JP2005257271A - ビタミンd3誘導体とビタミンd3受容体の結合の検出方法 - Google Patents
ビタミンd3誘導体とビタミンd3受容体の結合の検出方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を簡便かつ高感度に検出可能な新規な方法、および該方法を利用した、ビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法の提供を課題とする。
【解決手段】表面プラズモン共鳴によって結合活性を測定する方法において、ビタミンD3誘導体を、リンカーを介してセンサーチップ上に固定化することにより、ビタミンD3誘導体のビタミンD3受容体に対する結合性を適切に保持できることを見出した。ビタミンD3誘導体をリンカーを介して担体に固定化し、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体形成によって生じた体積変化を測定することによって、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出することが可能である。
【選択図】 なし
【解決手段】表面プラズモン共鳴によって結合活性を測定する方法において、ビタミンD3誘導体を、リンカーを介してセンサーチップ上に固定化することにより、ビタミンD3誘導体のビタミンD3受容体に対する結合性を適切に保持できることを見出した。ビタミンD3誘導体をリンカーを介して担体に固定化し、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体形成によって生じた体積変化を測定することによって、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出することが可能である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を測定する方法、および該方法を用いたビタミンD3誘導体またはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビタミンD誘導体は骨形成作用等、種々の生理活性を有しており、医薬品として開発されている。ビタミンD誘導体は核内に存在するビタミンD受容体(Vitamin D receptor: VDR)と結合して種々の生理活性を示すことが知られている。従って、新規ビタミンD3誘導体の開発には、ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を測定することが重要である。ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を測定する方法には、放射性同位体を使用する方法等、いくつか知られているが、大量の被験化合物を簡便かつ高感度で検出できる測定方法は存在しなかった。例えば、3Hラベルされたビタミン Dを用いたVDRとのBinding Assayが広く用いられているが、この測定系では、放射性同位体を用いること、作業が繁雑であること、調製された蛋白質のロット間の微妙に異なる活性を差別化することが困難であること等、いくつかの改善されるべき点を有していた。
【0003】
また、これまでにタンパク質相互作用を解析する様々な方法や機器が開発されている。例えば、抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィーや免疫沈降がある。さらに、表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)を用いてタンパク質同士の相互作用を測定する方法が近年注目を集めている(ワード, L, D.ら、Journal of Biological Chemistry, 第269巻、第23286〜23289頁、1994年)。表面プラズモン共鳴を測定する装置は、既に開発、市販されている。
【0004】
表面プラズモン共鳴によりタンパク質分子間の相互作用を測定するには、対象となる一方のタンパク質をセンサーチップの表面に固定化し、これに作用する分子を含む被験試料をマイクロ流路系を介して一定の速度で送液する。固定化された分子と被験試料に含まれた被験化合物が結合して複合体を形成すると、センサーチップ上の体積が増加する。センサーチップ上における体積増加を、光学的に表面プラズモン共鳴として検出し、センサーグラムと呼ばれるグラフとして表示する。また、タンパク質同士の複合体形成によって増加する体積増加は、センサーチップ上の重量増加あるいは質量増加として換算が可能であり、表面プラズモン共鳴の強度と重量変化の相関も明らかにされている。表面プラズモン共鳴測定による分子間相互作用のreal-timeでの検出は、従来法とは異なり、分子を標識することなく、少量の試料を用いて短時間で測定ができるという特徴を有している。
【0005】
しかしながら、これまでのところビタミンD3誘導体をチップ上へ固定化することが困難であったために、上記の技術を用いてビタミンD3誘導体とビタミンD3と結合する化合物との相互作用を測定することは、極めて難しかった。ビタミンD3誘導体とビタミンD3と結合する化合物との相互作用を測定できる、簡便かつ高感度で、さらに大量の被験化合物を処理できる方法の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を簡便かつ高感度に検出可能な新規な方法、および該方法を利用した、ビタミンD3誘導体もしくはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体(VDR)との結合活性を簡便かつ高感度に評価できる系の構築を目的として鋭意研究を行った。そして本発明者らは上記の表面プラズモン共鳴によって結合活性を測定する方法において、ビタミンD3誘導体を、リンカーを介してセンサーチップ上に固定化することにより、ビタミンD3誘導体のVDRに対する結合性を適切に保持できることを見出した。すなわち、ビタミンD3骨格の25位にC10のアルキル基を介して固定化したビタミンD3誘導体は、VDRと十分な結合活性を有していることから、被験化合物のVDRに対する結合活性を測定することが可能となった。リンカーを介する本方法は、ビタミンD3誘導体に限らず、あらゆるリガンドに応用することも可能であり、さらに、リンカーの長さを適度に調節すれば、リガンドの種類にかかわらず受容体との結合活性を測定することが可能である。この測定方法を利用することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニングが可能となった。
【0008】
上記の如く本発明者らは、ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を簡便かつ高感度に評価できる系を構築し、本発明を完成させた。本方法は短時間で測定を終了することが可能であり、放射性同位体元素を用いた結合活性測定試験に比べ被験化合物に用いるタンパク質の結合活性の失活が少なく、信頼性のある実験データを取得することが期待される。即ち本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出可能な新規な方法、および該検出方法を利用した、ビタミンD3誘導体もしくはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法に関し、より具体的には、
〔1〕 ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合の検出方法であって、
(a)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体とを接触させる工程、および
(b)該固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔2〕 複数のビタミンD3誘導体を同一の担体に固定化することを特徴とする、〔1〕に記載の方法、
〔3〕 試料中に含まれる、ビタミンD3受容体の検出方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に試料を接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔4〕 試料中に含まれる、ビタミンD3誘導体の検出方法であって、
(1)一定量のビタミンD3受容体を、試料と同時または試料との接触の後に、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔5〕 被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の測定方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させる工程
(2)該固定化されたビタミンD3誘導体と該ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔6〕 体積変化を表面プラズモン共鳴によって測定する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法、
〔7〕 〔5〕に記載の方法によって、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性を測定し、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物を選択する工程を含む、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法に使用するための、1種または複数種のビタミンD3誘導体が固定化された担体、
〔9〕 担体が表面プラズモン共鳴センサーチップである〔8〕に記載の担体、
〔10〕 〔7〕に記載のスクリーニング方法によって選択された、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、
〔11〕 〔10〕に記載のビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストを有効成分として含有する骨関連疾患治療薬、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出できる新規な方法を提供する。本発明の好ましい態様としては、ビタミンD3誘導体をリンカーを介して担体に固定化し、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体形成によって生じた体積変化を測定することによって、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合の検出を行う。
【0010】
本発明の上記方法においては、まず、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体とを接触させる(工程(a))。本工程によりビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体とが結合し複合体が形成されると、担体表面において体積変化が起こる。
【0011】
本発明において体積変化とは、プラズモン共鳴測定用の担体表面に固定化されたビタミンD3誘導体にビタミンD3受容体が結合することによって生じる担体表面での変化を指し、体積変化は、重量変化、密度変化、濃度変化でもある。従って、体積変化は、重量変化、密度変化、濃度変化と同義である。
【0012】
本発明の方法においては、次いで、上記のように固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する(工程(b))。
【0013】
ビタミンD3誘導体とは、9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン構造を有する化合物を指す。好ましくは、(5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン構造を有する化合物である。さらに好ましくは(1a,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1-オール構造を有する化合物、より好ましくは(1a,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,25-ジオール構造を有する化合物、さらに好ましくは(1a,3b,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3-ジオール構造を有する化合物、最も好ましくは(1a,3b,5Z,7E)-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール構造を有する化合物である。本発明のビタミンD3誘導体は、上記の構造を有するものであれば特に限定されず、従って、上記の化合物に対して種々の置換基を有する化合物も本発明のビタミンD3誘導体に含まれる。また、本発明のビタミンD3誘導体には、上記の化合物に対する活性類似体、および構造類似体も含まれる。活性類似体とは、上記生理活性を有する化合物と同様の生物学的活性を有する化合物を指す。活性類似体の当該活性の強弱に関わらず、同様の生物学的活性を有する化合物は、活性類似体に含まれる。また本発明における構造類似体とは、化合物の固有の構造に様々な修飾を施した化合物を言う。構造類似体は人為的に合成することもできるし、天然に存在する化合物であることもできる。
【0014】
本発明においてリンカーとは、ビタミンD3誘導体および/または担体と共有結合を形成している構造部、または当該構造部を形成させるために必要な化合物を指す。リンカーはどのような化学構造を有していても良い。たとえば、炭素鎖であってもよいし、ペプチド鎖、糖鎖であってもよい。炭素鎖の場合には、置換されていてもよいアルキル基や無置換のアルキル基であってもよい。また、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を炭素鎖中に有していてもよい。例えば、エチル基やプロピル基が酸素原子を介して複数回の繰り返し構造を有していてもよい。置換基としては特に制限はなく、例えば、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。リンカーの末端は、ビタミンD3誘導体および/または担体と共有結合を形成できるように、適当な置換基を有することが好ましい。例えば、アミノ基、水酸基、チオール基等が挙げられる。どのような置換基を使用するかは、結合されるビタミンD3誘導体および/または担体の官能基との組み合わせて決定すればよいが、好ましくはアミノ基、チオール基である。
【0015】
本発明において「固定化された」とは、ビタミンD3誘導体がリンカーを介して担体へ結合した状態を言う。「リンカーを介して」とは、通常、リンカーの一方の端がビタミンD3誘導体と共有結合し、他方の端が担体と共有結合した状態を例示することができるが、この状態に特に限定されない。
【0016】
上記工程(b)において体積変化を測定する方法として、好ましくは表面プラズモン共鳴によって測定する方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)を用いてタンパク質等の分子同士の相互作用を測定する方法は、近年注目を集めている(ワード,L, D.ら、Journal of Biological Chemistry、第269巻、第23286〜23289頁、1994年)。また、表面プラズモン共鳴を測定する装置は既に開発され、市販されている。例えば、BIACORE(ビアコア社)やIBIS(Intersens社)を例示することができる。表面プラズモン共鳴やBIACOREに関する一般的な実験方法については、成書”Real-Time Analysis of Biomolecular Interaction: Application of BIACORE” Springer, Nagata K., and Handa H. eds. (2000)を参照することができる。
【0017】
