JP2005262256A - 形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構 - Google Patents

形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構 Download PDF

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Abstract

【課題】 ユニバーサルミルを用いてH形断面の形鋼を製造する際、ウェブの中心位置の偏りの発生を防止可能な形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構の提供
【解決手段】 寸法制御機構の制御装置50により、形鋼10からユニバーサルミル30の水平ロール32に対して働く負荷トルクを予測し、予測した負荷トルクによって生じる水平ロール32の回転数の変化を予測し、予測した水平ロール32の回転数の変化に基づき、水平ロール32の回転数を制御してその変動を抑制するとともに、寸法計26により、形鋼10のウェブ12の中心位置の偏り量を予め測定し、測定されたウェブ12の中心位置の偏り量に基づいて、水平ロール32の昇降量を制御して上下に移動させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ユニバーサルミルを用いてH形断面を有する形鋼を製造するに際し、ウェブの中心位置に偏りが生じることを防止する形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構に関するものである。
ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼は、H形鋼又はI形鋼と呼ばれており、一般に、かかる形鋼はユニバーサルミルを使用して製造されている。なお、以下の説明において、「ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼」のことを、単に「形鋼」と言うものとする。
ユニバーサルミルは水平ロール及び垂直ロールを備え、水平ロール及び垂直ロールはそれぞれ圧下装置を有し、水平ロールが上下からウェブを圧下して圧延し、垂直ロールが左右からフランジを圧下して圧延する。また、ユニバーサルミルの水平ロールはモータによって自転しており、垂直ロールはユニバーサルミルを通る形鋼のフランジと接触して回転している。
形鋼は、ユニバーサルミルに複数回通されて圧延される。パスラインに複数基のユニバーサルミルが並んで設置されている場合、形鋼がパスラインを上流側から下流側へ向けて搬送され、各ユニバーサルミルを順番に通る。また、パスラインに1基のユニバーサルミルが設置されている場合、形鋼はそのユニバーサルミルの前後のパスライン上で前進と後退とを繰り返し、同じユニバーサルミルを複数回通る。
製品として出荷される形鋼には寸法の精度が要求されており、ユニバーサルミルで圧延される形鋼のウェブの中心位置が上下に偏ることを防止する技術として、以下のものが提唱されている。
例えば、ユニバーサルミルに進入する前の形鋼において、形鋼のウェブ又はフランジを拘束し、拘束された形鋼をユニバーサルミルの水平ロール及び垂直ロールの直近まで誘導して、ユニバーサルミルが形鋼を圧延するに際して、形鋼のウェブの中心位置に偏りが生じることを制御する技術がある(従来技術1)(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。この技術においては、ユニバーサルミルと隣接して形鋼の誘導装置を設置し、この誘導装置によって形鋼を拘束し、拘束した形鋼の搬送方向先端部をユニバーサルミルの直近まで誘導することとなる。
また、ユニバーサルミルが有するガイド又はテーブルローラーにより、ユニバーサルミルを通る形鋼の位置を調整し、ユニバーサルミルが形鋼の搬送方向先端部を噛み込む際の噛み込み角度を制御して、ユニバーサルミルが形鋼を圧延するに際して、形鋼のウェブの中心位置に偏りが生じることを制御する技術がある(従来技術2)(例えば、特許文献5、特許文献6を参照)。
さらに、ユニバーサルミルの水平ロール及び垂直ロールの位置を調整したり、ユニバーサルミルに隣接するエッジャーミルのエッジャーロールの位置を調整したりして、フランジへの圧下率を調整する技術がある(従来技術3)(例えば、特許文献7、特許文献8を参照)。
特開平7−47417号公報 特開平9−262618号公報 特開平11−47816号公報 特開平11−309506号公報 特開平10−216803号公報 特開平11−114604号公報 特開平6−15323号公報 特開平11−226603号公報
しかしながら、前記の従来技術1、従来技術2及び従来技術3においては、以下の問題があった。
形鋼をユニバーサルミルに通す際、形鋼の搬送方向先端部がユニバーサルミルの水平ロールの間に押し込まれ、水平ロールが形鋼の搬送方向先端部を噛み込む。このとき、形鋼から水平ロールに負荷トルクが働き、この負荷トルクによって水平ロールの自転が妨げられ、水平ロールの回転数が変化し、ユニバーサルミルに進入してくる形鋼の進入速度よりも、ユニバーサルミル中を通る形鋼の通過速度の方が遅くなってしまう。形鋼の進入速度が通過速度よりも速いと、ユニバーサルミル中及び近傍において、形鋼が蛇行等しやすくなり、形鋼のうちでユニバーサルミルで圧延されている部分の位置が不安定となり、形鋼のウェブの中心位置に偏りが生じやすくなってしまう。
