JP2005250055A - 液晶表示素子、有機半導体装置及び有機半導体装置の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子、有機半導体装置及び有機半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特別なプロセスを追加することなく、コントラストの高い表示が可能な高分子の液晶層とその駆動回路となる有機トランジスタとが同一基板上に形成された液晶表示素子、有機半導体装置など。
【解決手段】対向する基板間に、液晶層と駆動回路とが積層され、駆動回路から印加される電界の有無に応じて該液晶層が光の透過状態又は散乱状態を呈する液晶表示素子であって、駆動回路は、光の透過状態における前記液晶層よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有する有機トランジスタにより構成されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクテイブ駆動方式の液晶表示素子、液晶表示素子の駆動用有機半導体装置及びその製造方法に関する。
光の散乱を利用して白色表示を行い、電圧の印加により光の透過画像を表示する液晶表示素子は、紙と同様な表示が可能であり、目にやさしく見易い表示素子として期待され盛んに研究開発が行われている。
このような液晶表示素子としては、動的散乱モード方式、高分子分散型液晶方式、フォーカルコニック相を利用したスメクチック液晶方式、或いはコレステリック・ネマチック相転移方式などが挙げられる。これらの方式では、液晶を駆動して光の散乱状態と透過状態とを制御することができる。光の散乱状態は白色に見えるため、液晶層よりも背面側に、透過した光の吸収層を配置することにより、例えば白色と黒色との二色表示が可能とな。
これらの液晶表示素子は、必ずしも結晶基板上に形成する必要がないことから、軽くて柔軟性のある表示素子の作成を可能にする。また、偏光板やバックライトを用いる必要がないため、低消費電力で低コストの表示素子の実現を可能とする。
アクテイブ駆動方式の液晶表示素子は、これまで、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの無機材料により作製された薄膜トランジスタ(TFT)からなる半導体装置をその駆動回路として用いてきた。しかし、無機材料を用いる駆動回路の薄膜トランジスタはは、結晶基板上に形成されるので、サイズを大きくすることが困難である上、1000度近くに達する熱処理やリソグラフィ、エッチングなどを経て作製されるため製造工程が複雑であり低コスト化が難しいという課題を抱えている。そのため、結晶基板上に形成する必要がない上、製造工程が簡易である有機トランジスタからなる半導体装置により液晶表示素子の駆動回路を構成する試みがなされている。
例えば、高分子分散型液晶の表示素子を、ペンタセンを半導体材料とする有機トランジスタにより駆動し、2×3画素の表示を行った例(非特許文献1参照)、高分子分散型液晶の表示素子を、ポリチェニレンビニレンを半導体材料とする有機トランジスタにより駆動し、64×64画素の表示を行った例(非特許文献2参照)などが報告されている。
また、高分子系材料は、低分子系材料に比べてキャリヤ移動度は低いが、溶媒溶解性が高いので、印刷プロセスにより作製が可能であるという利点を生かし、縮合環有機材料を半導体材料としたものがある(特許文献1参照)。
一方、例えば高分子分散型液晶表示素子の光の散乱状態における現状の反射率は低いので、白表示と黒表示とを行ったときのコントラストが悪いという課題がある。
そこで、基板よりも背面側に、屈折率が基板よりも0.2以上小さい反射層を積層したもの(特許文献2参照)、さらに屈折率が異なる複数の反射層を、背面側に向かって順次屈折率が小さくなるように積層し、光の散乱状態における液晶層を透過した一部の光を反射させることにより白表示をより明るくするものがある(特許文献3参照)。
また、液晶表示層の背面側に半透過光反射層と光吸収層とを設けると共に、背面側の基板よりもさらに背面側に低屈折層を設けたものもある(特許文献4参照)。
特開平11−195790号 特許第2842172号 特開平7−104286号 特開平7−56157号 APPLIED PHYSICS LETTERS, VOL.78, P3592 (2001)(P.MACH, S.J.RODRIGUEZ, R.NORTRUP, P.WILTZIUS, J.A.ROGERS) NATURE, VOL.414, P599 (2001)(H.E.HUITEMA, G.H.GELINCK, J.B.P.H.VAN DER PUTTEN, K.E.KUIJK, C.M.HART, E.CANTATORE, P.T.HERWIG, A.J.J.M.VAN BREEMEN, D.M.DE LEEUW)
しかしながら、特許文献に開示された方法は、スペーサーを用いて空気もしくは不活性ガスを挿入した低屈折率気体層を形成し、比較的高屈折率の基板とその低屈折率気体層との屈折率差により液晶層を透過した光をそれらの界面で反射させて、所定の明るさを得ようとするものである。したがって、低屈折率気体層などを形成する工程が新たに増え、コストアップになるという問題がある。また、従来から、液晶素子とその駆動回路とを簡単なプロセスを用いて集積化し、低コストの液晶表示素子を形成する方法に関する開発要望がある。
本発明は上記事情に鑑み、特別なプロセスを追加することなく、高コントラストな表示を可能とする高分子液晶層と、その液晶層の駆動回路を構成する有機トランジスタとが同一基板上に形成された液晶表示素子、その液晶表示素子の駆動に用いる有機トランジスタからなる有機半導体装置、及びその有機半導体装置の製造方法を提供する。
上記の目的を達成する本発明の液晶表示素子は、対向する基板間に、液晶層と駆動回路とが積層され、該駆動回路から印加される電界の有無に応じて該液晶層が光の透過状態又は散乱状態を呈する液晶表示素子であって、
上記駆動回路は、光の透過状態における上記液晶層よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有する有機トランジスタにより構成されたものであることを特徴とする。
このように、ゲート絶縁層の屈折率は、液晶層よりも小さくなるように構成され、ゲート絶縁層が液晶表示素子の低屈折率層としても機能するので、光散乱状態の液晶層を透過した一部の光は、ゲート絶縁層の界面で反射し、より明るい白表示を可能にする。
上記の目的を達成する本発明の半導体装置は、基板上に、印加される電界に応じて光の透過状態又は散乱状態を呈する液晶に所定電界を印加する駆動回路が集積された半導体装置であって、
上記駆動回路は、光の透過状態における上記液晶よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有する有機トランジスタにより構成されたものであることを特徴とする。
このように、液晶の駆動回路を構成する半導体装置が、液晶よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有するので、本発明の半導体装置を用いて液晶表示素子を形成したときに、より明るい白表示を可能にする低屈折率層を別途設ける必要がない。
