JP2005258090A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版 Download PDF

Info

Publication number
JP2005258090A
JP2005258090A JP2004069682A JP2004069682A JP2005258090A JP 2005258090 A JP2005258090 A JP 2005258090A JP 2004069682 A JP2004069682 A JP 2004069682A JP 2004069682 A JP2004069682 A JP 2004069682A JP 2005258090 A JP2005258090 A JP 2005258090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
recording layer
group
printing plate
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004069682A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Tashiro
宏 田代
Tomotaka Tsuchimura
智孝 土村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004069682A priority Critical patent/JP2005258090A/ja
Publication of JP2005258090A publication Critical patent/JP2005258090A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

【課題】 耐傷性及び形成された画像のディスクリミネーションに優れたダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線レーザー露光によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を2層以上設けてなり、該2層以上のポジ型記録層のうち支持体に最も近接するポジ型記録層が、下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位とを有するポリマーを含有することを特徴とする平版印刷版原版(式中、nは6〜40の整数を表し、Xは酸プレカーサー骨格を含む2価の有機基を表し、Yは3価の有機基を表す。)。
【化1】
Figure 2005258090

【選択図】 なし

Description

本発明は平版印刷版原版に関するものであり、特にコンピュータ等のデジタル信号から直接製版できる、いわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収染料(IR染料)等とを必須成分とし、IR染料等が、非露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まりアルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
しかしながら、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料では、様々な使用条件における非露光部(画像部)の現像液に対する耐溶解性と、露光部(非画像部)の溶解性との間の差が未だ十分とは言えず、使用条件の変動による現像過剰や現像不良が起きやすいという問題があった。また、取扱い時に表面に触れる等によりわずかに表面状態が変動した場合にも、現像時に非露光部(画像部)が溶解してキズ跡状となり、耐刷の劣化や着肉性不良を引き起こすという問題があった。
このような問題は、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料とUV露光により製版するポジ型平版印刷版材料との製版メカニズムの本質的な相違に由来する。すなわち、UV露光により製版するポジ型平版印刷版材料では、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、オニウム塩やキノンジアジド化合物類とを必須成分とするが、このオニウム塩やキノンジアジド化合物類は、非露光部(画像部)でバインダー樹脂との相互作用により溶解阻止剤として働くだけでなく、露光部(非画像部)では、光によって分解して酸を発生し、溶解促進剤として働くという二つの役割を果たすものである。
これに対し、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料におけるIR染料等は、非露光部(画像部)の溶解阻止剤として働くのみで、露光部(非画像部)の溶解を促進するものではない。従って、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料において、非露光部と露光部との溶解性の差を出すためには、バインダー樹脂として、予め、アルカリ現像液に対する溶解性の高いものを使用せざるを得ず、現像前の状態が不安定なものとなるのである。
以上の問題を解決するため種々の提案がなされている。例えば、画像のディスクリミネーションの改良をするため膜中の赤外線吸収剤を偏在化させる方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、これによりディスクミリネーションの改良は見られるものの、記録層表面における耐傷性の問題を解決するには至っていない。また、スルホンアミド系のアクリル樹脂を含む下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び光熱変換剤を含み露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する上層と、からなる記録層を設けた平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この平版印刷版原版は、露光領域において記録層が除去されると、アルカリ可溶性に優れた下層が露出することになり、アルカリ現像液により、所望されない残膜などが速やかに除去されるという効果や、該下層が断熱層として機能し、支持体への熱拡散が効果的に抑制されるという効果を奏するものである。また、更に、下層にポリマーをブレンドして耐薬品性を持たせる方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、このように記録層を重層構造とするためには、両層に用いる樹脂として互いに特性の異なるものを選択せざるを得ず、これらの相互作用性が低下するという問題、或いは、下層の現像性が良好であることに起因して、現像時に、画像部における下層の両端部に所望されない溶解が生じて耐刷性や画像再現性に影響を及ぼすという懸念があり、重層構造の利点を十分に生かすためには、なお改良の余地があった。
特開2001−281856公報 特開平11−218914号公報 国際公開第01/46318号パンフレット
本発明の目的は、耐傷性及び形成された画像のディスクリミネーションに優れたダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、重層構造のポジ型記録層を設け、支持体に近い記録層中に、特定構造を有する樹脂を含有させることにより、上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線レーザー露光によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を2層以上設けてなり、該2層以上のポジ型記録層のうち支持体に最も近接するポジ型記録層が、下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位とを有するポリマーを含有することを特徴とする。
Figure 2005258090
(式中、nは6〜40の整数を表し、Xは酸プレカーサー骨格を含む2価の有機基を表し、Yは3価の有機基を表す。)
以下、本明細書では、「支持体に最も近接するポジ型記録層」を、適宜、「最下部記録層」と称し、それ以外のポジ型記録層を、「上部記録層」と称する。
なお、本発明の平版印刷版原版には、支持体上に、前記複数のポジ型記録層以外にも、所望により他の層、例えば、表面保護層、下塗層、中間層、バックコート層などを本発明の効果を損なわない限りにおいて設けることができる。
以下、明確ではないが、本発明の平版印刷版原版の作用機構について説明する。
本発明の平版印刷版原版の支持体に最も近接するポジ型記録層(最下部記録層)に含有される、一般式(1)で表される構造単位、及び、一般式(2)で表される構造単位を有するポリマー(以下、適宜、「特定ポリマー」と称する。)は、長鎖アルキル基を有する構造単位[一般式(1)]と酸プレカーサー骨格を有する構造単位[一般式(2)]との共重合体である。このような特定ポリマーを最下部記録層に含有することで、露光部では、酸プレカーサーの働きにより最下部記録層のアルカリ溶解性が発現されることから、最下部記録層のアルカリ現像性が促進されることになる。また、未露光部(画像部)では、特定ポリマー自体がアルカリ水溶液に対する溶解性が低いため、最下部記録層へのアルカリ現像液の浸透性が効果的に抑制されることで、画像部のアルカリ現像液によるダメージを抑えることができる。したがって、本発明の平版印刷版原版は、画像のディスクリミネーションに優れたシャープな画像を形成することができる。この特性は、特に、画像面積の狭い高精細画像において顕著であり、従って、本発明の平版印刷版原版は、近年のCTP化に伴い使用が増加しているFMスクリーンなどの高精細画像に特に有用である。そのため、市販のFMスクリーン、例えば、Creo社製Staccato(商品名)、大日本スクリーン社製FAIRDOT、Randot(商品名)、富士写真フイルム社製Co−Reスクリーン(商品名)などによる画像形成に好適に用いることができる。なお、ここでいう高精細画像とは、200lpi相当以上にものを示す。
この理由についてより詳細に述べる。特定ポリマーは、疎水性と表面偏在性とを有する長鎖アルキル基を有するため、層表面に偏在化することができ、最下部記録層表面は疎水性であり、支持体近傍にかけてアルカリ水溶液に対する溶解性が増大することとなる。また、特定ポリマーは、構造中に酸プレカーサー骨格を有するため、最下部記録層を構成する他の成分(主として、樹脂)と弱い相互作用を発現することができる。これらのことにより、未露光部では、表面疎水性と相互作用との働きにより、アルカリ現像液の浸透性を抑制すると共に、溶解を抑制することも可能となる。
