JP2005259397A - 質量分析装置及びイオン源 - Google Patents

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Abstract

【課題】正、負イオンを同時に安定的に発生し探知できる質量分析装置を提供する。
【解決手段】試料ガス58が導入される開口部と、試料ガスのイオンを生成するイオン源と、生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有する。イオン源は、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成する電圧が印加される第1の針状電極60と、試料及び正のイオンが通過する第1の開口部63を具備し第1の針状電極の先端部に対向して配置される第1の対向電極62と、第1の対向電極に対向して配置され試料及び正のイオンが通過する第2の開口部66を具備する第2の対向電極65と、第2の開口部に対向して配置され、第2の開口部を通過した試料ガスの負のイオンを生成する電圧が印加される第2の針状電極68と、第2の開口部を通過した試料ガスが排出される排出口とを有する。生成されたイオンは、細孔42aを介して真空部に取り込まれ質量分析される。
【選択図】図3

Description

本発明は質量分析装置に係わり、特に、質量分析装置を用いて、隠された爆薬や不正薬物を探知するための技術に関する。
国際紛争の深刻化に伴い、テロの防止や治安維持のため、爆発物を探知するための探知装置が求められている。探知装置では、空港を中心にX線透過を用いた手荷物検査装置が広く用いられている。X線探知装置等は、対象を塊として認識し、形状等の情報から危険物を判別するため、バルク検出と呼ばれる。一方、ガス分析をベースとした探知法はトレース検出と呼ばれ、化学分析情報から物質の同定を行う。トレース検出には、カバン等に付着した極微量の成分を探知できるという特徴がある。社会的にセキュリティ強化が求められる中、バルク検出とトレース検出とを組み合わせて、より高精度に危険物を探知する装置が望まれている。
一方、様々なルートで持ち込まれる不正薬物の発見のため、税関等でも探知装置が使用される。税関では主にバルク検出装置と麻薬探知犬が使用されているが、麻薬探知犬に代わる不正薬物用のトレース分析装置が熱望されている。
トレース検出では、イオンモビリティスペクトロスコピー、ガスクロマトグラフィ等様々な分析方法が試みられている。探知装置として重要なスピード、感度、選択性(低誤報率)を全て兼ね備えた装置の開発に向けて研究が進められている。
このような状況の中、質量分析法は、基本的にスピード、感度、選択性に優れているため、質量分析法をベースとした探知技術が提案されている(例えば、特許文献1:従来技術−1)。
図10は、質量分析法をベースとした従来技術−1の探知装置を説明する図である。
図10に示すように、空気取り入れプローブ1は、絶縁パイプ2を介してイオン源3に接続され、イオン源3は、排気口4、絶縁パイプ5を介し空気排気用ポンプ6に接続されている。イオン源3は、針電極7と第1細孔電極8と中間圧力部9と第2細孔電極10とを備え、針電極7は電源11に接続され、第1細孔電極8と第2細孔電極10はイオン加速電源12に接続されている。中間圧力部9は排気口13を介し真空ポンプに接続されている。中間圧力部9の後段に静電レンズ14が配置され、静電レンズ14の後段に質量分析部15、検出器16が配置されている。
検出器16からの検出信号は増幅器17を経由してデータ処理部18に供給される。データ処理部18は、特定の薬物を示す複数のm/z(イオンの質量数/イオンの価数)値を判定し、被検気体に特定の薬物が含まれているか否かを判定する。このデータ処理部18は、質量判定部101、薬物A判定部102、薬物B判定部103、薬物C判定部104と警報駆動部105とを備えている。また、警報駆動部105により駆動される警報表示部19には、表示部106、107、108が配置される。
質量分析法をベースとした危険物探知において、爆薬等の負イオン化しやすい対象に対して特に好適なイオン源が報告されている(例えば、特許文献2:従来技術−2)。
図11は、質量分析法を用いた探知装置における従来技術−2のイオン源の例を示す図である。
試料導入配管20を通して導入された試料は、いったんイオンドリフト部21に導入される。イオンドリフト部21に導入された試料の一部は、コロナ放電部22に導入され、残りは試料導出配管23を通してイオン源の外部に排出される。コロナ放電部22に導入された試料は、高電圧を印加することにより針電極24の先端に生成するコロナ放電領域25に導入され、イオン化される。この時、針電極24から対向電極26に向かってドリフトするイオンの流れにほぼ対向するような方向から試料が導入される。生成したイオンは電界により対向電極26の開口部27を通して、イオンドリフト部21に導入される。
この時、対向電極26と第1イオン取り込み細孔28の間に電圧を印加することにより、イオンをドリフトさせ効率よく第1イオン取り込み細孔28に導入できる。第1イオン取り込み細孔28から導入されたイオンは、第2イオン取り込み細孔29及び第3イオン取り込み細孔30を通して、真空部31に配置された質量分析計(図示せず)で分析される。コロナ放電領域25に導入される試料の流量は、安定したイオン化のために重要であるので、コロナ放電部22に、吸引配管32とフローコントローラー33が接続されている。試料導出配管23及び吸引配管32を通過する流量は、フローコントローラー33、吸引ポンプ34の容量、及び試料導入配管20等の各種配管のコンダクタンスにより決定される。
また、質量分析計に関して、以下の技術が知られている。
(1)イオン源に2つの針電極を配置し、各々の針電極で正負の異なる極性で放電させることが知られている(特許文献3:従来技術−3)。
(2)2台の質量分析計を並べて配置し、試料ガスを分岐して各々の質量分析計に導入し、各々の質量分析計で正イオンと負イオンとを個別に計測することが知られている(特許文献4:従来技術−4)。
(3)イオン源に2つの針電極を配置し、一方を正イオン化に好適な位置に、他方を負イオン化に好適な位置に配置し、イオン化極性は切り替えて使用している。正イオン計測では、2つの針電極に共に正の高電圧を印加し、負イオン計測では、2つの針電極に共に負の高電圧を印加している(特許文献5:従来技術−5)。
(4)複数の針電極を有するイオン源が報告されている(特許文献6:従来技術−6)。
(5)コロナ放電と静電噴霧の2つのイオン源を有し、各々で異なる極性のイオンを生成し、各々の極性のイオンを、別個の細孔から真空部に導入して、真空部において正と負のイオンを混合することが知られている(特許文献7:従来技術−7)。
特開平7−134970号公報
特開2001−93461号公報 特表2001−516140号公報 特開平9−236582号公報 特開2002−181783号公報 特開2001−351569号公報 特開2003−242926号公報
