JP2005255865A - 高度精製木酢液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 木酢液から生体有害物質であるメタノール及びホルムアルデヒドを除去するとともに、用途に応じてフェノールを除去するようにした高度精製木酢液の製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 木酢液を減圧蒸留して木酢液に含有するメタノールを除去した後、アミノ基含有生体高分子に接触させて木酢液に含有するホルムアルデヒドを除去して精製する高度精製木酢液の製造方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 木酢液を減圧蒸留して木酢液に含有するメタノールを除去した後、アミノ基含有生体高分子に接触させて木酢液に含有するホルムアルデヒドを除去して精製する高度精製木酢液の製造方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、木酢液、竹酢液(以下、竹酢液を含め木酢液と称する)に存在するフェノール、メタノール及びホルムアルデヒドを、清涼飲料水、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品等の用途に応じて除去するようにした高度精製木酢液の製造方法に関するものである。
木酢液は、樹木や樹皮を炭化する時に生じる排煙を冷却してできた液体であり、その代表的な成分には、酢酸、フェノール類、メタノール、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。そのうち、フェノール、メタノール、ホルムアルデヒドは生体有害物質であり、少なくともメタノール、ホルムアルデヒドを除去しない限り木酢液を清涼飲料水、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品等に利用できない。そのため、従来例としては、木酢液中にパパイヤ酵素によりフェノールを吸着して木酢液中の蛋白成分を分解して蒸留等で除去し易くした後、ロータリーエバポレータで低温減圧蒸留(温度40〜50℃)を行って、フェノールやホルムアルデヒドを除去して木酢液を製造する方法がある。(例えば、特許文献1参照)
上述のように木酢液には、酢酸、ポリフェノールなどの有効成分とともに、生体有害物質であるメタノール及びホルムアルデヒドを微量に含有しているが、現在では、病虫害駆除や生長促進などの目的で、農業や園芸等に使用されているほか、水虫、アトピーの改善などの目的で入浴剤、さらには、生体有害物質を除去し、含有量を抑えて、健康飲料として喘息、アトピー、糖尿病、高血圧、痛風、リュウマチ、肝機能の改善、便秘、痔等々に利用されている。しかし、木酢液に含有する有害なフェノール、メタノール及びホルムアルデヒドの含有が疑念視されており、化粧品、食品などとに広く活用するのに大きな障害となっており、活用範囲が絞られているのが現状である。
木酢液中のメタノール及びホルムアルデヒドは水と強固に水素結合しており、これらの物質は木酢液を通常の方法で蒸留したとしても水と結合した状態で蒸留され、木酢液からメタノール及びホルムアルデヒドを取り除くことが困難な面があった。そこで、木酢液を高温で蒸留することによりメタノールを除去することができるが、木酢液の品質を損なう恐れがあった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、木酢液から生体有害物質であるメタノール及びホルムアルデヒドを除去するとともに、用途に応じてフェノールを除去するようにした高度精製木酢液の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は鋭意検討した結果、以下のような発明を行った。請求項1の発明は、高度精製木酢液の製造方法において、木酢液中のメタノールを減圧蒸留して除去した後の蒸留木酢液を、アミノ基含有生体高分子に接触させてホルムアルデヒドを除去することを特徴とする高度精製木酢液の製造方法である。木酢液は、粗木酢液を3ケ月以上静置した上層の軽質油と下層の沈降タール(フェノール成分を含む)とを除いた中層の液体をろ過して蒸留したものであり、本発明では減圧蒸留して得られる蒸留木酢液にアミノ基含有生体高分子を接触させて、アミノ基含有生体高分子のアミノ基と蒸留木酢液中のホルムアルデヒドのカルボニル基とを選択的に結合させ、木酢液中のホルムアルデヒドを除去し、高度精製木酢液とする。また、粗木酢液は低温で採取したものが好ましい。
