JP2005249437A - 車両シート用荷重判別装置の異状診断方法および車両シート用荷重判別装置 - Google Patents
車両シート用荷重判別装置の異状診断方法および車両シート用荷重判別装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 車両シート用荷重判別装置のシステム変更を伴うことなく、高い判別精度の維持を可能とする。
【解決手段】 情報処理手段18が、車両の駐車状態を確認、判断する駐車確認工程と、荷重検出手段14への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの空席状態を確認、判断する空席確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルを確認、判断する振動レベル確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置を確認、判断する重心位置確認工程とを、特定条件確認工程として順次遂行する機能を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 情報処理手段18が、車両の駐車状態を確認、判断する駐車確認工程と、荷重検出手段14への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの空席状態を確認、判断する空席確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルを確認、判断する振動レベル確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置を確認、判断する重心位置確認工程とを、特定条件確認工程として順次遂行する機能を有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シート上に作用した負荷荷重を計測し、その負荷荷重の属する荷重判別ゾーンを適宜判別、選定する車両シート用荷重判別装置でのその異状診断方法、およびその車両シート用荷重判別装置に関するものである。
車両用の乗員保護装置であるエアバッグは、一般的に、特定以上の衝撃を検出したときに一定の展開形状(最大膨張形状)まで瞬時に展開(膨出)される構成であり、非着座時における展開の無用性や着座者が子供であった場合の加害性等の指摘もあることから、近年では、着座の有無や負荷荷重の大小等を検出してその展開/非展開を適宜切り換えることが行われている。
この種の制御を行うにあたっては、シート上に作用した負荷荷重を、たとえば荷重センサ等の荷重検出手段を介して検出、計測し、その負荷荷重からシート上の状態の判別、つまり着座者の有無の判別、および大人の着座であるか子供の着座であるか等の着座種別の判別等を、荷重判別装置等により適宜行うことが一般的に知られている。
ところで、荷重検出手段からの検出値に基づいて計測した負荷荷重をもとに、その荷重判別を行う場合においては、その負荷荷重の検出精度が荷重判別結果に大きく影響する。そこで、荷重検出手段および荷重判別装置に異状があるか否かを診断する方法が、たとえば特開2000−298057号公報において開示されている。
この公知の診断方法は、荷重検出手段上にシートを載置しない状態での荷重情報と、荷重検出手段上にシートを載置した状態での荷重情報との比較や、シートを車体に組み込む前の荷重検出手段からの荷重情報と、シートを車体に組み込んだ後の荷重検出手段からの荷重情報との比較、あるいはシート上に荷重の加わらない状態での荷重情報と、シート上に所定荷重をかけたときの荷重情報との比較等に基づいて、荷重検出手段を含む荷重判別装置の正常性を診断するものであり、その各荷重情報間の差異が規定値以上であった場合等に、荷重判別装置が異状であると判断するものである。
ここで、荷重検出手段による負荷荷重の検出精度を高い状態で長く維持するには、車両が使用者、つまりユーザサイドに渡ってからもその異状診断を行うことが必要であると考える。しかし、荷重検出手段上にシートを載置しない状態での荷重情報と、荷重検出手段上にシートを載置した状態での荷重情報との比較や、シートを車体に組み込む前の荷重検出手段からの荷重情報と、シートを車体に組み込んだ後の荷重検出手段からの荷重情報との比較等により荷重検出手段あるいは荷重判別装置の異状診断を行うこの公知の診断方法は、車体へのシートの組み込み工程、つまり自動車等の車両製造工程等における診断を前提としたものであるから、ユーザサイドでの異状診断が容易に行える方法であるとはいい難い。
特に、このような異状診断は、たとえば、シートの操作位置、別体クッションやシートカバー等の有無、車両水平度あるいは温度/湿度環境等の試験条件を統一した上で行う必要のあるものであり、これらの試験条件をユーザサイドにおいて同一に整えるのはきわめて困難であるといわざるを得ない。
特開2000−298057号公報
