JP2005253432A - タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット - Google Patents

タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット Download PDF

Info

Publication number
JP2005253432A
JP2005253432A JP2004073416A JP2004073416A JP2005253432A JP 2005253432 A JP2005253432 A JP 2005253432A JP 2004073416 A JP2004073416 A JP 2004073416A JP 2004073416 A JP2004073416 A JP 2004073416A JP 2005253432 A JP2005253432 A JP 2005253432A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ppiase
protein
type
producing
derived
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004073416A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Ideno
晃 井手野
Naoki Nishiguchi
直樹 西口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2004073416A priority Critical patent/JP2005253432A/ja
Publication of JP2005253432A publication Critical patent/JP2005253432A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】 無細胞タンパク質合成系において、タンパク質を可溶状態で合成するタンパ
ク質の生産方法を提供する。
【解決手段】 無細胞抽出液中でタンパク質をコードする遺伝子と分子シャペロン活性
を有するPPIaseを共存させて、該遺伝子を発現させ、該PPIaseの作用によっ
て目的のタンパク質を可溶状態で合成する。分子シャペロン活性を有するPPIaseと
して、古細菌由来のPPIase等が用いられる。当該PPIaseは分子シャペロン活
性の発現にATP等のヌクレオチド3リン酸を必要としないので、従来の分子シャペロン
を用いる系に比べてタンパク質合成が簡便かつ経済的に行える。
【選択図】 図1

Description

本発明はタンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット
に関し、さらに詳細には、無細胞タンパク質合成系において分子シャペロン活性を有する
PPIaseの作用によってタンパク質を可溶状態で合成するタンパク質の生産方法、並
びにそれに用いるための組成物、試薬及びキットに関する。
近年、種々の生物のゲノム解析が終了しつつあり、今後の研究は遺伝子の発現産物であ
るタンパク質の網羅的な機能解析へと進むと考えられている。そして、個々のタンパク質
の性質を明らかにするとともに、タンパク質同士の相互作用を網羅的に解析することで生
命現象解明の一助としようとする研究が急速に増えつつある。
一般に、あるタンパク質の性質を決定しようとする場合は、まずそのタンパク質を一定
量確保する必要がある。そのための方法としては、そのタンパク質をコードする遺伝子を
取得し、当該遺伝子を組換えDNA技術によって大量発現させ、組換えタンパク質として
得る方法が好んで用いられている。そして、その具体的な方法としては、インビボ(in
vivo)の系である宿主細胞系とインビトロ(in vitro)の系である無細胞
タンパク質合成系の2つがある。
宿主細胞系は、宿主となる細胞内にて遺伝子を発現させるものであり、例えば、目的の
タンパク質をコードする遺伝子をベクターに組込み、当該ベクターをバクテリア、酵母、
昆虫細胞等の宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換し、宿主細胞内で当該遺伝子を発現
させて、目的のタンパク質を組換えタンパク質として得るものである。この宿主細胞系は
、一部のタンパク質においては工業レベルの高生産に成功しているが、細胞毒性があるタ
ンパク質の場合は生産が困難であったり、簡便性に欠ける等の問題点を有している。一方
、無細胞タンパク質合成系(無細胞翻訳系、インビトロ翻訳系、あるいはインビトロトラ
ンスレーションともいう)は、無細胞抽出液に目的のタンパク質をコードする遺伝子を添
加し、試験管内で当該遺伝子を発現させてタンパク質を合成し、目的のタンパク質を組換
えタンパク質として得るものである。無細胞タンパク質合成系は、一定の条件下で反応を
数時間行うだけの簡便なタンパク質合成法であるため、ハイスループットなタンパク質の
生産方法として期待されている。また、細胞毒性があるタンパク質であっても問題なく合
成することができ、さらに非天然アミノ酸の導入やタンパク質の修飾が行いやすいという
特長も有している。したがって、無細胞タンパク質合成系によるタンパク質合成は、タン
パク質の網羅的解析を行うための重要な技術の一つとなっている。
組換えタンパク質の性質や機能を正しく評価する際は、そのタンパク質が、正しい立体
構造を有するように折り畳み反応(フォールディング)が行われること、すなわち正常型
タンパク質として取得されていることが必要である。そして、正常型タンパク質は通常は
可溶性である。しかしながら、異種生物由来のタンパク質を宿主発現系や無細胞タンパク
質合成系で生産しようとする場合、その目的のタンパク質が正しく折り畳まれず、正しい
立体構造を有しない異常型タンパク質としてしか合成できないケースにしばしば遭遇する
。さらに、このような異常型タンパク質は可溶性ではなく封入体と呼ばれる不溶性の凝集
体として発現することが多い。そして、いったん封入体となった異常型タンパク質を折り
畳み直して(リフォールディングという)正しい立体構造に戻すことは困難な作業であり
、成功しないことが多い。このように、目的のタンパク質の折り畳み反応が正確に行われ
るようにタンパク質合成を制御することは、タンパク質の性質や機能を正しく評価する上
で極めて重要である。
無細胞タンパク質合成系において上記の問題を解決する方法として、反応液中に「タン
パク質折り畳み因子」と呼ばれるタンパク質を添加する方法がすでに提案されている。タ
ンパク質折り畳み因子は、非酵素的に働く「分子シャペロン」と酵素的に働く「フォルダ
ーゼ」に分類される。分子シャペロンの例としては大腸菌由来のタンパク質であるDna
J、DnaK、GrpE、GroEL、GroES等があり、これらの分子シャペロンは
いずれもタンパク質の凝集形成を抑制し、折り畳みを介助する機能を有することが知られ
ている。一方、フォルダーゼとしては、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(Prot
ein disulfide isomerase。以下PDIと称する。)や、ペプチ
ジルプロリルシストランスイソメラーゼ(Peptidyl−prolyl cis−t
rans isomerase。以下、PPIaseと称する。)がよく知られている。
このうち、PDIはタンパク質の分子間又は分子内ジスルフィド結合の形成などに関与す
る酵素である。一方PPIaseは、細胞内でフォールディング途上の標的タンパク質に
作用して、標的タンパク質のプロリン残基のN末端側ペプチド結合のシス−トランス異性
化反応を触媒する活性(PPIase活性)を有する酵素である。すなわち、PDIとP
PIaseはいずれもフォルダーゼの一種であるが、その作用は全く異なる。
分子シャペロンやPDIを組換えタンパク質のフォールディングに適用した例として、
下記の特許文献に記載されている例がある。まず特許文献1には、大腸菌のS30無細胞
抽出液中でロダネーゼ遺伝子を発現させる際に、分子シャペロンであるDnaJ、Dna
K、GrpE、GroEL及びGroESの効果を検討し、これら5種類の分子シャペロ
ンを全て添加した場合に、ロダネーゼがその酵素活性を保持した正常型タンパク質として
可溶状態で発現された旨が記載されている。また特許文献2には、大腸菌のS30無細胞
抽出液中でマンガンペルオキシダーゼの遺伝子を発現させる際に、分子シャペロンである
DnaJ、DnaK、GroEL及びGroES、並びにフォルダーゼであるウシ由来P
DI及びカビ由来PDIの効果を検討し、DnaK単独、GroEL+GroES、Dn
aK+DnaJ+GroEL+GroES、ウシ由来PDI単独、カビ由来PDI単独の
いずれを添加した場合でも、マンガンペルオキシダーゼがその酵素活性を保持した正常型
タンパク質として可溶状態で発現された旨が記載されている。以上のように、タンパク質
折り畳み因子に属する一部のタンパク質は、無細胞タンパク質合成系の反応液中に添加さ
れることにより、目的タンパク質の凝集を防ぎ、正しい立体構造を有するように目的タン
パク質を折り畳み、可溶状態で正常型タンパク質として合成することを可能としている。
フォルダーゼの一種であるPPIaseはその阻害剤に対する感受性から、FK506
Binding Protein型(FKBP型)、シクロフィリン(Cycloph
ilin)型及びパーブリン(Parvulin)型の3種類に分類される。FKBP型
PPIaseは免疫阻害剤の1つであるFK506に結合して活性が阻害されるPPIa
se及びそのホモログである。シクロフィリン型PPIaseは、別の免疫阻害剤である
シクロスポリンに結合して活性が阻害されるPPIase又はそのホモログである。一方
、パーブリン型PPIaseは、いずれの免疫阻害剤に対しても感受性を示さず、ジュグ
ロン(juglone)によりその活性が阻害されるものである。これら3種類のPPI
aseについては、アミノ酸一次配列上の相同性はほとんどないことが知られている。
上記した分子シャペロンの作用を表現するために、「分子シャペロン活性」なる語が用
いられている。分子シャペロン活性は、変性したタンパク質を元の正常型にリフォールデ
ィングさせる活性、又は変性したタンパク質の不可逆的な凝集を抑制する活性と定義され
る。後者の活性については、変性したタンパク質が不可逆的に凝集することを抑制すれば
、そのタンパク質は正しい立体構造をとる方向へ進み、結果的に正しくフォールディング
されるという知見に基づき、分子シャペロン活性の一つとして定義されている。そして、
一部のPPIaseはPPIase活性の他に分子シャペロン活性をも有することが知ら
れている。例えば、下記の非特許文献1〜3には、古細菌由来のPPIaseが分子シャ
ペロン活性を有することが記載されている。すなわち、これらの古細菌由来PPIase
は、分子シャペロン活性とPPIase活性の両方を有する多機能タンパク質である。
特表平8‐508651号公報 特開2003‐116590号公報 古谷(Furutani)ら、バイオケミストリー(Biochemistry)、第39巻、第453頁以下、2000年 井手野(Ideno)ら、ユーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(European Journal of Biochemistry)、第267巻、第3139頁以下、2000年 井手野(Ideno)ら、アプライド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー(Applied Environmental Microbiology)、第68巻、第464頁以下、2002年
