JP2005265560A - 燃料体収納ラックおよび燃料体収納ラックの設計方法 - Google Patents

燃料体収納ラックおよび燃料体収納ラックの設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料濃縮度が高くなっても燃料体収納率を低下させることなく、低コストで臨界安全性を確保することができる燃料体収納ラックを提供する。
【解決手段】燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列するとともに、これらの水ギャップに中性子吸収板をそれぞれ配置し、水中に設置される燃料体収納ラックにおいて、隣接する燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離を18mm以上、50mm以下とし、かつセル金属材の外表面と中性子吸収板の外表面との間隔に形成される水層の幅を7mm以上とし、セル金属材に含まれる中性子吸収材ボロン(B)の濃度を所定の値以下になるように抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原子炉用燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列し、水中に設置される燃料体収納ラックおよび燃料体収納ラックの設計方法に関するものである。
原子力発電所の水プールに設置されている燃料体収納ラックには、原子炉装荷前の新燃料体、原子炉から一時的に取り出された燃料体、および使用済みとなった燃料体が収納される。使用済燃料中間貯蔵施設では、原子炉施設から発送され、再処理施設あるいは永久処分施設へ運ばれる間の使用済燃料体が収納される。そして、使用済燃料再処理施設の水プールに設置される燃料体収納ラックには、搬入されてきて再処理されるまでの間、使用済燃料体が収納される。
これらの収納ラックでは絶対に臨界事故を起こしてはならない(臨界安全性の確保)。このため、古くは燃料体を収納する燃料セル相互間の間隔を十分に確保し、水の中性子遮蔽効果を利用して臨界安全性が確保されていた。原子力発電設備では設備費が高いことから、燃料を貯蔵する水プールの合理化設計方針により、燃料セル相互間の間隔を狭くして燃料体収納率を向上させる必要性が高まっている。
また、原子力発電の経済性向上の要求にしたがって燃料の濃縮度が高められ、臨界になり易くなることから、臨界安全性確保技術が必要視されるようになった。そこで、燃料セルを構成する構造材であるステンレス鋼(SUS)などに、硼素(ボロン:B)などの中性子吸収材を添加したB−SUS材などが採用されるようになった。すなわち、隣接する燃料セルの間に存在する水で中性子を減速させ、熱中性子となったものを燃料セル構成材に含まれる中性子吸収物質に吸収させる、いわゆる「中性子トラップ」方式が採用されるようになった。
この方式では、構造材に添加できる中性子吸収物質の濃度は限られており、B−SUSの場合、Bは1重量パーセント(wt%、以下、単に「%」のみで表示する)を越えると加工性が著しく低下するとともに、機械的な強度も低下するため、1%以下に抑制すべきであることは良く知られている。
ボロンの中で中性子を吸収するのは、天然硼素の中に20%程度含まれているB10であるため、このB10を濃縮すれば、ボロンの添加率を抑制しても中性子吸収能力は増大させることができるが、著しいコストの増大を招くことになり、商業用プラントに採用することは困難である。
図23は、沸騰水型原子炉(BWR)の燃料貯蔵プール1の水中に設置された燃料体収納ラック2を示し、図24は、その燃料体収納ラック2を拡大して示している。
これらの図に示すように、燃料体収納ラック2は、仕切板または角管3で構成した多数の燃料セル6を有し、燃料セル6には原子力発電プラントにおいて、原子炉装荷前の新燃料体、原子炉から一時的に取り出された燃料体、および使用済みとなった燃料体が収納される。そして、図24に示すように、燃料体収納ラック2の下部には台座4が設けられ、燃料体収納ラック2は固定ボルト5により、水張りされた燃料貯蔵プール1の床面に固定される。
原子力発電プラントにおいては一般に、原子炉を一定期間運転後、使用済となった燃料体が炉心から取り出され、当該使用済燃料体は、再処理工場へ搬出されるまでの間、上記のように、原子力発電所内の燃料貯蔵プールで貯蔵され、冷却される。
また、使用済となった燃料体は冷却の後、再処理されるため、輸送用に使用済燃料輸送容器のバスケットに収納され、輸送される。その後、使用済燃料体は再処理されるまで、再処理工場の使用済燃料受入貯蔵施設のプール内に設置された使用済燃料受入貯蔵ラック内に貯蔵される。
この再処理前の使用済燃料受入貯蔵プールおよび使用済燃料受入貯蔵ラックも、図23に示した原子力発電プラントの燃料貯蔵プールや、燃料体収納ラックとほぼ同一の形態をしている。
なお、図23には、原子力発電プラントの燃料貯蔵プールや燃料体収納ラックについて、BWRの例を示しているが、加圧水型原子炉(PWR)についても同様である。PWRの燃料は、BWRの燃料より大型のため、燃料セル6が大きいことなどに違いはあるが、PWR燃料用の燃料体収納ラックも図24に示した仕切板または角管3で構成した多数の燃料セル6を有するBWR燃料用の燃料体収納ラック2と同一の形態をしている。
また、使用済PWR燃料もPWRブラントの炉心から取り出され、燃料体収納ラックの燃料セルにおいて冷却された後、再処理のため輸送された場合は、再処理前の使用済燃料受入貯蔵プールに受け入れられ、再処理工場の使用済燃料受入貯蔵施設プール中の使用済燃料受入貯蔵ラックに貯蔵されるが、これもPWRプラントの燃料貯蔵プールや燃料体収納ラックとほぼ同一の形態をしている。
図24に示した燃料体収納ラック2には、燃料セル6の間に水領域がなく、燃料セル6間には燃料セル6を構成する仕切板または角管のみが存在する種類のもの、各燃料セル6を構成する仕切板または角管の間に水領域がある種類のもの、あるいは、それらを組み合わせた燃料体収納ラックがある。
これらの設計については、燃料セル6に収納する燃料体の初期濃縮度、燃料体の寸法により最低限必要となる燃料セル6の大きさ、燃料セル6を構成する仕切板または角管の厚み、仕切板または角管の材料等が考慮される。
また、それら材料中の中性子吸収材の含有の有無、あるいは、中性子可燃性毒物を含有する燃料体である場合にはその反応度低下効果を考慮すること(以下、「ガドリクレジット」という。)の有無、燃料体の燃焼による反応度低化を考慮する場合(以下、「燃焼度クレジット」という。)は、燃焼度クレジットの考慮の仕方や考慮の程度により、更に水の中性子の減速や遮蔽効果も考慮し、燃料体を一定の間隔を保ちながら貯蔵する燃料体収納ラックにおいて想定される、いかなる状況下においても未臨界性を保つことように決定される。
従来では、「中性子トラップ」効果を更に高めるべく、隣接する燃料セルの間に存在する間隙に、水よりも水素密度が大きい含水素物質を配置する案が示されている(特許文献1参照)。しかし、実際には含水素物質を収納する金属材料が必要となり、却って実効的な水素密度の低下を招き、また構造が複雑なため、製造コストの上昇を招くことになる。