解決しようとする問題点は、荷重判別装置に対する異状診断がユーザサイドにおいては容易に行えないという点である。
本発明の請求項1に係る車両シート用荷重判別装置の異状診断方法は、所定の駐車検出手段からの検出信号のもとで、車両が駐車状態にあるか否かを確認、判断する駐車確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートが空席状態にあるか否かを確認、判断する空席確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルが規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する振動レベル確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置が規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する重心位置確認工程とを、特定条件確認工程として順次遂行し、この各確認工程における条件を全て満たしたと判断されたとき、荷重検出手段への、通常作動電圧と異なる所定の診断電圧の印加による計測値を、異状診断のための診断荷重として計測、認識し、この診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較することによりその異状を診断することを、その最も主要な特徴とする。
また、本発明の請求項2は、診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較した結果としてその異状状態が判断されたとき、対応する異状表示を所定の異状表示手段において行うものとしたことを、その最も主要な特徴とする。
そして、本発明の請求項3は、特定条件確認工程からの異状診断を、荷重検出手段からの荷重情報に基づいて荷重判別を行う荷重判別工程の前段工程として荷重判別起動時に随時遂行することを、その最も主要な特徴とする。
さらに、本発明の請求項4は、パーキングブレーキの操作状態の検出を、車両の駐車状態の確認とすることを、その最も主要な特徴とする。
さらに、本発明の請求項4は、パーキングブレーキの操作状態の検出を、車両の駐車状態の確認とすることを、その最も主要な特徴とする。
また、本発明の請求項5は、平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットを荷重検出手段とし、この各荷重センサユニットからの検出値に基づく各荷重値の総和を、シート上への負荷荷重として認識するとともに、この荷重センサユニットからの荷重情報に基づいてシートの重心位置を算出するものとしたことを、その最も主要な特徴としている。
さらに、本発明の請求項6は、所定の駐車検出手段からの検出信号のもとで、車両が駐車状態にあるか否かを確認、判断する駐車確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートが空席状態にあるか否かを確認、判断する空席確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルが規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する振動レベル確認工程と、荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置が規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する重心位置確認工程とを、特定条件確認工程として順次遂行し、この各確認工程における条件を全て満たしたと判断されたとき、荷重検出手段への、通常作動電圧と異なる所定の診断電圧の印加による計測値を、異状診断のための診断荷重として計測、認識し、この診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較することにより、その異状を診断する機能を、情報処理手段が、荷重検出手段からの荷重情報に基づいて荷重判別を行う荷重判別機能のほかに有してなることを、その最も主要な特徴とする。
また、本発明の請求項7においては、駐車検出手段が、パーキングブレーキの操作状態を検出可能に設けられた検出スイッチであることを、その最も主要な特徴としている。
さらに、本発明の請求項8においては、荷重検出手段が、平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットであることを、その最も主要な特徴としている。
本発明の請求項1に示す車両シート用荷重判別装置の異状診断方法は、特定条件確認工程を満たしたときのみ異状診断を自動的に遂行するものであるため、ユーザサイドでの異状診断が容易に行えるという利点がある。
そして、本発明の請求項2においては、この異状診断によってその異状状態が判断されたとき、対応する異状表示を所定の異状表示手段において行うものとしているため、ユーザへの警告が容易に行えるという利点がある。