分子シャペロンであるDnaJ、DnaK、GrpE、GroEL又はGroESが標
的のタンパク質を正常型タンパクとして正しく折り畳むためには、高エネルギー物質であ
るATP等のヌクレオチド3リン酸を必要とする。したがって、無細胞タンパク質合成系
で分子シャペロン活性を機能させるためには、十分な量のヌクレオチド3リン酸をあらか
じめ加えておくか、途中で不足分を補充する必要がある。しかし、ヌクレオチド3リン酸
は非常に高価であり、長い時間あるいは大きいスケールで大量に使用することは経済性の
面で好ましくない。また、反応液中のATP濃度が低下した場合、分子シャペロンが有す
るタンパク質の折り畳み促進効果が停止してしまい、逆に標的タンパク質の折り畳み中間
体を捕捉し、正しい立体構造を有するタンパク質の合成を抑制してしまう。
さらに、GroELとGroESは併用して使用することが望ましく、この際、Gro
EL分子又はGroES分子は目的のタンパク質分子と1:1の割合で結合して作用する
。しかし、GroELは分子量約60000の各サブユニット14〜18個からなる巨大
なタンパク質であり、折り畳み反応を行うためには目的タンパク質に比して重量換算で大
量のGroELが必要である。同様に、DnaJ、DnaK、及びGrpEにおいても折
り畳み反応のためにはこれら3種を併用して用いることが望ましいが、DnaKの分子量
が約70000であることを勘案すると、やはり重量換算で大量の分子を必要とする。し
たがって、これらのタンパク質を折り畳み反応に使用するためにはその用量が多大となり
、簡便性と経済性の両面で好ましくない。
一方、分子シャペロン活性を有するPPIaseの場合は、その分子シャペロン活性の
発現のためにATP等のヌクレオチド3リン酸を必要としない。さらに、PPIaseは
分子量が約10000〜55000程度であり単量体又は2量体のものが多いため、折り
畳み反応の際に必要とされる量は重量換算において少ない。しかしながら、分子シャペロ
ン活性を有するPPIaseの無細胞タンパク質合成における効果は明らかではない。
本発明の目的は、無細胞タンパク質合成系において、分子シャペロン活性を有するPP
Iaseの作用によってタンパク質を可溶状態で合成することができる簡便性と経済性に
優れたタンパク質の生産方法、並びにそれに用いるための組成物、試薬及びキットを提供
することにある。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、無細胞抽出液中でタンパク質
をコードする遺伝子と分子シャペロン活性を有するPPIaseを共存させて、該遺伝子
を発現させ、該PPIaseの作用によって前記タンパク質を可溶状態で合成することを
特徴とするタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法においては、無細胞タンパク質合成系でタンパク質をコ
ードする遺伝子と分子シャペロン活性を有するPPIaseを共存させ、該PPIase
の作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成する。すなわち、本発明のタンパク質
の生産方法においては、PPIaseの分子シャペロン活性を利用するので、従来の分子
シャペロンとは異なりその活性発現のためにATP等のヌクレオチド3リン酸を必要とし
ない。さらに、従来の分子シャペロンのようにATPの不足による目的タンパク質の折り
畳み促進効果の停止や折り畳み中間体の捕捉といった問題も生じない。さらに、PPIa
seはその分子量が約10000〜55000程度と従来の分子シャペロンに比べて小さ
いので、本発明のタンパク質の生産方法に使用する際には重量換算においてきわめて少量
で目的のタンパク質に作用することができる。したがって、従来の分子シャペロンに比べ
てより簡便且つ経済的に可溶状態でタンパク質を合成することができる。さらに、本発明
のタンパク質の生産方法では、分子シャペロン活性とPPIaseが本来持つPPIas
e活性との相乗効果により、従来の分子シャペロン(分子シャペロン活性のみを有する)
に比べて目的のタンパク質をさらに確実にフォールディングさせることができる。
また請求項2に記載の発明は、前記PPIaseがFKBP型PPIaseであること
を特徴とする請求項1に記載のタンパク質の生産方法である。
分子シャペロン活性を有するPPIaseにおいても上記した3種類、すなわち、FK
BP型、シクロフィリン型、パーブリン型に分類することができる。そして本発明のタン
パク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有するPPIaseとしてFKBP型PPI
aseを用いるものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状
態で合成することができる。
また請求項3に記載の発明は、前記FKBP型PPIaseが古細菌由来FKBP型P
PIaseであることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質の生産方法である。
古細菌由来のPPIaseはFKBP型であり、分子シャペロン活性を有している。そ
して本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有する古細菌由来FKBP
型PPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質
を可溶状態で合成することができる。
また請求項4に記載の発明は、前記古細菌由来FKBP型PPIaseがショートタイ
プFKBP型PPIaseであることを特徴とする請求項3に記載のタンパク質の生産方
法である。
古細菌由来FKBP型PPIaseはその分子量の大きさでショートタイプとロングタ
イプに区別される。このうち、ショートタイプのPPIaseは分子シャペロン活性が高
く、目的のタンパク質をフォールディングする際には特に好適である。したがって、本発
明のタンパク質の生産方法においては、目的のタンパク質をより確実にフォールディング
でき、可溶状態で合成することができる。
また請求項5に記載の発明は、前記ショートタイプFKBP型PPIaseがMeth
anococcus属細菌由来であることを特徴とする請求項4に記載のタンパク質の生
産方法である。
Methanococcus属の古細菌はショートタイプのFKBP型PPIaseを
有し、当該PPIaseは高い分子シャペロン活性を有している。したがって、本発明の
タンパク質の生産方法においては、目的のタンパク質をより確実にフォールディングでき
、可溶状態で合成することができる。
また請求項6に記載の発明は、前記古細菌由来FKBP型PPIaseがロングタイプ
FKBP型PPIaseであることを特徴とする請求項3に記載のタンパク質の生産方法
である。
ロングタイプの古細菌由来FKBP型PPIaseにおいても、分子シャペロン活性を
有している。そして本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有する古細
菌由来ロングタイプFKBP型PPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作
用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる。
また請求項7に記載の発明は、前記ロングタイプFKBP型PPIaseがPyroc
occus属細菌由来のものであることを特徴とする請求項6に記載のタンパク質の生産
方法である。
Pyrococcus属の古細菌はロングタイプのFKBP型PPIaseを有し、当
該PPIaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生産方
法は、分子シャペロン活性を有するPyrococcus属細菌由来ロングタイプFKB
P型PPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク
質を可溶状態で合成することができる。
また請求項8に記載の発明は、前記FKBP型PPIaseがトリガーファクタータイ
プPPIaseであることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質の生産方法である。
古細菌由来以外のFKBP型PPIaseとしては、トリガーファクタータイプ、Fk
pAタイプ及びFKBP52タイプのものが存在する。そして本発明のタンパク質の生産
方法は、分子シャペロン活性を有するトリガーファクタータイプPPIaseを用いるも
のであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成すること
ができる。
また請求項9に記載の発明は、前記トリガーファクタータイプPPIaseが大腸菌由
来のものであることを特徴とする請求項8に記載のタンパク質の生産方法である。
大腸菌はFKBP型PPIaseとしてトリガーファクタータイプPPIaseを有し
、当該PPIaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生
産方法は、分子シャペロン活性を有する大腸菌由来トリガーファクタータイプPPIas
eを用いるものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で
合成することができる。
また請求項10に記載の発明は、前記FKBP型PPIaseがFkpAタイプPPI
aseであることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有するFKBP型PPIas
eとしてFkpAタイプPPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作用によ
って目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる。
また請求項11に記載の発明は、前記FkpAタイプPPIaseが大腸菌由来のもの
であることを特徴とする請求項10に記載のタンパク質の生産方法である。
大腸菌はFKBP型PPIaseとしてFkpAタイプPPIaseを有し、当該PP
Iaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生産方法は、
分子シャペロン活性を有する大腸菌由来FkpAタイプPPIaseを用いるものであり
、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる
また請求項12に記載の発明は、前記FKBP型PPIaseがFKBP52タイプP
PIaseであることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有するFKBP型PPIas
eとしてFKBP52タイプPPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作用
によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる。
また請求項13に記載の発明は、前記FKBP52タイプPPIaseがヒト由来のも
のであることを特徴とする請求項12に記載のタンパク質の生産方法である。
ヒトはFKBP型PPIaseとしてFKBP52タイプPPIaseを有し、当該P
PIaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生産方法は
