JP2005254755A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造が容易で高解像度かつ低消費電力のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 基板10上には帯状の抵抗体12が、矢印方向に配列されたノズル20を連続してカバーするように設けられ、共通電極16と信号電極14で区切られた発熱領域11が発する熱でインクを蒸発させ、生成した気泡の圧力によってノズル20からインク滴を吐出する。抵抗体12は、圧力室26内のノズル20の配列方向(矢印方向)の両端に共通電極16を備え、共通電極16の間には信号電極14が設けられている。図1において、例えばノズル20のピッチが600dpiで、2列のノズル20を半波長ずらして配置することで1200dpiを実現している場合、従来は発熱体12もまた600dpiのピッチで描画する必要があったが、ここでは帯状の発熱体12で1列全部のノズル20をカバーしているので、発熱体12のパターン描画を非常に簡単にできる。

【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッドとその製造方法、およびインクジェット記録装置に関し、さらに詳しくは、画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出し、画像を記録するインクジェット記録ヘッドと、このインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。特に、高速プリントを達成するための低エネルギー化および高信頼性と同時に方向性改善・ドロップ変調による高解像度を可能にするインクジェット記録ヘッドと、このインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。
従来から、一つのインクノズルに複数の発熱体を設け、インク滴の着弾位置や滴径の制御(ドロップ変調)などを行なうインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし特許文献1、2とも発熱抵抗体を複雑な描画パターンで加工しているため、ドットの高密度化に伴って発熱体の描画が困難となるといった問題が存在する。
例えば特許文献1では図23に示すように、画素の高密度化を図るため発熱領域202の配列密度が増大(高密度化)した場合、隣接する発熱領域202に接続される信号電極204、共通電極206を含めたパターン描画が更に高密度化し、パターン形成が困難となる。
また図24(a)および図24(a)のA−A´における断面図24(b)に示すように、特許文献2に記載されている順序、すなわち抵抗体302・共通電極306(および信号電極304)の積層順序で複数の発熱領域305を形成すると、共通電極306と2本の信号電極304および抵抗体302を分離するための複数のスペースを抵抗体基板に設けなければならず、構造の複雑化、工数の増加、コスト増の原因となる。
さらに、図24(b)のように抵抗体302・電極の積層順序で発熱領域305を構成しているため、発熱領域305と非発熱領域307との領域境界に大きな段差部分303が発生する。このため、インク内に発生した気泡消滅時の圧力衝撃(キャビテーション)による劣化がこの段差部分303に集中する恐れがあるので、信頼性の点で問題となり得る。
この段差部分303を抑えるために電極層304および306の厚みを薄くする必要があるが、薄くすることによって配線抵抗の増大や高電流密度に対する信頼性に問題が発生し、ノズルの高密度化を図る際に大きな制約となる。
従って、消費されたインクの再供給が遅くなり、印字の高速化にとって障害となる。すなわち、繰り返し周波数応答性が劣化するという問題は同様に存在する。
特開平08−048034号公報 (図1、第4〜7頁) 特開2000−141662号公報 (図3、第6〜9頁)
本発明は上記事実を考慮し、製造が容易で高解像度かつ低消費電力のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドは、ノズルと連通する圧力室内のインクを一つの帯状の発熱抵抗体によって加熱するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記圧力室を2つの共通電極で挟み、前記共通電極の間に信号電極を設けたことを特徴とする。
上記構成の発明では、帯状の発熱体を使用することで発熱体の分割描画を省略し、ノズルの高密度化に伴う工程の複雑化を抑えることが可能となる。
請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記圧力室が2つ以上の共通電極で区切られ、共通電極の間に信号電極を交互に設けたことを特徴とする。
上記構成の発明では、帯状の発熱体を使用することで発熱体の分割描画を省略し、ノズルの高密度化に伴う工程の複雑化を抑えながら滴径変調、着弾位置制御が可能となる。
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体が発熱抵抗部を千鳥状に連ねて構成した構造であることを特徴とする。
上記構成の発明では、発熱抵抗体に合わせてノズルも千鳥配列となり、同じ解像度であればノズルの間隔を大きくすることができるのでノズルの加工が容易となり、また強度を高め、ノズル1個あたりの発熱領域を大きくすることもできる。
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体層上に堆積した薄膜を自己酸化させ、あるいは前記発熱抵抗体の表面を自己酸化させて保護層としたことを特徴とする。
上記構成の発明では、発熱抵抗体層上に別途保護層を設けずに堆積した薄膜を自己酸化させ、あるいは発熱抵抗体の表面を自己酸化させて保護層とするので、保護層を薄くすることが可能であり、インク加熱の際の熱損失を小さくできる。
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体の表面が略平滑であることを特徴とする。
上記構成の発明では、発熱抵抗体の表面が略平滑であるため段差がなく、インク滴吐出の際にインク内に発生した気泡消滅時の圧力衝撃(キャビテーション)による劣化が段差部分に集中する恐れがないので耐久性、信頼性が高くなる。
請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体が電極層、抵抗体層、補助電極層の3層または前記3層と保護層から構成されることを特徴とする。
