JP2005254272A - アルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アルミニウム又はアルミニウム合金製品を迅速に且つ容易に製造することができ、更に、鋳造組織の微細化により製品強度が向上した鋳物を製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 湯口を有し開閉可能なステンレス鋼製容器1を砂型鋳型10の中に埋め込んで多数個配置する。アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を湯口9及び容器湯口を介して容器1内に注入し、溶湯の凝固完了の前に砂型鋳型10をばらして容器1を取出す。その後、容器1と共に内部の凝固物を水中浸漬により水冷する。容器1は蝶番により開閉可能になっており、冷却後の鋳物製品を容器1を開けて取り出す。容器1の厚さは製品形状及び容量等により使い分けるが、1.5乃至3.0mmである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、キャリパーボディ及びステアリングナックル等の部品のアルミニウム又はアルミニウム合金製鋳物を多数個取り製造する製造方法に関する。
従来、所謂アルミホイール等のアルミニウム又はアルミニウム合金製の鋳物は、金型鋳造法等の金型を使用する鋳造方法により製造されている。一方、鋳鉄の場合は、生砂により造型された鋳型(砂型)を使用した鋳造方法も採用されている。これは、鋳鉄の場合には、冷却速度が遅くても、鋳物品質上、問題がなく、また、鋳鉄の場合には、溶湯温度が高いため、金型を使用しにくいという事情があるためである。
このような背景技術のもとで、生砂鋳型を使用し、その冷却速度を考慮した鋳造方法が提案されている(特許文献1:特開2002−307158)。この特許文献1には、循環鋳物砂の使用量を少なくできると共に冷却時間を鋳物ごとに調節できることを目的として、生砂鋳型へ溶湯を鋳込んだ後、鋳物の温度が固相線温度より低くなるまで1次冷却をし、その後、生砂鋳型の熱影響を受けていない部分を崩壊させて分離除去し、熱影響を受けた残り砂に包まれた状態の鋳物をそれぞれの鋳物の属性に応じた時間、2次冷却する鋳物の冷却方法が記載されている。なお、この特許文献1には鋳物の材質は記載されていない。
特開2002−307158
しかしながら、アルミニウム又はアルミニウム合金の鋳物を生砂を使用した鋳型で鋳造する方法は、従来、行われておらず、また、特許文献1にもそのような方法は開示されていない。これは、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を鋳込む場合、固相線近傍の冷却速度が十分速くないと、微細な鋳造組織が得られず、鋳造後の鋳物の品質が低いものとなってしまうためである。即ち、従来のアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物は、必要な冷却速度を確保するために、金型鋳造法等の金型を使用した方法が採用されている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、アルミニウム又はアルミニウム合金製鋳物を迅速に且つ容易に製造することができ、更に、鋳造組織の微細化により製品強度が向上した鋳物を製造することができるアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法は、湯口を有し開閉可能な金属製容器を砂型鋳型の中に多数個配置し、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を前記湯口を介して前記容器内に注入する工程と、前記溶湯の凝固完了の前に前記砂型鋳型をばらして前記容器を取出し、前記容器と共に内部の半凝固製品を水冷する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法において、前記容器は水槽中の冷却水に浸漬することにより水冷することが好ましい。また、前記容器はステンレス鋼製であり、前記砂型鋳型をばらした後、前記容器をマグネットリフターに磁力により吸引して前記水槽に運搬するように構成することができる。
