有する酵素(ポリメラーゼ))が、鋳型分子及び/又は標的分子(ここでは核酸配列)と相互作用する(A)。好適な反応条件下で、プライマーがポリメラーゼによって伸長し、メディエータープローブが切断され、その際にメディエーター領域が放出される(B)。
図4A、図4Bは好ましい検出分子の図を示す。線形表示(A)。二次構造を形成する3’固定化検出分子の図(B)。相互作用が検出分子の二次構造を生じる逆相補配列セグメントを黒色の領域として表し、メディエーターハイブリダイゼーション配列を斜めストライプの領域として表す。領域aは、PTO修飾を有していても又は有していなくてもよい。
好ましい実施形態では、検出分子は複数の領域に細分されるオリゴヌクレオチドからなる(好ましくは図4を参照されたい)。
領域a(=第1の領域)は、好ましい実施形態では配列セグメントと蛍光アクセプタQとからなる検出分子の5’末端を含む。領域cは領域aの逆相補配列であり、領域bで隔てられている。領域d(=第3の領域)は領域cと、メディエーター分子と特異的に相互作用し得る領域e(=第2の領域)とを隔てる。領域f(=第4の領域)は、好ましくは化学的修飾を有することにより、オリゴヌクレオチドの指向性固定化を可能にする3’末端配列領域を含む。蛍光ドナーFは領域bから領域fまでの部分、例えば領域dと当業者が精通する形で結合する。検出分子がヘアピン構造を有するのが好ましい。検出分子の領域a及び領域cは、反応条件下で規定の二次構造(本発明の意味においてヘアピン構造と称される)を形成し、5’末端が内部配列セグメントとハイブリダイズする。
図5のi)〜vi)は、酵素メディエーターの好ましい伸長の概略図を示す。i)検出分子が固相に固定化されて存在し、反応条件下での規定の二次構造をとる。2つの好適な蛍光修飾F及びQは互いに相互作用し、それによりFの蛍光シグナルが抑制される。ii)メディエーターは、規定の位置(メディエーターハイブリダイゼーション配列領域5)で検出分子と相互作用することができ、それによりiii〜iv)では補助検出分子(ここではポリメラーゼ)によって酵素的に伸長する。そうすることで、蛍光アクセプタ分子Qは検出分子から切り離され、蛍光色素Fの蛍光強度が回復する。vi)領域1から切り離された後、検出分子は線形構造(conformation)をとり、メディエーターの更なる伸長が起こり得る。図5に示される機構はPTO修飾が存在する場合にも起こる。
図6は、検出分子内の化学的修飾の好ましい位置の概略図を示す。潜在的なメディエーター伸長を規定の位置で終了させる修飾ヌクレオチドは、領域1及び/又は領域2内の好適な配列位置に組み込まれる。
図7は、固定化検出分子を用いたメディエーターの好ましい検出を示す。i)検出分子は固相に固定化され、反応条件下で規定の二次構造をとる。2つの好適な蛍光修飾F及びQは互いに相互作用し、それによりFの蛍光シグナルが抑制される。3’末端配列領域は不対であり、潜在的なメディエーターハイブリダイゼーション配列(斜めストライプの領域)となる。ii)この規定の位置でメディエーターは検出分子と相互作用することができ、iii〜iv)では補助検出分子(ここではポリメラーゼ)によって酵素的に伸長する。v)次いで、蛍光アクセプタ分子Qは検出分子から切り離され、蛍光色素Fの蛍光強度が回復する。好適な時間の後、反応溶液を加熱することによって反応条件を変化させ、ポリメラーゼ及び伸長したメディエーターを検出分子から解離させる。
図8は、メディエータープローブと検出分子との好ましい相互作用を示す。非切断メディエータープローブが検出分子と相互作用する場合、メディエーター配列内の3’−OH末端が必要とされることから、好適な補助検出分子の存在下であっても酵素的伸長反応は起こらない。これにより、偽陽性シグナルの生成が防止される。加えて、非特異的な伸長を抑制する3’末端修飾が存在し得る。
図9は、メディエータープローブ技術の好ましい適用分野の概略図を示す。メディエータープローブ技術は、DNA、cDNAへと転写されるRNA又はタンパク質結合アプタマーを検出することができる。メディエータープローブの処理を、標的分子の増幅工程(A)に任意に組み入れることができる。これは固定化したメディエーター特異的検出分子を用いた検出を示す。補助分子(ここではポリメラーゼ)との相互作用により、メディエーター媒介反応による検出分子の状態の変化(ここでは蛍光の変化)が生じる。
図10は、好ましいメディエータープローブ及び反応容器内に固定化した検出分子を用いたPCRの正規化した蛍光プロットを示す。とりわけ標的配列特異的なプライマーを含む試薬、並びにメディエータープローブ及び様々な黄色ブドウ球菌ゲノム同等物を、検出分子を固定化した好適な反応容器にピペットで注入し、好適な密封フィルムで密封した。サーモサイクラーで反応を行い、指定のサイクルでの蛍光の測定を別個の機器で行った。各々のPCRサイクルにおいて、増幅対象の配列セグメントが倍加し、各々の複製工程によりメディエーターがメディエータープローブの切断によって生じた。放出されたメディエーターは検出分子と好適な形で相互作用し、検出可能な蛍光シグナルが得られた。プロットから、DNA量及び蛍光プロファイルとの相関が示される。蛍光強度をサイクル1の値に対して標準化した(サイクル37の測定値はカバーフィルムへの凝結により歪められたため、考慮に入れなかった)。