上記構成の発明では、電極層を形成したのち平滑化を行なうと、電極層の金属が周囲の部材よりも柔らかいためディッシングと呼ばれる凹部が形成され、境界部の角に電流が集中する現象に対して、補助電極層を設けることで電流の集中を防ぎ、耐久性、信頼性を高くできる。
請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体が電極層、抵抗体層、自己酸化停止層、自己酸化種子層から構成され、前記自己酸化種子層を自己酸化させ保護層とすることを特徴とする。
上記構成の発明では、自己酸化停止層上の自己酸化種子層を自己酸化させて保護層とするので、TaSixNy・TaSixOyなどの抵抗体層を自己酸化させて保護層とした際の経時劣化やインクによる腐食などを防ぐことができる。また自己酸化停止層を設けたことで自己酸化により形成される保護層の厚みを正確に制御することができる。
請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記電極層が銅を含んでいることを特徴とする。
上記構成の発明では、電極層に銅を使用することで電気抵抗が低く、加工が容易で且つ安価なインクジェット記録ヘッドとすることができる。
請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドは、前記発熱抵抗体を駆動、制御する駆動素子および制御素子が一体化されていることを特徴とする。
上記構成の発明では、特に複数の記録ヘッドを組合せてヘッドアレイとする場合等に構造を単純化し、配線・加工を簡略化することができる。
請求項10に記載のインクジェット記録装置は、請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドを備えたことを特徴とする。
上記構成の発明では、製造が容易で高速、高解像度かつ低消費電力のインクジェット記録装置とすることができる。
本発明は上記構成としたので、製造が容易で高解像度かつ低消費電力のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置とすることができた。
図1には本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録ヘッドが示されている。
本実施形態では、図1に示すように基板10上に樹脂体28で形成され流路壁26でノズル20ごとに区切られた圧力室26が設けられ、圧力室26には基板10に設けられたインク供給路22から供給されるインクを吐出するノズル20が設けられている。
基板10上には帯状の抵抗体12が、矢印方向に配列されたノズル20を連続してカバーするように設けられ、共通電極16と信号電極14で区切られた発熱領域11が発する熱でインクを蒸発させ、生成した気泡の圧力によってノズル20からインク滴を吐出する。抵抗体12は、圧力室26内のノズル20の配列方向(矢印方向)の両端に共通電極16を備え、共通電極16の間には信号電極14が設けられている。
図1において、例えばノズル20のピッチが600dpiで、2列のノズル20を半波長ずらして配置することで1200dpiを実現している場合、従来は発熱体12もまた600dpiのピッチで描画する必要があったが、ここでは帯状の発熱体12で1列全部のノズル20をカバーしているので、発熱体12のパターン描画を非常に簡単にできる。
また、図1に示すように抵抗体12に接続された信号電極14と共通電極16を、抵抗体12を挟んでインク供給路22と反対側に設けることによって、インク供給路22と抵抗体12の間に電極を設けるためのスペースを必要としない構造とすることもできる。これによってインク供給路22と抵抗体12の距離を小さくすることができる。
このような構造ではノズル20からインクが吐出された後、インク供給路22からインクが再供給される際、インクが再充填されるまでのタイムラグを小さくすることができる。従って、消費されたインクの再供給が速くなり、印字の高速化が可能となる。すなわち、繰り返し周波数応答性が向上する。また共通電極16には大電流が流れるので線幅を広くする必要があるが、位置的にインク供給に干渉しないため、線幅が制限されることもない。

図2には抵抗体12の正面図が、図3、4、5には図2の断面A,B,Cから見た構造が示されている。
図3のように積層順序が電極14、16→発熱抵抗体30となっている場合は、電極14、16を流れる電流経路に、面方向(図では水平方向)に加えて層方向(図では上下方向)の自由度が存在する。すなわち、図20に示すように積層順序が発熱抵抗体30→電極14、16の順であれば、インクと接触する部分に大きな段差が存在することは耐久性、信頼性の点から望ましくないので電極14のエッジ部分Aは角のないテーパー型となるが、このとき厚みの薄い部分の電流密度が高くなる(電流が集中する)ことになり、問題となる。また配線抵抗が高くなるので電極を薄くすることはできない。
これに対して本実施例では図3〜5のように積層順序が電極14、16→発熱抵抗体30となっているので、電極14のエッジ部分14Bがインクと接触することはなく、電極14を薄くする必要はない。そのため層方向に電極14の厚さを自由に設定できるので、電流密度と配線抵抗を低減することができる。
特に、600dpi以上の高密度な配列において1ノズル内に複数の発熱領域11を設ける場合に上記の手法は有効となる。

図6〜図8には本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
図6には抵抗体12の正面図、図7、8には図6の断面A,Bから見た構造である。
図7に示すように、発熱抵抗体30上に自己酸化停止層56、酸化保護層32の順に層形成されている。
従来より発熱抵抗体30を形成後、自己酸化種子層を堆積し、アニール(焼きなまし)により酸化保護層32を形成する方法は、低エネルギー化を図る上で有効な手段であったが、アニールによる酸化保護層32がヘッドの歩留まりに影響を与えることがあった。
すなわち、アニールによる酸化保護層32の厚みがロットによって変動する現象が現れるため不良が発生する。アニール温度の安定化や時間,アニール雰囲気を保つことにより、上記の課題を解決できるが、作成の歩留まり・コスト・生産性を考慮して、発熱体構造自身の改善により、上記の課題を改善したのが本実施例である。
具体的には図7のように電極14(16)、発熱抵抗体30の積層順で形成された発熱体構造において、発熱抵抗体30と酸化保護層32を形成する為の自己酸化種子層の間に自己酸化停止層56を設け、酸化保護層32の厚みを一定化する方法・構造である。