また、多孔質体によりゲート絶縁層を構成することにより、リーク電流がほとんどない、絶縁膜を得ることができるとともに、曲げや捩れによるストレスが加わっても、ストレスが吸収されて基板から剥がれにくい半導体装置を形成することができる。
上記の目的を達成する本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に、印加される電界に応じて光の透過状態と散乱状態とを呈する液晶に所定電界を印加する駆動回路が集積された半導体装置の製造方法であって、
基板上にゲート電極を形成する工程と、
上記ゲート電極上に、光の透過状態における上記液晶よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を形成する工程と、
上記ゲート絶縁層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
上記ソース電極及びドレイン電極上に有機化合物からなる半導体層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
このような方法を用いることにより、作製プロセスが少なく、簡易かつ低コストに半導体装置を製造することが可能となる。また、ソースおよびドレイン電極の形成後に有機半導体層を積層するので、ソースおよびドレイン電極のパターニングを行う際に溶媒を用いても、半導体材料が溶媒に溶解することがなく、液晶表示素子の特性に影響を与えることがない。さらに、このような方法により製造された半導体装置を用いて駆動回路が構成された液晶表示素子は、半導体装置のゲート絶縁層が液晶表示素子の低屈折率層としても機能するので、白表示をより明るくすることができる。
本発明の液晶表示素子、有機半導体装置及びその製造方法によれば、共通の基板上に、有機半導体による薄膜トランジスタと液晶層とが形成され、薄膜トランジスタのゲート絶縁層が液晶表示素子の低屈折率層としても機能するので、作製プロセスの簡素化と、低コスト化が図れる。また、ゲート絶縁層に多孔質体を用いることにより、リーク電流がほとんどない、絶縁膜を得ることができるとともに、曲げや捩れによるストレスが加わっても、半導体装置の基板からの剥がれが防止される。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、有機トランジスタのゲート絶縁層を液晶表示素子の低屈折率層としても活用することにより、同一基板上にコントラストの高い表示を可能とする液晶層と、その駆動回路を構成する有機トランジスタレイとを簡単なプロセスで一体形成することができるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
以下に、本発明の液晶表示素子、その駆動回路を構成する本発明の有機半導体装置、及び有機半導体装置の製造方法の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の液晶表示素子、有機半導体装置、及び有機半導体装置の製造方法の第1の実施形態を示す液晶表示素子の概略断面図である。
図1に示す第1の実施形態の液晶表示素子には、液晶層のほかに、液晶層の駆動回路となり、本発明の半導体装置の構成要素となる1つの電界効果型有機トランジスタが示されている。
第1の実施形態の液晶表示素子30は、対向するフイルム基板1及び基板2と、対向する基板1、2間に積層された、電界の印加により光の透過状態と光の散乱状態とを有する液晶層3、液晶層を駆動する駆動回路を構成する有機トランジスタ10、及び光の吸収層4とにより構成されている。
有機トランジスタ10は、有機化合物からなる半導体を用いた電界効果トランジスタで、ゲート電極11と、ソース電極12と、ドレイン電極13と、有機半導体層14と、チャネルを形成するゲート絶縁層15と、により構成されている。
また、液晶表示素子30に画像が表示される視認側Aにおいて液晶層3に電界を印加する上部電極(走査電極)5は、フイルム基板1の内面に積層されている。また、背面側Bにおける下部電極(信号電極)は、基板2上に形成された複数の有機トランジスタ10のドレイン電極13を兼用している。
液晶層3は、高分子分散型の液晶からなり、電界を印加すると光の透過状態となり、電界の印加をなくすと光の散乱状態となることにより、例えば白黒2色画像を表示することができる。なお、詳細は後述する。
液晶層3を挟持する走査電極5は、透明な材料を用いることが好ましく、フイルム基板1の内面に複数形成される。また、ドレイン電極13と兼用の信号電極13は、走査電極5と直交するように配置される。これら上部電極5と、下部電極13とにより、例えば64×64などのマトリックスが形成される。
有機トランジスタ10により構成される駆動回路は、本発明の半導体装置の実施形態に相当し、液晶層3を挟持する走査電極5、及び信号電極13により形成されたマトリックスに対応させて、有機トランジスタ10とその有機トランジスタ10に直列に接続されたコンデンサとからなるメモリセルのアレイをなすとともに、有機トランジスタ10のゲート電極11にはそれぞれの走査電極5が接続され、ドレイン電極13は、それぞれの信号電極を兼用している。
このように有機トランジスタ10のドレイン電極13が、走査電極5とマトリックスをなす信号電極を兼ね、連接する有機トランジスタ10のドレイン電極13相互が一体形成されているので、信号電極の作成に要する工程を削減することができる。
本実施形態のゲート絶縁層15には、光の透過状態における液晶層3よりも屈折率が小さい絶縁材料が用いられる。
光吸収層4は、例えば自然光のうち特定波長域の色光を吸収し、残りの波長域の色光を反射し、例えばイエローが吸収される光吸収層を用いると液晶表示素子が青色表示となり、自然光全てが吸収される光吸収層を用いると液晶表示素子が黒色表示となる。
したがって、駆動回路の各メモリセルのコンデンサに電荷を蓄積して、各メモリセルに対応する液晶層の画素に電圧を印加し、その画素を光の透過状態としたときに、その画素を「黒表示」したい場合には、走査電極5に電圧を印加し、ゲート電極11に電圧が印加された状態で、信号電極13に電圧を印加する。すると、有機トランジスタ10のドレイン電極13からソース電極12に電流が流れ、コンデンサが充電されるので、液晶層3の該当する画素が光の透過状態となり、透過した光は光吸収層4で吸収され、黒表示となる。
また、走査電極5に電圧を印加した状態で、信号電極13の印加電圧をなくすると、コンデンサの電荷が放電されるので、液晶層3の該当する画素が光の散乱状態となり、白表示となる。
本実施形態の液晶表示素子30は、液晶層3よりも、ゲート絶縁層15の屈折率の方が小さくなるように構成されているので、光の散乱状態において液晶層3を透過した一部の光は、ゲート絶縁層15で反射されるので、より明るい白表示とすることができる。また、光の透過状態においては、一部の光は反射されるが、黒表示の場合には大部分の光が光吸収層4で吸収される。したがって、白黒表示させる場合のコントラストを向上させることができる。
図2(a)、(b)は、本実施形態の液晶表示素子に用いる液晶層を示す図であり、図2(c)、(d)は、液晶層中の液晶滴の状態を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の液晶層3には、高分子分散型液晶(以下、PDLC「Polymer Dispersed Liquid Crystal」と略称する。)が用いられる。