さらに従来では、上記間隙に中性子吸収板を配置する案も提案されている(特許文献2参照)。しかし、具体的な検討についての記載はない。実際には、中性子吸収板と燃料セル構造材との間には水が存在し、中性子の複雑な挙動が発生し、期待と反対の現象が起こるような場合も存在することが明らかになっている。したがって、この提案も「中性子トラップ」効果を高めることを実現することができない。
特開平5−249290号公報 実開昭61−82295号公報
従来では、燃料体を収納する燃料セルを構成する構造材をステンレス材(SUS)またはSUSに硼素(ボロン:B)などの中性子吸収材を添加したB−SUS材とし、燃料セル相互間に間隔を持つ燃料体収納ラックにおいては、加工性や機械的な強度の観点から、B添加率を1%以下に抑制することが困難であった。
また、B10を濃縮した高価なBを使用せず、燃料セル相互間の間隙に中性子吸収板を配置することにより、「中性子トラップ」効果をさらに高め、燃料体収納率を向上させることも困難であった。
さらに、燃料セルを構成する材料に含まれるBなどの中性子吸収物質の添加量を低減し、製造コストの低減と強度確保を計ることができる燃料体収納ラックの条件が明確でなかった。また、その燃料体収納ラックの設計方法知られておらず、実用化が困難であった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、燃料濃縮度が高くなっても燃料体収納率を低下させることなく、低コストで臨界安全性を確保することができる燃料体収納ラックおよび燃料体収納ラックの設計方法を提供することを目的とする。
より具体的には、上述した特許文献2で提案されている構造を参照しつつ、隣接する燃料セルを構成するセル構造材の中性子吸収物質の濃度および水ギャップに配置する中性子吸収板およびセル金属材と中性子吸収板との中性子の複雑な挙動を解明することによって、従来の課題を解決するものである。
前記の目的を達成するために、請求項1に係る発明では、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列するとともに、これらの水ギャップに中性子吸収板をそれぞれ配置し、水中に設置される燃料体収納ラックにおいて、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離を18mm以上、50mm以下とし、かつ前記セル金属材の外表面と前記中性子吸収板の外表面との間隔に形成される水層の幅を7mm以上とし、前記セル金属材に含まれる中性子吸収材ボロン(B)の濃度を所定の値以下になるように抑制したことを特徴とする燃料体収納ラックを提供する。
本発明において、セル金属材の外表面間の水ギャップ距離の下限を18mmとするのは、このギャップ距離未満では、そのギャップ内に位置して形成される水層が薄くなり、中性子トラップ効果が小さくなるためである。本発明では、水ギャップ距離を18mm以上とすることにより、中性子吸収板の両外表面側に形成される各水層をそれぞれ7mm以上確保できる構成とし、望ましい中性子トラップ効果を得ることができるようにしている。
例えば、セル金属材の厚さ(t)が4mmの場合、中性子吸収板の両外表面側に形成される各水層の和が、7mm×2=14mmとなり、これにセル金属材の厚さ4mmを加えて18mmとなる。また、水ギャップ距離の上限を50mmとするのは、構成のコンパクト化を図るためである。このような構成により、コンパクトで、かつ望ましい中性子トラップ効果が得られるようになる。
請求項2に係る発明では、前記セル金属材は、ボロンを添加しないステンレス鋼またはボロンを1重量パーセント以下添加したボロン入りステンレス鋼で構成された請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
本発明において、ボロン(B)の添加量を1重量パーセント以下に規定するのは、ステンレス鋼(SUS)へのB添加量が1重量%を越えると、加工性、強度等において急に問題が多発するためである。なお、ボロンを添加しないステンレス鋼としては、ボラル、Gd−SUS等が考えられる。
請求項3に係る発明では、前記セル金属材は、ボロンを添加しないステンレス鋼と、ボロンを1重量パーセント以下添加したボロン入りステンレス鋼との組み合わせ材料で構成された請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
請求項4に係る発明では、前記セル金属材の厚さは、3mm以上かつ8mm以下である請求項2または請求項3記載の燃料体収納ラックを提供する。
セル金属材の厚さが3mm未満と薄い場合には十分な強度がえられない。また、過度の厚さに設定するとコンパクト化が測れない。強度的な面からセル金属材の厚さは8mmで十分である。
請求項5に係る発明では、前記中性子吸収板の厚さは、4mm以上かつ15mm以下である請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
中性子吸収板の厚さが15mmを超えると、例えば水ギャップが30mmでB添加量が1重量%の時などに設定したような場合には、逆効果となる。また、中性子吸収板の厚さが4mm未満では、ボロン充填量不足と強度上の問題が発生する。
請求項6に係る発明では、前記中性子吸収板は、炭化硼素(BC)粉粒を中空の平板状のステンレス鋼製容器に充填して構成され、充填された前記炭化硼素層の厚さは1.5mm以上かつ8mm以下であり、前記容器の一面を構成するステンレス鋼板の厚さは1mm以上かつ4mm以下である請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
C厚さを1.5mm以上かつ8mm以下に設定することにより、沸騰水型原子炉(BWR/CR)では実効が得られる。なお、BCを平板化すると約2mm厚が適合し、さらに少し薄くても良いことから、前記設定としたものである。なお、BC厚さは、8mmを超えても、反応度抑制効果は2mmの場合から格段に増加するものではない。
なお、BWR/CRのシース厚みは、BWR/4(旧厚型)で1.4mmであり、新型では1.1mmでスティフナ無しとされる。BWR/5薄型では、0.8mmでスティフナが必要であり、4mmを越えて強度を過剰に確保する必要は通常ない。
請求項7に係る発明では、前記中性子吸収板は、内直径3mm以上、外直径12mm以下のステンレス鋼管に炭化硼素(BC)粉粒を充填して吸収棒とし、多数の吸収棒を対向する2枚の平板状ステンレス鋼の間に配列して構成したものである請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
内直径が3mm未満では、BC充填が容易でない、BWR/CRでは3.5mmが適当である。外直径が12mmの場合、シースを含めると約15mmとなる。これを超える場合には、BCの過剰使用になる。
請求項8に係る発明では、前記中性子吸収板は、ボラール板、ボロン入りステンレス鋼板、GdとBとを添加したステンレス鋼板である請求項1記載の燃料体収納ラックを提供する。