、分子シャペロン活性を有するヒト由来FKBP52タイプPPIaseを用いるもので
あり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することがで
きる。
また請求項14に記載の発明は、前記PPIaseがシクロフィリン型PPIaseで
あることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質の生産方法である。
本発明においては、分子シャペロン活性を有するPPIaseとして上記した3種類の
分類のうち、シクロフィリン型PPIaseを用いる。すなわち本発明のタンパク質の生
産方法は、分子シャペロン活性を有するPPIaseとしてシクロフィリン型PPIas
eを用いるものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で
合成することができる。
また請求項15に記載の発明は、前記シクロフィリン型PPIaseがCyP40タイ
プPPIaseであることを特徴とする請求項14に記載のタンパク質の生産方法である
シクロフィリン型PPIaseの一種としては、CyP40タイプPPIaseがある
。そして本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有するシクロフィリン
型PPIaseとしてCyP40タイプPPIaseを用いるものであり、当該PPIa
seの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる。
また請求項16に記載の発明は、前記CyP40タイプPPIaseがヒト由来のもの
であることを特徴とする請求項15に記載のタンパク質の生産方法である。
ヒトはシクロフィリン型PPIaseとしてCyP40タイプPPIaseを有し、当
該PPIaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生産方
法は、分子シャペロン活性を有するヒト由来CyP40タイプPPIaseを用いるもの
であり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することが
できる。
また請求項17に記載の発明は、前記PPIaseがパーブリン型PPIaseである
ことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質の生産方法である。
本発明においては、分子シャペロン活性を有するPPIaseとして上記した3種類の
分類のうち、パーブリン型PPIaseを用いる。すなわち本発明のタンパク質の生産方
法は、分子シャペロン活性を有するPPIaseとしてパーブリン型PPIaseを用い
るものであり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成する
ことができる。
また請求項18に記載の発明は、前記パーブリン型PPIaseがSurAタイプPP
Iaseであることを特徴とする請求項17に記載のタンパク質の生産方法である。
パーブリン型PPIaseの一種としては、SurAタイプPPIaseがある。そし
て本発明のタンパク質の生産方法は、分子シャペロン活性を有するパーブリン型PPIa
seとしてSurAタイプPPIaseを用いるものであり、当該PPIaseの作用に
よって目的のタンパク質を可溶状態で合成することができる。
また請求項19に記載の発明は、前記SurAタイプPPIaseが大腸菌由来のもの
であることを特徴とする請求項18に記載のタンパク質の生産方法である。
大腸菌はパーブリン型PPIaseとしてSurAタイプPPIaseを有し、当該P
PIaseは分子シャペロン活性を有している。そして本発明のタンパク質の生産方法は
、分子シャペロン活性を有する大腸菌由来CyP40タイプPPIaseを用いるもので
あり、当該PPIaseの作用によって目的のタンパク質を可溶状態で合成することがで
きる。
また請求項20に記載の発明は、無細胞抽出液が大腸菌由来のものであることを特徴と
する請求項1乃至19のいずれかに記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法においては、無細胞タンパク合成系で特に実績がある大
腸菌の無細胞抽出液を用いる。したがって、遺伝子の転写及び翻訳がより確実に行われ、
さらに分子シャペロン活性を有するPPIaseの作用によってより確実に可溶状態でタ
ンパク質を合成することができる。
また請求項21に記載の発明は、前記タンパク質が抗体の一部又は全部であることを特
徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法においては、抗体の一部又は全部をコードする遺伝子を
無細胞タンパク質合成系にて発現させ、分子シャペロン活性を有するPPIaseの作用
させて可溶状態で抗体を合成する。かかる構成により、活性型の抗体を短時間で大量に得
ることができる。
また請求項22に記載の発明は、前記PPIaseに代わって分子シャペロン活性を有
するドメインに限定されたポリペプチドを使用することを特徴とする請求項1乃至21の
いずれかに記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法においては、完全長のPPIaseの代わりにその一部
である分子シャペロン活性を有するドメインに限定されたポリペプチドを用いる。当該ポ
リペプチドは完全長のPPIaseに比べて分子量が小さいので、重量換算においてきわ
めて少量で目的のタンパク質に作用することができる。
また請求項23に記載の発明は、無細胞抽出液に分子シャペロン活性を有するPPIa
seを添加し、次いでタンパク質をコードする遺伝子を添加することを特徴とする請求項
1乃至22のいずれかに記載のタンパク質の生産方法である。
本発明のタンパク質の生産方法においては、無細胞抽出液に分子シャペロン活性を有す
るPPIaseを添加し、次いでタンパク質のコードする遺伝子を添加する。かかる構成
により、合成直後のタンパク質に分子シャペロン活性を有するPPIaseが直ちに作用
することができ、より確実に可溶状態で目的のタンパク質を合成することができる。
また請求項24に記載の発明は、請求項23に記載のタンパク質の生産方法に使用する
ための組成物であって、無細胞抽出液と、タンパク質をコードする遺伝子と、分子シャペ
ロン活性を有するPPIaseを含むことを特徴とするタンパク質生産用組成物である。
本発明のタンパク質生産用組成物においては、分子シャペロン活性を有するPPIas
e(限定されたポリペプチドを含む)を含み、該PPIaseの作用によって目的のタン
パク質を可溶状態で合成することができる。本発明の組成物はATP等のヌクレオチド3
リン酸を含む必要がなく、経済的である。
また請求項25に記載の発明は、請求項23に記載のタンパク質の生産方法に使用する
ための試薬であって、分子シャペロン活性を有するPPIaseを少なくとも含むことを
特徴とするタンパク質生産用試薬である。
本発明のタンパク質生産用試薬は分子シャペロン活性を有するPPIase(限定され
たポリペプチドを含む)を含む。したがって、無細胞抽出物とタンパク質をコードする遺
伝子を含む組成物に本発明の試薬を添加することによって、目的のタンパク質を可溶状態
で合成することができる。
また請求項26に記載の発明は、請求項23に記載に記載のタンパク質の生産方法に使
用するためのキットであって、分子シャペロン活性を有するPPIaseを少なくとも含
むタンパク質生産用試薬と、無細胞抽出液を含むことを特徴とするタンパク質生産用キッ
トである。
本発明のタンパク生産用キットにおいては、分子シャペロン活性を有するPPIase
(限定されたポリペプチドを含む)を少なくとも含むタンパク質生産用試薬と無細胞抽出
液が含まれている。したがって、目的のタンパク質をコードする遺伝子を用意するだけで
、無細胞タンパク質合成系によるタンパク質生産を簡便に行うことができる。
本発明により、無細胞タンパク質合成系において、分子シャペロン活性を有するPPI
aseの作用によってタンパク質を可溶状態で合成することができる簡便性と経済性に優
れたタンパク質の生産方法、並びにそれに用いるための組成物、試薬及びキットが提供さ
れた。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。
本発明のタンパク質の生産方法においては、無細胞抽出液、タンパク質をコードする遺
伝子及び分子シャペロン活性を有するPPIaseの3つの要素が必須である。まず、第
1の要素である分子シャペロン活性を有するPPIaseについて、その分類と特徴を順
次説明する。既述のように、一般にPPIaseはその阻害剤に対する感受性から、FK
BP型、シクロフィリン型及びパーブリン型の3種類に大きく分類される。FKBP型は
、さらに古細菌由来、トリガーファクタータイプ、FkpAタイプ及びFKBP52タイ
プに大別される。そしてさらに、古細菌由来のFKBP型PPIaseはショートタイプ
とロングタイプに大別される。一方、シクロフィリン型PPIaseについては、その一
分類としてCyP40タイプがある。さらに、パーブリン型PPIaseについては、そ
の一分類としてSurAタイプがある。本発明においては、分子シャペロン活性を有する
PPIaseであれば、以上のすべてのタイプのPPIaseが使用可能であり、当該P
PIaseの作用によって目的のタンパク質を無細胞タンパク質合成系において可溶状態
で合成することができる。
まず古細菌由来のFKBP型PPIaseのうちのショートタイプとは、その分子量が
16000〜18000程度のものをいう。一方、古細菌由来のFKBP型PPIase
のうちのロングタイプとは、その分子量が26000〜33000程度のものをいう。古
細菌由来のPPIaseは分子シャペロン活性を有することが分かっており、ショートタ
イプとロングタイプのいずれのPPIaseも分子シャペロン活性を有する。さらにその
分子シャペロン活性の発現にはATP等のヌクレオチド3リン酸を必要としない。このう
ち、ショートタイプのPPIaseはより強い分子シャペロン活性を有するので、無細胞
タンパク合成系で使用する場合には有利である。一方、ロングタイプのPPIaseはシ
ョートタイプのPPIaseほど分子シャペロン活性が強くないが、それでも実用上は十
分な活性を有しているので、やはり本発明に使用可能である。なお、上記したショートタ
イプ及びロングタイプの分子量はこれまでに知られているものの値であり、この値を外れ
る分子量をもつ古細菌由来FKBP型PPIaseでも分子シャペロン活性を有する限り
本発明に使用可能である。
本発明に使用される分子シャペロン活性を有するPPIaseの由来となる古細菌とし
ては、例えば、Thermococcus属、Methanococcus属、Meth
anosarcina属、Halobacterium属、Archaeoglobus
属、Aeropurum属、Purobaculum属、Sulfolobus属、Fe
rroplasma属、Thermoplasma属、Methanopyrus属、M
ethanothermobacter属、Pyrococcus属が挙げられる。ここ
で、本発明に使用できる古細菌由来ショートタイプFKBP型PPIaseの例として、
Methanococcus属細菌由来のPPIaseの遺伝子の塩基配列及び推定され
るアミノ酸配列を配列番号1に、そのアミノ酸配列のみを配列番号2に示す。同様に、古
細菌由来ロングタイプFKBP型PPIaseの例として、Pyrococcus属細菌
由来のPPIaseの遺伝子の塩基配列及び推定されるアミノ酸配列を配列番号3に、そ