表面プラズモン共鳴によりタンパク質等の分子間の相互作用を測定するには、通常、対象となる一方のタンパク質等の分子をセンサーチップの表面に固定化し、これに作用する分子を含む被験試料をマイクロ流路系を介して一定の速度で送液する。固定化された分子と被験試料に含まれた被験化合物が結合して複合体を形成すると、センサーチップ上の体積が増加する。センサーチップ上における体積増加を、光学的に表面プラズモン共鳴として検出し、センサーグラムと呼ばれるグラフとして表示する。表面プラズモン共鳴のシグナルに変化が生じれば、検出を行ったそれぞれの分子の間に相互作用が有るものと判定される。また、タンパク質同士等の複合体形成によって増加する体積増加は、センサーチップ上の重量増加、濃度増加あるいは密度増加として換算が可能であり、表面プラズモン共鳴の強度と重量変化の相関も明らかにされている。表面プラズモン共鳴測定による分子間相互作用のreal-timeでの検出は、従来法とは異なり、分子を標識することなく、少量の試料を用いて短時間で測定ができるという特徴を有している。
【0018】
本発明の担体としては、例えば、表面プラズモン共鳴センサーチップ、表面プラズモン共鳴キュベット等を挙げることができる。
【0019】
本発明において上記工程(b)の体積変化を、表面プラズモン共鳴によって測定を行う場合は、ビタミンD3誘導体を担体である表面プラズモン共鳴センサーチップ上に固定化する方法として、例えば、リンカーとして2種の分子を用いて間接的に固定化する方法が挙げられる。このように間接的に固定するには、分子同士の結合が明らかになっている2種の分子を使用すればよい。すなわち、2種の分子の一方を担体上に固定化し、もう一方の分子を固定化したいビタミンD3誘導体に結合すればよい。例えば、ビオチン−アビジンや適当な抗原とその抗体を用いることができる。
【0020】
ビタミンD3誘導体を共有結合で表面プラズモン共鳴センサーチップの表面に固定化する場合には、センサーチップ上にコートされたデキストラン層に導入されているカルボキシメチル基に直接固定化することができる。たとえば、カルボキシメチル基をN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)の混合液によりカルボキシル基を活性化し、ビタミンD3誘導体が有するアミノ基、チオール基、または水酸基等の官能基と共有結合させることができる。またヒドラジンを介してアルデヒド基と共有結合させることもできる。また、ビタミンD3誘導体が適当な官能基を有していない場合には、適当な部位に官能基を有する目的のビタミンD3誘導体を適宜合成してもよい。これらの共有結合の形成に必要な反応条件や溶媒等は必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
カルボキシルメチル基とビタミンD3誘導体は適当な長さのリンカーを介して共有結合で固定化されていてもよい。リンカー分子は両端に適当な官能基を有している限りどのようなリンカー分子も使用することができるが、両端の官能基の間の長さは、好ましくは炭素鎖にして50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下、もっとも好ましくは10以下である。リンカー分子は、ビタミンD3誘導体の固定化や、固定化されたビタミンD3誘導体と被験化合物との結合に実質的に関与しないものが好ましく、種々の溶媒に対して化学的に安定であることが望ましい。例えば、共有結合の形成に必要な官能基を両端に有し、置換されていてもよいアルキル鎖やアルケニル鎖を使用することができる。これらの適切なリンカーの選択や製造は当業者には公知の技術である。
【0022】
固定化のために使用するリンカーと共有結合を形成するビタミンD3誘導体の部位は、リンカーと結合したビタミンD3誘導体がビタミンD3受容体と結合することができる部位であれば、特に制限はないが、好ましくは、1位および/または3位以外の位置である。好ましくはビタミンD3骨格の2位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位の炭素原子であり、より好ましくは2位、25位または26位の炭素原子である。
【0023】
本発明においては、ビタミンD3誘導体に対して結合活性を有する分子をビタミンD3受容体と定義する。本発明のビタミンD3受容体には、既にビタミンD3誘導体と結合することが知られているビタミンD3受容体と、類似した構造または活性を有する、所謂ビタミンD3受容体様化合物も含まれる。通常、ビタミンD3受容体は生体内に天然に存在するタンパク質であって、天然に存在するリガンドと結合する活性を有するタンパク質であるが、特にこれに限定されない。また、天然に存在するリガンドと結合する限り、当該タンパク質の一部が人為的あるいは自然に改変されたタンパク質も該受容体に含まれる。受容体は血液中に存在している受容体であってもよいし、細胞内に存在する受容体であってもよい。細胞内に存在する場合としては、膜受容体、核内受容体、細胞質内受容体が含まれる。本発明の方法によって、固定化されたビタミンD3誘導体との結合活性を測定するビタミンD3受容体は、具体的には、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、有機化合物等を挙げることができ、通常、表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な分子量を有することが好ましい。表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な分子量とは、被験化合物または固定化されたビタミンD3受容体との結合によって生じた複合体によって表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な程度に生じる分子量であり、好ましくは分子量2kD以上、さらに好ましくは5kD以上、さらに好ましくは10kD以上、最も好ましくは30kD以上である。表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な程度とは、10レゾナンスユニット(10pg/mm2)であり、信頼性のあるシグナルとしては、好ましくは50レゾナンスユニット(50pg/mm2)である。
【0024】
固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合活性を測定するためには、ビタミンD3受容体は精製されていることが好ましい。従って、精製が容易な点で遺伝子組換えタンパク質は、本発明において好適に用いられる。遺伝子組換えタンパク質を作成する方法は既に公知であり、適当なベクターと宿主を組み合わせて製造することができる(Molecular Cloning 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Basic Methods in Molecular Biology, Appleton & Lange, 1986)。また、遺伝子組換えタンパク質や天然に存在するタンパク質の分離、精製は、通常のタンパク質の精製で使用されている分離方法、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、フィルター、塩析、免疫沈降、電気泳動法、等を組み合わせて使用することができる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual, Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。
【0025】
非特異的な結合を排除することを目的として、あるビタミンD3受容体の特定の部分アミノ酸配列のみを本発明の検出方法に用いる場合には、マーカー分子を結合させることができる。マーカー分子との結合により、これらの化合物を表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な適度な分子量を有するビタミンD3受容体とすることができる。マーカー分子としては、適度な分子量を有する限り制限はなく、タンパク質でもよいし、DNAでもよく、また、高分子有機化合物やビーズでもよい。マーカー分子は親水性であることが好ましい。
【0026】
マーカー分子としてタンパク質を用いる場合には、ビタミンD3受容体との融合タンパク質として遺伝子組み換え的に製造することができる。遺伝子組換え的に融合タンパク質を作成する方法は、被験化合物をコードするDNAとマーカー分子をコードするDNAをフレームが一致するように連結してこれを発現ベクターに導入し、適当な宿主を用いて発現させればよく、公知の方法を用いることができる。また、マーカー分子と被験化合物の間に適当な酵素の切断部位を予め挿入しておき、必要に応じてマーカー分子と標的分子を切断できるようにすることも可能である。酵素の切断部位としては、例えば、Factor Xa、Enterokinase、Genenase Iの切断部位を使用することができる。これらの切断部位はマーカー分子を含む発現ベクターとして入手することも可能である(New England BioLabs)。
【0027】
マーカー分子としては、例えばマルトーズ結合タンパク(MBP)を用いることができる。高分子有機化合物としては、例えばPEGやポリ乳酸等を用いることができる。マーカー分子と当該化合物とはリンカーを用いて結合させることができる。ビーズをマーカー分子として用いる場合には、当該化合物とマーカー分子を結合させてもよいし、コンビナトリアルケミストリーの手法を用いてビーズ上に固定化して合成した化合物を本発明のビタミンD3受容体としてそのまま用いることもできる。
【0028】
本発明の別の態様としては、予めビタミンD3受容体と結合することが判明しているビタミンD3誘導体を固定化し、被験試料中に存在するビタミンD3受容体の含有量を測定する方法に関する。本発明の上記方法においては、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に試料を接触させ、次いで、該ビタミンと試料中に含まれるビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。
【0029】
被験試料は、特に制限はなく、組織あるいは細胞培養上清や可溶化画分、クロマトグラフィー等の各種精製時に分取された画分をそのまま用いることができるし、必要に応じて適宜、濃縮、希釈して用いることができる。希釈する場合には、ランニングバッファーを用いて希釈することが好ましい。また、被験試料は精製された1種類の被験化合物を含んでいてもよいし、2種以上の被験化合物を含む混合物を被験試料として用いてもよい。さらに、精製されていない混合物を被験試料として用いることも可能である。精製されていない混合物としては、例えば、細胞の培養上清、細胞抽出物、核抽出物を用いることができる。また、動物細胞、大腸菌、昆虫細胞、枯草菌等を用いて製造された遺伝子組み換えタンパク質を含む培養上清であってもよいし、培養上清から精製されたタンパク質であってもよい。ファージライブラリーを被験試料として用いることも可能である。また、大腸菌、非接着性の細胞をそのまま被験試料として用いることができる。細胞抽出物としては、細胞膜画分、細胞内画分を作製することが可能である。細胞内画分としては、可溶性画分として作製することができる。細胞膜画分は、ノニデットP-40、デオキシコール酸ナトリウム等の界面活性剤により可溶化することができる。
【0030】
被験試料中のビタミンD3受容体の存在量は、表面プラズモン共鳴のシグナルの強度として算出することができる。被験試料中の存在量を比較しやすくするために、予め精製されたビタミンD3受容体を用いて検量線を求めておくことが好ましいが必須ではない。また、被験試料の希釈倍率の異なるサンプルを用意し、異なる希釈率でのシグナル強度を比較することも可能である。本方法により、各組織でのビタミンD3受容体の発現量の比較、遺伝子組換え技術を用いて生産されたビタミンD3受容体や天然から精製されたビタミンD3受容体の精製度の確認や活性画分の同定をすることができる。
【0031】
ビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体との結合速度や解離速度、結合定数を求めることも可能である。ビタミンD3受容体を段階的に希釈し、各濃度におけるセンサーグラムを得る。得られたセンサーグラムから、非線形最小二乗法を用いて反応速度定数を算出する。BIACORE付属の解析ソフト(BIAevaluation version 2.1, or 3.0)を使用すれば、簡単に算出することができる。
【0032】
本発明によれば、ビタミンD3受容体のみならず、試料中に含まれるビタミンD3誘導体を測定することもできる。本発明の上記方法においては、一定量のビタミンD3受容体を、試料と同時に、または試料との接触の後に、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に接触させ、該ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。上記の「一定量」は、その上限または下限を特に制限されるものではないが、通常、20 ng〜3000 ngである。
【0033】
上記方法では、一定量のビタミンD3受容体に対して、固定化されたビタミンD3誘導体と、試料中に存在するビタミンD3誘導体とを競合させることにより、試料中に含まれるビタミンD3誘導体を測定することができる。競合反応を行うためには、一定量のビタミンD3受容体を、試料の存在下でリンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に接触させるか、または試料との接触の後に、固定化されたビタミンD3誘導体と接触させる。その結果、固定化されたビタミンD3誘導体と結合するビタミンD3受容体は、試料中に含まれるビタミンD3誘導体の濃度と逆比例する。
【0034】
本発明の別の態様においては、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の測定方法を提供する。本発明の方法においては、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させ、次いで、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。
【0035】
また本発明は、上記の被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の検出方法を利用した、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。該方法においては、上記の被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性を測定し、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物を選択する。
【0036】
本発明のスクリーニング方法に供される被験化合物は、通常ビタミンD3誘導体であるが、これに特に限定されない。本発明の上記方法により選択されるビタミンD3受容体と結合する化合物は、該ビタミンD3受容体に対するアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤、促進剤として有用である。またビタミンD3受容体と結合する化合物は、ビタミンD3受容体の検出や精製を可能とするリガンドとして有用である。本発明においては、ビタミンD3受容体と結合する化合物の探索に用いられる該ビタミンD3受容体を特に標的分子と呼ぶ場合がある。すなわち、被験化合物を固定化し、標的分子を反応させた後、標的分子と固定化された被験化合物との反応によって生じる複合体の形成を体積変化に基づいて測定する。
【0037】
また、上記の標的分子はペプチド全長のタンパク質であってもよいし、特定の領域や、部分ペプチドであってもよい。例えば、天然から精製されうるタンパク質そのままであってもよいし、任意のタンパク分解酵素で処理した部分タンパク質であってもよい。遺伝子組換え技術により産生する場合には、タンパク質全長を発現してもよいし、特定の部分配列のみを発現されたものを用いてもよい。特定の領域としては、たとえば、受容体のリガンド結合領域や細胞外領域、抗体の可変領域やFabフラグメント、一本鎖抗体等を用いることができる。
【0038】