また、請求項2の発明は、前記減圧蒸留を複数回行ってメタノールを除去した蒸留木酢液を、前記アミノ基含有生体高分子に接触させることを特徴とする請求項1に記載の高度精製木酢液の製造方法である。上記複数回の減圧蒸留における初回の減圧蒸留の条件は、例えば、温度45〜55℃、圧力85〜91kPaであり、最後の減圧蒸留(高度蒸留工程)が、釜温度60〜64℃、釜内圧力20〜23kPaの条件下で行われている。
また、請求項3の発明は、前記減圧蒸留後の蒸留木酢液を、前記アミノ基含有生体高分子に通過させて概ね最初の処理液から所定処理量を体内摂取用とし、それ以降の処理液を医薬部外品用等とすることを特徴とする請求項2に記載の高度精製木酢液の製造方法である。なお、体内摂取用とは、清涼飲料水、食品添加剤、医薬品等の用途を示し、医薬部外品用等には化粧品などの用途を示している。
また、請求項4の発明は、前記減圧蒸留した蒸留木酢液を活性炭処理してフェノールを除去した後、再び減圧蒸留を行って蒸留木酢液中のメタノールを除去し、前記アミノ基含有生体高分子に接触させることを特徴とする請求項1に記載の高度精製木酢液の製造方法である。
また、請求項5の発明は、前記アミノ基含有生体高分子が、粒状、フィルム状、ペレット状、或いは特殊形状であることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の高度精製木酢液の製造方法であり、高度蒸留木酢液との接触面積が拡大できる形状が好ましい。
また、請求項6の発明は、前記アミノ基含有生体高分子がキトサンであり、該キトサンによるホルムアルデヒドの除去がカラム法又はバッチ法によることを特徴とする請求項1,2,3,4又5に記載の高度精製木酢液の製造方法である。
請求項1の発明では、高度精製木酢液の製造方法において、木酢液中のメタノールを減圧蒸留して除去した後の蒸留木酢液をアミノ基含有生体高分子に接触させてホルムアルデヒドを除去する高度精製木酢液の製造方法であり、メタノールとホルムアルデヒドが水と強固な水素結合をしているので、通常の蒸留ではこれらの物質を除去することができないが、減圧して蒸留温度を下げることによって、木酢液の品質を損なうことなく、メタノールを除去することができるし、メタノールが酸化反応してホルムアルデヒドに変わるおそれも解消される利点がある。また、蒸留後の木酢液(蒸留木酢液)をアミノ基含有生体高分子により処理し、アミノ基とホルムアルデヒドのカルボニル基とを選択的に結合してアミノ基含有生体高分子によりホルムアルデヒドを除去し、木酢液からメタノールとホルムアルデヒドを除去した高度精製木酢液を提供できる。
また、請求項2の発明では、減圧蒸留を複数回行ってメタノールを除去した後の蒸留木酢液を、前記アミノ基含有生体高分子に接触させる請求項1に記載の高度精製木酢液の製造方法であるので、メタノール及びホルムアルデヒドが除去され、しかもフェノール類も低減された高度精製木酢液であり、それ自体、或いは溶解又は希釈して体内摂取可能なものとすることができる。
また、請求項3の発明では、減圧蒸留後の蒸留木酢液を、アミノ基含有生体高分子に通過させて概ね最初の処理液から所定処理量を体内摂取用とし、それ以降の処理液を医薬部外品用等としており、アミノ基含有生体高分子は、蒸留木酢液体の通過量に依存してホルムアルデヒドの除去作用が悪くなるので、カラム法では、概ね最初の処理液から所定処理量までを体内摂取用として利用し、それ以降の処理液を化粧品などの医薬部外品用等に使用することにより、木酢液の用途を拡大することができるとともに、アミノ基含有生体高分子で処理した高度精製木酢液を溶解または希釈して使用すれば、清涼飲料水、食品添加剤、医薬品用等として利用できる処理液の範囲を拡大することができる。
また、請求項4の発明では、減圧蒸留した蒸留木酢液を活性炭処理してフェノールを除去した後、再び減圧蒸留を行って蒸留木酢液中のメタノールを除去し、アミノ基含有生体高分子に接触させることによって、フェノール類を除去することができるが、フェノール類には有用な成分も含まれており、用途に応じて活性炭処理工程を行うことにより、高度精製木酢液の精製工程に多様性を与えることができる。
