JP2005255062A - ケーブル式ステアリング装置 - Google Patents

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Mitsuo Yabuzuka
光生 藪塚
Isao Fujio
勲 藤生
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Abstract

【課題】駆動プーリ又は従動プーリの溝からインナーケーブルが離れてゆくときに、そのインナーケーブルに角状の急激な折曲が生じることなく、極めて緩やかな弧状の折曲状態にしてインナーケーブルを保護するケーブル式ステアリング装置とすること。
【解決手段】 円筒状のプーリ本体部1と、その外周側面に形成された螺旋状溝部2を有する駆動プーリAと、該駆動プーリAの軸方向端部に一端が固着され,直径方向にて反対側から軸方向中心に向かって巻き付けられた2本のインナーケーブル5,6と、前記駆動プーリAと同等の螺旋状溝部2を有し,前記2本のインナーケーブル5,6が巻き付けられて前記駆動プーリAの回動に伴って回動する従動プーリBとからなること。螺旋状溝部2の傾き角方向Lに直交する形状は、対向する溝壁面2bが前記プーリ本体部1の直径方向を外方に向かうに従い次第に拡がり且つ溝壁面2bは、略弧状面に形成されてなること。
【選択図】図10

Description

本発明は、プーリとケーブルを使用したステアリング装置において、駆動プーリ又は従動プーリの溝からインナーケーブルが離れてゆくときに、そのインナーケーブルに角状の急激な折曲が生じることなく、極めて緩やかな弧状の折曲状態にしてインナーケーブルを保護することができるケーブル式ステアリング装置に関する。
ステアリング装置の構造において、ケーブル式ステアリング装置が存在する。このケーブル式ステアリング装置は、ステアリングシャフトの端部にワイヤー駆動手段を設け、インナーケーブルを介して車輪を操舵するギヤボックスのシャフトの端部にワイヤー従動手段を設けて、ステアリングシャフトのハンドル回転をインナーケーブルを介して車輪に伝えて操舵するものである。この種のステアリング装置は、下記特許文献1(特開2000−108910)に開示された従来技術に記載されている。
この特許文献1によれば、ステアリングシャフトを介してハンドル操作によって回転する駆動プーリと、2本のインナーケーブルと、操舵機構に回転動作を伝達する従動プーリとから構成されている。前記駆動プーリ及び従動プーリには、その外周側面に軸方向に沿って螺旋状の溝が形成されている。前記駆動プーリ及び従動プーリは、プーリハウジングに回動自在に支持収納され、ケーブルは、それぞれのプーリハウジングより引き出されて接続されている。その各プーリハウジングの引き出し部は、各プーリの軸方向中央位置に対応する位置となるように設けられている。
ステアリングの中央位置(中立状態)付近では、各プーリから引き出されたインナーケーブルは、プーリハウジングのインナーケーブルが出入する箇所に口金が配置され、プーリハウジングの口金箇所から外部には、両プーリハウジング間を繋ぐチューブが設けられ、該チューブ内に前記インナーケーブルが内装されている。そして、駆動プーリが、ハンドル操作により、回転すると、2本のインナーケーブルの内の一方のインナーケーブルがプーリに巻き取られ、他方のインナーケーブルがプーリから離れてゆくことにより、インナーケーブルが従動プーリに回転運動を伝達する。
その口金は、前記プーリの軸方向の略中央に位置するようにしてプーリから適宜離れた箇所に位置してプーリハウジングに装着されている。この口金箇所は、略水平に引き出部に向かう状態となり、ステアリングの回転操作のときには、プーリハウジング内で、プーリ本体部の溝から引き出されたインナーケーブルは、中立位置では、プーリの軸方向に対して略直角であるが、ハンドルを操作して車に左右の旋回を行うときには、溝に巻きついているインナーケーブルが溝から引き離される。
この引き離しが始まる箇所を分離点とすると、プーリ本体部の回転とともに、インナーケーブルとプーリとの分離点が軸方向に沿って次第にプーリの軸方向端部に移動してゆく。この分離点がプーリの軸方向の端部に向かうに従い、インナーケーブルの前記口金箇所と分離点との間における張力方向と、螺旋状溝の傾き角方向との間で方向が変化し、インナーケーブルは、分離点箇所で角状に折曲することになる。