例えば、結合活性を測定したい任意のビタミンD3誘導体をセンサーチップ表面に固定化し、精製された標的分子を反応させ、表面プラズモン共鳴のシグナル変化を測定すればよい。また、2種類以上の標的分子を準備しておき、順次反応させ、そのシグナル変化を順次測定することで、複数の分子に対する反応を簡便に測定することができる。また、複数の標的分子を混合して反応させることも可能である。
【0039】
表面プラズモン共鳴のシグナルの変化により複合体の形成が観測された場合には、適当な条件で洗浄し、固定化されたビタミンD3誘導体に結合した標的分子を回収し、質量分析等により解析すればよい。この場合、固定化されたビタミンD3誘導体は、回収された標的分子に結合する活性を有しており、アゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤であることがわかる。
【0040】
さらに、本発明の好ましい態様においては、ビタミンD3受容体と、該ビタミンD3受容体と結合することが予め判明しているビタミンD3誘導体との結合に干渉する、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物の検出方法に関する。上記方法は、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の検出方法であって、以下の工程を含む。
(i)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させる工程
(ii)該固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程
【0041】
上記工程(i)の「接触」は、より具体的には、例えば下記のようにして行うことができる。
(A)被験化合物の存在下で、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体を接触させる。
(B)被験化合物とビタミンD3受容体を接触させた後に、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と接触させる。
(C)既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体を接触させた後に、候補化合物と接触させる。
【0042】
上記(A)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の競合活性(competition activity)を測定するための方法である。被験化合物存在下でビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体との結合が観測されない場合には、当該被験化合物はビタミンD3受容体に結合する活性を有しており、ビタミンD3受容体のアゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤であると同定することができる。
【0043】
また、上記(B)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の阻害活性(inhibition activity)を測定するための方法である。この方法においても、被験化合物がビタミンD3受容体に対する結合活性を有する場合には、ビタミンD3誘導体へのビタミンD3受容体の結合が阻害される。
【0044】
そして上記(C)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の置換活性(replacement activity)を測定するための方法である。この方法においては、被験化合物がビタミンD3受容体に対する結合活性を有する場合には、先にビタミンD3誘導体に結合しているビタミンD3受容体の一部が、該被験化合物によって置換され、複合体の形成量が低下する。
【0045】
本発明の上記方法によっても、ビタミンD3受容体に対する被験化合物の結合活性を検出することができる。またこの方法によって結合活性を見出された被験化合物を選択することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニングを行うことができる。この方法によって選択された化合物は、ビタミンD3受容体のアゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤として有用である。
【0046】
被験化合物とビタミンD3受容体はあらかじめ混合した後に、固定化されたビタミンD3誘導体との結合を測定してもよいし、一旦ビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体とを結合させた後、被験化合物を反応させ、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合が、被験化合物によって置き換わることによって生じるビタミンD3受容体の解離を表面プラズモン共鳴のシグナル変化として検出してもよい。
【0047】
ビタミンD3誘導体を固定化分子として用いる本発明の方法において、強い洗浄条件を選択することが可能である。本発明においては、適当な洗浄条件でセンサーチップを洗浄することにより、固定化分子の構造を変化させることなく、再生使用することが可能である。例えば、洗浄の条件としては、10〜50% DMSO、10〜70%のメタノール、エタノール、プロパノール、0.01〜0.1 M塩酸、0.01〜0.1M水酸化ナトリウム水溶液、8M尿素、0.5% SDS水溶液などの界面活性剤、およびこれらの混合溶液を適宜組み合わせて用いることができる。一般に、洗浄液の疎水性が高くなるほど、また、イオン強度や酸性度あるいは塩基性度が高いほど、強力な洗浄条件となる。従って、本発明の方法では、強い洗浄条件を選択することが可能であること、さらに、洗浄、反応を繰り返すことが可能であることから、多くの被験化合物に対する結合活性を簡便に測定することが可能であり、薬物のスクリーニングや生理活性の同定に極めて有効である。
【0048】
また、混合物を被験化合物として用いて固定化されたビタミンD3誘導体と反応させ、混合物中に当該ビタミンD3誘導体と結合するビタミンD3受容体が存在することが確認された場合には、センサーチップを弱い洗浄条件から強い条件で段階的に順次洗浄し、回収することができる。当該洗浄液中に含まれる分子は固定化されたビタミンD3誘導体に結合する分子である。また、ビタミンD3受容体の結合強度に応じて洗浄液中に回収することができるので、洗浄条件を変化させて回収する方法は有用である。このような洗浄の条件としては、上記した洗浄条件を用いることができる。
【0049】
本発明の方法では、固定化したビタミンD3誘導体に直接結合するビタミンD3受容体以外に、共結合分子(co-binding molecule)を単離、同定することができる。共結合分子とはコファクター(co-factor)とも呼ばれ、生理活性分子の活性を調節する活性を有する。例えば、共結合分子が、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体にさらに結合することで生理活性の増強がおこる。この場合当該共結合分子をコファクターと呼ぶ。逆に活性を低下される場合には、コリプレッサー(co-repressor)と呼ばれることもある。共結合分子はビタミンD3受容体とビタミンD3誘導体との複合体に結合する場合もあるし、ビタミンD3受容体のみに結合する、あるいはビタミンD3誘導体のみに結合する場合もある。
【0050】
本発明の方法によって回収(選択)されたビタミンD3受容体は、質量分析、アミノ酸分析等の分析手法により、分析、同定することが可能である(例えば米国特許5955729を参照)。該方法を用いれば、固定化したビタミンD3誘導体に結合する活性を有する未知のビタミンD3受容体を同定することが可能である。本方法によって同定された新たなビタミンD3受容体は、薬剤のターゲット分子として有用である。
【0051】
新たに同定されたビタミンD3受容体は、同定するために用いたビタミンD3誘導体と同様の活性を有する化合物をスクリーニングする為に用いることができる。すなわち、新たに同定されたビタミンD3受容体を用いて、被験化合物との結合を測定する、あるいは同定に用いたビタミンD3誘導体との競合反応を測定すればよい。これらのスクリーニング方法は、表面プラズモン共鳴をはじめとする種々の方法によって行うことができる。
【0052】
スクリーニングに用いられる被験化合物や被験試料は、特に制限はなく、例えば、ペプチド、精製もしくは粗精製タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、微生物発酵産物、海洋生物抽出液、植物出出液、細胞抽出液等を適宜用いることができる。これらの被験化合物は新規な化合物であってもよいし、既知の化合物であってもよい。
【0053】
本発明の上記方法によって見出すことができる新たな化合物、例えば、ビタミンD3受容体アゴニストもしくはアンタゴニストは医薬品として有用である。特に、該化合物は、例えば、骨粗鬆症、悪性腫瘍の骨転移等の骨関連疾患のための治療薬となることが期待される。
【0054】
本発明の方法によって取得されるビタミンD3受容体アゴニストおよびアンタゴニストも本発明に含まれる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物をヒトや他の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、チンパンジーの医薬品として使用する場合、常用される手段に従って実施することができる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物を有効成分として含有する医薬組成物は、当業者に公知の方法により、薬学的に許容し得る賦形剤、安定剤等と共に製造することができる。
【0055】
さらに本発明は、本発明の上記方法に使用するための、ビタミンD3誘導体が固定化された担体を提供する。より具体的には、ビタミンD3誘導体がリンカーを介して固定化された、表面プラズモン共鳴センサーチップを挙げることができる。本発明の該チップは、体積変化の測定において、ビタミンD3誘導体を固定化したチップを使用することによって、信頼性の高い測定を実現した点においても有用である。また本発明によれば、ビタミンD3受容体に結合する化合物の探索、あるいはビタミンD3誘導体に結合する新規ビタミンD3受容体の探索を、体積変化を指標として行うことができる。体積変化を指標とすることにより、少量の試料で迅速な測定が可能な表面プラズモン共鳴を利用することができる。
【0056】
本発明では、複数のビタミンD3誘導体を同一の担体に固定化することができる。表面プラズモン共鳴を測定する場合には、担体であるセンサーチップの表面に2種以上の複数のビタミンD3誘導体を混合して固定化してもよいし、予め固定化する位置を特定し、別々に固定化してもよい。混合して固定化する場合には、センサーチップ上に平均して複数のビタミンD3誘導体が固定化されることになる。混合して固定する方法では、表面プラズモン共鳴のシグナルの強度を比較することにより、複数のビタミンD3誘導体に対する結合活性を比較、測定できる。
【0057】
例えば、構造の異なる2種類のビタミンD3誘導体を混合して固定化し、被験化合物を反応させた場合、固定化した2種のビタミンD3誘導体の一方にしか結合しない被験化合物は、両方に結合する被験化合物に比べ、表面プラズモン共鳴の強度が約半分になる。構造の異なるビタミンD3誘導体を混合して固定化する場合には、固定化するビタミンD3誘導体の種類は、好適には20種類以下、より好適には10種類以下、さらに好適には5種類以下、最も好適には3種類以下である。また、センサーチップを任意に区分し、固定化する位置と固定化したビタミンD3誘導体を予め特定しておいてもよい。この場合、当該特定の位置には一種類のビタミンD3誘導体しか固定化されていないことになる。センサーチップ上の特定の位置にビタミンD3誘導体を固定化し、特定の箇所に生じた表面プラズモン共鳴のシグナルの変化を観測すればよい。
【0058】
センサーチップ上に固定化する固定化分子種の数は1平方センチメートルあたり、好ましくは4以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは100以上、最も好ましくは1000以上の異なるビタミンD3誘導体である。多くの固定化分子を特定の位置に固定化する方法としては、DNAチップ作成技術を応用することができる(Schena M. et al (1995) Science, vol 270, p 467.; Shalon D. et al (1996) Genome Res., vol 6, p 639.; Lemieux B. et al (1998) Mol. Breeding, vol 4, p 277.; Fodor S.P.A. et al (1991) Science, vol 251, p 767.; Blachard A. (1998) In Genetic Engineering, principles and methods (ed. J. Setlow), vol 20, Plenum Press.; Khrapko K.R. et al (1991) Mol. Biol., vol 25, 581.; Schena M. et al (1998) Trends Biotechnol., vol 16, p 301)。
【0059】
例えば、複数種のビタミンD3誘導体を同一のセンサーチップ上の特定の位置に固定化し、同時に被験化合物と反応させ、各固定化箇所に応じた表面プラズモン共鳴のシグナルの変化を測定すればよい。これにより、被験化合物の各ビタミンD3誘導体に対する特異性を検出することが可能になる。また、それぞれのリガンドに対応する受容体の混合物と被験化合物とを同時に反応させれば、特異性のあるアゴニストまたはアンタゴニストを同定することができる。本方法では多くの被験化合物を短時間で簡便に取り扱うことが可能であり、スクリーニング方法として有用である。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0061】
[実施例1] アミノアルキルビタミンD3誘導体((1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(以下ED-533と称す))の合成(合成までのスキームを図2に示す)
(1)(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エンの合成
(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)プレグナ-5-エン-20-メタノール(Chem. Pharm. Bull. 39(12), 3221 (1991), 34.14g)、トリフェニルホスフィン(18.62 g)、イミダゾール(5.24 g)およびジクロロメタン(350 ml)の混合物に、氷冷下、ヨウ素(16.52 g)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物を、減圧下溶媒を留去し、得た残渣にヘキサンを加え、不溶物を濾別した。得られた濾液をチオ硫酸ナトリウム水溶液、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルで洗浄し、(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エン(36.63 g, 90%)を白色固体として得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03 (3H, s), 0.04(3H, s), 0.05(3H, s), 0.07(3H, s), 0.72(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 0.96(3H, s), 2.13-2.37(2H, s), 3.11-3.21(1H, m), 3.34(1H, d, J=8.9Hz), 3.77(1H, brs), 3.91-4.06(1H, m), 5.41-5.49(1H, m).