コロナ放電を用いた、いわゆる大気圧化学イオン化法は、正イオンを生成するモードと負イオンを生成するモードの二つがあり、測定対象に応じて好適なモードが異なっていた。例えば、麻薬や覚せい剤等の不正薬物の多くは、気相において高いプロトン親和力を有しているため、正イオン化モードにおいて、プロトン付加した正の擬似分子イオンを生成する効率が高い。逆に、爆薬等の多くが分類されるニトロ化合物は、電気陰性度が高いため、負イオン化モードにおいて効率良くイオン化される。
これまでは、例えば、空港での使用を考えた場合でも、保安担当者は爆発物の探知を目的とし、税関職員は麻薬や覚せい剤等の不正薬物の発見を目的としていた。即ち、保安担当者は負イオン化モードで探知し、税関では正イオン化モードで探知すれば良く、使用者あるいは使用場所、使用状況に応じて片方のモードが良く使用されていた。しかし、昨今の社会情勢のため、爆薬と不正薬物とを同時に探知したいという要望が高まっている。例えば、税関においても、不正薬物のみならず国内でテロ等に使用される恐れのある爆薬の密輸を防止する必要が生じている。
従来技術−1の探知装置では、正イオン化モードと負イオン化モードとを切り替えて使用するため、正イオン化に向いた物質と負イオン化に向いた物質とを同時に高感度で検出することが困難であった。
分析用の装置、例えば、液体クロマトグラフと質量分析計とを直結した装置では、液体クロマトグラフから質量分析計に送られてくる試料は時間的に1分程度の広がりを有している。このため、イオン源や質量分析計の極性を数秒毎に切り替えながら、正イオンと負イオンとを実質的に同時に測定することは十分に可能である。ところが、危険物探知分野にこの手法を適用すると、幾つかの問題点が明らかとなって実用上の困難を生じている。それは、探知の条件によっては、測定対象物のガスが0.2秒から0.3秒程度の極短時間しかイオン源に到達しない場合があるという事情による。その様な状況に対応するためには、放電の極性を高速で反転させ、例えば、0.05秒毎に正負を切り替えながら測定するといった必要が生じる。
しかし、針電極に印加する高電圧の極性をこの様に高速で切り替えて測定すると、針電極の先端部分で発生するコロナ放電が十分に安定にならないので、探知結果の再現性が乏しくなるという課題があった。また、極性の高速反転に伴って瞬間的にミリアンペア程度の電流負荷が高圧電源に与えられる可能性があり、しかも0.05秒毎に極性を反転させると装置を24時間連続で動かすだけでも約200万回の電流負荷が生じるので、この様なショックに耐えうる高圧電源を開発するのはコスト的にも難かしいという課題があった。さらに、針電極に印加する極性によって放電のし易さが異なるため、針電極の先端が放電によってダメージを受けた場合に、正負のどちらかの極性だけが正常に放電しない場合が生じてしまい、針電極の交換等のメンテナンスを実施するタイミングを図るのが難しいという課題があった。
以上の様な理由により、正イオン化に向いた不正薬物と、負イオン化に向いた爆薬を、同時に探知できる探知装置が望まれていた。
本発明の目的は、正イオン及び負イオンを実質的に同時に安定的に発生させことができるイオン源及びこれを用いる質量分析装置を提供することにある。
本発明では、正の放電部と負の放電部を有するイオン源により、試料ガスから正イオンと負イオンを実質的に同時に生成することにより上記の課題を解決した。
本発明の質量分析装置では、上記イオン源を使用することにより、正イオン化しやすい不正薬物と負イオン化しやすい爆薬とを実質的に同時にかつ感度よく検出する。
本発明の質量分析装置は、試料を気化させる気化部と、気化部で気化されたガスを導入するガス導入系と、2つの放電部を有しガス導入系から導入されたガスに含まれる成分をイオン化するイオン源と、イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを具備し、2つの放電部は、電気的に異なる極性の放電を発生させる。本発明の質量分析装置では、正イオン化し易い物質と負イオン化し易い物質とを、実質的に同時に探知できる。本発明の質量分析装置は、正イオン計測に向いた不正薬物と負イオン計測に向いた爆薬とを実質的に同時に探知できる探知装置に、好適に適用できる。
本発明の質量分析装置は以下の特徴を有している。本発明の質量分析装置は、試料ガスが導入される開口部と、導入された試料ガスのイオンを生成するイオン源と、イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有している。
イオン源は、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、正のコロナ放電部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、負のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される排出口とから構成される。開口部から導入された試料ガスは、正のコロナ放電部、負のコロナ放電部を通って、排出口から排出される。質量分析計で検出するイオンの極性を選択するための制御電圧を印加する電極を有し、検出するイオンの極性の選択が可能である。
また、イオン源は、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、試料及び正のイオンが通過する第1の開口部を具備し第1の針状電極の先端部に対向して配置される第1の対向電極と、第1の対向電極に対向して配置され試料及び正のイオンが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、第2の開口部に対向して配置され、第2の開口部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、第2の開口部を通過した試料ガスが排出される排出口とから構成される。開口部から導入された試料ガスが、第1の針状電極の先端部、第1の開口部、第2の開口部、第2の針状電極の先端部を通って、排出口から排出される。第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあるように、イオン源は構成される。あるいは、第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線とのなす角度が、90度から120度の範囲にあるように、イオン源は構成される。