一方、露光部においては、アルカリ現像液により上部記録層が除去されて、最下部記録層が露出すると、最下部記録層とアルカリ現像液とが接触して、特定ポリマーを構成する酸プレカーサー骨格がアルカリ溶解性を発現させ、更に、他の成分との弱い相互作用も解除されるため、アルカリ現像液に対する溶解性が増大し、速やかに除去されるものと考えられる。
また、本発明においては、上記効果のほかに経時安定性の向上の効果も得られる。この作用も明確ではないが、最下部記録層に含有する特定ポリマーが最下部記録層表面付近に配向することにより、環境変化、つまり、湿度変化での最下部記録層への水分進入によるバインダー樹脂間の相互作用変化を抑えることができるためと考えられる。
本発明によれば、耐傷性及び形成された画像のディスクリミネーションに優れたダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線レーザー露光によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を2層以上設けてなり、該2層以上のポジ型記録層のうち支持体に最も近接するポジ型記録層が、上記一般式(1)で表される構造単位と上記一般式(2)で表される構造単位とを有するポリマー(特定ポリマー)を含有することを特徴とする。
まず、本発明における特定ポリマーについて説明する。
〔一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを有するポリマー(特定ポリマー)〕
本発明に係る特定ポリマーとは、以下に説明する、一般式(1)で表される長鎖アルキル基を有する構造単位と、一般式(2)で表される酸プレカーサー骨格を有する構造単位と、を有する共重合体である。
(長鎖アルキル基を有する構造単位)
本発明に係る長鎖アルキル基を有する構造単位は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2005258090
一般式(1)中、nは6〜40の整数を表し、10〜30が好ましく、12〜20が、疎水性及び表面偏在性の発現の観点から、より好ましい。
Yは3価の有機基を表し、この連結基はポリマー主鎖を構成しており、かつ、長鎖アルキル基が結合しうる基である。
このような一般式(1)で表される構造単位として好ましいものを下記一般式(1−2)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005258090
式(1−2)中、n=6〜40の整数を表す。Wは2価の連結基を表し、Z1、Z2、Z3はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。
また、このような長鎖アルキル基を構造単位中に複数有していてもよく、その場合、Z1、又はZ3の位置に連結基Wを介して長鎖アルキル基が結合する態様や、連結基Wが分岐構造を有し、その先端に別の長鎖アルキル基が連結している態様をとることができる。
上記Wとしては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニレン基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(単環、複素環)、−OC(=O)−、−OC(=O)Ar−、−OC(=O)O−、−OC(=O)OAr−、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−SO2NR−、−SO2NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)Ar−、−C(=O)−、−SO2O−、−SO2OAr−、−OSO2−、−OSO2Ar−、−NRSO2−、−NArSO2−、−NRC(=O)−、−NArC(=O)−、−NRC(=O)O−、−NArC(=O)O−、−OC(=O)NR−、−OC(=O)NAr−、−NAr−、−NR−、−N+RR’−、−N+RAr−、−N+ArAr’−、−S−、−SAr−、−ArS−、ヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素及びイオウ等を少なくとも1個以上含み、3乃至12員環の単環、縮合環)、−OC(=S)−、−OC(=S)Ar−、−C(=S)O−、−C(=S)OAr−、−C(=S)OAr−、−C(=O)S−、−C(=O)SAr−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)NR−、−ArC(=O)NAr−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)S−、−ArC(=S)O−、−ArO−、−ArNR−等が挙げられる。
なお、上記R、R’は水素原子、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニル基、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキニル基を表し、Ar、Ar’はアリール基を表す。
このような連結基の中でも、炭素数6〜20のアリーレン基(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)−、−C(=O)Ar−、−S−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等が好ましく、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等がより好ましい。
また、本発明において、上記Wで表される連結基としては、ここで挙げた連結基を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
式(1−2)中、Z1、Z2、Z3としては、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニル基(例えば、ビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、2−メトキシエトキシカルボニルオキシ基など)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基など)、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭素数1〜20のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ、ポリアルキレンオキシ等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基(例えば、N−テトラデカノイルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基(例えば、N−メタンスルホニルカルバモイル基など)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0〜20のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、炭素数3〜20のアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基など)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等)、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜20のウレイド基(例えば、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2〜20のヘテロ環基(ヘテロ原子としては、例えば、窒素、酸素及びイオウ等を少なくとも1個以上含み、3乃至12員環の単環、縮合環で、例えば、2−フリル、2−ピラニル、2−ピリジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリノ、2−キノリル、2−ベンツイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1〜20のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、炭素数0〜20のスルファモイルアミノ基(例えば、N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニルスルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル等)、アゾ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)が挙げられる。
また、上記Z1〜Z3が、水素原子又はハロゲン原子以外の場合、これらは更に置換基を有していてもよく、その置換基の例としては上記具体例として挙げた如き置換基が挙げられる。
上記Z1〜Z3としては、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子がより好ましい。
上記一般式(1−2)で表される構造単位は、疎水性及び表面偏在性の発現の観点から、更に下記一般式(1−3)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2005258090
式(1−3)中、n=6〜40の整数を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
Wは上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなWで表される2価の置換基として、疎水性、表面偏在性、及び画像形成性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005258090
1は上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなZ1で表される1価の有機基として、疎水性、表面偏在性、及び画像形成性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005258090
ここで、本発明に係る長鎖アルキル基を有する構造単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005258090
Figure 2005258090
本発明に係る特定ポリマー中の、長鎖アルキル基を有する構造単位の組成モル比としては、滑り性向上の観点から10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることが最も好ましい。