本発明においては、砂型鋳型内に配置された容器内に、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を注入し、砂型鋳型内の容器内で前記溶湯を凝固させ、凝固完了前に、前記砂型鋳型をばらして前記容器を取り出し、マグネットリフター等により、前記容器を水槽等の冷却水中に浸漬して冷却する。これにより、容器内の未凝固の溶湯を冷却水中で急冷することができる。その後、前記容器を開けて鋳物を取り出す。
なお、アルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の冷却方法において、半凝固製品を生砂型毎、水中に浸漬して冷却することもできるが、水中からの鋳物砂の回収と、その後の乾燥処理が煩雑であり、製造時間が長くなると共に、製造コストを上昇させる要因になってしまう。また、砂型鋳型毎水中に浸漬する場合は、この浸漬のタイミングが難しいという問題点がある。
本発明によれば、砂型鋳型自体は水中に浸漬されないので、鋳物砂の回収及び乾燥が不要である。また、容器自体はステンレス鋼製等の金属製であるので、砂型鋳型をばらした後、容器温度を外部から測定する等すれば、容器内の凝固物の温度を推定することができ、凝固温度近傍を急冷するための水中浸漬のタイミングを取りやすい。更に、金属製の容器は、水中から回収しやすく、また、容器は開閉可能であるので、鋳物を取り出した後、再利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係るアルミニウム又はアルミニウム合金溶湯の製造方法において使用する容器を示す斜視図、図2は同じくその鋳型ばらし工程を示す斜視図、図3は工程のフローチャート図である。
容器1は、材質が例えばSUS430等のステンレス鋼製であり、薄肉のプレス成形又はハイドロ成形により作られた成形品である。この容器1の成形形状は、製造せんとする部品の形状に整合するものである。この容器1には、湯口2が接合されており、また、容器1は例えば2個に分割されていて、この分割体は蝶番3a、3bにより、開閉可能に連結されている。これにより、蝶番3a、3bにより分割体を閉じると、湯口2にて開口した密閉容器1が形成される。
この容器1の厚さは製品形状及び容量等により使い分けるが、1.5乃至3.0mmであることが好ましい。この容器1の厚さが厚い程、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯の熱による変形を抑制することができる。一方、容器1の厚さを薄くすると、砂型鋳型内での冷却により容器1内の溶湯が凝固するまでの時間を長くすることができる。本発明においては、凝固完了前に(半凝固製品を)水中浸漬等の水冷により急冷する必要があるため、溶湯が凝固するまでの時間を長くする必要があり、このためには、容器1の厚さは薄い方が好ましい。容器1の厚さが厚い方が、砂型鋳型内での冷却時に、溶湯の熱が容器1に奪われ、速く凝固してしまう。また、水冷の効果を大きくして冷却速度を速くしたい場合、及びステンレス鋼板から容器1を成形する際の成形荷重を小さくしたい場合も、容器1の肉厚は薄い方が好ましい。以上のように、容器1の厚さには相反する要求があるが、前述の1.5乃至3.0mmであれば、いずれの要求にも対応することができる。
また、容器1を製造するために、SUS430等のステンレス鋼板を成形するが、比較的簡単な形状のものはプレス成形で行い、複雑形状のものは、ハイドロ成形で行えばよい。また、プレス成形部とハイドロ成形部とを接合することにより、容器1を製造することもできる。
更に、容器1における湯口2との接合部は、湯口2の形状に絞り込むと共に、その厚さを厚くする。このように、容器1の接合部を厚くすることにより、溶湯の凝固を速めることができる。
本実施形態においては、図3に示すように、先ず、鋳型を砂により造型し(ステップS1)、容器1を砂型鋳型内にセットする(ステップS2)。溶解炉でアルミニウム又はアルミニウム合金原料を溶解し(ステップS10)、この溶解した溶湯を加圧式注湯機に供給し(ステップS11)、後述するようにして、容器1内に溶湯を注湯する(ステップS3)。その後、鋳型をばらし(ステップS4)、マグネットリフターにより容器1を取り出し(ステップS6)、容器1を冷却し(ステップS7)、容器1から鋳物製品を取り出し(ステップS8)、鋳物製品を加工する(ステップS9)。なお、砂処理(ステップS5)においては、砂を回収し、回収した砂を鋳型造型に再利用する(ステップS1)。しかし、砂処理において、砂の乾燥等は不要である。また、鋳物製品の加工は、製品品質の要求が厳しいものについて行う。即ち、本実施形態のように水冷による急冷品は、鋳物製品内に微小巣(マイクロポロシティ)が残存しやすく、このため、製品品質に対する要求が厳しい用途の場合は、鍛造加工して、このようなミクロポロシティを除去する。この場合は、ニアネットシェイプとする。