また、イオン源は、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、開口部から導入された試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、正のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される第1の排出口と、負のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される第2の排出口とを有している。試料ガスが導入される開口部は、正のコロナ放電部と負のコロナ放電部との間の空間に向けて配置される。開口部から導入された試料ガスは、正のコロナ放電部を通って第1の排出口から排出され、負のコロナ放電部を通って第2の排出口から排出される。
また、イオン源は、開口部から導入された試料ガスが通過する第1の開口部を具備する第1の対向電極と、第1の開口部に対向して配置され、第1の開口部を通過した試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、第1の対向電極に対向して配置され、試料ガスが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、第2の開口部に対向して配置され、第2の開口部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、第1の開口部を通過した試料ガスが排出される第1の排出口と、第2の開口部を通過した試料ガスが排出される第2の排出口とを有している。第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあり、試料ガスが導入される開口部は、第1の対向電極と第2の対向電極との間の空間に向けて配置されている。開口部から導入された試料ガスは、第1の開口部、第1の針状電極の先端部を通って第1の排出口から排出され、第2の開口部、第2の針状電極の先端部を通って第2の排出口から排出される。
本発明の質量分析方法は以下の特徴を有している。
試料ガスを正のコロナ放電部に流す工程と、試料ガスの正のイオンを、正のコロナ放電部でコロナ放電により生成する工程と、正のコロナ放電部を通過した試料ガスを負のコロナ放電部に流す工程と、試料ガスの負のイオンを、負のコロナ放電部でコロナ放電により生成する工程と、質量分析するイオンの極性を選択する工程と、選択された極性をもつイオンの質量分析を行なう工程と、質量分析の結果を質量スペクトルとして表示する工程とを有する。負のコロナ放電部を通過した試料ガスは排出口から排出される。
本発明の質量分析装置によれば、正イオンと負イオンとを実質的に同時かつ安定的に発生させることができ、質量分析計のイオンの検出極性の切り替えだけで、多様な探知対象物を実質的に同時に探知することが可能となった。イオン源部におけるイオン化極性の切り替えが不要になるので、高圧電源への負荷が低減されると共に、放電部の針電極の寿命を長く保つことができるなど、装置の保守が容易になった。
まず、本発明の質量分析装置で使用されるイオン源の構成の特徴について、以下に説明する。
イオン源は、試料ガスが導入される開口部と、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、正のコロナ放電部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、負のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される排出口とから構成される。開口部から導入された試料ガスは、正のコロナ放電部、負のコロナ放電部を通って、排出口から排出される。
より詳細に説明すると、イオン源は、試料ガスが導入される開口部と、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、試料及び正のイオンが通過する第1の開口部を具備し第1の針状電極の先端部に対向して配置される第1の対向電極と、第1の対向電極に対向して配置され試料及び正のイオンが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、第2の開口部に対向して配置され、第2の開口部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、第2の開口部を通過した試料ガスが排出される排出口とから構成される。開口部から導入された試料ガスは、第1の針状電極の先端部、第1の開口部、第2の開口部、第2の針状電極の先端部を通って、排出口から排出される。
第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあるようにイオン源は構成される。あるいは、第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線とのなす角度が、90度から120度の範囲にあるようにイオン源は構成される。
他の構成によるイオン源は、試料ガスが導入される開口部と、開口部から導入された試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、開口部から導入された試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、正のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される第1の排出口と、負のコロナ放電部を通過した試料ガスが排出される第2の排出口とから構成される。試料ガスが導入される開口部は、正のコロナ放電部と負のコロナ放電部との間の空間に向けて配置される。開口部から導入された試料ガスは、正のコロナ放電部を通って第1の排出口から排出され、負のコロナ放電部を通って第2の排出口から排出される。
より詳細に説明すると、他の構成によるイオン源は、試料ガスが導入される開口部と、開口部から導入された試料ガスが通過する第1の開口部を具備する第1の対向電極と、第1の開口部に対向して配置され、第1の開口部を通過した試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、第1の対向電極に対向して配置され、試料ガスが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、第2の開口部に対向して配置され、第2の開口部を通過した試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、第1の開口部を通過した試料ガスが排出される第1の排出口と、第2の開口部を通過した試料ガスが排出される第2の排出口とから構成される。
第1の針状電極の先端部と第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、第2の開口部の中心部と第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にある。試料ガスが導入される開口部は、第1の対向電極と第2の対向電極との間の空間に向けて配置される。開口部から導入された試料ガスは、第1の開口部、第1の針状電極の先端部を通って第1の排出口から排出され、第2の開口部、第2の針状電極の先端部を通って第2の排出口から排出される。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例の質量分析装置の構成を示すブロック図である。
