JP2005267958A - 高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高分子電解質型燃料電池の燃料ガス及び酸化剤ガスの流路への特段の断熱や保温を要さずに、燃料ガス及び酸化剤ガスが高い露点を有しながら高分子電解質膜に供給されるとともに、高分子電解質型燃料電池の出力増大時にも高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が抑制される高分子電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】 MEA10と、MEA10に近接して配設された燃料ガス全熱交換プレート57と、MEA10及び燃料ガス全熱交換プレート57の双方に近接して配設された酸化剤ガス全熱交換プレート58とが同一平面内に構成されたMEA−全熱交換プレート組立体20である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池の構造に関し、特に、MEA−全熱交換プレート組立体、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体及びそれらを用いた高分子電解質型燃料電池に関する。
高分子電解質型燃料電池の発電の基本原理は、触媒を介して燃料ガス及び酸化剤ガスからなる電池反応用ガスの成分がイオン化し、高分子電解質膜越しにイオン交換が行われることによって、いわゆる電池反応が発生するものである。このため、高分子電解質型燃料電池は高分子電解質膜に燃料ガス及び酸化剤ガスが暴露される構造を有している。
この電池反応に用いられる前記高分子電解質膜は、従来、フッ素系の高分子膜が最も一般的に使用されている。しかし、このフッ素系の高分子膜は、一般的には、湿潤した状態では電池反応に供される水素イオンの伝導性が高い特徴を有するものの、乾燥した状態では急激に水素イオンの伝導性が低下する。このため、高分子電解質型燃料電池では常に高分子電解質膜を適当な含水状態にすることが求められる。一般的には、加湿された燃料ガス及び酸化剤ガスを高分子電解質膜に暴露することによって高分子電解質膜の乾燥を防止している。
燃料ガス及び酸化剤ガスの加湿方法としては、燃料ガスの加湿は、加熱を調整しながら燃料ガスに水を添加する水蒸気改質法によって行われるのが通常である。一方、酸化剤ガスの加湿は、電池反応において生成される水分を含有する電池反応後の酸化剤ガスを利用するのが一般的である。具体的には、透水性及び伝熱性を有するが、ガスは透過しない性質を有する全熱交換膜が用いられる。すなわち、電池反応に供される前の酸化剤ガスと電池反応後の酸化剤ガスとを、全熱交換膜越しにそれぞれを暴露させることによって、全熱交換を行わせ、所望の加湿量を得る。この全熱交換膜として好適に用いられる膜は、電池反応にも好適に用いられる膜、すなわちフッ素系の高分子電解質膜である(特許文献1参照)。
特開2002−25584号公報
しかしながら、従来の高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの加湿では、高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の維持を考慮して設計されたものではなかった。
他方で、本発明者は、高分子電解質膜への燃料ガス及び酸化剤ガスの供給位置付近、すなわち、燃料ガス及び酸化剤ガスと最初に接触する箇所において高分子電解質膜は最も乾燥し、そのため、該箇所が経時的に損傷することを検証した。また、酸化剤ガス流路においては、電池反応によって生成される水によって酸化剤ガスが上流側から下流側に進むにつれて加湿される。また、燃料系統ガス流路においては、燃料ガスも水分も電池反応によって消費されるが、酸化剤ガス流路側で電池反応によって生成される水等余分な水分が容易に高分子電解質膜を透過してくる。これらの要因により、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路のガスは上流から下流に進むにつれて実質的に加湿されるので、下流側では損傷は発生せず、高分子電解質膜が最も乾燥している上流側で損傷が集中するものと検証した。
そして、本発明者は、高分子電解質型燃料電池の外部に加湿器を設け、高分子電解質膜の乾燥を防止する高分子電解質型燃料電池システム及びその運転方法を提案した(未公開:特願2003−299863)。
しかしながら、本発明者の上記の提案では、燃料ガス及び酸化剤ガスが高分子電解質膜到達するまでにそれらの露点が下がってしまうので、燃料ガス及び酸化剤ガスへの流路の特段の断熱や保温を要するものであった。また、高分子電解質型燃料電池の出力増大時においては、高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が認められた。これは、燃料ガス及び酸化剤ガスの需要の増大に対し、燃料ガス及び酸化剤ガスの加湿が追従できなかったり、それら流路の保温能力が追従できない、すなわち、流量の増大によって流路の温度が下がり、高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点が低下してしまうもの推察された。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、燃料ガス及び酸化剤ガスの流路への特段の断熱や保温を要さずに、燃料ガス及び酸化剤ガスが高い露点を有しながら高分子電解質膜に供給されるとともに、高分子電解質型燃料電池の出力増大時にも高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が抑制されることを可能とする、高分子電解質型燃料電池を提供することを目的としている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係るMEA−全熱交換プレート組立体は、MEAと、前記MEAに近接して配設された燃料ガス全熱交換プレートと、前記MEA及び前記燃料ガス全熱交換プレートの双方に近接して配設された酸化剤ガス全熱交換プレートとが同一平面内に構成される(請求項1)。このような構成とすると、加湿及び加熱後の燃料ガス及び酸化剤ガスがMEAの余熱によって保温されるようにすることが可能となるので、燃料ガス及び酸化剤ガスの流路への特段の断熱や保温を要さずに、高い露点の燃料ガス及び酸化剤ガスが高分子電解質膜に供給されることが可能となる。また、加熱源であるMEAと加湿場所である燃料ガス全熱交換プレート及び酸化剤ガス全熱交換プレートとが近接しているので、高分子電解質型燃料電池の出力増大時、すなわち電池反応出力増大時にも、高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が抑制されることが可能となる。
また、本発明に係る高分子電解質型燃料電池は、請求項1に記載のMEA−全熱交換プレート組立体の一方の主面にアノードセパレータの内面が対向するように配設されたアノードセパレータと、前記MEA−全熱交換プレート組立体の他方の主面にカソードセパレータの内面が対向するように配設されたカソードセパレータとを備えて構成されるセルを積層したスタックを備える高分子電解質型燃料電池であって、前記アノードセパレータの内面には、前記燃料ガス全熱交換プレートに対向する第1の領域を蛇行し、次いで、前記第1の領域と前記MEAに対向する第2の領域とを連絡して、前記第2の領域を蛇行するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータの外面には、前記第2の領域が背後に形成された領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートに対向する第3の領域が背後に形成された領域を蛇行するように、溝からなる冷却剤流路が形成され形成される(請求項2)。このような構成とすると、燃料ガスは、高分子電解質膜上において、最も冷却される場所に供給されてから、電池反応熱によって燃料ガスが昇温及び加湿される方向へと高分子電解質膜上を蛇行するので、燃料ガスが高い露点を維持し続けて高分子電解質膜全域にわたって曝露されることが可能となる。
前記MEA−全熱交換プレート組立体には、前記酸化剤ガス全熱交換プレートと前記MEAとの間に酸化剤ガス連通孔が形成され、前記アノードセパレータの内面には、前記第3の領域を蛇行し、次いで、前記第3の領域と前記酸化剤ガス連通孔と連絡するように、溝からなる酸化剤ガス流路が形成され、前記カソードセパレータの内面には、前記酸化剤ガス連通孔と前記MEAに対向する第4の領域とを連絡して、前記第4の領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第4の領域と前記酸化剤ガス全熱交換プレート及び前記燃料ガス全熱交換プレートの双方に対向する第5の領域とを連絡し、前記第5の領域を蛇行するように、溝からなる前記酸化剤ガス流路が形成される(請求項3)。このような構成とすると、酸化剤ガスは、高分子電解質膜上において、最も冷却される場所に供給されてから、電池反応熱によって燃料ガスが昇温及び加湿される方向へと高分子電解質膜上を蛇行するので、酸化剤ガスが高い露点を維持し続けて高分子電解質膜全域にわたって曝露されることが可能となる。
前記MEA−全熱交換プレート組立体は、前記MEAと、前記燃料ガス全熱交換プレートと、前記酸化剤ガス全熱交換プレートとがインサート成形法によって一体化されて成形されるとよい(請求項4)。このような構成とすると、前記MEA−全熱交換プレート組立体の枠体を製作する工程と、前記MEA、前記燃料ガス全熱交換プレート及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートを前記MEA−全熱交換プレート組立体の枠体に組み込む工程を集約することが可能となるので、前記MEA−全熱交換プレート組立体を短時間かつ低コストで製作することが可能となる。
本発明に係るMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体は、前記MEAと、前記燃料ガス改質プレートと、前記燃料ガス改質プレートと前記MEAとの間に、互いに近接して配設された前記燃料ガス全熱交換プレート及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートとが、同一平面内に構成される(請求項5)。このような構成とすると、燃料ガスの改質時の発生熱を燃料ガス及び酸化剤ガスの加熱及び加湿に利用することが可能となるので、高分子電解質型燃料電池の熱利用効率の向上を図ることが可能となる。
前記燃料ガス改質プレートは、前記高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料ガスの触媒燃焼反応の反応熱に耐えることができる耐熱性と、前記アノードセパレータと前記カソードセパレータとの電気的導通を阻止できる電気絶縁性を有する燃焼プレートを有して構成され、前記燃焼プレート表面には前記燃料ガスの触媒燃焼反応を可能とする触媒が担持されるとよい(請求項6)。このような構成とすると、燃焼プレート62が電気絶縁性及び触媒担持の機能を兼務することができるので、燃料ガス改質プレート61をコンパクトに構成することが可能となる。
前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体は、前記燃料ガス改質プレートが中央に配設され、その両側に一対の前記燃料ガス全熱交換プレート、前記酸化剤ガス全熱交換プレート及び前記MEAが配設されるとよい(請求項7)。このような構成とすると、燃料ガスの改質時の発生熱をより効率的に燃料ガス及び酸化剤ガスの加熱及び加湿に利用することが可能となるので、高分子電解質型燃料電池の熱利用効率の更なる向上を図ることが可能となる。