このような構造とすることで、自己酸化停止層56上の自己酸化種子層を自己酸化させて酸化保護層32とすることにより、TaSixNy・TaSixOyなどの発熱抵抗体30を自己酸化させて保護層とした場合に発生する経時劣化やインクによる腐食などを防ぐことができる。さらに自己酸化停止層56を設けたことで、自己酸化により形成される酸化保護層32の厚みを正確に制御することができる。

図9〜図11には本発明の第3実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
図9には抵抗体12の正面図、図10、11は図9の断面Aから見た構造、および楕円で囲んだ部分の拡大図である。
従来、発熱抵抗体30を形成する前の下層基板は、化学的機械研磨法(CMP)により平滑化される。このとき、配線に銅などの比較的柔らかい金属を使用していると周囲よりも大きく削れてしまうため、図12に示すように電極配線溝で配線断面が皿状に窪む現象すなわちディッシング(Dishing)が観測されることがある。
特に発熱領域を挟む共通電極16、信号電極14でディッシングが発生した場合、発熱領域境界はその断面が僅かながら鈍角のエッジ線60がエッジ部に現れる場合もある。この上に堆積・描画された発熱抵抗体30は、上記エッジ線上で電流密度の集中を起こし、発熱抵抗体30の劣化を促進することがあることが判っている。特に発熱部11の配列方向における発熱抵抗体30と電極14、16の電気的接続領域でこれが激しく現れることがある。
CMPに用いるスラリーや操作設定条件を最適化することによって上記のディッシングを改善できるが、作成の歩留まり・コスト・生産性を考慮して、発熱体構造自身を改善することにより、上記の課題を改善したのが本実施例である。
本実施形態は電極14、16、発熱抵抗体30の順に積層した発熱体構造において、共通電極16、信号電極14の少なくとも発熱部11近傍に補助電極層58を積層する構成である。補助電極層58を積層することにより、エッジ線60上で電流密度の集中を緩和することができる。さらに第2実施形態と同様、発熱抵抗体30の上に自己酸化停止層56を設け、酸化保護層32の厚みを一定に保持している。
また、埋め込まれた下層電極に低融点の金属を用いた場合、発熱部境界における温度上昇により、電極層の劣化が考えられるが、高融点金属あるいはその合金,珪化物を補助電極層58に採用し、発熱領域11から下層電極層を物理的に遠ざけることで、上記の課題を解決することができる。

図12には本発明の第4実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
本実施形態は図12に示すようにノズル20当たり発熱領域11を3つ以上備えている。
図12では3本の共通電極16と、その間には交互に2本の信号電極14A,14Bが配置されている。
信号電極14AをONすれば発熱領域11A,11Bが発熱し、信号電極14BをONすれば発熱領域11C,11Dが発熱する。
この信号電極14A,Cに通電するタイミングを変えればインク滴の吐出方向を制御し、着弾位置を制御することができる。
図13には本発明の第5実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
本実施形態は図13に示すようにノズル20当たり発熱領域11を3つ以上備えている点で第4実施形態と同様であるが、第4実施形態よりも多くの発熱領域を備えることによって、更に充実した機能を持たせている。
図13では4本の共通電極16と、その間には交互に3本の信号電極14A,14B,14Cが配置されている。
信号電極14BをONすれば発熱領域11C,11Dが、信号電極14CをONすれば発熱領域11E,11Fが発熱するので小径のインク滴が吐出され、通常のドット形成が行なわれる。
さらに信号電極14A、14CをONすれば発熱領域11A、11B、11E,11Fが発熱するので、これらを組合せてインク滴径の制御を行なうことができる。
すなわち、信号電極14BをONすれば発熱領域11C、11Dが発熱するので小径のインク滴が吐出され、これに加えて信号電極14A、14CをONすれば発熱領域11A、11B、11E,11Fも同時に発熱するので大径のインク滴が吐出される。
また、信号電極14Aと14Cに通電するタイミングを変えれば、インク滴の滴径を制御しながら吐出方向を制御し、着弾位置を制御することもできる。

図14には本発明の第6実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
本実施形態では図14に示すように抵抗体12を千鳥配列としている。
これにより、同一のピッチであればノズル20の間隔を大きく出来るので、発熱抵抗体30が形成された後に行われるノズル20の作成過程において、第1実施形態のような直線状配列に較べてノズル20作成時に以下のような自由度を得ることができた。
すなわち、隣接した流路壁26の厚み方向に対する制約を回避できる。厚くして強度を上げることやクロストーク(漏れ)を防止することができる。
また直線上に配列されたノズル20の作成では、樹脂体28の応力によりノズル20の真円度が低下したり亀裂が発生したりするが、千鳥配列によりこれを回避することができる。
さらにノズル20の配列密度の制約を受けず、発熱領域11を拡げることができる。これによりインク滴体積の設計における自由度が高くなる。
特に本実施形態に掛かる構造は600dpi以上の高いノズル20配列密度において作成上の歩留まりを改善するのに有効である。
なお、本実施形態では千鳥配列の周期を2発熱体周期すなわち左、右、左、右・・としているが、3発熱体周期すなわち左、中、右、中、左・・でもよく、あるいは3以上の発熱体周期による千鳥配列も可能である。

図15〜図18には本発明の第7実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
図15は抵抗体12の正面図、図16、17は図13の断面A,Bから見た構造、および楕円で囲んだ部分の拡大図、図18は補助電極58を採用した形態である。
本実施形態も第3実施形態と同様、電極14、16、発熱抵抗体30の順に積層した発熱体構造において、図16に示すように補助電極層58の上に珪素酸窒化物・金属タンタル等を堆積し、保護層62としている。
あるいは図18のように共通電極16、信号電極14の少なくとも発熱部11近傍に補助電極層58を積層する構成としてもよい。補助電極層58を積層することにより、エッジ線60上で電流密度の集中を緩和することができる。
