JP2005260155A - 熱電変換システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトとの間に適切な加圧力を与え、接触熱抵抗を低減させる。また、熱電変換システムの組立並びに熱電変換モジュールの修理・交換を容易にする。更に、熱電変換システムの経済性を向上させる。
【解決手段】 加熱ダクト3と冷却ダクト1の間に熱電変換モジュール2を挟み、熱電変換モジュール2と加熱ダクト3並びに冷却ダクト1の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねてフレーム7内に少なくとも1組以上収容すると共に、フレーム7内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグ6を配置し、バッグ6の膨張で加熱ダクト3、熱電変換モジュール2並びに冷却ダクト1の積層構造物4をフレーム7との間で加圧するようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】 加熱ダクト3と冷却ダクト1の間に熱電変換モジュール2を挟み、熱電変換モジュール2と加熱ダクト3並びに冷却ダクト1の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねてフレーム7内に少なくとも1組以上収容すると共に、フレーム7内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグ6を配置し、バッグ6の膨張で加熱ダクト3、熱電変換モジュール2並びに冷却ダクト1の積層構造物4をフレーム7との間で加圧するようにしている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱電変換モジュールに温度差を与えて発電したり、給電することで冷熱あるいは温熱を得る熱電変換システムに関する。更に詳述すると、本発明は、大型の熱源例えば各種産業機器などの廃熱を熱源とした発電に用いるのに適した熱電変換システムに関する。
近年、熱電変換システムは、熱点変換素子材料の効率向上と新素子材料の出現により、例えば運輸部門において自動車排熱の熱電発電による省エネ化が実用可能な領域に近づいてきているように(非特許文献1参照)、大型の熱源の利用が可能となってきている。
この熱電変換モジュールを加熱源並びに冷却熱源の間に挟む構造の熱電変換システムでは、加熱源と冷却熱源との間の熱膨張差に起因する熱電変換モジュールの破損を防ぐため、熱電変換モジュールを熱源の少なくとも一方とは接合しない構成としている。例えば、熱源として温度差を有する2種の流体(蒸気と水)をダクトに流して熱電変換モジュールに温度差を与えるシステムの場合には、加熱ダクトと冷却ダクトの少なくとも一方は熱電変換モジュールに接合しない構成としている。そのため熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトに適切な加圧力を与える構造とすることが必要となる。
しかしながらダクトと熱電変換モジュールを接合せずに圧着するだけでは、接触界面に大きな接触熱抵抗が発生し、熱電変換モジュールの発電性能を阻害する大きな要因となってしまう。従来の熱電変換システムではこの接触熱抵抗のために熱電変換モジュール本体に負荷できる温度差は、接触熱抵抗を排除した理想的システムに比べ約1/1.8(56%)程度となる。熱電変換モジュールのエネルギー変換効率は熱電半導体の温度差にほぼ比例する。また熱電変換モジュールの発電性能は、エネルギー変換効率と温度差(流れる熱量)の積に比例する。したがって熱電変換モジュールの発電性能は温度差の2乗にほぼ比例する。即ち、通常の熱電変換システムでは熱電変換モジュール本来の能力の1/3程度しか発揮できていない。
そこで熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトに適切な加圧力を与える構造とすることが必要となる。しかし、熱電変換モジュールを加熱・冷却ダクトの間に挟む構造の熱電変換システムでは、加圧力を高めると出力はある程度上がるが、過大な加圧力を加えると熱電変換モジュールを破壊する恐れがある。このため加圧力の調整が難しい。適切な加圧力は熱電変換モジュールの強度やダクトの表面状態にも依存するが、一例としては0.4kg/cm2(4ton/m2)程度が望ましい。また、仮に適切な加圧力に調整できたとしても、大型の加熱ダクトでは運転停止時(常温)と運転時(熱電変換モジュール素材によって異なるが、1000℃以下で、多くの場合には200〜500℃前後である)とでは大きな温度変化が生じるのでその温度変化に応じて熱膨張が厚み方向にも生じるため、運転温度の上昇にともない積層構造にかかる加圧力は増大する。逆に運転温度が低下すると加圧力は減少し、場合によってはダクトと熱電変換モジュールの間に隙間を生じ、大きな接触熱抵抗を生ずる恐れがある。