前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体は、前記MEAと、前記燃料ガス全熱交換プレートと、前記酸化剤ガス全熱交換プレートと、前記燃料ガス改質プレートとがインサート成形法によって一体化されて成形されるとよい(請求項8)。前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の枠体を製作する工程と、前記MEA、前記燃料ガス全熱交換プレート、前記酸化剤ガス全熱交換プレート及び燃料ガス改質プレートを前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の枠体に組み込む工程を集約することが可能となるので、前記MEA−全熱交換プレート組立体を短時間かつ低コストで製作することが可能となる。
本発明に係る高分子電解質型燃料電池は、請求項5に記載のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の一方の主面にアノードセパレータの内面が対向するように配設されたアノードセパレータと、前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の他方の主面にカソードセパレータの内面が対向するように配設されたカソードセパレータとを備えて構成されるセルを積層したスタックを備える高分子電解質型燃料電池であって、前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体組立体には、前記燃料ガス改質プレートと前記MEAとの間に燃料系統ガス連通孔が形成され、前記アノードセパレータの内面には、前記燃料ガス改質プレートに対向する第6の領域を蛇行し、次いで、前記第6の領域と前記燃料ガス全熱交換プレートに対向する第1の領域とを連絡し、前記第1の領域を蛇行し、次いで、第1の領域と前記MEAに対向する第2の領域とを連絡し、前記第2の領域を蛇行し、次いで、前記第2の領域と前記燃料系統ガス連通孔とを連絡するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、前記燃料系統ガス流路の前記第6の領域よりも上流において、前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる水分流路が形成され、前記第6の領域を蛇行している途中の前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる第1の空気流路が形成され、前記カソードセパレータの内面には、前記燃料系統ガス連通孔と前記燃料ガス改質プレートに対向する第7の領域とを連絡し、前記第7の領域を蛇行するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、前記燃料系統ガス連通孔において前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる第2の空気流路が形成され、少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータの外面には、前記第2の領域が背後に形成された領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートに対向する第3の領域と前記第6の領域との間の領域が背後に形成された領域を蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記第3の領域が背後に形成された領域を蛇行するように、溝からなる冷却剤流路が形成され形成される(請求項9)。このような構成とすると、余剰燃料ガスの燃焼熱によって、燃料ガスの改質を行うことが可能となると共に、燃料ガス改質時の発熱を、前記MEA、前記燃料ガス全熱交換プレート及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートの加熱に利用することが可能となるので、高分子電解質型燃料電池の熱利用効率の向上を図ることが可能となる。
前記第6の領域に流入する前記燃料系統ガス流路には、メタノールが供給されるとよい(請求項10)。このような構成とすると、燃料ガス改質としては比較的低温の領域で燃料ガスの改質を行うことが可能となるので、高分子電解質型燃料電池構成部材の耐熱性条件を緩和することが可能となる。
少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータいずれかの外面には、前記第6の領域であって、前記第1の空気流路との合流地点よりも下流側の領域が背後に形成されている領域を蛇行するように溝からなる高温冷却剤流路が形成されるとよい(請求項11)。このような構成とすると、前記第6の領域であって前記第1の空気流路との合流地点よりも下流側の領域を蛇行する燃料ガスの温度を独自に調整することが可能となるので、高分子電解質型燃料電池の温度調整の自由度を向上することが可能となる。
以上のように、本発明は、高分子電解質型燃料電池の燃料ガス及び酸化剤ガスの流路への特段の断熱や保温を要さずに、燃料ガス及び酸化剤ガスが高い露点を有しながら高分子電解質膜に供給されるとともに、高分子電解質型燃料電池の出力増大時にも高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が抑制されるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態にかかる高分子電解質型燃料電池の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係るスタック200の構造を示す分解斜視図である。図1においては、説明の便宜上、スタック200の積層構造の一部を分解して示している。
図1において、スタック200はセル100が積層されて構成されている。
セル100は、図1に示すように、アノードセパレータ21とカソードセパレータ24とによって、MEA−全熱交換プレート組立体20を挟んだものである。ここで、MEAとは、公知の高分子電解質膜―電極接合体(MEA:Membrane−Electrode−Assembly)をいう。
MEA−全熱交換プレート組立体20、カソードセパレータ21及びカソードセパレータ24のそれぞれの周縁部には、図1に示すように、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31と、燃料系統ガス排出マニフォルド孔32と、酸化剤ガス供給マニフォルド孔33と、酸化剤ガス排出マニフォルド孔34と、冷却剤供給マニフォルド孔35と、冷却剤排出マニフォルド孔36とが、それぞれ形成されている。
このように構成されたセル100が、図1に示すように、積層され、このスタック200が集電板(図示せず)及び絶縁板(図示せず)を介して端板(図示せず)で挟まれ、締結ボルト(図示せず)で両端から締結されている。ここで、セル100組み立て時には、MEA−全熱交換プレート組立体20、アノードセパレータ21及びカソードセパレータ24それぞれに設けられた各種マニフォルド孔31〜36は積層され、さらにセル100を積層したスタック200においては、スタック200を積層方向に貫通する各種マニフォルドを形成することになる。
さらに、図1に示すように、アノードセパレータ21あるいはカソードセパレータ24には、溝からなる燃料系統ガス流路22,酸化剤ガス流路25及び冷却剤流路23,26(図3及び図4参照)が形成されている。
図2(a)は、本実施の形態に係るMEA−全熱交換プレート組立体20の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線断面の断面図である。
図2に示すように、MEA−全熱交換プレート組立体20は、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58と、一対のガスケット13とを有して構成されている。
MEA−全熱交換プレート組立体20には、酸化剤ガス連通孔37が形成されている。酸化剤ガス連通孔37は、酸化剤ガス流路25を流通するガスがMEA−全熱交換プレート組立体20を貫通してアノードセパレータ21側とカソードセパレータ24側とを連通できるように形成されている。
MEA10,燃料ガス全熱交換プレート57、酸化剤ガス全熱交換プレート58及び酸化剤ガス連通孔37の位置関係は、酸化剤ガス全熱交換プレート58及び燃料ガス全熱交換プレート57は前記MEA10に近接し、かつ酸化剤ガス全熱交換プレート58と前記燃料ガス全熱交換プレート57とが近接するように配設され、酸化剤ガス連通孔37は、酸化剤ガス全熱交換プレート58とMEA10との間に形成されている。これにより、MEA10において発生する電池反応熱を燃料ガス及び酸化剤ガスの加湿及び加熱に効率よく利用できるような、燃料系統ガス流路22、酸化剤ガス流路25及び冷却剤流路23,26が形成できるようになる。ここでは、図2(a)において、MEA10の左下方に燃料ガス全熱交換プレート57が配設され、MEA10の右下方に酸化剤ガス全熱交換プレート58が配設されている。
MEA−全熱交換プレート組立体20は、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58とが同一平面内に構成されている。ここでは、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58とがガスケット13によって接合され、一体化して構成されている。例えば、熱接合法によって接合されている。
MEA10は、公知のものであり、一般的には、高分子電解質膜11と、一対の触媒層11aと、一対のガス拡散電極12とを有して構成されている。高分子電解質膜11は、水素イオンを選択的に透過する機能を有している。一対の触媒層11aは、高分子電解質膜11を挟むように、高分子電解質膜の両面に形成されていて、一般的には白金族金属触媒を担持したカーボン粉末が主成分となっている。一対のガス拡散電極12は、一対の触媒層11aの外面に高分子電解質膜11の周縁より内方に位置するように配設されていて、通気性と電子伝導性を併せ持つ炭素繊維で主に構成されている。
燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58は、全熱交換膜51を挟み込むようにして一対の膜保持プレート52が配設されることによって構成されている。
全熱交換膜51は、耐熱性、伝熱性及び透水性を有する素材である。例えば、高分子電解質膜11と同じ材質が好適である。ここでは、高分子電解質膜11と全熱交換膜51とは共通の膜で構成されている。もちろん、別々の膜で構成しても構わない。
膜保持プレート52は全熱交換膜51が露出するような形状を有する。例えば、網目状あるいは格子状である。このような構成により、全熱交換膜51の両面間で水分の交換が可能となる。また、全熱交換膜51の損傷を防知することが可能となる。
また、燃料ガス全熱交換プレート57は、燃料ガスへの加熱及び加湿が十分に確保できる大きさに構成されている。具体的には、燃料ガスの露点がMEA10の発電時の温度にまで、加湿及び加熱されるような面積に構成されている。酸化剤ガス全熱交換プレート58も同様に構成されている。
さらに、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレートとを別個に構成することによって、強度が小さく損傷のおそれのある高分子電解質膜11、あるいは全熱交換膜51の面積の拡大は抑制されるので、MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58の損傷を防止することが可能となる。
