JP2005264291A - 転炉用底吹き羽口 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工性や溶接性が優れていることはもちろん、高温耐酸化性にも優れていて寿命の向上に効果がある他、比較的安価に製作できる転炉用底吹き羽口を提案することである。
【解決手段】 内管内中心流路からは酸素ガスをそして外管内の環状流路からは冷却ガスを噴射する同心多重管構造の転炉用底吹き羽口において、前記内管を、Cr:20〜26 mass%、Ni:10〜25 mass%を含むオーステナイト系ステンレス鋼にて構成した転炉用底吹き羽口。
【選択図】 図1
【解決手段】 内管内中心流路からは酸素ガスをそして外管内の環状流路からは冷却ガスを噴射する同心多重管構造の転炉用底吹き羽口において、前記内管を、Cr:20〜26 mass%、Ni:10〜25 mass%を含むオーステナイト系ステンレス鋼にて構成した転炉用底吹き羽口。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転炉用底吹き羽口に関し、とくに底吹き羽口より吹錬用酸素ガスを吹き込む底吹き転炉あるいは上底吹き転炉等において用いられる羽口について、それの寿命を向上させるための改善技術を提案するものである。
底吹き転炉や上底吹き転炉では、炉底に取付けた底吹き羽口から吹錬用酸素ガスを吹き込むが、このとき酸素ガスだけを吹き込むと、酸素ガスと溶銑との反応によって溶銑に接する羽口先端部が高温となり、激しく溶損することが知られている。そこで、従来、こうした障害(羽口の溶損)を防止するため底吹き羽口を同心2重管構造とし、内管内中心流路には吹錬用の酸素ガスを、そして、外管内すなわち内管と外管との間における環状流路からは冷却ガスを流す(噴射)形式の転炉用底吹き羽口を用いるのが一般的である。しかし、こうした羽口自身またはその羽口周辺の炉壁耐火物の損耗は依然として大きく、この部分が早く損耗するために、炉底の寿命が短く、補修のためしばしば炉の操業を停止せざるを得ないのが実情である。
このような背景の下で、従来の転炉用底吹き羽口は、特許文献1では、高温での耐酸化性に優れた材料である、NiもしくはCo、またはNi+Coを50 mass%以上含有する金属製羽ロを提案している。また、特許文献2では、冷却効率を向上させるために、高熱伝導率の鋼または銅合金による底吹き羽口を提案している。
特開昭59−50111号公報
特公昭62−3206号公報
しかしながら、上記の従来底吹き羽口については、まだ解決すべき課題が残されていた。それは、特許文献1に記載の羽口の場合、高温での耐酸化性は優れているものの、羽口加工時の加工性や溶接性が悪く、羽口材料が高くなるために、製造コストが上がるという問題があった。
一方、特許文献2に記載の従来の羽口材料は、素材の融点が低いために冷却状態が悪くなると簡単に溶損し、また高温での機械的強度が低いために耐火物からの応力に抗しきれず羽口が著しく変形し、内外管の間隙(環状流路)が不均一になって、冷却ガス流路の不均一を招いて溶損が助長されるという問題があった。
本発明の目的は、従来技術が抱えている上述した問題を解決できる羽口の新規な構成を提案すること、とくに加工性や溶接性を犠牲にすることなく、高温耐酸化性にも優れて、寿命の向上に効果的で比較的安価に製作できる転炉用底吹き羽口を提案することである。
発明者は、上記目的を実現するために、吹錬度時、非吹錬時における底吹き羽口に発生する熱サイクルに注目して鋭意研究を行った。即ち、純酸素上底吹き転炉の底吹き羽口外管の外壁部に、先端部(炉内側)から200 mm下方に熱電対を設置して測温し、その測温データを元に定常状態の伝熱解析を行い、次いで羽口内管内壁の温度の推定を行う試験を行った。そして、この試験結果に基づき伝熱解析を行ったところ、羽口外管外壁が400℃であると内管内壁は975℃であり、羽口外管外壁が450℃だと内管内壁は1031℃であることがわかった。
上記伝熱解析の結果から、従来羽口の主材質であるステンレス鋼(SUS 304)の982℃で15分間保持したのち5分間冷却するという転炉の底吹き羽口に発生する通常の熱サイクルを模擬した試験による高温耐酸化性を調査した。その結果、図3に示すように、前記ステンレス鋼製の従来底吹き羽口の場合、高温耐酸化特性が非常に悪いことがわかった。また、試験に供した羽口内管を回収して調査した結果、内壁側から高温酸化による損耗が進行しており、これが転炉炉底の寿命を低下させる一因であることもわかった。
そこで、素材としての加工性や溶接性を劣化させることなく、一方で高温耐酸化性に優れ、かつ安価に製作できる該羽口の構成について検討を行い、以下の要旨構成に係る本発明を完成させたのである。即ち、本発明は、内管内中心流路からは酸素ガスをそして外管内の環状流路からは冷却ガスを噴射する同心多重管構造の転炉用底吹き羽口において、前記内管を、Cr:20〜26 mass%、Ni:10〜25 mass%を含むオーステナイト系ステンレス鋼にて構成したことを特徴とする転炉用底吹き羽口である。
また、本発明は、上記の成分組成に加え、さらにSi:1.5〜3.0 mass%を含む鋼であってもよい。