のアミノ酸配列のみを配列番号4に示す。なお、他の古細菌由来ショートタイプFKBP
型PPIaseのアミノ酸配列は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と高い相同性を有
すると考えられる。さらに、他の古細菌由来ロングタイプFKBP型PPIaseのアミ
ノ酸配列は配列番号4に示されるアミノ酸配列と高い相同性を有すると考えられる。
次に、FKBP型PPIaseの一種であるトリガーファクタータイプPPIaseに
ついて説明する。ここで、トリガーファクタータイプPPIaseとは、バクテリア由来
であり且つリボゾーム結合活性を有するFKBP型PPIaseをいう。トリガーファク
タータイプPPIaseはその分子量が46000〜50000程度のものが一般的であ
る。そしてトリガーファクタータイプPPIaseは古細菌由来FKBP型PPIase
と同様に、PPIase活性とは独立した活性として分子シャペロン活性を有する。トリ
ガーファクタータイプPPIaseはN末端ドメイン、中間ドメイン及びC末端ドメイン
の3つのドメインからなることが分かっているが(ツァルント(Zarnt)ら、ジャー
ナル オブ モレキュラー バイオロジー(Journal of Molecular
Biology),第271巻,第827頁以下,1997年 に記載)、このうち分
子シャペロン活性を司っているのはN末端ドメイン及び/又はC末端ドメインであると考
えられている。したがって、トリガーファクタータイプPPIaseを本発明に使用する
ときは、全長を有する完全型トリガーファクタータイプPPIaseの他に、N末端ドメ
イン及び/又はC末端ドメインのみに限定されたポリペプチドである改変型トリガーファ
クタータイプPPIaseも使用可能である。すなわち、完全型トリガーファクタータイ
プPPIaseを用いるときは、分子シャペロン活性とPPIase活性の両方を有する
のでそれらの相乗効果が期待でき、一方、改変型トリガーファクタータイプPPIase
を用いるときは、分子量が小さくなるのでその使用量が少なくて済むという利点を有する
トリガーファクタータイプPPIaseはほとんどすべてのバクテリアや一部のマイコ
プラズマ類で見つかっている。本発明に使用されるトリガーファクタータイプPPIas
eの由来となるバクテリア等としては、例えば、大腸菌、Mycoplasma gen
italium、Bacillus subtilis、Salmonella ent
erica、Staphylococcus aureus、Mycobacteriu
m leprae、Agrobacterium tumefacium、Lactoc
occus lactis、Campyrobacter jejuni、Strept
ococcus pyogenes、Corynebacterium diphthe
riaeのものが挙げられる。ここで、本発明に使用できるトリガーファクタータイプP
PIaseの例として、大腸菌由来のトリガーファクタータイプPPIaseの遺伝子の
塩基配列及び推定されるアミノ酸配列を配列番号5に、そのアミノ酸配列のみを配列番号
6に示す。大腸菌由来のトリガーファクタータイプPPIaseはその分子量が4800
0程度である。なお、他のトリガーファクタータイプPPIaseのアミノ酸配列は配列
番号6に示されるアミノ酸配列と高い相同性を有すると考えられる。
次に、FKBP型PPIaseの別の一種であるFkpAタイプPPIaseについて
説明する。ここで、FkpAタイプPPIaseとは、グラム陰性バクテリアのペリプラ
ズムに存在するFKBP型PPIaseをいう。FkpAタイプPPIaseはその分子
量が27000〜30000程度のものが一般的である。そしてFkpAタイプPPIa
seは古細菌由来FKBP型PPIaseと同様に、PPIase活性とは独立した活性
として分子シャペロン活性を有する。FkpAタイプPPIaseはN末端ドメイン及び
C末端ドメインの2つのドメインからなることが分かっているが(アリエ(Arie)ら
,モレキュラー マイクロバイオロジー(Molecular Microbiolog
y),第39巻,第199頁以下,2001年 に記載)、このうち分子シャペロン活性
を司っているのはN末端ドメインであると考えられている。したがって、FkpAタイプ
PPIaseを本発明に使用するときは、全長を有する完全型FkpAタイプPPIas
eの他に、N末端ドメインのみに限定されたポリペプチドである改変型FkpAタイプP
PIaseも使用可能である。すなわち、完全型FkpAタイプPPIaseを用いると
きは、分子シャペロン活性とPPIase活性の両方を有するのでそれらの相乗効果が期
待でき、一方、改変型FkpAタイプPPIaseを用いるときは、分子量が小さくなる
のでその使用量が少なくて済むという利点を有する。
本発明に使用されるFkpAタイプPPIaseの由来となるグラム陰性バクテリアと
しては、例えば、大腸菌、Pyrobaculum aerophilium、Pseu
domonas aeruginosa、Xylella fastidiosa、Ne
isseria meningitides、Mesorhizobium loti、
Heamophilus influenzae、Ralstonia solanac
earumが挙げられる。ここで、本発明に使用できるFkpAタイプPPIaseの例
として、大腸菌由来のFkpAタイプPPIaseの遺伝子の塩基配列及び推定されるア
ミノ酸配列を配列番号7に、そのアミノ酸配列のみを配列番号8に示す。大腸菌由来のF
kpAタイプPPIaseはその分子量が29000程度である。なお、他のFkpAタ
イプPPIaseのアミノ酸配列は配列番号8に示されるアミノ酸配列と高い相同性を有
すると考えられる。
次に、FKBP型PPIaseのさらに別の一種であるFKBP52タイプPPIas
eについて説明する。ここで、FKBP52タイプPPIaseとは、真核生物由来であ
り、分子量が47000〜55000程度で、FK506結合活性を有すると推定される
ドメインがN末端側から2個連なっており、C末端側にはヒートショックタンパク質の一
種であるHSP90と結合することができるテトラトリコペプチドリピート(TPR)と
呼ばれる繰り返し配列を有するFKBP型PPIaseをいう。FKBP52タイプPP
Iaseは、さらにC末端側にカルモジュリン結合部位を有することが多い。そしてFK
BP52タイプPPIaseは古細菌由来FKBP型PPIaseと同様に、PPIas
e活性とは独立した活性として分子シャペロン活性を有する。FKBP52タイプPPI
aseはN末端ドメイン及びC末端ドメインの2つのドメインからなることが分かってい
るが(アリエら,モレキュラー マイクロバイオロジー,第39巻,第199頁以下,2
001年 に記載)、このうち分子シャペロン活性を司っているのはC末端ドメインであ
ると考えられている。したがって、FKBP52タイプPPIaseを本発明に使用する
ときは、全長を有する完全型FKBP52タイプPPIaseの他に、C末端ドメインの
みに限定されたポリペプチドである改変型FKBP52タイプPPIaseも使用可能で
ある。すなわち、完全型FKBP52タイプPPIaseを用いるときは、分子シャペロ
ン活性とPPIase活性の両方を有するのでそれらの相乗効果が期待でき、一方、改変
型FKBP52タイプPPIaseを用いるときは、分子量が小さくなるのでその使用量
が少なくて済むという利点を有する。
本発明に使用されるFKBP52タイプPPIaseの由来となる真核生物としては、
例えば、ヒト、マウス、ウシ、ウサギ、ラットが挙げられる。本発明に使用できるFKB
P52タイプPPIaseの例として、ヒト由来のFKBP52タイプPPIaseの遺
伝子の塩基配列及び推定されるアミノ酸配列を配列番号9に、そのアミノ酸配列のみを配
列番号10に示す。ヒト由来のFKBP52タイプPPIaseはその分子量が5200
0程度である。なお、他のFKBP52タイプPPIaseのアミノ酸配列は配列番号1
0に示されるアミノ酸配列と高い相同性を有すると考えられる。
次に、シクロフィリン型PPIaseの一種であるCyP40タイプPPIaseにつ
いて説明する。ここで、CyP40タイプPPIaseとは、真核生物由来であり、分子
量が38000〜42000程度であり、シクロフィリンと相同的なドメインをN末端側
に有し、さらにC末端側にTPRを有するシクロフィリン型PPIaseをいう。そして
CyP40タイプPPIaseは古細菌由来FKBP型PPIaseと同様に、PPIa
se活性とは独立した活性として分子シャペロン活性を有する。CyP40タイプPPI
aseはN末端ドメイン及びC末端ドメインの2つのドメインからなることが分かってい
るが(ギャラット(Galat)、ペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(Pe
ptidyl−Prolyl cis/trans isomerase),オックスフ
ォード大学出版(Oxford University Press),1998年 に
記載)、このうち分子シャペロン活性を司っているのはC末端ドメインであると考えられ
ている。したがって、CyP40タイプPPIaseを本発明に使用するときは、全長を
有する完全型FCyP40タイプPPIaseの他に、C末端ドメインのみに限定された
ポリペプチドである改変型CyP40タイプPPIaseも使用可能である。すなわち、
完全型CyP40タイプPPIaseを用いるときは、分子シャペロン活性とPPIas
e活性の両方を有するのでそれらの相乗効果が期待でき、一方、改変型CyP40タイプ
PPIaseを用いるときは、もはやPPIase活性はなく分子シャペロン活性のみを
有するが、分子量が小さくなるのでその使用量が少なくて済むという利点を有する。
本発明に使用されるCyP40タイプPPIaseの由来となる真核生物としては、例
えば、ヒト、マウス、ウシ、ウサギ、ラットが挙げられる。本発明に使用できるCyP4
0タイプPPIaseの例として、ヒト由来のCyP40タイプPPIaseの遺伝子の
塩基配列及び推定されるアミノ酸配列を配列番号11に、そのアミノ酸配列のみを配列番
号12に示す。ヒト由来のCyP40タイプPPIaseはその分子量が40000程度
である。なお、他のCyP40タイプPPIaseのアミノ酸配列は配列番号12に示さ
れるアミノ酸配列と高い相同性を有すると考えられる。
最後に、パーブリン型PPIaseの一種であるSurAタイプPPIaseについて
説明する。ここで、SurAタイプPPIaseとは、グラム陰性バクテリアのペリプラ
ズムに存在するパーブリン型PPIaseをいう。SurAタイプPPIaseはその分
子量が45000〜50000程度のものが一般的である。そしてSurAタイプPPI
aseは古細菌由来FKBP型PPIaseと同様に、PPIase活性とは独立した活
性として分子シャペロン活性を有する。SurAタイプPPIaseはN末端ドメイン及
びC末端ドメインの2つのドメインからなることが分かっているが、このうち分子シャペ
ロン活性を司っているのはN末端ドメインであると考えられている(ベーレンス(Beh
renns)ら、ジ エンボ ジャーナル(The EMBO Journal),第2
0巻,第285頁以下,2001年 に記載)。したがって、SurAタイプPPIas
eを本発明に使用するときは、全長を有する完全型SurAタイプPPIaseの他に、
N末端ドメインのみに限定されたポリペプチドである改変型SurAタイプPPIase
も使用可能である。すなわち、完全型SurAタイプPPIaseを用いるときは、分子