(酸プレカーサー骨格を有する構造単位)
本発明に係る酸プレカーサー骨格を有する構造単位とは、下記一般式(2)で表される。
Figure 2005258090
式(2)中、Xは、部分構造として酸プレカーサー骨格を含む2価の有機基を表す。該酸プレカーサー骨格は、Xで構成される主鎖構造を含んで構成されていてもよいし、側鎖に存在するものであってもよい。
本発明に係る酸プレカーサー骨格とは、アルカリ現像液との接触によりその骨格構造が分解され、酸基又はそれに類するアルカリ可溶性基が生成することにより、アルカリ可溶性を発現するものであれば特に制限はない。そのような骨格としては、ラクトン骨格、或いは、酸無水物骨格、或いは、分子内に2つ以上のエステル構造を有する骨格が、アルカリ現像液に対する溶解性、及び、感度の観点から好ましい。中でも、ラクトン骨格、酸無水物骨格が、現像液溶解性と経時安定性の観点から、より好ましい。
なお、上記エステル構造としては、メチルエステル又はベンジルエステルが好ましい。また、このようなメチルエステルを有する化合物としては、分子内にそのようなメチルエステルを2つ有するジメチルエステル化合物であることが好ましい。
ここで、酸プレカーサー骨格に好適なラクトン骨格は、後述する式(2−2b)のように、エステル基(−CO−O−)を有する環(ラクトン環)を有するため、この環が開環することにより酸基が生成し、アルカリ可溶性を発現することができる。
また、酸プレカーサー骨格に好適な分子内に2つ以上のエステル構造を有する骨格は、該エステル構造(−CO−O−R)のに結合する基(R)が脱離することにより酸基が生成し、アルカリ可溶性を発現することができる。例えば、当該エステル構造がメチルエステルであれば、メチル基が脱離することとなる。
更に、上記一般式(2)で表される、酸プレカーサー骨格を有する構造単位としては下記一般式(2−2a)、(2−2b)又は(2−3)で表される構造のものがより好ましい。
Figure 2005258090
式(2−2a)、(2−2b)中、環Dは置換基を有してもよい、炭化水素を表す。
Aは2価の連結基を表し、そのようなAとしては、前記一般式(1−2)又は(1−3)におけるWと同義である。
式(2−3)中、B1、B2はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、そのようなB1及びB2としては、前記一般式(1−2)、(1−3)におけるZ1〜Z3と同義である。
このような、上記一般式(2−2a)、(2−2b)及び(2−3)で表される構造単位の中でも、一般式(2−2a)、(2−2b)で表されるものが特に好ましい。
ここで、本発明に係る酸プレカーサー骨格を有する構造単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005258090
Figure 2005258090
本発明に係る特定ポリマー中の、酸プレカーサー骨格を有する構造単位の組成モル比としては、現像液溶解性の観点から5〜90モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、15〜70モル%であることが最も好ましい。
(特定ポリマーの合成)
本発明における特定ポリマーは、上記長鎖アルキル基を有する構造単位を形成しうるモノマー(以下、「長鎖アルキル基モノマー」と称する)と、上記酸プレカーサー骨格を有する構造単位を形成しうるモノマー(以下、「酸プレカーサーモノマー」と称する)と、を共重合させて得ることができる。
長鎖アルキル基モノマーとしては、分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基と長鎖アルキル基とを有する化合物が好ましい。特に、溶剤溶解性や画像形成性への影響の小ささ等の観点から、長鎖アルキル基を有するアクリレート系化合物、長鎖アルキル基を有するメタクリレート系化合物、長鎖アルキル基を有するアクリルアミド系化合物、長鎖アルキル基を有するメタクリルアミド系化合物、長鎖アルキル基を有するスチレン系化合物、長鎖アルキル基を有するビニル系化合物、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル系化合物などが好ましい。
また、酸プレカーサーモノマーとしては、分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基と酸プレカーサー骨格とを有する化合物が好ましい。特に、溶剤溶解性や画像形成性への影響の小ささ等の観点から、酸プレカーサー骨格を有するアクリレート系化合物、酸プレカーサー骨格を有するメタクリレート系化合物、酸プレカーサー骨格基を有するアクリルアミド系化合物、酸プレカーサー骨格を有するメタクリルアミド系化合物、酸プレカーサー骨格を有するスチレン系化合物、酸プレカーサー骨格を有するビニル系化合物、酸プレカーサー骨格を有するビニルエーテル系化合物、酸プレカーサー骨格を有するマレイン酸系化合物、酸プレカーサー骨格を有するフマル酸系化合物などが好ましい。
このような長鎖アルキル基モノマー、酸プレカーサーモノマーは、それぞれ2種類以上を併用することができる。
以下に、本発明に係る特定ポリマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各構造単位に付されている数字は各モノマーの重合モル比を示す。
Figure 2005258090
Figure 2005258090
Figure 2005258090
Figure 2005258090
Figure 2005258090
このような長鎖アルキル基モノマーと、酸プレカーサーモノマーとを共重合させる方法としては、一般的に公知の懸濁重合法、或いは溶液重合法などを用いて容易に重合或いは共重合することができる。また、共重合体の構成としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、長鎖アルキル基モノマーと酸プレカーサーモノマーとの共重合成分として、本発明の効果を損なわない範囲で他のモノマーを併用して用いることもできる。
このような他のモノマーの組成比としては、共重合体成分中に50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下である方が効果の観点から、より好ましい。
他のモノマーの例としては、下記(1)〜(17)に挙げる化合物を例示することができる。なお、下記(1)〜(6)として挙げた重合性モノマーは、後述するポジ型平版印刷版原版の記録層の必須成分である、アルカリ可溶性樹脂として好適な、酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂(1)〜(6)の説明中に詳細に記載されている重合性モノマーと同様のものを用いることができる。
(1)フェノール基を有する重合性モノマー
(2)スルホンアミド基を有する重合性モノマー
(3)置換スルホンアミド基を有する重合性モノマー
(4)カルボン酸基を有する重合性モノマー
(5)スルホン酸基を有する重合性モノマー
(6)リン酸基を有する重合性モノマー
(7)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(8)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキレート等のアクリレート。
(9)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等のメタクリレート。
(10)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(11)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(12)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(13)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(14)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(15)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(16)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(17)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
本発明に用いる特定ポリマーとしては、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が1,000以上のものが好ましく用いられる。更に好ましくは、ポリスチレン換算で重量平均分子量が5,000〜500,0000で、特に好ましくは5000〜2000000、更に好ましくは10000〜1000000である。このようなポリマーは、1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記特定ポリマーの含有量としては、画像形成性や感度の観点から、最下部記録層の全固形分の質量に対して、通常0.1〜40質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%の範囲である。
〔ポジ型記録層〕
本発明におけるポジ型記録層は、樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線レーザー露光によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増大することで、画像が形成される。
以下、本発明におけるポジ型記録層を構成する樹脂及び赤外線吸収剤について説明する。
[樹脂]
本発明において、ポジ型記録層を構成する樹脂としては、水不溶性且つアルカリ水溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ水溶性樹脂と称する。)が用いられる。このアルカリ水溶性樹脂としては、樹脂中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。従って、本発明に係るポジ型記録層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。