上記構成において熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトに適切な加圧力を与える方式としては次の方法が考えられる。第1は、ダクトの上下からボルトなどによる締め付けで加圧力を調整する方法である。第2は、バネを使って加圧する方式である。第3は、油圧サーボ機構と圧力センサーを装備する方式である。
新エネルギー・産業技術総合開発機構 平成14年度成果報告書(契約管理番号:02004874−0) 「高速バス排ガス利用熱電変換技術の研究開発」
しかしながら、第1のボルト締め方式によると、大型の加熱ダクトでは運転温度変化に応じてそれ自体の厚さが変化するため、運転温度の上昇にともない加圧力は変化し、常に適切な加圧力を負荷することは実用上不可能である。また多数のボルトを均等に締め付ける必要があり、実用上運用が難しい。
また、第2のバネ締め方式も大型の加熱ダクトでは運転温度変化に応じてそれ自体の厚さが変化するため、運転温度の上昇にともない加圧力は変化し、常に適切な加圧力を負荷することは不可能である。また適切な加圧力(4ton/m2)を発生するために多数のバネで均等に締め付ける必要があり、実用上運用が難しい。
また、第3の油圧サーボ加圧方式では上述の第1および第2の方式の欠点を克服できるが、構造が複雑化し、設備コストが高く、静的システムで廃熱を有効利用する熱電変換システムの趣旨に逆行してしまい、好ましくない。
更に、保守・補修・点検などのために熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトを分解する場合を想定すると、上記の3方式は共に不都合である。
このことから、運転状態にかかわらず常に熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトに適切な加圧力を与える方式の熱電変換システムが望まれている。
本発明は上述の要望に応えるもので、熱電変換システムにおいて、熱電変換モジュールと加熱・冷却ダクトに適切な加圧力を与え、熱電変換素子への高い熱流束を実現し、熱電変換モジュールの性能および耐久性を向上させることを目的とする。また、本発明は、熱電変換システムの組立および熱電変換モジュールの修理・交換を容易にすることを目的とする。更に、本発明は、熱電変換システムの経済性を向上させることを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、前記熱電変換モジュールと前記加熱手段並びに前記冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねて少なくとも1組以上備える熱電変換システムにおいて、前記冷却手段あるいは前記加熱手段のいずれか一方から前記熱電変換モジュール並びに前記冷却手段あるいは前記加熱手段のいずれか他方とを含む積層構造物の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するフレームを備え、該フレームの内方の前記最大移動可能空間内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグを配置し、前記バッグの膨張で前記フレームとの間で前記積層構造を加圧するようにしている。
また、本発明にかかる熱電変換システムは、加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、前記熱電変換モジュールと前記加熱手段並びに前記冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねてフレーム内に少なくとも1組以上収容すると共に、前記フレーム内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグを配置し、前記バッグの膨張で前記加熱手段、熱電変換モジュール並びに冷却手段の積層構造物を前記フレームとの間で加圧するようにしている。
したがって、圧力調整弁で一定ガス圧に調整されて膨らむバッグにより生じる加圧力で加熱手段あるいは冷却手段の少なくとも一方が熱電変換モジュールに対して押しつけられる。しかも、バッグは、積層構造物にかかる温度変化、中でも加熱手段の温度にかかわらず上記加圧力を一定に保持するものであることから、運転停止時でも運転時でも常に適切な加圧力を負荷できる。また、バッグが膨らむことで加熱手段あるいは冷却手段の少なくとも一方を熱電変換モジュールに押しつけて密着させるので、バッグにガス圧を付与するだけで熱電変換モジュールを加熱手段及び冷却手段で挟んだ積層構造物を組み立てることができると共に、バッグのガス圧を抜くだけで熱電変換モジュールと加熱手段あいるは冷却手段を分解することができる。