シャペロン活性とPPIase活性の両方を有するのでそれらの相乗効果が期待でき、一
方、改変型SurAタイプPPIaseを用いるときは、もはやPPIase活性はなく
分子シャペロン活性のみを有するが、分子量が小さくなるのでその使用量が少なくて済む
という利点を有する。
本発明に使用されるSurAタイプPPIaseの由来となるグラム陰性バクテリアと
しては、例えば、大腸菌、Pyrobaculum aerophilium、Pseu
domonas aeruginosa、Xylella fastidiosa、Ne
isseria meningitides、Mesorhizobium loti、
Heamophilus influenzae、Ralstonia solanac
earumが挙げられる。ここで、本発明に使用できるSurAタイプPPIaseの例
として、大腸菌由来のSurAタイプPPIaseの遺伝子の塩基配列及び推定されるア
ミノ酸配列を配列番号13に、そのアミノ酸配列のみを配列番号14に示す。大腸菌由来
のSurAタイプPPIaseはその分子量が47000程度である。なお、他のSur
AタイプPPIaseのアミノ酸配列は配列番号14に示されるアミノ酸配列と高い相同
性を有すると考えられる。
なお、上記した各タイプのPPIaseとアミノ酸配列において相同性を有し、分子シ
ャペロン活性を有するPPIaseであれば、それらは実質的に同一であり、すべて本発
明に使用することができる。すなわち、ワイルドタイプの分子シャペロン活性を有するP
PIaseと、実質的に同等の機能を有していれば、構成アミノ酸の一部を別のアミノ酸
置換したものであってもよい。すなわち、ワイルドタイプのPPIaseに対し、そのア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個
(1〜5個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好
ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1
〜5個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ま
しくは、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミ
ノ酸が他のアミノ酸で置換された、分子シャペロン活性を有するPPIaseであればよ
い。
本発明のタンパク質の生産方法において使用するPPIaseの使用量は、添加した遺
伝子の発現量、すなわち目的のタンパク質の合成量によって適宜選択すればよい。そのた
めには、あらかじめその無細胞タンパク質合成系での発現量を測定しておくことが好まし
い。例えば、分子シャペロン活性を有するPPIaseを添加しない系で無細胞タンパク
質合成を行ってみて、封入体として得られる目的タンパク質の合成量を測定し、そのモル
数を算出する。そして、本発明のタンパク質の生産方法である分子シャペロン活性を有す
るPPIaseを添加する系でタンパク質合成において、そのモル数のタンパク質をフォ
ールディングするために必要な量、例えば1〜20倍モル量のPPIaseを無細胞抽出
液に添加すればよい。
分子シャペロン活性の測定方法としては、例えば、以下の方法がある。すなわち、ロダ
ネーゼ、クエン酸合成酵素、リンゴ酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素等
をモデル酵素とし(河田、バイオサイエンスとインダストリー 第56巻,第593頁以
下,1998年 に記載)、これらを6M塩酸グアニジン等のタンパク質変性剤で変性処
理後、検定対象物質を含む緩衝液で変性剤を希釈した際に開始する変性タンパク質の再生
率や、変性タンパク質の凝集の抑制率でその検定対象物の分子シャペロン活性を評価する
ことができる。なお、変性タンパク質の再生率を評価する方法としては、例えばロダネー
ゼの場合、ホロビッチらの方法(Horowitzら、メソッヅ イン モレキュラー
バイオロジー(Methods in Molecular Biology),第40
巻,第361頁以下,1995年)が挙げられ、変性タンパク質の凝集抑制を評価する方
法としては田口らの方法(Taguchiら、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミ
ストリー(Journal Biological Chemistry),第269巻
,第8529頁以下,1994年)等が挙げられる。
次に、本発明のタンパク質の生産方法における第2の要素である無細胞抽出液について
説明する。本発明のタンパク質の生産方法に使用される無細胞抽出液の由来としては、大
腸菌、小麦胚芽、昆虫細胞、ウサギ網状赤血球等が代表的であり、さらに他の真生細菌や
古細菌などの原核生物の細胞、酵母、植物、動物などの真核生物の細胞も使用可能である
。また、目的タンパク質及びその遺伝子の種類によって適したものを選択することもでき
る。例えば、目的タンパク質がバクテリア由来のものであれば、大腸菌由来の無細胞抽出
液が好適である。同様に、目的タンパク質が植物あるいは植物ウイルス由来のものであれ
ば、小麦胚芽由来の無細胞抽出液が好適である。同様に、目的タンパク質が動物あるいは
動物ウイルス由来のものであれば、ウサギ網状赤血球由来の無細胞抽出液が好適である。
無細胞抽出液の調製は、例えば、各細胞を破砕して遠心分離等の操作で上清画分を回収す
ることにより得ることができる。なお、無細胞抽出液を調製する際の細胞破砕方法は公知
の方法を使用することができ、例えば機械的破砕法を使用することができる。機械的破砕
法の例としては、ホモジナイザーによる破砕、圧力変化による破砕、超音波による破砕等
が挙げられる。また、機械的破砕法以外の方法、例えば低張処理や酵素処理も使用可能で
ある。また、自家調製ではなく市販されている各種の無細胞抽出液を使用することもでき
る。
次に、本発明のタンパク質の生産方法における第3の要素であるタンパク質をコードす
る遺伝子について説明する。本発明のタンパク質の生産方法に使用するタンパク質をコー
ドする遺伝子は、プラスミドに挿入された状態や、PCR等で増幅したDNA断片内に含
まれている状態で添加することができる。この際、当該遺伝子の上流にプロモーター配列
とSD配列が配置されることが望ましく、さらに下流にターミネーター配列を配置しても
よい。好ましいプロモーター配列とターミネーター配列の例としては、T7プロモーター
及びT7ターミネーターが挙げられる。また、使用する無細胞抽出液が真核生物由来の場
合は、転写されたmRNAの5’末端にキャップ構造を付与できるように遺伝子を構成す
ることが好ましい。当該遺伝子がコードするタンパク質、すなわち本発明のタンパク質の
生産方法によって可溶状態で合成されるタンパク質の例としては、各種の酵素類、イムノ
グロブリン、ウイルス由来タンパク質(外被タンパク質、コアタンパク質、プロテアーゼ
、インテグラーゼ等)、成長因子(増殖因子)類、各種ホルモン・サイトカイン、Gタン
パク質共役型受容体等の膜受容体などが挙げられる。イムノグロブリンの例としては、I
gG、Fabフラグメント、(Fab)2フラグメント、一本鎖抗体(scFv)が挙げ
られる。ウイルスの例としては、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイル
ス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルスが挙げられる。成長因子
の例としては、血小板由来増殖因子(PDGF)、血液幹細胞成長因子、肝細胞成長因子
(HGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、神経成長因子・栄養因子(NG
F又はNF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)が挙げ
られる。ホルモン・サイトカインの例としては、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェ
ロン(IFN)、インターロイキン(IL)エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニ
ー刺激因子(G−CSF)、マクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、ヒト成
長ホルモン、アルブミンが挙げられる。
本発明のタンパク質の生産方法で無細胞タンパク質合成を行う際は、その反応液(組成
物)に上記の3要素の他にタンパク質合成をさらに向上させるためのものを含めることが
できる。例えば、RNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼの基質となる各種ヌクレオチ
ド3リン酸(ATP、UTP、GTP、CTP)、各種アミノ酸、各種tRNA、リボゾ
ームフラクション、各種リン酸化酵素等をエネルギー再生因子としてさらに添加すること
ができる。例えば、プロモーター配列にT7プロモーターを使用する場合は、T7RNA
ポリメラーゼを加えることが好ましい。また、大腸菌由来の無細胞抽出液を使用するが、
遺伝子の使用コドンが大腸菌におけるレアコドンを含む場合は、レアコドンに対応するt
RNAを添加することが好ましい。
無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質生産のシステムは、バッチ式と連続式があ
る。バッチ式は最も容易なシステムで、閉鎖系で合成反応を行うものである。一方、連続
式は、限外ろ過膜を介して反応液にヌクレオチド3リン酸等の基質類を連続的に添加し、
あるいは反応液から老廃物を連続的に除去するもので、2つの方式がある。一つはCFC
Fシステム(Continuous Flow Cell−Free System)で
あり、もう一つはCECFシステム(Continuous Exchange Cel
l−Free System)であるが、後者のCECFシステムが好んで用いられてい
る。本発明のタンパク質の生産方法は、いずれのシステムにも適用可能である。すなわち
、バッチ式であれば、反応液中に分子シャペロン活性を有するPPIaseを添加し、そ
のままタンパク質合成反応を行えばよい。必要に応じてPPIaseを反応中にさらに添
加することもできる。またCECFシステムの場合は、バッチ式と同様に反応液中に分子
シャペロン活性を有するPPIaseを添加しておけば、PPIaseは限外ろ過膜を通
過することなく反応液中に留まるので、連続的にPPIaseを目的タンパク質に作用さ
せることができる。CFCFシステムの場合は、限外ろ過膜をPPIaseが通過しない
ような工夫が必要であるが、担体やその限外ろ過膜内側にPPIaseを固定化すること
で対応可能である。
本発明のタンパク質生産用組成物は、上記した3つの要素、すなわち、無細胞抽出液と
タンパク質をコードする遺伝子と分子シャペロン活性を有するPPIase(限定された
ポリペプチドを含む)とを少なくとも含むものである。無細胞抽出液、タンパク質をコー
ドする遺伝子、及び分子シャペロン活性を有するPPIaseは、上記したすべてのもの
が使用可能である。さらに本発明のタンパク質生産用組成物は、上記の3要素の他に、R
NAポリメラーゼ、各種ヌクレオチド3リン酸、各種アミノ酸、各種tRNA、リボゾー
ムフラクション、各種リン酸化酵素等を含んでいてもよい。
分子シャペロン活性を有するPPIase(限定されたポリペプチドを含む)を有効成
分として、無細胞タンパク質合成系に使用するための試薬を調製することができる。本発