手荷物等の検査対象物の表面を拭き取ったワイプ材は加熱器35に投入される。ワイプ材に付着した化学物質は、加熱器35で加熱され、気化する。加熱器35で発生したガスは、導入配管36を介してイオン源37に送られる。吸着を防止するため、導入配管36は加熱されていることが望ましい。ガス中の成分の一部はイオン源37によりイオン化されるが、大部分のガスは吸引配管38を介して吸引ポンプ39により吸引される。イオン源37で生成したイオンは、真空ポンプ41により排気された真空中に配置された質量分析部40に取り込まれて質量分析される。
図2は、本発明の実施例において、四重極イオントラップ質量分析計を用いた質量分析装置の構造を説明する図である。
イオン源37で生成されたイオンは、細孔42a、42b、42c及び中間圧力部43a、43bを介して、真空部56に取り込まれる。細孔42a、42b、42cが開口する各々の電極には、気体が真空部56に取り込まれた際に断熱膨張しイオンに水蒸気分子等が付着する、いわゆるクラスタリングを軽減するため、ヒーター(図示せず)が取り付けられ加熱されている。また、細孔42a、42b、42cが開口する各々の電極には、電源(図示せず)により、いわゆるドリフト電圧が印加されている。ドリフト電圧は、中間圧力部43a、43bにおいて衝突によりクラスターイオンを低減させる効果と、イオンをドリフトさせることによりイオンが細孔42b、42cを透過する効率を向上させる効果を有している。
真空部56はターボ分子ポンプ45により排気されている。中間圧力部43a、43bと、ターボ分子ポンプ45の背圧側は、ロータリーポンプ等の荒引きポンプ44により排気される。真空部56に取り込まれたイオンは、静電レンズ46、及びイオンガイド電極48a、48bで構成されるイオンガイドにより収束された後、エンドキャップ電極54a、54bとリング電極55により構成される四重極イオントラップ質量分析計に導入される。
この時、帯電液滴等が検出器に到達してノイズの原因となるのを妨げるため、細孔42cの中心軸とエンドキャップ電極54aの開口の中心軸はずらして配置されている。さらに、静電レンズ46の一部にイオン、液滴等の通過を制限する細いスリット47が設けられている。
質量分析計へのイオンの入射・排出のタイミングは、ゲート電極49とストップ電極51に印加する電圧により制御する。エンドキャップ電極54a、54bとリング電極55とを保持するための石英リング50a、50bが帯電すると、分析精度に影響するので、イオンが石英リング50a、50bに到達するのを防止するために、つば電極53a、53bが設けられている。質量分析されたイオンは、イオン検出器52により検出され、信号はデータ処理装置57に送られ処理される。四重極イオントラップ質量分析計の動作については良く知られているので、説明を省略する。
図3は、本発明の実施例におけるイオン源の一例を示す図である。
試料分子に含まれるガス58は、まず正のコロナ放電を発生させる放電部(正のコロナ放電部)59に流入する。放電部59には針電極60が設けられ、高圧電源61により正の高電圧が印加されている。引出し電極62にも電源(図示せず)により電圧が印加されているため、針電極60と引出し電極62との間の電位差により、針電極60先端付近に正のコロナ放電が発生する。
放電部59に大気を吸引した場合には、正のコロナ放電により、ヒドロニウムイオン(H)や、その水和クラスターイオン((HO))が生成される。ガス58に含まれる試料分子のプロトン親和力が高いと、ヒドロニウムイオンから試料分子にプロトンが移行する反応が起き、試料のプロトン付加した擬似分子イオンが生成される。(化1)は、典型的な正イオン化反応であり、Mは試料分子を表す。
M+H→(M+H)+HO …(化1)
この様にして放電部(正のコロナ放電部)59で生成された正イオンは、針電極60と引出し電極62との間の電位差により引出し電極62方向に引き出され、引出し電極62に開口する開口部63からイオンドリフト部64に導入される。
放電部59に流入したガス58は、引出し電極62に開口する開口部63、イオンドリフト部64、引出し電極65に開口する開口部66を介して放電部67(負のコロナ放電部)に流入し、排気される。このため、プロトン親和力の低い試料分子は、放電部59では正イオン化されず、放電部67に到達する。
放電部67には針電極68が設けられ、高圧電源69により負の高電圧が印加されている。引出し電極65にも電源(図示せず)により電圧が印加されているため、針電極68と引出し電極65との間の電位差により針電極68先端付近に負のコロナ放電が発生する。
放電部67に大気を吸引した場合には、負のコロナ放電により、酸素分子イオン(O )や、その水和クラスターイオン((HO) )が生成される。ガス58に含まれる試料分子の電気陰性度が高いと、酸素分子イオンとのイオン分子反応によりイオン化される。(化2)は、典型的な負イオン化反応であり、Mは試料分子を表す。
M+O →M+O …(化2)
この様にして放電部67(負のコロナ放電部)で生成された負イオンは、針電極68と引出し電極65との間の電位差により引出し電極65方向に引き出され、引出し電極65に開口する開口部66からイオンドリフト部64に導入される。
図3に示した構成では、各々の電極の電位差の関係で、放電部59で生成された正イオンと、放電部67で生成された負イオンとが、共にイオンドリフト部64に導入される。イオンドリフト部64において、正イオンは開口部63から引出し電極65の方向にドリフトし、負イオンは開口部66から引出し電極62方向にドリフトするので、これらの正イオン、負イオンの一部は、細孔付き電極70aに設けられた細孔42aより真空部に取り込まれて質量分析される。
図3に示すように、細孔42aから取り込まれるイオンの量を増加するため、細孔付き電極70aに対向してリペラー電極71を設け、リペラー電源72によりリペラー電極71に印加する電圧を切り替えることにより、イオンドリフト部64に導入されたイオンの中で所望の極性のイオンを細孔付き電極70a方向にドリフトさせても良い。
図3に示すように、絶縁体で形成される保持部材73aにより、放電部59、67、引出し電極65、62、細孔付き電極70aの相互の位置関係が保持され、絶縁体で形成される保持部材73bにより、放電部59、67、引出し電極65、62、リペラー電極71の相互の位置関係が保持されている。
図3において、正イオンを生成する放電部59では、ガス58は針電極60先端から引出し電極62の方向に流れる。即ち、ガス58の流れと正イオンのドリフト方向が等しい。この様なガス58の流し方を、以下では順流と記載する。
ガス58の流し方を順流にすることにより、イオンは電界のみならず気流によっても運ばれるので、開口部63を介してイオンドリフト部64に導入されるイオンの量を増やすことができる。