ガスケット13は、公知のものであり、MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58の外周を囲うようにして、高分子電解質膜11の両面に配設され、これらを同一平面内において一体化している。かかるガスケット13は、セル100組立時にアノードセパレータ21及びカソードセパレータ24に挟圧され、アノードセパレータ21及びカソードセパレータ24の内面間の間隙を閉塞するので、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却剤の漏出や他の流体との混合を防止することが可能となる。
図3(a)及び(b)は、本実施の形態に係るアノードセパレータ21のMEA−全熱交換プレート組立体20に対向する主面(以下、内面という)の平面図及びその他方の主面(以下、外面という)の平面図である。
図3(a)、(b)に示すように、アノードセパレータ21の周縁部には、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31、酸化剤ガス供給マニフォルド孔33、冷却剤供給マニフォルド孔35、燃料系統ガス排出マニフォルド孔32、酸化剤ガス排出マニフォルド孔34及び冷却剤排出マニフォルド孔36が形成されている。
そして、図3(a)に示すように、アノードセパレータ21の内面には、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20の酸化剤ガス連通孔37に対向する位置に窪み部、すなわちアノードセパレータ酸化剤ガス連通部38が形成されている。また、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31と燃料系統ガス排出マニフォルド孔32とを連絡するように溝からなる燃料系統ガス流路22と、酸化剤ガス供給マニフォルド孔33とアノードセパレータ酸化剤ガス連通部38とを連絡するように溝からなる酸化剤ガス流路25とが形成されている。
燃料系統ガス流路22は、途中、第1の領域22bにおいて蛇行形状を形成し、その下流側で、第2の領域22aにおいて蛇行形状を形成している。
ここで、第1の領域22bは、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20に配設された燃料ガス全熱交換プレート57に対向する領域である。このような構成により、燃料系統ガス流路22のガスが燃料ガス全熱交換プレート57の主面全域にわたって暴露され、十分な加湿と加熱が可能となる。
第2の領域22aは、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20に配設されたMEA10に対向する領域である。このような構成により、燃料系統ガス流路22のガスがMEA10の主面全域にわたって暴露され、十分な電池反応が可能となる。
また、第1の領域22bと第2の領域22aとを連絡する境界部流路22eは、第1の領域22bと第2の領域22aとの間を最短流路で連絡している。アノードセパレータ21の外面の境界部流路22eに対応する位置を流れるアノードセパレータ冷却剤流路23の冷却剤は、後述するようなアノードセパレータ冷却剤流路23の構成により、電池反応熱を吸収して加熱された状態となっている。したがって、境界部流路22eが第1の領域22b以下の温度に冷却されることはなく、結露による水蒸気量の低下の恐れもない。このような構成により、境界部流路22eを流れるガスの温度低下が防止されるので、第1の領域22bで高い露点を有したガスを第2の領域22aにおいて水分飽和状態で暴露することが可能となる。
さらに、第2の領域22aでの燃料系統ガス流路22の蛇行は、アノードセパレータ21の外面に形成されるアノードセパレータ冷却剤流路23と蛇行進行方向が一致するように形成されている。すなわち、第2の領域22aでは、燃料系統ガス流路22は、背後に形成されたアノードセパレータ冷却剤流路23の上流側端部に対応する位置に到達してから蛇行するように形成されている。したがって、燃料系統ガス流路22のガスは降温する方向に導かれてから、昇温方向に蛇行させられることになる。そして、第2の領域22aにおいては、燃料系統ガス流路22の下流に進むに従い、電池反応熱により雰囲気温度は上昇し、飽和水蒸気量も増大する。他方で、電池反応の生成水が酸化剤ガス流路側から高分子電解質膜11を透過してくるので、燃料系統ガス流路22の水蒸気量も増大する。このような構成により、第2の領域22aにおける燃料系統ガス流路22内を水分飽和状態に維持することが可能となる。
酸化剤ガス流路25は、途中、第3の領域25bにおいて蛇行形状を形成する。
第3の領域25bは、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20に配設された酸化剤ガス全熱交換プレート58に対向する領域である。このような構成により、酸化剤ガス流路25のガスが酸化剤ガス全熱交換プレート58の主面全域にわたって暴露されるので、十分な加湿と加熱が行われるようにすることが可能となる。
また、第3の領域25bとアノードセパレータ酸化剤ガス連通部38とは、最短流路で連絡している。このような構成により、前述した境界部流路22eと同様にして、酸化剤ガス流路25を流れるガスの温度低下が防止されるので、第3の領域25bで高い露点を有したガスを結露させることなくアノードセパレータ酸化剤ガス連通部38に供給することが可能となる。
図3(b)に示すように、アノードセパレータ21の外面には、冷却剤供給マニフォルド孔35と冷却剤排出マニフォルド孔36とを連絡するように溝からなるアノードセパレータ冷却剤流路23が形成されている。
アノードセパレータ冷却剤流路23は、アノードセパレータ21の外面を広く蛇行するように形成されている。また、その蛇行進行方向が、背後に第2の領域22aが形成されている領域から背後に第1の領域22b及び第3の領域25bが形成されている領域を経由するように形成されている。
図4(a)及び(b)は、それぞれ本実施の形態に係るカソードセパレータ24の内面の平面図及び外面の平面図である。
図4(a),(b)に示すように、カソードセパレータ24の周縁部には、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31、酸化剤ガス供給マニフォルド孔33、冷却剤供給マニフォルド孔35、燃料系統ガス排出マニフォルド孔32、酸化剤ガス排出マニフォルド孔34及び冷却剤排出マニフォルド孔36が形成されている。
そして、図4(a)に示すように、カソードセパレータ24の内面には、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20の酸化剤ガス連通孔37に対向する位置に窪み部、すなわちカソードセパレータ酸化剤ガス連通部39が形成されている。また、カソードセパレータ酸化剤ガス連通部39と酸化剤ガス排出マニフォルド孔34とを連絡するように溝からなる酸化剤ガス流路25が形成されている。
酸化剤ガス流路25は、途中、第4の領域25aにおいて蛇行形状を形成し、その下流側で、第5の領域25cにおいて蛇行形状を形成する。
第4の領域25aは、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20に配設されたMEA10に対向する領域である。このような構成により、酸化剤ガス流路25のガスがMEA10の主面全域にわたって暴露されるので、電池反応が十分に行われるようにすることが可能となる。
第5の領域25cは、セル100組立時に、MEA−全熱交換プレート組立体20に配設された燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58に対向する位置に形成されている。このような構成により、電池反応によって加湿及び加熱された酸化剤ガス流路25のガスが、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58の主面全域にわたって暴露されるので、十分に水分が全熱交換膜51を透過するようにすることが可能となり、ひいては、第1の領域22bの燃料系統ガス流路22のガス及び第3の領域25bの酸化剤ガス流路25のガスの加湿と加熱が可能となる。
また、カソードセパレータ酸化剤ガス連通部39と第4の領域25aとは、最短流路で連絡している。このような構成により、前述した境界部流路22eと同様の理由により、酸化剤ガス連通孔37を連通する酸化剤ガスの温度低下が防止されるので、酸化剤ガス流路25において、第3の領域25bで高い露点を有したガスを第4の領域25aにおいて水分飽和状態で暴露することが可能となる。
さらに、第4の領域25aでの酸化剤ガス流路22は、第2の領域22aでの燃料系統ガス流路22と同様に形成されている。すなわち、背後に形成されたカソードセパレータ冷却剤流路26の上流側端部に対応する位置に到達して、そこから蛇行するように形成される。したがって、酸化剤ガス流路22のガスは降温する方向に導かれてから、昇温方向に蛇行させられることになる。そして、第4の領域25aにおいては、酸化剤ガス流路25の下流に進むに従い、電池反応熱により雰囲気温度は上昇し、飽和水蒸気量も増大する。他方で、電池反応の生成水によって、酸化剤ガス流路22の水蒸気量も増大する。このような構成によって、第4の領域25aにおける酸化剤ガス流路22内を水分飽和状態を維持することが可能となる。
図4(b)に示すように、カソードセパレータ24の外面には、冷却剤供給マニフォルド35と冷却剤排出マニフォルド36とを連絡するように溝からなるカソードセパレータ冷却剤流路26が形成されている。
カソードセパレータ冷却剤流路26は、スタック200組立時には積層される隣のセル100のアノードセパレータ冷却剤流路23と重なるように形成されている。すなわち、冷却剤供給マニフォルド孔35から背後に第4の領域25aが形成された領域と、背後に第5の領域25cが形成された領域とを順次経由して冷却剤排出マニフォルド孔36に連絡するように形成されている。
なお、本実施の形態においては、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26を重なるように形成しているが、いずれか一方のみを形成してもよい。アノードセパレータ21及びカソードセパレータ24の内面の所要の冷却が達成されれば十分だからである。
ここで、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26は、それぞれアノードセパレータ21及びカソードセパレータ24の外面において、MEA10が第2の領域22aと第4の領域25aとの間に挟まれてなる電池反応機構300(図1参照)が背後に形成された領域を経由することになる。このような構成により、電池反応機構300を電池反応の触媒反応に適した温度に冷却することが可能となる。例えば、高分子電解質型燃料電池において好適に用いられる白金族金属触媒の場合、60℃乃至80℃に冷却されることが好ましい。
さらに、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26は、背後に電池反応機構300が形成された領域の下流側で、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58が第1の領域22b及び第3の領域25bと第5の領域25cとの間に挟まれてなる全熱交換機構400(図1参照)が背後に形成された領域を経由することになる。このような構成により、電池反応機構300が背後に形成された領域において昇温した冷却剤を全熱交換機構400の加熱に利用することが可能となる。また、MEA10と近接して、酸化剤ガス全熱交換プレート58及び燃料ガス全熱交換プレート57が配設されているので、電池反応機構300が背後に形成された領域のすぐ下流側で、全熱交換機構400が背後に形成された領域を流通するようにアノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26を形成することが可能となる。