また、従来技術1においては、誘導装置が形鋼を拘束し、拘束した形鋼の搬送方向先端部をユニバーサルミルの直近まで誘導しているが、誘導装置とユニバーサルミルの水平ロールとの間で干渉が生じることを防止しなければならず、誘導装置が形鋼の搬送方向先端部を案内できる範囲には限界が存在する。また、誘導装置と形鋼とが互いに接触すると形鋼の表面に疵がついてしまうので、誘導装置と形鋼との間には一定量の隙間をあけておく必要がある。この隙間が存在するために、誘導装置が形鋼をしっかりと拘束することが困難となり、形鋼の搬送方向先端部を正確に誘導することも困難となっており、ユニバーサルミルの水平ロールにおける形鋼の搬送方向先端部の噛み込み位置が安定せず、形鋼の搬送方向先端部近傍において、ウェブの中心位置に偏りが生じやすくなってしまう。
また、形鋼の搬送方向先端部のみならず全長に亘って、形鋼のウェブの中心位置に偏りを生じることを防止する必要がある。したがって、ユニバーサルミルの水平ロールが形鋼の搬送方向先端部を噛み込む際、搬送方向先端部以外の形鋼の部分に生じるウェブの中心位置の偏りをも考慮して、形鋼に加える外力を調整し、形鋼を水平ロールの間に押し込まねばならない。しかし、従来技術2及び従来技術3においては、水平ロールが噛み込む搬送方向先端部以外の形鋼の部分に生じるウェブの中心位置の偏りをも考慮しつつ、形鋼に加わる外力を調整することは困難であり、形鋼の全長に亘ってウェブの中心位置に偏りを生じることを防止することが困難となっている。
本発明は、上記した従来の技術の問題点を除くためになされたものであり、その目的とするところは、ユニバーサルミルを用いてH形断面を有する形鋼を製造するに際し、ウェブの中心位置に偏りが生じることを防止する形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構を提供することである。
本発明はその課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る形鋼の寸法制御方法は、ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼をパスラインで搬送し、形鋼のウェブをユニバーサルミルの水平ロールにより上下から圧下して圧延するとともに、形鋼のフランジをユニバーサルミルの垂直ロールにより左右から圧下して圧延するにあたって、自転する水平ロールに噛み込まれる形鋼から水平ロールに対して働くであろう負荷トルクを予測し、この負荷トルクに相応して生じるであろう噛み込み時の水平ロールの回転数の変化を予測し、予測された水平ロールの回転数の変化に基づき、水平ロールの回転数を制御し、形鋼が噛み込まれる際の水平ロールの回転数を、ユニバーサルミルへ進入してくる形鋼の進入速度に合わせ、形鋼の進入速度と、ユニバーサルミル中における形鋼の通過速度とを、同じ速度に制御する。
ユニバーサルミルの自転する水平ロールの間に形鋼を押し込み、水平ロールが形鋼の搬送方向先端部を噛み込むと、負荷トルクが形鋼から水平ロールに対して働き、水平ロールの回転数が減少する。水平ロールに形鋼から働く負荷トルクの大きさは、形鋼の進入速度、温度、質量等から計算して予測でき、予測された負荷トルクを用いて水平ロールに生じる回転数の変化をも予測できる。
したがって、水平ロールの回転数の変化を予測して、水平ロールの回転数を制御すれば、形鋼が噛み込まれる際の水平ロールの回転速度と、ユニバーサルミルへ進入してくる形鋼の進入速度との間に差が生じることを防止でき、形鋼の進入速度と、ユニバーサルミル中を通る形鋼の通過速度とを同じ速度とすることができる。形鋼のユニバーサルミルへの進入速度と、形鋼のユニバーサルミル中での通過速度とを一致させれば、ユニバーサルミル中及び近傍で、形鋼が蛇行等することは防止され、ユニバーサルミルの水平ロールにおける形鋼の噛み込み位置が安定し、形鋼のウェブの中心位置に偏りが生じることも防止される。
請求項2の発明に係る形鋼の寸法制御方法は、請求項1に記載の形鋼の寸法制御方法であって、ユニバーサルミルへ進入する前の形鋼のウェブの中心位置の偏り量を、形鋼の長手方向に連続して測定し、測定されたウェブの中心位置の偏り量に基づいて、ユニバーサルミルの水平ロールを上下に昇降させる。
請求項2の発明によると、ユニバーサルミルへ進入する前の形鋼のウェブの中心位置が偏っている場合、形鋼のウェブの中心位置の偏り量に応じて、ユニバーサルミルの水平ロールの位置を上下に昇降させることにより、形鋼のウェブの中心位置の偏りを矯正することができる。例えば、形鋼のウェブの中心位置が上方に偏っていれば、水平ロールの位置を下方に移動させ、形鋼のウェブの中心位置が下方に偏っていれば、水平ロールの位置を上方に移動させればよい。
請求項3の発明に係る形鋼の寸法制御機構は、ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼をパスラインで搬送し、ユニバーサルミルの水平ロールにより形鋼のウェブを上下から圧下して圧延し、ユニバーサルミルの垂直ロールにより形鋼のフランジを左右から圧下して圧延するにあたって、ウェブの中心位置に偏りが生じることを防止する形鋼の寸法制御機構であって、自転する水平ロールに噛み込まれる形鋼から水平ロールに対して働くであろう負荷トルクを予測し、この負荷トルクに相応して生じるであろう水平ロールの回転数の変化を予測し、予測された水平ロールの回転数の変化に基づき、水平ロールの回転数を制御し、形鋼が噛み込まれる際の水平ロールの回転数を、ユニバーサルミルへ進入してくる形鋼の進入速度に合わせることにより、形鋼の進入速度と、ユニバーサルミル中における形鋼の通過速度とを、同じ速度に制御可能に構成された制御装置を備える。
請求項3の発明により、請求項1に記載の形鋼の寸法制御方法を実施することができる。
請求項4の発明に係る形鋼の寸法制御機構は、請求項3に記載の形鋼の寸法制御機構であって、ユニバーサルミルへ進入する前の形鋼のウェブの中心位置の偏り量を、形鋼の長手方向に連続して測定可能に構成された測定装置を備え、前記制御装置が、測定されたウェブの中心位置の偏り量に基づいて、ユニバーサルミルの水平ロールを上下に昇降可能に構成されている。
請求項4の発明により、請求項2に記載の形鋼の寸法制御方法を実施することができる。