明のタンパク質生産用試薬は、少なくとも分子シャペロン活性を有するPPIaseを含
むものである。さらに本発明のタンパク質生産用試薬は、その他の成分として安定化剤等
を含むものでもよい。安定化剤としては、一般にタンパク質の安定化剤として用いられて
いるものを使用することができ、アルブミン、糖類、ポリオール類、アミノ酸類、適宜の
塩などを用いることができる。また本発明のタンパク質生産用試薬の形状は、水溶液でも
よいし凍結乾燥物でもよい。凍結乾燥物の場合は適宜の緩衝液で溶解して使用することに
なる。本発明のタンパク質生産用試薬は、市販の無細胞タンパク質合成用キットを使用す
るときでも、その反応液に別途添加して使用することができ、より簡便に目的のタンパク
質を可溶状態で合成することができる。
また、本発明のタンパク質の生産方法を簡便に行うために、必要な試薬類をまとめてキ
ットとすることができる。本発明のタンパク質生産用キットは、上記した本発明のタンパ
ク質生産用試薬と無細胞抽出液を少なくとも含むものである。さらに本発明のタンパク質
生産用キットは、その他の試薬類として、各種ヌクレオチド3リン酸、各種アミノ酸、各
種tRNA、発現用のプラスミドベクター、反応用チューブ等を含むものでもよい。
以下に、本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
まず、本実施例で使用されるPCR用の各プライマーについて、ターゲット遺伝子、プ
ライマーの名称、プライマーの塩基配列、塩基配列に含まれる制限酵素サイト、及び対応
する配列表の配列番号を表1に示す。
Figure 2005253432
(実施例1)古細菌由来ショートタイプFKBP型PPIaseの発現系構築
DSMより入手したMethanococcus jannaschii(DSMカタ
ログ番号2661)の菌懸濁液をそれぞれ約50μL(50mm3)採取し、15000
rpm×5分間遠心分離することにより、菌体を回収した。TE緩衝液500μLにて菌
体を2回洗浄した後、0.1%SDSを含むTE緩衝液に懸濁し、95℃にて60分間溶
菌処理を行った。等量のTE緩衝液飽和フェノール及びクロロホルムにて除タンパク処理
を行った後、エタノール沈殿を行いゲノムDNAを得た。
配列番号1に示すMethanococcus jannaschii由来PPIas
e(以下、MJFKSと称する)遺伝子の塩基配列情報を元にプライマーを設計し、それ
らのプライマー対と得られたゲノムDNAでPCRを行い、MJFKS遺伝子を増幅する
ことを試みた。PCR用のプライマーとして、表1に示すMJFKS‐F1(配列番号1
5)及びMJFKS‐R1(配列番号16)をそれぞれ用いた。表1に示すように、これ
らのプライマーはその配列中にNdeI又はBamHIの制限酵素サイトを含んでいる。
PCR法によって得られた各々の増幅産物を2%アガロースゲル電気泳動により分離後、
目的のDNA断片を含むバンド部分を切り出し、フェノール・クロロホルム処理及びエタ
ノール沈殿により目的DNAの抽出を行った。抽出したDNAを滅菌水に溶解し、各約1
0〜100ngに対して10倍量のpT7blueTプラスミドベクター(Novage
n社)を加え、さらに16℃にて1時間処理することによりDNA断片をpT7blue
Tプラスミドベクターにライゲーションした。このライゲーション反応液をコンピテント
セル大腸菌JM109株に加えることによりトランスフォーメーションした。これら菌株
の懸濁液を100μg/mLアンピシリンナトリウム、100μM(100μmole/
L) IPTG及び0.004% X−Galを含有するLB寒天培地に接種し、一晩3
7℃にて培養して複数の白色コロニーを得た。
得られた複数の白色コロニーからプラスミドDNAを抽出し、各プラスミドDNAを鋳
型とするPCRを行った。プライマーは上記と同様に表1に示されるMJFKS‐F1(
配列番号15)及びMJFKS‐R1(配列番号16)を用いた。その結果、DNA断片
が増幅されたプラスミドを保有していた白色コロニーを陽性コロニーとした。その陽性コ
ロニーから得たプラスミドDNAを回収した後、そのプラスミドDNAを鋳型とし、BI
G Dye(PERKIN‐ELMER社)を用いたシーケンス反応を行うことにより、
プラスミドに挿入されているDNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列用のプライマー
は同社製のT7プロモータープライマー及びU−19リバースプライマーを用いた。決定
した塩基配列をデータベース上のMethanococcus jannaschiiの
ゲノムDNAの塩基配列と比較した結果、得られたDNA断片の塩基配列は、配列番号1
に示すMJFKS遺伝子の塩基配列と相違ないことを確認した。以上のようにして、MJ
FKS遺伝子を得た。
得られたMJFKS遺伝子を含むプラスミドDNAについて、NdeI、BamHI、
HindIII、SalI又はNotIの各制限酵素にて切断処理を行った。なお、これ
らの制限酵素サイトは表1に示す各プライマーの塩基配列に含まれている。切断処理した
DNA断片を2%アガロースゲル電気泳動により分離・抽出した後、あらかじめ制限酵素
処理したpET21aプラスミドDNA(Novagen社)にライゲーションした。得
られたライゲーション反応液をコンピテントセル大腸菌JM109株に加えることにより
大腸菌JM109株をトランスフォーメーションした後、MJFKS遺伝子を含む陽性コ
ロニーからプラスミドDNAを回収した。このプラスミドにてコンピテントセル大腸菌B
L21(DE3)株(Novagen社)をトランスフォーメーションし、MJFKS遺
伝子を含む組換え大腸菌を得た。
(実施例2)古細菌由来ショートタイプFKBP型PPIaseの調製
実施例1で得られた組換え大腸菌を用いてMJFKSの発現を試みた。2L容の三角フ
ラスコに700mLの2×YT培地(16g/L 酵母エキス、20g/L バクトトリ
プトン、5g/L NaCl、100μg/mL アンピシリン、pH7.5)を仕込み
、実施例1で得られた組換え大腸菌2〜3白金耳を接種した。35℃で24時間回転培養
(110rpm)した後、遠心分離(10000rpm×10分間)にて菌体を回収した
。得られた菌体を1mM EDTAを含む25mM HEPES緩衝液(pH6.8)2
0mLに懸濁し、−20℃にて一晩凍結保存した。凍結した菌体を融解した後に超音波破
砕し、遠心分離して得られた上清(菌体破砕液)を下記に示した(a)〜(d)に示す条
件のカラムクロマトグラフィーでカラム精製を繰り返し、MJFKSの精製標品を得た。
精製標品をSDS‐PAGEで分析したところ、MJFKSが単一のバンドとして検出さ
れた。
(各カラムクロマトグラフィーの条件)
(a)の条件は以下のとおりである。
カラム: DEAE Toyopearl カラム(直径26mm×長さ40cm、東ソ
ー社)
溶離液
A液:25mM HEPES−KOH緩衝液(pH6.8)
B液:0.5M NaClを含む25mM HEPES−KOH緩衝液(pH6.8)
溶出条件
0−300分:B液0→100%の直線グラジエント溶出
300−420分:B液100%のイソクラティック溶出
流速:1mL/分
カラム温度:25℃
(b)の条件は以下のとおりである。
カラム:HiLoad 26/60 Superdex 200pg カラム(直径26
mm×長さ60cm、アマシャムファルマシアバイオテク社)
溶離液:0.15M NaClを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0

溶出条件
イソクラティック溶出
流速:3mL/分
カラム温度:25℃
(c)の条件は以下のとおりである。
カラム:TSKgel SuperQ−5PWカラム(直径7.5mm×長さ7.5cm
、東ソー社)
溶離液
A液:25mM HEPES−KOH緩衝液(pH6.8)
B液:0.5M NaClを含む25mM HEPES−KOH緩衝液(pH6.8)
溶出条件
0−10分:B液0%(A液100%)のイソクラティック溶出
10−60分:B液0→100%の直線グラジエント溶出
流速:1mL/分
カラム温度:25℃
(d)の条件は以下のとおりである。
カラム:HiLoad phenylカラム(直径16mm×長さ10cm、アマシャム
ファルマシアバイオテク社)
溶離液
A液:1.8M 硫酸アンモニウムを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.0)
B液:100mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)
溶出条件
0−10分:B液0%(A液100%)のイソクラティック溶出
10−120分:B液0→100%の直線グラジエント溶出
120−180分:B液100%のイソクラティック溶出
流速:1mL/分
カラム温度:25℃
(実施例3)他のPPIaseの発現系構築及び調製
古細菌由来ロングタイプFKBP型PPIaseとしてPyrococcus hor
ikoshii由来PPIase(PhFK)を、トリガータイプPPIase(TF)、F
kpA型PPIase及びSurAタイプPPIaseとしてそれぞれ大腸菌由来のもの
を、FKBP52タイプPPIase及びCyP40タイプPPIaseとしてそれぞれ
ヒト由来のものを、それぞれ実施例1及び2と同様の手順で発現系を構築し、調製した。
すなわち、Pyrococcus horikoshii(JCMカタログ番号9974
、DSMカタログ番号12428)のゲノムDNAを鋳型とし、表1に示されるPhFK
−F1(配列番号17)及びPhFK−R1(配列番号18)のプライマー対を用いてP
CRを行い、PhFK遺伝子(配列番号3)の取得を試みた。同様に、大腸菌JM109
株(タカラバイオ社)のゲノムDNAを鋳型とし、表1に示されるTF−F1(配列番号
19)及びTF−R1(配列番号20)のプライマー対を用いてPCRを行い、TF遺伝
子(配列番号5)の取得を試みた。同様に、大腸菌JM109株のゲノムDNAを鋳型と
し、表1に示されるFKPA−F1(配列番号21)及びFKPA−R1(配列番号22
)のプライマー対を用いてPCRを行い、FkpA型PPIase遺伝子(配列番号7)
の取得を試みた。同様に、ヒト脳cDNAライブラリー(タカラバイオ社)を鋳型とし、
表1に示されるFKBP52−F1(配列番号23)及びFKBP52−R1(配列番号
24)のプライマー対を用いてPCRを行い、FKBP52タイプPPIase遺伝子(
配列番号9)の取得を試みた。同様に、ヒト脳cDNAライブラリーを鋳型とし、表1に
示されるCP40−F1(配列番号25)及びCP40−R1(配列番号26)のプライ
マー対を用いてPCRを行い、CyP40タイプPPIase遺伝子(配列番号11)の
取得を試みた。同様に、大腸菌JM109株のゲノムDNAを鋳型とし、表1に示される
SUR−F1(配列番号27)及びSUR−R1(配列番号28)のプライマー対を用い
てPCRを行い、SurA型PPIase遺伝子(配列番号13)の取得を試みた。なお
、表1に示すように、各プライマーの塩基配列には制限酵素サイトが含まれている。
以下の手順は全て実施例1及び2に記載の方法と同様にして行った。まず各DNAを鋳
型とし、各プライマー対を用いてPCRを行って増幅されたDNA断片を実施例1と同様
の方法で単離・精製し、pT7blueTプラスミドベクターにライゲーションした後、
大腸菌JM109株をトランスフォーメンションして陽性コロニーを得た。各陽性コロニ
ーから得られたプラスミドDNAに対してシーケンス反応を行って、挿入されたDNA断
片の塩基配列を決定し、その塩基配列がデータベースの各PPIase遺伝子の塩基配列