そして、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26を流れる冷却剤への電池反応熱の蓄積によって、電池反応機構300の背後を流れる冷却剤は、上流の方が最も温度が低く、電池反応熱の影響を受ける下流に進むに従って温度が高くなるという温度勾配が生じる。そして、最も昇温した冷却剤は、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26に従って、全熱交換機構400が背後に形成された領域を流れるので、最も昇温した冷却剤によって全熱交換機構400を加熱することが可能となる。
また、カソードセパレータ24の外面には、カソードセパレータ冷却剤流路26、冷却剤供給マニフォルド孔35及び冷却剤排出マニフォルド孔36を一体化した周囲と、その他の各種のマニフォルド孔(31〜34)それぞれの周囲とには、溝が形成され、弾性体16が嵌挿されている。このような構成により、スタック200組立時において、隣接するセル100のアノードセパレータ21の外面との間をシールすることが可能となる。弾性体16には、高分子電解質型燃料電池に一般に用いられている公知のスクイーズパッキンを用いることができる。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池の動作を説明する。
図1において、MEA10は、触媒層11aが電池反応をおこす温度に暖機されている。かかる暖機は、一般的にはスタック200に供給される冷却剤温度を調整したり、スタック200に組み込んだ電気ヒータを利用したりして、スタック200自体を加熱することによって行われる。
燃料系統ガス供給マニフォルド孔31が形成するマニフォルドには、燃料ガスが供給される。燃料系統ガス排出マニフォルド孔32が形成するマニフォルドには、燃料系統ガス流路22を経由したガスが排出される。酸化剤ガス供給マニフォルド孔33が形成するマニフォルドには、酸化剤ガスが供給される。酸化剤ガス排出マニフォルド孔34が形成するマニフォルドには、酸化剤ガス流路25を経由したガスが排出される。冷却剤供給マニフォルド孔35が形成するマニフォルドには、冷却剤が供給される。冷却剤排出マニフォルド孔36が形成するマニフォルドには、セルを流通した後の冷却剤が排出される。
燃料ガスは、アノードセパレータ21の燃料系統ガス供給マニフォルド孔31から燃料系統ガス流路22に供給され、第1の領域22bにおいて、燃料ガス全熱交換プレート57によって加熱及び加湿され、第2の領域22aに至る。
酸化剤ガスは、アノードセパレータ21の酸化剤ガス供給マニフォルド孔33から酸化剤ガス流路25に供給され、第3の領域25bにおいて、酸化剤ガス全熱交換プレート58によって加熱及び加湿され、アノードセパレータ酸化剤ガス連通部38から、酸化剤ガス連通孔37を経て、カソードセパレータ酸化剤ガス連通部39より第4の領域25aに至る。
ここで、MEA10には、第2の領域22aからは燃料ガス、第4の領域25aからは酸化剤ガスが暴露され、電池反応が発生する。この電池反応により発生する熱は、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26を流れる冷却剤に蓄積される。したがって、電池反応機構300は、その背後を流れるアノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26の下流になるほど温度は高くなる。
第4の領域25aにおいて電池反応に供された酸化剤ガスは、電池反応熱により加熱され、電池反応による生成水により加湿される。
加熱及び加湿された酸化剤ガスは、第4の領域25aから第5の領域25cに至り、第5の領域25cにおいて、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58を介して、第1の領域22bの燃料ガス流路22を流れるガス及び第3の領域25bの酸化剤ガス流路25を流れるガスを加湿及び加熱して、酸化剤ガス排出マニフォルド孔34に至る。
第2の領域22aにおいて電池反応に供された燃料系統ガス流路22のガスは、燃料系統ガス排出マニフォルド孔32に至る。
冷却剤は、図3及び図4において、冷却剤供給マニフォルド孔35から、アノードセパレータ冷却剤流路23あるいはカソードセパレータ冷却剤流路26に供給され、電池反応機構300が背後に形成された領域を蛇行し、次いで、全熱交換機構400が背後に形成された領域を蛇行して、冷却剤排出マニフォルド孔36に至る。ここで、冷却剤は、電池反応機構300が背後に形成された領域では電池反応熱を吸収し、全熱交換機構400が背後に形成された領域では蓄積した電池反応熱によって全熱交換機構400を加熱することとなる。
なお、第1の領域22b及び第3の領域25bにおいて、燃料ガスおよび酸化剤ガスに加湿可能な水蒸気量の上限は、それぞれの領域の温度における飽和水蒸気量となることから、これら領域の温度をより一層高くすれば、より高い露点のガスを第2領域22a及び第4領域25aに供給することが可能となる。このため、例えば、アノードセパレータ冷却剤流路23及びカソードセパレータ冷却剤流路26を流通する冷却剤の流量を絞ると、電池反応機構300が背後に形成された領域を流れる冷却剤の昇温幅は大きくなるので、全熱交換機構400が背後に形成された領域に達する冷却剤の温度はより一層高くなり、第1の領域22b及び第3の領域25bをより一層加熱するように調整することができる。
[実施例1]
高分子電解質膜11及び全熱交換膜51には、Dupont社のNaphion117(50μm厚)を用いた。
ガス拡散電極12には、撥水層形成済みの、ジャパンゴアテックス社製のカーベルCLを用いた。
ガスケット13には、EPDM/PEN(ポリエチレンナフタレート)/フッ素ゴムの三層構造を持つ面状ガスケット材(220μm厚)を用いた。MEA10が配設される領域(125mm×125mm)、燃料ガス全熱交換プレート57が配設される領域(60mm×15mm)、酸化剤ガス全熱交換プレート58が配設される領域(60mm×95mm)の3つの開口部は打ち抜いて製作した。
膜保持プレート52は、SUS316を格子状にエッチング加工して製作した(0.2mm厚)。
MEA−全熱交換プレート組立体20は以下のようにして製作した。
まず、比表面積800m2/g、DBP吸油量360ml/100gのケッチェンブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製ファーネスブラック)に、白金を重量比1:1の割合で担持させて触媒粉末を製作し、この触媒粉末10gに、水35gおよび水素イオン伝導性高分子電解質のアルコール分散液(旭硝子株式会社製、9%FSS)59gを混合し、超音波攪拌機を用いて分散させて、触媒層インクを製作した。この触媒インクを、ポリプロピレンフィルム(東レ株式会社製トレファン50−2500)に塗工し、乾燥してシート状の触媒を形成した。得られたシート状の触媒を120mm×120mmの矩形状に2枚切り抜いた。
高分子電解質膜11(全熱交換膜51と兼用)の両面に、この一対の矩形状の触媒を重なるように位置決めし、温度135℃、圧力3.2MPaの条件で転写して、高分子電解質膜11の両面に厚み10μmの触媒層11aを形成した。
次に、高分子電解質膜11の両面に、一対のガスケット13が、ガスケット13のEPDM側の面が高分子電解質膜11側に対向するようにして、かつ、MEA10が配設されるガスケット13の開口部の中央に一対の触媒層11aが露出するようにして配設され、さらに、露出した一対の触媒層11aを覆い隠すように、一対のガス拡散電極12(122.5mm×122.5mm)を配置して、これらを一括して熱圧着(130℃、1.5MPaの条件)をした。これにより、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58が配設されるガスケット13の開口部には、高分子電解質膜11が全熱交換膜51として露出した。なお、ガスケット13の周縁部からはみ出す高分子電解質膜は切除した。
全熱交換膜51を挟むようにして、一対の膜保持プレート52を嵌め込んで、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58を製作した。
酸化剤ガス連通孔37、各種マニフォルド31〜36は、MEA−全熱交換プレート組立体20を打ち抜いて形成した。
アノードセパレータ21及びカソードセパレータ24は、グラッシーカーボン(東海カーボン製)を切削加工して製作した。
スタック200は、セル100を66段積層して集電板、絶縁板を介して端板で締結して組み立てた。
燃料ガスは、都市ガスを水蒸気改質して製造した。含まれる水素含有率は80%であり、また露点は63℃であった。
酸化剤ガスは、空気を用いた。常温の空気をブロアによってスタック200に供給した。
本実施例の運転条件は、空気利用率40%、燃料利用率75%とした。
MEA10の暖機は、スタック200に供給される冷却剤温度を70℃として行った。
スタック200に供給される冷却剤流量は、スタック200から排出される冷却剤温度が77℃となるように調整した。
上記スタック200の運転に必要なガス量は、負荷電流密度0.1A/平方センチあたり、燃料ガス10.7リットル/分、酸化剤ガス50リットル/分であった。
本実施例の運転は、負荷電流密度を0.1A刻みで3分ごとに0.1Aから0.7Aまで上昇させ、その後同じインターバルで0.1Aまで絞る負荷変動運転を行った(図5参照)。
スタック200のセル100の一部において、第1の領域22bと第2の領域22aとの間、及び第3の領域25bと第4の領域25aとの間において、それぞれ流路を分岐してサンプリングを行うことができるようにアノードセパレータ21及びカソードセパレータ24とを加工しておき、第2の領域22a手前の燃料系統ガス流路22及び第4の領域25a手前の酸化剤ガス流路25を流れるガスの露点を計測することが出来るようにした。
また、比較例1として、高分子電解質型燃料電池とは別個に設けられる加湿器を用いた従来の高分子電解質型燃料電池システムを用いた。加湿器は、全熱交換の構造及び面積とも実施例1と等価であるが、断熱のみを施し、追加的な熱補給は行わず、また高分子電解質型燃料電池との配管(配管長30センチ)も注意深く断熱は施したが、同じく追加的な熱補給は行わなかった。
酸化剤ガス流路25においてサンプリングされた酸化剤ガスの露点挙動について、図5の結果を得た(燃料ガス流路22の燃料ガスの露点挙動については、燃料ガスの改質器の負荷変動に対する応答挙動による影響があることから割愛した)。
図中実線で示すように本実施例は、図中破線で示す比較例1に比して2℃ほど高い露点を示し、酸化剤ガスの露点温度は冷却剤温度70℃を越えていることが確認された。これは本実施例の方が、比較例に比べ、全熱交換における加湿量が豊富なことと、全熱交換後の配管あるいは流路における結露によって失われる水分が少ないことを反映したものと考えられた。
また、負荷増大局面では、露点の低下が認められた。これは負荷増大に比例して即座に需要が増える水蒸気量に対して、全熱交換の加湿能力及び配管あるいは流路における保温能力が追従しきれないでいたものと考えられた。ただし、比較例に対して本実施例は露点低下の度合いが小さかった。これは負荷増大に伴う発熱が応答性よく全熱交換の加熱に反映されていた結果と解された。なお、負荷減少局面で露点が安定していたのは、負荷減少に伴い電池反応による発生熱量が減少しても、全熱交換の加湿能力及び配管あるいは流路における保温能力は十分確保されたものと考えられた。