図11は好ましい方法の概略図を示す。工程A〜工程Hに増幅反応及び検出を例示する。核酸標的は、ここに示す場合では同時に標的分子及び鋳型分子でもある。変性(B)の後、メディエータープローブ、プライマー及びポリメラーゼが付加する(C)。工程(D)にプライマーの伸長、並びにメディエータープローブの切離し及びプローブ領域の分解を例示する。メディエーター領域はこの工程で放出される。次いで、メディエーター領域は検出分子(=普遍的レポーター)に付加する(E)。工程(F)では、メディエーター領域がポリメラーゼによって伸長する。発光は、検出分子の5’末端の連続的分解及びクエンチャーラジカルの放出(G)、又は5’末端の変位及びヘアピン構造のアンフォールディング(H)という2つの方法によって生じ得る。次いで、全ての工程がサーモサイクラー内で行われる。
図12は、図12におけるメディエータープローブPCRと加水分解プローブPCRとの様々な特徴の比較を示す。様々な濃度のHAPV18DNAを増幅し、元のDNAを有しない対照を使用した。算出されたメディエータープローブPCRのコピー数をx軸にプロットした。加水分解プローブPCR(B〜D)のコピー数を、y軸にプロットする。AはHPV18検出のLODすなわち検出限界を示す。或る特定の数の入力コピー(y軸)に対する増幅の成功可能性(x軸)をプロビット分析によって決定した。メディエータープローブは黒色の線の結果となり、加水分解プローブは灰色の線の結果となった。上部及び下部に示される破線は95%CIを示す。5つの異なるDNA濃度についてのアッセイ内分散を(B)に示し、(C)には5回の異なるPCRパスにおける5つのDNA濃度についてのアッセイ間分散を示す。(D)の図は二重PCRの結果を示す。
図13は、メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCRによる様々な標的の増幅の結果を示す。(A)HPV18、(B)大腸菌(E. coli)、(C)黄色ブドウ球菌(S.aureus)、(D)ヒトβアクチン。
例示的な実施形態i)
また、例示的な実施形態を図9に概略的に示す。好ましい核酸検出の簡単な実証は以下の通りに行うことができる。分析対象のサンプル中の細菌DNAの検出については、検出分子を好適な反応容器内に固定化する。しかしながら、検出分子は溶液中に存在していてもよい。次に、サンプル及び所要の試薬を反応容器に添加し、95℃での初期温度保持工程の後、混合物を周期的に加熱及び冷却する。このプロセスにおいて、反応容器における蛍光をサイクルの規定の時点で検出する。この例示的な実施形態を下記に詳細に説明する。
「NucleoLinkストリップ」(NUNC,Langenselbold,Germany、カタログ番号248650)において、配列5’-DABCYL-CCGCA G*A*A*GATGAGATC(dTFAM)GCGGTGTTGGTCGTAGAGCCCAGAACGATTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT-[C6NH2]-3’(=ホスホチオエート)の検出分子の100nM溶液(IBA,Gottingen,Deutschland)25μLを、カップリングバッファー(10mM 1−メチルイミダゾール(1−Meim)(pH7.0)(Sigma-Aldrich,Steinheim,Germany)及び10mM 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)(Sigma-Aldrich,Steinheim,Germany))にピペットで注入し、ViewSEAL(商標)カバーフィルム(Greiner BioOne,Frickenhausen,Germany、カタログ番号676070)で密封し、50℃で一晩インキュベートした。上清を捨てた後、マイクロ反応容器を100μLの洗浄バッファー(100mM トリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.1%Tween 20(Carl Roth,Karlsruhe,Germany))で洗浄し、カップリングバッファー中の1Mグリシン溶液(Carl Roth,Karlsruhe,Germany)25μLとともに50℃で1時間インキュベートした後、再度洗浄した。