逆に、負イオンを生成する放電部67では、ガス58は開口部66から針電極68の先端に向かって吹き付ける形となっており、ガス58の流れは負イオンのドリフト方向が逆である。この様なガスの流し方を、以下では逆流と記載する。
放電部67において、負のコロナ放電を発生させると、(化2)で説明したような、試料をイオン化する効果のある酸素分子イオンが得られるが、同時に大気中の窒素と酸素が反応した中性の一酸化窒素分子(NO)も生成される。この一酸化窒素分子は、酸素分子イオンと容易に反応する。
NO+O →NO …(化3)
この(化3)の反応で生成されたNO は安定なイオンであり、一部の試料を除いては試料分子のイオン化には寄与しない。従って、放電で生成した一酸化窒素分子が多量に存在すると、イオン化反応に寄与する酸素分子イオンが減少するので、試料分子のイオン化効率が低下する。
コロナ放電は針電極68の先端付近で発生するので、酸素分子イオンと一酸化窒素分子も針電極68先端付近で生成される。ガス58を逆流で放電部67に導入すると、酸素分子イオンは電界により引出し電極65方向にドリフトするのに対し、中性の一酸化窒素分子は気流により引出し電極65とは逆の方向に移動する。従って、逆流方式では酸素分子イオンと一酸化窒素分子との分離が簡便に行え、(化3)の反応を抑制することが可能となり、結果として(化2)の酸素分子イオンの量を十分に保つことができ、試料のイオン化効率が高まった。
結局、負のコロナ放電を行う放電部67においては、順流によりイオンを効率よくイオンドリフト部64に導入する効果と、逆流により不要な中性分子を除去し試料分子のイオン化効率を高める効果とを比較検討した結果、逆流の方が装置の感度を高めることが可能であった。
上述の様に、イオン化における順流と逆流の特徴を良く見極め、ガスの導入において正イオン化部を介して負イオン化部に流入させる構成とした。これにより、2つのイオン化部を有し各々のイオン化部において正イオンと負イオンを生成させる構成であっても、簡単な配管系で済む。
試料ガスを分岐し各々のイオン化部に導入するなどの複雑な配管系を構築すると、例えば、ガスの分岐のための三方バルブ等を使用する必要がある。試料分子の吸着を防止する目的で配管系は加熱することが好ましいが、三方バルブ等を均一に加熱することは難しく、コールドスポットと呼ばれ局所的に周囲より温度が低い部分が生じやすい。コールドスポットには、蒸気圧が低く気化がしやすい物質が吸着して残留するという問題があるので、次の被検体を試験した際に吸着していた物質が脱離して検出され、誤報を生ずるなどの不具合の原因となる。
図3に示したイオン源では、イオンドリフト部64には、正イオンと負イオンが共に存在する。これらの生負のイオンは、共に細孔付き電極70aに設けられた細孔42aより真空部に取り込まれるが、測定されるイオンの極性は図2に示した質量分析装置において選択される。
即ち、正イオンを測定する場合と負イオンを測定する場合において、細孔42a、42b、42cの開口する電極に印加されるドリフト電圧、イオンを収束させ輸送するための静電レンズ46やイオンガイド電極48a、48bに印加される電圧、質量分析計へのイオンの入射、出射を制御するためにゲート電極49とストップ電極51に印加される電圧、イオンを検出するためのイオン検出器52に印加される電圧については、極性を逆に設定する必要がある(図2を参照)。
イオン源37において正イオンと負イオンとを実質的に同時に生成し、質量分析部40(図1)において正イオン計測向けの電圧設定と負イオン計測向けの電圧設定とを交互に切り替えて使用することにより、正イオン化しやすい不正薬物と負イオン化しやすい爆薬とを実質的に同時に検出する。
また、イオンドリフト部64において、正イオンと負イオンとが反応し、電荷の再結合等の好ましくない反応が起きる場合には、リペラー電極71を設けておき、質量分析部40の電圧の極性切り替えと同期してリペラー電極71に印加する電圧の極性を切り替えると効果的である。
即ち、質量分析部40が正イオンを計測している状態においては、リペラー電極71の電位を細孔付き電極70aよりも高くすると、開口部63からの正イオンは細孔付き電極70aの方向にドリフトし、開口部66からの負イオンはリペラー電極71の方向にドリフトするので、イオンドリフト部64における正イオンと負イオンの軌道が分離され、正イオンと負イオンとの好ましくない反応を防止できる。逆に、質量分析部40が負イオンを計測している状態においては、リペラー電極71の電位を細孔付き電極70aよりも低くすると良いことは言うまでもない。
図4は、本発明の実施例におけるイオン源の他の一例を示す図である。図4は、図3に示したリペラー電極71やリペラー電源72を省いて構造を簡単にし、かつ、イオン源部のサイズをコンパクトにする上で好適なイオン源の構造を示す図である。
試料分子が含まれるガス58は、まず正のコロナ放電を発生させる放電部(正のコロナ放電部)59に流入する。放電部59には針電極60が設けられ、正の高電圧が印加されている。引出し電極62にも電源により電圧が印加されているため、針電極60と引出し電極62との間の電位差により、針電極60先端付近に正のコロナ放電が発生する。放電部59で生成された試料分子に関する正イオンは、針電極60と引出し電極62との間の電位差により引出し電極62の方向に引き出され、引出し電極62に開口する開口部63からイオンドリフト部64に導入される。
放電部59に流入したガス58は、引出し電極62に開口する開口部63、イオンドリフト部64、引出し電極65に開口する開口部66を介して放電部(負のコロナ放電部)67に流入し、排気される。放電部67には針電極68が設けられ、負の高電圧が印加されている。引出し電極65にも電圧が印加されているため、針電極68と引出し電極65との間の電位差により針電極68先端付近に負のコロナ放電が発生する。
放電部67で生成した負イオンは、針電極68と引出し電極65との間の電位差により引出し電極65方向に引き出され、引出し電極65に開口する開口部66からイオンドリフト部64に導入される。細孔付き電極70bを、細孔42aの開口部に向けてテーパーを付けることで、電界が細孔42aの先端に集中させる。針電極60、68のなす角(あるいは引出し電極62、65の電極板のなす角)を90度から120度程度とすることで、図3に示したイオン源に比べて全体をコンパクトにできる。
イオンドリフト部64に導入されたイオンは、引出し電極62、65と細孔付き電極70bとの間の電位差により細孔付き電極70bの方向にドリフトし、細孔42aから取り込まれる。この時、イオンは引出し電極62、65の間の電位差によってもドリフトするので、細孔42aへのイオンの取り込み効率を向上させるため、細孔42aの先端の開口部を、引出し電極62、65の開口部63、66の中心線(図4中において破線で示す)の交点よりも、やや引出し電極62、65側に設けると良い。また、細孔付き電極70bを加熱するため、ヒーター74を設けると良い。