請求項9に係る発明では、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列するとともに、これらの水ギャップに中性子吸収板をそれぞれ配置し、水中に設置される燃料体収納ラックにおいて、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離が18mm以上であり、前記水ギャップに前記セル金属材の外表面と前記中性子吸収板外表面との間隔である水層を7mm以上とするように中性子吸収板を配置することにより、前記中性子吸収板を配置する前に収納可能な燃料体の最高濃縮度を超え、収納可能な燃料体の最高濃縮度を大きくしたことを特徴とする燃料体収納ラックを提供する。
請求項10に係る発明では、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列し、前記水ギャップにおける、前記燃料セルを構成する炭化硼素からなるセル金属材の外表面間の距離を、18mm以上かつ50mm以下とし、この水ギャップの中央位置に、前記セル金属材の外表面との間に7mm以上の隙間を確保するように中性子吸収板を配置して、前記燃料セルに所定の燃料体を収納する水中体系を対象とする設計方法であって、前記中性子吸収板の条件を設定する工程と、前記セル金属材の厚みと硼素濃度とを仮設定する工程と、実効増倍率を計算し、この値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように、ボロン入りステンレス鋼材の外表面間の水ギャップ幅、ステンレス中のボロン濃度、およびボロン入りステンレス板厚を調節する工程とを備え、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料体収納ラックを設計することを特徴とする燃料体収納ラックの設計方法を提供する。
請求項11に係る発明では、水中に設置され、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列した燃料体収納ラックを対象とする設計方法であって、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離が18mm以上である場合に、前記水ギャップの中央に、B−SUS材外面との間に7mm以上を確保するように中性子吸収板を配置し、前記燃料セルに所定の燃料体を収納した水中体系にて実効増倍率を計算し、この計算値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように中性子吸収板を調節し、中性子吸収板を配置する前に収納可能な燃料体の最高濃縮度を超え、収納可能な燃料体の最高濃縮度を大きくした請求項9記載の燃料体収納ラックを設計することを特徴とする燃料体収納ラックの設計方法を提供する。
本発明に係る燃料体収納ラックによれば、燃料濃縮度が高くなっても、燃料体収納率を低下させることなく、低コストで臨界安全性を確保することができる。また、本発明では、そのような燃料体収納ラックを設計する好適な方法を提供することができる。すなわち、隣接する燃料セルを構成するセル構造材の中性子吸収物質の濃度、水ギャップに配置する中性子吸収板およびセル金属材と中性子吸収板との中性子の複雑な挙動を解明することによって、上述した課題を解決することができる。
以下、本発明に係る燃料体収納ラックおよび燃料体収納ラックの設計方法の実施形態について説明する。本実施形態では、本発明を達成するまでの解析計算の過程を、図面を用いて詳細に説明する。この解析は、燃料セルを構成するB−SUS管相互間に水ギャップが介在する体系の水ギャップ内に中性子吸収板を配置し、中性子実効増倍率を小さくすることを活用し、燃料体収納ラックの燃料体収納密度の高密度化や低廉化を図るものである。
図1(A)は、解析計算の計算体系を説明するため、燃料体収納ラックの構成を示す断面図である。図1(B)は、図1(A)の「b」部拡大図である。
これらの図に示すように、本実施形態の燃料体収納ラックは、燃料体を収納する燃料セル6を水ギャップ9を介して多数配列するとともに、これらの水ギャップ9に中性子吸収板8をそれぞれ配置し、水中に設置される。
そして、隣接する燃料セル6を構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離(幅)Hgが、18mm以上、50mm以下とされている。
また、セル金属材の外表面と中性子吸収板8の外表面との間隔に形成される水層の幅Hfが7mm以上とされ、セル金属材に含まれる中性子吸収材ボロン(B)の濃度は所定の値以下になるように抑制されている。
以下、外形214mm×214mm、濃縮度4.1wt%のPWR燃料を例として、燃料セル構造材(B−SUS)の管厚ts、燃料セル構造材(B−SUS)中のB濃度、水ギャップ幅Hg、中性子吸収板の吸収物質厚daおよび吸収物質被覆厚dcをパラメータとして解析を行う場合について説明する。
中性子吸収板8の中性子吸収物質10には、安価なBCを採用し、吸収物質被覆8aには、水プール中の燃料体収納ラックの燃料セル構成材として実績のあるSUSを採用した。
本実施形態で行う計算の第1ステップでは、図1に示す水ギャップ幅Hgを30mmとし、燃料セル構造材材厚tsを8mm、6mmおよび4mmとし、それぞれに対してB−SUS中のB濃度を変化させ、実効増倍率を求めた。
なお、この場合において、中性子吸収板8の吸収物質厚dは8mm、吸収物質被覆厚は3.5mm(すなわち、SUS(3.5mm)−BC(8mm)−SUS(3.5mm))とし、中性子吸収板厚dは15mm、中性子吸収板8の外面とB−SUS外面の水層厚Hfは7.5mmに固定した。
図2(A)は、その解析結果を示したものである。中性子吸収板を水ギャップに挿入していない場合に対し、中性子吸収板を挿入した場合の実効増倍率の減少率(%Δk/k)をB−SUS中のB濃度を横軸として示している。
燃料セル構造材(B−SUS)の厚さが4mmの場合には、中性子吸収板で実効増倍率を小さくすることができた。しかし、6mm厚のときには、B−SUS中のB濃度が0.6%以上となり、8mm厚のときはB−SUS中のB濃度が0.4%以上となり、実効増倍率は逆に大きくなった。
図2(A)によれば、B−SUSのB濃度が高いと中性子吸収板の効果が小さくなることが示されている。特に、B−SUS厚さを大きくしたときには、B濃度が1%ではB−SUSの中性子吸収が極めて大きく(中性子に対しblack)、「中性子トラップ」効果が水領域の不足により、実効増倍率が逆に大きくなったものと考えられ、水層幅Hfの増加が望ましいと言える。
図2(B)は、上記の確認を行った結果を示している。すなわち、B−SUSの厚さが4mmのときに、中性子吸収板の吸収物質厚を4mm、吸収物質被覆厚を1.5mm(SUS(1.5)−BC(4)−SUS(1.5))とし、水層幅Hfを増加させた場合の解析を行い、B−SUSのB濃度が高い領域で水層幅の増加が実効増倍率の減少に効果があることを示している。
また、別途行った吸収物質被覆の材料をSUSからAlとする解析から、Alを吸収物質被覆の材料とすると、SUSの場合よりもわずかに実効増倍率が下がることから、上記の変化にはSUSの高速中性子の反射効果も含まれていることが考えられる。
次の第2の計算ステップでは、SUS(3.5mm)−BC(8mm)−SUS(3.5mm)はそのままとし、B−SUS板の厚みを燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとした。
また、水ギャップ幅を30mm、40mmおよび50mmと変え、それぞれに対してB−SUS中のB濃度を変化させ、実効増倍率を求めた。