ここで、加熱手段並びに冷却手段は、熱を伝導できる手段であればいかなる手段でも実施可能であるが、中でも加熱流体並びに冷却流体を流すダクトであることが好ましい。この場合には、システムの大型化が容易である。また、加熱手段は大型熱源の加熱面そのものであっても良い。この場合には、焼却炉や溶鉱炉などといった熱の発生を伴う産業設備の壁面から直接熱を供給し、あるいは熱を冷却することができる。また加熱手段並びに冷却手段は、ヒートパイプでも良い。
また、バッグは、積層構造物と直接に接して加圧するようにしても良いが、押板を介在させて積層構造物を加圧することが好ましい。この場合には、バッグの膨張が不均一でも、押板により分散されて積層構造物に均一に加圧力を付与できる。
また、バッグは、積層構造物全体に対して単一のブロックとして構成しても良いし、積層方向と直交する方向に分割されたものであっても良いし、更には押板を介在させて積層構造物を加圧する場合には、積層構造物を加圧しようとする面に比べて小さなブロックであっても良い。小さなブロック状のバックとしては、リング形状や円盤状のような円形輪郭、矩形状、三角形あるいは多角形などのさまざまな形状に形成することが可能であるが、円形輪郭をなすことが好ましい。この場合には、成形が容易である上に膨張時の変化が均一なものとすることが容易である。また既製のタイヤを転用することも可能である。そして、この小さなブロックを分散配置する場合には、少なくとも3点以上の加圧点で1枚の押板を加圧すること、より好ましくは押板の4角にバッグが配置されて加圧することである。この場合には、1つ1つのブロック状バックにおける膨張に部分的に不均一な箇所が存在しても、バッグの膨張によって生じる圧力が分散されて集中するのを防ぐことができるので、全体として均一性が保たれ、ダクトを熱電変換モジュールに均一に押し当てることが可能となる。また、積層方向と直交する方向に分割されたバッグの場合には、単一ブロックで形成するよりも製作が容易である上に、膨張時の変形のばらつきが分散されて全体として積層構造物に付与される加圧力の均一化を図ることができる。
また、積層構造物は積層方向の両端を押板で挟持されていることが好ましい。この場合には、フレームとバッグとの間で生じる加圧力が積層構造物の両面から均一に積層構造物全体に負荷されるため、部分的に過度な加圧力を加えることなく全体に適切な加圧力が与えられて熱電変換モジュールに対して加熱手段及び冷却手段が密着し接触熱抵抗を低減できる。
また、熱電変換モジュールと加熱手段並びに冷却手段とは、冷却手段、熱電変換モジュール、加熱手段、熱電変換モジュール、冷却手段の順に配置し、積層構造の両端が冷却手段となるようにすることが好ましい。この場合には、加熱手段の露出面積が少なくなるので放熱による熱電変換効率が低下するのを防ぐことができる。
以上のように構成された熱電変換システムは、構造が単純で可動機器を必要とせずスケールアップが容易であることから大型の発電システムとして有用であるが、中でも加熱手段の熱源として各種産業機器からの廃熱を利用する発電システムとして有用である。
しかして、請求項1並びに2記載の熱電変換システムによれば、一定のガス圧で積層構造物に加圧力を付与して運転停止時でも運転時でも常に適切な加圧力を負荷できるようにしているので、加熱手段あるいは冷却手段の少なくとも一方が熱電変換モジュールに常に密着して接触熱抵抗を低減でき、熱電変換システムの性能を最大限に発揮できる。しかも、加圧力が一定であり、過度な加圧が生じないため、熱電変換モジュールが破壊する虞も少ない。
また、バッグの膨らみで加熱手段あるいは冷却手段の少なくとも一方を熱電変換モジュールに押しつけて密着させるので、バッグにガス圧を付与するだけで熱電変換モジュールを加熱手段及び冷却手段で挟んだ積層構造物を迅速かつ容易に組み立てることができると共に、バッグのガス圧を抜くだけで積層構造物を分解して熱電変換モジュール並びに加熱手段や冷却手段の保守・補修・点検などを迅速かつ容易に実施できる。
しかも、本発明によれば、加熱手段、熱電変換モジュール並びに冷却手段の積層構造物を囲繞したフレーム内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグを配置するだけの単純な構造であり尚かつ可動機器を必要としないことから、低価格で信頼性が高く、しかもスケールアップが容易であり、大型の熱電変換システムに適用可能である。
更には、請求項2記載の発明の場合には、フレーム内に加熱手段と熱電変換モジュールと冷却手段を順次並べてバッグを膨らませるだけで、適切な加圧力で密着された積層構造物が収容されるので、熱電変換システムの組み立てが迅速かつ容易であるし、独立した発電システムなどとして可搬性を備える。