PDLCは、一般に、マトリクスとなる高分子中に液晶が分散した状態になっている。そして、液晶の濃度によって高分子の組織が変わり、液晶がドロップレット状の液晶滴になったり、高分子が網目状になったりして、屈折率の異なる領域ができる。本実施形態では、図示するように、液晶3bが液晶滴3aになったものを用いている。
液晶3bは屈折率異方性を有する棒状分子であり、その配向状態によって屈折率が変化する。
いま、図2(d)に示すように、液晶3bの短軸方向の屈折率を常屈折率no、長軸方向の屈折率を異常屈折率neとすれば、液晶3bとして、no<neなる関係を有する正の液晶が用いられると高分子材料の屈折率npは、noと略等しくなる。
この液晶層3に、電界を印加しないときは、図2(a)、(c)に示すように、液晶3bがランダムに配向し、液晶層3は光の散乱状態となり、平均の屈折率(ne〜no)は、高分子8の屈折率npと異なる状態となる。このため液晶の平均屈折率は、npとnoの間の値をとり、npとの差が大きくなるので、液晶層に入射した光は液晶滴内部と高分子材料の界面で屈折を繰り返して散乱し、不透明な白濁状態となるので、液晶表示素子は、白色表示となる。
一方、この液晶層3に、電界を印加したときは、図2(b)、(d)に示すように、液晶滴3a中の液晶3bの配向方向が変わり、液晶3bが基板に対して例えば垂直配向した場合には、noとnpとがほぼ等しくなるため、液晶層3に入射した光は透過状態となる。この透過した光を底面の吸収層4で吸収すると、液晶表示素子30は、黒色表示となる。また、この光の散乱と透過状態とを繰り返す(スイッチングする)ことにより、各色光の透過量を制御してカラー表示を行うこともできる。
図3−1及び図3−2は、さまざまな液晶材料の屈折率を示す図である。
図3−1及び図3−2において、noは、単軸方向の常屈折率、neは、長軸方向の異常屈折率、Δnは、屈折率差、をそれぞれ示し、測定波長の記載がないものは、全て633nmにより測定したものである。
ここで、屈折率は、アッべの屈折率計を用い、波長633あるいは589nmの光を入射することにより測定した。なお、アッベの屈折率計は、屈折率1.3300〜1.700の範囲のものを、精度0.0002(589nmにおいて)で測定可能であり、それよりも屈折率が大きい場合には、干渉屈折率計を用いることにより、1.116〜2.350まで測定することができる。
図から明らかなように、液晶材料の大部分の常屈折率noは1.5付近であり、異常屈折率ne、1.7付近であり、液晶材料のマトリクスとなる高分子材料の屈折率npは、概ね1.5である。
これに対して、本実施形態の有機トランジスタのゲート絶縁層には、屈折率が1.2〜1.4程度のフッ素系高分子やメチル含有ポリシロキサンなどを用いるので、本実施形態の液晶層に用いる液晶材の光の透過状態における屈折率(概ね1.5)よりも小さくすることができる。したがって、光の散乱状態において、液晶層を透過し、ゲート絶縁層に達した光の一部は、界面で反射して後方散乱光となり、表示面側の基板を透過するので、白表示をより明るくすることができる。
このように、本実施形態の液晶表示素子は、有機トランジスタのゲート絶縁層が液晶層に対する低屈折率層として構成され、半導体装置の作製と同時に低屈折率層が形成されるので、コントラストの高い液晶表示素子を低コストで作製することが可能となる。また、図1に示したように、有機トランジスタのうちの、連接するドレイン電極を一体成形し、液晶表示素子の画素を構成する共通の信号電極として兼用することにより、さらに作製工程を減らすことが可能となる。
[半導体装置の使用材料]
つぎに、本実施形態の半導体装置の使用材料について説明する。
ドレイン電極には、透明な材料を用いることが望ましく、具体的には、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などを用いることができる。これらの材料を用いない場合は、例えばアルミニウムや金の薄膜を作製することで、半透明の電極を作製することも可能である。
低屈折率層を構成するゲート絶縁層には、屈折率が概ね1.5〜1.7の高分子液晶層よりも屈折率が小さいものを用いる。具体的には、フッ素系高分子やメチル含有ポリシロキサン材料などを用いることができる。
ちなみに、フッ素系高分子の屈折率は、1.36〜1.42であり、メチル含有ポリシロキサンの屈折率は、1.38であり、金属酸化物多孔質体の屈折率は、小さいもので1.20であり、ポリイミド多孔質体の屈折率は、1.32程度であり、いずれも光の透過状態の液晶層より屈折率が小さい。
ここで、有機トランジスタにおけるゲート絶縁膜については、液晶表示素子の低屈折率層としての役割のほかに、電界効果トランジスタのチャンネルを構成するという本来の役割があり、液晶表示素子のサイズを大きくすると共に、その駆動回路としてスイッチング速度を向上させるためには、如何にしてリーク電流のない状態で絶縁膜を薄くし、誘電率を低くするかが重要である。
ゲート電極の材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン,タングステン,酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を用いることができる。あるいは、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いることができる。ただし、これらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種類以上併用しても差し支えない。
次に、ソース電極及びドレイン電極に用いられる材料は、互いに異なっていても良いし、同じでも良い。ただし、液晶層を駆動する電極を兼ねるドレイン電極には、下地の吸収層まで光を透過させるため、透明な材料が用いられる。具体的には、前述したように、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などを用いることができる。ソース電極には、有機半導体層との界面におけるエネルギー障壁を減らすために、オーミック接触できる材料を用いることが望ましい。オーミック接触を得る為には、有機半導体材料にキャリアがホールであるP型半導体が用いられるときは、ソース及びドレイン電極の仕事関数が有機半導体の仕事関数よりも大きくなるものが望ましい。有機半導体材料にキャリアが電子であるN型半導体が用いられるときは、有機半導体の仕事関数よりも小さくなるものが望ましい。具体的には、有機半導体層との接触面において電気抵抗がより小さくなるかどうかを、電流―電圧特性により調査し決定することができる。一般的には、以下の材料を用いることが可能である。
白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン,タングステン,酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO、IZOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いることができる。ただし、これらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種類以上併用しても差し支えない。また、カーボンブラックやC60、カーボンナノチューブなどのカーボン材料を用いることも可能である。