図3(A)、(B)はその結果を示したものである。図3(A)に示すように、水ギャップが広くなると、中性子吸収板の実効増倍率抑制効果が小さくなる傾向がある。B−SUSが4mmでは、B−SUSはblackではなく、中性子吸収板の効果が現れる。しかし、Gapが広いと水で遮蔽され、中性子吸収板の効果が小さくなる。但し、B−SUSのB濃度が下がると中性子吸収板の効果は大きくなる。
次の第3ステップでは、以上の第1、第2ステップの結果を踏まえ、現実性の高い中性子吸収板に変更した。中性子吸収板の吸収物質厚は4mmとし、吸収物質被覆厚はBWRの制御棒の場合を考えて、1.5mmとした(SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm))。
B−SUS板の厚みは、燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとした。ギャップ幅30mmでの結果は図2(B)に示したように、上記の通りである。
図3(B)は、ギャップ幅を30mm(実線)、40mm(点線)および50mm(破線)と変化させた場合の結果を示している。この図3(B)の場合にも、全ての水ギャップ幅で中性子吸収板の効果は大きくなった。
図4は、B−SUS中のB濃度1.0%において、吸収物質BC厚が8mmで、吸収物質被覆SUS厚を振った場合の中性子吸収板の効果を示している。吸収物質被覆SUS厚を薄くすると中性子吸収効果が大きくなる。また、吸収物質被覆SUS厚が現実的な1.5mmで、吸収物質BC厚を8から4mmに変更しても、実効増倍率の低減効果に0.5%Δk/k程度しか影響を与えないことが確認された。すなわち、中性子吸収板(SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm))の妥当性が確認された。
図5は、ギャップ幅30mm、SUS(3.5mm)−BC(8mm)−SUS(3.5mm)中性子吸収板の効果に関する図4(A)の解析結果をB−SUS厚さ依存性として書き直したものであり、参考に示した。
図6はB−SUS板の厚みは燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとし、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)に対し、B−SUS中のB濃度をパラメータとし、水ギャップ幅を横軸として、図3(B)の中性子吸収板の効果を書き直したものである。この図6に示すように、B−SUSの全B濃度範囲、通常の水ギャップの全範囲で、中性子吸収板の効果が得られることが確認された。
以上の第3ステップで、中性子吸収板の反応度効果の検討から、本発明を達成するための条件が明らかになった。以下の説明では、SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)の中性子吸収板がある場合と、無い場合との実効増倍率を直接比較し、中性子吸収板の作用・効果を示す。
図7(A)、(B)、(C)は、第1の作用・効果説明図であり、B−SUS板の厚みは燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとし、水ギャップ幅30、40および50mmとし、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)に対し、B−SUS中B濃度を横軸に中性子吸収板がある場合とない場合の実効増倍率を示したものである。
この図7(A)、(B)、(C)に示すように、実効増倍率の制限値を0.95とする場合には、水ギャップ30mm、40mmおよび50mmにおいて、B−SUS中のB濃度が1.0%から0.43%、0.46%から0.12%、0.26%から0.03%に低減できる。実効増倍率の制限値を0.98とする場合には、水ギャップ30mm、40mmおよび50mmにおいて、B−SUS中のB濃度が0.62%から0.14%まで、0.29%から0%まで、0.16%から0%まで低減でき、燃料セル構成材のB−SUS材料の加工性も含めコスト低減に効果があることが分る。
図8は、第2の作用・効果説明図である。この図8では、実効増倍率の制限値を0.95と0.98とし、従来の中性子吸収板がない燃料体収納ラックのB−SUS材のB濃度が中性子吸収板の挿入により、B濃度がどこまで下げられるかを、水ギャップ幅を横軸として示している。
なお、燃料体が収納された燃料体収納ラック体系の中性子実効増倍率は、例えば、SCALE(ORNL−RSIC,’SCALE 4:A Modular Code System for Performing Standardized Computer Analysis for Licensing Evaluation,’ CCC-545,1990)システム等の臨界解析コードと核定数ライブラリーを用いて評価するものである。このSCALEシステム等により、本実施形態における、中性子吸収板を燃料セル間の水ギャップに配置した条件の下で計算を行う。
この条件によれば、中性子吸収板を燃料セル間の水ギャップに配置しない従来の条件に比べ、燃料体が収納された燃料体収納ラック体系の実効増倍率が低下することを利用し、例えば未臨界制限値0.95を下回る制限条件の下で、燃料セル構成材として高価な中性子吸収材入り材料を不要とすることができる。また、燃料セル構成材B−SUSの全部あるいは一部を中性子吸収材を含有しないSUS材としたり、B−SUS材中のB濃度を低下させることができる。したがって、安価で強度を確保した設計を実現することができる。また、燃料セル間の水ギャップを狭くし、更に稠密度を増大させる設計を行うことができる。
次に、本発明に係る燃料体収納ラックの具体的な構成例について、図9〜図19を参照して説明する。
図9(A)は、燃料セル6の一方向のみに燃料セル6間に水ギャップ9を有する第1構成例としての燃料体収納ラックの一部平面図である。図9(B)は、同図(A)のX−X線断面図である。
この構成例では、仕切板または角管3が図9(A)に示すように、縦方向に密着配置され、左右方向に間隙が設けられている。この間隙には、長尺のスペーサ(角管保持板)12が設けられ、それを介して仕切板または角管3が保持されている。
通常、スペーサ12は少なくとも鉛直方向に上下2ヶ所配置される。
図10(A)は、燃料セル6の両方向に燃料セル6間に水ギャップ9を有する第2構成例としての燃料体収納ラックの一部平面図である。図10(B)は、同図(A)のY−Y線断面図である。
この構成例では、図10(A)に示すように、仕切板または角管3が縦方向および左右方向に交差する間隙が設けられている。そこには長尺のスペーサ12が設けられ、それを介して燃料セル6が保持されている。
通常、スペーサ12は少なくとも鉛直方向に上下2ヶ所配置される。中性子吸収板8は、このスペーサ12の中性子吸収板配置位置7に設けられた中性子吸収板挿入用孔13を通して挿入され、燃料セル6間の水ギャップ9に配置される。
図11は、第3構成例としての燃料体収納ラックの縦断面図である。図12は、図11のZ−Z線断面図である。
この構成例では、図11および図12に示すように、中性子吸収板が、スペーサ12の中性子吸収板配置位置7に設けられた中性子吸収板挿入用孔13を通して挿入され、燃料セル6間の水ギャップ9に配置されている。