反応容器に25μLのPCR反応ミックス(1×Finnzymes DyNamo Flashプローブ(Finnzymes、カタログ番号F−455)、配列5’-GAGGTAGGAAACTCTGGATCAGGTAT-3’(300nM)(biomers.net,Ulm,Germany)、5’-TCTATTGAAAAACACTCCTATTGGAAGA-3’(300nM)(biomers.net,Ulm,Germany)のプライマー分子、配列5'-TCTGGGCTCTACGACCAACAGGTATTCACAGTGGTAAAGGCGGACAACAAGAGCCCAG A-[phosphate]-3’のメディエータープローブ(200nM)(biomers.net,Ulm,Germany))、及び表皮剥脱毒素B遺伝子座(NCBIアクセッション番号M17348)を含有する様々な濃度の黄色ブドウ球菌DNAを満たした。DNA濃度に応じて4つのマイクロ反応容器を使用した。反応容器をViewSEAL(商標)カバーフィルムで密封し、GeneAmp(商標)9700サーモサイクラー(Perkin Elmer,Massachusetts)に移した。インキュベーション段階(95℃で7分間)の後、周期的温度プロトコル(95℃で30秒間、58℃で3分間)を行い、規定のサイクル後に反応容器をサーモサイクラーから取り出し、マイクロタイタープレートリーダーVictor 1420マルチラベルカウンター(Perkin Elmer,Massachusetts)を用いてフルオレセインシグナルを測定した。次に、反応容器を再びサーモサイクラーに移した。個々のマイクロ反応容器の蛍光値を第1のサイクルのそれぞれの値に対して正規化し、増幅係数を各々の反応容器の処理サイクルの関数として定式化することができた(図10を参照されたい)。
例示的な実施形態ii)
第2の実施例では、RNAを標的分子として使用した。RNAを逆転写又は別の好適な酵素系によってcDNAへと転写した。この工程は別個の反応容器で行い、1つのアリコートを例示的な実施形態i)による検出反応に供した。代替的には、例示的な実施形態i)によって逆転写及び後続の増幅を同じ反応容器で行うことができた。この実施例では、1つ又は複数の遺伝子の発現分析が実験目標として最大の関心事であった。
例示的な実施形態iii)
サンプル中のDNA及びRNAの並行検出は、好適な酵素系を組み合わせることによって行うことができる。そのようにして、規定の5’配列オーバーハングを有するプライマーを用いて検出対象のRNAを増幅する(図9を参照されたい)。この検出に使用されるメディエータープローブを、配列オーバーハング、プライマー及び伸長プライマーの一部に部分的に結合するように設計する。この規定の遺伝子座のために、RNAから生じたcDNAのみが特異的メディエータープローブによって検出され、RNAを転写したゲノム遺伝子座は検出されないことが確実である。反応バッチにおけるゲノムDNAの検出については、この配列のみに相補的なメディエータープローブを使用する。このようにしてcDNAを生成し、ゲノムDNAの特異的なセグメントを続いて任意に行われる増幅反応において増幅し、遺伝子座特異的なメディエータープローブを切断し、メディエーターを局所的に分解された固定化検出分子上での好適な検出方法によって検出することができる。
例示的な実施形態iv)
標的分子特異的なアプタマーを含む試薬及び分析対象のサンプルを、検出分子が局所的に分解された形で固定化されているか(図9を参照されたい)、又は溶液中に存在する好適な反応容器に入れる。検出対象の標的分子は例えばタンパク質又はペプチドであり得るが、これらに限定されない。アプタマーは標的分子に結合し、相互作用が成功した後にアプタマー特異的なメディエータープローブ及びプライマーがアニールすることができるようにその構造を変化させる。好適な酵素系での処理によって、アニールしたプライマーが伸長することができ、その際にメディエータープローブが切り離される。このようにして放出されたメディエーターを、特異的な検出分子を用いて検出することができる。酵素増幅プロセスは等温方法を含み得るが、これに限定されない。
例示的な実施形態v)
特別な実施形態の例では、DNA、RNA並びにペプチド及び/又はタンパク質、又は上述の物質群の別の組合せを、本明細書に記載の方法i)〜iv)によって1つのバッチにおいて並行して検出する。この方法は等温増幅方法を含むが、これに限定されない。この実施形態を図9に示す。
例示的な実施形態vi)
検出のタイプに関わらず、反応容器は、例えば確立され、普及しているマイクロタイタープレートフォーマット(96ウェルプレート)を有し、これとともに市販の温度調節及び読出しデバイス及び/又はこれら2つの機能を組み合わせたデバイスを使用することができる。いずれの場合においても、検出分子を局所的に分解された形態(アレイ)で固定化する。フローセルも有力な反応容器とみなすことができ、分析を行った後に任意に洗浄及び再使用することができる。特別な実施形態では、反応容器はカートリッジであり、検出分子は固定化形態で存在し得る。反応空間は修飾した顕微鏡スライド及び好適なフレームを用いることによっても規定することができる。この実施形態は、好適な材料への検出分子の固定化が従来技術に記載されている、好適な粘着フレーム(Peqlab in situ粘着フレーム、PeqlabBiotechnologie,Erlangen,Germany)、並びに熱的に調節可能な処理容器(Peqlab PeqStar in situ、Peqlab Biotechnologie,Erlangen,Germany)及びリーダーデバイス(BioAnalyzer、LaVisionBioTec GmbH,Bielefeld,Germany)が市販されているという有利な特性を有する。