また、埋め込まれた下層電極に低融点の金属を用いた場合、発熱部境界における温度上昇により、電極層の劣化が考えられるが、高融点金属あるいはその合金,珪化物を補助電極層58に採用し、発熱領域11から下層電極層を物理的に遠ざけることで、上記の課題を解決することができる点も第3実施形態と同様である。
図19、20には本発明の第8実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構造が示されている。
図19は抵抗体12の正面図、図20は図19の断面Bから見た構造である。
本実施形態では図19に示すように積層順序が発熱抵抗体30→電極14、16という従来同様の層構成であるが、発熱領域11と電極14、16の平面的配置に関しては第1実施形態と同様である。
この構成では従来と同様の順序で工程をおこなうことができる。但し、図20に示すように発熱抵抗体30の上に電極14、16を形成するので、インクと接触する部分に大きな段差Aが存在する。耐久性、信頼性の点から大きな段差は望ましくないので、電極14、16のエッジ部分は角のないテーパー型となるが、このとき厚みの薄い部分の電流密度が高くなる(電流が集中する)ことに留意して設計する必要がある。

次に本発明の各実施形態に共通した生成工程について説明する。
図21には本発明にかかる構成の基板・電極配線の工程が示されている。以下に順を追って工程を説明する。
図21―(a):
p形Siウエハー表面を熱酸化した後、リソグラフィ・エッチングにより開口を設け、燐(P)のイオン注入および拡散を行う。これは、制御回路部CMOSのpチャネルMOS Transistor(pMOS)のnウェルに相当する。また、必要に応じてnチャネルMOS(nMOS)にpウェル領域を形成しても良い。(図4、図8および図25では発熱抵抗体を駆動するためのnMOS Power Transistorを記載し、制御回路部CMOS(Complementary MOS)領域を省略している。)以下、発熱抵抗体およびその駆動用nMOSの作成過程を記し、pMOSに関する過程を省略する。
Siウェハー表面に残った熱酸化層を一旦除去した後、再び熱酸化層1000Åと減圧CVD(Low Pressure Chemical Vapour Deposition)による珪素窒化物層1500Åを堆積する。リソグラフィおよびエッチングによりTransistorを形成する活性領域を保護し、非活性領域に反転を防止するため硼素のイオン注入・拡散を行う(図示せず)。次に、素子分離を行う為、熱酸化してLOCOS48(Local Oxidation of Silicon)7000Åを形成する。最後に、Transistorを形成する領域にある熱酸化膜・珪素窒化膜を除去する。
熱酸化によりGate酸化膜52(Gate Oxide)を形成し、Transistorの閾値電圧を調整する為チャネル領域にイオン注入する。次に、多結晶シリコン(Poly-crystalline Silicon, PolySi)を堆積し、リソグラフィおよび反応性イオンエッチングによりGate電極50を形成する。PolySiから成るGate電極50をマスクとして、例えば、燐(P)や砒素(As)のイオン注入によりnMOSのSource領域51、Drain領域53を形成した後、この領域の熱酸化膜を除去する。
最後に、Tungsten(W)を堆積およびアニールして、Siの露出した領域のみを選択的にSilicide化し、Silicide化されない金属Wを除去する。
図21―(b):
LPCVDによるSiO246(あるいは同義語でUSG : Un-Doped Silicate Glass)3000Å, 常圧CVD(APCVD)によるBPSG44(Boro-Phospho-Silicate Glass)12000Åを順次堆積し、リフロー過程により平滑化および緻密化を行い、層間絶縁膜44,46を形成する。この後、化学機械的研磨法(CMP : Chemical Mechanical Polishing)により層間絶縁膜44,46の平滑化を行う。
次に、層間絶縁膜44,46(BPSG, USG(SiO2))のSource領域51、Drain領域53上にコンタクトホールを設け、選択的CVDによりWを埋め込みW Plug17を形成する。
図21―(c):
1層目電極15の配線分離絶縁層を形成する為、珪素窒化物SiNx500Å, USG(SiO2)7000Å, SiNx250Åを順じCVD法により積層する。珪素窒化物SiNxは、電極層の化学機械的研磨(CMP)およびUSGエッチングの停止層(Etch Stop)として、また、電極層元素種の拡散を防止し、Transistor領域を保護するために堆積される。上記機能を満たす為、少なくともSiNx100Å以上の厚みにすることが望ましい。また、発熱抵抗体層30下の蓄熱効果を損なわない為には、熱拡散性の高いSiNx層が2000Å以下であることが望ましい。すなわち、SiNxの厚みは100Å以上2000Å以下にあることが望ましい。
本発明では、配線分離絶縁層にUSGを用いたが、この他に、FSG(Fluorinated Silicate Glass), Black Diamond, FDLC(Fluorinated Diamond-like Carbon), 珪素酸窒化物Silicon OxyNitride, USGにCを添加したSiCO等の無機絶縁素材、ポリイミド樹脂(Polyimide), シロキサン樹脂(Silsesquioxane), BCB(Benz Cyclo Butene), 4フッ化エチレン(PTFE Poly Tetra Fluoro Ethylene), SiLK(ダウケミカル低誘電率素材)等の有機絶縁素材が挙げられる。また、いくつかの素材を多層に積層することができる。
発熱抵抗体30下の蓄熱効果を損なわない為には、発熱抵抗体30下少なくとも5000Å以上、好ましくは10000Å以上の絶縁層素材が1.0x10-5[m2/sec]以下、好ましくは、1.0x10-6[m2/sec]以下の熱拡散率を有することが望ましい。
また、上記絶縁層は後過程で行われるアニールの処理温度以上で形成されることが望ましい。後過程のアニール温度が配線分離絶縁層・層間絶縁層(後述)の形成温度に較べて高い場合には、絶縁層に取り込まれた元素の気体脱離(Outgassing)が発生し、絶縁耐圧を損なったり、障壁層(後述)に悪影響を及ぼしたりする可能性があるからである。尚、作成方法はCVD法に限るものではない。本実施形態では、750C雰囲気下LPCVDによるUSG堆積を行う。
以上の記載は、2層目電極の為の層間絶縁層および配線分離絶縁層にも適用される。