燃料セル6間の水ギャップ9中に中性子吸収板8を設置する方法としては、上記のように、仕切板または角管3で構成した多数の燃料セル6がそれらを保持するスペーサ12に保持されている場合、当該スペーサ12に中性子吸収板8を通すための中性子吸収体挿入用穴13を空け、中性子吸収板8を貫通させて設置する。また、中性子吸収板8を燃料体収納ラック2の台座4に載せておく。これにより、本発明の効果が得られる。この場合、中性子吸収板8は、仕切板または角管3に倒れかかることもあり得る。しかし、水ギャップ9に設置した中性子吸収板8が、燃料体が収納された燃料体収納ラックの実効増倍率を、体系の熱中性子の吸収を増加させることにより、低下させる効果は失われない。
なお、縦方向上部に示した燃料体収納ラックには、外枠があるものと、ないものとがある。ここでは、燃料体収納ラックの外枠14があるものを例示した。
また、本実施形態では、中性子吸収板8を水ギャップ9中の中性子吸収板設置位置7に設置し、燃料体が収納された燃料体収納ラック体系の実効増倍率を、体系の熱中性子の吸収を増加させることにより、低下させる。これにより、燃料セル構成材として高価な中性子吸収材入りB−SUS材を不要としたり、その全部または一部を中性子吸収材を含有しないSUS材としたり、B−SUS材中のB濃度を低下させることができる。
また、安価で、かつ強度を確保した燃料体収納ラック、あるいは燃料セル6間の水ギャップ9を狭めることができ、更に稠密度を増大させた燃料体収納ラックを提供することができる。
図12〜図14には、それぞれ中性子吸収板配置位置7に設置する中性子吸収板8の異なる構成例を示している。
図13(A)は、第1の例を示す側面図であり、同図(B)は平面図である。この構成例は、水ギャップ9中の中性子吸収板配置位置7に設置する中性子吸収板8が、特に熱中性子をよく吸収する熱中性子に対する吸収断面積が大きい物質である、中性子吸収物質を含むものである。
具体的な中性子吸収板の例としては、BCを収納した板とされている。
図14(A)は、第2の例を示す側面図であり、同図(B)は平面図である。この構成例では、中性子吸収板8をケース状とし、内部に中性子吸収材10が挿入されている。
図15(A)は、第3の例を示す側面図であり、同図(B)は平面図である。
この構成例では、中性子吸収板8をケース状とし、BCを収納した棒11を配列したものである。この棒11には、ボラール板、B−SUS板、GdとBを添加したSUS板(B−Gd−SUS板)などが適切である。
図16は、本発明を達成するための解析計算により得られた結果の一部を示している。
燃料セル構成材B−SUS板の厚みは、燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとし、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)に対し、B−SUS材のB濃度を1.0%で固定した場合において、中性子吸収板8を挿入した場合の実効増倍率が挿入しない場合の実効増倍率とどの程度水ギャップ9を小さくすると一致するかを評価したものである。
中性子吸収板8を挿入しない場合で水ギャップ9の幅が45mmの実効増倍率に、中性子吸収板8を挿入した場合には、水ギャップ9の幅が約40mmの実効増倍率が一致することが分った。水ギャップ幅の減少により、燃料体収納ラックの稠密化が図れることが示された。
図17は、燃料セル構成材B−SUS板の厚みは燃料体収納ラックの稠密化で現実的な4mmとし、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)に対し、水ギャップ幅が40および50mmにおいて、中性子吸収板8を挿入しない場合を示している。
すなわち、B−SUS中B濃度が1%のときの実効増倍率に、中性子吸収板8を挿入した場合の実効増倍率がB−SUS中のB濃度をどの程度小さくすると一致するかを評価したものである。中性子吸収板8を挿入しない場合でB濃度1%の実効増倍率に中性子吸収板8を挿入した場合には、両水ギャップ幅ともB濃度が約0.6%で実効増倍率が一致することが分った。
本実施形態では、製造コストの低減と強度確保を計ることができる燃料体収納ラックが提供できることが示された。
図18は燃料セル構成材を、Bが含まれないSUS材とする場合について特に検討したものである。
SUS材が6mmの場合において、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)に対し、濃縮度3.0%の燃料について、図1の体系で解析を行った。すなわち、中性子吸収板8を挿入した場合の実効増倍率が挿入しない場合の実効増倍率と、どの程度水ギャップ9の幅を小さくすると一致するかを評価したものである。
中性子吸収板8を挿入しない場合で、水ギャップ9の幅が70mmでの実効増倍率に中性子吸収板8を挿入した場合には、水ギャップ9の幅が約44mmで実効増倍率が一致することが分った。
燃料セル構成材をBの含まないSUS材とする場合においても、水ギャップ幅の減少により、燃料体収納ラックの稠密化が図れることが示された。なお、燃料の濃縮度を3.0%と比較的低くし、水ギャップ幅を比較的広い70mmにするもの、燃料セル構成材をBの含まないSUS材とする燃料体収納ラックは使用済燃料に対してGdクレジットや燃焼度クレジットを採用することによって安価な燃料体収納ラックを狙ったものであり、その反応度低下を濃縮度の低下として考慮する場合等の例として選定したものである。
なお、以上の通り、本実施形態によれば、隣接する燃料セルを構成するセル構造材の外表面間の距離を50mm以下とすることができるので、燃料体の収納率の向上が期待できる。
セル構造材B−SUSの厚みは、3mmより薄いと強度不足とB添加量不足の問題を起こしやすく、強度上8mm程度で十分であり、燃料収納の稠密化から4mm程度が適切である。
また、配置する中性子吸収板は単純な構造で安価な硼素を、安価な粉粒状態でも使用できるので、製造コストの抑制が計られる。複雑な中性子挙動を解析した結果、中性子吸収板の厚みは、強度と中性子吸収材量の低減抑制とから4mm以上とし、中性子吸収板と燃料セル構造材外表面との間の水層の幅はトラップ効果の過剰な低下を防ぐために、7mm以上を確保するものとした。現実性の高い中性子吸収板は、中性子吸収板の吸収物質厚を4mmとし、吸収物質被覆厚は1.5mmとする、SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)が適切である。
以上のように、本実施形態によれば、燃料体収納ラックの燃料セルを構成するB−SUS管相互間に水ギャップが介在する体系の水ギャップ内に中性子吸収板を配置し、中性子実効増倍率を小さくすることを活用することにより、燃料体収納ラックの燃料体収納密度の高密度化や製造コストの低減と強度確保を計ることができる燃料体収納ラックを提供することができる。
次に、従来の燃料体収納ラックに対し、中性子吸収板を水ギャップに挿入することにより、既存の燃料体収納ラックにおいて、収納可能な燃料体の濃縮度より濃縮度が高い燃料体を燃料体収納ラックに収納しても未臨界性を確保し、収納可能な燃料体の濃縮度の上限を大きくする実施形態について、説明する。すなわち、上述した解析計算に引続き、現実性の高い中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)を用いる効果を解析した。