カートリッジのフォーマットは規定されず、利用者の希望に従って任意に作製することができる。カートリッジは、読取り範囲にわたるTIRFを用いて表面近くのフルオロフォアの励起用の統合プリズムにより入力光線を導くことができる。さらに、このカートリッジは、温度調節デバイスと蛍光シグナルの励起及び検出用の光学部品とを有する機器と組み合わせて使用することができる。カートリッジは任意にマイクロ流体構造、例えば充填口及びベント口、能動素子の接続部、混合チャンバ、測定チャンバ及びアリコーティングチャンバ、チャネル若しくは構造、又は他の目的で使用することができる構造を有し得る。系はポンプ又は他のアクチュエータを有してもよく、それを用いて液体を処理することができる。加えて、他の試薬を使用してもよい。
例示的な実施形態vii)
本発明による好ましいメディエータープローブを用いてPCRを行う(図11も参照されたい)。増幅反応については、通常のオリゴヌクレオチドプライマー及びTaqポリメラーゼを使用する。本発明の意味において、メディエータープローブは二官能性オリゴヌクレオチドであり、PCRのリアルタイム検出を可能にする。本発明と従来技術とを比較するために、これらの実験を従来技術の加水分解プローブと並行して行う。
サンプル材料
黄色ブドウ球菌(Genomic Research Laboratory;Prof. Jacques Schrenzel,Geneva,Switzerland)に由来するDNAサンプルをこの実験に使用した。サンプルは、表皮剥脱毒素Bのゲノム遺伝子座(Gene Bankアクセッション番号AP003088)を含有していた。pBR322プラスミドはヒトパピローマウイルス18(HPV18)ゲノムを含有し、GenolD(Budapes,Hungary)から入手可能であった。ペプチドグリカン結合リポタンパク質のゲノム遺伝子座(Gene Bankアクセッション番号65796)を含有する大腸菌(Escherichia coli)K12 DH5_Z1 DNAを、磁気ビーズに基づくDNA単離キットを用いて単離した。ヒトゲノムDNAを、QIAamp DNA Blood Miniキット(Qiagen)を用いて全血から単離した。二重鎖PCR反応については、市販のDNAを使用した(Roche Diagnostics)。DNAサンプルを0.2×Tris−EDTAバッファーで希釈し、10ng/μLのサケ精子DNA(Invitrogen)を添加して、反応容器へのDNA標的の非特異的な吸着を防止した。
オリゴヌクレオチド
以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
検出分子01:
CCGCAG*A*A*GATGAGATC(dTFAM)GCGGTGTTGGTCGTAGAGCCCAGAACGATTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT
修飾:5’:DABCYL;3’:C6NH2
=ホスホチオエート
検出分子02:
CCGCAG*A*A*GATGAGATC(dT-Cy5)GCGGTGTTCACTGACCGAACTGGAGCATTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT
修飾:5’:BHQ-2;3’:C6NH2
標的:大腸菌K12ペプチドグリカン結合リポタンパク質(pal遺伝子)、Gene Bankアクセッション番号X05123
フォワードプライマー:GGCAATTGCGGCATGTTCTTCC
リバースプライマー:TGTTGCATTTGCAGACGAGCCT
加水分解プローブ:ATGCGAACGGCGGCAACGGCAACATGT
修飾:5’:6-FAM;3’:BHQ-1
メディエータープローブ:AAATCGTTCTGGGCTCTACGCGAACGGCGGCAACGGCAACATGT
修飾:3’:PH
標的:黄色ブドウ球菌表皮剥脱毒素B
フォワードプライマー:AGATGCACGTACTGCTGAAATGAG
リバースプライマー:AATAAAGTACGGATCAACAGCTAAAC
加水分解プローブ:CCGCCTACTCCTGGACCAGG
修飾:5’:6-FAM;3’:BBQ
メディエータープローブ:AAATCGTTCTGGGCTCTACGGTATTCACAGTGGTAAAGGCGGACAACA
修飾:3’:PH
標的:HPV18 Gene Bankアクセッション番号NC_001357.1
フォワードプライマー:GCTGGCAGCTCTAGATTATTAACTG
リバースプライマー:GGTCAGGTAACTGCACCCTAA
加水分解プローブ:GGTTCCTGCAGGTGGTGGCA
修飾:5’:6-FAM;3’:BHQ-1
メディエータープローブ:AATCGTTCTGGGCTCTACGGTTCCTGCAGGTGGTGGCA
修飾:3’:PH
標的:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)ACTB Gene Bankアクセッション番号AC_000068.1/HGNC:132