本発明におけるポジ型記録層に用いられるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する樹脂であることが好ましい。例えば、以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する樹脂としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する樹脂としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する樹脂としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる樹脂が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる樹脂が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この樹脂としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる樹脂が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
更に、本発明のアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうちの2種以上を重合させた樹脂、或いはこれら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる樹脂を使用することが好ましい。フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重量比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂が前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性の観点から、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
本発明においては、赤外線レーザー等による露光での画像形成性に優れる点で、アルカリ水可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有するものが好ましい。また、フェノール性水酸基を有するアルカリ水可溶性樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体も用いることができる。
アルカリ水可溶性樹脂の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
ポジ型記録層の中でも、上部記録層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、未露光部では強い水素結合性を生起し、露光部においては、一部の水素結合が容易に解除される点においてフェノール性水酸基を有する樹脂が望ましく、より好ましくはノボラック樹脂である。更に、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000であるものが好ましい。
対して、ポジ型記録層の中でも、最下部記録層に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、アクリル系樹脂であることが好ましく、更に、スルホアミド基を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。
これらアルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、ポジ型記録層の耐久性や感度の観点から、ポジ型記録層全固形分中、40〜99重量%、好ましくは45〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。
[赤外線吸収剤]
本発明のポジ型記録層は、光熱変換機能を発現する赤外線吸収剤を含有する。この赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、赤外線レーザー走査により、ポジ型記録層中で、相互作用の解除、現像インヒビターの分解、酸の発生等が起こり、現像液に対する溶解性が大きく増加する。また、この赤外線吸収剤自体が、アルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、アルカリ可溶性を抑制させる場合もある。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料又は顔料である。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
以下に、ポジ型記録層を構成する赤外線吸収剤について詳述する。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、顔料分散物の安定性、ポジ型記録層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明においては、特定の官能基を有するバインダーポリマーとの相互作用によりポジ作用(未露光部はアルカリ現像液に対する溶解が抑制され、露光部ではその溶解抑制作用が解除される。)を生じさせる赤外線吸収剤を用いることが好ましく、その点でオニウム塩型構造を有するものが特に好ましい。具体的には、前記した赤外線吸収剤のうち、特にシアニン色素、ピリリウム塩が好ましい。シアニン色素、ピリリウム塩の詳細については前述の通りである。
なお、オニウム塩構造を有する赤外線吸収剤としては、特開平11−291652号公報の段落番号[0018]乃至[0034]に記載のものも挙げられる。
更に、特願平10−237634号に記載のアニオン性赤外線吸収剤も好適に使用することができる。このアニオン性赤外線吸収剤は、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造が無く、アニオン構造を有するものを指す。
例えば、(a−1)アニオン性金属錯体、(a−2)アニオン性フタロシアニンが挙げられる。
ここで、(a−1)アニオン性金属錯体とは、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属及び配位子全体でアニオンとなるものを指す。
(a−2)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン骨格に、置換基としてスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなっているものを指す。
更に、特願平10−237634号の[0014]乃至[0105]に記載の[Ga-−M−Gb]mm+で示されるアニオン性赤外線吸収剤〔Ga-はアニオン性置換基を表し、−Gbは中性の置換基を表す。Xm+は、プロトンを含む1〜m価のカチオンを表し、mは1乃至6の整数を表す。〕を挙げることができる。
本発明に係るポジ型記録層には、更に感度及び現像ラチチュードを向上させる目的で、上記のシアニン色素、ピリリウム塩、アニオン系色素などの溶解抑制能を発現する赤外線吸収剤と、それ以外の染料又は顔料等を併用することもできる。
本発明において、赤外線吸収剤の含有量は、画像形成性、非画像部の汚れ発生抑制の観点から、ポジ型記録層の全固形分に対し、0.01〜50重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%である。
[添加剤]
本発明におけるポジ型記録層には、上記の成分の他、目的に応じて種々の公知の添加剤を併用することができる。
(フッ素含有ポリマー)
本発明のポジ型記録層には、画像部領域の耐現像性を向上させる目的で、フッ素含有ポリマーを添加することが好ましい。使用されるフッ素含有ポリマーとしては、特開平11−288093号公報、特開2000−187318号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマーからなる共重合体が挙げられる。
好ましい具体例としては、特開平11−288093号公報に記載されているP−1〜P−13のフッ素を含有するアクリル系ポリマーや特開2000−187318号公報に記載されているA−1〜A33のフッ素を含有するアクリル系モノマーを任意のアクリルモノマーと共重合して得られたフッ素含有ポリマーなどを挙げることができる。
以上に挙げたフッ素含有ポリマーの分子量としては、重量平均分子量が2000以上、数平均分子量が1000以上のものが好ましく用いられる。更に好ましくは重量平均分子量が5000〜300000、数平均分子量が2000〜250000である。
また、フッ素含有ポリマーとして、前記の好ましい分子量を有する化合物である、市販のフッ素系界面活性剤を用いることもできる。具体例として、大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−171、F−173、F−176、F−183、F−184、F―780、F−781(いずれも商品名)を挙げることができる。
これらフッ素含有ポリマーは、1種類を用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
添加量としては、画像部領域の耐現像性と感度との観点から、ポジ型記録層の全固形分に対し、1.4質量%以上であることが好ましく、1.4〜5.0質量%の範囲であることがより好ましい。
(溶解抑制剤)
本発明におけるポジ型記録層は、更に必要に応じて、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(溶解抑制剤)を併用することができる。溶解抑制剤の添加により、画像部の現像液への溶解阻止性が向上されるとともに、この化合物を添加することにより赤外線吸収剤としてアルカリ可溶性樹脂との間に相互作用を形成しないものを用いることも可能となる。
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Baletal,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Neckeretal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wenetal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivelloetal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、