本発明は、上記のような形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構であるので、ユニバーサルミルを用いてウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼を製造する際、ウェブの中心位置に偏りが生じることを防止可能な形鋼の寸法制御方法及び形鋼の寸法制御機構を提供できるという効果がある。
本発明を実施するための最良の形態を図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示す形鋼10のパスライン18は、上流側から順番に粗ユニバーサルミル(図示せず)、質量計22、速度計24u、寸法計26u、温度計28u、ユニバーサルミル30、温度計28d、寸法計26d、速度計24d、エッジャーミル(図示せず)、仕上げユニバーサル(図示せず)を備えるとともに、ユニバーサルミル30の脇に制御装置50を備えている。
パスライン18には、複数の搬送ロール20が設置されており、形鋼10をパスライン18の上流側から下流側に向けて搬送可能であるとともに、形鋼10の搬送方向を逆転させることも可能であり、形鋼10をパスライン18の下流側から上流側に向けても搬送可能となっている。
図3及び図4に示すように、形鋼10はウェブ12とフランジ14とからなり、ウェブ12の左右両端にフランジ14がそれぞれ形成されており、断面形状がH形をなしている。図4の形鋼10のH形断面において、ウェブ12からフランジ14の上端までのフランジ脚長の寸法はLaとなっており、ウェブ12からフランジ14の下端までのフランジ脚長の寸法はLbとなっている。
質量計22はパスライン18を搬送される形鋼10の質量Wを測定可能に構成されている。
速度計24uは、ユニバーサルミル30の上流側で、搬送ロール20の回転数を測定し、上流側からユニバーサルミル30へ進入してくる形鋼10の進入速度Vuを計算可能に構成されている。
寸法計26uは、ユニバーサルミル30の上流側で、形鋼10のフランジ脚長La、Lbをそれぞれ形鋼10の長手方向に連続して測定可能に構成されている。
温度計28uは、ユニバーサルミル30の上流側直近で、形鋼10の温度tuを形鋼10の長手方向に連続して測定可能に構成されている。
ユニバーサルミル30は、一対の水平ロール32と一対の垂直ロール34を備えている。
図1、図2及び図3に示すように、各水平ロール32はスピンドル38とピニオンギヤ40を介してモータ42に接続されており、モータ42によって自転可能に構成されている。また、各水平ロール32は、それぞれ油圧シリンダからなる圧下装置36hを有しており、水平ロール32同士の間に形鋼10のウェブ12を上下から挟んで圧下して圧延可能に構成されている。
図1、図2及び図3に示すように、各垂直ロール34は、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10のフランジ14と接触して回転可能となっており、それぞれ油圧シリンダからなる圧下装置36vを有しており、垂直ロール34同士の間に形鋼10のフランジ14を左右から挟んで圧下して圧延可能に構成されている。また、水平ロール32が圧下装置36hにより昇降可能に構成されている。
ユニバーサルミル30、ピニオンギヤ40及びモータ42は基台48上に設置されている。
モータ42は回転検出器44と負荷検出器46を有しており、回転検出器44はモータ42の回転数RMTRを測定可能に構成され、負荷検出器46はモータ42の負荷LMTRを測定可能に構成されている。
温度計28dはユニバーサルミル30の下流側直近で、形鋼10の温度tdを形鋼10の長手方向に連続して測定可能に構成されている。
寸法計26dは、ユニバーサルミル30の下流側で、形鋼10のフランジ脚長La、Lbをそれぞれ形鋼10の長手方向に連続して測定可能に構成されている。
速度計24dは、ユニバーサルミル30の下流側で、パスライン18の搬送ロール20の回転数を測定し、下流側からユニバーサルミル30へ進入してくる形鋼10の進入速度Vdを計算可能に構成されている。
制御装置50は演算部52を有しており、演算部52にはプログラムP1、P2、P3、P4、P5、P6が格納されている。また、制御装置50は質量計22、速度計24u、寸法計26u、温度計28u、回転検出器44、負荷検出器46、温度計28d、寸法計26d、速度計24dとそれぞれ接続されており、これらの各機器が測定又は計算した値を受信可能に構成されている。さらに、制御装置50は、モータ42、圧下装置36hとそれぞれ接続されており、モータ42の回転を制御可能であるとともに、圧下装置36hの昇降を介してユニバーサルミル30の水平ロール32の昇降量を制御可能に構成されている。
プログラムP1は、形鋼10がユニバーサルミル30に上流側又は下流側から進入する前の状態下で、ユニバーサルミル30の水平ロール32の回転数RROLLを制御するプログラムである。
具体的には、プログラムP1は、形鋼10の搬送方向がパスライン18の上流側から下流側に向いている場合、速度計24uが計算した形鋼10の進入速度Vuを用いて、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILLが進入速度Vuと同じ速度であるとした場合の水平ロール32の回転数RROLLを計算して予測し、この計算された回転数RROLLで水平ロール32を回転させるために必要なモータ42の回転数RMTRを計算し、この計算された回転数RMTRでモータ42を回転させる構成を有している。