1層目電極の配線を設けるため、リソグラフィおよびエッチングにより上層のSiNx, USG, 下層SiNxを除去し、溝19(Trench)を形成する。更に、電極層元素種の拡散を防止する障壁金属層34としてタンタル窒化物(TaN)200Åおよび配線電極の種子層Cu 1000Åをスパッタリング法により、順次堆積する。次に、電解鍍金法によりCu電極層を溝19に埋め込む。表面上に堆積したCu, TaNを化学機械的研磨(CMP)により除去し、その後洗浄を行って、平滑化を行う。電解鍍金法により形成された電極層Cuを結晶化する為、アニール処理を行う。
本発明では、障壁層にTaNを用いたが、Ta, TaSixNy, TaCx, Ti, TiN, WN,この他の高融点金属およびその窒化物・炭化物・炭窒化物等が障壁金属として有効である。
ここではスパッタリングによる種子層を形成した後、電解鍍金法により配線電極層を成長させたが、障壁層堆積後、電解鍍金法を使わずスパッタリングあるいはCVD法により最後まで埋め込むことも可能である。また、種子層の形成にはCVD法を用いても良い。
また電極にCuを用いたが、これに限るものではなく、Ag, Au等10μΩcm以下の固有抵抗値を有する金属・合金が電極層として可能である。とくに、Cu, Ag等は固有抵抗値が2.0μΩcm未満と低く、配線抵抗値を低く抑えエネルギー効率を高める点で最適である。
図21―(d):
1層目電極15と2層目電極配線を結ぶビア40および2層目の電極配線溝19を形成する為、SiNx250Å, USG(SiO2)10000Å, SiNx250Å, USG(SiO2)10000Å, SiNx250Åを順じCVD法により積層する。次に、上からSiNx250Å, USG(SiO2)10000Å, SiNx250Å, USG(SiO2)10000Åをエッチングして、1層目と2層目の電極配線を結ぶビア40を開口する。
図21―(e):
2層目の電極配線用の溝19を形成する為、配線溝のリソグラフィを行った後、上からSiNx250Å, USG(SiO2)10000Åをエッチングする。
図21―(f):
表面に露出したSiNxを除去し、障壁金属層34としてタンタル窒化物(TaN) 200Åおよび配線電極の種子層Cu 1000Åをスパッタリング法により、順次堆積する。次に、電解鍍金法によりCu電極層を溝19に埋め込み、表面上に堆積したCu, TaNを化学機械的研磨(CMP)により除去し洗浄を行い、平滑化を行う。
その後、電解鍍金法により形成された電極層Cuを結晶化する為、アニール処理を行う。表面に露出したSiNxは必ずしも除去する必要はないが、直接発熱抵抗体に接触するため、高熱拡散性素材の場合は、除去あるいは500Å以下の厚みであることが望ましい。
尚、配線分離層・層間絶縁層38・エッチング停止層および障壁金属層34等の厚み・素材選択・取り扱いは、先に述べた通りである。
ここでは2層電極配線としたが、これに限定するものではない。すなわち、本実施例では、主に、1層目配線15を制御回路部の低電圧用に(図示せず)、2層目配線を発熱抵抗体30駆動のための高電圧用に割り当てたが、電極配線層を3層以上にして、高電圧用に2層以上の複数の電極配線を振り分けることが可能である。とくに、高密度に発熱体を設ける場合、電極配線の抵抗増大を回避するためには、複数の配線層は有効な手段である。
続いて樹脂体28によるインク流路の作成方法について説明する。これはすべての実施例について共通である。
流路・共通インク室となる領域にレジストを設け描画した後、感光性エポキシ樹脂前駆体をこれ以外の領域に塗布・フォトリソグラフィ・現像・キュア(加熱保持)して、流路壁24を形成する。次に、非感光性エポキシ系樹脂前駆体を塗布・キュアし、更に、撥水層サイトップCYTOP(旭硝子製)を塗布・キュアする。
次に、金属層を堆積した後、リソグラフィによりノズル・パッド領域の描画を行い、反応性イオンエッチングにより開口を行う。CYTOP(旭硝子製)のほか、PTFE(Polytetrafluoroethylene), PFA(Perfluoroalkoxy)等の有機素材、FDLC(Fluorinated Diamond-like Carbon)等の無機素材が、水性インクに対して有効な撥水層である。
次に、Si基板裏面から異方性エッチングにより、圧力室26に繋がるインク供給路22を設けた後、流路、圧力室26となる領域のレジストを除去する。
続いて第1実施形態固有の形成工程について説明する。
発熱抵抗体層30としてTaSixNy1000Åをスパッタリング法により堆積し、リソグラフィおよびエッチングにより所望の形に描画する。このとき、発熱抵抗体層30は下層にある共通電極16およびnMOS Drainから導かれた信号電極14の両者と、電気的接触を保つ為少なくともこれらの一部で接触する必要がある。発熱領域11は共通電極16および信号電極14の境界で規定され、これに挟まれた領域である。
発熱抵抗体層30TaSixNyは電極層Cuの拡散を防止し かつ 保護する障壁金属としても有効であり、表面に露出した電極層を完全に被覆することは、信頼性の点で有効な手段である。
発熱抵抗体層30TaSixNyは、Ta5Si3, TaSi2等の粉末を加圧焼結したタンタル珪化物をターゲットに、反応性気体の窒素による高周波スパッタリングにより堆積する。直流スパッタリングも可能である。この他、タンタルおよび珪素個別のターゲットを用いた反応性同時スパッタリングによる堆積が可能である。前者は、1つの高周波電源を用いた簡易な堆積方法である。後者は、安価な直流電源を用いることができる。
TaSixOyを発熱抵抗体層30に適用することもできる。TaSixNyが窒素の反応性スパッタリングによるのに対して、TaSixOyは酸素の反応性スパッタリングにより堆積される。TaSixNyと同様に、タンタル珪化物ターゲットによる高周波反応性スパッタリングや反応性同時スパッタリングで作成することができる。抵抗体層30TaSixOyも電極層Cuの拡散を防止し保護する障壁金属としても有効である。
両発熱抵抗体の特徴は、反応性気体の導入量に応じてその固有抵抗値を所望の値に設定することができる点にある。本実施形態では、TaSixNyにおける窒素導入量, TaSixOyにおける酸素導入量を調整することにより、抵抗体の固有抵抗値2mΩcmを得ることができた。高い固有抵抗値,従って,高いビット抵抗値に設定できることで電流量を低減でき、同時駆動ビット数を増大させ、高速プリントが可能になる。