図1の体系で、濃縮度が低い3.0wt%濃縮のPWR燃料を例として、燃料セル構造材厚を6mmとし、燃料セル構成材をB−SUS中のB濃度をゼロとしたSUSを適用した。そして、水ギャップ幅を70mmとし、中性子吸収板を挿入しない従来の燃料体収納ラックの実効増倍率を求めた。
この例は、水ギャップ幅を比較的広い70mmにするもの、燃料セル構成材をBの含まないSUS材とする該燃料体収納ラックは使用済燃料に対してGdクレジットや燃焼度クレジットを採用することによって、安価な燃料体収納ラックを狙ったものである。また、使用済燃料の反応度低下を濃縮度の低下として考慮する場合の例として選んだものである。
一方、同条件で中性子吸収板SUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)を、水ギャップに挿入し、燃料体の濃縮度を上昇させ、中性子吸収板がない場合の実効増倍率と一致する濃縮度を解析したところ、図19の通りとなった。すなわち、中性子吸収板を挿入することにより、収納可能な最高濃縮度を3.0wt%から約3.9wt%に上昇することが示された。
図9および図10の構成例1と構成例2において示したように、従来の燃料体収納ラックでは中性子吸収板8が水ギャップ9に入っていない。これに対し、本実施形態では水ギャップ9に中性子吸収板8を挿入することにより、体系の実効増倍率が小さくなり、その余裕を活用することにより、収納可能な燃料体の最高濃縮度を従来より大きくすることが可能となった。
本発明は、従来の燃料体収納ラックに対し、中性子吸収板を水ギャップに挿入することにより、既存の燃料体収納ラックにおいて収納可能な燃料体の濃縮度より濃縮度が高い燃料体を燃料体収納ラックに収納しても未臨界性を確保することができる。また、収納可能な燃料体の濃縮度の上限を大きくした燃料体収納ラックを提供することができる。
なお、濃縮度3.0wt%のPWR燃料を例に取り、燃料セル構造材厚を6mm、燃料セル構成材をB−SUS中のB濃度をゼロとしたSUS、水ギャップ幅を70mmとした既存の燃料体収納ラックについて例を示したが、図2〜図8および図16〜図19で示した濃縮度4.1wt%の燃料や、最高濃縮度5.0wt%を収納できる既存の燃料体収納ラックでは本発明の特許請求の範囲の第9項により、収納可能な燃料の最大濃縮度を5.0wt%以上に上げることが可能となる。
図20は、本発明の設計方法の実施形態について、その手順を示すフローチャートである。
すなわち、本実施形態では、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列し、水ギャップにおける、燃料セルを構成する炭化硼素(BC)からなるセル金属材の外表面間の距離を、18mm以上かつ50mm以下とし、この水ギャップの中央位置に、セル金属材の外表面との間に7mm以上の隙間を確保するように中性子吸収板を配置し、燃料セルに所定の燃料体を収納する水中体系を対象とする設計方法である。
すなわち、収納する燃料体を設定する工程(S101)と、中性子吸収板の条件を設定する工程(S102)と、セル金属材の厚みと硼素濃度とを仮設定する工程(S103)と、実効増倍率を計算する工程(S104)と、この値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように、ボロン入りステンレス鋼材の外表面間の水ギャップ幅、ステンレス中のボロン濃度、およびボロン入りステンレス板厚を調節する工程(S105)とを備える。
具体的には、収納する燃料体の設定の後、先ず、図9または図10に示した燃料体収納ラックの水ギャップ9に挿入する中性子吸収板8の仕様を計算機に入力して設定する。
この仕様では、例えば上述したように、中性子吸収板8の吸収物質厚を4mmとし、吸収物質被覆厚を1.5mmとしたSUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)の中性子吸収板とすることが現実的である。
次に、収納する燃料体の寸法を基に燃料セルを構成する構成材の大きさを設定し、また、水ギャップの幅を設定する。燃料セル構造材の材料は通常B−SUS材であり、そのB−SUS中のB濃度は1%、厚みは4mm程度である。水ギャップは稠密な燃料体収納ラックは40から50mm程度である。
以上の設定した条件で、図1に示した体系で、前述のSCALEシステム等で中性子実効増倍率の計算を行い、図20に示すように、求めた実効増倍率が未臨界判定値(例えば、0.95)以下であれば、前記の燃料セルの構成材の材質、寸法、厚さ、水ギャップ幅および中性子吸収板の条件が求める燃料体収納ラックの設計条件となる。
また、実効増倍率が未臨界判定値を満たさない場合には、燃料セルの構成材の厚さや水ギャップ幅を変更し、実効増倍率が未臨界判定値を満たすようにする。中性子吸収板8の吸収物質厚や吸収物質被覆厚を変えることも可能である。
また、上記の計算による実効増倍率が未臨界判定値を下回っている場合は、その反応度の余裕を利用し、燃料セル構成材として高価な中性子吸収材入り材料を不要としたり、燃料セル構成材B−SUSの全部あるいは一部を中性子吸収材を含有しないSUS材としたり、B−SUS材中のB濃度を低下させたり、あるいは燃料セル間の水ギャップを狭くした条件に変更する。そして、解析計算を行い、未臨界制限値を下回る制限条件の下で、材料強度を確保した上で更に経済性を向上させることや稠密度を増大させる設計を行うことができる。
ここでの計算においては、設計後の製作を考え、製造公差は実効増倍率を大きく評価するよう保守側に設定する。また、SCALEシステム等において、モンテカルロ計算コードを用いて計算を行う場合には、計算の統計誤差(σ)の3倍(3σ)を得られた実効増倍率に加え、未臨界判定値と比較する。
なお、前述の構成例で説明した各種の解析は、燃料セル構造材の中性子吸収物質の濃度、水ギャップに配置する簡単な構造で低廉な中性子吸収板およびセル金属材と中性子吸収板との中性子の複雑な挙動を解明することを目的としたもので、図1の体系に対して実施した各種の計算結果を示した図2から図8、および図16から図19の結果には、モンテカルロ計算の統計誤差の3σを含んでいない。
図21は、本発明の設計方法の異なる実施形態について、その手順を示すフローチャートである。
本実施形態の方法は、水中に設置され、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列した燃料体収納ラックを対象とする設計方法である。
すなわち、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離が18mm以上である場合に、水ギャップの中央に、B−SUS材外面との間に7mm以上を確保するように中性子吸収板を配置する。
そして、燃料体の濃縮度の設定を計算機に入力し(S201)、中性子吸収板の設定をする(S202)。そして、セル金属材の厚みと硼素濃度とを仮設定し(S203)、実効増倍率を計算する(S204)。