また、形鋼10の搬送方向がパスライン18の下流側から上流側に向いている場合も同様であり、プログラムP1は、速度計24dが計算した形鋼10の進入速度Vdを用いて、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILLが進入速度Vdと同じ速度であるとした場合の水平ロール32の回転数RROLLを計算して予測し、この計算された回転数RROLLで水平ロール32を回転させるために必要なモータ42の回転数RMTRを計算し、この計算された回転数RMTRでモータ42を回転させる構成を有している。
プログラムP2は、形鋼10のウェブ12の中心位置の偏り量Gを、形鋼10の長手方向に連続して算出するプログラムである。
具体的には、プログラムP2は、形鋼10の搬送方向がパスライン18の上流側から下流側に向いている場合、寸法計26uが測定したフランジ脚長La、Lbを用いて、次式(1)によりウェブ12の中心位置の偏り量Gを形鋼10の下流側端部16dから上流側端部16uまで長手方向に連続して計算し、速度計24uが計算した形鋼10の進入速度Vuを用いて、形鋼10の長手方向の各位置とその各位置におけるウェブ12の中心位置の偏り量Gとを対応付ける構成を有している。
G=(La−Lb)/2 ・・・(1)
また、形鋼10の搬送方向がパスライン18の下流側から上流側に向いている場合も同様であり、プログラムP2は、寸法計26dが測定したフランジ脚長La、Lbを用いて、式(1)によりウェブ12の中心位置の偏り量Gを形鋼10の上流側端部16uから下流側端部16dまで長手方向に連続して計算し、速度計24dが計算した形鋼10の進入速度Vdを用いて、形鋼10の長手方向の各位置とその各位置におけるウェブ12の中心位置の偏り量Gとを対応付ける構成を有している。
なお、ウェブ12の中心位置の偏り量Gがゼロである場合、形鋼10のウェブ12の中心位置に偏りは存在せず、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが正値である場合、形鋼10のウェブ12の中心位置は図3及び図4の下方に偏っており、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが負値である場合、形鋼10のウェブ12の中心位置は図3及び図4の上方に偏っていることとなる。
プログラムP3は、プログラムP2が計算した形鋼10のウェブ12の中心位置の偏り量Gに基づいて、圧下装置36hの昇降量を制御することにより、ユニバーサルミル30の水平ロール32の昇降量を制御するプログラムである。
具体的には、プログラムP3は、以下のように構成されている。すなわち、形鋼10の長手方向中で、ユニバーサルミル30の水平ロール32の間に位置している形鋼10の長手方向位置において、その長手方向位置のウェブ12の中心位置の偏り量Gが正値であり、ウェブ12の中心位置が図3及び図4の下方に偏っている場合、圧下装置36hを上昇させて、水平ロール32を上昇させる構成となっている。また、形鋼10の長手方向中で、水平ロール32の間に位置している形鋼10の長手方向位置において、その長手方向位置のウェブ12の中心位置の偏り量Gが負値であり、ウェブ12の中心位置が図3及び図4の上方に偏っている場合、圧下装置36hを下降させて、水平ロール32を下降させる構成となっている。
なお、プログラムP3において、水平ロール32の昇降量は、ウェブ12の中心位置の偏り量Gの大きさに比例して定まる構成となっている。
プログラムP4は、形鋼10の下流側端部16d又は上流側端部16uのウェブ12がユニバーサルミル30の水平ロール32の間に噛み込まれる際、水平ロール32の回転数RROLLに生じる変化量を計算して予測するプログラムである。
具体的には、プログラムP4は、以下のように構成されている。すなわち、形鋼10の搬送方向がパスライン18の下流側から上流側に向いている場合、質量計22が測定した形鋼10の質量Wと、温度計28uが測定した形鋼10の温度tuと、速度計24uが計算した形鋼10の進入速度Vuとから、ユニバーサルミル30が水平ロール32の間に形鋼10の下流側端部16dのウェブ12を噛み込む際に、形鋼10から水平ロール32に働くであろう負荷トルクFを計算して予測する。そして、この予測された負荷トルクFが、プログラムP1によって計算された回転数RROLLで予め回転している水平ロール32に働く場合に、水平ロール32の回転数RROLLに生じるであろう減少量ΔRROLLを計算して予測する構成となっている。
また、形鋼10の搬送方向がパスライン18の上流側から下流側に向いている場合も同様であり、プログラムP4は、形鋼10の質量Wと、温度計28dが測定した形鋼10の温度tdと、速度計24dが計算した形鋼10の進入速度Vdとから、ユニバーサルミル30が水平ロール32の間に形鋼10の上流側端部16uのウェブ12を噛み込む際に、形鋼10から水平ロール32に働くであろう負荷トルクFを計算して予測し、この予測された負荷トルクFがプログラムP1によって計算された回転数RROLLで予め回転している水平ロール32に働く場合に、水平ロール32の回転数RROLLに生じるであろう減少量ΔRROLLを計算して予測する構成となっている。
プログラムP5は、モータ42の回転数RMTRを制御し、ユニバーサルミル30の水平ロール32が形鋼10を噛み込む際の水平ロール32の回転数RROLLを、プログラムP1によって計算された回転数RROLLに維持するプログラムである。
具体的には、プログラムP5は、プログラムP4が計算して予測した水平ロール32の回転数RROLLの減少量ΔRROLLに基づいて、この減少量ΔRROLLを相殺してゼロとするために必要なモータ42の回転数RMTRを計算し、この計算した回転数RMTRでモータ42を回転させ、形鋼10を噛み込む際の水平ロール32の回転数RROLLが、プログラムP1によって計算された回転数RROLLから変動することを抑制し、ユニバーサルミル30への形鋼10の進入速度Vu又はVdと、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILLとを、同じ速度に維持する構成となっている。