発熱抵抗体30層TaSixNy, TaSixOyは、低温でのスパッタリング堆積において、非晶質を形成する。TIJ(サーマルインクジェット)駆動におけるJoule発熱により発熱抵抗体層30が結晶化することがあり、固有抵抗値の変動すなわちビット抵抗値の経時的変動を伴うことが判っている。この対策として真空,不活性気体あるいは窒素気体中の高温におけるアニール過程を導入し、予め結晶化することにより、1x109pulsesまでの駆動でビット抵抗値の変動を±5%以内に収めることができた。本実施形態では、真空中550Cにおけるアニールを実施している。尚、発熱抵抗体層30の結晶化アニールはスパッタリング堆積後、あるいは、描画後のいずれかの過程の後に行うことができる。
発熱抵抗体層30TaSixNy, TaSixOyは、上記のリソグラフィ,エッチングおよびフォトレジスト除去過程の際に大気に晒され、数10Å程度の酸化膜が形成される。次に、抵抗体を含む表面にタンタル窒化物を堆積し、アニールによる自己酸化を行った。本実施形態では、反応性スパッタリング法によりタンタル窒化物を100Å堆積し、リソグラフィおよびエッチングにより所望の形に描画する。この後、500C酸素雰囲気下のアニールにより自己酸化する。
自己酸化は発熱抵抗体30TaSixNy, TaSixOyの界面で停止し、堆積したタンタル窒化物100Åが自己酸化して、タンタル酸化物を形成する。元素分析の結果、タンタル酸化物は化学量論的にTa2O5あるいはこれに近い元素数比を呈していることが判った。Ta2O5は、耐食性に優れた稠密で硬い素材であり、過度の酸化進攻を防ぎ、アルカリ水性インクの腐食や気泡消滅時の圧力衝撃に優れていることも判っている。
いっぽう、発熱抵抗体層30TaSixNy, TaSixOy自身を酸化する方法では、TaおよびSiの複合自己酸化層が形成され、駆動Joule発熱に従いビット抵抗値が増大する経時的劣化が発生することが判った。これは、均質なタンタル酸化物とは異なったタンタル・珪素複合酸化物では、酸化の進攻を抑制することが難しいからである。また珪素酸化物はアルカリ水性インクに対して次第に腐食されることが判った。
発熱抵抗体層30にTaNx(x=0.5〜1.0)を採用し、抵抗体自身を自己酸化させて、自己酸化層32、100Åを形成することができる。この自己酸化層32は、化学量論的にTa2O5あるいはこれに近い元素数比を呈しているため、信頼性に優れている。
アニール温度は、300C以上700C以下であることが望ましい。300C以下では、タンタルの充分な酸化が行われず、700C以上では、下層に形成した層間絶縁層38に取り込まれた非結合元素の脱気体(Outgassing)が発生し、絶縁耐圧を損なったり、障壁層に悪影響を及ぼしたりすることがあるからである。
高温雰囲気下のアニールは、瞬間熱アニール(Rapid Thermal Anneal)が最適であり、ランプ, レーザー,電子ビーム等による短時間の、また、局所的なアニールによりTa2O5あるいはこれに近い元素数比の自己酸化層32を形成することが可能である。
自己酸化層32としては、Ta2N, TaN0.8, TaN等のタンタル窒化物の他、Ta単体が最適である。この他W, Mo, Hf, Nb等の均質に酸化が可能な高融点金属なども挙げられる。また、最初からタンタル酸化物をスパッタリング法あるいはCVD法により堆積し、アニール過程によりTa2O5あるいはこれに近い元素数比のタンタル酸化物を形成することも可能である。
自己酸化層32は、少なくとも発熱抵抗体12を被覆していなければならない。また、露出した最上層の電極層を被覆して保護することが望ましい。特に、発熱抵抗体層30および自己酸化層32により電極露出面すべてを被覆することは、電極素材の拡散防止と保護を行う上で最適な方法である。更に、自己酸化層32は、下層の電極層の無い露出した配線分離絶縁層の保護にも不純物の侵入を防ぐ点で最適である。
尚、最上層の電極やトランジスタを保護するため、発熱領域11以外に珪素窒化物・珪素酸化物・珪素酸窒化物等の無機絶縁層やポリイミド系あるいはエポキシ系樹脂層を堆積しても良い。
本発明において発熱抵抗体12の領域内にある共通電極16の線幅は、5um以下,好ましくは3um以下であることが望ましい。これよりも線幅の広い電極を用いて、2つの発熱領域11を加熱した場合、発熱領域11内の共通電極16上の温度が低くなり、安定した気泡の生成を損なうことがあるからである。
続いて第2実施形態固有の形成工程について説明する。
発熱抵抗体層30BaRuO3 800Åを酸素導入による反応性スパッタリング法により堆積し、発熱抵抗体層30 BaRuO3をリソグラフィおよびエッチングにより順次所望の形に描画する。
このとき、発熱抵抗体層30は下層にある共通電極16およびnMOS Drainから導かれた信号電極14の両者と電気的接触を保つために、少なくともこれらの一部で接触する必要がある。発熱抵抗体層30は電極層素材の拡散を防止し保護する障壁金属34としても有効であり、表面に露出した電極層を完全に被覆することは、信頼性の点で有効な手段である。
発熱抵抗体層30BaRuO3は、バリウム酸化物BaO3, ルテニウム酸化物RuO2の粉末を加圧焼結したターゲットに、反応性気体酸素による高周波スパッタリングにより堆積する。 堆積直後の固有抵抗値は不安定であるが、500C大気雰囲気下アニールによる結晶化で、安定した固有抵抗値を得ることができる。
次いで自己酸化停止層56珪素酸化物100ÅをCVD法により堆積する。自己酸化停止層56の厚みは、20Å以上1000Å以下が望ましい。自己酸化を停止する為には、停止層が連続膜である必要がある。また、自己酸化停止層56が厚くなると、インクに熱が伝わり難くなるため発熱体の消費エネルギーが高くなってしまう。珪素窒化物が他元素の拡散を抑える点で、また、高い熱拡散性を有する点で自己酸化停止層56に最適である。このほか、珪素酸化物・珪素酸窒化物など稠密な構造を有する素材であれば、これに限るものではない。
次に、自己酸化種子層Ta 100Åをスパッタリング法により堆積し、リソグラフィ・エッチングにより描画した後、アニールによる自己酸化を行う。本実施形態では、450C酸素雰囲気下の自己酸化を行った。酸化は、自己酸化停止層56珪素酸化物界面で停止し、堆積したタンタル100Åが自己酸化して、タンタル酸化物からなる自己酸化層32を形成することが判っている。元素分析の結果、タンタル酸化物は化学量論的にTa2O5あるいはこれに近い原子数比を呈していることが判った。Ta2O5は、耐食性に優れた稠密で硬い素材であり、過度の酸化進攻を防ぎ、アルカリ水性インクの腐食や気泡消滅時の圧力衝撃に優れている。