特開2000−108910
この装置は、プーリに巻き付けられているインナーケーブルが、ハンドルを左右に操作することによって、プーリ溝における分離点で、ほとんど折れ曲がって、口金を通過してアウターチューブの内部に案内される。このインナーケーブルの折曲状態は、前記プーリの軸方向の端部に向かうにしたがってその折曲角度が大きくなる傾向にある。この状況は、ハンドルを左右に操作したときに、インナーケーブルがプーリの溝部から離れ始める分離点の位置がプーリの軸方向側の間で移動して、その分離点がプーリの軸方向端溝に移動したときに、溝部に巻きついているインナーケーブルと、その溝部から離れてゆくインナーケーブルとの間に折曲部分ができ、この部分においてインナーケーブルが溝部の側壁と擦れあい、インナーケーブルに大きな負担がかかることになる。
そこで、プーリ溝の中心寄りの側壁をプーリの半径方向外側に向かって開くように傾斜させて、プーリ溝からインナーケーブルが離れる分離点でインナーケーブルが側壁に擦れるのを防ぐものとして特開2000−108910に開示されている。しかし、プーリ溝の溝側壁は、単に傾斜させた平坦面で形成されており、図11に示すように、インナーケーブルは、その傾斜面と溝部の外周箇所の縁(溝外端縁)によって、分離点で角度θを有して折れ曲がる。特に、溝外端縁が鋭利に形成されていると、この溝外端縁がインナーケーブルに対して線接触状態となり、インナーケーブルに急激な折曲を生じさせることになる。
この屈曲箇所によってインナーケーブルは、張力の方向が急激に変化しつつ、溝の側壁面と擦れ合い、さらに溝外端縁にて常時,角箇所によって集中荷重を受けることになる。このような状態で、プーリの溝部からインナーケーブルが離れたり、巻き付いたりすることが長期に亘って行なわれると、やがてインナーケーブルを保護するために施されたコーティングが剥離してしまうおそれがある。さらに、インナーケーブルには、常時張力以外に局部的に曲げがかかり、その荷重的な負担にてインナーケーブルの耐久性も劣化し、プーリとインナーケーブルとの良好な回転伝達を長期に亘って維持することが難しくなる。本発明が解決しようとする技術的課題(又は目的)は、そのインナーケーブルに急激な折曲が生じることなく、極めて緩やかな折曲状態にしてインナーケーブル及びプーリを保護し、長期に亘って安定したハンドル操作を行なうことができるようにすることにある。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、本発明を、円筒状のプーリ本体部と、その外周側面に形成された螺旋状溝部を有する駆動プーリと、該駆動プーリの軸方向端部に一端が固着され,直径方向にて反対側から軸方向中心に向かって巻き付けられた2本のインナーケーブルと、前記駆動プーリと同等の螺旋状の螺旋状溝部を有し,前記2本のインナーケーブルが巻き付けられて前記駆動プーリの回動に伴って回動する従動プーリとからなり、前記螺旋状の螺旋状溝部の傾き角方向に直交する形状は、対向する両溝壁面が前記プーリ本体部の直径方向を外方に向かうに従い次第に拡がり且つ両溝壁面は、略弧状面に形成されてなるケーブル式ステアリング装置としたことにより、上記課題を解決したものである。また、上述の構成において、前記螺旋状溝部の外周端縁は断面略円弧状に形成したり、或いは前記螺旋状溝部の深さは、前記インナーケーブルの直径よりも大なるケーブル式ステアリング装置としたことにより上記課題を解決したものである。
請求項1の発明によれば、インナーケーブルがプーリの分離点から離れるときに、そのインナーケーブルは、弧状の溝壁面によって、分離点箇所で急激な角状の折曲が生じることがなく、緩やかな円弧状の折曲となり、インナーケーブルがその張力によってプーリから集中的な荷重を受けにくい構成とし、インナーケーブル及びプーリを保護することができる。また、請求項2の発明によれば、分離点からインナーケーブルが外周端縁に接触しても、外周端縁がインナーケーブルに対して鋭利に作用することなくインナーケーブルに対する負担を減少させることができる。請求項3の発明によれば、特にインナーケーブルは、分離点箇所から離れてゆくときに溝壁面による案内面積を広くすることができ、より一層安定且つ荷重的負担の少ない構成にすることができる。