また、請求項5の発明では、アミノ基含有生体高分子が、粒状、フィルム状、ペレット状、或いは特殊形状であるので、アミノ基含有生体高分子との接触面積を拡大して効果的に除去作用を促進させることができ、木酢液の高度精製における生産性に応じて任意の形態を選択して木酢液の高度精製が可能となる。
また、請求項6の発明では、アミノ基含有生体高分子がキトサンであり、キトサンによるホルムアルデヒドの除去がカラム法又はバッチ法による高度精製木酢液の製造方法であるので、木酢液の高度精製が用途に応じて製造できる。
以下、本発明における高度精製木酢液の製造方法の実施形態について、図1を参照して説明する。本実施形態における高度精製木酢液の製造方法は、図1に示したように、樹木を伐採した後、2ケ月以内の新鮮材を乾留して炭化させる過程で得られる粗木酢液を3ケ月以上静置してろ過する静置ろ過工程1を経て、静置ろ過木酢液(通常、これを木酢液と称する)とする。静置ろ過工程1では、上層の軽質油と下層の沈降タール(フェノール成分含有)と中層の液体とに分離し、中層の液体を静置ろ過木酢液とする。この静置ろ過木酢液は、減圧蒸留工程2を経て単式減圧蒸留した蒸留木酢液を得る。この減圧蒸留工程2では、例えば温度45〜55℃、圧力85〜91kPaの条件下で行う。
蒸留木酢液は、用途に応じて、(I)の第二の減圧蒸留工程3か、または(II)の活性炭処理工程6の何れかの処理工程に進む。先ず、(I)の第二の減圧蒸留工程3では、蒸留木酢液を、温度45〜55℃、圧力85〜91kPaの条件下で二度目減圧蒸留を行って二度蒸留木酢液とし、高度蒸留工程4に進む。高度蒸留工程4では、釜液温度60〜64℃、釜内圧力20〜23kPa、塔頂温度39〜62℃の条件下で高度蒸留木酢液を得る。この高度蒸留木酢液はバッチ法或いはカラム法によるアミノ基含有生体高分子処理工程5により処理され、ホルムアルデヒドを選択的に除去して高度精製を行う。
(II)の活性炭処理工程6では、蒸留木酢液を活性炭処理し、活性炭処理蒸留木酢液とし高度蒸留工程7に進む。高度蒸留工程7は、高度蒸留工程4と同一の条件下で減圧蒸留する。その後、この活性炭処理高度蒸留木酢液は、バッチ法或いはカラム法によるアミノ基含有生体高分子処理工程8により処理され、ホルムアルデヒドを選択的に除去し高度精製を行う。
なお、アミノ基含有生体高分子処理工程5及び8におけるホルムアルデヒドの除去は、カラム法とバッチ法とがあり、カラム法はアミノ基含有生体高分子層を通過させてホルムアルデヒドを除去する方法であり、バッチ法はメタノールを除去した木酢液にアミノ基含有生体高分子を加えて撹拌してホルムアルデヒドを除去する方法である。
また、アミノ基含有生体高分子には、例えばキトサンがあり、このアミノ基と木酢液に含まれるホルムアルデヒドのカルボニル基とを選択的に結合させ、木酢液中のホルムアルデヒドを除去する。このアミノ基含有生体高分子は、木酢液との接触面積がより大きい方が好ましく、粒状、フィルム状、ペレット状、特殊形状等の形状とする。
カラム法により処理して得られた高度精製木酢液は、概ね最初の処理液から所定処理量を体内摂取用とし、それ以降の処理液を医薬部外品用等とし、木酢液の用途を分けることにより、一層安全性が確保されて広い用途に活用することができる。なお、これらの高度精製木酢液を溶解したり、或いは希釈したりして使用することにより、清涼飲料水、食品、化粧品、医療品等の原料として活用範囲を拡大することができる。
以下、本発明の実施例について図1〜図6を参照して詳細に説明する。なお、本実施例は本発明を限定するものではない。先ず、木酢液中のメタノールとホルムアルデヒドを除去する高度精製木酢液の製造方法について説明する。先ず、本実施例の原材料は、80%以上を樫材を含む広葉樹を対象としている。因みに、原材料として、広葉樹にはナラ、クヌギ、ブナ、カシなどがあり、針葉樹にはスギ、ヒノキ、マツなど、竹類にはタケ、ササ類に分類される。さらに、オガ粉、樹皮、剪定枝、オガライト、及び上記原材料の混合物が対象である。木酢液の用途に応じて選別して使用し、建築廃材等は対象外とする。