このときアニール温度は、300C以上700C以下であることが望ましい。300C以下では、タンタルの充分な酸化が行われず、700C以上では、下層に形成した層間絶縁層38に取り込まれた非結合元素の脱気体(Outgassing)が発生し、絶縁耐圧を損なったり、障壁層に悪影響を及ぼしたりすることがあるからである。高温雰囲気下のアニールは、瞬間熱アニール(Rapid Thermal Anneal)が最適であり、ランプ, レーザー,電子ビーム等による短時間の、また、局所的なアニールによりTa2O5あるいはこれに近い原子数比の自己酸化層32を形成することが可能である。
自己酸化層32は、少なくとも発熱抵抗体30を被覆していなければならない。また、露出した下層の電極層を被覆して保護する必要がある。特に、抵抗体層30・自己酸化停止層56および自己酸化層32により電極露出面すべてを被覆することは、電極素材の拡散防止と保護を行う上で最適である。更に、自己酸化停止層56・自己酸化層32は、下層の電極層の無い露出した配線分離絶縁層の保護にも不純物の侵入を防ぐ点で最適である。
尚、最上層の電極やトランジスタを保護するため、発熱領域11以外に珪素窒化物・珪素酸化物・珪素酸窒化物等の無機絶縁層やポリイミド系あるいはエポキシ系樹脂層を堆積し保護層としても良い。

続いて第3実施形態固有の形成工程について説明する。
発熱抵抗体層30BaRuO3 800Åを酸素導入による反応性スパッタリング法により堆積し、連続して補助電極層MoTa 1000Åをスパッタリング法により堆積する。次に、補助電極層MoTaおよび発熱抵抗体層BaRuO3をリソグラフィおよびエッチングにより順次所望の形に描画する。このとき、抵抗体層30は下層にある共通電極16およびnMOS Drainから導かれた信号電極14の両者と電気的接触を保つため、少なくともこれらの一部で接触する必要がある。発熱抵抗体層30は電極層素材の拡散を防止し保護する障壁金属34としても有効であり、表面に露出した電極層を完全に被覆することは、信頼性の点で有効な手段である。
発熱抵抗体層30BaRuO3は、バリウム酸化物BaO3, ルテニウム酸化物RuO2の粉末を加圧焼結したターゲットに、反応性気体酸素による高周波スパッタリングにより堆積する。大気雰囲気下アニールによる結晶化で、安定した固有抵抗値を得ることができる。
本実施形態では、共通電極16・信号電極14で挟まれた下地エッジ境界よりも0.5um内側までの補助電極58を延ばし、30°の傾斜を設けたテーパードエッチングTapered Etchingを施して発熱領域11を開口し、これ以外の電極層は発熱抵抗体層30を被覆している。発熱領域11はこの補助電極層境界で規定され、これに挟まれた領域である。補助電極58の厚みは1000Åであり、下地エッジ境界における発熱抵抗体30の電流密度の集中を緩和することができた。
この他、補助電極58の素材にはW, Mo, Hf, Nb, Ti, Ta, Au, Ag,Pt等の単体遷移金属、遷移金属の窒化物、TaTi, TiW, AlTi, MoTa, AlW, AlTa等の固溶体,および上記金属の珪化物などが考えられる。
発熱抵抗体層30の電流密度を緩和するため、発熱抵抗体層30の厚みの1/2以上5倍以下であり、1/2以下の固有抵抗値を有することが望ましい。補助電極58層の厚みは、その固有抵抗値に依存するが、数μΩcmと極めて低い固有抵抗値の場合でも、少なくとも発熱抵抗体の1/2以上の厚み必要である。また、補助電極58の固有抵抗値が高くなるに従い、発熱抵抗体30の電流密度集中と補助電極58自身の発熱を緩和するために補助電極58の厚みを厚くする必要があるが、補助電極58層上に堆積する層の被覆性(Step Coverage)を考慮すると、5倍以下の厚みにする必要がある。
下地電極境界に対して発熱領域側へ設ける補助電極境界までの距離は、0.1um以上,発熱領域電流方向長さの20%以下にすることが望ましい。0.1um以下の間隔では、リソグラフィの位置精度・補助電極の過度のエッチング(Over-Etching)によって、補助電極境界と下地電極境界が重畳し、電流密度の集中緩和できない。また、発熱領域電流方向長さの20%以上では、配線抵抗値の増大を伴い、エネルギー効率を損なう結果となる。
尚、抵抗体層の堆積・描画、次に、補助電極層の堆積・描画を繰り返すこともできる。また、補助電極層は発熱領域以外の下地電極層を被覆するように描画することが可能である。
次いで自己酸化停止層56(珪素酸化物)100ÅをCVD法により堆積する。自己酸化停止層56の厚みは、20Å以上1000Å以下が望ましい。自己酸化を停止する為には、停止層が連続膜である必要がある。また、自己酸化停止層56が厚くなると、インクに熱が伝わり難くなるため発熱体の消費エネルギーが高くなってしまう。珪素窒化物が他元素の拡散を抑える点で、また、高い熱拡散性を有する点で自己酸化停止層56に最適である。このほか、珪素酸化物・珪素酸窒化物など稠密な構造を有する素材であれば、これに限るものではない。
次に、自己酸化種子層Ta 100Åをスパッタリング法により堆積し、リソグラフィ・エッチングにより描画した後、アニールによる自己酸化を行う。本実施形態では、450C酸素雰囲気下の自己酸化を行う。酸化は、自己酸化停止層 珪素酸化物界面で停止し、堆積したタンタル100Åが自己酸化して、タンタル酸化物を形成することが判った。元素分析の結果、タンタル酸化物は化学量論的にTa2O5あるいはこれに近い元素数比を呈していることが判った。Ta2O5は、耐食性に優れた稠密で硬い素材であり、過度の酸化進攻を防ぎ、アルカリ水性インクの腐食や気泡消滅時の圧力衝撃に優れていることが判った。
このときアニール温度は、300C以上700C以下であることが望ましい。300C以下では、タンタルの充分な酸化が行われず、700C以上では、下層に形成した層間絶縁層38に取り込まれた非結合元素の脱気体(Outgassing)が発生し、絶縁耐圧を損なったり、障壁層に悪影響を及ぼしたりすることがあるからである。高温雰囲気下のアニールは、瞬間熱アニール(Rapid Thermal Anneal)が最適であり、ランプ, レーザー,電子ビーム等による短時間の、また、局所的なアニールによりTa2O5あるいはこれに近い原子数比の自己酸化層32を形成することが可能である。
自己酸化層32は、少なくとも発熱抵抗体30を被覆していなければならない。また、露出した下層の電極層を被覆して保護する必要がある。特に、抵抗体層30・自己酸化停止層56および自己酸化層32により電極露出面すべてを被覆することは、電極素材の拡散防止と保護を行う上で最適である。更に、自己酸化停止層56・自己酸化層32は、下層の電極層の無い露出した配線分離絶縁層の保護にも不純物の侵入を防ぐ点で最適である。