さらに、本発明の請求項3においては、この異状診断を、荷重検出手段からの荷重情報に基づいて荷重判別を行う荷重判別工程の前段工程として荷重判別起動時に随時遂行するものとしているため、その信頼度がより一層高くなるという利点がある。
また、本発明の請求項4においては、パーキングブレーキの操作状態の検出を、車両の駐車状態の確認とするため、車両の駐車状態の明確な確認が容易に可能になるという利点がある。
そして、本発明の請求項5においては、平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットを荷重検出手段としているため、シートの荷重検出に加えた重心位置の推定が、構成の複雑化を伴うことなく容易に可能になる、という利点がある。
また、本発明の請求項6に示す車両シート用荷重判別装置は、特定条件確認工程を満たしたときのみ異状診断を遂行する機能を有するものとしてなり、荷重検出手段への印加の変更のもとで、その異状診断を行う構成であるため、異状診断を遂行可能な荷重判別装置が、システム変更および構成の複雑化を伴うことなく容易に得られる、という利点がある。
さらに、本発明の請求項7によれば、荷重検出手段を、パーキングブレーキの操作状態を検出可能に設けられた検出スイッチとしているため、構成の複雑化を伴うことなく、その明確な検出が十分に可能になるという利点がある。
そして、本発明の請求項8によれば、荷重検出手段を、平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットとしているため、構成の複雑化を伴うことなく、重心位置の推定を行うことが可能になるという利点がある。
高い判別精度の維持をはかるという目的を、車両シート用荷重判別装置のシステム変更を伴うことなく実現可能とした。
図1は本発明の車両シート用荷重判別装置10の概略ブロック図を示し、図2は同荷重判別装置の概略構成図を示す。この各図を見るとわかるように、本発明の荷重判別装置10は、シート12上の負荷荷重を検出する荷重検出手段14と、この荷重検出手段からの荷重情報を適宜処理する情報処理手段18とを備えている。そして、この情報処理手段18により行われる荷重判別に基づいてエアバッグ20の展開制御をはかるものとして、この荷重判別装置10は構成されている。
図2に示すように、その収縮状態において小さく折り畳まれたエアバッグ20は、通常、ガス発生/点火手段22との組み合わせによりなるエアバッグユニット24としてシート12の前方配置部材、たとえば、助手席前方のインパネ26に内設されている。そして、衝撃センサ(図示しない)を有したSRSユニット28からの出力信号によるガス発生/点火手段22の作動のもとで、このエアバッグ20はインパネ26からその外部に膨出、展開可能となっている(図2の一点鎖線参照)。
なお、この種のエアバッグの構成は公知であり、またエアバッグ自体はこの発明の趣旨でないため、このエアバッグ20に対する詳細な説明はここでは省略する。
ここで、この実施例においては、図3に示すような、たとえば起歪部材30と歪みゲージ32との組み合わせとしてなる荷重センサユニットが、荷重検出手段14として具体化されている。そして、この荷重センサユニット(荷重検出手段)14は、図4に示すような、前後左右に離間したシート12の平面離間4ヶ所(#1〜#4)に配置されるものとなっている。
この荷重センサユニット14(#1〜#4)の概略を、図3をもとに説明する。
たとえばばね鋼材等の、復元力を持った可歪性素材からなる起歪部材30は、シート側部材、たとえばシートスライド装置34のロアレール35の下面に対する、カシメピン33でのその一端部30aの固定、および床体側部材、たとえば固定のベース部材36における、支軸37よるその他端部30bの回動自在の支持のもとで、シート12を、床体39に対して弾性的に支持可能に配されている(図2参照)。
そして、図3に示すように、その一部、たとえば肉薄部としてなる易歪部30cでのこの起歪部材30の歪曲量を検出可能に、たとえば抵抗線ゲージ等としてなる歪みゲージ32が、その易歪部に貼着等により配設されている。
この構成の荷重センサユニット14(#1〜#4)によれば、起歪部材30が、シート12上に作用した負荷荷重に応じた量だけ、その易歪部30cにおいて歪曲する。そして、その歪曲量に応じた信号を検出値として歪みゲージ32が出力することにより、起歪部材30の受けた荷重がその荷重センサ毎に検出可能となる。
なお、図1および図3の参照符号41は、出力の小さい歪みゲージ32でのEMI(電磁波障害)対策として荷重センサユニット14(#1〜#4)毎に設けられたバッファアンプである。そして、荷重センサユニット14(#1〜#4)、詳細にいえばその各歪みゲージ32は、図1に示すように、このバッファアンプ41を介して情報処理手段18にそれぞれ接続されている。