【0062】
(2)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オンの合成
塩化ニッケル6水和物(9 g)、亜鉛末(12.4 g)、メチルビニルケトン(14.8 g)およびピリジン(200 ml)の混合物を60℃で30分間攪拌した後、室温に冷却した。室温で(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エン(20 g)、テトラヒドロフラン(50 ml)およびピリジン(100 ml)の混合物を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過した。濾液を0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オン(16.8 g, 91%)を白色固体として得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03 (3H, s), 0.04(3H, s), 0.05(3H, s), 0.07(3H, s), 0.67(3H, s), 0.88(9H, s), 0.88(9H, s), 2.13 (3H, s), 3.77(1H, brs), 3.91-4.06(1H, m), 5.41-5.49(1H, m).
【0063】
(3)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体の合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オン(16.8 g)、N-ブロモスクシンイミド(6.14 g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.3 g)およびヘキサン(200 ml)の混合物を15分間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、不溶物を濾過した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にトルエン(200 ml)およびγ-コリジン(13.3 ml)を室温で順次加え、2.5時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、不溶物を濾過した後、ヘキサンで希釈し、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にジクロロメタン(200 ml)および4-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジオン(4.7 g)を室温で順次加え、室温で45分間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=8:1:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体(7.8 g, 36%)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.07 (3H, s), 0.08(3H, s), 0.10(3H, s), 0.13(3H, s), 0.80(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 2.14 (3H, s), 3.18-3.30(1H, m), 3.84(1H, brs), 4.69-4.85(1H, m), 6.21(1H, d, J=8.4Hz), 6.37(1H, d, J=8.4Hz), 7.34-7.49(m, 5H).
【0064】
(4)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オンの合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体(5.7 g)および1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(57.1 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、150℃で攪拌した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン(3.3 g, 74%)を淡黄色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03-0.08(9H, s), 0.10(3H, s), 0.61(3H, s), 0.88(9H, s), 0.88(9H, s), 2.13(3H, s), 2.69-2.82(1H, m), 3.69(1H, brs), 3.97-4.11(1H, m), 5.25-5.34(1H, m), 5.52-5.61(1H, m).
【0065】
(5)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オールの合成マグネシウム末(3.3 g)、10-((トリエチルシリル)オキシ)デカニルブロミド(4.8 g)およびテトラヒドロフラン(30 ml)の混合物にアルゴン雰囲気下、50℃でエチレンブロミドを数滴加え、30分間攪拌した。反応混合物に1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン(2.2 g)およびテトラヒドロフラン(10 ml)の混合物を50℃で加え、同温度で終夜攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色油状物(3.97 g)を得た。得られた無色油状物(3.97 g)およびテトラヒドロフラン(50 ml)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフロリド(1Mテトラヒドロフラン溶液、10 ml)を室温で加え、同温度で15分間攪拌した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オール(1.74 g, 63%)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03-0.08(9H, s), 0.11(3H, s), 0.62(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 2.28-2.41(2H, m), 2.71-2.83(1H, m), 3.57-3.74(3H, m), 3.96-4.13(1H, m), 5.26-5.36(1H, m), 5.54-5.62(m, 1H).
【0066】
(6)(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールの合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オール(0.5 g)およびテトラヒドロフラン(350 ml)の混合物をアルゴン気流下、水冷で攪拌しながら、3時間UV光照射(ウシオ電機(株)製500Wキセノン−水銀ランプ紫外線照射装置295 nm干渉フィルター透過光)した。反応混合物をアルゴン雰囲気下2時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)- 1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-25-オールを含む混合物493 mgを得た。得られた混合物(493 mg)、テトラブチルアンモニウムフロリド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、16 ml)およびテトラヒドロフラン(10 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、45℃で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈後、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(159 mg, 45%)を得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
IR(neat):3338, 2927, 2850, 1711, 1466, 1377, 1261, 1057cm-1 ; 1H NMR (CDCl3) δ:0.54(3H, s), 2.54-2.65(1H, m), 2.76-2.90(1H, m), 3.63(2H, t, J=6.8Hz), 4.23(1H, brs), 4.43(1H, brs), 5.00(1H, s), 5.33(1H, s), 6.01(1H, d, J=11.1Hz), 6.38(1H, d, J=11.1Hz) ; MS(EI) m/z 540 (M+-H2O); UV (in EtOH) λmax 212.5, 264.5 nm.
【0067】
(7)(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールの合成
(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(159 mg)、フタルイミド(63 mg)トリフェニルホスフィン(89 mg)およびテトラヒドロフラン(2.8 ml)の混合物にアルゴン雰囲気下、室温でアゾジカルボン酸ジエチルエステル(0.05 ml)をゆっくり加え、室温で1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)および薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-フタルイミドデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールを含む混合物(240 mg)を得た。得られた混合物(240 mg)およびメチルアミン(40%メタノール溶液、8 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、室温で1時間攪拌した。反応混合物を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製NH TLCプレート、ジクロロメタン:エタノール=10:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールを8.8 mg(5.6%)(ED-533)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性質は下記の通りである。また、ED-533の構造式を化学式1に示す。
IR(neat):3356, 2927, 2852, 1647, 1466, 1375, 1057cm-1 ; 1H NMR (CDCl3) δ:0.54(3H, s), 2.66(1H, t, J=7.0Hz), 2.77-2.88(1H, m), 4.15-4.28(1H, m), 4.35-4.44(1H, m), 4.98(1H, s), 5.32(1H, s), 6.01(1H, d, J=11.1Hz), 6.36(1H, d, J=11.1Hz) ; MS(EI) m/z 539 (M+-H2O); UV (in EtOH) λmax 210.8, 263.3 nm.
【0068】
【化1】
(化学式1)
【0069】
[実施例2] 検出系の確立
(1)使用機器および試薬
BIACORE3000、Sensor Chip CM5、HBS-EP (10 mM Hepes, 0.15 M NaCl, 3.4 mM EDTA, 0.05% Tween20, pH7.4 )、アミンカップリングキットはBiacore AB社から購入した。recombinant human Vitamin D3 receptor (VDR)は、Pan Vera Corp.社より購入した。
【0070】
(2)センサーチップへのED-533の固定化
Sensor Chip CM5 に上記実施例1で合成したED-533を固定化した。Running Buffer として5%DMSO添加HBS-EPを用い、流速は5μL / min とした。Sensor Chip CM5 上の carboxymethyl dextran のカルボキシル基を 100μLの0.05 M N-hydroxysuccinimide (NHS) / 0.2 M N-ethyl-N'- (3-dimethyl aminopropyl) - carbodiimide (EDC) のインジェクトにより活性化した。ED-533(1 mg/mL in EtOH)は、まずEtOHで1/4希釈し、さらに10 mM Na-Acetate Buffer, pH4.5を用いて1/10希釈したものを10〜40μLインジェクトし、アミンカップリング法にて固定化した。さらに、100μL のEthanolamine pH8.5をインジェクトすることにより、過剰の活性基をブロックした。さらに、10μL の 50% DMSO水溶液、50% PrOH/10% DMSO/50 mM HClをインジェクトすることにより、非共有結合をしている物質を洗浄した。
【0071】
(3)固定化されたED-533とVDRとの相互作用へのEtOH, DMSOの影響の検討
VDRは、100 nMになるよう10% Glycerol/2 mM DTT/HBS-EPを用い希釈した。
EtOH, DMSO の最終濃度0, 1, 2, 5%になるよう調製した100 nM VDR溶液、10μLをインジェクションすることで検討した。センサーチップの再生・洗浄は、15% PrOH/200 mM NaOH、5μLのインジェクションにより行った。
【0072】
その結果、固定化ED-533とVDRとの相互作用へのEtOH, DMSOの影響に関して、5% EtOHにおいても、5%DMSOにおいても、VDRの結合活性は保持されていることが明らかとなった。このことから、Running Buffer としては5%DMSO添加HBS-EPを用い、サンプル中のDMSO濃度も5%で以下の検討を行なった。
【0073】
(4)特異的相互作用の確認
100 nM VDRに1, 25(OH)2D3 の最終濃度が0, 10, 100, 1000 nMになるよう調製後、室温で1時間反応させたサンプル、10μLをインジェクションし、固定化ED-533への結合活性を検討した。結合シグナルを得た後に、センサーチップ以外の流路を50%DMSO水溶液により洗浄し、さらに、全流路を15% PrOH/5% DMSO/200 mM NaOH、10μLのインジェクションにより洗浄した。
【0074】
その結果、1, 25(OH)2D3 は、濃度依存的に固定化ED-533とVDRとの相互作用を阻害することが示された(図1)。0.1μM VDRを用いた場合、VDRの4倍モル濃度の1, 25(OH)2D3の添加で50%の結合阻害が確認された。これらの結果は、固定化ED-533とVDRとの結合は、VDRの1, 25(OH)2D3結合部位を介した特異的な結合であることを示している。
【0075】
(5)ビタミンD3誘導体による固定化ED-533とVDRとの結合の阻害活性の測定
100 nM VDRと種々のビタミンD3誘導体(最終濃度として0, 10, 100, 1000 nM)を、室温で1時間反応させた後、混合液をサンプルとして10μLインジェクションし、VDRの固定化ED-533への結合活性を検討した。結合シグナルを得た後に、センサーチップ以外の流路を50%DMSO水溶液により洗浄し、さらに、全流路を15% PrOH/5% DMSO/200 mM NaOH、10μLのインジェクションにより洗浄した。被験化合物であるビタミンD3誘導体としては、ED-533、OCT(1α,25-Dihydroxy-22-oxavitamin D3)(Drugs of the Future 21(12), 1229-1237 (1996))、およびED-71(2β-(3-Hydroxypropoxy)-1α,25-dihydroxyvitamin D3)(Kittaka A. et al, Organic Letters 2(17), 2619-2622 (2000))を用いた。OCTおよびED-71の構造式をそれぞれ化学式2および化学式3に示す。
【0076】
【化2】
(化学式2)
【0077】
【化3】
(化学式3)
【0078】
その結果、ED-533、OCT、ED-71はいずれもVDRの天然のリガンドである1, 25(OH)2D3とほぼ同等の阻害活性を有することが示され、これらの被験化合物はほぼ同等のVDR結合活性を有することが確認された(図1)。尚、これらの被験化合物のIC50値を表1に記載した。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