J.V.Crivelloetal,PolymerJ.17,73(1985)、J.V.Crivelloetal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Wattetal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivelloetal,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivelloetal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivelloetal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同4,491,628号、同5,041,358号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivelloetal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivelloetal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wenetal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
本発明において、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
本発明において用いられるo−キノンジアジド化合物としては、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物であって、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものである、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジド化合物は熱分解により、アルカリ可溶性樹脂の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド化合物自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により、ポジ型記録層の溶解性を助ける。
o−キノンジアジド化合物として、具体的には、例えば、J.コーサー著「ライト センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に、種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
更に、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂或いはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。
その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは、ポジ型記録層の全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。
これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
また、o−キノンジアジド化合物以外の溶解抑制剤の添加量は、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
(他の添加剤)
また、画像のディスクリミネーションの強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−87318明細書に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を添加することもできる。
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することもできる。
環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、トラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−メトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類のポジ型記録層に対する添加割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明におけるポジ型記録層には、例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として添加することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、アイゼンスピロンブルーC−RH(保土ヶ谷化学(株)製)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。
これらの染料を添加することにより、画像形成後、画像部と非画像部の区別が明瞭となる。
なお、これらの染料の添加量は、ポジ型記録層の全固形分に対し0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
また、本発明におけるポジ型記録層中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素ポリマーを添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製(株)チッソ社製DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBP−732、DBP−534、独国Tego社製Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シロキサン系化合物、又はフッ素ポリマーのポジ型記録層に対する添加割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明におけるポジ型記録層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。
具体的には、例えば、特開昭50−36,209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せが挙げられ、かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。その他の光酸放出剤としては、特開昭55−62444号公報に記載されている種々のo−ナフトキノンジアジド化合物;特開昭55−77742号公報に記載されている2−トリハロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物;ジアゾニウム塩などを挙げることができる。
〔複数のポジ型記録層の形成〕
本発明におけるポジ型記録層は、通常、上記各成分を溶媒に溶かした最下部記録層用塗布液、更には、上部記録層塗布液を、適当な支持体上に、順次塗布することにより形成することができる。
ここで、最下部記録層用塗布液、上部記録層塗布液において適切な溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、上記の両塗布液には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等をするために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
更に、上記の両塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、塗布液全固形分の0.01〜1質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
本発明においては、最下部記録層と、該最下部記録層と接する上部記録層とが、原則的に分離して形成することが好ましい。
両層を分離して形成する方法としては、例えば、最下部記録層に含まれる成分と、上部記録層に含まれる成分と、の溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、最下部記録層と接する上部記録層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
最下部記録層に含まれる成分と、上部記録層に含まれる成分と、の溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上部記録層用塗布液を塗布する際に、最下部記録層に含まれるアルカリ可溶性樹脂や特定ポリマーを溶解しない溶剤を用いる方法が挙げられる。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。
例えば、まず、最下部記録層成分として、上部記録層成分であるアルカリ可溶性樹脂を溶解するメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に不溶な成分を選択し、該最下部記録層成分を溶解する溶剤系を用いて塗布液を塗布・乾燥して最下部記録層を形成する。その後、上部記録層成分をメチルエチルケトンや1−メトキシ−2−プロパノール等で溶解して塗布液を調製し、それを、最下部記録層上に、塗布・乾燥することにより二層化が可能になる。
なお、上部記録層用塗布液を塗布する際に、最下部記録層に含まれるアルカリ可溶性樹脂や特定ポリマーを溶解しない溶剤を用いる方法をとるとき、上部記録層用塗布溶剤として、最下部記録層に含まれるアルカリ可溶性樹脂や特定ポリマーを溶解する溶剤と溶解しない溶剤とを混合して用いてもよい。両者の溶剤の混合比率を変えることにより、上部記録層と最下部記録層との層間混合を任意に制御することができる。最下部記録層のアルカリ可溶性樹脂や特定ポリマーを溶解する溶剤の比率が多くなると、上部記録層を塗布する際に最下部記録層の一部が溶け出し、乾燥後、上部記録層中に粒子状成分として含有され、この粒子状成分により上部記録層表面に突起ができて耐キズ性が良化する。一方、最下部記録層成分が上部記録層に溶け出すことで最下部記録層の膜質が低下し、耐薬品性は低下する傾向にある。このように、それぞれの物性を考慮して、混合比率の制御を行なうことで、種々の特性を発現させることができ、更に、後述する層間の部分相溶なども生起させることができる。
本発明の効果の観点からは、上部記録層の塗布溶剤として上記のような混合溶剤を用いる場合、最下部記録層のアルカリ可溶性樹脂や特定ポリマーを溶解する溶剤は上部記録層塗布溶剤の80質量%以下であることが耐薬品性の観点から好ましく、耐キズ性の観点を加味すれば、10〜60質量%の範囲であることが好ましい。