また、請求項3記載の発明によると、システムの大型化が容易であるし、また請求項4記載の発明によると、焼却炉や溶鉱炉などといった熱の発生を伴う産業設備の壁面から直接熱を供給しあるいは熱を冷却することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、バッグの膨張が不均一でも、押板により分散されて積層構造物に均一に加圧力を付与できるので、過度な加圧を生じさせることなく接触抵抗を低減できる。
また、請求項6あるいは7記載の発明のように、押板を介在させて分割されたバッグあるいは積層構造物を加圧しようとする面に比べて小さなブロックで積層構造物を加圧する場合には、バッグの小型化により製作が容易であると共に膨張時の偏倚のばらつきや変形のばらつきを少なくできて膨張時の変化が均一なものとすることが容易となる。そして、この小さなブロックの分散配置は、バックにおける膨張に部分的に不均一な箇所が存在しても、バッグの膨張によって生じる圧力が分散されて集中するのを防ぐことができるので、全体として均一性が保たれ、ダクトを熱電変換モジュールに均一に押し当てることが可能となる。
また、請求項8記載の発明によると、フレームとバッグとの間で生じる加圧力が積層構造物の両面から均一に積層構造物全体に負荷されるため、部分的に過度な加圧力を加えることなく全体に適切な加圧力が与えられて熱電変換モジュールに対して加熱手段及び冷却手段を密着させるため、接触熱抵抗を低減できる。
また、請求項9記載の発明によると、加熱手段の露出面積を少なくして周囲への放熱を防ぎ、熱電変換効率の低下を防いで、効率を上げることができる。
さらに、請求項10記載の発明によると、熱電変換システムを用いた大型の発電システムが実現可能であるし、各種産業機器からの廃熱を利用する省エネシステムが実現できる。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の熱電変換システムは、加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、熱電変換モジュールと加熱手段並びに冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねて少なくとも1組以上備えるものである。この熱電変換システムにおいて、冷却手段あるいは加熱手段のいずれか一方から熱電変換モジュール並びに冷却手段あるいは加熱手段のいずれか他方とを含む積層構造物の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するフレームを備え、該フレームの内方の最大移動可能空間内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグ(以下、インフレタブル・バッグと呼ぶ)を配置し、バッグの膨張でフレームとの間で積層構造物を加圧するようにしている。
本発明の熱電変換システムは、加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、熱電変換モジュールと加熱手段並びに冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねて少なくとも1組以上備えるものである。この熱電変換システムにおいて、冷却手段あるいは加熱手段のいずれか一方から熱電変換モジュール並びに冷却手段あるいは加熱手段のいずれか他方とを含む積層構造物の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するフレームを備え、該フレームの内方の最大移動可能空間内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグ(以下、インフレタブル・バッグと呼ぶ)を配置し、バッグの膨張でフレームとの間で積層構造物を加圧するようにしている。
ここで、加熱手段としては、熱を伝導できる手段であればいかなる手段でも実施可能であり、蒸気や廃ガスなどの加熱流体を流す互いに独立したダクトや、ヒートパイプ、溶鉱炉などの大型熱源の加熱面であっても良い。また、冷却手段としては、水などの冷却流体を流すダクトやヒートパイプ、LNGタンクなどの大型冷熱源の加熱面であってもよい。