以下、本発明の最良の形態を図面に基づいて説明する。本発明は、図10に示すように主に駆動プーリA,従動プーリB,2つのインナーケーブル3,4から構成されている。その駆動プーリAは、プーリ本体部1と螺旋状溝部2とから構成され、そのプーリ本体部1は、合成樹脂やアルミニウム合金材や焼結材等で成形される。また、その駆動プーリAには、2本のインナーケーブル3,4が巻き付けられている。また、従動プーリBは、前記駆動プーリAと略同一構造をなしており、駆動プーリAと同様に、プーリ本体部1と螺旋状溝部2とから構成されている。そして、前記駆動プーリAがハンドル10操作側のプーリハウジング6に軸8を介して装着され、従動プーリBが操舵側のプーリハウジング6に軸9を介して装着されている。
2本のインナーケーブル3,4は、図8,図9等に示すように、前記駆動プーリAのプーリ本体部1の軸方向の両端側,すなわち軸方向において相互に反対側となる位置から2本のインナーケーブル3,4の各一端側がボルト,ビス等の固着具5にて固着される。そして、その螺旋状溝部2の周方向に対して相互に反対方向となるように前記螺旋状溝部2に巻き付けられている。その2本のインナーケーブル3,4は、前記螺旋状溝部2の軸方向の端部から、軸方向中央(略中央を含む)箇所に向かって巻き付けられ、そのプーリ本体部1の軸方向中央箇所で且つ直径方向両端箇所から分離して離れてゆくものである。
それぞれのインナーケーブル3,4は、プーリハウジング6の内部を通過して、該プーリハウジング6の出入口7から外部にとび出している。この出入口7は、図3に示すように、口金が設けられ、インナーケーブル3,4が、プーリハウジング6と外部との間を常時安定した状態で出入することができるようになっている。このようにして2本のインナーケーブル3,4は、その一方が右舵取りにおいて引張作用をなし、他方は左舵取りにおいて引張作用をなすものであり、そのインナーケーブル3,4は、操舵装置部11側(主に前輪側)における従動プーリBに回転運動を伝達する。その駆動プーリAは、図1(A),(B)に示すように、プーリ本体部1の外周側面部1aに、螺旋状の螺旋状溝部2が形成されている。該螺旋状溝部2は、そのプーリ本体部1の軸方向の一端側から他端側に向けて連続する螺旋状の溝として形成されたものである。その螺旋状溝部2は、溝壁面2b,2bから構成されている。
その螺旋状溝部2の傾き角方向に直交する形状は、略有底V字形状であり、その対向する溝壁面2b,2bが前記プーリ本体部1の直径方向を外方に向かうに従い次第に拡がるように形成されている。ここで、前記螺旋状溝部2の傾き角方向とは、螺旋状溝部2の螺旋の形成方向のことであり、図1,図3及び図6には傾き角方向を示す傾き角方向線L,Lが記載されている。この傾き角方向とは、螺子の傾き角(進み角ともいう)方向と同等の概念である。さらに、溝壁面2b,2bは、略弧状面として形成されている。その溝底面2aの直径方向における断面形状は円弧状面に形成されているが、平坦状面として形成されても構わない。
その溝壁面2b,2bは、相手側の溝壁面2bに向かって膨らむ凸状面であり、周方向において略球面をなしている。また溝壁面2b,2bは、プーリー本体部1の直径方向外側に向かうに従って、その直径方向に対して連続的且つ次第に接線角度が大きくなるように形成される。そして溝壁面2b,2bの形状は、滑らかにその接線角度がプーリ本体部1の軸方向の軸芯線gに対して大きくなってゆくようにすることが好ましく、例えば曲線形状、円弧形状等の形状となる。
このような螺旋状溝部2に巻き付けられたインナーケーブル3,4は、ハンドル10が中立位置にあるときは、螺旋状溝部2の分離点K箇所では、前記軸芯線gに対して略直角状態で、口金からアウターチューブに案内される。またハンドル10を左右に操作するときには、前記インナーケーブル3,4の分離点Kの位置は、プーリ本体部1の軸方向端部側に向かって移動し、前記螺旋状溝部2に巻き付いているインナーケーブル3,4は、その螺旋状溝部2から離れてゆく分離点K箇所で折曲部Mが生じることになる。この折曲部M箇所のインナーケーブル3,4が前記螺旋状溝部2の分離点Kからその傾き角方向且つ接線方向外側に向かうに従い、前記溝壁面2bに接触して案内され、インナーケーブル3,4の折曲部Mは、図5に示すように、比較的大きな曲率半径で緩やかな弧状となり、滑らかに曲がるようになる。