図4に示すように、絶縁体で形成される保持部材73cにより、放電部59、67、引出し電極65、62、ヒーター74が設けられた細孔付き電極70の相互の位置関係が保持されている。即ち、細孔42aの先端の開口部と、引出し電極62、65の開口部63、66の中心との位置関係は、保持部材73cにより保持されている。
次に、図4に示したイオン源において、好適な検出条件を検討した結果について説明する。
実験の結果、試料分子が含まれるガスの流量は、毎分0.5リットルから1.0リットル程度の場合に良好な結果が得られた。
図5は、本発明の実施例における、引出し電圧とイオン強度との関係を示す図である。図5は、針電極68と引出し電極65との間の電位差を2kVとし、引出し電極65の電位(kV)を変化させて、質量分析計で観測された負イオンの強度(相対イオン強度)を調べた結果である。この実験では、イオンドリフト部64におけるイオンのドリフトの様子を把握することが目的であるので、正イオン化部側の引出し電極62には、引出し電極65と絶対値が等しく逆極性の電位を印加した。
負イオン化されやすい試料として、トリクロロフェノールを用いた。トリクロロフェノールは、分子からプロトンが脱離したイオン((M−H))として観測される。開口部66から細孔付き電極70bの先端までの距離は約8mmとした。細孔付き電極70bの電位は、質量分析計の負イオン計測の設定値である−80Vとした。
図5に示す結果から、酸素分子イオンの強度は引出し電極65(及び、引出し電極62)に印加される電圧によって大きく変化したが、トリクロロフェノールの分子イオンは−0.5kVから−1.0kVの間であまり変化しなかった。これは、イオンドリフト部64の気流が乱れているためと考えられ、軽い酸素分子イオンは気流の影響を受けやすいので、細孔付き電極70bの方向に効率よく引き出すために、より高い電界が必要であるためと考えられる。この結果から、探知対象となる爆薬や不正薬物の分子は、トリクロロフェノールと分子量が近いので、この様な分子量数百程度の試料分子を検出する場合には、引出し電極に印加する電圧は、±1kV前後で良いことが分かった。
次に、逆極性のイオン同士の反応の影響について調べた。
図6は、本発明の実施例における、正の放電部の放電電圧と観測される負イオンの強度との関係を示す図である。
図6は、針電極68と引出し電極65との間の電位差を2kVとし、引出し電極65の電位を−1kVとした場合において(より具体的には、引出し電極62に+1kV、引出し電極65に−1kV、針電極68に−3kVを印加した状態を意味する)、針電極60と引出し電極(対向電極)62との間の電圧(kV)を変化させながら負イオンを測定した強度(相対イオン強度)結果を示す。
電位差が2kVを超えると(即ち、針電極60の電位が+3kVを超えると)、放電部59で正のコロナ放電が発生する。電位差を更に大きくし、正の放電電流を増やしていくと、酸素分子イオンの強度が低下した。これは、正の放電部59で生成された正イオン(主にH)と酸素分子イオンとが再結合反応を起こした為と考えられる。ところが、トリクロロフェノールの負イオン((M−H))の強度は、正の放電部の放電状態には依存していないことから、トリクロロフェノールの負イオンは正イオンとは反応しないことが分かった。
同様に、予め正の放電部59で正イオンを発生させておき、負の放電部67の放電の状態を変化させて質量分析計で観測される正イオンの強度を調べた。正イオン化しやすい試料として、クロロアセトフェノンを使用した。その結果、正イオンとして観測されるクロロアセトフェノンのプロトン付加擬似分子イオンは、酸素分子イオンと反応して電荷が奪われることが分かった。
この様に、試料の負イオンは正イオンの影響を受けず、試料の正イオンは負イオンの影響を受けることから、図4に示したイオン源において正負イオンを実質的に同時に生成するためには、正の放電部59の放電電流を、負の放電部67の放電電流よりも大きく設定すれば良いことが分かった。この条件では、正イオンの方が負イオンよりも多いので、一部の正イオンが酸素分子イオンとの再結合により電荷を奪われても、残留する正イオンを検出できる。
図7は、本発明の実施例における負イオンの検出例を示す図である。図7は、図4に示したイオン源において、爆薬の一種であるトリニトロトルエンの検出結果例である。
図8は、本発明の実施例における正イオンの検出例を示す図である。図8は、図4に示したイオン源において、覚せい剤の一種であるメタンフェタミンの検出結果例である。
図7、図8では、これまでの考察に基づき、正の放電部59における放電電流を6マイクロアンペアとし、負の放電部67における放電電流を3マイクロアンペアとした。図7、図8において、縦軸は相対イオン強度を示し、横軸は時間である。
図7は、トリニトロトルエンを10ピコグラム用いた場合の分子イオン(M)の検出例を示している。試料を3回導入したが、試料導入のタイミングでトリニトロトルエンのイオンが観測されるm/z値の相対イオン強度が上昇しており、明確に検出された。検出下限として1ピコグラム程度という良好な結果が得られた。
図8は、メタンフェタミンを1ナノグラム用いた場合のプロトン付加した擬似分子イオン((M+H))の検出例を示している。試料を4回導入したが、検出下限として30ピコグラム程度という良好な結果が得られた。
図3、図4に関して説明した様に、正の放電部59におけるガス58の流れを順流、負の放電部67におけるガス58の流れを逆流とすることにより、正イオンと負イオンとを共に効率良く生成できる。
しかし、メンテナンス等を考えた場合、順流よりも逆流の方が針電極の寿命が長い、即ち、安定してコロナ放電を持続できる時間が長い傾向にある。これは、逆流では針電極の先端部に常に気流が当たるのに対し、順流では針電極の先端部の流れが相対的によどみやすく、不純物等が針電極の先端部に析出しやすいためと考えられる。そこで、針電極の交換等のメンテナンスの頻度を下げる目的で、正の放電部、負の放電部を共に逆流とするイオン源の構成について、以下、図9を用いて説明する。
図9は、本発明の実施例におけるイオン源のさらなる他の一例を示す図である。
図9に示す構成では、図3に示す構成において、平板状のリペラー電極71を、先端部につばを持つ円筒形状のリペラー電極71に変えた構成とする。この構成により、リペラー電極71の円筒の中空部を通して、試料分子が含まれるガス58を、イオンドリフト部64、放電部59、67に流す。正の放電部59と、負の放電部67において、ガスの流れを逆流とする。以下、図3の構成と異なる点を中心に説明する。
継ぎ手75を介して、先端部につばを持つ円筒形状のリペラー電極71に、導入配管36が結合され、導入配管36からガス58が導入される。リペラー電極71には、リペラー電源72により電圧が印加されるので、導入配管36との絶縁を考慮して、継ぎ手75はテフロン(登録商標)等の絶縁体を用いると良い。