この場合、燃料セルに所定の燃料体を収納した水中体系にて実効増倍率を計算し)、この計算値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように中性子吸収板を調節し、中性子吸収板を配置する前に収納可能な燃料体の最高濃縮度を超え、収納可能な燃料体の最高濃縮度を大きくした燃料体収納ラックを設計する。
すなわち、この実施形態の方法では、先ず、図9および図10等に示した燃料体収納ラックの水ギャップ9に挿入する中性子吸収板8の仕様を設定する。
本仕様は、例えば中性子吸収板8の吸収物質厚を4mmとし、吸収物質被覆厚は1.5mmとしたSUS(1.5mm)−BC(4mm)−SUS(1.5mm)中性子吸収板とすることが現実的である。
次に、既存の燃料体収納ラックに収納される燃料体の仕様のうち、燃料体の濃縮度を現状の上限値をより大きく仮設定し、既存燃料体収納ラックの燃料セル構成材の寸法、材料、中性子吸収材濃度、水ギャップの幅を設定する。
そして、例えば図1の体系で、前述のSCALEシステム等で中性子実効増倍率の計算を行い、求めた実効増倍率が未臨界判定値(例えば、0.95)以下となる最大の燃料濃縮度が燃料体収納ラックに中性子吸収板を挿入する場合の、最高濃縮度となるガドリクレジットや燃焼度クレジットを考慮し、実質の初期濃縮度を低く設定する。稠密化ではなく、低コストを図った燃体収納ラックでは、B−SUS中のB濃度をゼロとしたり、水ギャップ幅を70mm以上とするものがある。
これが本実施形態における対象とする既存の燃料体収納ラックであるが、B−SUSを用い稠密化を図った既存のラックに対も対象とすることができる。また、上記の通り、燃料体収納ラックに中性子吸収板を挿入する場合の最高濃縮度が求まった場合でも、中性子吸収板8の吸収物質厚や吸収物質被覆厚を変え、更に検討することも可能である。
なお、ここでの計算においては、設計後の製作を考え、製造公差は実効増倍率を大きく評価するよう保守側に設定するとともに、SCALEシステム等において、モンテカルロ計算コードを用いて計算を行う場合には、計算の統計誤差(σ)の3倍(3σ)を得られた実効増倍率に加え、未臨界判定値と比較する。
以上の実施形態では、具体例を掲げて詳細に説明したが、燃料セル6間に水ギャップ9が存在する場合には、当該燃料セル6間の水ギャップ9に中性子吸収板8を配置することにより、当該の水プールの水中に設置し、燃料体が収納される燃料体収納ラック体系の実効増倍率が低下する原理は以下の通りである。
図22は水プール中の燃料体収納ラックに燃料体を収納した典型的な従来の燃料体収納ラックにおいて、中性子束の計算を行い、燃料セル6中に収納された燃料体の端を原点とし、燃料セル6中の水領域、燃料セル6を構成する仕切板または角管3および燃料セル6間の水ギャップ9を隣の燃料セル6間の中央までを横軸とし、得られた中性子束を所謂、高速中性子束、熱外中性子束および熱中性子束の3群の図式で示したものである。
なお、この中性子束の計算は、例えば、上記SCALEシステムの他、SRAC計算コードシステム(奥村他、SRAC95;汎用核計算コードシステム、JAERI−Data/Code96−015、1996年3月)等を用い、燃料、構造材および水等の核定数を算出後、それらを用いて体系の拡散計算等を行い、各領域の中性子束を求めたものである。
図22から明らかなように、熱中性子束は燃料セル6を構成する仕切板または角管3の構成材、あるいは構成材に中性子吸収材が含まれる場合は、その中性子吸収材による熱中性子の吸収により、燃料セル6中や仕切板または角管3の構成材では熱中性子は小さく抑えられている。しかし、燃料セル6中の燃料体間の中性子の相互干渉を減少させ、未臨界性を保持させるために設置されている水ギャップ9での熱中性子束レベルは高いことがわかる。
本発明はこの特性に着目して行ったものであって、水ギャップ9の熱中性子を吸収するため、当該水ギャップ9に中性子吸収板8を配置することにより、水プール中の燃料体収納ラックに燃料体を収納した体系における熱中性子の吸収を多くすることや、それによって燃料セル6中の燃料体間の中性子の相互干渉を減少させ、燃料体収納ラックの実効増倍率を低下させることにより、未臨界性に対する余裕が大きくなり、この余裕を生かすものである。
そして、燃料セル6を構成する仕切板または角管3の材料である燃料セル構成材として、高価な中性子吸収材入りB−SUS材の一部または全部を不要としたり、中性子吸収材を含有しないSUS材としたり、B−SUS材中のB中性子吸収材の濃度を低下させ、安価で強度を確保した燃料体収納ラックを、あるいは燃料セル6間の水ギャップ9を狭め、更に稠密度を増大させた燃料体収納ラックを提供することを可能とするものである。
なお、燃料セル間に水領域が存在する場合、当該燃料セル間の水ギャップに中性子吸収板を設置することにより、燃料体が収納された燃料体収納体系の実効増倍率を、体系の熱中性子の吸収を増加させることにより、低下させる効果は、水中において角柱形状の燃料体を仕切板または角管格子状に形成した多数の燃料セルで構成される燃料体収納装置において一般的に得られる効果である。
例えば、原子力発電ブラントにおいて、原子炉を一定期間運転後、使用済となって炉心から取り出し、燃料体収納ラックで一定期間の冷却後、再処理工場または中間貯蔵施設への搬出のため、当該使用済燃料体が輸送または輸送・貯蔵される使用済燃料体輸送または輸送・貯蔵容器のバスケットにも適用可能である。
また、仕切板または角管格子状に形成した多数の燃料セルで構成される当該使用済燃料体輸送または輸送・貯蔵容器のバスケットにおいて、燃料セル間に水ギャップが存在する場合には、中性子吸収板を燃料セル間の水ギャップ中に設置し、使用済燃料体輸送または輸送・貯蔵容器体系の実効増倍率を、体系の熱中性子の吸収を増加させることにより、低下させることができる。
そして、燃料セル構成材として、高価な中性子吸収材入りB−SUS材を不要としたり、その全部または一部を中性子吸収材を含有しないSUS材としたり、B−SUS材中の中性子吸収材の濃度を低下させたり、あるいは燃料セル間の間隔を狭め、安価で強度を確保したバスケットを持つ使用済燃料体輸送または輸送・貯蔵容器を、あるいは、更に稠密度を増大させたバスケットを持つ使用済燃料体輸送または輸送・貯蔵容器が提供できる。
(A)は本発明の一実施形態による燃料体収納ラックの解析計算体系を説明するための全体断面図、(B)は(A)のb部分拡大図。 (A)、(B)は本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度のB−SUS構造材B濃度依存性を示す特性図。 (A)、(B)は本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度のB−SUS構造材B濃度依存性を示す特性図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度の吸収物質被覆SUS厚さ依存性を示す特性図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度のB−SUS構造材厚さ依存性を示す特性図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度の水ギャップ幅依存性を示す特性図。 (A)、(B)、(C)は本発明の一実施形態による作用効果を示す説明図。 