本発明により、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を簡便かつ精度高く検出できる方法が提供された。本方法は短時間で測定を終了することが可能であり、放射性同位体元素を用いた結合活性測定試験に比べ被験化合物に用いるタンパク質の結合活性の失活が少なく、信頼性のある実験データを取得することが期待される。また、本方法を利用することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物、または新規ビタミンD3受容体のスクリーニングが可能となった。本発明のスクリーニング方法によって取得される化合物は、骨関連疾患のための治療薬となるものと大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各濃度の被験化合物を添加した際に、固定化ED-533とVDRとの結合を阻害する活性を測定した結果を示した図である。縦軸はパーセント阻害率を、横軸は各被験化合物の濃度を示す。
【図2】 ED-533合成までのスキームを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を測定する方法、および該方法を用いたビタミンD3誘導体またはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビタミンD誘導体は骨形成作用等、種々の生理活性を有しており、医薬品として開発されている。ビタミンD誘導体は核内に存在するビタミンD受容体(Vitamin D receptor: VDR)と結合して種々の生理活性を示すことが知られている。従って、新規ビタミンD3誘導体の開発には、ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を測定することが重要である。ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を測定する方法には、放射性同位体を使用する方法等、いくつか知られているが、大量の被験化合物を簡便かつ高感度で検出できる測定方法は存在しなかった。例えば、3Hラベルされたビタミン Dを用いたVDRとのBinding Assayが広く用いられているが、この測定系では、放射性同位体を用いること、作業が繁雑であること、調製された蛋白質のロット間の微妙に異なる活性を差別化することが困難であること等、いくつかの改善されるべき点を有していた。
【0003】
また、これまでにタンパク質相互作用を解析する様々な方法や機器が開発されている。例えば、抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィーや免疫沈降がある。さらに、表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)を用いてタンパク質同士の相互作用を測定する方法が近年注目を集めている(ワード, L, D.ら、Journal of Biological Chemistry, 第269巻、第23286〜23289頁、1994年)。表面プラズモン共鳴を測定する装置は、既に開発、市販されている。
【0004】
表面プラズモン共鳴によりタンパク質分子間の相互作用を測定するには、対象となる一方のタンパク質をセンサーチップの表面に固定化し、これに作用する分子を含む被験試料をマイクロ流路系を介して一定の速度で送液する。固定化された分子と被験試料に含まれた被験化合物が結合して複合体を形成すると、センサーチップ上の体積が増加する。センサーチップ上における体積増加を、光学的に表面プラズモン共鳴として検出し、センサーグラムと呼ばれるグラフとして表示する。また、タンパク質同士の複合体形成によって増加する体積増加は、センサーチップ上の重量増加あるいは質量増加として換算が可能であり、表面プラズモン共鳴の強度と重量変化の相関も明らかにされている。表面プラズモン共鳴測定による分子間相互作用のreal-timeでの検出は、従来法とは異なり、分子を標識することなく、少量の試料を用いて短時間で測定ができるという特徴を有している。
【0005】
しかしながら、これまでのところビタミンD3誘導体をチップ上へ固定化することが困難であったために、上記の技術を用いてビタミンD3誘導体とビタミンD3と結合する化合物との相互作用を測定することは、極めて難しかった。ビタミンD3誘導体とビタミンD3と結合する化合物との相互作用を測定できる、簡便かつ高感度で、さらに大量の被験化合物を処理できる方法の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を簡便かつ高感度に検出可能な新規な方法、および該方法を利用した、ビタミンD3誘導体もしくはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体(VDR)との結合活性を簡便かつ高感度に評価できる系の構築を目的として鋭意研究を行った。そして本発明者らは上記の表面プラズモン共鳴によって結合活性を測定する方法において、ビタミンD3誘導体を、リンカーを介してセンサーチップ上に固定化することにより、ビタミンD3誘導体のVDRに対する結合性を適切に保持できることを見出した。すなわち、ビタミンD3骨格の25位にC10のアルキル基を介して固定化したビタミンD3誘導体は、VDRと十分な結合活性を有していることから、被験化合物のVDRに対する結合活性を測定することが可能となった。リンカーを介する本方法は、ビタミンD3誘導体に限らず、あらゆるリガンドに応用することも可能であり、さらに、リンカーの長さを適度に調節すれば、リガンドの種類にかかわらず受容体との結合活性を測定することが可能である。この測定方法を利用することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニングが可能となった。
【0008】
上記の如く本発明者らは、ビタミンD3誘導体とVDRとの結合活性を簡便かつ高感度に評価できる系を構築し、本発明を完成させた。本方法は短時間で測定を終了することが可能であり、放射性同位体元素を用いた結合活性測定試験に比べ被験化合物に用いるタンパク質の結合活性の失活が少なく、信頼性のある実験データを取得することが期待される。即ち本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出可能な新規な方法、および該検出方法を利用した、ビタミンD3誘導体もしくはビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニング方法に関し、より具体的には、
〔1〕 ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合の検出方法であって、
(a)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体とを接触させる工程、および
(b)該固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔2〕 複数のビタミンD3誘導体を同一の担体に固定化することを特徴とする、〔1〕に記載の方法、
〔3〕 試料中に含まれる、ビタミンD3受容体の検出方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に試料を接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔4〕 試料中に含まれる、ビタミンD3誘導体の検出方法であって、
(1)一定量のビタミンD3受容体を、試料と同時または試料との接触の後に、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔5〕 被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の測定方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させる工程
(2)該固定化されたビタミンD3誘導体と該ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法、
〔6〕 体積変化を表面プラズモン共鳴によって測定する〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法、
〔7〕 〔5〕に記載の方法によって、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性を測定し、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物を選択する工程を含む、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、
〔8〕 〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法に使用するための、1種または複数種のビタミンD3誘導体が固定化された担体、
〔9〕 担体が表面プラズモン共鳴センサーチップである〔8〕に記載の担体、
〔10〕 〔7〕に記載のスクリーニング方法によって選択された、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、
〔11〕 〔10〕に記載のビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストを有効成分として含有する骨関連疾患治療薬、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を検出できる新規な方法を提供する。本発明の好ましい態様としては、ビタミンD3誘導体をリンカーを介して担体に固定化し、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体形成によって生じた体積変化を測定することによって、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合の検出を行う。
【0010】
本発明の上記方法においては、まず、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体とを接触させる(工程(a))。本工程によりビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体とが結合し複合体が形成されると、担体表面において体積変化が起こる。
【0011】
本発明において体積変化とは、プラズモン共鳴測定用の担体表面に固定化されたビタミンD3誘導体にビタミンD3受容体が結合することによって生じる担体表面での変化を指し、体積変化は、重量変化、密度変化、濃度変化でもある。従って、体積変化は、重量変化、密度変化、濃度変化と同義である。
【0012】
本発明の方法においては、次いで、上記のように固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する(工程(b))。
【0013】
ビタミンD3誘導体とは、9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン構造を有する化合物を指す。好ましくは、(5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン構造を有する化合物である。さらに好ましくは(1a,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1-オール構造を有する化合物、より好ましくは(1a,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,25-ジオール構造を有する化合物、さらに好ましくは(1a,3b,5Z,7E)- 9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3-ジオール構造を有する化合物、最も好ましくは(1a,3b,5Z,7E)-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール構造を有する化合物である。本発明のビタミンD3誘導体は、上記の構造を有するものであれば特に限定されず、従って、上記の化合物に対して種々の置換基を有する化合物も本発明のビタミンD3誘導体に含まれる。また、本発明のビタミンD3誘導体には、上記の化合物に対する活性類似体、および構造類似体も含まれる。活性類似体とは、上記生理活性を有する化合物と同様の生物学的活性を有する化合物を指す。活性類似体の当該活性の強弱に関わらず、同様の生物学的活性を有する化合物は、活性類似体に含まれる。また本発明における構造類似体とは、化合物の固有の構造に様々な修飾を施した化合物を言う。構造類似体は人為的に合成することもできるし、天然に存在する化合物であることもできる。
【0014】
本発明においてリンカーとは、ビタミンD3誘導体および/または担体と共有結合を形成している構造部、または当該構造部を形成させるために必要な化合物を指す。リンカーはどのような化学構造を有していても良い。たとえば、炭素鎖であってもよいし、ペプチド鎖、糖鎖であってもよい。炭素鎖の場合には、置換されていてもよいアルキル基や無置換のアルキル基であってもよい。また、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を炭素鎖中に有していてもよい。例えば、エチル基やプロピル基が酸素原子を介して複数回の繰り返し構造を有していてもよい。置換基としては特に制限はなく、例えば、アルキル基、ハロゲン、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。リンカーの末端は、ビタミンD3誘導体および/または担体と共有結合を形成できるように、適当な置換基を有することが好ましい。例えば、アミノ基、水酸基、チオール基等が挙げられる。どのような置換基を使用するかは、結合されるビタミンD3誘導体および/または担体の官能基との組み合わせて決定すればよいが、好ましくはアミノ基、チオール基である。
【0015】
本発明において「固定化された」とは、ビタミンD3誘導体がリンカーを介して担体へ結合した状態を言う。「リンカーを介して」とは、通常、リンカーの一方の端がビタミンD3誘導体と共有結合し、他方の端が担体と共有結合した状態を例示することができるが、この状態に特に限定されない。
【0016】
上記工程(b)において体積変化を測定する方法として、好ましくは表面プラズモン共鳴によって測定する方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)を用いてタンパク質等の分子同士の相互作用を測定する方法は、近年注目を集めている(ワード,L, D.ら、Journal of Biological Chemistry、第269巻、第23286〜23289頁、1994年)。また、表面プラズモン共鳴を測定する装置は既に開発され、市販されている。例えば、BIACORE(ビアコア社)やIBIS(Intersens社)を例示することができる。表面プラズモン共鳴やBIACOREに関する一般的な実験方法については、成書”Real-Time Analysis of Biomolecular Interaction: Application of BIACORE” Springer, Nagata K., and Handa H. eds. (2000)を参照することができる。
【0017】
表面プラズモン共鳴によりタンパク質等の分子間の相互作用を測定するには、通常、対象となる一方のタンパク質等の分子をセンサーチップの表面に固定化し、これに作用する分子を含む被験試料をマイクロ流路系を介して一定の速度で送液する。固定化された分子と被験試料に含まれた被験化合物が結合して複合体を形成すると、センサーチップ上の体積が増加する。センサーチップ上における体積増加を、光学的に表面プラズモン共鳴として検出し、センサーグラムと呼ばれるグラフとして表示する。表面プラズモン共鳴のシグナルに変化が生じれば、検出を行ったそれぞれの分子の間に相互作用が有るものと判定される。また、タンパク質同士等の複合体形成によって増加する体積増加は、センサーチップ上の重量増加、濃度増加あるいは密度増加として換算が可能であり、表面プラズモン共鳴の強度と重量変化の相関も明らかにされている。表面プラズモン共鳴測定による分子間相互作用のreal-timeでの検出は、従来法とは異なり、分子を標識することなく、少量の試料を用いて短時間で測定ができるという特徴を有している。
【0018】
本発明の担体としては、例えば、表面プラズモン共鳴センサーチップ、表面プラズモン共鳴キュベット等を挙げることができる。
【0019】
本発明において上記工程(b)の体積変化を、表面プラズモン共鳴によって測定を行う場合は、ビタミンD3誘導体を担体である表面プラズモン共鳴センサーチップ上に固定化する方法として、例えば、リンカーとして2種の分子を用いて間接的に固定化する方法が挙げられる。このように間接的に固定するには、分子同士の結合が明らかになっている2種の分子を使用すればよい。すなわち、2種の分子の一方を担体上に固定化し、もう一方の分子を固定化したいビタミンD3誘導体に結合すればよい。例えば、ビオチン−アビジンや適当な抗原とその抗体を用いることができる。
【0020】