リペラー電極71を介してイオンドリフト部64に流入したガスは、引き出し電極(対向電極)62、65の開口部63、66から、放電部59、67に流入する。即ち、正の放電部59と、負の放電部67において、ガスの流れを逆流とする。放電部59、67で生成されたイオンは、電界によりイオンドリフト部64に導かれ、細孔付き電極70aの細孔42aから真空部に取り込まれて質量分析される。
図9に示すように、絶縁体で形成される保持部材73aにより、放電部59、67、引出し電極65、62、細孔付き電極70aの相互の位置関係が保持され、絶縁体で形成される保持部材73bにより、放電部59、67、引出し電極65、62、リペラー電極71の相互の位置関係が保持されている。
以上説明した本発明の実施例のイオン源では、試料分子が含まれるガス58を、複雑な配管系を使用することなく、単純な経路に沿って流すことにより、イオン化をコロナ放電により行ない正、負イオンを実質的に同時に生成するので、微量な試料ガスのロスを少なくできる。
以上説明した本発明の実施例のイオン源を用いる質量分析装置では、短時間に正イオンの質量スペクトル、負イオンの質量スペクトルを計測でき、多種多様な化学物質を実質的に同時に探知することが可能となる。例えば、正イオンの質量スペクトル、負イオンの質量スペクトルをそれぞれ異なる色表示によって表示装置に表示することにより、総合的に質量スペクトルを解析することが可能となる。
本発明の実施例の質量分析装置は、環境に影響を及ぼす物質、例えば、燃焼ガス中の有毒物質、ダイオキシン前駆体、地下埋蔵された有毒危険物質等の探知にも有効に定期用可能であることは言うまでもない。
以上の説明では、質量分析部40に四重極イオントラップ質量分析計を用いる構成の質量分析装置について説明したが、質量分析部40に四重極質量分析計や飛行時間型質量分析計を用いても同様に有効であることは言うまでもない。また、本発明のイオン源は、大気中や減圧部でイオンの飛行時間計測を行う、イオンモビリティ装置や、ドリフトチューブ等と結合させることができる。
本発明の質量分析装置では、多種多様な化学物質を実質的に同時に探知できるので、空港等の重要施設のセキュリティ向上に好適に利用できる。
本発明の実施例の質量分析装置の構成を示すブロック図。 本発明の実施例において、四重極イオントラップ質量分析計を用いた質量分析装置の構造を説明する図。 本発明の実施例におけるイオン源の一例を示す図。 本発明の実施例におけるイオン源の他の一例を示す図。 本発明の実施例における、引出し電圧とイオン強度との関係を示す図。 本発明の実施例における、正の放電部の放電電圧と観測される負イオンの強度との関係を示す図。 本発明の実施例における、トリニトロトルエンの負イオンの検出例を示す図。 本発明の実施例における、メタンフェタミンの正イオンの検出例を示す図。 本発明の実施例におけるイオン源の他の一例を示す図。 質量分析法をベースとした従来技術の探知装置を説明する図。 質量分析法を用いた探知装置における従来技術のイオン源の例を示す図。
符号の説明
1…空気取り入れプローブ、2、5…絶縁パイプ、3、37…イオン源、4、13…排気口、6…空気排気用ポンプ、7、24、60、68…針電極、8…第1細孔電極、9、43a、43b…中間圧力部、10…第2細孔電極、11…電源、12…イオン加速電源、14、46…静電レンズ、15…質量分析部、16…検出器、17…増幅器、18…データ処理部、19…警報表示部、20…試料導入配管、21、64…イオンドリフト部、22…コロナ放電部、23…試料導出配管、25…コロナ放電領域、26…対向電極、27、63、66…開口部、28…第1イオン取り込み細孔、29…第2イオン取り込み細孔、30…第3イオン取り込み細孔、31…真空部、32…吸引配管、33…フローコントローラー、34、39…吸引ポンプ、35…加熱器、36…導入配管、38…吸引配管、40…質量分析部、41…真空ポンプ、42a、42b、42c…細孔、44…荒引きポンプ、45…ターボ分子ポンプ、47…スリット、48a、48b…イオンガイド電極、49…ゲート電極、50a、50b…石英リング、51…ストップ電極、52…イオン検出器、53a、53b…つば電極、54a、54b…エンドキャップ電極、55…リング電極、56…真空部、57…データ処理装置、58…ガス、59、67…放電部、61、69…高圧電源、62、65…引出し電極、70a、70b…細孔付き電極、71…リペラー電極、72…リペラー電源、73a、73b、73c…保持部材、74…ヒーター、75…継ぎ手、101…質量判定部、102…薬物A判定部、103…薬物B判定部、104…薬物C判定部、105…警報駆動部、106、107、108…表示部。

Claims (15)

  1. 試料ガスが導入される開口部と、導入された前記試料ガスのイオンを生成するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有し、前記イオン源は、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成する正のコロナ放電部と、前記正のコロナ放電部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成する負のコロナ放電部と、前記負のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される排出口とを有することを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記質量分析計で検出するイオンの極性を選択するための制御電圧を印加する電極を有することを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記正及び負のコロナ放電部は針状電極を有することを特徴とする質量分析装置。
  4. 試料ガスが導入される開口部と、導入された前記試料ガスのイオンを生成するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有し、前記イオン源は、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、前記試料及び前記正のイオンが通過する第1の開口部を具備し前記第1の針状電極の先端部に対向して配置される第1の対向電極と、前記第1の対向電極に対向して配置され前記試料及び前記正のイオンが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、前記第2の開口部に対向して配置され、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスが排出される排出口とを有することを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項4に記載の質量分析装置において、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項4に記載の質量分析装置において、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線とのなす角度が、90度から120度の範囲にあることを特徴とする質量分析装置。