本実施形態では、加熱手段並びに冷却手段としては、温度差を有する2種の流体(例えば蒸気と水)をダクトに流して熱電変換モジュールに温度差を与えるようにしている。このシステムの場合には、図1に示すように、加熱ダクト3と冷却ダクト1の間に熱電変換モジュール2を挟み、熱電変換モジュール2と加熱ダクト3並びに冷却ダクト1の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねてフレーム7内に少なくとも1組以上収容することによって、熱電変換モジュール2、加熱・冷却ダクト3,1、インフレタブル・バッグ6および押板5の積層体を束ねることができる。そして、フレーム7内に圧力調整弁(図示省略)付きのインフレタブル・バッグ6を配置し、インフレタブル・バッグ6の膨張で加熱ダクト3、熱電変換モジュール2並びに冷却ダクト1の積層構造物4をフレーム7との間で加圧して、熱電変換モジュール2と加熱・冷却ダクト3,1に適切な加圧力を与えるようにすることができる。本実施形態の場合には、運転時と運転停止時とでダクト内を流れる流体温度がほとんど変化しない冷却ダクト1と熱電変換モジュール2とを接合し、温度変化が大きな加熱ダクト3は熱電変換モジュール2と接合しない状態で重ねようにしている。尚、加熱ダクト3並びに冷却ダクト1は、熱を良く伝えるように一般に薄い金属板で構成され、内部にリブを設けて補強されていることが多い。
ここで、インフレタブル・バッグ6による積層構造物4の加圧は、直接加圧でも良いが、押板5を介在させた加圧であることが好ましい。この場合、インフレタブル・バック6の膨張に伴ってダクト1(あるいは3)にかかる圧力の集中を防いで接触面全面で均一に加圧することができる。通常、温度差を有する2種の流体を流す熱源として使われるダクト1,3は、熱を良く伝えるように一般に薄い金属板で構成されることが多い。このため、直接インフレタブル・バック6で加圧するようにすると、ダクト1,3と接する面の全面において均一な膨張が保証できないインフレタブル・バッグ6の場合には、加圧力の集中が起きてしまう。勿論、インフレタブル・バッグ6の膨張が接触領域全面において均一であったり、ダクト強度が高い場合には、押板5の介在は不要である。
本実施形態の場合、インフレタブル・バッグ6は、熱電変換モジュール2とこれを挟むように配置された冷却ダクト1並びに加熱ダクト3の幾組かの積層構造物4をフレーム7の一方に寄せることによって反対側に生じたフレーム7との間の隙間に設置し、ガスの注入による当該インフレタブル・バッグ6の外側への膨らみをフレーム7で拘束して前述の積層構造物4を押板5を介在させて加圧するように構成している。しかし、インフレタブル・バッグ6の配置位置はこれに限られず、積層方向の位置であればフレーム7の内方の最大移動可能空間内のどこにでも設置可能である。例えば、積層構造物4の中間に配置しても良い。この場合には、インフレタブル・バッグ6を挟んで隣同士に冷却ダクト1が配置され、積層構造物4の両端と中央のインフレタブル・バッグ6の両面とにそれぞれ押板5を介在させることが好ましい。インフレタブル・バッグ6は、冷却ダクト1並びに加熱ダクト3のいずれにも並べて配置することができるが、より好ましくは冷却ダクト(冷却手段)1に隣接させることである。この場合には、加熱ダクト3と異なり、運転時と運転停止時とでダクト内を流れる流体温度がほとんど変化しないため、温度変化に因るインフレタブル・バッグ6のガス圧の変動を受けることが少なく、加圧力の変動がないか、ほとんど無視できる程度に小さいという利点がある。
インフレタブル・バッグ6は、積層構造物4の端に設置される冷却ダクト1の加圧面あるいはこれを覆う押板5の加圧面と同一形状の加圧面を有し、加圧方向(積層構造物4の積層方向)に僅かに膨らむ薄板形状の単一ないし複数のバッグである。例えば、小型の加熱・冷却ダクトに対しては、ダクトの加圧面と同一形状の加圧面を有する薄板型形状のバッグが適する。また、大型の加熱・冷却ダクトに対しては、ダクトの加圧面を複数のバッグで分担して加圧する方法も可能である。インフレタブル・バッグ6の製作性から1個のインフレタブル・バッグの加圧面の大きさは、例えば1m角程度以下が好ましい。インフレタブル・バッグの材質は例えばクロロプレーンゴムを主成分とするゴム素材を布芯地などで補強したタイヤ用のゴムなどが適する。これにタイヤと同様のガス注入口(バルブ)を備える。内圧は0.4気圧(0.4 kg/cm2) 程度が適する。封入ガスは空気または窒素ガスが適する。
さらに、押板5を介在させる場合には、インフレタブル・バッグ6は加圧領域の全域において1つのブロックである必要はなく、積層構造物4の積層方向と直交する方向に分割されたものであったり、小さなブロックであっても良い。小さなブロック状のインフレタブル・バッグ6’とする場合には、例えば図3に示すように、円形輪郭をなすことが好ましい。この場合には、成形が容易である上に膨張時の変化が均一なものとすることが容易である。また既製のタイヤを転用することもできる。そして、このブロック状インフレタブル・バッグ6’の場合には、1ブロックの押板5の4角に配置されて加圧することが圧力を分散させて中央に集中するのを防ぐことができる。もっとも、小さなブロック状インフレタブル・バッグ6’を分散配置する場合には、少なくとも3点以上の加圧点で1枚の押板5を加圧すれば、1つ1つのインフレタブル・バッグ6’における膨張に部分的に不均一な箇所が存在しても、全体として均一性が保たれれば加熱ダクト3を熱電変換モジュール2に均一に押し当てることが可能となる。また、押板5の全面を覆わない小ブロックのインフレタブル・バッグ6’の場合には、その形状は上述の円形輪郭のものに限られない。例えば、矩形状あるいは三角形や多角形などのさまざまな輪郭形状にして用いることも可能である。