フォワードプライマー:TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA
リバースプライマー:CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG
加水分解プローブ01:ATGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCGT
修飾:5’:6-FAM;3’:DDQ-1
加水分解プローブ02:ATGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCGT
修飾:5’Cy5;3’:DDQ-2
メディエータープローブ01:AAATCGTTCTGGGCTCTACGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCGT
修飾:3’:PH
メディエータープローブ02:ATGCTCCAGTTCGGTCAGTGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCGT
修飾:3’:PH
修飾オリゴヌクレオチドを全てHPLCによって精製した。
メディエータープローブを二段階プロセスで設計した。プローブ領域及びメディエーター領域はヌクレオチドによって重複する。したがって、プローブ領域の5’末端はメディエーター領域の3’末端と一致する必要がある。本実験においては、グアノシンヌクレオチドをこの目的で使用した。プローブ領域を、加水分解プローブの開発に関するガイドライン(長さ:25ヌクレオチド〜30ヌクレオチド、プローブ融解温度:5℃〜10℃かつプライマー融点よりも高い)に従って設計した。メディエーター領域を、この領域が標的とのいかなる相同性も有しないように設計した。3’末端をリン酸基でブロックし、メディエータープローブの伸長を防ぐ。
検出分子の設計はコンピューター内で行い、不対一本鎖3’ストック(stock)を有するヘアピン構造を得た。RNAフォールドを用いて二次構造に関する予測を行い、VisOMP(視覚的オリゴヌクレオチドモデリングプログラム;Visual Oligonucleotide Modeling Program)を用いて融点を算出した。二次構造については、「ダングリング末端エネルギーなし」、「DNA環境」、「60℃」という設定を「高度フォールディング」オプションに選択した。鎖(strain)(GC含量71%)の融点は71.4℃であり、各々の熱サイクルにおける冷却工程(60℃)時のリフォールディングが可能となる。フォールディング構造はFRET対をもたらし、対は互いに空間的に近接して閉鎖された2つの鎖上に配置される。FRET対は5’末端クエンチャーを含み、高い消光効率を達成するために内部フルオロフォアを選択する。3’不対鎖は、メディエーター領域の逆相補配列(reverse complement)であるメディエーター領域の結合部位を含む。検出分子の伸長を防ぐために、3’末端をアミノ基でブロックした。修飾メディエーター結合部位及び別のFRET対を使用した以外は第1の検出分子と同一な配列を有する第2の検出分子を、二重鎖PCR実験に対して設計した。
消光効率
好適なフルオロフォア色素及びクエンチャーラジカルの選択は、高い消光効率及び特に少量の核酸の検出に対する分析感度を可能にするのにとりわけ重要である。消光効率を決定するために、DNase I処理の有無による蛍光放射を各々の二重標識加水分解プローブ及び検出分子について決定した。消光効率(Eq)を以下の通りに決定する:
Eq=1−(I未消化/I消化)×100
(式中、I未消化は未消化サンプルの蛍光放射であり、I消化はDNaseIで処理したサンプルの蛍光放射である)。
メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCR実験
メディエータープローブPCRの反応バッチは1×PCRバッファー(GenolD,Budapest,Hungary)、0.1U/μLのHot StarTaqプラスポリメラーゼ(Qiagen)、200μmol/Lのデオキシリボヌクレオチド(Qiagen)、300nmol/Lの検出分子(IBAによって合成)、300nmol/Lの標的特異的プライマー対及び200nmol/Lのメディエータープローブ(biomers.netによって合成)を含有する。加水分解プローブPCRの反応バッチは、加水分解プローブ(200nmol/L、biomers.netによって合成)に置き換えたメディエータープローブ以外は同量の試薬を含有する。さらに、検出分子を添加しなかった。次に、DNA鋳型分子を両方のバッチに添加した(陰性対照においては、同量のHOを代わりに添加した)。反応容量は10μLとした。
全てのリアルタイムPCR反応を、Corbett Rotor Gene 6000(Corbett ResearchPty、現Qiagen GmbH)において以下の普遍的熱サイクリングプロファイルを用いて行った:
95℃で5分間の初期ポリメラーゼ活性化、
95℃で15秒間の変性による45サイクル、及び、
60℃で45秒間のアニーリング及び伸長の複合工程。
蛍光シグナル検出を各々の伸長工程の終わりに行った。Rotor Gene 6000ソフトウェア(バージョン1.7.87)を用いてデータ分析を行った。
統計分析
HPV18検出の検出限界(LOD)を以下の通りに決定した。
様々なDNA濃度で増幅を行った(1反応当たり10コピー、10コピー、5×10コピー、10コピー、5×10コピー、10コピー、10コピー及び10−1コピー)。DNA濃度当たりの陽性増幅の量を決定した。SPSS(社会科学のための統計パッケージ(Statistical Package for Social Sciences)、バージョン19、IBM)を用いたプロビット分析により、1反応当たりのコピー数の予測が可能となり、95%確率での陽性増幅結果が得られる。
結果
消光効率
分解における全ての蛍光分子の蛍光放射は未消化プローブと比較して増大した。特異的加水分解プローブの観察されたEq値は、54.5%(3.1%)(Cy5/2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン−2(DDQ−2))〜92.7%(0.5%)(FAM/ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン−1(BHQ−1))であった。しかしながら、検出分子の消光効率は83.7%(1.4%)(Cy5/BHQ−2)〜90.9%(0.4%)(FAM/Dabcyl)であった。これらの結果は、最適条件下でのFAM/Dabcyl(80%〜91%)、FAM/BHQ−1(88%〜93%)及びCy5/BHQ−2(91%〜96%)の既知のEq値に相当する。
メディエータープローブPCR対加水分解プローブPCR
本実験においては、メディエータープローブPCRを加水分解プローブPCRと比較した。初めに、反応効率、LOD、アッセイ間変動、アッセイ内変動及び二重化特性を分析した。これらの実験については、種々の濃度のHPV18 DNA(他に記載のない限り、1反応当たり10コピー、10コピー、10コピー、10コピー及び10コピー)を、両方の技法を併用して増幅した。次に、種々の標的を2つの技法を併用して増幅した。
LOD(検出限界)
LODを、95%確率で陽性増幅をもたらすDNA濃度として決定した。プロビット分析によって、メディエータープローブPCRについては1反応当たり78.3コピー(1反応当たり95%CI:47.0コピー〜372.5コピー)、加水分解プローブPCRについては1反応当たり85.1コピー(95%CI:1反応当たり55.7コピー〜209.4コピー)の分析感度が明らかとなった(図12A)。
アッセイ内分散
5つの濃度のHPV18 DNA希釈系列(1反応当たり10コピー、10コピー、10コピー、10コピー及び10コピー)を、8回の反復実験で増幅した。0.975(メディエータープローブPCR)及び0.983(加水分解プローブPCR)というR値が優れた線形性を示した(図12B)。1反応当たり10コピー〜10コピーの増幅のCV率は、55.1%〜9.9%(メディエータープローブPCR)及び38.3%〜10.7%(加水分解プローブPCR)であった。精度は+21.6%〜−8.1%(メディエータープローブPCR)及び+19.4%〜−9.8%(加水分解プローブPCR)の範囲である。
アッセイ間分散
別個に調製した5つのバッチを、5つの濃度のHPV18 DNA希釈系列(1反応当たり10コピー、10コピー、10コピー、10コピー及び10コピー)の増幅に使用した。各々の濃度で3回調製した。0.940(メディエータープローブPCR)及び0.954(加水分解プローブPCR)というR値が増幅の線形性を示した(図12C)。1反応当たり10〜10のコピー数についてのアッセイ間分散は、25%〜8.7%(メディエータープローブPCR)及び34.7%〜12.7%(加水分解プローブPCR)であった。精度は+3.4%〜−7%(メディエータープローブPCR)及び−2%〜−12.4%(加水分解プローブPCR)の範囲である。
二重鎖増幅
HPV18 DNA(10個、10個、10個、10個及び10個の元のコピー)を含有するプラスミドのフラグメントを、300コピーのホモ・サピエンスゲノムと共増幅した。それぞれの反応を三連のバッチで行った。HPV18に対する加水分解プローブをFAM/BHQ−1で標識し、βアクチン(ACTB)に対するプローブをCy5/DDQ−2で標識した。二重鎖PCRについては、検出分子01をFAM/Dabcylで標識し、検出分子02をCy5/BHQ−2で標識した。図12Dは、メディエータープローブPCR(R=0.998)及び加水分解プローブPCR(R=0.988)についての種々のDNA濃度に対するHPV18増幅の線形性を示す。ACTB値の算出は、二重鎖実験に1つの濃度しか使用しなかったため行うことができなかった。サイクル値(定量化サイクル;Cq)を、メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCRについての赤チャネルにおいて0.02の閾値で決定した。共増幅したACTB及びHPV18 DNAサンプルの平均Cq値は、メディエータープローブPCR及び加水分解プローブPCRについて33.0(0.5)及び31.8(0.4)であった。