プログラムP6は、モータ42の回転数RMTRを制御し、ユニバーサルミル30の水平ロール32が形鋼10を噛み込んだ後の水平ロール32の回転数RROLLを、プログラムP1によって計算された回転数RROLLに維持するプログラムである。
具体的には、プログラムP6は、負荷検出器46が測定したモータ42の負荷LMTRから、実際に形鋼10から水平ロール32に働いている負荷トルクFの変化を計算し、計算された負荷トルクFの変化に基づいて、モータ42の回転数RMTRをフィードバック制御し、形鋼10を噛み込んでいる水平ロール32の回転数RROLLが、プログラムP1によって計算された回転数RROLLから変動することを抑制し、ユニバーサルミル30への形鋼10の進入速度Vu又はVdと、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILLとを、同じ速度に維持する構成となっている。
以上説明した質量計22、速度計24u、寸法計26u、温度計28u、ユニバーサルミル30、温度計28d、寸法計26d、速度計24d、モータ42、圧下装置36h及び制御装置50が、形鋼10の寸法制御機構を構成している。
本実施の形態は上記のように構成されており、次に、その作用について説明する。
粗ユニバーサルミルを通った形鋼10がパスライン18を上流側から下流側のユニバーサルミル30に向かって進入速度Vu1で搬送されてくる。そして、ユニバーサルミル30に形鋼10を通して第1回のパスを行う。
形鋼10が上流側からユニバーサルミル30に進入する前に、質量計22が形鋼10の質量Wを測定し、速度計24uが形鋼10の進入速度Vu1を計算し、寸法計26uが形鋼10のフランジ脚長La1、Lb1を測定し、温度計28uが形鋼10の温度tu1を測定する。質量計22、速度計24u、寸法計26u、温度計28uは、それぞれが測定した質量W、進入速度Vu1、フランジ脚長La1、Lb1を制御装置50に送る。
また、形鋼10がユニバーサルミル30に進入する前に、制御装置50の演算部52では、プログラムP1が、速度計24uにより計算された形鋼10の進入速度Vu1を用いて、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILL1が進入速度Vu1と同じ速度となるとした場合の水平ロール32の回転数RROLL1を計算して予測し、この計算された回転数RROLL1で水平ロール32を回転させるために必要なモータ42の回転数RMTR1を計算し、この計算された回転数RMTR1でモータ42を回転させ、モータ42が回転数RMTR1で回転し、水平ロール32が回転数RROLL1で回転する。
さらに、プログラムP2が、寸法計26uにより測定された形鋼10のフランジ脚長La1、Lb1を用いて、式(1)から、ウェブ12の中心位置の偏り量Gを形鋼10の下流側端部16dから上流側端部16uまで長手方向に連続して計算し、速度計24uが計算した形鋼10の進入速度Vu1から、形鋼10の長手方向の各位置と、その各位置における偏り量Gと対応付ける。
そして、プログラムP3が、形鋼10の先端におけるウェブ12の中心位置の偏り量Gに応じて、圧下装置36hの昇降量を計算し、計算した昇降量だけ圧下装置36hを昇降させ、形鋼10の下流側端部16dのウェブ12の高さとユニバーサルミル30の水平ロール32同士の間の隙間の高さとを一致させる。
また、プログラムP4が、質量計22により測定された形鋼10の質量Wと、温度計28uにより測定された形鋼10の温度tu1と、速度計24uにより計算された形鋼10の進入速度Vu1とから、ユニバーサルミル30の水平ロール32が形鋼10の下流側端部16dのウェブ12を噛み込む際に、形鋼10から水平ロール32に働くであろう負荷トルクF1の大きさを計算して予測する。そして、計算された負荷トルクF1が、形鋼10から回転数RROLL1で回転している水平ロール32に働いた場合に、水平ロール32に生じるであろう回転数の減少量ΔRROLL1を計算して予測する。
次いで、プログラムP5が、水平ロール32を回転数RROLL1+ΔRROLL1で回転させるために必要なモータ42の回転数RMTR2を計算し、この計算した回転数RMTR2でモータ42を回転させる。
プログラムP5からの信号により、モータ42が回転数RMTR2で回転し、水平ロール32が回転数RROLL1+ΔRROLL1で回転する。
形鋼10の下流側端部16dのウェブ12が、水平ロール32の間に実際に噛み込まれると、形鋼10から水平ロール32に負荷トルクF1が実際に働き、水平ロール32の回転が負荷トルクF1によって妨げられ、ΔRROLL1だけ水平ロール32の回転数が減少し、プログラムP5による水平ロール32の回転数の増加分ΔRROLL1は相殺され、水平ロール32は回転数RROLL1で回転する。
水平ロール32の間に形鋼10のウェブ12が噛み込まれた後、形鋼10から水平ロール32に働く負荷トルクF1は変動し、負荷トルクF2となる。負荷トルクF2となると、水平ロール32を回転させているモータ42の負荷LMTR1も変動し、負荷LMTR2となる。モータ42の負荷LMTR2は負荷検出器46によって検出され、検出された負荷LMTR2は制御装置50に送られる。
制御装置50の演算部52では、プログラムP6が、負荷検出器46によって検出されたモータ42の負荷LMTR2から、実際に形鋼10から水平ロール32に働く負荷トルクF2を計算する。そして、水平ロール32に形鋼10から負荷トルクF2が働く条件下で、水平ロール32の回転数をRROLL1とするために必要なモータ42の回転数RMTR3を計算し、この計算した回転数RMTR3でモータ42を回転させる。