(変形例1)
実施の形態1において、MEA−全熱交換プレート組立体20は、ガスケット13の換わりに枠体14と弾性体16とによって構成することができる。
図6(a)は、本変形例にかかるMEA−全熱交換プレート接合体20の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線断面の断面図である。
図6に示すように、MEA−全熱交換プレート接合体20は、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58と、枠体14と、弾性体16とを有する。
枠体14は、機械的に強固な材料で構成されている。MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58の外周を囲うようにして、これらを同一平面内で一体化している。例えば、枠体14の素材に樹脂を用いて、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58とをインサート成形法によって樹脂モールドすることができる。ここでインサート成形法とは、成形する部材とは別の部材を、成形する部材と接合するように挿入して配設しておいて、成形加工を行う方法をいう(未公開:特願2003−099031参照)。
枠体14の両面には、MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57、酸化剤ガス全熱交換プレート58、各種マニフォルド孔31〜36及び酸化剤ガス連通孔37の周囲を包囲するように溝15が形成されている。
弾性体16は、溝15に嵌合することによって位置決めされ、嵌挿されている。ここで、弾性体16には、高分子電解質型燃料電池に一般に用いられている公知のスクイーズパッキンを用いることができる。また、嵌挿による方法以外に、二色成形法によって、枠体14に接合するようにして形成することもできる。ここで、二色成形法とは、2種類以上の異なる部材を、互いに接合するように配設しておいて、成形加工を行う方法であって、成形加工時に、互いの部材が融着するようにして成形が行われる方法をいう。(未公開:特願2003−099031参照)
インサート成形法及び二色成形法による製法を説明する。
まず、高分子電解質膜11と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58とが枠体14の樹脂素材と接合するようにして所定の位置に配設され、これらを一括して樹脂モールドし、樹脂製の枠体14が形成される(インサート成形法)。
次に、枠体14に形成された溝15に対して二色成形法により弾性体16を形成する。
最後に、高分子電解質膜11の両面に一対の触媒層11aと、一対のガス拡散電極12とが形成される。
この方法によって、MEA−全熱交換プレート組立体20は、一括して接合でき、精度よく、かつ簡便に製作される。
[実施例2]
実施例1におけるMEA−全熱交換プレート組立体20をインサート成形法および二色成形法によって一括して組み立てた。
MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58の平面サイズは実施例1と同一とした。
まず、実施例1同様に高分子電解質膜11の両面に触媒層11aを形成した後、触媒層11aの外縁部より5mm程度外側において触媒層11aが形成された高分子電解質膜11を切り抜いた。
燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58は、平面サイズを除いて同一構造であり、以下のようにして製作した。まず、実施例1同様にSUS316を格子状にエッチング加工して膜保持プレート52を製作し、この一対の膜保持プレート52で全熱交換膜51(Dupont社製Naphion117)を挟み、100℃、1.5MPaの条件で熱圧着を行った後、膜保持プレート52の外縁部の5mm程度外側において膜保持プレート52を有する全熱交換膜51を切り抜いた。
次に、枠体14は、前述の触媒層11aが形成された高分子電解質膜11、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58の外周部にグラスファイバー添加ポリプロピレン(出光石油化学株式会社製 R250G)をモールドして製作した。肉厚は1.2mmとした。
枠体14の両面の溝15の形状は、幅2.0mm、深さ0.3mmとした。
弾性体16は、ポリオレフィン系エラストマー、具体的には、サントプレーンジャパン株式会社製サントプレーン8101−55を用いて成形した。弾性体16は、枠体14の表面より0.6mm突出するように成形した。
その後、実施例1同様に一対の触媒層11aを覆い隠すように一対のガス拡散電極12を配置及び転写して製作し、MEA10を完成させ、MEA−全熱交換プレート組立体20を製作した。
実施例2についても実施例1同様の評価を行い、実施例1同様の好ましい結果を得た。
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態に係るスタック210の構造を示す分解斜視図である。図7においては、説明の便宜上、スタック210の積層構造の一部を分解して示している。
ここで、本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池のセル110は、実施の形態1における構成に加えて、燃料ガス前駆体を水蒸気改質反応によって燃料ガスに改質する燃料ガス改質機構500を有している。つまり、本実施の形態は、スタック210の燃料系統ガス供給マニフォルド孔31の積層から形成される燃料系統ガス供給マニフォルドには、燃料ガスに換えて燃料ガス前駆体が流通する点と、燃料系統ガス流路22に関与して構成の変更や新たな構成の追加がある点とを除いては、実施の形態1と同様である。したがって、本実施の形態では、実施の形態1との相違部分を説明する。
まず、本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池の構成を説明する。
図7において、セル110は、アノードセパレータ64とカソードセパレータ65とによって、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60を挟んだものである。
ここで、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60、アノードセパレータ64及びカソードセパレータ65には、それぞれ実施の形態1のMEA−全熱交換プレート組立体20、アノードセパレータ21及びカソードセパレータ24に追加して、燃焼用空気供給マニフォルド孔71、燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74,選択酸化用空気供給マニフォルド孔75、高温冷却剤供給マニフォルド孔76及び高温冷却剤排出マニフォルド孔77が形成されている。そして、スタック200と同様にして、セル110組立時には、これらは積層し、さらにセル110を積層したスタック210においては、スタック210を積層方向に貫通するマニフォルドをそれぞれ形成することになる。
図8(a)は、本実施の形態に係るMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60の平面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線断面の断面図である。
MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60は、MEA10と、燃料ガス全熱交換プレート57と、酸化剤ガス全熱交換プレート58と、燃料ガス改質プレート61とを、同一平面上に一体化して構成されている。かかる一体化には、例えば、実施の形態1と同様にガスケットによって一体化することもできる。ここでは、樹脂モールドした樹脂製の枠体67によって、一体化して構成されている。
ここで、燃料ガス改質プレート61は、MEA10から可能な限り離れた位置に配設されている。ここでは、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58を挟んでMEA10と反対側に、燃料ガス改質プレート61が配設されている。すなわち、図8(a)において下方側にMEA−全熱交換プレート20が延伸されて配設されている。このような配設により、燃料ガス改質プレート61の発熱によるMEA10の熱的損傷を極力回避することが可能となる。
また、MEA10と燃料ガス改質プレート61との間には、燃料系統ガス連通孔78が形成されている。燃料系統ガス連通孔78は、燃料系統ガス流路66を流通するガスがMEA−全熱交換プレート組立体−燃料ガス改質プレート組立体60を貫通してアノードセパレータ64側とカソードセパレータ65側とを連通できるように形成されている。
そして、燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74,選択酸化用空気供給マニフォルド孔75、高温冷却剤供給マニフォルド孔76,高温冷却剤排出マニフォルド孔77、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31及び燃料系統ガス排出マニフォルド孔32は、燃料ガス改質プレート61近傍に形成されている。燃焼用空気供給マニフォルド孔71は燃料系統ガス連通孔78の近傍に形成されている。
燃料ガス改質プレート61は、触媒燃焼反応に耐えうる耐熱性を有する素材であって、かつ、熱を対面側に伝達する伝熱性に優れた素材で構成する。また、アノードセパレータ64とカソードセパレータ65との間には電位を発生させるので、燃料ガス改質プレート61は、アノードセパレータ64とカソードセパレータ65とを電気的に導通させないように構成されている。そして、燃料ガス改質プレート61の表面には、燃料系統ガスの触媒燃焼反応を可能とする触媒を配設している。
ここでは、燃料ガス改質プレート61は、燃焼プレート62と、一対の保護プレート63とを有して構成されている。燃焼プレート62にはセラミッククロス、セラミックプレートなどを用いている。また、燃焼プレート62主面の表面は触媒を担持している。このような構成とすると、燃焼プレート62が電気絶縁性及び触媒担持の機能を兼務することができるので、燃料ガス改質プレート61をコンパクトに構成することが可能となる。ここで、触媒は、一方の主面において燃料系統ガス流路25のガスと空気との混合気を燃焼反応させるとともに、他方の主面において燃料ガス前駆体の水蒸気改質反応を進行させる触媒とする。例えば、白金族金属触媒とすることができる。燃料ガス前駆体がメタノールである場合には、白金族金属触媒を用いて、100℃乃至300℃の温度範囲で水蒸気改質反応を進行させることが可能となる。
一対の保護プレート63は、燃焼プレート62を挟むように、燃焼プレート62の両面に形成されている。
枠体67は、MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57、酸化剤ガス全熱交換プレート58及び燃料ガス改質プレート61の外周を囲うようにして、これらを同一平面内で一体化している。ここで、枠体67は、機械的に強固な材料であって、かつ燃料ガス改質機構500の温度に耐える耐熱性を有する材料によって構成されている。例えば、燃料ガス前駆体がメタノールである場合には、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、PI(ポリイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEK(ポリエーテルケトン)等の樹脂材料はこの条件を満たしており好適である。