インフレタブル・バッグ6には、ガス配管を介して圧力調整弁付きのガスボンベ(空気または窒素など)に接続し、運転温度状態にかかわらずバッグの内圧を適切な圧力範囲に保持するようにしている。圧力調整弁およびガスボンベは一般に使用されているものを使用できる。また、圧力調整弁は、内圧が下限値以下となった場合に自動的にガスボンベからガスを供給する機能、および内圧が上限値以上となった場合に自動的にガスを逃がす機能を備える。これによって、積層構造物に積層方向への熱膨張や収縮が起きたときにも、インフレタブル・バッグ6の内圧が一定に保持され、積層物への加圧力を一定に維持できる。本実施形態の場合、押板5とインフレタブル・バッグ6は積層方向と直交する方向(即ちダクトの長手方向)に分割されており、複数で加熱・冷却ダクト3,1の加圧面全体をカバーする構成とされている。したがって、各インフレタブル・バッグ6は共通の1本のガス配管に接続し、1組の圧力調整弁およびガスボンベで集中的に制御できるように設けられている。
また、積層構造物4の積層方向の両端は押板5で挟持されていることが好ましい。この場合には、バック6の膨張によって加圧される側の面だけでなく、反対側の反力を受けるフレーム7側の面においても均一な反力を生ずる。この積層構造物4を構成する熱電変換モジュール2と加熱手段並びに冷却手段たる各ダクト1,3は、冷却ダクト1、熱電変換モジュール2、加熱ダクト3、熱電変換モジュール2、冷却ダクト1の順に必要数だけ配置し、積層構造の両端が冷却ダクト1となるようしている。冷却ダクト1の両端配置は熱損失を低減させる上で好ましい。
押板5は、容易に撓まない剛性の高い板であることが望ましい。また、押板5は、熱伝導性を必要としないので、スティール製などである必要はなく、むしろ軽量で強度があることが好ましことから、本実施形態の場合には、炭素鋼やその他の軽金属、FRP(ガラスファイバーで補強した強化プラスチック)またはCFRP(カーボンファイバーで補強した強化プラスチック)などが使用されている。インフレタブル・バッグ6の加圧面と同一形状の加圧面をもち、内部にリブを備えて平面度を維持するために必要な剛性を確保するようにしている。厚さは加圧面の大きさおよび要求される剛性に依存するが、例えば数cmから10cm前後である。
フレーム7は、熱電変換モジュール2、加熱・冷却ダクト3,1、インフレタブル・バッグ6および押板5の積層体を束ねて押さえつける役割を果たすもので、冷却ダクト1、熱電変換モジュール2並びに加熱ダクト3を1ないし複数組重ねた積層構造物4の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するものである。フレーム7は、壁面構造でも良いが、本実施形態の場合、一定間隔で設けられた柱と梁の骨組み構造を成している。押板5並びにインフレタブル・バッグ6を受け支える柱や横張の数(設置間隔)は、フレーム構造強度が得られるのに十分で尚かつインフレタブル・バッグ6を保持するに十分な間隔とし、インフレタブル・バッグ6の膨張により積層構造物に付与される力に耐える強度が必要である。フレーム材質としては、押板5と同様に、金属製である必要はなく、むしろ軽量で強度があることが好ましことから、炭素鋼、FRPまたはCFRPなどの使用が好ましいが、特に炭素鋼の使用が適する。例えば、1m角のインフレタブル・バッグ6の内圧が0.4気圧の場合、発生する力は4ton/m2 である。従ってこの力に耐える強度が必要である。
以上のように構成された熱電変換システムによると、予め接合された冷却ダクト1と熱電変換モジュール2並びに熱電変換モジュール2と接合されていない加熱ダクト3を順次重ねてフレーム7の一方に寄せるようにして所定組分だけ収納し、反対側に生じたフレーム7と積層構造物4の端部の押板5との間の隙間にインフレタブル・バッグ6を設置し、圧力調整弁で一定ガス圧に調整されたガスをインフレタブル・バッグ6に注入して膨らませることで、積層構造物4に加圧力を付与して加熱ダクト3を熱電変換モジュール2に密着させることができる。インフレタブル・バッグ6を膨らませるガスは、圧縮性流体であり圧力調整弁で一定圧に調整されているため、積層構造物4、中でも加熱ダクトの温度変化にかかわらず加圧力を一定に保持するものであることから、運転停止時でも運転時でも常に適切な加圧力を負荷できる。また、バッグ6を膨らませることで積層構造物4を組み立て、バッグ6のガス圧を抜くだけで分解することができる。したがって、熱電変換モジュール2並びに加熱ダクト3や冷却ダクト1の保守・補修・点検などを迅速かつ容易に実施できる。
