JP2005248336A - 高伸長性・高伸長回復性不織布、これを用いた製品及び該製品の製造方法 - Google Patents

高伸長性・高伸長回復性不織布、これを用いた製品及び該製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 製品の形状に応じて形取られた複数の布地パーツが接合部で接合されてなる製品であって、該パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布パーツから構成されることを特徴とする製品。
【効果】 本発明の不織布使用製品は、高伸長・高伸長回復性不織布が用いられているため装着感に優れ、軽くて保温性も高く、しかも見た目にも美しいものである。また、本発明の製造方法によれば、縫製コストを大幅に低減することが可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高伸長性・高伸長回復性不織布、該不織布を用いたことにより、軽くて保温性、装着感に優れ、且つ縫製コストを大幅に低減することを可能にした製品及び該製品の製造方法に関する。
合成繊維は、高強度、細繊度、耐摩耗性、ソフトさ、光沢特性、染色鮮明性等の優れた特徴を持っているため、パンティーストッキング等のレッグウェアやインナーウェア、スポーツウェア等の衣料用途に好まれて用いられてきている。特に、インナーウェアについては、ポリアミド繊維の有するしなやかさ、ドレープ性や表面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等が好まれ、女性のランジェリーやファンデーションとして多く用いられている。
しかし、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維は、強度や染色堅牢性等に優れた特性を有するものの、天然繊維に比べて吸湿性が劣っている。そのため、着用時に生じた水蒸気は十分吸湿されないので衣服外に放出されず、特に夏の高温多湿時の蒸れ感は大きく、不快を感じるものであった。また、ポリアミド繊維は、ポリエステル繊維よりも平衡水分率(標準状態での吸湿性)が高いものの、それでも着用の快適感の観点から未だ不十分であった(特許文献1:特開平9−188917号公報)。
また、綿や羊毛に代表される天然繊維は、その風合いや着心地の良さが好まれ、特に肌に直接当たるインナーウェアの中衣には適度な吸湿性を有する綿が多く用いられる。しかし、綿のインナーウェアは、しなやかさ、ドレープ性、光沢感等の審美性に欠けると共に、表面のなめらかなタッチ、着用時のひんやり感等についても不十分であり、特に女性のインナーウェア用には不向きであった。
ところで、一般的に使用されている不織布は、伸縮性を殆ど持たず、特に肌着に使用した場合にフィット性が悪く、着心地が低下し、不織布表面から毛羽や繊維のほつれが生じたり、発汗したとき肌に密着して不快感を与える等の欠点を有しており、これらの不織布は、衣料製品の素材としては必ずしも好ましいものではなく、これが不織布からなる衣料製品の実用化を妨げる要因の一つになっていた。
従来、例えば、使い捨ておむつの腰部や大腿部等弾力性や密着性を要する部分には、着用形態の保持と漏れを防止するために、天然ゴムやポリウレタン系エラストマーの糸状物やテープ状物が使われてきた。しかし、これらはどうしても局部的な緊迫を生じ、また、ギャザー状を呈するため不快感を伴い、おむつを取り去ると赤い締め付け跡が残る等の不都合が生じていた。更に、パンツ型使い捨ておむつにおいて、両側の緊締部に高弾性不織布を取り付けることも試みられているが、未だ緊迫力に欠けるという不満が残されている。
また、女性用衣料のバスト部には、乳房を理想的な形状に整え、バスト全体を美しく形づけるためにカップが設けられている。このような乳房カップ部の構成素材には、不織布ないしはポリウレタン発泡体が用いられている。最近では、所定形状に成形されたモールドカップが注目されているが、ポリウレタン繊維を素材とするモールドカップは、ボリューム性と弾性の点においては優れるものの、黄色に経時変化する欠点を有しており、また肌触りが必ずしも滑らかではなく、着用時にゴワゴワした感触を与えてしまうという欠点を有している。しかも、通気性が悪いため、長時間着用すると蒸れてしまうという欠点も存在する。また、不織布を加圧成形したものは、成形は容易であるものの、安定性が悪いため、外部から大きな力が加えられた場合や、洗濯の際に大きな圧力が加えられる部分の形状が崩れてしまうという欠点が存在し、不満が残されている。