図1を見るとわかるように、この情報処理手段18は、その中枢となるCPU(基本処理装置)38を備えた、いわゆるECU(電子制御装置)の一種としてなり、歪みゲージ32により検出した検出値を荷重センサユニット14(#1〜#4)からのそれぞれの荷重情報として監視、処理するものとして、この情報処理手段は構成されている。
荷重センサユニット14(#1〜#4)は、情報処理手段(ECU)18の、たとえばチャンネル切換手段42を介してそのCPU38に切り換え接続されるものとなっており、このチャンネル切換手段に対する切り換え制御は、CPUのチャンネル制御部44において行われるものとなっている。そして、このチャンネル制御部44による切り換え制御のもとで選択的に取り出された荷重センサユニット14(#1〜#4)からの検出値は、このCPUの荷重情報処理部46において、その入力順に適宜処理される。
なお、このチャンネル切換手段42による、荷重センサユニット14(#1〜#4)からの入力信号の選択的な切り換えは、所定の巡回順位をもって繰り返し行われる。
荷重センサユニット14(#1〜#4)からの各検出値は、このCPUの荷重情報処理部46における所定の演算のもとで対応する個別荷重値にそれぞれ算出、変換される。そして、この荷重センサユニット14(#1〜#4)毎の各個別荷重値は、その各荷重センサユニットにより検出された対応各部位での荷重情報として、荷重情報処理部46において認識される。
ここで、このような前後左右の平面離間4ヶ所に荷重センサユニット14(#1〜#4)を配した構成においては、この各荷重センサユニットによって検出、計測された個別荷重値の総和が、この荷重情報処理部46において算出され、この算出された総和が、シート12上に作用した負荷荷重としてこの荷重情報処理部において認識される。そして、この負荷荷重を、CPU38内の判別処理部50において、予め設定された所定の閾値と比較することにより、その時点での負荷荷重の属する荷重判別ゾーンが適宜判別、選定される。
図5に示すように、この実施例においては、たとえば、シート12が空席の場合における荷重センサユニット14(#1〜#4)上部の荷重(上屋荷重)、シートの取り付け部位における公差等による発生歪み、シート固定ボルトの締め付け等による発生歪み、シートの自重のバラツキ、およびシートの設定位置や設定形態等に起因するバラツキ成分等の、いわゆる風袋成分を考慮した暫定基準点(0′)を基準として各閾値が設定されており、その閾値としては、空席判別ゾーンと子供判別ゾーンとを区分する着座判別閾値WTh1、および子供判別ゾーンと大人判別ゾーンとを区分する種別判別閾値WTh2がそれぞれ規定されている。
図1に示すCPUの判別処理部50は、荷重センサユニット14(#1〜#4)の個別荷重値の総和としてなる負荷荷重がどの荷重判別ゾーンに属するかを、この各閾値との比較のもとで判別、選定するものであり、その判別結果に応じた判別信号を通信回線52に出力し、この通信回線からの制御信号のもとで、表示手段54およびSRSユニット28の作動制御をはかるものとして具体化されている(図2参照)。
なお、このSRSユニット28は、エアバッグ20の作動制御を行うコントロール部であり、また、表示手段54としては点灯表示の可能な各種インジケータ、あるいはメッセージ表示の可能なディスプレイ等が例示できる。
図5を見るとわかるように、この荷重判別装置10においては、暫定基準値(0′)と種別判別閾値WTh2との間がエアバッグ20の展開されないエアバッグ展開不許可ゾーンとして、また、種別判別閾値WTh2以上、つまり大人判別ゾーンがエアバッグの展開されるエアバッグ展開許可ゾーンとして、それぞれ規定されている。また、この実施例においては、負荷荷重の荷重判別ゾーンを子供判別ゾーン(着座判別閾値WTh1と種別判別閾値WTh2との間)として判別、選定したときのみ、表示手段54による警告表示を行うものとしている。
ところで、このような荷重判別装置10は、負荷荷重の正確な測定のもとで成り立つものであるため、荷重センサユニット14(#1〜#4)による荷重測定にはそれ相応の高精度が要求される。そこで、この発明の荷重判別装置10には、荷重センサユニット14(#1〜#4)を含む荷重判別装置自体の異状を診断する、いわゆる自己診断機能が設けられている。
図1を見るとわかるように、この荷重判別装置のECU18が、そのCPU38に診断部56を有している。そして、この診断部56は、特定条件のもとで採取された診断荷重が予め規定された正常判断ゾーン内にあるか否かによって、そのときの荷重判別装置に異状があるか否かを診断するものとして具体化されている。
上記のような構成の荷重判別装置10において遂行される、この発明の異状診断方法を含む荷重判別手順の一実施例を、図6および図7のフローチャートをもとに、以下説明する。
図6を見るとわかるように、この荷重判別方法においては、たとえばイグニションスイッチのON等による作動開始指令(Start)の発生後、まず、イニシャライズ、つまりCPU38の内部の初期化が行われ(102)、次に、まず、異状診断ルーチンでの異状診断が行われる(104)。