水平ロール32が形鋼10の下流側端部16dのウェブ12を噛み込む際、及び、噛み込んだ後において、水平ロール32は回転数RROLL1に維持されており、形鋼10の進入速度Vu1と、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILL1とは同じ速度に維持されている。したがって、ユニバーサルミル30中又は近傍で、ユニバーサルミル30に進入する形鋼10が蛇行等することはなく、水平ロール32における形鋼10のウェブ12の噛み込み位置は一定の位置に維持される。
また、形鋼10がユニバーサルミル30を通る間、プログラムP3が圧下装置36hの昇降量を制御し、形鋼10の長手方向の各位置におけるウェブ12の中心位置の偏り量Gに応じて、圧下装置36hの昇降量を計算し、この計算した昇降量で圧下装置36hを昇降させることで、ユニバーサルミル30の水平ロール32を昇降させ、形鋼10の長手方向の各位置におけるウェブ12の中心位置の偏り量Gをゼロとするように、水平ロール32によるウェブ12の圧下条件を変化させる。
例えば、形鋼10の長手方向のある位置において、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが正値となっている場合には、その長手方向位置がユニバーサルミル30の水平ロール32の間に位置するタイミングで、プログラムP3が圧下装置36hを上昇させ、水平ロール32を上昇させ、図3及び図4において下方に偏っているウェブ12の中心位置を上方に矯正する。また、形鋼10の長手方向の別のある位置において、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが負値となっている場合には、その長手方向位置がユニバーサルミル30の水平ロール32の間に位置するタイミングで、プログラムP3が圧下装置36hを下降させて、水平ロール32を下降させ、図3及び図4において上方に偏っているウェブ12の中心位置を下方に矯正する。
図5に、プログラムP3による水平ロール32の昇降量を制御の一例を示す。図5(i)は、プログラムP2によって得られた形鋼10のウェブ12の中心位置の偏り量Gの一例である。図5(i)の横軸に形鋼10の長手方向位置を取り、縦軸にはウェブ12の中心位置の偏り量Gを取っている。図5(ii)は、図5(i)に示される形鋼10に対してプログラムP3が行ったユニバーサルミル30の水平ロール32の昇降量の制御結果である。図5(i)の横軸に形鋼10の長手方向の位置を取り、縦軸には水平ロール32の昇降量を取っている。
図5(i)に示すように、形鋼10の下流側端部16dの位置X1から長手方向位置X2までの間は、ウェブ12の中心位置の偏り量がG1(正値)となっており、形鋼10の長手方向位置X2から長手方向位置X3までの間は、ウェブ12の中心位置の偏り量がG1からゼロまで徐々に減少しており、形鋼10の長手方向位置X3から長手方向位置X4までの間は、ウェブ12の中心位置の偏り量がゼロとなっており、形鋼10の長手方向位置X4から長手方向位置X5までの間は、ウェブ12の中心位置の偏り量がゼロからG2(負値)まで徐々に減少しており、形鋼10の長手方向位置X5から上流側端部16uの位置X6までの間は、ウェブ12の中心位置の偏り量がG2となっている。
そして、図5(ii)に示すように、プログラムP3は、図5(i)に示される形鋼10の下流側端部16dの位置X1から長手方向位置X2までの間が、水平ロール32の間に位置しているときは、水平ロール32の昇降量をH1に維持する。形鋼10の先端位置X2から長手方向位置X3までの間が、水平ロール32の間に位置しているときは、水平ロール32の昇降量をH1からH2まで徐々に減少させる。形鋼10の先端位置X3から長手方向位置X4までの間が、水平ロール32の間に位置しているときは、水平ロール32の昇降量をH2に維持する。形鋼10の長手方向位置X4から長手方向位置X5までの間が、水平ロール32の間に位置しているときは、水平ロール32の昇降量をH2からH3まで徐々に減少させる。形鋼10の長手方向位置X5から上流側端部16uの位置X6までの間が、水平ロール32の間に位置しているときは、水平ロール32の昇降量をH3に維持する。
形鋼10がユニバーサルミル30中を上流側から下流側へ向けて通り、温度計28d、寸法計26d、速度計24dを通ったら、第1回のパスが終わる。形鋼10が温度計28d、寸法計26d、速度計24dを通ったら、パスライン18における形鋼10の搬送方向を逆転し、形鋼10をユニバーサルミル30に下流側から上流側へ向けて通し、第2回のパスを行う。
この第2回のパスにおいては、第1回のパスにおける速度計24uの代わりに速度計24dが形鋼10の進入速度Vdを測定し、寸法計26uの代わりに寸法計26dが形鋼10のフランジ脚長La、Lbを測定し、温度計28uの代わりに温度計28dが形鋼10の温度tdを測定し、速度計24d、寸法計26d、温度計28dは、それぞれが測定又は計算した質量W、進入速度Vu2、フランジ脚長La2、Lb2を制御装置50に送る。
そして、第1回のパスと同様に、制御装置50の演算部52でプログラムP1、P2、P3、P4、P5、P6がそれぞれ演算を実行し、ユニバーサルミル30の水平ロール32の回転数RROLL、モータ42の回転数RMTR、水平ロール32の昇降量がそれぞれ制御され、ユニバーサルミル30への形鋼10の進入速度Vdと、ユニバーサルミル30中を通る形鋼10の通過速度VMILLとが、同じ速度に維持される。
形鋼10がユニバーサルミル30を下流側から上流側へ向けて通り、温度計28u、寸法計26u、速度計24uを通ったら、第2回のパスが終わる。そして、再び、パスライン18における形鋼10の搬送方向を再び逆転し、形鋼10をユニバーサルミル30に上流側から下流側へ向けて通し、第3回のパスを行う。このようにして、形鋼10をユニバーサルミル30に複数回通す。
ユニバーサルミル30を形鋼10が通るたびに、形鋼10の長手方向の各位置が有するウェブ12の中心位置の偏り量Gが小さくなっていく。