原材料が炭化する時の排煙を、煙突で自然冷却して液化し、粗木酢液を得る。採取温度は、排煙口で排煙口温度が80〜150℃の温度範囲で採取する。このような低温で採取した粗木酢液には溶解タール分が少なく、3,4−ベンツピレン・1,2,5,6−ジアンゾアントラセン・3−メチルコランスレンなどの発ガン性物質を含まない。従って、木酢液の用途が、土壌改良剤や防虫剤といった用途以外に、清涼飲料水・食品・医療品・医薬部外品等の用途に拡大できる。
この粗木酢液は、静置ろ過工程1を経て、直径が5〜20mm程度の白炭・黒炭・竹炭の層を通してろ過する。このろ過木酢液を6000リットルのタンクで3ケ月以上静置する。3ケ月以上の期間が経過した後、タンクの上層の油膜を除去して中層の木酢液を5000リットルを取り出し、下層の沈降タール(フェノール成分含有)を含む木酢液を残す。この中層の木酢液は、1ミクロンのフィルタを用いて概ね毎分50リットルの速度でろ過する。この木酢液を静置ろ過木酢液とする。
静置ろ過木酢液は、第1の減圧蒸留工程2で処理される。減圧蒸留工程2では、静置ろ過木酢液400リットルを温度45〜50℃、圧力約91kPaの条件下で減圧蒸留を行い、初留分を8%を除去した後、引き続き温度45〜50℃、圧力85〜91kPaの条件下で減圧蒸留し、75%の蒸留液を採取する。この木酢液を蒸留木酢液とする。この第1の減圧蒸留工程2では、タール分を0.02%以下に減少させるとともに、メタノールの含有量を蒸留前の半分以下に減少させることができる。
蒸留木酢液は、(I)の第2の減圧蒸留工程3で処理される。第2の減圧蒸留工程3では、蒸留木酢液300リットルを、温度45〜50℃、圧力約91kPaの条件下で減圧蒸留を行い、初留分17%除去した後、引き続き温度45〜55℃、圧力85〜91kPaの条件下で減圧蒸留し、67%の蒸留液を採取する。この減圧蒸留工程によって、メタノールの含有量を、蒸留木酢液の20%以下(200mg/l以下)に減少させる。この木酢液を二度蒸留木酢液とする。
二度蒸留木酢液は、高度蒸留工程4で処理され、高度蒸留木酢液が精製される。高度蒸留工程4は、塔頂圧力を20kPaに設定した高度蒸留装置で、釜液温度60〜64℃、釜内圧力20〜23kPa、塔頂温度39〜62℃で減圧蒸留を行い、初留を20%除去した後、引き続き塔頂圧力を20kPaに設定し、釜液温度60〜64℃、釜内圧力20〜23kPa、塔頂温度39〜62℃の条件下で減圧蒸留を行い、50%の蒸留液を採取する。この高度蒸留により、メタノールの含有量を1ppm以下に減少させる。このようにして高度蒸留木酢液が精製される。
高度蒸留木酢液は、アミノ基含有生体高分子処理工程5で処理される。アミノ基含有生体高分子処理工程5は、例えばキトサン処理工程であり、キトサンのアミノ基とホルムアルデヒドのカルボニル基を選択的に結合させ、木酢液中のホルムアルデヒドを4ppm以下に減少させることができる。このように精製された木酢液を高度精製木酢液とする。このキトサン処理工程は、用途に応じてバッチ式5aとカラム式5bの何れかが採用される。バッチ式5aは高度蒸留木酢液にキトサンを加え、エアーで撹拌して行う。カラム式5bではカラム内の石英ウール間にキトサンを充填し、高度蒸留木酢液をキトサン層を通過させる。なお、キトサンは形状が粒状のものを使用し、粒径が177〜420μm、比表面積が70〜100m2/g、交換容積が1.56meq/ml、配位基がポリアミンのものを使用した。なお、キトサン形状が、綿状、膜状なども同様の効果を確認した。
上記各工程における成分を表1に示す。表1から明らかなように、フェノール類は、静置ろ木酢液中が0.3%であるが、高度精製木酢液中では0.07%に低減した。フェノール類の低減にも効果的であることが分かる。
次に、アミノ基含有生体高分子処理工程5のバッチ式(回分式)5aによるキトサンにおける破過容量を求める実験を行った。高度蒸留(減圧蒸留)した木酢液にキトサンを加え、エアーで撹拌しながら木酢液をキトサンと接触させた。木酢液量(ml)とキトサン量(ml)とは、A,B,C,D,E,Fの比率(A=500:1,B=500:2,C=500:5,D=500:10,E=500:20,F=500:40)とし、0,0.5,10,15,30,60,120,180,240分毎に溶液を10ml採取し、各溶液のホルムアルデヒド濃度を測定した。その測定結果を表2に示す。図2は表2の測定結果をグラフに示したものである。図2から明らかなように、木酢液500mlに対しキトサンを10ml接触させると、ホルムアルデヒドの約63%が除去され、木酢液500mlに対してキトサン40mlを接触させると、ホルムアルデヒドは全て除去できることを確認した。