また、本発明は、上記の成分組成に加え、さらにSi:1.5〜3.0 mass%を含む鋼であってもよい。
本発明に係る転炉用底吹き羽口は、従来の底吹き羽口に比べると、とくに高温耐酸化性に優れているため羽口の損耗速度が小さく、かつ製作コストも安いという効果がある。従って、本発明の底吹き羽口を使用すれば、底吹き転炉あるいは上底吹き転炉等の精錬炉における羽口寿命ならびに転炉炉底の寿命を著しく向上させることができる。
本発明において対象とする転炉用底吹き羽口は、底吹き転炉や上底吹き転炉等の炉底に埋設される羽口であって、その代表的な構造を図1に示す。
この底吹き羽口は、2つのパイプ、即ち内管1と外管2とを軸心を共通にして嵌め合わせた同心2重管構造を有し、内管1内中心流路からは酸素ガスを流し、内管と外管との間の還流路からは保護ガス、即ち、プロパンガスやO2ガス、CO2ガス等の冷却ガスを流す構造になっているものである。
なお、上記の同心2重管羽口は、1つの例示であって、本発明における他の実施形態としては3重管以上の同心多重管構造の底吹き羽口であってもよい。以下は同心2重管の例で説明する。
この底吹き羽口は、2つのパイプ、即ち内管1と外管2とを軸心を共通にして嵌め合わせた同心2重管構造を有し、内管1内中心流路からは酸素ガスを流し、内管と外管との間の還流路からは保護ガス、即ち、プロパンガスやO2ガス、CO2ガス等の冷却ガスを流す構造になっているものである。
なお、上記の同心2重管羽口は、1つの例示であって、本発明における他の実施形態としては3重管以上の同心多重管構造の底吹き羽口であってもよい。以下は同心2重管の例で説明する。
本発明は、上記同心2重管構造の底吹き羽口のうち、特に高温に曝されて溶損しやすい内管1の材料として、加工性や溶接性に優れかつ高温耐酸化性に優れた下記のようなNi−Cr鋼を用いることが特徴であり、このような材料を用いて該底吹き羽口を製作することで、従来技術の未解決の問題を克服することができる。
以下、本発明において用いる転炉用底吹き羽口の内管材料について、それの成分組成を限定した理由について説明する。
Cr:20〜26 mass%
Crは、高温での耐酸化性を向上させるため、羽ロの高温酸化による損耗を防止するために不可欠な元素である。このCrの含有量が20 mass%に満たないと耐酸化性に優れた酸化皮膜の形成が難しく、一方26 mass%を超えると高温でシグマ相を生成しやすくなり強度の低下を招くので、20〜26 mass%の範囲に限定して含有させる。好ましくは22〜25 mass%である。
Crは、高温での耐酸化性を向上させるため、羽ロの高温酸化による損耗を防止するために不可欠な元素である。このCrの含有量が20 mass%に満たないと耐酸化性に優れた酸化皮膜の形成が難しく、一方26 mass%を超えると高温でシグマ相を生成しやすくなり強度の低下を招くので、20〜26 mass%の範囲に限定して含有させる。好ましくは22〜25 mass%である。
Ni:10〜25 mass%
Niは、Crと共存状態で耐酸化性を向上させるのに有効な元素である。このNiの含有量が10 mass%以上でクリープ破断強さが向上し、また高温での耐酸化性も向上する。しかしながら、Ni含有量が25 mass%を超える多量の添加は、強度の低下につながるとともに、コスト高となり羽口材質として不経済になるので、10〜25 mass%の範囲に限定した。好ましくは15〜22 mass%である。
Niは、Crと共存状態で耐酸化性を向上させるのに有効な元素である。このNiの含有量が10 mass%以上でクリープ破断強さが向上し、また高温での耐酸化性も向上する。しかしながら、Ni含有量が25 mass%を超える多量の添加は、強度の低下につながるとともに、コスト高となり羽口材質として不経済になるので、10〜25 mass%の範囲に限定した。好ましくは15〜22 mass%である。
Si:1.5〜3.0 mass%
Siは、耐酸化性を向上させる酸化皮膜の生成固着特性を向上させる上で有効に作用する元素であり、高温での耐酸化性の向上に効果を発揮する。ただし、このSi含有量が1.5 mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方、3.0 mass%を超えるとクリープ特性が劣化し、シグマ相生成範囲および生成速度を大にするので、Si:1.5〜3.0 mass%の範囲に限定した。好ましくは2.0〜3.0 mass%である。
Siは、耐酸化性を向上させる酸化皮膜の生成固着特性を向上させる上で有効に作用する元素であり、高温での耐酸化性の向上に効果を発揮する。ただし、このSi含有量が1.5 mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方、3.0 mass%を超えるとクリープ特性が劣化し、シグマ相生成範囲および生成速度を大にするので、Si:1.5〜3.0 mass%の範囲に限定した。好ましくは2.0〜3.0 mass%である。
また、この内管材料はその他に、Feならびに不可避的不純物を含むが、その不可避的不純物の許容含有量は次のとおりである。
C:0.25 mass%以下、
このCは、高温環境下で長時間使用すると結晶粒界にCr炭化物を形成し、結晶粒界が選択的に酸化していくため極力低減する必要があり、0.25 mass%以下、好ましくは0.08 mass%以下とするのが望ましい。