ビタミンD3誘導体を共有結合で表面プラズモン共鳴センサーチップの表面に固定化する場合には、センサーチップ上にコートされたデキストラン層に導入されているカルボキシメチル基に直接固定化することができる。たとえば、カルボキシメチル基をN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)の混合液によりカルボキシル基を活性化し、ビタミンD3誘導体が有するアミノ基、チオール基、または水酸基等の官能基と共有結合させることができる。またヒドラジンを介してアルデヒド基と共有結合させることもできる。また、ビタミンD3誘導体が適当な官能基を有していない場合には、適当な部位に官能基を有する目的のビタミンD3誘導体を適宜合成してもよい。これらの共有結合の形成に必要な反応条件や溶媒等は必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
カルボキシルメチル基とビタミンD3誘導体は適当な長さのリンカーを介して共有結合で固定化されていてもよい。リンカー分子は両端に適当な官能基を有している限りどのようなリンカー分子も使用することができるが、両端の官能基の間の長さは、好ましくは炭素鎖にして50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下、もっとも好ましくは10以下である。リンカー分子は、ビタミンD3誘導体の固定化や、固定化されたビタミンD3誘導体と被験化合物との結合に実質的に関与しないものが好ましく、種々の溶媒に対して化学的に安定であることが望ましい。例えば、共有結合の形成に必要な官能基を両端に有し、置換されていてもよいアルキル鎖やアルケニル鎖を使用することができる。これらの適切なリンカーの選択や製造は当業者には公知の技術である。
【0022】
固定化のために使用するリンカーと共有結合を形成するビタミンD3誘導体の部位は、リンカーと結合したビタミンD3誘導体がビタミンD3受容体と結合することができる部位であれば、特に制限はないが、好ましくは、1位および/または3位以外の位置である。好ましくはビタミンD3骨格の2位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位の炭素原子であり、より好ましくは2位、25位または26位の炭素原子である。
【0023】
本発明においては、ビタミンD3誘導体に対して結合活性を有する分子をビタミンD3受容体と定義する。本発明のビタミンD3受容体には、既にビタミンD3誘導体と結合することが知られているビタミンD3受容体と、類似した構造または活性を有する、所謂ビタミンD3受容体様化合物も含まれる。通常、ビタミンD3受容体は生体内に天然に存在するタンパク質であって、天然に存在するリガンドと結合する活性を有するタンパク質であるが、特にこれに限定されない。また、天然に存在するリガンドと結合する限り、当該タンパク質の一部が人為的あるいは自然に改変されたタンパク質も該受容体に含まれる。受容体は血液中に存在している受容体であってもよいし、細胞内に存在する受容体であってもよい。細胞内に存在する場合としては、膜受容体、核内受容体、細胞質内受容体が含まれる。本発明の方法によって、固定化されたビタミンD3誘導体との結合活性を測定するビタミンD3受容体は、具体的には、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、有機化合物等を挙げることができ、通常、表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な分子量を有することが好ましい。表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な分子量とは、被験化合物または固定化されたビタミンD3受容体との結合によって生じた複合体によって表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な程度に生じる分子量であり、好ましくは分子量2kD以上、さらに好ましくは5kD以上、さらに好ましくは10kD以上、最も好ましくは30kD以上である。表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な程度とは、10レゾナンスユニット(10pg/mm2)であり、信頼性のあるシグナルとしては、好ましくは50レゾナンスユニット(50pg/mm2)である。
【0024】
固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合活性を測定するためには、ビタミンD3受容体は精製されていることが好ましい。従って、精製が容易な点で遺伝子組換えタンパク質は、本発明において好適に用いられる。遺伝子組換えタンパク質を作成する方法は既に公知であり、適当なベクターと宿主を組み合わせて製造することができる(Molecular Cloning 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Basic Methods in Molecular Biology, Appleton & Lange, 1986)。また、遺伝子組換えタンパク質や天然に存在するタンパク質の分離、精製は、通常のタンパク質の精製で使用されている分離方法、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、フィルター、塩析、免疫沈降、電気泳動法、等を組み合わせて使用することができる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual, Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。
【0025】
非特異的な結合を排除することを目的として、あるビタミンD3受容体の特定の部分アミノ酸配列のみを本発明の検出方法に用いる場合には、マーカー分子を結合させることができる。マーカー分子との結合により、これらの化合物を表面プラズモン共鳴のシグナルの変化が検出可能な適度な分子量を有するビタミンD3受容体とすることができる。マーカー分子としては、適度な分子量を有する限り制限はなく、タンパク質でもよいし、DNAでもよく、また、高分子有機化合物やビーズでもよい。マーカー分子は親水性であることが好ましい。
【0026】
マーカー分子としてタンパク質を用いる場合には、ビタミンD3受容体との融合タンパク質として遺伝子組み換え的に製造することができる。遺伝子組換え的に融合タンパク質を作成する方法は、被験化合物をコードするDNAとマーカー分子をコードするDNAをフレームが一致するように連結してこれを発現ベクターに導入し、適当な宿主を用いて発現させればよく、公知の方法を用いることができる。また、マーカー分子と被験化合物の間に適当な酵素の切断部位を予め挿入しておき、必要に応じてマーカー分子と標的分子を切断できるようにすることも可能である。酵素の切断部位としては、例えば、Factor Xa、Enterokinase、Genenase Iの切断部位を使用することができる。これらの切断部位はマーカー分子を含む発現ベクターとして入手することも可能である(New England BioLabs)。
【0027】
マーカー分子としては、例えばマルトーズ結合タンパク(MBP)を用いることができる。高分子有機化合物としては、例えばPEGやポリ乳酸等を用いることができる。マーカー分子と当該化合物とはリンカーを用いて結合させることができる。ビーズをマーカー分子として用いる場合には、当該化合物とマーカー分子を結合させてもよいし、コンビナトリアルケミストリーの手法を用いてビーズ上に固定化して合成した化合物を本発明のビタミンD3受容体としてそのまま用いることもできる。
【0028】
本発明の別の態様としては、予めビタミンD3受容体と結合することが判明しているビタミンD3誘導体を固定化し、被験試料中に存在するビタミンD3受容体の含有量を測定する方法に関する。本発明の上記方法においては、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に試料を接触させ、次いで、該ビタミンと試料中に含まれるビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。
【0029】
被験試料は、特に制限はなく、組織あるいは細胞培養上清や可溶化画分、クロマトグラフィー等の各種精製時に分取された画分をそのまま用いることができるし、必要に応じて適宜、濃縮、希釈して用いることができる。希釈する場合には、ランニングバッファーを用いて希釈することが好ましい。また、被験試料は精製された1種類の被験化合物を含んでいてもよいし、2種以上の被験化合物を含む混合物を被験試料として用いてもよい。さらに、精製されていない混合物を被験試料として用いることも可能である。精製されていない混合物としては、例えば、細胞の培養上清、細胞抽出物、核抽出物を用いることができる。また、動物細胞、大腸菌、昆虫細胞、枯草菌等を用いて製造された遺伝子組み換えタンパク質を含む培養上清であってもよいし、培養上清から精製されたタンパク質であってもよい。ファージライブラリーを被験試料として用いることも可能である。また、大腸菌、非接着性の細胞をそのまま被験試料として用いることができる。細胞抽出物としては、細胞膜画分、細胞内画分を作製することが可能である。細胞内画分としては、可溶性画分として作製することができる。細胞膜画分は、ノニデットP-40、デオキシコール酸ナトリウム等の界面活性剤により可溶化することができる。
【0030】
被験試料中のビタミンD3受容体の存在量は、表面プラズモン共鳴のシグナルの強度として算出することができる。被験試料中の存在量を比較しやすくするために、予め精製されたビタミンD3受容体を用いて検量線を求めておくことが好ましいが必須ではない。また、被験試料の希釈倍率の異なるサンプルを用意し、異なる希釈率でのシグナル強度を比較することも可能である。本方法により、各組織でのビタミンD3受容体の発現量の比較、遺伝子組換え技術を用いて生産されたビタミンD3受容体や天然から精製されたビタミンD3受容体の精製度の確認や活性画分の同定をすることができる。
【0031】
ビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体との結合速度や解離速度、結合定数を求めることも可能である。ビタミンD3受容体を段階的に希釈し、各濃度におけるセンサーグラムを得る。得られたセンサーグラムから、非線形最小二乗法を用いて反応速度定数を算出する。BIACORE付属の解析ソフト(BIAevaluation version 2.1, or 3.0)を使用すれば、簡単に算出することができる。
【0032】
本発明によれば、ビタミンD3受容体のみならず、試料中に含まれるビタミンD3誘導体を測定することもできる。本発明の上記方法においては、一定量のビタミンD3受容体を、試料と同時に、または試料との接触の後に、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に接触させ、該ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。上記の「一定量」は、その上限または下限を特に制限されるものではないが、通常、20 ng〜3000 ngである。
【0033】
上記方法では、一定量のビタミンD3受容体に対して、固定化されたビタミンD3誘導体と、試料中に存在するビタミンD3誘導体とを競合させることにより、試料中に含まれるビタミンD3誘導体を測定することができる。競合反応を行うためには、一定量のビタミンD3受容体を、試料の存在下でリンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に接触させるか、または試料との接触の後に、固定化されたビタミンD3誘導体と接触させる。その結果、固定化されたビタミンD3誘導体と結合するビタミンD3受容体は、試料中に含まれるビタミンD3誘導体の濃度と逆比例する。
【0034】
本発明の別の態様においては、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の測定方法を提供する。本発明の方法においては、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させ、次いで、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する。
【0035】
また本発明は、上記の被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の検出方法を利用した、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。該方法においては、上記の被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性を測定し、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物を選択する。
【0036】
本発明のスクリーニング方法に供される被験化合物は、通常ビタミンD3誘導体であるが、これに特に限定されない。本発明の上記方法により選択されるビタミンD3受容体と結合する化合物は、該ビタミンD3受容体に対するアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤、促進剤として有用である。またビタミンD3受容体と結合する化合物は、ビタミンD3受容体の検出や精製を可能とするリガンドとして有用である。本発明においては、ビタミンD3受容体と結合する化合物の探索に用いられる該ビタミンD3受容体を特に標的分子と呼ぶ場合がある。すなわち、被験化合物を固定化し、標的分子を反応させた後、標的分子と固定化された被験化合物との反応によって生じる複合体の形成を体積変化に基づいて測定する。
【0037】
また、上記の標的分子はペプチド全長のタンパク質であってもよいし、特定の領域や、部分ペプチドであってもよい。例えば、天然から精製されうるタンパク質そのままであってもよいし、任意のタンパク分解酵素で処理した部分タンパク質であってもよい。遺伝子組換え技術により産生する場合には、タンパク質全長を発現してもよいし、特定の部分配列のみを発現されたものを用いてもよい。特定の領域としては、たとえば、受容体のリガンド結合領域や細胞外領域、抗体の可変領域やFabフラグメント、一本鎖抗体等を用いることができる。
【0038】
例えば、結合活性を測定したい任意のビタミンD3誘導体をセンサーチップ表面に固定化し、精製された標的分子を反応させ、表面プラズモン共鳴のシグナル変化を測定すればよい。また、2種類以上の標的分子を準備しておき、順次反応させ、そのシグナル変化を順次測定することで、複数の分子に対する反応を簡便に測定することができる。また、複数の標的分子を混合して反応させることも可能である。
【0039】
表面プラズモン共鳴のシグナルの変化により複合体の形成が観測された場合には、適当な条件で洗浄し、固定化されたビタミンD3誘導体に結合した標的分子を回収し、質量分析等により解析すればよい。この場合、固定化されたビタミンD3誘導体は、回収された標的分子に結合する活性を有しており、アゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤であることがわかる。
【0040】
さらに、本発明の好ましい態様においては、ビタミンD3受容体と、該ビタミンD3受容体と結合することが予め判明しているビタミンD3誘導体との結合に干渉する、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物の検出方法に関する。上記方法は、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の検出方法であって、以下の工程を含む。
(i)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させる工程
(ii)該固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程
【0041】
上記工程(i)の「接触」は、より具体的には、例えば下記のようにして行うことができる。
(A)被験化合物の存在下で、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体を接触させる。
(B)被験化合物とビタミンD3受容体を接触させた後に、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と接触させる。
(C)既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体を接触させた後に、候補化合物と接触させる。
【0042】
上記(A)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の競合活性(competition activity)を測定するための方法である。被験化合物存在下でビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体との結合が観測されない場合には、当該被験化合物はビタミンD3受容体に結合する活性を有しており、ビタミンD3受容体のアゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤であると同定することができる。
【0043】
また、上記(B)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の阻害活性(inhibition activity)を測定するための方法である。この方法においても、被験化合物がビタミンD3受容体に対する結合活性を有する場合には、ビタミンD3誘導体へのビタミンD3受容体の結合が阻害される。
【0044】
そして上記(C)は、既にビタミンD3受容体と複合体を形成することが知られているビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合反応に対する被験化合物の置換活性(replacement activity)を測定するための方法である。この方法においては、被験化合物がビタミンD3受容体に対する結合活性を有する場合には、先にビタミンD3誘導体に結合しているビタミンD3受容体の一部が、該被験化合物によって置換され、複合体の形成量が低下する。
【0045】
本発明の上記方法によっても、ビタミンD3受容体に対する被験化合物の結合活性を検出することができる。またこの方法によって結合活性を見出された被験化合物を選択することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物のスクリーニングを行うことができる。この方法によって選択された化合物は、ビタミンD3受容体のアゴニストや促進剤、またはアンタゴニストや阻害剤として有用である。
【0046】
被験化合物とビタミンD3受容体はあらかじめ混合した後に、固定化されたビタミンD3誘導体との結合を測定してもよいし、一旦ビタミンD3受容体と、固定化されたビタミンD3誘導体とを結合させた後、被験化合物を反応させ、固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合が、被験化合物によって置き換わることによって生じるビタミンD3受容体の解離を表面プラズモン共鳴のシグナル変化として検出してもよい。
【0047】
ビタミンD3誘導体を固定化分子として用いる本発明の方法において、強い洗浄条件を選択することが可能である。本発明においては、適当な洗浄条件でセンサーチップを洗浄することにより、固定化分子の構造を変化させることなく、再生使用することが可能である。例えば、洗浄の条件としては、10〜50% DMSO、10〜70%のメタノール、エタノール、プロパノール、0.01〜0.1 M塩酸、0.01〜0.1M水酸化ナトリウム水溶液、8M尿素、0.5% SDS水溶液などの界面活性剤、およびこれらの混合溶液を適宜組み合わせて用いることができる。一般に、洗浄液の疎水性が高くなるほど、また、イオン強度や酸性度あるいは塩基性度が高いほど、強力な洗浄条件となる。従って、本発明の方法では、強い洗浄条件を選択することが可能であること、さらに、洗浄、反応を繰り返すことが可能であることから、多くの被験化合物に対する結合活性を簡便に測定することが可能であり、薬物のスクリーニングや生理活性の同定に極めて有効である。
【0048】
また、混合物を被験化合物として用いて固定化されたビタミンD3誘導体と反応させ、混合物中に当該ビタミンD3誘導体と結合するビタミンD3受容体が存在することが確認された場合には、センサーチップを弱い洗浄条件から強い条件で段階的に順次洗浄し、回収することができる。当該洗浄液中に含まれる分子は固定化されたビタミンD3誘導体に結合する分子である。また、ビタミンD3受容体の結合強度に応じて洗浄液中に回収することができるので、洗浄条件を変化させて回収する方法は有用である。このような洗浄の条件としては、上記した洗浄条件を用いることができる。
【0049】
本発明の方法では、固定化したビタミンD3誘導体に直接結合するビタミンD3受容体以外に、共結合分子(co-binding molecule)を単離、同定することができる。共結合分子とはコファクター(co-factor)とも呼ばれ、生理活性分子の活性を調節する活性を有する。例えば、共結合分子が、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との複合体にさらに結合することで生理活性の増強がおこる。この場合当該共結合分子をコファクターと呼ぶ。逆に活性を低下される場合には、コリプレッサー(co-repressor)と呼ばれることもある。共結合分子はビタミンD3受容体とビタミンD3誘導体との複合体に結合する場合もあるし、ビタミンD3受容体のみに結合する、あるいはビタミンD3誘導体のみに結合する場合もある。
【0050】
本発明の方法によって回収(選択)されたビタミンD3受容体は、質量分析、アミノ酸分析等の分析手法により、分析、同定することが可能である(例えば米国特許5955729を参照)。該方法を用いれば、固定化したビタミンD3誘導体に結合する活性を有する未知のビタミンD3受容体を同定することが可能である。本方法によって同定された新たなビタミンD3受容体は、薬剤のターゲット分子として有用である。
【0051】
新たに同定されたビタミンD3受容体は、同定するために用いたビタミンD3誘導体と同様の活性を有する化合物をスクリーニングする為に用いることができる。すなわち、新たに同定されたビタミンD3受容体を用いて、被験化合物との結合を測定する、あるいは同定に用いたビタミンD3誘導体との競合反応を測定すればよい。これらのスクリーニング方法は、表面プラズモン共鳴をはじめとする種々の方法によって行うことができる。
【0052】
スクリーニングに用いられる被験化合物や被験試料は、特に制限はなく、例えば、ペプチド、精製もしくは粗精製タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、微生物発酵産物、海洋生物抽出液、植物出出液、細胞抽出液等を適宜用いることができる。これらの被験化合物は新規な化合物であってもよいし、既知の化合物であってもよい。
【0053】
本発明の上記方法によって見出すことができる新たな化合物、例えば、ビタミンD3受容体アゴニストもしくはアンタゴニストは医薬品として有用である。特に、該化合物は、例えば、骨粗鬆症、悪性腫瘍の骨転移等の骨関連疾患のための治療薬となることが期待される。
【0054】
本発明の方法によって取得されるビタミンD3受容体アゴニストおよびアンタゴニストも本発明に含まれる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物をヒトや他の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、チンパンジーの医薬品として使用する場合、常用される手段に従って実施することができる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物を有効成分として含有する医薬組成物は、当業者に公知の方法により、薬学的に許容し得る賦形剤、安定剤等と共に製造することができる。
【0055】
さらに本発明は、本発明の上記方法に使用するための、ビタミンD3誘導体が固定化された担体を提供する。より具体的には、ビタミンD3誘導体がリンカーを介して固定化された、表面プラズモン共鳴センサーチップを挙げることができる。本発明の該チップは、体積変化の測定において、ビタミンD3誘導体を固定化したチップを使用することによって、信頼性の高い測定を実現した点においても有用である。また本発明によれば、ビタミンD3受容体に結合する化合物の探索、あるいはビタミンD3誘導体に結合する新規ビタミンD3受容体の探索を、体積変化を指標として行うことができる。体積変化を指標とすることにより、少量の試料で迅速な測定が可能な表面プラズモン共鳴を利用することができる。
【0056】
本発明では、複数のビタミンD3誘導体を同一の担体に固定化することができる。表面プラズモン共鳴を測定する場合には、担体であるセンサーチップの表面に2種以上の複数のビタミンD3誘導体を混合して固定化してもよいし、予め固定化する位置を特定し、別々に固定化してもよい。混合して固定化する場合には、センサーチップ上に平均して複数のビタミンD3誘導体が固定化されることになる。混合して固定する方法では、表面プラズモン共鳴のシグナルの強度を比較することにより、複数のビタミンD3誘導体に対する結合活性を比較、測定できる。
【0057】
例えば、構造の異なる2種類のビタミンD3誘導体を混合して固定化し、被験化合物を反応させた場合、固定化した2種のビタミンD3誘導体の一方にしか結合しない被験化合物は、両方に結合する被験化合物に比べ、表面プラズモン共鳴の強度が約半分になる。構造の異なるビタミンD3誘導体を混合して固定化する場合には、固定化するビタミンD3誘導体の種類は、好適には20種類以下、より好適には10種類以下、さらに好適には5種類以下、最も好適には3種類以下である。また、センサーチップを任意に区分し、固定化する位置と固定化したビタミンD3誘導体を予め特定しておいてもよい。この場合、当該特定の位置には一種類のビタミンD3誘導体しか固定化されていないことになる。センサーチップ上の特定の位置にビタミンD3誘導体を固定化し、特定の箇所に生じた表面プラズモン共鳴のシグナルの変化を観測すればよい。
【0058】
センサーチップ上に固定化する固定化分子種の数は1平方センチメートルあたり、好ましくは4以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは100以上、最も好ましくは1000以上の異なるビタミンD3誘導体である。多くの固定化分子を特定の位置に固定化する方法としては、DNAチップ作成技術を応用することができる(Schena M. et al (1995) Science, vol 270, p 467.; Shalon D. et al (1996) Genome Res., vol 6, p 639.; Lemieux B. et al (1998) Mol. Breeding, vol 4, p 277.; Fodor S.P.A. et al (1991) Science, vol 251, p 767.; Blachard A. (1998) In Genetic Engineering, principles and methods (ed. J. Setlow), vol 20, Plenum Press.; Khrapko K.R. et al (1991) Mol. Biol., vol 25, 581.; Schena M. et al (1998) Trends Biotechnol., vol 16, p 301)。
【0059】
例えば、複数種のビタミンD3誘導体を同一のセンサーチップ上の特定の位置に固定化し、同時に被験化合物と反応させ、各固定化箇所に応じた表面プラズモン共鳴のシグナルの変化を測定すればよい。これにより、被験化合物の各ビタミンD3誘導体に対する特異性を検出することが可能になる。また、それぞれのリガンドに対応する受容体の混合物と被験化合物とを同時に反応させれば、特異性のあるアゴニストまたはアンタゴニストを同定することができる。本方法では多くの被験化合物を短時間で簡便に取り扱うことが可能であり、スクリーニング方法として有用である。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0061】
[実施例1] アミノアルキルビタミンD3誘導体((1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(以下ED-533と称す))の合成(合成までのスキームを図2に示す)
(1)(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エンの合成
(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)プレグナ-5-エン-20-メタノール(Chem. Pharm. Bull. 39(12), 3221 (1991), 34.14g)、トリフェニルホスフィン(18.62 g)、イミダゾール(5.24 g)およびジクロロメタン(350 ml)の混合物に、氷冷下、ヨウ素(16.52 g)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物を、減圧下溶媒を留去し、得た残渣にヘキサンを加え、不溶物を濾別した。得られた濾液をチオ硫酸ナトリウム水溶液、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルで洗浄し、(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エン(36.63 g, 90%)を白色固体として得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03 (3H, s), 0.04(3H, s), 0.05(3H, s), 0.07(3H, s), 0.72(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 0.96(3H, s), 2.13-2.37(2H, s), 3.11-3.21(1H, m), 3.34(1H, d, J=8.9Hz), 3.77(1H, brs), 3.91-4.06(1H, m), 5.41-5.49(1H, m).
【0062】
(2)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オンの合成
塩化ニッケル6水和物(9 g)、亜鉛末(12.4 g)、メチルビニルケトン(14.8 g)およびピリジン(200 ml)の混合物を60℃で30分間攪拌した後、室温に冷却した。室温で(1α,3β,20S)-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-20-ヨードメチル-プレグナ-5-エン(20 g)、テトラヒドロフラン(50 ml)およびピリジン(100 ml)の混合物を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過した。濾液を0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オン(16.8 g, 91%)を白色固体として得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03 (3H, s), 0.04(3H, s), 0.05(3H, s), 0.07(3H, s), 0.67(3H, s), 0.88(9H, s), 0.88(9H, s), 2.13 (3H, s), 3.77(1H, brs), 3.91-4.06(1H, m), 5.41-5.49(1H, m).
【0063】
(3)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体の合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5-コレステン-25-オン(16.8 g)、N-ブロモスクシンイミド(6.14 g)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(1.3 g)およびヘキサン(200 ml)の混合物を15分間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、不溶物を濾過した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣にトルエン(200 ml)およびγ-コリジン(13.3 ml)を室温で順次加え、2.5時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、不溶物を濾過した後、ヘキサンで希釈し、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣にジクロロメタン(200 ml)および4-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジオン(4.7 g)を室温で順次加え、室温で45分間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:ジクロロメタン=8:1:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体(7.8 g, 36%)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.07 (3H, s), 0.08(3H, s), 0.10(3H, s), 0.13(3H, s), 0.80(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 2.14 (3H, s), 3.18-3.30(1H, m), 3.84(1H, brs), 4.69-4.85(1H, m), 6.21(1H, d, J=8.4Hz), 6.37(1H, d, J=8.4Hz), 7.34-7.49(m, 5H).