(配列番号3、5、7、9、11、13又は15)と相違ないことを確認した。実施例1
と同様の方法で、得られた各PPIase遺伝子を含むプラスミドDNAについて、各プ
ライマーにその認識サイトが含まれる制限酵素で処理し、pET21aプラスミドDNA
にライゲーションして、各PPIase遺伝子を含むプラスミドDNAを取得した。この
プラスミドDNAにて大腸菌BL21(DE3)株をトランスフォーメーションした。次
に、実施例2と同様の方法で、各組換え大腸菌を培養して菌体を取得した。得られた菌体
を超音波破砕し、得られた菌体抽出液を上記(a)〜(d)の各種クロマトグラフィーで
分離・精製し、各PPIaseの精製標品を得た。
(実施例4)scFvの発現ベクターの構築
マウス由来anti−HEL scFvフラグメントの発現プラスミドpAALSC(
伊庭ら ジーン(Gene)、第194巻、第35頁以下、1997年 に記載)を鋳型
とし、表1に示したScF−F3(配列番号29)及びScF−R3(配列番号30)を
プライマーとしてPCRを行い、マウス由来anti−HEL scFvフラグメントの
遺伝子を含むDNA断片を増幅した。増幅されたDNA断片をTAクローニングによりp
T7blueベクターにライゲーションし、制限酵素NdeI及びNotIで処理後、あ
らかじめ同制限酵素により処理しておいたpET21aプラスミドベクターにライゲーシ
ョンすることで、上記scFvの発現プラスミドを構築した。
(実施例5)scFvの無細胞合成に及ぼすPPIaseの影響
実施例4で構築したscFv発現プラスミドにて、マウス由来anti−HEL sc
Fvフラグメントを無細胞タンパク質合成系にて発現させることを試みた。無細胞抽出液
として、ロシュダイアグノスティック社製大腸菌無細胞抽出液RTS100 E.col
i HY Kitに含まれているものを使用した。すなわち、キットに含まれている大腸
菌由来の無細胞抽出液を含む反応液35μLに、実施例4で調製した上記scFv発現プ
ラスミド0.5μgを添加し、さらに実施例2及び3で調製した各PPIaseを最終濃
度1μMとなるように添加した。最終の反応容量は45μLとした。各反応液を30℃に
て6時間インキュベートし、scFvの無細胞合成反応を行った。各反応液を遠心分離に
て上清画分と沈殿画分に分離し、その上清5μLをSDS‐PAGEに供し、scFvの
合成量を評価した。scFvの合成量は、電気泳動ゲルをCBB染色した後、上清画分に
発現したscFvのバンド密度をデンシトメータで定量した。比較例としてPPIase
を含まない反応系についても同時に評価した。評価結果を図1に示す。各PPIaseを
添加した場合に上清画分に合成されるscFvの量は、各PPIase添加しなかった場
合と比較して有意に向上した。特に、MJFKSを添加した系の合成量が優れていた。な
お、PPIaseを含まない比較例の系では、合成されたscFvの大半が封入体となっ
て沈殿画分に存在していた。以上のように、分子シャペロン活性を有する各PPIase
の作用によって、無細胞タンパク質合成系でscFvを可溶状態で合成することができた
(実施例6)ロダネーゼの発現ベクターの構築
実施例3と同様の方法で、好熱菌Aeropyrum pernixのロダネーゼ発現
ベクターを構築した。まず、理化学研究所(JCM)から入手した超好熱菌Aeropy
rum pernix(JCMカタログ番号9820。DSMカタログ番号11879と
同じ。)の菌ペレットより実施例1と同様の方法でゲノムDNAを調製した。得られたゲ
ノムDNAを鋳型として表1に示したApTS‐F1(配列番号31)及びApTS‐R
1(配列番号32)プライマーとして用いるPCR法によりAeropyrum per
nix由来のロダネーゼ遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお表1に示すように、A
pTS‐F1の5'末端側及びApTS‐R1の3'末端側にはそれぞれ制限酵素サイトが
ある。得られたDNA断片を制限酵素NdeI及びHindIIIで処理し、あらかじめ
同制限酵素により処理しておいたpET21aプラスミドベクターにライゲーションする
ことで、上記ロダネーゼの発現プラスミドを構築した。
(実施例7)ロダネーゼの無細胞合成に及ぼすPPIaseの影響
超好熱菌由来ロダネーゼの無細胞タンパク質合成系において古細菌由来ショートタイプ
FKBP型PPIaseの影響を評価した。無細胞合成系は実施例5と同様にRTS10
0 E.coli HY Kitを使用した。実施例6で調製した上記ロダネーゼの発現
プラスミド0.5μgをキットに含まれている大腸菌由来の無細胞抽出液に添加し、実施
例2で調製したMJFKSを最終濃度0〜5μMとなるように添加した(0は無添加)。
実施例5と同様の方法でロダネーゼの無細胞タンパク質合成を行い、上清中のロダネーゼ
の量をSDS−PAGEにて評価した。評価結果を図2に示す。すなわち、MJFKSが
0〜1μMの濃度範囲では、上清中のロダネーゼ量がMJFKSの濃度に依存して向上し
た。一方、MJFKSが1〜5μMの濃度範囲では上清中のロダネーゼ量はほとんど変化
がなく、可溶状態のロダネーゼ合成量は最大に達していると思われた。以上より、分子シ
ャペロン活性を有するPPIaseであるMJFKSの作用によって、無細胞タンパク質
合成系でロダネーゼを可溶状態で合成することができた。
(実施例8)分子シャペロン活性を有するPPIaseを含むタンパク質生産用試薬の調

実施例2で得られたMJFKSの精製標品を脱塩、濃縮及び乾燥した。得られたMJF
KS乾燥品を20μMの濃度になるように50mM トリス−酢酸緩衝液(pH7.4)
に溶解し、MJFKSを含むタンパク質生産用試薬を調製した。
(実施例9)分子シャペロン活性を有するPPIaseを含むタンパク質生産用キットの
構築
以下の構成にて、タンパク質生産用キット(10回分)を構築した。本キットの輸送及
び保存の温度は−80℃以下とした。
(キットの構成)
1.大腸菌S30無細胞抽出液 25μL×10本
2.20μM MJFKS溶液(10倍濃度) 50μL×1本
3.アミノ酸混合液(10倍濃度) 50μL×1本
4.ヌクレオチド混合液(10倍濃度) 50μL×1本
5.200μL容ポリプロピレン製マイクロチューブ×10本
このうち、アミノ酸混合液は20種の必須アミノ酸を各5mMの濃度で含むものである。
また、ヌクレオチド混合液はRNA合成の際の基質であり、ATP、UTP、GTP及び
CTPを各10〜15mMの濃度で含むものである。ポリプロピレン製マイクロチューブ
は滅菌処理され、さらにDNase及びRNaseの不活化処理をされたものである。
無細胞タンパク質合成系でscFvを合成する際の各PPIaseの影響を示すグラフである。 無細胞タンパク質合成系でロダネーゼを合成する際のMJFKSの影響を示すグラフである。

Claims (26)

  1. 無細胞抽出液中でタンパク質をコードする遺伝子と分子シャペロン活性を有するPPI
    aseを共存させて、該遺伝子を発現させ、該PPIaseの作用によって前記タンパク
    質を可溶状態で合成することを特徴とするタンパク質の生産方法。
  2. 前記PPIaseがFKBP型PPIaseであることを特徴とする請求項1に記載の
    タンパク質の生産方法。
  3. 前記FKBP型PPIaseが古細菌由来FKBP型PPIaseであることを特徴と
    する請求項2に記載のタンパク質の生産方法。
  4. 前記古細菌由来FKBP型PPIaseがショートタイプFKBP型PPIaseであ
    ることを特徴とする請求項3に記載のタンパク質の生産方法。
  5. 前記ショートタイプFKBP型PPIaseがMethanococcus属細菌由来
    であることを特徴とする請求項4に記載のタンパク質の生産方法。
  6. 前記古細菌由来FKBP型PPIaseがロングタイプFKBP型PPIaseである
    ことを特徴とする請求項3に記載のタンパク質の生産方法。
  7. 前記ロングタイプFKBP型PPIaseがPyrococcus属細菌由来のもので
    あることを特徴とする請求項6に記載のタンパク質の生産方法。
  8. 前記FKBP型PPIaseがトリガーファクタータイプPPIaseであることを特
    徴とする請求項2に記載のタンパク質の生産方法。
  9. 前記トリガーファクタータイプPPIaseが大腸菌由来のものであることを特徴とす
    る請求項8に記載のタンパク質の生産方法。
  10. 前記FKBP型PPIaseがFkpAタイプPPIaseであることを特徴とする請
    求項2に記載のタンパク質の生産方法。
  11. 前記FkpAタイプPPIaseが大腸菌由来のものであることを特徴とする請求項1
    0に記載のタンパク質の生産方法。
  12. 前記FKBP型PPIaseがFKBP52タイプPPIaseであることを特徴とす
    る請求項2に記載のタンパク質の生産方法。
  13. 前記FKBP52タイプPPIaseがヒト由来のものであることを特徴とする請求項
    12に記載のタンパク質の生産方法。
  14. 前記PPIaseがシクロフィリン型PPIaseであることを特徴とする請求項1に
    記載のタンパク質の生産方法。
  15. 前記シクロフィリン型PPIaseがCyP40タイプPPIaseであることを特徴
    とする請求項14に記載のタンパク質の生産方法。
  16. 前記CyP40タイプPPIaseがヒト由来のものであることを特徴とする請求項1
    5に記載のタンパク質の生産方法。
  17. 前記PPIaseがパーブリン型PPIaseであることを特徴とする請求項1に記載
    のタンパク質の生産方法。
  18. 前記パーブリン型PPIaseがSurAタイプPPIaseであることを特徴とする
    請求項17に記載のタンパク質の生産方法。
  19. 前記SurAタイプPPIaseが大腸菌由来のものであることを特徴とする請求項1
    8に記載のタンパク質の生産方法。
  20. 無細胞抽出液が大腸菌由来のものであることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか
    に記載のタンパク質の生産方法。
  21. 前記タンパク質が抗体の一部又は全部であることを特徴とする請求項1乃至20のいず
    れかに記載のタンパク質の生産方法。
  22. 前記PPIaseに代わって分子シャペロン活性を有するドメインに限定されたポリペ
    プチドを使用することを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のタンパク質の生
    産方法。
  23. 無細胞抽出液に分子シャペロン活性を有するPPIaseを添加し、次いでタンパク質
    をコードする遺伝子を添加することを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のタ
    ンパク質の生産方法。
  24. 請求項23に記載のタンパク質の生産方法に使用するための組成物であって、無細胞抽
    出液と、タンパク質をコードする遺伝子と、分子シャペロン活性を有するPPIaseを
    含むことを特徴とするタンパク質生産用組成物。
  25. 請求項23に記載のタンパク質の生産方法に使用するための試薬であって、分子シャペ
    ロン活性を有するPPIaseを少なくとも含むことを特徴とするタンパク質生産用試薬
  26. 請求項23に記載に記載のタンパク質の生産方法に使用するためのキットであって、分
    子シャペロン活性を有するPPIaseを少なくとも含むタンパク質生産用試薬と、無細