次に、有機半導体材料としては、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物などを用いることができる。具体的には、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや、特許文献1に記載された多環縮合体などを用いることができる。また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。さらに銅フタロシアニンや特許文献3に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや有機・無機混成材料も用いることができる。
これらの中から少なくとも1種の有機半導体材料を選択しても良いし、複数の材料を用いてもよい。また、これらの材料に限定される必要はない。
さらに、本発明の有機半導体層には、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーを含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
ここで、ドーピングとは電子授与性分子(アクセクプタ)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。
ドーパントとしては、アクセプタ、ドナーのいずれも使用可能である。このアクセプタとしてCl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IFなどのハロゲン、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SOなどのルイス酸、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOHなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoCl、WF、WCl、UF、LnCl(Ln=La、Ce、Nd、Pr、などのランタノイド)などの遷移金属化合物、Cl-、Br-、I-、ClO -、PF -、AsF -、SbF -、BF -、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどを挙げることができる。またドナーとしては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R、RAs、R、アセチルコリンなどをあげることができる。
また、これらのドーパントのドーピング方法としては、予め有機半導体の薄膜を作製しておき、ドーパントを後で導入する方法、有機半導体の薄膜作製時にドーパントを導入する方法のいずれも使用可能である。
前者の方法のドーピングとして、ガス状態のドーパントを用いる気相ドーピング、溶液あるいは液体のドーパントをその薄膜に接触させてドーピングする液相ドーピング、固体状態のドーパントをその薄膜に接触させてドーパントを拡散ドーピングする固相ドーピングなどの方法があげられる。また液相ドーピングにおいては電解を施すことによってドーピングの効率を調整することができる。
後者の方法では、有機半導体化合物とドーパントの混合溶液あるいは分散液を同時に塗布、乾燥してもよい。たとえば真空蒸着法を用いる場合、有機半導体化合物とともにドーパントを共蒸着することによりドーパントを導入することができる。またスパッタリング法で薄膜を作製する場合、有機半導体化合物とドーパントの二元ターゲットを用いてスパッタリングして薄膜中にドーパントを導入させることができる。さらに他の方法として、電気化学的ドーピング、光開始ドーピング等の化学的ドーピングおよびイオン注入法等の物理的ドーピングの何れも使用可能である。
また、基板を構成する樹脂としては、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステルアルキド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化性樹脂等があげられる。なお、ポリイミドについては、商品名SE−1180(日産化学製)、商品名AL3046(JSR製)などの市販品を利用することが可能である。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する
[半導体装置の製造方法]
本実施形態の半導体装置は、基板上にゲート電極を形成する工程と、そのゲート電極上に、液晶層よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を形成する工程と、ゲート絶縁層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極上に有機化合物からなる半導体の薄膜を形成する工程とを有する。
ここで、ゲート電極ならびにソース電極、ドレイン電極の作製方法としては、上述したような材料を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、フォトリソグラフ法やリフトオフ法により電極形成する方法や、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法が用いられる。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより電極を形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングすることにより電極を形成する方法も用いることができる。
ここで、導電性微粒子として、粒子径が1〜50nm好ましくは1〜10nmの白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンなどの金属微粒子が挙げられる。この場合は、金属微粒子を加熱融着して形成された電極を用いる。
また、ゲート絶縁層の作製方法としては、上述したようなフッ素系高分子やメチル含有ポリシロキサン材料をスピンコートして焼成する方法により形成することができる。
また、有機半導体の薄膜の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に5〜300nmが好ましい。
なお、本実施形態の半導体装置において、ゲート絶縁層の作製温度が200℃程度以下の場合には、高分子基板を薄膜トランジスタならびに液晶表示素子の共通基板として用いることが可能である。
本実施形態の液晶表示素子は、液晶層を駆動する駆動回路が一体成形されているが、駆動回路を構成する半導体装置を別に製造し、液晶層と組み合わせることもできる。その場合、ドレイン電極と、液晶層の信号電極とは別に形成し、後に接続することにしてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態に比べて、ゲート絶縁層が高分子材の多孔質体により構成されている点が相違する。しかし、それ以外の点は共通するので、相違する多孔質体について説明する。
[多孔質体について]