図7を見るとわかるように、この異状診断ルーチンにおいては、まず、その車両が駐車状態にあるか否かの確認が行われる(202)。
この車両の駐車状態の確認は、駐車検出手段58からの検出信号のもとで行われる。この駐車検出手段58としては、たとえばパーキングブレーキ(一般的なハンドブレーキがこれにあたる)の操作を検知する検出スイッチ(図示しない)が例示でき、この検出スイッチ(駐車検出手段)は、図1に示すように、ECU(CPU)の荷重情報処理部46に対し、その検出信号を出力可能に接続されている。
このステップ(202)においては、車両の駐車状態がこの検出スイッチ(駐車検出手段)58からの検出信号のもとで確認されたときのみ、次のステップに進むことが可能となる。そして、図7に示すように、車両の駐車状態がこのステップ(202)において確認された後には、次にそのシート12が空席状態にあるか否か確認される(204)。
このシート12の空席状態は、荷重センサユニット14(#1〜#4)からの個別荷重値の総和としてなる、シート上の負荷荷重を対応する閾値、つまり着座判別閾値WTH1と比較することにより行われる。つまり、この時点でのシート12上の負荷荷重を、荷重センサユニット14(#1〜#4)への通常作動電圧の印加のもとで得た、その検出値である個別荷重値の総和として算出、認識する。そして、この計測により得たシート12上の負荷荷重を着座判別閾値WTH1と比較し、この負荷荷重が着座判別閾値WTH1未満であると判別されたとき、そのときの空席状態が確認される。
このステップ(204)においてシート12の空席が確認されると、図7に示すように、車両およびシートの振動レベルが確認される(206)。
これは、車両自体あるいはその外部からの振動等の影響を受ける環境下での異状診断を回避することを目的としたものであり、この車両およびシートの振動レベルは、たとえば荷重センサユニット14(#1〜#4)によるその各検出値のバラツキから見ることができる。
たとえば、荷重センサユニット14(#1〜#4)への通常作動電圧の印加のもとで得たその検出値を、荷重センサユニット毎に複数個、たとえば10個程度連続的に採取する。そして、その採取した検出値の標準偏差(バラツキ量)を荷重センサユニット14(#1〜#4)毎に採取し、その標準偏差が規定範囲内、たとえば1σ以下であった場合を、正常の振動レベルと判断するものとしている。
このステップ(206)において、その車両およびシート12の振動が正常レベルであった、つまり振動レベルが正常であったと確認、判断されると、次に、まずシートの重心位置が算出、確認される(208)。
このシート12の重心位置の算出に当たっては、荷重センサユニット14(#1〜#4)への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報、つまりその検出値が利用される。
この重心位置の算出手法自体は、この発明の趣旨でないためここでの詳細な説明は省略するが、算出された重心位置は、図4に示すような座標点(Xi,Yi)として表される。そして、次に、このステップ(208)において得られた重心位置CG(Xi,Yi)が、所定の規定範囲内、たとえば(Xi±Δxi,Yi±Δyi)内にあるか否かが確認、判断される(210)。
これは、そのシート12の前後位置やシートバック60(図2参照)の傾斜角度等の影響、および坂道での駐車や左右片側の車輪を縁石に乗り上げた状態での駐車等による車両からの影響を診断結果から排除しようとするものであり、そのシート12の重心位置が規定範囲内にあると判断されると、図7に示すように、次に荷重センサユニット14(#1〜#4)への、診断電圧の印加、つまり印加電圧の変更がなされる(212)。
この診断電圧は、荷重センサユニット14(#1〜#4)の通常作動電圧と異なる値として、その許容範囲内において規定されるものであり、ここでは、通常作動電圧より若干高い電圧をその診断電圧として仮定するものとする。
図1を見るとわかるように、この診断電圧の制御は、CPUの診断部56において行われる。そして、この図1に示す回路は、荷重センサユニット14(#1〜#4)の歪みゲージ32に対するそのブリッジ電圧を上げることで、通常作動電圧から診断電圧への印加電圧の変更をはかるものとして具体化されている。
図7に示すように、次に、荷重センサユニット14(#1〜#4)へのこの診断電圧の印加時における負荷荷重(風袋荷重)を、診断荷重Wttcとして計測する(214)。
なお、この診断荷重の計測は、通常時の負荷荷重の検出と同様に、荷重センサユニット14(#1〜#4)による検出値の総和の算出のもとで行われる。
そして、診断荷重Wttcの計測後、診断電圧を解除した後に(216)、この診断荷重Wttcは診断閾値WTH0および着座判別閾値WTH1と比較される(218)。