図4〜図6に本発明の熱電変換システムを用いた発電システムを示す。この発電システムは、図1の熱電変換システムを多数組積層させ、その積層構造物4の両面を押板5で挟み、さらにその片方の外面にインフレタブル・バッグ6を設置してフレーム7で拘束した構造から成り、熱電変換システムの加熱ダクト3に蒸気を、冷却ダクト1に冷却水をそれぞれ供給して熱電変換モジュール2で発電させるものである。
熱電変換システムは、図5及び図6に示すように、冷却ダクト1、熱電変換モジュール2、加熱ダクト3、熱電変換モジュール2、冷却ダクト1の順に配置し、積層構造の両端が冷却ダクト1となるようにして両端を押板5で挟んでいる。押板5並びにインフレタブル・バッグ6は積層方向と直交するダクト1の長手方向に分割されて成り、複数で加熱・冷却ダクト3,1の加圧面全体をカバーするように構成されている。各インフレタブル・バッグ6は共通のガス配管12、圧力調整弁(図示省略)およびガスボンベ(図示省略)に接続されている。
また、加熱ダクト3と熱電変換モジュール2との間には、加熱ダクト3の滑りを良くすると共に熱を伝え易くするカーボンシート15が貼り付けられている。これによって、加熱ダクト3が熱膨張する際の熱電変換モジュール2との間の歪みを抑制するようにしている。また、フレーム7の床部分には、断熱材例えば断熱用レンガ10が敷き詰められ、その上に加熱ダクト3の滑りと熱伝導を良くするカーボンシート11が敷かれている。尚、フレーム7の周りは更に鋼板などから成るケーシング14によって覆われている。符号13は保温材である。
以上のように構成された発電システムによると、発電用熱源としては蒸気と水を用い、積層されたダクト1,3の端に連結されたヘッダ8,9を介して供給される。ここで、一般的な熱電変換素子を用いる場合には蒸気は200℃程度の熱を有していれば十分なので、利用価値の低い各種産業機器などの廃熱を利用することができる。依って、従来では利用されることなく廃棄されていた各種産業機器などの廃熱の利用による省エネ化が実現できる。勿論、より高温、例えば500℃や1000℃で作動する熱電変換素子を用いることも可能であり、その場合にはより高い熱源を必要とすることは言うまでもない。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、加熱手段としては、熱を伝導できる手段であればいかなる手段でも実施可能であり、溶鉱炉などの大型熱源の加熱面であっても良いし、場合によってはヒートパイプでも良い。図3は焼却炉および溶鉱炉などの大型熱源3’の表面に直接設置する熱電変換システムの実施例である。この場合は大型熱源たる溶鉱炉の壁3’の加熱面上に熱電変換モジュール2、冷却ダクト1、押板5、インフレタブル・バッグ6を順次積層し、フレーム7で加熱壁3’に拘束するようにしたものである。即ち、加熱手段となる大型熱源(焼却炉や溶鉱炉の壁部)3’がフレーム7の一部を成し、加熱手段たる大型熱源3’から熱電変換モジュール2並びに冷却ダクト1を含む積層構造物の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するようにしている。
また、本実施形態では、加熱ダクト3と冷却ダクト1に蒸気と冷却水とを流して熱電変換モジュール2で発電させるものについて主に説明したが、いわゆるペルチエ素子として本発明の熱電変換システムを適用することも可能である。例えば、加熱ダクト3並びに冷却ダクト1にそれぞれ流体を流し、熱電変換モジュール・ペルチエ素子2に給電して温度差を生じさせ、加熱ダクト3内を流れる流体を加熱する一方で、冷却ダクト1内を流れる流体を冷却して温度差のある2流体を得るようにしても良い。例えば、図3に加熱源として示されている焼却炉や溶鉱炉などの炉壁3’を冷却するペルチエ素子として利用することが可能となる。
1 冷却ダクト
2 熱電変換モジュール
3 加熱ダクト
4 積層構造物
5 押板
6 インフレタブル・バッグ
7 フレーム
2 熱電変換モジュール
3 加熱ダクト
4 積層構造物
5 押板
6 インフレタブル・バッグ
7 フレーム
Claims (10)