上記の寸法制御機構を用いて形鋼10の圧延を行うことによって、ユニバーサルミル30の水平ロール32が形鋼10を噛み込む際、及び、噛み込んだ後に、形鋼10が蛇行することは防止され、水平ロール32に対する形鋼10の位置がずれたりすることは防止されており、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが形鋼10の上流側端部16uや下流側端部16dにおいて大きくなってしまうことも防止されている。また、形鋼10の長手方向において、ウェブ12の中心位置が偏っている部分がある場合であっても、水平ロール32の位置を昇降させることによって、ウェブ12の中心位置の偏り量Gは矯正され、ウェブ12の中心位置の偏り量Gが所定量以内に抑制された形鋼10を得ることができる。
なお、本実施の形態において、形鋼10の搬送方向を逆転させ、複数回にわたって形鋼10を同じユニバーサルミル30に通しているが、代わりに、複数基のユニバーサルミル30をパスライン18の上流側から下流側にかけて設置し、各ユニバーサルミル30について寸法制御機構を形成し、形鋼10を上流側から順番に各ユニバーサルミル30に1回ずつ通す構成とすることも可能である。
また、本実施の形態において、寸法制御機構をユニバーサルミル30による形鋼10の圧延に適用しているが、粗ユニバーサルミルや仕上げユニバーサルミルに寸法制御機構を適用することが可能であることは勿論である。
さらに、本実施の形態において、水平ロール32の回転数RROLLや水平ロール32に働く負荷トルクFを、モータ42の負荷検出器46が検出する負荷LMTRを介して検出しているが、代わりに、水平ロール32や圧下装置36hから直接的又は間接的に検出することが可能であることは勿論である。
次に、本発明に係る寸法制御機構及び寸法制御方法を用いて実施した検証試験の結果を報告する。
上記本実施の形態で説明したパスライン18において、形鋼10の圧延をユニバーサルミル30を用いて行った。ユニバーサルミル30の前後で形鋼10の搬送方向を10回変更することにより、形鋼10をユニバーサルミル30に11回通した。なお、ユニバーサルミル30に通した形鋼10はJISH600×300×12×20(50キロ鋼)からなり、その全長は78mである。
以下の表1に示すように、1回目に形鋼10をユニバーサルミル30に通す第1パスから、8回目に形鋼10をユニバーサルミル30に通す第8パスまでの間は、演算部52でプログラムP1、P2、P4、P5、P6による演算のみを実行し、水平ロール32の回転数RROLLを制御し、プログラムP3による演算を実行せず、水平ロール32の昇降量の制御を行わなかった。そして、9回目に形鋼10をユニバーサルミル30に通す第9パスから、11回目に形鋼10をユニバーサルミル30に通す第11パスまでの間は、演算部52でプログラムP1、P2、P3、P4、P5、P6の演算を実行し、水平ロール32の回転数RROLLを制御するとともに、水平ロール32の昇降量をも制御した。
Figure 2005262256
第1パスを通る前の形鋼10に対して、プログラムP2が計算したウェブ12の中心位置の偏り量Gを図6(i)に示す。図6(i)の縦軸はウェブ12の中心位置の偏り量Gを取っており、横軸は形鋼10の長手方向位置を取っている。なお、図6(i)中において、形鋼10の一方のウェブ12における中心位置の偏り量Gを実線で示し、他方のウェブ12における中心位置の偏り量Gを破線で示す。
第1パスを通る前の形鋼10は、パスライン18の下流側端部16dの位置X1と、下流側端部16dの位置X1から5m離れた長手方向位置X7までの間において、一方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+2.58mm、他方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+2.03mmであった。また、下流側端部16dの位置X1から73m離れた長手方向位置X8から上流側端部16uの位置X6までの間において、一方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+2.15mm、他方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+1.67mmであった。すなわち、形鋼10の下流側端部16d及び上流側端部16uにおいてウェブ12の中心位置は図3又は図4の下方に偏っている。また、形鋼10の長手方向位置X7から長手方向位置X8までの間においては、ウェブ12の中心位置からの偏り量Gは+1mmよりも小さい。
第1パスから第11パスにおいて、ユニバーサルミル30の前後における形鋼10の進入速度Vu、Vdはともに7.14m/secとし、プログラムP4、P5、P6により、水平ロール32の回転数RROLLを制御し、ユニバーサルミル30を通る形鋼10の通過速度VMILLを7.14m/secに維持した。
第9パス中で、プログラムP3による水平ロール32の昇降量の制御を図7に示す。図7の縦軸は水平ロール32の昇降量を取っており、横軸は形鋼10の長手方向位置を取っている。なお、図7の縦軸において、目盛り間隔は均一とはなっておらず、図7の横軸においても、目盛り間隔は均一とはなっていない。プログラム3は、形鋼10の下流側端部16dの位置X1と、下流側端部16dの位置X1から4.3m離れた長手方向位置X9との間が水平ロール32の間に位置するとき、水平ロール32の昇降量を+3mmに維持し、長手方向位置X9と長手方向位置X7との間が水平ロール32の間に位置するとき、水平ロール32を昇降量を+3mmからゼロまで徐々に減少させ、長手方向位置X7と長手方向位置X8との間が水平ロール32の間に位置するとき、水平ロール32の昇降量をゼロに維持し、長手方向位置X8と、先端位置X1から77.4m離れた長手方向位置X10との間が水平ロール32の間に位置するとき、水平ロール32の昇降量をゼロから+2.6mmまで徐々に増加させ、長手方向位置X10から上流側端部16uの位置X6との間が水平ロール32の間に位置するとき、水平ロール32の昇降量を+2.6mmに維持した。