  7. 試料ガスが導入される開口部と、導入された前記試料ガスのイオンを生成するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有し、前記イオン源は、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成する正のコロナ放電部と、前記開口部から導入された前記試料ガスの負のイオンを生成する負のコロナ放電部と、前記正のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される第1の排出口と、前記負のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される第2の排出口とを有し、前記試料ガスが導入される前記開口部は、前記正のコロナ放電部と前記負のコロナ放電部との間の空間に向けて配置されることを特徴とする質量分析装置。
  8. 試料ガスが導入される開口部と、導入された前記試料ガスのイオンを生成するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析計とを有し、前記イオン源は、前記開口部から導入された前記試料ガスが通過する第1の開口部を具備する第1の対向電極と、前記第1の開口部に対向して配置され、前記第1の開口部を通過した前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、前記第1の対向電極に対向して配置され、前記試料ガスが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、前記第2の開口部に対向して配置され、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、前記第1の開口部を通過した前記試料ガスが排出される第1の排出口と、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスが排出される第2の排出口とを有し、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあり、前記試料ガスが導入される前記開口部は、前記第1の対向電極と前記第2の対向電極との間の空間に向けて配置されることを特徴とする質量分析装置。
  9. 試料ガスが導入される開口部と、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、前記正のコロナ放電部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、前記負のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される排出口とを有することを特徴とするイオン源。
  10. 試料ガスが導入される開口部と、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、前記試料及び前記正のイオンが通過する第1の開口部を具備し前記第1の針状電極の先端部に対向して配置される第1の対向電極と、前記第1の対向電極に対向して配置され前記試料及び前記正のイオンが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、前記第2の開口部に対向して配置され、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスが排出される排出口とを有することを特徴とするイオン源。
  11. 請求項10に記載のイオン源において、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあることを特徴とするイオン源。
  12. 請求項10に記載のイオン源において、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線とのなす角度が、90度から120度の範囲にあることを特徴とするイオン源。
  13. 試料ガスが導入される開口部と、前記開口部から導入された前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極を具備する正のコロナ放電部と、前記開口部から導入された前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極を具備する負のコロナ放電部と、前記正のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される第1の排出口と、前記負のコロナ放電部を通過した前記試料ガスが排出される第2の排出口とを有し、前記試料ガスが導入される前記開口部は、前記正のコロナ放電部と前記負のコロナ放電部との間の空間に向けて配置されることを特徴とするイオン源。
  14. 試料ガスが導入される開口部と、前記開口部から導入された前記試料ガスが通過する第1の開口部を具備する第1の対向電極と、前記第1の開口部に対向して配置され、前記第1の開口部を通過した前記試料ガスの正のイオンを生成するための電圧が印加される第1の針状電極と、前記第1の対向電極に対向して配置され、前記試料ガスが通過する第2の開口部を具備する第2の対向電極と、前記第2の開口部に対向して配置され、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスの負のイオンを生成するための電圧が印加される第2の針状電極と、前記第1の開口部を通過した前記試料ガスが排出される第1の排出口と、前記第2の開口部を通過した前記試料ガスが排出される第2の排出口とを有し、前記第1の針状電極の先端部と前記第1の開口部の中心部を結ぶ直線と、前記第2の開口部の中心部と前記第2の針状電極の先端部とを結ぶ直線が、同じ直線上にあり、前記試料ガスが導入される前記開口部は、前記第1の対向電極と前記第2の対向電極との間の空間に向けて配置されることを特徴とするイオン源。
  15. 試料ガスを正のコロナ放電部に流す工程と、前記試料ガスの正のイオンを、前記正のコロナ放電部でコロナ放電により生成する工程と、前記正のコロナ放電部を通過した前記試料ガスを負のコロナ放電部に流す工程と、前記試料ガスの負のイオンを、前記負のコロナ放電部でコロナ放電により生成する工程と、質量分析するイオンの極性を選択する工程と、選択された極性をもつイオンの質量分析を行なう工程と、質量分析の結果を質量スペクトルとして表示する工程とを有することを特徴とする質量分析方法。
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