尚、最上層の電極やトランジスタを保護するため、発熱領域以外に珪素窒化物・珪素酸化物・珪素酸窒化物等の無機絶縁層やポリイミド系あるいはエポキシ系樹脂層を堆積しても良い。
また、第7実施形態に示したように、補助電極58層の堆積・描画の後、珪素酸窒化物2000Å・金属タンタル1000Åを順次堆積し、リソグラフィおよびエッチングによりそれぞれの層を所望の形に描画することもできる。
図22には本発明の第9実施形態に係るインクジェット記録ヘッドチップの構造が示されている。
ダイユニット70にはインク供給路22を挟んで2つの発熱抵抗体アレイ74が設けられている。発熱抵抗体アレイ74の配列密度が600dpiであり、1/2波長ずらして2つの発熱抵抗体アレイ74が配置される。従って、1つのダイユニット70で1200dpiの解像度を得ることができる。
またダイユニット70の長手方向周囲に外部との電気的接続用端子(パッド)72を配置しており、電気配線を行なう際の作業性を向上させている。
なお本実施形態はルーフシューターの実施例であるが、エッジシューターにも適用することが可能である。
本発明の第1形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す斜視図である。 本発明の第1形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第1形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第1形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第1形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第2形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第2形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第2形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第3形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第3形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第3形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第4形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第5形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第6形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第7形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第7形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第7形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第7形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第8形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 本発明の第8形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の第10形態に係るインクジェット記録ヘッドチップを示す正面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 従来のインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。
符号の説明
10 基板
11 発熱領域
12 抵抗体
14 信号電極
16 共通電極
20 ノズル
22 インク供給路

Claims (10)

  1. ノズルと連通する圧力室内のインクを一つの帯状の発熱抵抗体によって加熱するインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記圧力室を2つの共通電極で挟み、前記共通電極の間に信号電極を設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記圧力室が2つ以上の共通電極で区切られ、共通電極の間に信号電極を交互に設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記発熱抵抗体が発熱抵抗部を千鳥状に連ねて構成した構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記発熱抵抗体層上に堆積した薄膜を自己酸化させ、あるいは前記発熱抵抗体の表面を自己酸化させて保護層としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記発熱抵抗体の表面が略平滑であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記発熱抵抗体が電極層、抵抗体層、補助電極層の3層または前記3層と保護層から構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記発熱抵抗体が電極層、抵抗体層、自己酸化停止層、自己酸化種子層から構成され、前記自己酸化種子層を自己酸化させ保護層とすることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 前記電極層が銅を含んでいることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 前記発熱抵抗体を駆動、制御する駆動素子および制御素子が一体化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載のインクジェット記録ヘッド。
  10. 請求項1乃至請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置。
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