本発明における「多孔質体」とは、多数の細孔を有する固体物質であり、物質中の細孔の占める割合、細孔の大きさの分布、及び細孔形状により特徴付けられる。細孔の大きさは、IUPAK(The International Union of Pure and Applied Chemistry)によって定義された、径が2nm以下のミクロ孔、径が2〜50nmのメソ孔、及び径が50nm以上のマクロ孔に分類される。
なお、多孔質体の孔の大きさは平均的なものであり、球状ではなく、例えば柱状になっていても良い。また大きさの異なる球状の孔により形成されたものであってもよいし、柱状のものに球状のものが含まれていても良い。
このような多孔質体の屈折率は、屈折率が空気と同じである孔と空気よりも大きい屈折率を有する物質との平均的な屈折率になるものと考えられる。したがって、例えば、多孔質体からなるゲート絶縁層の体積の20%が孔であり、80%が屈折率1.6の物質である場合には1.48であり、高分子液晶の平均的な屈折率1.5よりも小さい。
ここで孔径は3軸平均径で表したものと定義する。具体的には、断面走査型電子顕微鏡像や断面透過型電子顕微鏡像により求めることができる。また電子顕微鏡像を測定することが困難な試料の場合は、X線小角散乱法により細孔径分布を測定し、粒径分布の最大となる径を平均径とする。また孔の体積密度は、X線小角散乱法により細孔径分布を測定し求めることができる。
本実施形態の半導体装置において、このような多数の細孔を有する多孔質の物質をゲート絶縁層に用いることにより、リーク電流がほとんどない、薄くて誘電率が低い絶縁膜とすることができる。
これは、多孔質体表面が曲面形状をなすため、比表面積が大きくなり、結果として絶縁層の静電容量が増加するためと考えられる。また、静電容量の増加により、メモリセルを構成する場合における充電電荷を大きくすることができるので、本実施形態の液晶表示素子の駆動回路を形成するのに好適である。
また、全体積のうちの少なくとも20%が孔により占められる多孔質体を用いることにより、有機半導体層と多孔質体との界面における接触面積を大きくすることが可能となり、オン電流を大きくすることができる一方、多孔質体中に絶縁性に優れた空気が含まれることになるので、ゲート絶縁層の電気絶縁性を一層向上させ、オフ時のリーク電流を抑制する上でも好適である。
さらに、有機半導体層と多孔質体との界面近傍に蓄積されるキャリアを多くするため、多孔質体の厚さを1nm以上にして、有機半導体層と多孔質体との界面の接触面積を十分大きくすることが好ましい。
ここで、多孔質体の厚さは、有機半導体層と多孔質体との界面における厚さと定義し、界面は、多孔質体表面の粗さ曲面の平均面と定義する。ここで粗さ曲面ならびに平均面は、多孔質体層の断面の粗さ曲線ならびに平均線を、二次元平面に拡張したものとする。
したがって、本実施形態の多孔質体の厚さは、多孔質体表面の粗さ曲面の平均面からの厚さが1nm以上あるということを意味する。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査プローブ顕微鏡(SPM)等により、断面形状を測定し厚さを求めることが可能である。また2次イオン質量分析系(SIMS)による元素深さ分布から求めることも可能である。
さらに、孔半径の平均値が100nm以下である多孔質体を用いれば、可撓性基板を用いることにより、曲げや捩れによるストレスが半導体装置に加わっても、多孔質体からなるゲート絶縁層がストレスを吸収するので、基板との剥がれを防ぐことが可能となる。
また、孔半径の平均値が100nm以下であればマクロ孔の多孔質体に比べて多孔質体の機械強度を高くすることが可能であり、有機半導体装置(あるいは、その有機半導体装置を駆動回路とする液晶表示素子)を折り曲げたり、丸めたり、落としたりしても、多孔質体の孔が潰れて空孔率が変わることがないので、基板に可撓性基板を用いても、多孔質体を用いることによる電気的特性を維持することができる。
本実施形態の多孔質体材料としては、ポリエチレンやポリイミドなどの高分子材料を用いることができる。ポリエチレンやポリイミドは適当な条件でプラズマ表面処理を行うことで、多孔質化することが可能である。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
[半導体装置の製造方法]
本実施形態においては、黒色樹脂を設けたガラス基板上に、アルミニウム電極を真空蒸着により成膜し、ゲート電極を作製する。
次に、テトラエトキシシラン(TEOS)、水、エタノール、濃塩酸がモル比で1:5:5:0.03となる混合溶液を70℃に加熱し4時間攪拌する。その加熱した溶液に界面活性剤である、例えばポリエチレンオキサイドーポリプロピレンオキサイドーポリエチレンオキサイドブロック共重合体(EO−b−PO−b−EO)のエタノール溶液を加え、攪拌した後5時間静置し、界面活性剤の存在下でケイ素アルコキシドを酸性条件で加水分解してゾル溶液を得る。このゾル溶液を、ゲート電極を覆うようにスピンキャストし、110℃のオーブンで乾燥して界面活性剤分散シリカ膜を作製する。
次に、作製したシリカ膜を空気中300℃に加熱することによって界面活性剤を除去した後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)に浸漬し、110℃で真空乾燥する。
これにより膜厚約0.5μmの多孔質体からなるゲート絶縁膜を形成することができる。
次に、多孔質体上にメタルマスクを配置した後、インジウムスズ酸化物(ITO)をスパッタリングで成膜し、ソースならびにドレイン電極を作製する。
次に、ソースならびにドレイン電極上にレジオレギュラ・ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のキシレン溶液をインクジェット法により塗布成膜し、膜厚50nmの有機半導体層を形成し、その上に再度ITOをスパッタすることにより、図1に示した第1の実施形態と同じ断面構成の有機半導体装置を作製することができる。
本実施形態の液晶表示素子によれば、ゲート絶縁層が液晶表示素子の低屈折率層を兼ねるので、作製プロセスの簡易化が図れ、低コストで有機半導体装置を作製することが可能となる。また、ソースおよびドレイン電極の形成後に有機半導体層を積層するので、ソースおよびドレイン電極のパターニングを行う際に溶媒を用いても、半導体材料が溶媒に溶解することがなく、液晶表示素子の特性に影響を与えることがない。
図4は、本実施形態の半導体装置の製造方法により製造された多孔質体表面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果を示す。
図4からわかるように、多孔質体には、ほぼ均一な大きさの細孔が無数に形成されていることがわかる。
次に、この様な多孔質体からなるゲート絶縁層を有する有機トランジスタの電気特性の測定と、反射率とを測定した。反射率は、30%であった。なお、電流−電圧特性は、窒素雰囲気下において、半導体パラメータアナライザー4145B(ヒューレット・パッカード製)により測定した。
図5は、本実施形態の有機トランジスタの電流−電圧特性を示す図である。
図5において、縦軸は、ソース・ドレイン間に流れる電流(Ids)Aを示し、横軸は、ソース・ドレイン間電圧(Vds)Vを示す。
図中のグラフは、ゲート電圧Vgを、0V〜−30Vまで変化させたときの、ソース・ドレイン間電圧とソース・ドレイン間電流との関係を示している。