次に、最下部記録層と接する上部記録層を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつけることや、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与えること、或いはそれらを組み合わせることにより達成できる。
本発明において両記録層を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、上部記録層塗布時に最下部記録層へのダメージを防ぐため、上部記録層塗布方法は非接触式であることが望ましい。また接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いることも可能であるが、最下部記録層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布することが望ましい。
本発明の平版印刷版原版における最下部記録層の乾燥後の塗布量は、耐刷性確保と現像時における残膜発生抑制の観点から、0.5〜1.5g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜1.0g/m2の範囲である。
また、上部記録層の乾燥後の塗布量(2層以上の場合にはその合計量)は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.07〜0.7g/m2の範囲である。
これら各記録層においては、一般的に、塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、現像ラチチュード、皮膜特性は低下する傾向にある。特に記録層の膜厚が厚過ぎる場合、深部において熱拡散の影響を受けやすく、支持体近傍での画像形成性が低下する懸念がある。
〔支持体〕
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明に用いる支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部にキズが付き易くなって、印刷時にキズの部分にインキが付着するいわゆる「キズ汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
〔下塗層〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に最下部記録層及び上部記録層の少なくとも2層を積層して設けたものであるが、必要に応じて支持体と最下部記録層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を、支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後、水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、平版印刷版原版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
〔製版〕
上記のようなポジ型記録層や他の層を有する本発明の平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
[(像)露光]
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマレーザー等が挙げられる。
本発明においては、特に近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源により露光されることが好ましく、具体的には、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
[現像]
本発明の平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。
本発明の平版印刷版原版の現像処理に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、非還元糖と塩基からなるアルカリ水溶液を使用することもできる。非還元糖とは遊離性のアルデヒド基やケトン基を持たないために還元性を有しない糖類を意味し、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類される。本発明ではこれらのいずれも好適に用いられる。
トレハロース型少糖類としては、トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖体としては、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット及びアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られるマルチトール及びオリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)が好適に用いられる。これらの中で特に好ましい非還元糖は糖アルコールとサッカロースであり、特にD−ソルビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用があることと、低価格であることで好ましい。
これらの非還元糖は、単独若しくは二種以上を組み合わせて使用でき、それらの現像液中に占める割合は0.1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜20質量%である。
非還元糖に組み合わせる塩基としては従来公知のアルカリ剤が使用できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独若しくは二種以上を組み合わせて用いられる。これらの中で好ましいものとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。その理由は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広いpH領域においてpH調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
また、現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加することができる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
更に、現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、平版印刷版原版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
なお、この自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
また、上述のように、本発明の平版印刷版原版に対し、像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版において、不必要な画像部(例えば、原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば、特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平5−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、より一層の高耐刷力を付与した場合には、バーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
以上のようにして得られた平版印刷版は、オフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
[合成例]
<合成例1:特定ポリマー(1)の合成>
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール13.7gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、n−メタクリル酸ステアリル(長鎖アルキル基を有するモノマー)8.5g、下記組成のラクトンA(酸プレカーサーを有するモノマー)5.0g、V−601(和光純薬製)0.115gの1−メトキシ−2−プロパノール13.7g溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温にて冷却し、1000mlの水に反応液を注ぎ込んだ。デカンテーション後、メタノールで洗浄し、得られた液状生成物を減圧乾燥することで、下記組成の特定ポリマー(1)20.1gを得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、40,000であった。
Figure 2005258090
<合成例2:特定ポリマー(2)の合成>
下記組成のポリマーB(Aldrich社製)10.0gと、n−ドデシルアルコール4.3g、トリエチルアミン4.3gを、THF50ml(テトラヒドロフラン)に溶解し、6時間還流を行った。
上記反応液を減圧蒸留した後、メタノールで洗浄し、得られた液状生成物を減圧乾燥することで、下記組成の特定ポリマー(2)12.2gを得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、80,000であった。
Figure 2005258090
<合成例3〜7:特定ポリマー(3)〜(7)の合成>
上記合成例1で用いた、長鎖アルキル基を有するモノマーと酸プレカーサーを有するモノマーとを下記表1のものに変えた以外は、合成例1と同様にして特定ポリマー(3)〜(7)を得た。なお、得られた特定ポリマーの構造及び重量平均分子量を表1に併記する。
Figure 2005258090
<合成例8、9:特定ポリマー(8)、(9)の合成>
上記合成例2で用いた、n−ドデシルアルコールを下記表2の化合物Cに変えた以外は、合成例2と同様にして特定ポリマー(8)、(9)を得た。なお、得られた特定ポリマーの構造及び重量平均分子量を表2に併記する。
Figure 2005258090
(実施例1及び2)
[支持体の作製]
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmのアルミニウム板に仕上げた。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリ剤によるエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温80℃であった。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(g)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度43℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(h)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