更に、衣料製品において、材料コストのみならず縫製コストが掛かるため、不織布を用いても十分なコストダウンをはかることができず、実用化が妨げられていた。例えば、男性ブリーフの場合、前合わせを形成するように2枚の前布を縫合した後、その前布に対して後布を両脇で縫合し、更にはゴム入れ、末端処理、股下合わせ縫い等の多数の工程が必要である。また、ショーツやガードル等インナーウェアも裾回りやウエスト部分等の強い締付力を要する部分に、締付力の大きな編地を縫着し製造していたり、屈伸運動等によりヒップ裾ラインがずり上がるため、足口中心方向に伸ばす形にカッティングしてヒップの包み込みを深くしたり、カッティング方法によって長くて大きなダーツを得るようにしている。しかしながら、座り姿勢の時に伸ばした分だけ、直立姿勢時に弛みじわとなり、ヒップ回りの寸法が同じ人でもその形は十人十色で丁度ヒップにフィットする人は少なく、また、このような衣料製品は、縫着作業に手間がかかる上、縫着部分が着用者に違和感を与え、外観上も好ましくないという問題があった。
更に、女性用ブラジャーやベビードール等の女性用衣料では、バストカップと側布とを縫着する際や、薄手の生地によって二重に構成された身頃体の端部どうしを接合する際に、接合部の裏面側にバイヤステープを配置して縫着されるため、接合部の厚みが厚くなるとともに、接合部が女性の肌の一部を押圧して、着用感が低下する。また、女性用衣料の装飾性を高めるため、表面側にテープ等によって装飾を施すと、その分だけ厚みを増して剛性が高まり、女性用衣料を着脱する際にスムーズに湾曲せず、着脱性が低下するという問題もあった(特許文献2:特開2002−69708号公報)。
伸長性・伸長回復性を有する衣料製品として、ポリウレタン弾性繊維を混用した緯編地が広く利用されている。しかし、ポリウレタン弾性繊維を混用した緯編地を繰り返し伸長すると、変形して不均一な編地になり、裁断部より糸が抜け出た「ほつれ」、編地の組織にはしご状の傷やずれが発生した「ラン、デンセン」あるいは「ピリング」、「スナッグ」、編地が湾曲した「カール」、ポリウレタン弾性繊維が抜け出す所謂「スリップイン」等の問題が起きやすい。これらの問題に対する対策として、例えば、布端を折り返したり、別布や伸縮性テープを付けて縫合したり、糸かがりを行ったりしていた。こうした作業は衣類の縫製においてかなりの負担であり、着用時に凸部や段差、縫い目等が肌に直接接触して皮膚障害をおこしたり、肌触り感の低下、着心地の低下といった着用感を損なう等の問題があった。
一方、ポリウレタン弾性繊維不織布についても種々の検討がなされており、通気性や伸長性、強度等を向上させる技術が提案されている(特許文献3〜6:特許第2711257号,同第2766474号,同第3255615号、及び同第3098681号公報)。また、ポリウレタン弾性繊維等の熱可塑性エラストマー樹脂繊維からなる不織布を用いた衣料製品として、特開平11−43814号公報及び特開2003−201614号公報(特許文献7,8)には、ヘアキャップが提案されている。
最近では、身体の伸縮に追随して体に良くフィットし、保温性を効果的に発揮する伸縮性不織布が強く望まれており、また、不織布の一部を裁断したままの状態で使用できるお酒落な着衣を楽しむ要求が大きくなっている。例えば、特開2003−147606号公報(特許文献9)には、ポリエステルやナイロンといった熱可塑性樹脂繊維からなる不織布をアンダーシャツやブリーフ等の形状に裁断し、この裁断したパーツを熱融着等によって接合して得られる衣料製品が提案されている。しかしながら、これらの製品は、軽量性、保温性、装着感等の点で十分とはいえず、更なる改良が望まれていた。
なお、本発明に関連する公知文献としては、下記のものがある。
特開平9−188917号公報 特開2002−69708号公報 特許第2711257号公報 特許第2766474号公報 特許第3255615号公報 特許第3098681号公報 特開平11−43814号公報 特開2003−201614号公報 特開2003−147606号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、軽くて保温性、装着感が優れ、且つ縫製コストを大幅に低減することを可能にした高伸長・高伸長回復性不織布、該不織布を用いた製品、及びこの製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、製品の形状に応じて形取られた布地パーツが接合部で接合されてなる製品であって、該パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布パーツから構成される製品、特に衣料製品が、不織布が用いられているため軽量性に優れ、上記不織布が透湿性、通気性、保温性等も良好であること、この場合、伸長性・伸長回復性の高い熱可塑性エラストマー繊維含有不織布、とりわけポリウレタン繊維含有不織布を用いることで、フィット感、装着感に優れ、しかも見た目にも美しい製品が得られることを見い出した。