【0064】
(4)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オンの合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン 4-フェニル-1,2,4-トリアゾリン-3,5-ジオン付加体(5.7 g)および1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(57.1 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、150℃で攪拌した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン(3.3 g, 74%)を淡黄色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03-0.08(9H, s), 0.10(3H, s), 0.61(3H, s), 0.88(9H, s), 0.88(9H, s), 2.13(3H, s), 2.69-2.82(1H, m), 3.69(1H, brs), 3.97-4.11(1H, m), 5.25-5.34(1H, m), 5.52-5.61(1H, m).
【0065】
(5)1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オールの合成マグネシウム末(3.3 g)、10-((トリエチルシリル)オキシ)デカニルブロミド(4.8 g)およびテトラヒドロフラン(30 ml)の混合物にアルゴン雰囲気下、50℃でエチレンブロミドを数滴加え、30分間攪拌した。反応混合物に1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オン(2.2 g)およびテトラヒドロフラン(10 ml)の混合物を50℃で加え、同温度で終夜攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色油状物(3.97 g)を得た。得られた無色油状物(3.97 g)およびテトラヒドロフラン(50 ml)の混合物に、テトラブチルアンモニウムフロリド(1Mテトラヒドロフラン溶液、10 ml)を室温で加え、同温度で15分間攪拌した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オール(1.74 g, 63%)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
1H NMR (CDCl3) δ:0.03-0.08(9H, s), 0.11(3H, s), 0.62(3H, s), 0.88(9H, s), 0.89(9H, s), 2.28-2.41(2H, m), 2.71-2.83(1H, m), 3.57-3.74(3H, m), 3.96-4.13(1H, m), 5.26-5.36(1H, m), 5.54-5.62(m, 1H).
【0066】
(6)(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールの合成
1α,3β-1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-5,7-コレスタジエン-25-オール(0.5 g)およびテトラヒドロフラン(350 ml)の混合物をアルゴン気流下、水冷で攪拌しながら、3時間UV光照射(ウシオ電機(株)製500Wキセノン−水銀ランプ紫外線照射装置295 nm干渉フィルター透過光)した。反応混合物をアルゴン雰囲気下2時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)- 1,3-ビス((1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル)オキシ)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-25-オールを含む混合物493 mgを得た。得られた混合物(493 mg)、テトラブチルアンモニウムフロリド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、16 ml)およびテトラヒドロフラン(10 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、45℃で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈後、0.5規定塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(159 mg, 45%)を得た。この化合物の理化学的性状は下記の通りである。
IR(neat):3338, 2927, 2850, 1711, 1466, 1377, 1261, 1057cm-1 ; 1H NMR (CDCl3) δ:0.54(3H, s), 2.54-2.65(1H, m), 2.76-2.90(1H, m), 3.63(2H, t, J=6.8Hz), 4.23(1H, brs), 4.43(1H, brs), 5.00(1H, s), 5.33(1H, s), 6.01(1H, d, J=11.1Hz), 6.38(1H, d, J=11.1Hz) ; MS(EI) m/z 540 (M+-H2O); UV (in EtOH) λmax 212.5, 264.5 nm.
【0067】
(7)(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールの合成
(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-ヒドロキシデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール(159 mg)、フタルイミド(63 mg)トリフェニルホスフィン(89 mg)およびテトラヒドロフラン(2.8 ml)の混合物にアルゴン雰囲気下、室温でアゾジカルボン酸ジエチルエステル(0.05 ml)をゆっくり加え、室温で1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)および薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:エタノール=5:5:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-フタルイミドデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールを含む混合物(240 mg)を得た。得られた混合物(240 mg)およびメチルアミン(40%メタノール溶液、8 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、室温で1時間攪拌した。反応混合物を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(富士シリシア化学製NH TLCプレート、ジクロロメタン:エタノール=10:1)で精製し、(1α,3β,5Z,7E)-25-(10-アミノデカニル)-27-ノル-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオールを8.8 mg(5.6%)(ED-533)を白色アモルファスとして得た。この化合物の理化学的性質は下記の通りである。また、ED-533の構造式を化学式1に示す。
IR(neat):3356, 2927, 2852, 1647, 1466, 1375, 1057cm-1 ; 1H NMR (CDCl3) δ:0.54(3H, s), 2.66(1H, t, J=7.0Hz), 2.77-2.88(1H, m), 4.15-4.28(1H, m), 4.35-4.44(1H, m), 4.98(1H, s), 5.32(1H, s), 6.01(1H, d, J=11.1Hz), 6.36(1H, d, J=11.1Hz) ; MS(EI) m/z 539 (M+-H2O); UV (in EtOH) λmax 210.8, 263.3 nm.
【0068】
【化1】
(化学式1)
【0069】
[実施例2] 検出系の確立
(1)使用機器および試薬
BIACORE3000、Sensor Chip CM5、HBS-EP (10 mM Hepes, 0.15 M NaCl, 3.4 mM EDTA, 0.05% Tween20, pH7.4 )、アミンカップリングキットはBiacore AB社から購入した。recombinant human Vitamin D3 receptor (VDR)は、Pan Vera Corp.社より購入した。
【0070】
(2)センサーチップへのED-533の固定化
Sensor Chip CM5 に上記実施例1で合成したED-533を固定化した。Running Buffer として5%DMSO添加HBS-EPを用い、流速は5μL / min とした。Sensor Chip CM5 上の carboxymethyl dextran のカルボキシル基を 100μLの0.05 M N-hydroxysuccinimide (NHS) / 0.2 M N-ethyl-N'- (3-dimethyl aminopropyl) - carbodiimide (EDC) のインジェクトにより活性化した。ED-533(1 mg/mL in EtOH)は、まずEtOHで1/4希釈し、さらに10 mM Na-Acetate Buffer, pH4.5を用いて1/10希釈したものを10〜40μLインジェクトし、アミンカップリング法にて固定化した。さらに、100μL のEthanolamine pH8.5をインジェクトすることにより、過剰の活性基をブロックした。さらに、10μL の 50% DMSO水溶液、50% PrOH/10% DMSO/50 mM HClをインジェクトすることにより、非共有結合をしている物質を洗浄した。
【0071】
(3)固定化されたED-533とVDRとの相互作用へのEtOH, DMSOの影響の検討
VDRは、100 nMになるよう10% Glycerol/2 mM DTT/HBS-EPを用い希釈した。
EtOH, DMSO の最終濃度0, 1, 2, 5%になるよう調製した100 nM VDR溶液、10μLをインジェクションすることで検討した。センサーチップの再生・洗浄は、15% PrOH/200 mM NaOH、5μLのインジェクションにより行った。
【0072】
その結果、固定化ED-533とVDRとの相互作用へのEtOH, DMSOの影響に関して、5% EtOHにおいても、5%DMSOにおいても、VDRの結合活性は保持されていることが明らかとなった。このことから、Running Buffer としては5%DMSO添加HBS-EPを用い、サンプル中のDMSO濃度も5%で以下の検討を行なった。
【0073】
(4)特異的相互作用の確認
100 nM VDRに1, 25(OH)2D3 の最終濃度が0, 10, 100, 1000 nMになるよう調製後、室温で1時間反応させたサンプル、10μLをインジェクションし、固定化ED-533への結合活性を検討した。結合シグナルを得た後に、センサーチップ以外の流路を50%DMSO水溶液により洗浄し、さらに、全流路を15% PrOH/5% DMSO/200 mM NaOH、10μLのインジェクションにより洗浄した。
【0074】
その結果、1, 25(OH)2D3 は、濃度依存的に固定化ED-533とVDRとの相互作用を阻害することが示された(図1)。0.1μM VDRを用いた場合、VDRの4倍モル濃度の1, 25(OH)2D3の添加で50%の結合阻害が確認された。これらの結果は、固定化ED-533とVDRとの結合は、VDRの1, 25(OH)2D3結合部位を介した特異的な結合であることを示している。
【0075】
(5)ビタミンD3誘導体による固定化ED-533とVDRとの結合の阻害活性の測定
100 nM VDRと種々のビタミンD3誘導体(最終濃度として0, 10, 100, 1000 nM)を、室温で1時間反応させた後、混合液をサンプルとして10μLインジェクションし、VDRの固定化ED-533への結合活性を検討した。結合シグナルを得た後に、センサーチップ以外の流路を50%DMSO水溶液により洗浄し、さらに、全流路を15% PrOH/5% DMSO/200 mM NaOH、10μLのインジェクションにより洗浄した。被験化合物であるビタミンD3誘導体としては、ED-533、OCT(1α,25-Dihydroxy-22-oxavitamin D3)(Drugs of the Future 21(12), 1229-1237 (1996))、およびED-71(2β-(3-Hydroxypropoxy)-1α,25-dihydroxyvitamin D3)(Kittaka A. et al, Organic Letters 2(17), 2619-2622 (2000))を用いた。OCTおよびED-71の構造式をそれぞれ化学式2および化学式3に示す。
【0076】
【化2】
(化学式2)
【0077】
【化3】
(化学式3)
【0078】
その結果、ED-533、OCT、ED-71はいずれもVDRの天然のリガンドである1, 25(OH)2D3とほぼ同等の阻害活性を有することが示され、これらの被験化合物はほぼ同等のVDR結合活性を有することが確認された(図1)。尚、これらの被験化合物のIC50値を表1に記載した。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
本発明により、ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合を簡便かつ精度高く検出できる方法が提供された。本方法は短時間で測定を終了することが可能であり、放射性同位体元素を用いた結合活性測定試験に比べ被験化合物に用いるタンパク質の結合活性の失活が少なく、信頼性のある実験データを取得することが期待される。また、本方法を利用することにより、ビタミンD3受容体と結合する化合物、または新規ビタミンD3受容体のスクリーニングが可能となった。本発明のスクリーニング方法によって取得される化合物は、骨関連疾患のための治療薬となるものと大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各濃度の被験化合物を添加した際に、固定化ED-533とVDRとの結合を阻害する活性を測定した結果を示した図である。縦軸はパーセント阻害率を、横軸は各被験化合物の濃度を示す。
【図2】 ED-533合成までのスキームを示す図である。
Claims (11)
- ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合の検出方法であって、
(a)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体とを接触させる工程、および
(b)該固定化されたビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法。 - 複数のビタミンD3誘導体を同一の担体に固定化することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 試料中に含まれる、ビタミンD3受容体の検出方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体に試料を接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法。 - 試料中に含まれる、ビタミンD3誘導体の検出方法であって、
(1)一定量のビタミンD3受容体を、試料と同時または試料との接触の後に、リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と接触させる工程、
(2)該ビタミンD3誘導体とビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法。 - 被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性の測定方法であって、
(1)リンカーを介して担体へ固定化されたビタミンD3誘導体と、ビタミンD3受容体および被験化合物とを接触させる工程
(2)該固定化されたビタミンD3誘導体と該ビタミンD3受容体との結合によって生じた体積変化を測定する工程、を含む方法。 - 体積変化を表面プラズモン共鳴によって測定する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 請求項5に記載の方法によって、被験化合物のビタミンD3受容体に対する結合活性を測定し、ビタミンD3受容体に対する結合活性を有する化合物を選択する工程を含む、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法に使用するための、1種または複数種のビタミンD3誘導体が固定化された担体。
- 担体が表面プラズモン共鳴センサーチップである請求項8に記載の担体。
- 請求項7に記載のスクリーニング方法によって選択された、ビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニスト。
- 請求項10に記載のビタミンD3受容体アゴニストまたはアンタゴニストを有効成分として含有する骨関連疾患治療薬。
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