本発明の一実施形態による作用効果を示す説明図。 (A)は本発明の一実施形態による燃料セルの一方向のみに水領域がある燃料体収納ラックを示す横断面図、(B)は(A)のX−X線断面図。 (A)は本発明の一実施形態による燃料セルの両方向に水領域がある燃料体収納ラックを示す横断面図、(B)は(A)のY−Y線断面図。 本発明の一実施形態による保持スペーサがある燃料体収納ラックの縦断面図。 図11のZ−Z線断面図。 (A)は本発明の一実施形態による燃料セル間の水領域に配置する中性子吸収体を示す側面図、(B)は(A)の平面図。 (A)は本発明の一実施形態による中性子吸収材を収納するタイプの中性子吸収体を示す側面図、(B)は(A)の平面図。 (A)は本発明の一実施形態による中性子吸収材を収納した棒配列タイプの中性子吸収体を示す側面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(B)に示した棒を示す斜視図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度の水ギャップ幅の低減効果を示す特性図。 (A)、(B)は本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度のB−SUS構造材B濃度の低減効果を示す特性図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度の水ギャップ幅の低減効果を示す特性図。 本発明の一実施形態による中性子吸収板反応度の燃料最大濃縮度の上昇効果を示す特性図。 本発明の一実施形態による燃料体収納ラックの設計方法を示すフローチャート。 本発明の他の実施形態による燃料体収納ラックの設計方法を示すフローチャート。 本発明における中性子束説明図。 燃料プール内における燃料体収納ラックを示す斜視図。 従来の燃料体収納ラックを示す拡大斜視図。
符号の説明
1 沸騰水型原子炉燃料プール
2 燃料体収納ラック
3 仕切板または角管
4 台座
5 固定ボルト
6 燃料セル
7 中性子吸収板配置位置
8 中性子吸収板
9 水ギャップ
10 中性子吸収材
11 中性子吸収材を収納した棒
12 スペーサ
13 中性子吸収板挿入用孔
14 照射燃料ラックの外枠
Hg 水ギャップ(9)幅
Hf 水層幅
Wf 水フィルム幅
ts 燃料セル構造材(仕切板または角管3)幅
d 中性子吸収板(8)厚
da 吸収物質厚
dc 吸収物質被覆圧

Claims (11)

  1. 燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列するとともに、これらの水ギャップに中性子吸収板をそれぞれ配置して構成され、水中に設置される燃料体収納ラックにおいて、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離を18mm以上、50mm以下とし、かつ前記セル金属材の外表面と前記中性子吸収板の外表面との間隔に形成される水層の幅を7mm以上とし、前記セル金属材に含まれる中性子吸収材ボロン(B)の濃度を所定の値以下になるように抑制したことを特徴とする燃料体収納ラック。
  2. 前記セル金属材は、ボロンを添加しないステンレス鋼またはボロンを1重量パーセント以下添加したボロン入りステンレス鋼で構成された請求項1記載の燃料体収納ラック。
  3. 前記セル金属材は、ボロンを添加しないステンレス鋼と、ボロンを1重量パーセント以下添加したボロン入りステンレス鋼との組み合わせ材料で構成された請求項1記載の燃料体収納ラック。
  4. 前記セル金属材の厚さは、3mm以上かつ8mm以下である請求項2または請求項3記載の燃料体収納ラック。
  5. 前記中性子吸収板の厚さは、4mm以上かつ15mm以下である請求項1記載の燃料体収納ラック。
  6. 前記中性子吸収板は、炭化硼素粉粒を中空の平板状のステンレス鋼製容器に充填して構成され、充填された前記炭化硼素層の厚さは1.5mm以上かつ8mm以下であり、前記容器の一面を構成するステンレス鋼板の厚さは1mm以上かつ4mm以下である請求項1記載の燃料体収納ラック。
  7. 前記中性子吸収板は、内直径3mm以上、外直径12mm以下のステンレス鋼管に炭化硼素粉粒を充填して吸収棒とし、多数の吸収棒を対向する2枚の平板状ステンレス鋼の間に配列して構成したものである請求項1記載の燃料体収納ラック。
  8. 前記中性子吸収板は、ボラール板、ボロン入りステンレス鋼板、GdとBとを添加したステンレス鋼板である請求項1記載の燃料体収納ラック。
  9. 燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列するとともに、これらの水ギャップに中性子吸収板をそれぞれ配置して構成され、水中に設置される燃料体収納ラックにおいて、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離が18mm以上であり、前記水ギャップに前記セル金属材の外表面と前記中性子吸収板外表面との間隔である水層を7mm以上とするように中性子吸収板を配置することにより、前記中性子吸収板を配置する前に収納可能な燃料体の最高濃縮度を超え、収納可能な燃料体の最高濃縮度を大きくしたことを特徴とする燃料体収納ラック。
  10. 燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列し、前記水ギャップにおける、前記燃料セルを構成する炭化硼素からなるセル金属材の外表面間の距離を、18mm以上かつ50mm以下とし、この水ギャップの中央位置に、前記セル金属材の外表面との間に7mm以上の隙間を確保するように中性子吸収板を配置して、前記燃料セルに所定の燃料体を収納する水中体系を対象とする設計方法であって、前記中性子吸収板の条件を設定する工程と、前記セル金属材の厚みと硼素濃度とを仮設定する工程と、実効増倍率を計算し、この値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように、ボロン入りステンレス鋼材の外表面間の水ギャップ幅、ステンレス中のボロン濃度、およびボロン入りステンレス板厚を調節する工程とを備え、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の燃料体収納ラックを設計することを特徴とする燃料体収納ラックの設計方法。
  11. 水中に設置され、燃料体を収納する燃料セルを水ギャップを介して多数配列した燃料体収納ラックを対象とする設計方法であって、隣接する前記燃料セルを構成するセル金属材の外表面間の水ギャップ距離が18mm以上である場合に、前記水ギャップの中央に、ボロン入りステンレス鋼材外面との間に7mm以上を確保するように中性子吸収板を配置し、前記燃料セルに所定の燃料体を収納した水中体系にて実効増倍率を計算し、この計算値に計算誤差を含めた実効増倍率が制限値を満足するように中性子吸収板を調節し、中性子吸収板を配置する前に収納可能な燃料体の最高濃縮度を超え、収納可能な燃料体の最高濃縮度を大きくした請求項9記載の燃料体収納ラックを設計することを特徴とする燃料体収納ラックの設計方法。
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