例えば、ソース・ドレイン間電圧が−30Vにおいて、ゲート電圧が変化するとソース・ドレイン間電流も変化し、ゲート電圧による変調が行われることがわかる。また、そのとき、ソース・ドレイン間には最大で約0.1mAのオン電流が得られるので、ソース・ドレイン間電圧−30Vにおけるオン/オフ比は、約300であることがわかる。
次に、本実施形態の半導体装置における、多孔質体からなるゲート絶縁層の効果を確認するため、上述した製造方法における界面活性剤分散シリカ膜に対する、空気中300℃に加熱する界面活性剤除去処理、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)に浸漬し、110℃で真空乾燥する処理を行わずに形成した有機トランジスタの電流−電圧特性を、同様に窒素雰囲気下で測定した。
測定の結果、ソース・ドレイン間電圧−30Vにおけるオン/オフ比は、約4であり、反射率は、2%であった。
この結果、本実施形態の半導体装置は、液晶表示素子の駆動回路として十分実用に耐えるものであり、また、白表示における明るさを十分確保することができることがわかった。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第2の実施形態に比べて、ゲート絶縁層が金属酸化物の多孔質体により構成されている点が相違する。しかし、それ以外の点は共通するので、相違する半導体装置の製造方法について説明する。
[半導体装置の製造方法]
本実施形態の半導体製造方法は、第2の実施形態と比べると、ゲート絶縁層の形成工程は相違するが、それ以外の工程は共通する。したがって、相違するゲート絶縁層の形成工程について説明する。
本実施形態の多孔質体には、金属アルコキシドが用いられる。金属アルコキシドには、金属とアルコキシ基の組み合わせにより数多くの種類が存在するが、金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、インジウム、ゲルマニウム、ビスマス、鉄、銅、イットリウム、ジルコニウム、タンタル、ケイ素などが挙げられる。とくに、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、などが好適である。
ケイ素のアルコキシドには、テトラメトキシシラン(TMOS)、あるいはテトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。また、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、水ガラスなども用いることができる。
本実施形態の半導体装置におけるゲート絶縁層を構成する多孔質体が金属酸化物であることから、例えば高分子化合物である場合に比べて、耐薬品性、耐酸化性に優れ、また力学的強度を高くすることが可能である。
本実施形態のゲート絶縁層は、一例として次のように形成することができる。
界面活性剤の存在下で、金属アルコキシドを酸性条件下で加水分解して得られるゾル溶液を、ゲート電極を覆うように塗布し乾燥する。そして得られた界面活性剤分散金属酸化物を焼成することにより、界面活性剤を分解除去し、金属酸化物の多孔質体からなるゲート絶縁層を形成する。
ここで、界面活性剤分散金属酸化物膜とは、金属酸化物を母剤とした多孔質体に界面活性剤が最後部に保持された状態を示し、本実施形態のゾル溶液を塗布し乾燥させて得られる膜の状態である。この界面活性剤分散金属酸化物膜から界面活性剤を除去することにより、膜中に中空細孔を形成し多孔質体層が得られる。焼成の温度は、用いる界面活性剤により適宜最適の温度が存在するが、400度以下が望ましい。
界面活性剤を分解除去する方法としては、焼成のほかにも、ゾル溶液を塗布し乾燥した界面活性剤分散金属酸化物膜を溶媒で洗浄することにより、界面活性剤を溶出除去し中空細孔を形成し多孔質体層を得ることも可能である。また、界面活性剤をオゾン雰囲気下で酸化除去する方法、界面活性剤を酸素プラズマ雰囲気下で酸化除去する方法により、加熱を伴うことなく界面活性剤分散金属酸化物膜から多孔質体を形成することも可能である。これら焼成以外の方法を用いれば、素子内に耐熱性の低い材料が存在しても金属酸化物の多孔質体層を形成することが可能である。
本実施形態の溶媒にて抽出除去する方法は、用いる溶媒に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフランなどは極性が高く活性剤を溶出させやすいので好ましい。また、細孔内を何らかの方法で疎水化処理した場合は、極性の低い溶媒が有効であり、石油エーテル、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系の溶媒やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の溶媒が有効である。これら、極性、非極性溶媒を加熱したものは活性剤の溶解度が増すためにさらに好ましい溶媒となる。
本実施形態の金属酸化物の多孔質体は、特別な塗布工程を必要とせずあらゆる塗布工程を持つ製造プロセスに適用可能であり生産性に優れている。また、スピンキャスト法、ディップコート法、スクリーン印刷法、キャスト法等の塗布工程を用いることも可能であり、特に好ましくは、膜厚の制御が容易で比較的大面積を塗工できるスピンキャスト法ならびにディップコート法である。
本実施形態で用いる界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、あるいはポリエチレンオキシド(PEO)やポリプロピレンオキシド(PPO)、また、これらの共重合体やブロック共重合体などの非イオン系界面活性剤、トリブロックコポリマーの何れでもよい。また、中空細孔の体積を大きくするためにメシチレンなどの化合物を添加しても良い。
カチオン系界面活性剤としては、特に制限されないが、第4級アンモニウム塩又はアルキルアミン塩等が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、式(1)で表される第4級アルキルトリメチルアンモニウムのハライドまたは水酸化物が好ましい。
式(1)中、直鎖状アルキル基R1 の炭素数としては8〜24が好ましく、特に8〜17が好ましい。炭素数が25以上では不溶性で扱い難い。また、Xのハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が好ましい。また、第4級アルキルトリメチルアンモニウム塩の具体的な化合物としては、例えばオクチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、水酸化デシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、水酸化オクタデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、これらアンモニウム塩の1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、アルキルアミン塩としては、式(2)で表されるアルキルアミン塩が挙げられる。
式(2)中、直鎖状アルキル基R1 の炭素数としては8〜24が好ましく、特に8〜17が好ましい。炭素数が25以上では不溶性で扱い難い。また、Xのハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