また、パーツどうしの所定の接合箇所を熱融着等によって接合することで、縫製に必要な手間やコストの大部分を省略することができるため経済的であり、美観にも優れることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は以下の製品及びその製造方法を提供する。
(1) 平均フェラメント径0.5〜60μmである繊維からなり、耐ピリング性及び耐スナッグ性を有する不織布であって、該不織布をフリーカットした際のカット端が耐ほつれ性及び耐カール性を有することを特徴とする高伸長性・高伸長回復性不織布。
(2)製品の形状に応じて形取られた複数の布地パーツが接合部で接合されてなる製品であって、該パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布パーツから構成されることを特徴とする製品。
(3)前記不織布パーツが、不織布の裁断、不織布の立体成形、不織布の加熱雰囲気下での成形、又は溶融ポリマーの吹付け成形により得られたものである(2)記載の製品。
(4)前記不織布が、平均フェラメント径0.5〜60μmである繊維からなり、耐ピリング性及び耐スナッグ性を有し、かつ該不織布をフリーカットした際のカット端が耐ほつれ性及び耐カール性を有する(2)又は(3)記載の製品。
(5)前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維が溶融紡糸法により得られたものである(1)乃至(4)のいずれかに記載の製品。
(6)前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維が反応紡糸法により得られたものである(1)乃至(4)のいずれかに記載の製品。
(7)前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維がサイド・バイ・サイド型複合繊維である(1)乃至(6)のいずれかに記載の製品。
(8)前記不織布が、60%以上の50%伸長回復率を有する(1)乃至(7)のいずれかに記載の製品。
(9)前記不織布が、下記のいずれかに規定するΔb値を有する(5)乃至(8)のいずれかに記載の製品。
(i)650ppmのNOx雰囲気下に25℃で1時間暴露した前後の不織布のΔb値が12以下である。
(ii)有効塩素濃度20ppmの水溶液で3時間処理した前後の不織布のΔb値が25以下である。
(iii)紫外線フェードメーターにより32時間照射した前後の不織布のΔb値が15以下である。
(10)衣料、衛生用品、衣料用芯地、又は産業用資材用である(2)乃至(9)のいずれかに記載の製品。
(11)ブリーフ、パンティ、ショーツ、アンダーシャツ、キャミソール、ガードル、ブラジャー、スパッツ、ボディスーツ、生理用ショーツ、アンダーウエア、水着、スポーツ用タイツ、サポーター又はレオタードである(10)記載の製品。
(12)製品の形状に応じて形取った布地パーツを得た後、該パーツを組み立てて接合部で接合させてなる製品の製造方法であって、上記パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布から構成されることを特徴とする(2)記載の製品の製造方法。
本発明の不織布は耐ピリング性、耐スナッグ性に優れ、カット時のカット端の耐ほつれ性や耐カール性にも優れるものである。また、本発明の不織布使用製品は、高伸長・高伸長回復性不織布が用いられているため装着感に優れ、軽くて保温性も高く、しかも見た目にも美しいものである。また、本発明の製造方法によれば、縫製コストを大幅に低減することが可能である。
以下、本発明について更に詳しく説明すると、本発明の製品は、製品の形状に応じて形取られた布地パーツが接合部で接合されてなる製品であって、該パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布パーツから構成されることを特徴とする製品である。
ここで、本発明に係る製品は、例えば、下着やスポーツウェア等の衣料製品、使い捨ておむつ等の衛生用品、フィルター・保護カバー・ワイパー等の産業用資材であって、伸長性及び伸長回復性が要求される分野で使用されるものであるが、特に衣料製品、とりわけ下着類として好適に使用されるものである。