次に、カラム法5bによるホルムアルデヒドを除去する方法を説明する。カラム法は粒状のキトサン100mlをカラムに充填し、その上下に詰めた石英ウールでキトサンを固定し、高度蒸留木酢液5000mlを流速100ml/30分でカラムに通し、キトサンの容積の60%の初留を除去した後、検出液を110ml毎に採取し、それぞれのホルムアルデヒド濃度を測定した。その測定結果を表3に示した。図3は表3の測定結果をグラフで示した。
その結果、表3及び図3から明らかなように、キトサン100mlでは、約2400mlの高度蒸留木酢液中のホルムアルデヒドを90%除去することができたが、それ以降は徐々にホルムアルデヒド除去能力が低下し、高度蒸留木酢液3500ml以降はホルムアルデヒドの除去が確認できなかった。つまり、キトサンは、その容積の約35倍までの高度蒸留木酢液に含まれるホルムアルデヒドを除去できることを示唆している。
次に、(II)の活性炭処理による高度精製木酢液の製造方法について説明する。製造工程に活性炭処理を加えると、フェノールをより低減できる。上記説明した減圧蒸留工程2で得られた蒸留木酢液をタンクに300リットル入れ、活性炭3kgを入れた。活性炭は、粉状であり、粒度が60〜500mesh、表面積が1.1517m2/gであり、細孔面積1.23ml/g、平均細孔面積が32.3Aのものを使用した。このタンクに概ね毎分46リットルの空気を送り込みながら16時間撹拌した。撹拌後、24時間静置して活性炭を沈殿させろ過し、270リットルの木酢液を得た。そして、この木酢液270リットルに再度3kgの同種の活性炭を入れ、空気を送り込みながら16時間撹拌した。その後、24時間静置して活性炭を沈殿させろ過し、250リットルの木酢液を得た。この活性炭処理蒸留木酢液では、メタノールを30ppm以下に減少させることができた。
活性炭処理蒸留木酢液は、高度蒸留工程7の高度蒸留装置で処理する。高度蒸留装置の塔頂圧力を20kPaに設定し、釜液温度が60〜64℃、釜内圧力が20〜23kPa、塔頂温度39〜62℃で減圧蒸留を行い、初留の10%を除去した。引き続き、高度蒸留装置の塔頂圧力、釜液温度、釜内圧力、塔頂温度の各条件を前の条件と同じにして、減圧蒸留を行い、60%の蒸留液を採取した。この高度蒸留では、メタノールの含有量が1ppm以下に減少した活性炭処理高度蒸留木酢液を得た。
(II)の活性炭処理による工程の木酢液中の成分を表4に示す。
この活性炭処理高度蒸留木酢液は、アミノ基含有生体高分子処理工程8により処理する。アミノ基含有生体高分子処理工程8はバッチ法8a又はカラム法8bにより、活性炭処理高度蒸留木酢液中のホルムアルデヒドを4ppm以下,フェノール類を0.05%以下に減少させる。
バッチ法8aでは、活性炭処理蒸留木酢液にキトサンを加え、撹拌しながら木酢液をキトサンと接触させる。木酢液量(ml)とキトサン量(ml)との比率は、A=500:1、B=500:2,C=500:5,D=500:10、E=500:20、F=500:40とし、0,0.5,10,15,30,60,120,180,240分毎に溶液を10ml採取し、各溶液のホルムアルデヒド濃度を測定した。その結果、活性炭処理蒸留木酢液500mlに対しキトサン10mlを接触させると、ホルムアルデヒドの63%が除去されており、活性炭処理蒸留木酢液500mlに対しキトサンを40ml接触させると、表5に示す測定結果を得た。図4は、表5をグラフで示したものであり、図4から明らかなように、ホルムアルデヒドは全て除去することができることが分かった。
カラム法8bでは、カラムにキトサン50mlを充填した。その上下に詰めた石英ウールでキトサンを固定した。流速100ml/15分で活性炭処理蒸留木酢液3500mlをカラムに通し、キトサン量の60%の初留を除去した後、検出液を100ml毎に採取し、それぞれのホルムアルデヒド濃度を測定した。その結果、キトサン50mlでは、約900mlの活性炭処理蒸留木酢液中のホルムアルデヒドを90%除去できた。しかし、それ以降は徐々にホルムアルデヒド除去能力が低下し、活性炭処理蒸留木酢液2400ml以降はホルムアルデヒドの除去が確認されなかった。キトサンは約48倍以下の活性炭処理蒸留木酢液中のホルムアルデヒドを除去できることが分かった。表6はその測定結果を示し、図5は表6の結果をグラフで示した図である。