C:0.25 mass%以下、
このCは、高温環境下で長時間使用すると結晶粒界にCr炭化物を形成し、結晶粒界が選択的に酸化していくため極力低減する必要があり、0.25 mass%以下、好ましくは0.08 mass%以下とするのが望ましい。
Mn:2.0 mass%以下
Mnは、強度を確保する上で有効な成分であるが、過剰に添加すると耐酸化性の劣化、加工性の劣化を招くため、2.0 mass%以下の含有は許容される。
Mnは、強度を確保する上で有効な成分であるが、過剰に添加すると耐酸化性の劣化、加工性の劣化を招くため、2.0 mass%以下の含有は許容される。
P:0.045 mass%以下
Pは、熱間割れ性を高め、溶接部のき裂感受性を助長するので極力低減する必要があるが、0.045 mass%以下まで許容される。
Pは、熱間割れ性を高め、溶接部のき裂感受性を助長するので極力低減する必要があるが、0.045 mass%以下まで許容される。
S:0.030 mass%以下
Sは、赤熱ぜい性、熱間加工性の劣化を助長するので極力低減する必要があるが、通常は化物として固定されているので0.030 mass%以下まで許容される。
Sは、赤熱ぜい性、熱間加工性の劣化を助長するので極力低減する必要があるが、通常は化物として固定されているので0.030 mass%以下まで許容される。
この実施例では、図2に模式的に示す350t純酸素上底吹き転炉の底吹き羽口の内管1に本発明に適合する材質をもつ図1に示すような底吹き羽口4a、4b、4c、4dを用い、比軟例として従来材質の羽口内管4e、4fを装着し、羽口外管2には高圧配管用炭素鋼鋼管「STS370」を用いた。なお、羽口内管1本あたりの酸素流量は15Nm3/minである。
表1に各羽口内管材質の組成、および1000チャージ後の平均損耗速度を併記する。この表に示す結果から明らかなように、本発明に適合する材質をもつ底吹き羽口の場合、従来材質の羽口よりも平均損耗速度が40〜65%低減していた。とくに、本発明適合実施例である羽口4a、4b、4c、4dの平均損耗速度と比較例の羽口4e、4fのそれとの比は0.49となり、羽口寿命が約2倍になることが判明した。
なお、この実施例は上述した本発明を同心2重管構造の羽口で実施した実施例について説明をしたが、本発明は、3重管羽口などの多重管羽口に用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
なお、この実施例は上述した本発明を同心2重管構造の羽口で実施した実施例について説明をしたが、本発明は、3重管羽口などの多重管羽口に用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
本発明は、上底吹き転炉、底吹き転炉等の底吹き羽口の他、酸素を吹き込む熱負荷の高い精錬炉底吹き羽口にも適用が可能である。
1 内管
2 外管
3 上吹きランス
4a〜4d (本発明)底吹き羽□
4e〜4f (比較例)底吹き羽□
2 外管
3 上吹きランス
4a〜4d (本発明)底吹き羽□
4e〜4f (比較例)底吹き羽□
Claims (2)
- 内管内中心流路からは酸素ガスをそして外管内の環状流路からは冷却ガスを噴射する同心多重管構造の転炉用底吹き羽口において、前記内管を、Cr:20〜26 mass%、Ni:10〜25 mass%を含むオーステナイト系ステンレス鋼にて構成したことを特徴とする転炉用底吹き羽口。
- 上記鋼は、さらにSi:1.5〜3.0 mass%を含むことを特徴とする請求項1に記載の転炉用底吹き羽口。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004082422A JP2005264291A (ja) | 2004-03-22 | 2004-03-22 | 転炉用底吹き羽口 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004082422A JP2005264291A (ja) | 2004-03-22 | 2004-03-22 | 転炉用底吹き羽口 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005264291A true JP2005264291A (ja) | 2005-09-29 |
Family
ID=35089142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004082422A Pending JP2005264291A (ja) | 2004-03-22 | 2004-03-22 | 転炉用底吹き羽口 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005264291A (ja) |
-
2004
- 2004-03-22 JP JP2004082422A patent/JP2005264291A/ja active Pending
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