上記製品を構成する布地パーツとしては、織編物からなるパーツや高伸長性・高伸長回復性不織布からなるパーツを用いることができるが、本発明においては、これらのパーツのうち少なくとも一部に高伸長性・高伸長回復性不織布からなるパーツを用いるものである。このような不織布からなるパーツとしては、例えば、(1)不織布を裁断等により所定の形状に分割したもの、(2)立体物に熱可塑性樹脂の溶融エラストマーを吹き付けて得られる不織布からなるもの、(3)成型用金型内に不織布を入れ立体成形したもの、(4)加熱雰囲気下で成形したもの等を用いることができる。これらの不織布からなるパーツは、目的とする製品の形状によって1枚又は2以上の複数枚を用いることができ、(1)〜(4)のパーツを組み合わせて使用することもできる。
立体物に熱可塑性樹脂の溶融エラストマーを吹きつけて得られる不織布からなるパーツを用いる場合、上記溶融エラストマーはスプレー装置から吐出され、その細流は繊維の積層体を形成すべき表面に連続的に吐出されるが、ノズルから吐出された溶融エラストマーは、急速に冷却し繊維状固体となって立体物表面に達する。この場合、立体物に対し、ノズルからの吹きつけ角度を斜めにして塗布すると、不織布の厚さを均一にできるため好ましい。また、立体物の裏側又は側部からノズルからの気体流を強制排気することで、立体物の集積を安定化させることができる。
また、ノズル先端から立体物までの距離及び吹き付け範囲は特に限定されず、スプレー装置の能力等により適宜設定されるが、立体物から10〜50cmの距離の離れた位置から吹き付けることが好ましい。また、吹き付け時間や吐出量を調節することにより、密度の違いや濃淡の差を設けた不織布を得ることができ、製品の伸度、伸長回復性、バックパワーを任意に変化させたり、デザインの多様化を可能にすることができる。
なお、溶融樹脂(溶融エラストマー)又は樹脂溶液を口金より細流として繊維状に押し出し吐出する設備としては、例えば、ホットメルト接着剤のカーテンスプレーとして知られる面塗布装置を用いることができる。具体的には、ITWダイナテック社のダイナファイバー・システム、サンツール社やノードソン社のカーテンスプレーシステム等が好適に使用できる。
例えば、婦人用の乳房カップ(ブラジャー、ボディスーツ、ビスチェ、ブラキャミソール、ブラスリップ用等)の場合、スプレーの吐出量を0.1〜40g/分とすることが好ましく、例えば、製品質量が20gの場合の吹き付け時間は5〜60秒程度が好ましい。また、ショーツやパンツの場合、スプレーの吐出量を0.1〜30g/分とすることが好ましく、例えば製品質量が10gの場合の吹き付け時間は、5〜60秒程度が好ましい。
このようにして吹き付け成形によって得られる不織布に対し、乾熱処理や湿熱処理等を実施することで、不織布中の繊維相互の融着、接着を高めたり、固層反応を進めたり、あるいは造形性を高めたりすることができる。また、立体物と吹き付け成形により得られる不織布の分離を円滑にする目的で、立体物を離形性の高い材料で構成したり、立体物の表面温度を変化させることで分離を促進したり、立体物の表面に離形剤を塗布したりすることもできる。更に、不織布を構成する樹脂中に離形剤を添加することもでき、様々な吹き付け成形法によって得られる種々の不織布を利用することができる。
この場合、離形剤としては、例えばシリコーン系化合物が使用でき、ジメチルポリシロキサンを主体とした熱硬化型シリコーン(商品名:KS−776、KS−847、共に信越化学工業(株)製、商品名:TPR−6700、東芝シリコーン(株)製等)や、ジメチルポリシロキサン中に微小シリカ粒子を含有させたシリコーン(商品名:SD−7230、SD−723等、東レ・シリコーン(株)製)やアルキッド樹脂とメラミン樹脂との混合物に対してポリマー末端にフェニル基置換アルキル基を有するジメチルポリシロキサンを1〜10質量%添加した変性シリコーン(商品名:X−62−9022、KS−883、KS−881等、信越化学工業(株)製)等、公知の離形剤から選択して使用することができる。離形剤を塗工する方法としては、例えばスピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、コンマコート法等を用いることができる。塗工は、乾燥後の膜厚みが0.05〜1.0μmになるようにするのが好ましい。