また、本発明の金属酸化物の多孔質体は、陽極酸化法により作製することも可能である。この場合は、ゲート電極に、アルミニウム、チタン、ジルコニア、ニオブ、ハフニア、亜鉛、タンタルなどを用いることができる。
ここで、多孔質体がケイ素酸化物により構成されている場合には、ゾル溶液の作製条件によって、界面活性剤分散ケイ素酸化物膜から界面活性剤を除去する過程もしくは除去した後に膜にクラックが生じ、均一で平滑な多孔質体層を形成することが困難な場合が多い。
しかしながら、これは、多孔質体の細孔表面を疎水化することにより解決可能である。
疎水化の方法としては、疎水化部を持つケイ素化合物をゾル溶液に添加する方法、あるいは界面活性剤の除去後に多孔質体層の細孔表面を疎水化処理する方法が挙げられる。
前者は、アルキル基を持つアルコキシシランを添加する方法、アルキル基を持つクロロシランを添加する方法により達成できる。具体的な材料としては、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシランがある。これらにアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基等を付加し、また、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を付加した材料を用いることができる。
後者は、多孔質体層を形成した後に、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルシラザンやアルキル基を持つクロロシランの溶液に浸したり、これらの蒸気に曝したりして乾燥することにより達成できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態に比べると、有機トランジスタのゲート絶縁層が2層になっている点が相違する。しかし、それ以外の点は共通するので、同一の構成要素には同一の符号を付し、相違点について説明する。
図6は、4の実施形態の液晶表示素子を示す概略断面図である。
図6に示すように、本実施形態の液晶表示素子30の駆動回路を構成する有機トランジスタ10のゲート絶縁層15は、第1の絶縁層15aと第2の絶縁層15bとが積層された積層構造をなしている。このゲート絶縁層15のうち、液晶層3に近い第2の絶縁層15bは、屈折率が液晶層3よりも小さくなるように構成されている。
したがって、本実施形態の有機トランジスタ10を駆動回路とする液晶表示素子30は、光の散乱状態において液晶層3を透過した一部の光が第2の絶縁層15bで反射するので、白表示をより明るくすることができる。
ここで、本実施形態のゲート絶縁層15は2層構造をなしているが、必ずしも2層である必要はなく、3層以上であってもよい。
積層構造において下地層となる第1の絶縁層15aに用いられる材料としては、絶縁性のものであれば無機、有機の何れの材料でも使用可能であり、一般的にはポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルフェノール、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリルなどの有機材料や、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒素酸化シリコン、などの無機材料および各種絶縁性Langmuir-Blodgett膜等が用いられる。もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種類以上併用しても構わない。
一般に、多孔質体の平均孔径が小さくなると多孔質体間の界面に電界が集中しやすくなり、その結果、絶縁破壊強度が小さくなることがある。しかし、本実施形態のゲート絶縁層15は、2層以上の積層構造からなるので、絶縁破壊強度の大きい材料を積層することにより、絶縁層全体の絶縁破壊強度を大きくすることが可能となる。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
[半導体装置の製造方法]
本実施形態の半導体装置は、基板上にゲート電極を形成する工程と、そのゲート電極上に、液晶層よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を形成する工程と、ゲート絶縁層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極上に有機化合物からなる半導体の薄膜を形成する工程とを有する。
まず、黒色樹脂を設けたガラス基板上に、アルミニウム電極を真空蒸着により成膜し、ゲート電極を作製する。
次に、ポリビニルフェノールと架橋剤であるヘキサメトキシメチルメラミンをn−ブタノール溶液に溶かし、これをスピンコートし、200℃で焼成することにより厚さ100nmの膜を得る。
次に、テトラエトキシシラン(TEOS)、水、エタノール、濃塩酸がモル比で1:5:5:0.03となる混合溶液を70℃に加熱し4時間攪拌する。その加熱した溶液に界面活性剤である、例えばポリエチレンオキシドのエタノール溶液を加え、攪拌した後5時間静置し、界面活性剤の存在下でケイ素アルコキシドを酸性条件で加水分解してゾル溶液を得る。このゾル溶液を、ポリビニルフェノールにスピンキャスト成膜し、110℃にて乾燥後、O2プラズマ雰囲気下で3分間暴露し、界面活性剤分散シリカ膜を作製する。
次に、作製したシリカ膜を空気中300℃に加熱することによって界面活性剤を除去した後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)に浸漬し、110℃で真空乾燥する。
次に、多孔質体上にメタルマスクを配置した後、インジウムスズ酸化物(ITO)をスパッタリングで成膜し、ソースならびにドレイン電極を作製する。
次に、ソースならびにドレイン電極上にレジオレギュラ・ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のキシレン溶液をインクジェット法により塗布成膜し、膜厚50nmの有機半導体層を形成し、その上に再度ITOをスパッタすることにより、図4に示した第4の実施形態と同じ断面構成の有機半導体装置を作製することができる。
本実施形態の液晶表示素子によれば、ゲート絶縁層が液晶表示素子の低屈折率層を兼ねるので、作製プロセスの簡易化が図れ、低コストで有機半導体装置を作製することが可能となる。また、ソースおよびドレイン電極の形成後に有機半導体層を積層するので、ソースおよびドレイン電極のパターニングを行う際に溶媒を用いても、半導体材料が溶媒に溶解することがなく、液晶表示素子の特性に影響を与えることがない。
次に、本実施形態の半導体製造方法を用いて製造した多孔質体からなるゲート絶縁層を有する有機トランジスタの電気特性の測定と、反射率とを測定した。
電流−電圧特性は、窒素雰囲気下において、半導体パラメータアナライザー4145B(ヒューレット・パッカード製)により測定した。
測定の結果、反射率は、約37%であり、ソース・ドレイン間電圧−20Vにおけるオン/オフ比は約200であった。