このうちの診断閾値WTH0は、前出の診断電圧をもとに予め設定された閾値であり、通常作動電圧より若干高めに設定された診断電圧のもとでは、図5に示すように、それに比例して、この診断閾値WTH0も着座判別閾値WTH1より若干高めの値となる。
ここで、通常作動電圧より若干高めに設定された診断電圧をブリッジ電圧として荷重センサユニット14(#1〜#4)に印加した場合、正常であれば、それにほぼ比例した検出値が出力されるのに対し、歪みセンサ32の荷重検出ブリッジに何らかの異状が発生した場合においては、それに起因したバランス崩れにより、その偏差分がより多く出力されることになる。つまり、この発明は、この偏差分の出力を検出することでその異状を診断しようとするものであり、着座判別閾値WTH1と診断閾値WTH0との間に規定された正常判断ゾーン内に診断荷重Wttcが属するか否か、つまり診断荷重WttcがWTH1<Wttc<WTH0の関係を満たしているか否を判断することによって、その異状が検出される。
たとえば、診断荷重WttcがWTH1<Wttc<WTH0の関係を満たしていれば、図7に示すこのステップ(218)においてYesと判断されて、その正常性が判断、認識される(220)。また、診断荷重WttcがWTH1<Wttc<WTH0の関係を満たせず、このステップ(218)においてNoと判断されれば、その異状が判断、認識され(222)、次に、この異状診断を行った診断部56からの、通信回線52を介した信号のもとで、異状表示手段62においてその異状表示がなされる(図1参照)。
この異状表示手段62としては、表示手段54と同様の、点灯表示の可能な各種インジケータ、あるいはメッセージ表示の可能なディスプレイ等が例示でき、たとえば図2に示すように、この異状表示手段62を表示手段54と兼用化することも可能である。
これらの工程を遂行することで、荷重判別装置10における異状診断は遂行される。そして、この異状診断の終了後、図7のステップ(220)でその正常性が判断された場合にのみ、図6の次ステップ(106)に進むことができ、このステップ(106)以降がこの荷重判別装置10における荷重判別工程となる。
この荷重判別工程においては、まず、荷重センサユニット14(#1〜#4)への通常作動電圧の印加のもとで、シート12上に作用した負荷荷重の荷重情報をそれぞれ採取するとともに、その荷重情報により得た荷重センサユニット毎の個別荷重値の総和として、その負荷荷重を計測する(106)。次に、この荷重センサユニット14(#1〜#4)からの荷重情報をもとに、シート12の重心位置を特定化する(108)。
この重心位置の特定化は、シート12上に着座した着座者の着座位置あるいは着座姿勢等により変動するものであり、その重心位置は、診断工程と同様に、たとえば図4に示す座標上において行われる。なお、ここでは詳細に示さないが、この重心位置の特定化は、予め規定した複数個のエリアの中からの一つとして特定することが好ましい。
そして、図6に示すように、次に、その負荷荷重での、たとえば粗判別を行う(110)。
この負荷荷重の粗判別は、シート12の空席状態、あるいは子供の着座か大人の着座かを明確に判別可能な場合に行うものであり、そのときの負荷荷重が、たとえば図5に示す空席明確ゾーン、子供明確ゾーン、大人明確ゾーンのいずれかに属するときにおいてのみ、対応する判別ゾーンへの滞在として判別するものである。
このような粗判別を行うことによって、荷重判別工程の簡素化が十分にはかられる。
また、この粗判別による荷重判別の不能な場合は、図6に示すように、次に特殊姿勢検出が行われる(112)。
この特殊姿勢検出とは、着座者の着座位置あるいは着座姿勢を推定するものであり、その推定は、荷重センサユニット14(#1〜#4)からの検出値(荷重情報)に基づいて算出、計測した負荷荷重、およびその荷重情報に基づいて算出、特定した重心位置をもとに行われる。
次に、ステップ(112)において推定した着座姿勢に適合する補正係数を読み出し、この補正係数を負荷荷重に反映させることによって、その着座者の体重を推定する(114)。
そして、この推定体重をもとに荷重判別を行い、シート12上に作用した負荷荷重の属する荷重判別ゾーンを荷物判別ゾーン、子供判別ゾーン、大人判別ゾーンの中から選択的に判別するとともに(116)、通信回線52に対するその判別結果の通信制御を行うことで(118)、この荷重判別装置10における荷重判別工程は終了する。
上記のように、この発明の車両シート用荷重判別装置の異状診断方法は、所定の診断荷重を計測し、その診断荷重を予め設定された正常判別ゾーンと比較することによってその異状診断を行うものであるため、車両がユーザサイドに渡ってからの異状診断が容易に可能となる。そして、この発明においては、荷重判別装置10の起動時に所定の特定条件を満たした場合にのみ、この異状診断を行うものとしているため、その信頼性も十分高いものとして扱うことができる。
つまり、この発明によれば、信頼性の高い異状診断がユーザサイドにおいて行えるため、荷重検出精度、ひいては荷重判別精度の高い荷重判別装置10を得ることが容易に可能となる。