成型用金型(熱型)内に不織布を入れ、立体成型(熱成形)して得られる不織布パーツを用いる場合、高周波加熱、電熱加熱あるいはスチーム加熱と真空成形、圧空成形あるいは熱板成形とを組み合わせた公知の方法により得られる所望の形状のパーツを用いることができる。これらのパーツを成形する場合の温度や圧力等の成形条件は、目的とするパーツの厚み、形状等によって適宜選択されるが、温度は通常使用する樹脂の融点あるいは軟化点近傍にすることが好ましく、一般的には、80〜280℃に設定されることが好ましい。例えば、不織布を構成する繊維としてポリウレタン繊維を用いた場合は、熱分解による劣化を考慮して、好ましくは120〜250℃の範囲に設定される。また、成形時間は通常15〜300秒が好ましく、より好ましくは20〜180秒である。
熱型に導入された不織布は、熱型の温度近傍に昇温され、熱固定され成形される。この場合、成形温度が低すぎると可塑化効果が発揮されず、形状を保持できない場合がある。一方、高温になりすぎると、不織布中の繊維の熱融着が進み、フィルム状になったり、熱劣化により硬化したり、黄変したり、ストレッチパワーが低下したりと製品本来の特性を失うおそれがある。
また、立体成形した不織布に対し、乾熱処理や湿熱処理等を実施することで不織布中の繊維相互の融着、接着を高めたり、固層反応を進めたり、あるいは造形性を高めたりすることができる。熱型と不織布の分離を円滑にする目的で、熱型を離形性の高い材料で構成したり、熱型の表面温度を変化させることで分離を促進したり、熱型の表面に離形剤を塗布したりすることもできる。更に、不織布を構成する樹脂中に離形剤を添加することもでき、様々な立体成形法によって得られる種々の不織布を利用することができる。尚、離形剤は、公知のものから適時選択して使用することができる。
本発明においては、熱型を用いることなしに熱成形して得られるパーツを用いることもでき、加熱雰囲気中に不織布を導入した後、折り畳む等の変形を施しただけで、所望の形状に熱成形したパーツを得ることができる。この場合、雰囲気の温度は通常使用する樹脂の融点あるいは軟化点近傍にすることが好ましく、一般的には、好ましくは80〜280℃に設定される。例えば、不織布を構成する繊維としてポリウレタン繊維を用いる場合は、熱分解による劣化を考慮して、より好ましくは120〜250℃の範囲に設定される。
ここで、上記パーツに用いられる不織布としては、特に限定されないが、湿式、乾式、溶融紡糸法、反応紡糸法等によって得られる不織布を用いることができる。
また、これらの不織布に用いられる繊維の形状も特に限定されず、短繊維、長繊維(フィラメント)等を用いることができるが、本発明においては、製造が容易で生産性が高く、ピリング、スナッグ、毛羽立ちが少なく、ほつれにくい等の点から長繊維からなる不織布を好ましく用いることができる。
長繊維不織布としては特に限定されず、種々の形式によって得られるものを挙げることができる。例えば、(i)熱可塑性エラストマーを紡糸し、延伸、開繊、捕集及び絡合を行って形成される不織布(スパンボンド法)、(ii)熱可塑性エラストマーを高温高圧空気と共に噴射し開繊配列して形成される不織布(メルトブロー法)、(iii)熱可塑性エラストマーを口金より噴出させ形成され、独特の網状フィブリルを有する不織布(フラッシュ紡糸法)、(iv)熱可塑性エラストマーの長繊維束を延伸捲縮し、開繊及び拡幅を行って形成される不織布(トウ開繊法)、(v)熱可塑性エラストマーの発泡押出しを行い、発泡破裂、積層及び延展を行って形成される不織布(バーストファイバー法)等を用いることができる。本発明においては、製造が容易で生産性が高い点から、これらの中でも特にメルトブロー法とスパンボンド法によって得られる長繊維不織布を好ましく用いることができる。
メルトブロー法では、熱可塑性エラストマーのもつ曳糸性をあまり強く要求しないので、極めて細い繊維径を有する繊維不織布を容易に得ることができる。即ち、メルトブロー法では、溶融したポリマーを紡糸ノズルから吐出させ、そのノズル吐出口を挟む両側部に配置された気体噴出口より加熱気体を噴出させることにより、吐出した溶融ポリマーを細化させ、この細化させた繊維を実質的に収束することなく移動するネットコンベア上に吹き当て、このネット上で気体流と分離して積層させる。
積層された繊維は、自己の有する熱により繊維どうしの接触点で接合し、いわゆるウェッブ状物となるが、その際、つまり冷却前に加圧ローラーを用いて加圧し、接合を強化することもできる。また、繊維が冷却後、加熱加圧ローラーを用いて加熱加圧し接合を強化することもできる。いずれにしても、上記のように積層させ、繊維間を接合したウェッブ状物は、ネットコンベヤと共に移動し、その後ネットコンベヤから捲取りのための他の装置に渡されて移動し、最終的にローラー上に捲取られる。