様々な標的
メディエータープローブPCRの普遍的性質が、4つの臨床的に関連する標的を用いた試験によって示された。比較のために、加水分解プローブPCRを各々の標的について並行して行った。各々の標的及び各々の増幅技法について入力コピー数と算出された出力コピー数との間の線形性を決定した(図13)。HPV18 L1遺伝子(メディエータープローブPCR R=0.999/加水分解プローブPCR R=0.975)、黄色ブドウ球菌表皮剥脱毒素B遺伝子(0.991/0.988)、大腸菌ペプチドグリカン結合リポタンパク質(大腸菌pal)遺伝子(0.996/0.988)及びヒトβアクチン遺伝子(0.991/0.993)の希釈系列の検出結果は、2つのPCR方法間で高い相関を示す。
Figure 0006265905
メディエータープローブPCR及びによって増幅された4つの標的の算出コピー数(出力数)。SD及び不正確さ(%CV)を各々の標的及びコピー数について算出した。
コピー数の定量化は実現可能ではない。ACTBの閾値を0.02に設定し、得られたC値を提示する。
論考:
本明細書に示される試験の優れた特徴は、標準的検出分子の使用を可能にする増幅と蛍光検出との分離である。メディエーター領域及び検出分子の配列をBLAST検索に従ってコンピューター内で設計したが、標的とのいかなる一致も示されない。検出分子はヘアピン二次構造を有するため、最適FRET消光条件(>90%(FAM/Dabcyl)、>80%(Cy5/BHQ−2))を示す。ヘアピン構造内でフルオロフォア及びクエンチャーが空間的に近接していることにより高い一定の消光効率が示される。本明細書に示される結果とは対照的に、従来技術のFAM標識加水分解プローブは、種々の消光ラジカル及びドナーとアクセプタとの距離に応じて60%〜93%の消光効率を規則的にもたらす。Cy5/DDQ−2標識加水分解プローブは、僅か55%という低いEq値を有する。
HPV18 DNAの増幅をモデルアッセイとして選択し、新たなメディエータープローブと、従来技術の究極の判断基準である加水分解プローブとを互いに比較した。
両方のプローブについてプロビット分析を用いてLODを決定した(メディエータープローブ:1反応当たり78.3コピー;加水分解プローブ:1反応当たり85.1コピー)。1反応当たり10コピー〜10コピーについてのアッセイ間分散及びアッセイ間分散は同じ桁であった(メディエータープローブ25%〜8.7%、55.1%〜9.9%;加水分解プローブ34.7%〜12.7%、38.3%〜10.7%)。
50秒間から6秒間までの様々なPCR試験における伸長時間の短縮は、定量化に対して悪影響を及ぼさなかった。これらの結果から、メディエータープローブPCRが、最新のリアルタイムサーモサイクラーを用いて行うことができる高速サイクリングプロトコルに好適であることが示される。
異なるハイブリダイゼーション配列及びFRET修飾を有する2つの異なる検出分子を設計した。これらのレポーター系は、任意の標的遺伝子の組合せを検出することが可能であり、これらの系はコストを低減し、日常診断試験に使用することができる。このため、種々の量のHPV18 DNA及び一定のコピー数のACTBの共増幅が首尾よく実証された。

Claims (15)

  1. 少なくとも1つの標的分子を検出する方法であって、
    プローブ領域とメディエーター領域とを含む少なくとも1つの標的分子の検出用のメディエータープローブであって、該メディエータープローブがオリゴヌクレオチドであり、前記プローブ領域が該オリゴヌクレオチドの3’末端にあり、前記メディエーター領域が該オリゴヌクレオチドの5’末端にあり、前記領域間に化学的、生物学的及び/又は物理的な切断部位が存在し、前記プローブ領域が鋳型分子に対して親和性を有し、前記メディエーター領域が検出分子に対して別の親和性を有し、該メディエータープローブが前記切断部位での前記鋳型分子の増幅プロセス中に切断され、切断された該メディエーター領域と前記検出分子との相互作用が検出可能なシグナルを誘発することを特徴とする、メディエータープローブ、及び
    検出分子であって、前記検出分子がオリゴヌクレオチドであり、少なくとも、
    a.蛍光アクセプタ及び蛍光ドナーのいずれか1を有する、前記検出分子の5’末端の第1の領域と、
    b.前記メディエーター領域と相互作用する第2の領域と、
    c.蛍光ドナー及び蛍光アクセプタの他方の1を有する第3の領域と、
    を有することを特徴とする、検出分子
    含み、
    I.前記メディエータープローブのプローブ領域を、鋳型分子及び/又は標的分子の配列に結合させる工程と、ここで該標的分子がDNA配列である場合には該標的分子が該鋳型分子であり、及び該標的分子がDNA配列ではない場合には該鋳型分子がオリゴヌクレオチドアプタマーであって、