そして、この発明の車両シート用荷重判別装置10によれば、専用装置等を設けることなく、またシステム変更等を要することなく、荷重センサユニット14(#1〜#4)に印加するブリッジ電圧を変更するのみによって上記異状診断方法を適切に遂行することが可能となるため、その構成の複雑化、およびその作業の煩雑化を伴うことのない異状診断が容易に行える。
ここで、上述したこの発明の実施例においては、荷重検出手段を離間平面4ヶ所に配した荷重センサユニット14(#1〜#4)として具体化しているが、シート12上に作用した負荷荷重を適切に検出するものであれば足りるため、これに限定されず、他の構成のものをこの荷重検出手段14として利用してもよい。
しかしながら、荷重センサユニット14(#1〜#4)を荷重検出手段とすることによって、シート12上に作用する負荷荷重の重心位置等の検出、特定をこの離間平面4ヶ所の荷重センサユニットからの荷重情報をもとに行うことができるため、負荷荷重の計測および重心位置の特定を構成の複雑化を伴うことなく可能となる利点が、この構成によれば得られる。
また、この実施例においては、異状診断工程を荷重判別工程の前段工程として行っているが、これに限定されず、たとえば、異状診断工程を荷重判別工程とは別に単独で行うものとしてもよい。
しかしながら、異状診断工程を荷重判別工程の前段工程として行うことで、その診断頻度は自ずと上がるため、頻繁な異状診断により、信頼度の高い荷重判別を長く維持することが容易に可能となる。
また、この実施例においては、駐車検出手段58を、パーキングブレーキの操作状態を検出可能とする検出スイッチとして具体化しているが、車両の駐車状態を明確に検出可能とするものであれば足りるため、これに限定されず、たとえば、オートマチック車においては、シフトレバーのパーキングポジションの検出スイッチを、この駐車検出手段として利用してもよい。
さらに、この実施例においては、荷重センサユニット14(#1〜#4)の歪みゲージ32に対するそのブリッジ電圧を上げることで、通常作動電圧から診断電圧への印加電圧の変更をはかるものとして具体化しているが、ブリッジ電圧のみならず、たとえば、図8に示すような回路において、その供給電圧自体を変化させることにより、通常作動電圧と異なる診断電圧を荷重センサユニット14(#1〜#4)の歪みゲージ32に印加する構成としてもよい。
なお、全体的な供給電圧を、たとえば上昇させる場合においては、荷重判別装置10内の使用部材にダメージを与えない許容値内で、かつ短時間にその診断電圧の印加を行うことはいうまでもない。
また、この実施例においては、診断電圧として、通常作動電圧より若干高い電圧値を具体化しているが、通常作動電圧と異なる値であれば足りるため、これに限定されず、たとえば通常作動電圧よりも若干低い電圧値を診断電圧として印加するものとしてもよい。
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
ここで示した荷重判別装置は、一般的には、エアバッグの作動制御を行うためのものとして用いられるが、制御対象はこれに限定されるものではない。
また、自動車等のシートに限定されず、たとえば、電車、飛行機、船舶等の他の乗り物用シートに、この発明を応用してもよい。
10 車両シート用荷重判別装置
14 荷重検出手段(荷重センサユニット)
18 情報処理手段
20 エアバッグ
46 荷重情報処理部
50 判別処理部
56 診断部
58 駐車検出手段
62 異状表示手段
14 荷重検出手段(荷重センサユニット)
18 情報処理手段
20 エアバッグ
46 荷重情報処理部
50 判別処理部
56 診断部
58 駐車検出手段
62 異状表示手段
Claims (8)
- シート上の負荷荷重を検出し、それを荷重情報として出力する荷重検出手段と;この荷重検出手段からの荷重情報に基づいて、そのシート上に作用した荷重値を算出、計測するとともに、この荷重値を所定の閾値と比較することにより、そのシート上の負荷荷重の属する荷重判別ゾーンを適宜判別、選定する機能を有した情報処理手段と;を備えてなる車両シート用荷重判別装置での、その荷重検出手段による検出状況および情報処理手段における処理状況に異状があるか否かを診断する異状診断方法であり、
所定の駐車検出手段からの検出信号のもとで、車両が駐車状態にあるか否かを確認、判断する駐車確認工程と;
上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートが空席状態にあるか否かを確認、判断する空席確認工程と;
上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルが規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する振動レベル確認工程と;