図9(a)及び(b)は、それぞれ本実施の形態に係るアノードセパレータ64のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に対向する主面(以下、内面という)の平面図及びその他方の主面(以下、外面という)の平面図である。
図9(a),(b)に示すように、アノードセパレータ64には、セル110組立時にMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に形成された各種のマニフォルド孔に積層するように各種のマニフォルド孔(図中、31〜36,71,74〜77)が形成されている。
そして、図9(a)に示すように、アノードセパレータ64の内面は、実施の形態1に比較して、燃料系統ガス流路22が燃料系統ガス流路66に変更されている。実施の形態1のアノードセパレータ21に追加するようにして、溝からなる燃料ガス改質添加水流路90と,溝からなる選択酸化用空気流路(第1の空気流路)91と、窪みからなるアノードセパレータ燃料系統ガス連通部79とが形成されている。
ここで、アノードセパレータ燃料系統ガス連通部79は、セル110組立時に、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質機構組立体60の燃料系統ガス連通孔78に対向する位置に形成されている。
燃料系統ガス流路66は、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31とアノードセパレータ燃料系統ガス連通部79とを連絡するように形成され、途中、第6の領域22fにおいて蛇行形状を形成し、その下流側で、第1の領域22bにおいて蛇行形状を形成する。第6の領域22fは、セル110組立時に、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に配設された燃料ガス改質プレート61に対向する領域である。このような流路構成により、燃料系統ガス流路66のガスが燃料ガス改質プレート61の主面全域にわたって暴露されるので、燃料ガスの改質反応には十分な加熱が可能となる。
燃料ガス改質添加水流路90は、燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74から分枝して、燃料系統ガス流路の第6の領域22fよりも上流、例えば、図では添加水合流部90aにおいて、燃料系統ガス流路66に連絡するように形成されている。
また、第6の領域22fは、燃料系統ガス流路66内のガスが改質反応及びシフト反応をおこす温度に加熱される改質反応領域22gと、改質反応領域22gの下流側であり、燃料系統ガス流路22内のガスが選択酸化反応をおこす温度に調整される選択酸化領域22hとに区分される。
選択酸化用空気流路91は、選択酸化用空気供給マニフォルド孔75から分枝して、改質反応領域22gと選択酸化領域22hとの間、図では選択酸化用空気合流部91aにおいて燃料系統ガス流路66に連絡するように形成されている。
また、燃料系統ガス流路66、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31、燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74、選択酸化用空気供給マニフォルド孔75、アノードセパレータ燃料系統ガス連通部79、燃料ガス改質添加水流路90及び選択酸化用空気流路91を一体化した周囲と、酸化剤ガス供給マニフォルド孔33、酸化剤ガス流路25及びアノードセパレータ酸化剤ガス連通部38を一体化した周囲と、その他の各種のマニフォルド孔(32、34〜36,71,76,77)それぞれの周囲とには、溝からなるアノードセパレータ内面シール溝41が形成されている。アノードセパレータ内面シール溝41には、耐熱性に優れた弾性体44が嵌挿されている。弾性体44によって、セル110組立時において、対向するMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60との間をシールすることが可能となる。
弾性体44は、耐熱性を有する材質が用いられる。例えば、Dupont Dow Elastomars社製カルレッツからなるスクイーズパッキンが好適である。また、弾性体44は、嵌挿による方法以外に、二色成形法によってアノードセパレータ64に接合して形成することもできる。
図9(b)に示すように、アノードセパレータ64の外面には、冷却剤流路23に加えて、溝からなるアノードセパレータ高温冷却剤流路93が、高温冷却剤供給マニフォルド孔76から分岐し、選択酸化領域22hが背後に形成されている領域を蛇行して、高温冷却剤排出マニフォルド孔77に連絡するように形成されている。この高温冷却剤により選択酸化領域22hの燃料系統ガス流路22内のガスを、選択酸化反応をおこす温度に調整することが可能となる。
また、アノードセパレータ冷却剤流路68は、第2の領域22aが背後に形成されている領域を蛇行した後、第1の領域22b及び第3の領域25bと第6の領域22fとの間の領域が背後に形成されている領域を蛇行してから、第1の領域22b及び第3の領域25bが背後に形成されている領域を蛇行するように形成されている。このような流路構成により、冷却剤は燃料ガス改質機構500で発生する余熱を吸収した後、全熱交換機構400の加熱に利用することが可能となる。
図10(a)及び(b)は、それぞれ本実施の形態に係るカソードセパレータ65の内面の平面図及び外面の平面図である。
図10(a),(b)に示すように、カソードセパレータ65には、セル110組立時にMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に形成された各種のマニフォルド孔に積層するように各種のマニフォルド孔(図中、31〜36,71,74〜77)が形成されている。
そして、図10(a)に示すように、カソードセパレータ65の内面は、実施の形態1に追加するようにして、溝からなる燃焼用空気流路(第1の空気流路)95と、窪みからなるカソードセパレータ燃料系統ガス連通部80と、溝からなる燃料系統ガス流路66とが形成されている。
ここで、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80は、セル110組立時に、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質機構組立体60の燃料系統ガス連通孔78に対向する位置に形成されている。
燃焼用空気流路(第2の空気流路)95は、燃焼用空気供給マニフォルド孔71とカソードセパレータ燃料系統ガス連通部80とを連絡するように形成されている。
燃料系統ガス流路66は、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80と燃料系統ガス排出マニフォルド孔32とを連絡するように形成され、途中、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80にて燃焼用空気流路95と合流し、第7の領域22iにおいて蛇行形状を形成する。第7の領域22iは、セル110組立時に、MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に配設された燃料ガス改質プレート61に対向する領域である。このような構成により、燃料系統ガス流路66のガスが燃料ガス改質プレート61の主面全域にわたって暴露されるので、十分な触媒燃焼反応が可能となる。
また、燃料系統ガス流路66、燃料系統ガス排出マニフォルド孔32、燃焼用空気供給マニフォルド孔71、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80、及び燃焼用空気流路95を一体化した周囲と、酸化剤ガス排出マニフォルド孔34、酸化剤ガス流路25及びカソードセパレータ酸化剤ガス連通部39を一体化した周囲と、その他の各種のマニフォルド孔(32、34〜36,71,76,77)それぞれの周囲とには、アノードセパレータ64の内面と同様にして、溝からなるカソードセパレータ内面シール溝42が形成され、耐熱性に優れた弾性体44が嵌挿されている。
図10(b)に示すように、カソードセパレータ65の外面には、スタック210組立時には積層される隣のセル110のアノードセパレータ冷却剤流路68及びアノードセパレータ高温冷却剤流路93と重なるようにカソードセパレータ冷却剤流路69及びカソードセパレータ高温冷却剤流路94が形成されている。
なお、本実施の形態においては、アノードセパレータ冷却剤流路68及びカソードセパレータ冷却剤流路69を重なるように形成しているが、いずれか一方のみを形成してもよい。アノードセパレータ64及びカソードセパレータ65の内面の所要の冷却が達成されれば十分だからである。
また、カソードセパレータ65の外面は、カソードセパレータ冷却剤流路69、冷却剤供給マニフォルド孔35及び冷却剤排出マニフォルド孔36を一体化した周囲と、カソードセパレータ高温冷却剤流路94、高温冷却剤供給マニフォルド孔76及び高温冷却剤排出マニフォルド孔77を一体化した周囲と、その他の各種のマニフォルド孔(31〜34、71,74,75)それぞれの周囲とには、アノードセパレータ64の内面と同様に、溝からなるカソードセパレータ外面シール溝43が形成され、耐熱性に優れた弾性体44が嵌挿されている。このような構成により、スタック210組立時において、隣接するセル110のアノードセパレータ64の外面との間をシールすることが可能となる。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池の動作を説明する。
燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74が形成するマニフォルドには水又は/及び水蒸気が流通する。
燃焼用空気供給マニフォルド孔71及び選択酸化用空気供給マニフォルド孔75が形成するマニフォルドには空気が流通する。
高温冷却剤供給マニフォルド孔76及び高温冷却剤排出マニフォルド孔77には水よりも高い温度での冷却に適した高温冷却剤が流通する。高温冷却剤としては、例えばシリコーンオイルが好適である。
燃料系統ガス供給マニフォルド孔31が形成するマニフォルドには、燃料ガス前駆体が流通する。ここで、燃料ガス前駆体には、水蒸気改質反応の反応温度が比較的低い流体が望ましい。例えば、水蒸気改質反応温度が300℃以下であるメタノールがよい。このような流体を用いることにより、MEA10と同一セル110内に設けられている燃料ガス改質機構500の余熱によって、MEA10などのセル110の構成部材の熱的損傷を軽微にすることが可能となる。
図9(a)において、アノードセパレータ64の燃料系統ガス供給マニフォルド孔31から燃料系統ガス流路66に供給された燃料ガス前駆体は、添加水合流部90aにおいて燃料ガス改質添加水流路90より供給される水分を添加され、改質反応領域22gに至る。改質反応領域22gにおいては、後述するような触媒燃焼反応によって燃料ガス改質プレート61の触媒反応が活性化する温度に加熱される。これによって、改質反応領域22gを流れる燃料ガス前駆体は改質反応及びシフト反応をおこし、数千ppm程度の濃度の一酸化炭素を含有する水素及び二酸化炭素の混合気に改質される。ここで、改質反応領域22gの温度は、燃料ガス前駆体をメタノールとし、燃料ガス改質プレート61の触媒に白金族金属触媒を用いた場合は、250℃に近いと好適である。