次に、更に具体的に本実施形態の製造方法を説明する。上述の構造の容器1を使用し、この多数の容器1を図2に示す生砂を使用した砂型鋳型10内に配置する。この砂型鋳型10は複数個連結されており、レール11上を連結した状態で移動され、その過程で、後述するように溶湯が注入される。各鋳型10の連結部に、湯口9が設けられている。そして、砂型鋳型10内の生砂には、湯口9につながる湯道(図示せず)が形成されており、この湯道は砂型鋳型10内の複数個の容器1の湯口2につながっている。よって、湯口9からアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を注入すると、砂型鋳型の湯道を介して、各容器1の湯口2から容器1内に注入され、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯が容器1内に鋳込まれる。
次いで、溶湯が生砂による冷却速度で冷却され、凝固が完了する直前で、鋳型ばらしが行われ、台12上に砂と共に容器1が回収される。この容器1は、装入用のマグネットリフター13により磁力で吸着され、水槽15まで運搬される。この水槽15には冷却水が貯留されており、容器1は、水槽15内の冷却水中に浸漬される。容器1が内部の鋳物と共に十分に冷却された後、容器1は、取出用のマグネットリフター14により磁力により吸着されて水中から回収される。そして、蝶番3a、3bを介して容器1の分割体を開けることにより、容器1内から鋳物製品が取り出される。容器1は再利用される。
本実施形態においては、容器1内に溶湯を注入してこの溶湯を容器1内で凝固させるが、溶湯注入時に、容器1自体は砂型鋳型10内の砂の中に配置されているので、溶湯注入に伴う静水圧は、砂型にバックアップされている。そして、水中浸漬による急冷時には、砂型鋳型10から取り出された容器1のみを水中に浸漬し、砂型鋳型自体は水中に浸漬されないので、砂の回収が極めて容易であり、乾燥工程も不要である。
また、容器1内の溶湯が冷却されているときに、容器1の温度測定から、内容物の温度を推定することが容易であり、このため、アルミニウム又はアルミニウム合金の凝固温度近傍を水中で急冷するためのタイミングをとりやすく、凝固組織が微細な高強度高靭性の鋳物を得ることが容易である。
本発明は、キャリパーボディ及びステアリングナックル等のアルミニウム又はアルミニウム合金製鋳物の製造に有益である。
本発明の実施形態において使用する容器1を示す斜視図である。 本発明の実施形態における鋳型ばらし工程を示す斜視図である。 本発明の実施形態の工程を示すブロック図である。
符号の説明
1:容器
2、9:湯口
3a、3b:蝶番
10:砂型鋳型
11:レール
12:台
13、14:マグネットリフター
15:水槽

Claims (3)

  1. 湯口を有し開閉可能な金属製容器を砂型鋳型の中に多数個配置し、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を前記湯口を介して前記容器内に注入する工程と、前記溶湯の凝固完了の前に前記砂型鋳型をばらして前記容器を取出し、前記容器と共に内部の半凝固製品を水冷する工程と、を有することを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  2. 前記容器は水槽中の冷却水に浸漬することにより水冷することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  3. 前記容器はステンレス鋼製であり、前記砂型鋳型をばらした後、前記容器をマグネットリフターに磁力により吸引して前記水槽に運搬することを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103008626A (zh) * 2013-01-17 2013-04-03 中国科学院金属研究所 用于大型特厚板坯的高温带液芯打箱的方法
CN103128268A (zh) * 2013-01-17 2013-06-05 中国科学院金属研究所 用于大型特厚板坯的中低温打箱的方法

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