上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置が規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する重心位置確認工程と;
を、特定条件確認工程として順次遂行し、この上記各確認工程における条件を全て満たしたと判断されたとき、上記荷重検出手段への、通常作動電圧と異なる所定の診断電圧の印加による計測値を、異状診断のための診断荷重として計測、認識し、この診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較することにより、その異状を診断する車両シート用荷重判別装置の異状診断方法。 - 前記診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較した結果としてその異状状態が判断されたとき、対応する異状表示を所定の異状表示手段において行うものとした請求項1記載の車両シート用荷重判別装置の異状診断方法。
- 前記特定条件確認工程からの異状診断を、上記荷重検出手段からの荷重情報に基づいて荷重判別を行う荷重判別工程の前段工程として荷重判別起動時に随時遂行する請求項1または2記載の車両シート用荷重判別装置の異状診断方法。
- パーキングブレーキの操作状態の検出を、車両の駐車状態の確認とする請求項1ないし3のいずれか記載の車両シート用荷重判別装置の異状診断方法。
- 平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットを前記荷重検出手段とし、この各荷重センサユニットからの検出値に基づく各荷重値の総和を、前記シート上への負荷荷重として認識するとともに、
この荷重センサユニットからの荷重情報に基づいて前記シートの重心位置を算出するものとした請求項1ないし4のいずれか記載の車両シート用荷重判別装置の異状診断方法。 - シート上の負荷荷重を検出し、それを荷重情報として出力する荷重検出手段と;この荷重検出手段からの荷重情報に基づいて、そのシート上に作用した荷重値を算出、計測するとともに、この荷重値を所定の閾値と比較することにより、そのシート上の負荷荷重の属する荷重判別ゾーンを適宜判別、選定する機能を有した情報処理手段と;を備えてなる車両シート用荷重判別装置において、
上記情報処理手段が、所定の駐車検出手段からの検出信号のもとで、車両が駐車状態にあるか否かを確認、判断する駐車確認工程と;上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートが空席状態にあるか否かを確認、判断する空席確認工程と;上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、その車両およびシートの振動レベルが規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する振動レベル確認工程と;上記荷重検出手段への通常作動電圧の印加のもとで得た荷重情報から、そのシートの重心位置が規定範囲以内にあるか否かを確認、判断する重心位置確認工程と;を、特定条件確認工程として順次遂行し、この各確認工程における条件を全て満たしたと判断されたとき、上記荷重検出手段への、通常作動電圧と異なる所定の診断電圧の印加による計測値を、異状診断のための診断荷重として計測、認識し、この診断荷重を所定の正常判断ゾーンと比較することによりその異状を診断するとともに、その異状が判断されたとき、その異状状態を所定の表示手段において表示可能とする異状診断機能を有してなることを特徴とした車両シート用荷重判別装置。 - 前記駐車検出手段が、パーキングブレーキの操作状態を検出可能に設けられた検出スイッチである請求項6記載の車両シート用荷重判別装置。
- 前記荷重検出手段が、平面離間4ヶ所に配した荷重センサユニットである請求項6または7記載の車両シート用荷重判別装置。
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JP2004057036A JP2005249437A (ja) | 2004-03-02 | 2004-03-02 | 車両シート用荷重判別装置の異状診断方法および車両シート用荷重判別装置 |
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JP2008188231A (ja) * | 2007-02-05 | 2008-08-21 | Terumo Corp | 血液分離装置及び血液分離方法 |
-
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- 2004-03-02 JP JP2004057036A patent/JP2005249437A/ja active Pending
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