    II.前記鋳型分子及び/又は前記標的分子を、5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼにより増幅する工程と、ここで該標的分子がDNA配列である場合には該標的分子が増幅され、及び該標的分子がDNA配列ではない場合には該ヌクレオチドアプタマーが増幅され、
    III.工程IIの間に、前記メディエータープローブを、前記ポリメラーゼによって切断部位で切断する工程と、及び
    IV.前記メディエータープローブの切断したメディエーター領域を検出分子に結合させる工程
    を含む、方法。
  2. 前記メディエータープローブを切断することが、分子量、酵素活性、親和性若しくは結合力を含む結合特性、化学的反応性、化学基の存在、伝導性、分極率若しくは電荷を含む電気特性、及び/又は光の吸収及び放出を含む光学的特性を含む群から選択される、前記メディエータープローブの少なくとも1つの領域の物理的特性及び/又は化学的特性の変化を誘導することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記メディエーター領域が、前記検出分子の第2の領域に結合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記検出分子の第2の領域に結合した前記メディエーター領域が、ポリメラーゼによって酵素的に伸長し、前記検出分子が結合した前記メディエーター領域の3’末端に結合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記鋳型分子及び/又は前記標的分子の増幅が、PCR若しくはリアルタイムPCRによって達成されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記検出分子が、二次構造の変化、蛍光、リン光、質量、吸収、光の散乱、電気伝導性、酵素活性及び/又は親和性の変化を含む、前記メディエーター領域との直接的又は間接的な相互作用の結果として修飾されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記検出分子の物理的又は化学的に測定可能な変化が、前記メディエーター領域と前記検出分子の第2の領域との直接的又は間接的な相互作用によって起こることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 配列特異的又は配列非特異的な蛍光プローブ及び/又は発色プローブ又は蛍光色素が、前記メディエータープローブ及び/又は前記検出分子の少なくとも1つの領域と相互作用することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記検出分子が、切断、消化、鎖二重化、内部ハイブリダイゼーション、化学基の結合若しくは切断、又は蛍光、リン光若しくは発光の変化を含む、ポリメラーゼによる前記メディエーター領域との相互作用によって修飾されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記検出分子が、5’末端領域上及び/又はヘアピン構造内に少なくとも1つの蛍光修飾を有し、前記メディエーター領域との反応後に、前記蛍光修飾がポリメラーゼによって前記検出分子から切り離され、及び/又は前記検出分子の前記ヘアピン構造の5’末端が除去され、及び/又は前記ヘアピン構造がアンフォールドし、前記検出分子上で蛍光シグナルの変化が検出されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 少なくとも1つの標的分子がRNAであり、該RNAがcDNAへと転写され、該cDNAが前記鋳型分子であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 配列オーバーハングを有するプライマーを転写反応に使用し、前記メディエータープローブのプローブ領域がcDNAとオーバーハング配列とを含む領域に結合することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも1つの標的分子がペプチド又はタンパク質であり、前記鋳型分子がアプタマーであり、該アプタマーが前記ペプチド又は前記タンパク質に結合し、結合部位に前記メディエータープローブのプローブ領域が接近可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 混合物中の1つ又は複数の同様の又は異なる生体分子の検出への請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法の使用。
  15. 制限酵素の活性を使用し、検出分子が3’末端領域に、ポリメラーゼによるメディエーター領域との反応後に検出分子から切り離される化学保護基を有し、3’末端OH基が生成することを特徴とする、請求項14に記載の使用。
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