次に、本実施形態の半導体装置における、多孔質体からなるゲート絶縁層の効果を確認するため、上述した製造方法における界面活性剤分散シリカ膜に対する、その後のO2プラズマ雰囲気下での暴露処理を行わずに、界面活性剤分散シリカ膜を作製して得られた有機トランジスタの電流−電圧特性を、半導体パラメータアナライザー4145B(ヒューレット・パッカード製)で窒素雰囲気下で測定を行った。
その結果、ソース・ドレイン間電圧−20Vにおけるオン/オフ比は約6であった。また、反射率は5%であった。
この結果、本実施形態の半導体装置は、液晶表示素子の駆動回路として十分実用に耐えるものであり、また、白表示における明るさを十分確保することができることがわかった。
本実施形態においては、所定のポリマーをゲート電極上にスピンコートして焼成し、
ヘキサメチルジシラザンに侵漬した後真空乾燥することにより多孔質体を形成しているが、必ずしもこの方法に限定されるものではなく、例えばCVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法、スピンコーティング法、ディッピング法、クラスタイオンビーム蒸着法およびLangmuir-Blodgett法などを用いてもよい。また、本実施形態におけるゲート絶縁層には、高分子材料により界面活性剤分散シリカ膜を作製し、多孔質体を形成しているが、必ずしも高分子材料を用いる必要はなく、第3の実施形態で説明した金属酸化物を用いることもできる。
本実施形態の液晶表示素子は、液晶層を駆動する駆動回路が一体成形されているが、駆動回路を構成する半導体装置を別に製造し、液晶層と組み合わせることもできる。その場合、ドレイン電極と、液晶層の信号電極とは別に形成し、後に接続することにしてもよい。
本発明の液晶表示素子、有機半導体装置、及び有機半導体装置の製造方法の第1の実施形態を示す液晶表示素子の概略断面図である。 本実施形態の液晶表示素子に用いる液晶層と液晶層中の液晶滴の状態を示す図である。 さまざまな液晶材料の屈折率を示す図である。 さまざまな液晶材料の屈折率を示す図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法により製造された多孔質体表面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果を示す。 本実施形態の有機トランジスタの電流−電圧特性を示す図である。 第4の実施形態の液晶表示素子を示す概略断面図である。
符号の説明
1 フイルム基板
2 基板
3 液晶層
3a 液晶滴
3b 液晶
4 光吸収層
5 走査電極
8 高分子
10 有機トランジスタ
11 ゲート電極
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14 有機半導体層
15 ゲート絶縁層
15a 第1の絶縁層
15b 第2の絶縁層
30 液晶表示素子

Claims (14)

  1. 対向する基板間に、液晶層と駆動回路とが積層され、該駆動回路から印加される電界の有無に応じて該液晶層が光の透過状態又は散乱状態を呈する液晶表示素子であって、
    前記駆動回路は、光の透過状態における前記液晶層よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有する有機トランジスタにより構成されたものであることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記駆動回路と前記基板との間に、前記ゲート絶縁層よりも光の屈折率が小さい光吸収層が積層されたものであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 前記液晶層は、高分子分散型液晶からなることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  4. 基板上に、印加される電界に応じて光の透過状態又は散乱状態を呈する液晶に所定電界を印加する駆動回路が集積された半導体装置であって、
    前記駆動回路は、光の透過状態における前記液晶よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を有する有機トランジスタにより構成されたものであることを特徴とする有機半導体装置。
  5. 前記ゲート絶縁層は、少なくともミクロ孔、メソ孔、及びマクロ孔のうちの何れか1つの大きさの細孔が含まれる多孔質体からなることを特徴とする請求項4記載の有機半導体装置。
  6. 前記ゲート絶縁層は、金属酸化物の多孔質体からなることを特徴とする請求項4記載の有機半導体装置。
  7. 前記ゲート絶縁層は、珪素酸化物の多孔質体からなることを特徴とする請求項4記載の有機半導体装置。
  8. 前記多孔質体は、1ナノメートル以上の厚みを有することを特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項記載の有機半導体装置。
  9. 前記多孔質体は、全体積のうち、孔の占める割合が20%以上であることを特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項記載の有機半導体装置。
  10. 前記多孔質体は、孔の平均半径が100ナノメートル以下であることを特徴とする請求項5〜7のうち何れか1項記載の有機半導体装置。
  11. 前記ゲート絶縁層は、複数の層が積層されたものであることを特徴とする請求項4から10のうち何れか1項記載の有機半導体装置。
  12. 基板上に、印加される電界に応じて光の透過状態と散乱状態とを呈する液晶に所定電界を印加する駆動回路が集積された半導体装置の製造方法であって、
    基板上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極上に、光の透過状態における前記液晶よりも屈折率が小さいゲート絶縁層を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
    前記ソース電極及びドレイン電極上に有機化合物からなる半導体層を形成する工程と、を有することを特徴とする有機半導体装置の製造方法。
  13. 前記ゲート絶縁層を形成する工程は、さらに
    所定のポリマーに界面活性剤を加えて加水分解することにより得られたゾル溶液を前記ゲート電極上にスピンコートし、乾燥させて界面活性剤分散シリカ膜を形成する工程と、
    前記界面活性剤分散シリカ膜を加熱して前記界面活性剤を除去し、ヘキサメチルジシラザンに侵漬し乾燥させて多孔質体を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項12記載の有機半導体装置の製造方法。
  14. 前記ゲート絶縁層を形成する工程は、さらに
    所定の金属酸化物に界面活性剤を加えて加水分解することにより得られたゾル溶液を前記ゲート電極上に塗布し、乾燥させて界面活性剤分散金属酸化物を形成する工程と、
    前記界面活性剤分散金属酸化物を焼成し、前記界面活性剤を除去することにより多孔質体を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項12記載の有機半導体装置の製造方法。
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