この混合気は、選択酸化用空気合流部91aにおいて空気を添加され、選択酸化領域22hに至る。選択酸化領域22hにおいては、燃料ガス改質プレート61の触媒が、一酸化炭素を選択的に酸化し二酸化炭素とする反応、いわゆる選択酸化反応をおこす温度に調整される。かかる温度の調整は、後述するような触媒燃焼反応による燃料ガス改質プレート61の加熱が選択酸化領域22hが背後に形成されている領域を蛇行するように形成されているアノードセパレータ高温冷却剤流路93及びカソードセパレータ高温冷却剤流路94を流れる高温冷却剤の温度及び流量によって調整されることによって行われる。これによって、選択酸化領域22hを流れる混合気は選択酸化反応をおこし、一酸化炭素濃度が数十ppmの濃度まで低減され、水素と二酸化炭素からなる燃料ガスに改質される。ここで、選択酸化領域22hの温度は、燃料ガス前駆体をメタノールとし、燃料ガス改質プレート61の触媒に白金族金属触媒を用いた場合は、150℃に近いと好適である。
燃料ガスは、選択酸化領域22hから、第1の領域22b及び第2の領域22aを経由して、アノードセパレータ燃料系統ガス連通部79に至る。第1の領域及び第2の領域における動作は、実施の形態1と同様である。
図10(a)において、アノードセパレータ燃料系統ガス連通部79のガスは、燃料系統ガス連通孔78を経て、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80に至り、燃焼用空気流路95の空気と合流し、燃料系統ガス流路66を通って、第7の領域22iに至る。第7の領域22iにおいては、燃料ガス改質プレート61の触媒によって、触媒燃焼反応がおこり、燃料改質プレート61を加熱する。触媒燃焼反応後のガスは、燃料系統ガス流路66を通って、燃料系統ガス排出マニフォルド32に至る。
酸化剤ガス流路25については、実施の形態1と同様である。
[実施例3]
MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57及び酸化剤ガス全熱交換プレート58は、実施例2と同じものを用いた。
燃焼プレート62は、セラミッククロスを用いた。セラミッククロスは、住友スリーエム社製ネクステル(厚さ0.3mm)を用いた。
燃料ガス改質プレート61は、以下のようにして製作した。まず、白金とシリカの質量比が2:100になるようにシリカゾル水溶液に白金を混和して、ジニトロジアミン白金水溶液を作り、これを30倍に水で希釈した触媒スラリー液を用意した。シリカゾル水溶液には、日産化学工業株式会社製スノーテックス(シリカ20Wt/VOL)を用いた。この触媒スラリー液にセラミッククロスを浸漬させた。この浸漬後のセラミッククロスを500℃の雰囲気で5時間、空気中で焼成した。これにより、目付け量0.3mg/cm2となる白金族金属触媒が担持されたセラミッククロスを得た。この白金族金属触媒担持セラミッククロスを120mm×80mmのサイズに切断して、同サイズで格子状にエッチング加工された一対の金属板を両面から重ね合わせ、金属板の端部とセラミッククロスとをロウ付けして仮止めし、燃料ガス改質プレート61を得た。金属板には、厚さ0.2mmのSUS410Sを用いた。
MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60は、MEA10、燃料ガス全熱交換プレート57、酸化剤ガス全熱交換プレート58及び燃料ガス改質プレート62の外周部にグラスファイバー添加ポリエーテルエーテルケトン(住友化学 ビクトレックス)をモールドして形成した。
枠体14は肉厚1.2mmとした。
弾性体44には、Dupont Dow Elastomars社製カルレッツを用いた。
アノードセパレータ64及びカソードセパレータ65には、熱間プレス成形カーボンセパレータを用いた。熱間プレス成形カーボンセパレータは、一般的には熱硬化性樹脂とカーボンとを主成分としており、300℃までの温度域での使用には支障はない。具体的には、カーボン粉とポリイミド樹脂からなる熱間成形セパレータ(Dupont社製 試作品)を用いた。
スタック210は、セル110を66段積層した。
このスタックを以下の方法で運転した。
燃料ガス前駆体はメタノールとした。
燃料ガス前駆体は、スタック210の外部において、冷却剤排出マニフォルド孔36から形成されるマニフォルドから排出される冷却剤と熱交換させることによって、気化させた後、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31によって形成されるマニフォルドに流通させた。気化後の燃料ガス前駆体の供給経路は適切に断熱をした。
高温冷却剤にはシリコーンオイルを用い、選択酸化領域22hが175℃になるよう、高温冷却剤の温度及び流量を調整した。
燃料ガス改質添加水は、スタック210の外部において、高温冷却剤排出マニフォルド孔77から形成されるマニフォルドから排出される高温冷却剤と熱交換させることによって、気化させた後、燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔74から形成されるマニフォルドに流通させた。ここで、燃料ガス改質添加水流路90の流通水量は、量論計算上燃料ガス改質反応に必要な量の2.7倍となるようにした。
燃焼用空気流路95の空気流量は、カソードセパレータ燃料系統ガス連通部80に到達する燃料系統ガス流路22のガス流量の7倍とした。
なお、本実施例では、燃料系統ガスの流量を一定とした場合には、電池負荷を増大させたときには、電池反応が活性化し、燃料利用率(以下、Ufという)は上がり、第7の領域22iに供給される燃料系統ガス流路のガス中の燃料ガス成分は減少する。このため、燃料ガス改質機構500において燃料ガスの水蒸気改質反応温度の維持に必要な触媒燃焼反応が得られなくなる。従って、Ufには、燃料ガスの供給不足が発生する臨界Ufが存在することになる。本実施例における臨界Ufは72%であった。
また、本実施例における燃料ガス改質機構500の熱効率は以下の通りと計算された。なお、本実施例における水蒸気改質反応温度は最高250℃であることから、反応熱及び潜熱に対して顕熱の影響は軽微であるから、顕熱は無視した。
水素の燃焼生成熱は、下記(1)式のとおり、285.84kj/molとなる。
2(g)+1/2O2(g)→H2O(g) ΔH=−285.84kj/mol(発
熱)・・・(1)
水の蒸発熱は、下記(2)式のとおり、44kj/molとなる。
2O(l)→H2O(g) ΔH=44kj/mol(吸熱)・・・(2)
メタノールの改質反応熱は、下記(3)式のとおり、49.5kj/molとなる。
CH3OH(g)+H2O(g)→3H2(g)+CO2(g) ΔH =−49.5
kj/mol(吸熱)・・・(3)
本実施例では、第7の領域22iにおけるガスの触媒燃焼反応熱は、改質反応領域22g及び選択酸化領域22hにおける水蒸気改質反応に必要な熱であるとともに、燃料ガス前駆体の水蒸気改質反応燃料ガス改質添加水を気化させた高温冷却剤の加熱に必要な熱でもある。ここで、メタノール(1mol)の改質と燃料ガス改質添加水(2.7mol)の気化とに必要な熱量は、(2)式及び(3)式より、下記(4)式のとおり、168.3kjとなる。
49.5kj/mol+44×2.7=168.3kj・・・(4)
(4)式では、3molの水素が製造されることから、1モルの水素を製造するに必要な熱量は、168.3/3=56.1kj/molとなる。
他方、本実施例での臨界燃料利用率は72%であったことから、理論的には、1モルの水素の72%を電池反応で消費し、残り28%を第7の領域22iでの触媒燃焼反応に利用することができることになる。この熱量は、(1)式より、285×0.28=79.8kjとなる。
従って、単純計算の熱効率は、56.1/79.8=0.703。約70%の熱効率と計算された。ここで約30%の熱損失の大部分は燃料ガス改質機構500の放熱によって失われた部分と推定される。
実施例1と同様の運転を本実施例についても行い、酸化剤ガスの露点挙動を図5に示す。実施例1と同様に比較例に比して良好な結果を得た。
(実施の形態3)
図11は、本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池のセル120の積層構造を示す斜視図である。図12(a)及び(b)は、それぞれ本実施の形態に係るアノードセパレータ97のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体96に対向する主面(以下、内面という)の平面図及びその他方の主面(以下、外面という)の平面図である。また、図13(a)及び(b)は、それぞれ本実施の形態に係るカソードセパレータ98のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60に対向する主面(以下、内面という)の平面図及びその他方の主面(以下、外面という)の平面図である。
図11(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池は、実施の形態2で用いたセル110一対を、燃料系統ガス供給マニフォルド孔31及び高温冷却剤排出マニフォルド孔77を共有化し、その両側に対向するように配設して構成されている。換言すれば、一対のセル110を、MEA10が両端に位置するようにして、突き合わせて構成される高分子電解質型燃料電池である。このような構成により、温度の高い一対の燃料ガス改質機構500がセル100の中心部に位置し、その両側に一対の全熱交換機構400、さらに全熱交換機構400の外側に電池反応機構300が形成されるので、燃料ガス改質機構500の余熱をより効率的に全熱交換機構400における加熱及び加湿に用いることが可能となる。
本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池の構成は、実施の形態2に係る高分子電解質型燃料電池の構成を2つ並列に配設したものであるので、説明を省略する。
本実施の形態に係る高分子電解質型燃料電池の動作は、実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
[実施例4]
一対の実施例3におけるセル110が燃料系統ガス供給マニフォルド孔31及び高温冷却剤排出マニフォルド孔77を共有化し、その両側に対向するように配設してセル120を構成した。
また、運転条件も実施例3と同様として、運転試験を行い、臨界熱利用効率を測定したところ、76%であった。また、燃料ガス改質機構500の熱効率は理論上の計算でも82%となり、実施例3に比してなお好ましい結果を得た。
本発明に係る高分子電解質型燃料電池は、燃料ガス及び酸化剤ガスの流路への特段の断熱や保温を要さずに、燃料ガス及び酸化剤ガスが高い露点を有しながら高分子電解質膜に供給されるとともに、高分子電解質型燃料電池の出力増大時にも高分子電解質膜に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの露点の低下が抑制されることを可能とする高分子電解質型燃料電池として有用である。