[下塗層の形成]
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
<下塗液組成>
・下記高分子化合物1 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2005258090
得られた支持体に以下の最下部記録層用塗布液を塗布量が0.85g/m2になるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して140度で50秒間乾燥し、その後、上部画像記録層用塗布液を塗布量が0.15g/m2になるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、平版印刷版原版1及び2を得た。
〔最下部記録層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル
/メタクリル酸メチル (表3に記載の添加量 A g)
(36/34/30:重量平均分子量100000、酸価2.65)
・特定ポリマー(1) (表3に記載の添加量 B g)
・シアニン染料A(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.125g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.100g
・フッ素系界面活性剤(面状改良界面活性剤) 0.035g
(メガファックF781F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 24.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 14.2g
Figure 2005258090
Figure 2005258090
〔上部記録層用塗布液〕
・m,p−クレゾールノボラック 0.2846g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、未反応クレゾール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(上記構造) 0.075g
・ベヘン酸アミド 0.060g
・フッ素系界面活性剤(面状改良界面活性剤) 0.022g
(メガファックF781F、大日本インキ化学工業(株)製)
・画像形成改良フッ素系界面活性剤 0.120g
(メガファックF780(30%)、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 15.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7g
(実施例3及び4)
実施例1において用いた最下部記録層用塗布液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして平版印刷版原版3及び4を得た。
〔最下部記録層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル (表4に記載の添加量 C g)
(36/34/30:重量平均分子量100000、酸価2.65)
・特定ポリマー(2) (表4に記載の添加量 D g)
・シアニン染料C(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.100g
・メチルエチルケトン 25.36g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
Figure 2005258090
Figure 2005258090
(実施例5〜11)
実施例2の上部記録層塗布量における特定ポリマー(2)を、特定ポリマー(3)〜(9)にそれぞれ代えた他は、実施例2と同様にして、平版印刷版原版5〜11を得た。
(実施例12)
実施例1の支持体作製において、(h)アルカリ金属ケイ酸塩処理を行わず、(i)下塗層の形成において、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で30秒間乾燥し、乾燥後の被覆量を10mg/m2とした以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版12を得た。
<下塗液組成>
・下記高分子化合物2 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2005258090
(実施例13)
実施例2において、下記に示すようにして作製された支持体を用いた以外は、実施例2と同様にして、平版印刷版原版13を得た。
[支持体の作製]
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.30mmのアルミニウム板に仕上げた。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理を連続的に行った。
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
研磨剤(パミス)の水懸濁液(比重1.1g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤のメジアン径は33μmであった。ローラ状ブラシは、ナイロンブラシをφ400mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ250mm)の表面間の距離は300mmであった。ローラ状ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ローラ状ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。
(b)アルカリ剤によるエッチング処理
上記で得られた機械的粗面化処理後のアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度5質量%のカセイソーダ水溶液を用いスプレーにより、アルミニウム溶解量10g/m2でエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。なお、アルカリエッチング処理の温度は、70℃であった。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、液温35℃であった。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で197C/dm2とした。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッイング処理を70℃で行い、アルミニウム板を3.8g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。液温40℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2であった。
塩酸電解に用いた電解液は塩酸濃度5.0質量%水溶液(アルミニウムイオン5.0質量%を含む。)であり、塩酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で60C/dm2とした。電解層は図2に示すものを用いた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
カセイソーダ濃度4.5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を用いスプレーにより、アルミニウム溶解量0.16g/m2でエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。なお、アルカリエッチング処理の温度は、70℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。
第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度15質量%(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.5g/m2であった。
(k)下塗層の形成
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、実施例1で用いたのと同じ下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
(比較例1)
実施例1の最下部記録層用塗布液を下記の組成に代えた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版14を得た。
〔最下部記録層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル 2.133g
(36/34/30:重量平均分子量100000、酸価2.65)
・シアニン染料A(前記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾフジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.100g
・フッ素系界面活性剤(塗布面状改良界面活性剤) 0.035g
(メガファックF176(20%)大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
(比較例2)
実施例1の最下部記録層用塗布液を下記の組成に代えた以外は実施例1と同様にして、平版印刷版原版15を得た。
〔最下部記録層用塗布液〕
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリルニトリル/メタクリル酸メチル 2.133g
(36/34/30:重量平均分子量100000、酸価2.65)
・シアニン染料A(前記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.100g
・フッ素系界面活性剤(塗布面状改良界面活性剤) 0.035g
(メガファックF176(20%)、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
[平版印刷版原版の評価]
〔現像ラチチュードの評価〕