すなわち、分離点K箇所及びその付近におけるインナーケーブル3,4と、弧状面に形成された溝壁面2bとの接触する部分を仮想接触線Tとすると、この仮想接触線Tは、図4,図6に示すように、分離点Kからその溝壁面2bを略接線方向に沿って存在している。この接線方向における仮想接触線Tは、螺旋状溝部2の傾き角方向に略一致した方向であり、この方向の溝壁面2bの表面は、曲率の大きな円弧状になっており、インナーケーブル3,4に緩やかな折曲状態をもたらすようにしている。そのため、インナーケーブル3,4のコーティング等が長期の使用によって剥離するようなことを防止し、耐久性を向上させることができる。
また、プーリ本体部1の螺旋状溝部2の形成ピッチ及び螺旋角度を小さくした場合には、前記溝壁面2bは、直径方向外側に向かうに従い、その接線の傾斜角度がプーリ本体部1の軸方向線に対して次第に大きくなることから、インナーケーブル3,4は、螺旋状溝部2の外周端縁2cに接触させないようにすることも可能である。この場合には、インナーケーブル3,4は、外周端縁2cから集中的な荷重を受けることがなく、耐久性を向上させることができる。
また、インナーケーブル3,4が外周端縁2cに接触する場合であっても、外周端縁2cの断面が略円弧状に形成された場合には、外周端縁2cがインナーケーブル3,4に対して鋭利に接触することがないので、インナーケーブル3,4に対する接触箇所の荷重を分散且つ小さくすることができる。図7は、螺旋状溝部2のピッチ間における外周端縁2c,2c間に平坦状の外周側面が形成されるようにしたものである。また、前記螺旋状溝部2の深さは、前記インナーケーブル3,4の直径よりも大きくすることにより、分離点K箇所からはなれてゆくインナーケーブル3,4は、溝壁面2bとの接触部位がより一層長くなり、すなわち前記仮想接触線Tが長くなることから、より一層緩やかな折曲部Mを構成することができるものである。
本発明は、上述したように、インナーケーブル3,4がプーリ本体部1から離れてゆく分離点K箇所において、口金を有する出入口7箇所と分離点Kとの間の張力方向と、プーリ本体部1に巻き付けられている部分との間に生じる折曲部Mが、弧状面とした溝壁面2bにより、緩やかなカーブとなるようにして、インナーケーブル3,4にかかる荷重的な負担を最小限とし、長期に亘って使用しても安定したハンドル10操作ができ、その耐久性を向上させ、ひいてはインナーケーブル3,4の寿命を長くすることができる。
(A)は本発明における駆動又は従動プーリの正面図、(B)は(A)の断面図である。 溝部の傾き角方向に直交する拡大断面図である。 プーリハウジング内におけるプーリの軸方向端部箇所における分離点とインナーケーブルの側面図である。 分離点箇所における要部の拡大横断平面図である。 分離点箇所における折曲部の拡大側面図である。 分離点箇所における溝部とインナーケーブルの状態を示す斜視図である。 (A)は別のタイプの駆動又は従動プーリの縦断側面図、(B)は(A)の要部拡大図である。 駆動又は従動プーリにインナーケーブルが装着された斜視図である。 (A)はプーリの上方に巻き付けられるインナーケーブルの斜視図、(B)はプーリの下方に巻き付けられるインナーケーブルの斜視図である。 ケーブル式ステアリング装置の構成を示す略示図である。 従来の技術を示す略示図である。
符号の説明
A…駆動プーリ、B…従動プーリ、1…プーリ本体部、2…螺旋状溝部、
3,4…インナーケーブル、2b…溝壁面、2c…外周端縁、L…傾き角方向。

Claims (3)

  1. 円筒状のプーリ本体部と、その外周側面に形成された螺旋状溝部を有する駆動プーリと、該駆動プーリの軸方向端部に一端が固着され,直径方向にて反対側から軸方向中心に向かって巻き付けられた2本のインナーケーブルと、前記駆動プーリと同等の螺旋状溝部を有し,前記2本のインナーケーブルが巻き付けられて前記駆動プーリの回動に伴って回動する従動プーリとからなり、前記螺旋状溝部の傾き角方向に直交する形状は、対向する溝壁面が前記プーリ本体部の直径方向を外方に向かうに従い次第に拡がり且つ溝壁面は、略弧状面に形成されてなることを特徴とするケーブル式ステアリング装置。
  2. 請求項1において、前記溝部の外周端縁は断面略円弧状に形成されてなることを特徴とするケーブル式ステアリング装置。
  3. 請求項1又は2において、前記溝部の深さは、前記インナーケーブルの直径よりも大きくしてなることを特徴とするケーブル式ステアリング装置。
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