本発明の実施の形態1に係るスタックの構造を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るMEA−全熱交換プレート組立体の平面図及びIIb−IIb線断面の断面図である。 本発明の実施の形態1に係るアノードセパレータのMEA−全熱交換プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。 本発明の実施の形態1に係るカソードセパレータのMEA−全熱交換プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。 本発明の実施例1に係る酸化剤ガス流路の酸化剤ガスの露点挙動特性図である。 本発明の変形例1に係るMEA−全熱交換プレート組立体の平面図及びVIb−VIb線断面の断面図である。 本発明の実施の形態2に係るスタックの構造を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態2に係るMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体60の平面図及びVIIIb−VIIIb線断面の断面図である。 本発明の実施の形態2に係るアノードセパレータのMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。 本発明の実施の形態2に係るカソードセパレータのMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。 本発明の実施の形態3に係るセルの積層構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3に係るアノードセパレータのMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。 本発明の実施の形態3に係るカソードセパレータのMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体に対向する主面の平面図とその他方の主面の平面図である。
符号の説明
10 MEA
11 高分子電解質膜
11a 触媒層
12 ガス拡散層
13 ガスケット
14 枠体
15 溝
16 弾性体
20 MEA−全熱交換プレート組立体
21 アノードセパレータ
22 燃料系統ガス流路
22a 第2の領域
22b 第1の領域
22e 境界部流路
22f 第6の領域
22g 改質反応領域
22h 選択酸化領域
22i 第7の領域
23 アノードセパレータ冷却剤流路
24 カソードセパレータ
25 酸化剤ガス流路
25a 第4の領域
25b 第3の領域
25c 第5の領域
26 カソードセパレータ冷却剤流路
31 燃料系統ガス供給マニフォルド孔
32 燃料系統ガス排出マニフォルド孔
33 酸化剤ガス供給マニフォルド孔
34 酸化剤ガス排出マニフォルド孔
35 冷却剤供給マニフォルド孔
36 冷却剤排出マニフォルド孔
37 酸化剤ガス連通孔
38 アノードセパレータ酸化剤ガス連通部
39 カソードセパレータ酸化剤ガス連通部
41 アノードセパレータ内面シール溝
42 カソードセパレータ内面シール溝
43 カソードセパレータ外面シール溝
44 弾性体
51 全熱交換膜
52 膜保持プレート
57 燃料ガス全熱交換プレート
58 酸化剤ガス全熱交換プレート
60 MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体
61 燃料ガス改質プレート
62 燃焼プレート
63 保護プレート
64 アノードセパレータ
65 カソードセパレータ
66 燃料系統ガス流路
67 枠体
68 アノードセパレータ冷却剤流路
69 カソードセパレータ冷却剤流路
71 燃焼用空気供給マニフォルド孔
74 燃料ガス改質添加水供給マニフォルド孔
75 選択酸化用空気供給マニフォルド孔
76 高温冷却剤供給マニフォルド孔
77 高温冷却剤排出マニフォルド孔
78 燃料系統ガス連通孔
79 アノードセパレータ燃料系統ガス連通部
80 カソードセパレータ燃料系統ガス連通部
90 燃料ガス改質添加水流路
90a 添加水合流部
91 選択酸化用空気流路(第1の空気流路)
91a 選択酸化用空気合流部
93 アノードセパレータ高温冷却剤流路
94 カソードセパレータ高温冷却剤流路
95 燃焼用空気流路(第2の空気流路)
96 MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体
97 アノードセパレータ
98 カソードセパレータ
100 セル
110 セル
120 セル
200 スタック
210 スタック
220 スタック
300 電池反応機構
400 全熱交換機構
500 燃料ガス改質機構

Claims (11)

  1. MEAと、
    前記MEAに近接して配設された燃料ガス全熱交換プレートと、
    前記MEA及び前記燃料ガス全熱交換プレートの双方に近接して配設された酸化剤ガス全熱交換プレートとが、同一平面内に構成されたMEA−全熱交換プレート組立体。
  2. 請求項1に記載のMEA−全熱交換プレート組立体の一方の主面にアノードセパレータの内面が対向するように配設されたアノードセパレータと、
    前記MEA−全熱交換プレート組立体の他方の主面にカソードセパレータの内面が対向するように配設されたカソードセパレータとを備えて構成されるセルを積層したスタックを備える高分子電解質型燃料電池であって、
    前記アノードセパレータの内面には、前記燃料ガス全熱交換プレートに対向する第1の領域を蛇行し、次いで、前記第1の領域と前記MEAに対向する第2の領域とを連絡して、前記第2の領域を蛇行するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、
    少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータの外面には、前記第2の領域が背後に形成された領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートに対向する第3の領域が背後に形成された領域を蛇行するように、溝からなる冷却剤流路が形成され形成された、高分子電解質型燃料電池。
  3. 前記MEA−全熱交換プレート組立体には、前記酸化剤ガス全熱交換プレートと前記MEAとの間に酸化剤ガス連通孔が形成され、
    前記アノードセパレータの内面には、前記第3の領域を蛇行し、次いで、前記第3の領域と前記酸化剤ガス連通孔と連絡するように、溝からなる酸化剤ガス流路が形成され、
    前記カソードセパレータの内面には、前記酸化剤ガス連通孔と前記MEAに対向する第4の領域とを連絡して、前記第4の領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第4の領域と前記酸化剤ガス全熱交換プレート及び前記燃料ガス全熱交換プレートの双方に対向する第5の領域とを連絡し、前記第5の領域を蛇行するように、溝からなる前記酸化剤ガス流路が形成された、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池。
  4. 前記MEAと、前記燃料ガス全熱交換プレートと、前記酸化剤ガス全熱交換プレートとがインサート成形法によって一体化されて成形された、請求項1に記載のMEA−全熱交換プレート組立体。
  5. 前記MEAと、
    前記燃料ガス改質プレートと、
    前記燃料ガス改質プレートと前記MEAとの間に、互いに近接して配設された前記燃料ガス全熱交換プレート及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートとが、同一平面内に構成されたMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体。
  6. 前記燃料ガス改質プレートは、前記高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料ガスの触媒燃焼反応の反応熱に耐えることができる耐熱性と、前記アノードセパレータと前記カソードセパレータとの電気的導通を阻止できる電気絶縁性を有する燃焼プレートを有して構成され、
    前記燃焼プレート表面には前記燃料ガスの触媒燃焼反応を可能とする触媒が担持された、請求項5に記載のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体。
  7. 前記燃料ガス改質プレートが中央に配設され、その両側に一対の前記燃料ガス全熱交換プレート、前記酸化剤ガス全熱交換プレート及び前記MEAが配設された、請求項5に記載のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体。
  8. 前記MEAと、前記燃料ガス全熱交換プレートと、前記酸化剤ガス全熱交換プレートと、前記燃料ガス改質プレートとがインサート成形法によって一体化されて成形された、請求項5に記載のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体。
  9. 請求項5に記載のMEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の一方の主面にアノードセパレータの内面が対向するように配設されたアノードセパレータと、
    前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体の他方の主面にカソードセパレータの内面が対向するように配設されたカソードセパレータとを備えて構成されるセルを積層したスタックを備える高分子電解質型燃料電池であって、
    前記MEA−全熱交換プレート−燃料ガス改質プレート組立体組立体には、前記燃料ガス改質プレートと前記MEAとの間に燃料系統ガス連通孔が形成され、
    前記アノードセパレータの内面には、前記燃料ガス改質プレートに対向する第6の領域を蛇行し、次いで、前記第6の領域と前記燃料ガス全熱交換プレートに対向する第1の領域とを連絡し、前記第1の領域を蛇行し、次いで、第1の領域と前記MEAに対向する第2の領域とを連絡し、前記第2の領域を蛇行し、次いで、前記第2の領域と前記燃料系統ガス連通孔とを連絡するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、前記燃料系統ガス流路の前記第6の領域よりも上流において、前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる水分流路が形成され、前記第6の領域を蛇行している途中の前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる第1の空気流路が形成され、
    前記カソードセパレータの内面には、前記燃料系統ガス連通孔と前記燃料ガス改質プレートに対向する第7の領域とを連絡し、前記第7の領域を蛇行するように、溝からなる燃料系統ガス流路が形成され、前記燃料系統ガス連通孔において前記燃料系統ガス流路に合流するように、溝からなる第2の空気流路が形成され、
    少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータの外面には、前記第2の領域が背後に形成された領域を前記第2の領域における前記燃料系統ガス流路の蛇行の進行方向と一致するように蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記酸化剤ガス全熱交換プレートに対向する第3の領域と前記第6の領域との間の領域が背後に形成された領域を蛇行し、次いで、前記第1の領域及び前記第3の領域が背後に形成された領域を蛇行するように、溝からなる冷却剤流路が形成され形成された、高分子電解質型燃料電池。
  10. 前記第6の領域に流入する前記燃料系統ガス流路には、メタノールが供給される、請求項9に記載の高分子電解質型燃料電池。
  11. 少なくとも前記アノードセパレータあるいは前記カソードセパレータいずれかの外面には、前記第6の領域であって前記第1の空気流路との合流地点よりも下流側の領域が、背後に形成されている領域を蛇行するように溝からなる高温冷却剤流路が形成された、請求項9に記載の高分子電解質型燃料電池。

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