    胞抽出液を含むことを特徴とするタンパク質生産用キット。
JP2004073416A 2004-03-15 2004-03-15 タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット Withdrawn JP2005253432A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004073416A JP2005253432A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004073416A JP2005253432A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005253432A true JP2005253432A (ja) 2005-09-22

Family

ID=35079771

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004073416A Withdrawn JP2005253432A (ja) 2004-03-15 2004-03-15 タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005253432A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008182907A (ja) * 2007-01-27 2008-08-14 Osaka Univ 高効率無細胞蛋白質合成系
KR20160002913A (ko) * 2013-04-19 2016-01-08 서트로 바이오파마, 인크. 상승된 수준의 외인성 샤페론을 갖는 세포 추출물을 이용한 박테리아 세포 비함유 합성 시스템에서의 생물학적 활성 단백질의 발현
JPWO2015115398A1 (ja) * 2014-01-31 2017-03-23 株式会社エーピーアイ コーポレーション ピペコリン酸4位水酸化酵素およびそれを利用した4−ヒドロキシアミノ酸の製造法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008182907A (ja) * 2007-01-27 2008-08-14 Osaka Univ 高効率無細胞蛋白質合成系
KR20160002913A (ko) * 2013-04-19 2016-01-08 서트로 바이오파마, 인크. 상승된 수준의 외인성 샤페론을 갖는 세포 추출물을 이용한 박테리아 세포 비함유 합성 시스템에서의 생물학적 활성 단백질의 발현
JP2016518833A (ja) * 2013-04-19 2016-06-30 ストロ バイオファーマ, インコーポレイテッド 上昇したレベルの外因性シャペロンを有する細胞抽出物を用いる細菌無細胞合成系における生物活性のあるタンパク質の発現
US10190145B2 (en) 2013-04-19 2019-01-29 Sutro Biopharma, Inc. Expression of biologically active proteins in a bacterial cell-free synthesis system using bacterial cells transformed to exhibit elevated levels of chaperone expression
US10774354B2 (en) 2013-04-19 2020-09-15 Sutro Biopharma, Inc. Expression of biologically active proteins in a bacterial cell-free synthesis system using bacterial cells transformed to exhibit elevated levels of chaperone expression
KR102289258B1 (ko) 2013-04-19 2021-08-11 서트로 바이오파마, 인크. 상승된 수준의 외인성 샤페론을 갖는 세포 추출물을 이용한 박테리아 세포 비함유 합성 시스템에서의 생물학적 활성 단백질의 발현
JPWO2015115398A1 (ja) * 2014-01-31 2017-03-23 株式会社エーピーアイ コーポレーション ピペコリン酸4位水酸化酵素およびそれを利用した4−ヒドロキシアミノ酸の製造法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4752002B2 (ja) 哺乳動物細胞内の蛋白質への5−ヒドロキシトリプトファンの選択的組込み
Yim et al. Isolation of fully synthetic promoters for high‐level gene expression in Corynebacterium glutamicum
Tegel et al. Enhancing the protein production levels in Escherichia coli with a strong promoter
Matos et al. Efficient export of prefolded, disulfide‐bonded recombinant proteins to the periplasm by the Tat pathway in Escherichia coli CyDisCo strains
Liu et al. A Cell‐Free Platform Based on Nisin Biosynthesis for Discovering Novel Lanthipeptides and Guiding their Overproduction In Vivo
Connaris et al. Expression, reactivation, and purification of enzymes from Haloferax volcanii in Escherichia coli
Suzuki et al. Possible involvement of an FKBP family member protein from a psychrotrophic bacterium Shewanella sp. SIB1 in cold‐adaptation
Stephens et al. Co-expression of the Plasmodium falciparum molecular chaperone, PfHsp70, improves the heterologous production of the antimalarial drug target GTP cyclohydrolase I, PfGCHI
Kang et al. Escherichia coli EDA is a novel fusion expression partner to improve solubility of aggregation-prone heterologous proteins
Song et al. A novel Escherichia coli solubility enhancer protein for fusion expression of aggregation-prone heterologous proteins
Vaičikauskaitė et al. Geobacillin 26-high molecular weight bacteriocin from a thermophilic bacterium
Gao et al. Three novel Escherichia coli vectors for convenient and efficient molecular biological manipulations
Arya et al. Optimization of culture parameters and novel strategies to improve protein solubility
US20080206811A1 (en) Process For Producing Polypeptide
EP1619208B1 (en) Chaperonine-target protein complex, method of producing the same, method of stabilizing target protein, method of immobilizing target protein, method of analyzing the structure of target protein, sustained-release preparation and method of producing antibody against target protein
Abuhammad et al. Improvement of the expression and purification of Mycobacterium tuberculosis arylamine N-acetyltransferase (TBNAT) a potential target for novel anti-tubercular agents
JP2005253432A (ja) タンパク質の生産方法、並びにそれに使用するための組成物、試薬及びキット
JP5540367B2 (ja) シャペロニン変異体およびこれをコードするdna
JP4168028B2 (ja) 発現ベクター、宿主、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法及びタンパク質の製造方法
Kwon et al. Overproduction of Bacillus macerans cyclodextrin glucanotransferase in E. coli by coexpression of GroEL/ES chaperone
Han et al. Transport proteins PotD and Crr of Escherichia coli, novel fusion partners for heterologous protein expression
US8268581B2 (en) Carboxy terminal residues as predictors and regulators of protein stability
JP2007068424A (ja) 二機能性ホルムアルデヒド固定酵素遺伝子
US20070092937A1 (en) Method of producing target protein, fusion protein and gene thereof, protein consisting of partial sequence of intein and gene thereof, expression vector, and transformant
Ahn et al. Heterologous protein expression using a novel stress-responsive protein of E. coli RpoA as fusion expression partner

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061205

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080125