メルトブロー法によって得られる不織布の場合、フィラメント相互の接着状態が引張強度等の不織布の物性にも大きく影響する。フィラメント相互の接着力は、ノズルからの押出温度(吐出状態の溶融ポリマーの温度)、押し出した溶融ポリマーを細化・冷却する為の高温気体流の温度、風速、風量、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離、コンベアネットからの気体流の排気速度で調整することができる。
紡糸ノズルより押し出される溶融ポリマーの吐出(紡糸)温度は、使用される樹脂の融点あるいは軟化点以上に設定することが好ましいが、通常10℃以上がより好ましい。上限については、例えば、ポリウレタンの場合は、ウレタン結合の熱分解を考慮して設定され、280℃付近が上限となる。吐出(紡糸)温度が低すぎると積層したフィラメントの繊度が太くなったり、フィラメント相互の接着が不良となったり、ひどい場合にはポリマーが溶融されず、ノズルの詰まりが発生するおそれがあり、高すぎると積層したフィラメント相互の接着が強すぎたり、フィラメント相互が集束状態となり積層されたり、ひどい場合にはノズルから押し出された溶融ポリマーが熱分解により発泡してフィラメントを形成できないことがある。
この場合、得られるフィラメントの平均繊維径は、通常0.5〜60μmが好ましく、例えば、ポリウレタン繊維の場合は、3〜60μmであることが好ましく、より好ましくは5〜30μmである。繊維径が細いほど柔軟な不織布となるが、繊維径が細すぎると、引裂強度が低下する場合がある。特にインナー用途については、肌触りや耐水性の点で、繊度が細い方が好ましく、平均フィラメント径としては5〜15μmが好ましい。
また、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離を適宜調整することでウェッブの均一性を確保することができる。例えば、ポリウレタンの場合、好ましくは15〜40cm、より好ましくは20〜30cmに設定する。紡糸ノズルとコンベアネット間の距離が大きく離れすぎると、積層前にフィラメント相互が付着(集束)し、ウェッブの均一性が低下する場合がある。また、積層状態でフィラメント相互の接着が不良となり不織布として形態安定性が乏しくなり、破断強度等の諸物性もおのずと低下する場合がある。一方、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離が近すぎると、フィラメント相互の接着が激しくなったり、場合によっては接着が強すぎてフィルム状となり不織布の良好な触感が損なわれるおそれがある。
押し出された溶融ポリマーを細化・冷却する為の高温気体流の温度、風速、風量については適宜変更することができるが、温度については通常、吐出された溶融ポリマーの温度近傍が好ましい。紡糸ノズルと高温気体流との温度差が大きいと、ノズル温度の制御が困難になり好ましくない。
風量については、生産性の観点から使用量を低くすることが有利であるが、溶融ポリマーを目的の繊度に細化できる程度に増やしていく。風速については、吐出口の大きさにより変わるが、一般的には吐出口面積を低くし、風速を上げた方が繊度の細化に有利である。また、不織布の風合いを変化させる目的でフィラメントの集積を妨げない範囲で風量、風速を上げる場合もある。
また、高温気体流は通常ノズル吐出口近傍から溶融ポリマーに随伴しながら流れていくが、フィラメントの集積方向に沿って段階的にあるいは複数箇所から高温気体流を噴出することもできる。コンベアネットからの気体流の排気速度もフィラメント相互の接着状態を決める因子となり、通常上記高温気体流と同量以上を排気することが好ましく、フィラメントの集積状態を安定化できる程度の風量が更に好ましい。
製造段階では、フィラメントの集積点温度の計測値が同じになるよう、特にノズルからの押出温度(吐出状態の溶融ポリマーの温度)、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離で微調整すると安定した不織布の製造が可能となる。
製造段階では、フィラメントの集積点温度を計測し、特にノズルからの押出温度(吐出状態の溶融ポリマーの樹脂温度)、紡糸ノズルとコンベアネット間の距離等、紡出温度を目標範囲内におさめると安定した該不織布の製造が可能となる。
なお、使用される樹脂中には水分が含有されているが、水分を含有した状態でメルトブローを行うと樹脂の分解が生じるので、吐出に先だって乾燥処理を行う必要がある。樹脂の水分含有量は低いことが望ましいが、例えばポリウレタン樹脂の場合、0.2質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.05質量%以下である。