また、本実施例では、二度蒸留木酢液の高度蒸留木酢液をカラム法によりホルムアルデヒドを除去する場合、図6(a),(b)に示したように、高度蒸留木酢液の通過量が一定量を超えると、カラムを通過した高度蒸留木酢液中のホルムアルデヒド濃度が高くなる傾向がある。そこで、減圧蒸留後の所定量の高度蒸留木酢液を、カラムでキトサン処理した際に、概ね最初の処理液から所定処理量を体内摂取用として利用し、それ以降の処理液は医薬部外品用等として利用する。なお、体内摂取用とは、清涼飲料水、食品添加剤、医薬品用等の用途を示し、医薬部外品用等には化粧品などの用途が含まれる。なお、カラムを通過した最初の処理液はキトサンの容積量の60%の初留は捨てる。活性炭処理高度蒸留木酢液のカラム法で処理する場合も同様である。
本発明は、木酢液が高品質に精製されており、この高度精製木酢液(活性炭処理高度精製木酢液を含む)はそれ自体、若しくは希釈又は添加して、清涼飲料水又は機能性食品として利用することができるほか、水虫やアトピー性皮膚炎などの肌荒れ改善を目的とした化粧品や医薬部外品等に利用することができる。また、喘息・アトピー性症状・糖尿病・痛風・リュウマチ・肝機能の改善・便秘・痔等々の改善を目的とする健康食品や医薬品に添加して利用することができる。
1 静置ろ過工程
2 減圧蒸留工程
3 減圧蒸留工程
4 高度蒸留工程
5,8 アミノ基含有生体高分子処理工程
6 活性炭処理工程
7 高度蒸留工程
2 減圧蒸留工程
3 減圧蒸留工程
4 高度蒸留工程
5,8 アミノ基含有生体高分子処理工程
6 活性炭処理工程
7 高度蒸留工程
Claims (6)
- 高度精製木酢液の製造方法において、木酢液中のメタノールを減圧蒸留して除去した後の蒸留木酢液を、アミノ基含有生体高分子に接触させてホルムアルデヒドを除去することを特徴とする高度精製木酢液の製造方法。
- 前記減圧蒸留を複数回行ってメタノールを除去した蒸留木酢液を、前記アミノ基含有生体高分子に接触させることを特徴とする請求項1に記載の高度精製木酢液の製造方法。
- 前記減圧蒸留後の蒸留木酢液を、前記アミノ基含有生体高分子に通過させて概ね最初の処理液から所定処理量を体内摂取用とし、それ以降の処理液を医薬部外品用等とすることを特徴とする請求項2に記載の高度精製木酢液の製造方法。
- 前記減圧蒸留した蒸留木酢液を活性炭処理してフェノールを除去した後、再び減圧蒸留を行って蒸留木酢液中のメタノールを除去し、前記アミノ基含有生体高分子に接触させることを特徴とする請求項1に記載の高度精製木酢液の製造方法。
- 前記アミノ基含有生体高分子が、粒状、フィルム状、ペレット状、或いは特殊形状であることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の高度精製木酢液の製造方法。
- 前記アミノ基含有生体高分子がキトサンであり、該キトサンによるホルムアルデヒドの除去がカラム法又はバッチ法によることを特徴とする請求項1,2,3,4又5に記載の高度精製木酢液の製造方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011157350A (ja) * | 2010-01-06 | 2011-08-18 | Yasuhiro Takano | 液状組成物 |
CN102512961A (zh) * | 2011-10-28 | 2012-06-27 | 商丘三利新能源有限公司 | 一种木醋酸纯化工艺 |
CN104327874A (zh) * | 2014-11-05 | 2015-02-04 | 华文蔚 | 制备木酢液的方法 |
CN111346080A (zh) * | 2018-12-21 | 2020-06-30 | 张家界大德酿造有限公司 | 一种九曲香酯醋制剂在制备治疗痛风药物中的应用 |
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2004
- 2004-03-12 JP JP2004070156A patent/JP2005255865A/ja active Pending
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