第11パスを通った後の形鋼10に対して、プログラムP2が算出したウェブ12の中心位置の偏り量Gを図6(ii)に示す。図6(ii)の縦軸及び横軸は、図6(i)のものと同じである。また、図6(ii)中において、図6(i)に実線で示した一方のウェブ12の中心位置の偏り量Gを同じく実線で示し、図6(i)に破線で示した他方のウェブ12の中心位置の偏り量Gを同じく破線で示す。
図6(ii)に示すように、第11パスを通った後の形鋼10は、下流側端部16dの位置X1と長手方向位置X7との間において、一方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+0.90mm、他方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+0.67mmであり、形鋼10の下流側端部16d近傍においてウェブ12の中心位置の偏りは矯正されている。また、長手方向位置X8と上流側端部16uの位置X6との間において、一方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+0.78mm、他方のウェブ12における偏り量Gの平均値が+0.58mmであり、形鋼10の上流側端部16u近傍においてもウェブ12の中心位置の偏りは矯正されている。さらに、長手方向位置X7から上流側端部16uの位置X8までの間においては、ウェブ12の中心位置からの偏り量Gは1mmよりも小さく維持されている。すなわち、形鋼10の長手方向全長にわたって、ウェブ12の中心位置からの偏り量Gは1mmよりも小さくなっていることが確認された。
本発明に係る形鋼の寸法制御機構を備えるパスラインの側方から見た構成図である。 本発明に係る形鋼の寸法制御機構を備えるパスラインの上方から見た構成図である。 形鋼、水平ロール及び垂直ロール間の位置関係の説明図である。 形鋼の断面図である。 プログラムP3による水平ロールの昇降量の制御の説明図である。 検証試におけるウェブの中心位置の偏り量の説明図である。 検証試験における水平ロールの昇降量の説明図である。
符号の説明
10 形鋼
12 ウェブ
14 フランジ
16u 形鋼の上流側端部
16d 形鋼の下流側端部
18 パスライン
20 搬送ロール
22 質量計
24u、24d 速度計
26u、26d 寸法計
28u、28d 温度計
30 ユニバーサルミル
32 水平ロール
34 垂直ロール
36h、36v 圧下装置
38 スピンドル
40 ピニオンギヤ
42 モータ
44 回転検出器
46 負荷検出器
48 基台
50 制御装置
52 演算部
P1、P2、P3、P4、P5、P6 プログラム
a、Lb フランジ脚長
W 形鋼の質量
u、Vd 形鋼の進入速度
u、td 形鋼の温度
MTR モータの回転数
MTR モータの負荷
G 形鋼のウェブの中心位置の偏り量
1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10 形鋼の長手方向位置

Claims (4)

  1. ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼をパスラインで搬送し、形鋼のウェブをユニバーサルミルの水平ロールにより上下から圧下して圧延するとともに、形鋼のフランジをユニバーサルミルの垂直ロールにより左右から圧下して圧延するにあたって、
    自転する水平ロールに噛み込まれる形鋼から水平ロールに対して働くであろう負荷トルクを予測し、この負荷トルクに相応して生じるであろう噛み込み時の水平ロールの回転数の変化を予測し、
    予測された水平ロールの回転数の変化に基づき、水平ロールの回転数を制御し、形鋼が噛み込まれる際の水平ロールの回転数を、ユニバーサルミルへ進入してくる形鋼の進入速度に合わせ、形鋼の進入速度と、ユニバーサルミル中における形鋼の通過速度とを、同じ速度に制御することを特徴とする形鋼の寸法制御方法。
  2. 請求項1に記載の形鋼の寸法制御方法であって、ユニバーサルミルへ進入する前の形鋼のウェブの中心位置の偏り量を、形鋼の長手方向に連続して測定し、
    測定されたウェブの中心位置の偏り量に基づいて、ユニバーサルミルの水平ロールを上下に昇降させることを特徴とする形鋼の寸法制御方法。
  3. ウェブ及びウェブの両端にフランジを有するH形断面の形鋼をパスラインで搬送し、ユニバーサルミルの水平ロールにより形鋼のウェブを上下から圧下して圧延し、ユニバーサルミルの垂直ロールにより形鋼のフランジを左右から圧下して圧延するにあたって、ウェブの中心位置に偏りが生じることを防止する形鋼の寸法制御機構であって、
    自転する水平ロールに噛み込まれる形鋼から水平ロールに対して働くであろう負荷トルクを予測し、この負荷トルクに相応して生じるであろう水平ロールの回転数の変化を予測し、予測された水平ロールの回転数の変化に基づき、水平ロールの回転数を制御し、形鋼が噛み込まれる際の水平ロールの回転数を、ユニバーサルミルへ進入してくる形鋼の進入速度に合わせることにより、形鋼の進入速度と、ユニバーサルミル中における形鋼の通過速度とを、同じ速度に制御可能に構成された制御装置を備えることを特徴とする形鋼の寸法制御機構。
  4. 請求項3に記載の形鋼の寸法制御機構であって、ユニバーサルミルへ進入する前の形鋼のウェブの中心位置の偏り量を、形鋼の長手方向に連続して測定可能に構成された測定装置を備え、前記制御装置が、測定されたウェブの中心位置の偏り量に基づいて、ユニバーサルミルの水平ロールを上下に昇降可能に構成されていることを特徴とする形鋼の寸法制御機構。
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