得られた実施例の平版印刷版原版1〜13及び比較例の平版印刷版原版14、15をCreo社製Trendsetterにてビーム強度9w、ドラム回転速度150rpmでテストパターンの描き込みを行った。
まず、上記の条件で露光した平版印刷版原版1〜15を、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2の希釈率を変えたものを仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。この時、現像不良の記録層残膜に起因する汚れや着色がないかを確認し、良好に現像が行えた現像液の電導度を測定した。
結果を下記表5に示す。上限値と下限値との差が大きいものを現像ラチチュードに優れると評価する。
〔耐傷性の評価〕
得られた実施例の平版印刷版原版1〜13及び比較例の平版印刷版原版14、15をロータリー・アブレーション・テスター(TOYOSEIKI社製)を用い、250gの荷重下、アブレーザーフェルトCS5で15回摩擦した。
その後、富士写真フィルム(株)DT−2(DT−2:水=1:8で希釈したもの)を仕込
んだ富士写真フイルム(株)製現像液DT−2の希釈率を変えたものを仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。このときの現像時電動度は45mS/cmであった。耐傷性の評価は下記基準で行った。〇及び△が実用上問題のないレベルである。結果を下記表5に示す。
<耐傷性の評価基準>
○:摩擦した部分の感光膜の光学濃度がまったく変化しなかったもの
△:摩擦した部分の感光膜の光学濃度が目視でわずかに観察されたもの
×:摩擦した部分の感光膜の光学濃度が非摩擦部の2/3以下になったもの
〔画像のシャープ性〕
得られた実施例の平版印刷版原版1〜13及び比較例の平版印刷版原版14、15をCreo社製Trendsetterにてビーム強度9w、ドラム回転速度150rpmでテストパターン(Staccato10)の描き込みを行った。
上記の条件で露光した平版印刷版原版1〜15を、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(DT−2:水=1:8で希釈したもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。得られた画像のエッジ部を電子顕微鏡(日立S−800 日立製作所(株)製)にて観察した
。画像シャープ性評価は下記基準で行った。〇が実用上問題のないレベルである。結果を下記表3に示す。
<画像シャープ性評価の評価基準>
○:画像の辺がまっすぐになっているもの
△:画像の辺の一部が少し欠けているもの
×:画像の辺の1/2が欠けているもの
〔高湿下での画像形成性〕
得られた実施例の平版印刷版原版1〜13及び比較例の平版印刷版原版14、15を、45℃、絶対湿度85%の環境下に3日放置したものと、室温、絶対湿度50%の環境下に放置したものを、それぞれ、Creo社製Trendsetterにてビーム強度9w、ドラム回転速度150rpmでテストパターン(2pix.line)の描き込みを行った。
上記の条件で露光した平版印刷版原版1〜15を、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(DT−2:水=1:8で希釈したもの)を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940HIIを用い、液温を30度に保ち、現像時間12sで現像した。
得られた画像のエッジ部を電子顕微鏡(日立S−800 日立製作所(株)製)にて観察し
た。高湿下の画像形成性は、下記基準で行った。
<高湿下の画像形成性の評価基準>
○:室温で放置したものと同等なエッジ、ライン巾である
△:室温で放置したものと同等なエッジであるが、ライン巾が2/3以下である
×:画像の辺の1/2が欠けているもの
Figure 2005258090
表5に明らかなように、最下部記録層に特定ポリマーを含有する実施例1〜13はいずれも、比較例1、2に対して、実用上問題のない良好な耐傷性を維持しながら現像ラチチュードに優れ、シャープな画像が得られた。更に、経時安定性にも優れていることが判明した。
本発明の平版印刷版原版に用いる支持体の作製における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版原版に用いる支持体の作製における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セル(電解槽)の一例を示す側面図である。
符号の説明
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
21 主電解槽
22 補助陽極槽

Claims (1)

  1. 支持体上に、樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線レーザー露光によりアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するポジ型記録層を2層以上設けてなり、該2層以上のポジ型記録層のうち支持体に最も近接するポジ型記録層が、下記一般式(1)で表される構造単位と下記一般式(2)で表される構造単位とを有するポリマーを含有することを特徴とする平版印刷版原版。
    Figure 2005258090
    (式中、nは6〜40の整数を表し、Xは酸プレカーサー骨格を含む2価の有機基を表し、Yは3価の有機基を表す。)
JP2004069682A 2004-03-11 2004-03-11 平版印刷版原版 Pending JP2005258090A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004069682A JP2005258090A (ja) 2004-03-11 2004-03-11 平版印刷版原版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004069682A JP2005258090A (ja) 2004-03-11 2004-03-11 平版印刷版原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005258090A true JP2005258090A (ja) 2005-09-22

Family

ID=35083849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004069682A Pending JP2005258090A (ja) 2004-03-11 2004-03-11 平版印刷版原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005258090A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013047782A (ja) * 2011-07-25 2013-03-07 Fujifilm Corp 感光性平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法
US11261369B2 (en) * 2017-04-13 2022-03-01 Bl Technologies, Inc. Maleic anhydride copolymer with broadly dispersed ester side chain as wax inhibitor and wax crystallization enhancer

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013047782A (ja) * 2011-07-25 2013-03-07 Fujifilm Corp 感光性平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法
US11261369B2 (en) * 2017-04-13 2022-03-01 Bl Technologies, Inc. Maleic anhydride copolymer with broadly dispersed ester side chain as wax inhibitor and wax crystallization enhancer

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4474309B2 (ja) 平版印刷版原版及びその作製方法
JP2009175195A (ja) 平版印刷版原版
JP4393258B2 (ja) 画像記録材料及び平版印刷版
JP4137345B2 (ja) 平版印刷版原版
JP5164640B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2005242241A (ja) 平版印刷版原版
JP4202612B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4308687B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4234899B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP4890403B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4359446B2 (ja) 平版印刷版原版
JP3908521B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2005258090A (ja) 平版印刷版原版
JP4262906B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4167148B2 (ja) 画像記録材料
JP2004061947A (ja) 平版印刷版原版
JP2006003658A (ja) 平版印刷版原版
JP4340572B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2005049756A (ja) 画像記録材料
JP2006106059A (ja) 平版印刷版原版
JP2005352270A (ja) 平版印刷版原版
JP2005266133A (ja) 平版印刷版原版
JP4221218B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2007057977A (ja) 平版印刷版原版
JP2009085984A (ja) 平版印刷版原版