- 加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、前記熱電変換モジュールと前記加熱手段並びに前記冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねて少なくとも1組以上備える熱電変換システムにおいて、前記冷却手段あるいは前記加熱手段のいずれか一方から前記熱電変換モジュール並びに前記冷却手段あるいは前記加熱手段のいずれか他方とを含む積層構造物の厚みよりも長い積層方向の最大移動可能空間を区画するフレームを備え、該フレームの内方の前記最大移動可能空間内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグを配置し、前記バッグの膨張で前記フレームとの間で前記積層構造を加圧することを特徴とする熱電変換システム。
- 加熱手段と冷却手段の間に熱電変換モジュールを挟み、前記熱電変換モジュールと前記加熱手段並びに前記冷却手段の両方またはいずれか一方を接合しない状態で重ねてフレーム内に少なくとも1組以上収容すると共に、前記フレーム内に圧力調整弁付きのガス圧で膨らむバッグを配置し、前記バッグの膨張で前記加熱手段、熱電変換モジュール並びに冷却手段の積層構造物を前記フレームとの間で加圧することを特徴とする熱電変換システム。
- 前記加熱手段並びに冷却手段は加熱流体並びに冷却流体を流すダクトであることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換システム。
- 前記加熱手段は大型熱源の加熱面であることを特徴とする請求項1記載の熱電変換システム。
- 前記バッグは押板を介在させて前記積層構造物を加圧することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱電変換システム。
- 前記バッグは前記積層方向と直交する方向に分割されたものである請求項1から5のいずれかに記載の熱電変換システム。
- 前記バッグは円形輪郭を有し、前記押板の4角に配置されて加圧することを特徴とする請求項5記載の熱電変換システム。
- 前記積層構造物は積層方向の両端を押板で挟持されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱電変換システム。
- 前記熱電変換モジュールと前記加熱手段並びに前記冷却手段とは、前記冷却手段、熱電変換モジュール、加熱手段、熱電変換モジュール、冷却手段の順に配置し、積層構造の両端が冷却手段となるようにしているものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱電変換システム。
- 請求項1から9のいずれかに記載の熱電変換システムの前記加熱手段の熱源として各種産業機器からの廃熱を利用する発電システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004072869A JP2005260155A (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 熱電変換システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004072869A JP2005260155A (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 熱電変換システム |
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JP2004072869A Pending JP2005260155A (ja) | 2004-03-15 | 2004-03-15 | 熱電変換システム |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008182011A (ja) * | 2007-01-24 | 2008-08-07 | Toshiba Corp | 熱電変換システム信頼性評価装置及び方法 |
WO2009041020A1 (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-02 | Ihi Marine United Inc. | 熱電発電装置及び該熱電発電装置を用いた発電システム |
US9070826B2 (en) | 2012-12-31 | 2015-06-30 | Hyundai Motor Company | Accumulated type thermoelectric generator for vehicle |
JP2018071833A (ja) * | 2016-10-25 | 2018-05-10 | 株式会社デンソー | 熱交換器 |
-
2004
- 2004-03-15 JP JP2004072869A patent/JP2005260155A/ja active Pending
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