スパンボンド法によって得られる不織布は、衣料用に適しており、かつコスト面でも有利である。スパンボンド法では、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸等により紡糸し、紡糸ノズルより連続的に引き出されたフィラメントをランダムにマット状に集積させてウェッブを形成し、これを使用される樹脂の融点あるいは軟化点近傍に加熱し、交絡処理により不織布を得ることができる。例えばポリウレタンの場合、好ましくは150〜280℃、より好ましくは180〜250℃まで加熱し、交絡処理により不織布を得ることができる。
溶融した熱可塑性ポリマーを定量的に供給する供給装置は、電熱ヒーターによって連続的に溶融できるホッパーフィルターを通して溶融ポリマーを定量的に給送するための給送ポンプ、及び溶融ポリマーを供給する供給ホースにより構成される。給送ポンプとしては、ギヤーポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ等溶融ポリマーを定量、定圧で給送できるものであれば特に限定されない。また、供給ラインにおいては、溶融ポリマーの温度が一定温度に加温され、一定の粘度範囲で制御し得る加熱装置を備えていることが更に望ましい。加熱温度は、熱可塑性ポリマーの軟化点より少なくとも20℃以上であることが好ましく、通常40〜60℃高くしておくのが更に好ましいが、熱可塑性ポリマーの熱安定性も考慮して調整することができる。
更に、メルトブロー法であってもスパンボンド法であっても、吐出されたフィラメントを積層又は集積するコンベアネットの形状は平面に限らず、用途に応じた凹凸をつけることで複雑に造形した不織布シートを連続的に製造することができる。更に、積層物や集積物はそのまま巻き取ってもよいし、必要に応じて所定長さで裁断しつつ連続的に複雑に造形した不織布シートを製造することができる。
吐出されたフィラメントを積層又は集積するコンベアネットに他のシート、フィルム、編地、織物、不織布を連続又は不連続で送り込み、その上にフィラメントを積層又は集積して得られる不織布含有多層シートを使用することもできる。
本発明で用いられる不織布としては、以上のようにして得られる不織布を公知の交絡処理方法により処理したものを利用することができる。例えば、熱エンボス処理により繊維を融着した不織布、超音波により繊維が融着された不織布、ウォータージェットを用いて繊維が交絡された不織布、ホットエアースルーにより繊維が交絡された不織布、ニードルパンチを用いて繊維が交絡された不織布等があるが、これらの中では、熱エンボス処理した不織布や超音波融着や熱融着させた不織布を好ましく用いることができる。
本発明で用いられる不織布の目付や厚みは、目的とする製品によって適宜選定されるが、衣料製品、例えば、ショーツ用製品では、目付20〜500g/m2程度であることが好ましく、より好ましくは40〜300g/m2程度である。また、厚みは0.05〜3mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2mm程度である。
また、身体の動きに追従し、着崩れをしない等の点から、伸長率(又は伸度)は、40〜650%であることが好ましく、より好ましくは50〜550%であり、50%伸長後の回復率は60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。50%伸長回復率が60%未満では、装着固定されるための力が弱く、身体の伸縮に追随したフィット感が得られない場合がある。50%伸長回復率の上限は100%であるが、ソフトフィット感を与えるために意図的に値を下げる場合があり、用途や目的により使いわける。伸長率については、上記値を下回ると身体に対するフィット感が悪化する場合があり、上回ると使用時の応力低下により着用感が悪くなったり、繰返し使用した時に着用感が低下する場合がある。なお、50%伸長回復率の測定方法は後述する通りである。
また、本発明に用いられる不織布は、高い耐黄変性を有することが好ましい。耐黄変性を有する不織布としては、(1)各種安定剤が配合された樹脂組成物からなる繊維を含有する不織布、(2)樹脂の原料を変更して得られる繊維を含有する不織布、(3)各種安定剤の配合と樹脂の原料の変更を併用して得られる繊維を含有する不織布等が挙げられ、いずれも使用することが可能である。
ここで、例えば、ポリウレタンの場合、耐熱性、耐酸化性、耐光性が問題であり、特にその成型加工時や製品の使用時において劣化、変色が生起し、そのため酸化防止剤、光安定剤等の安定剤の使用はさけられず、多くの安定剤やその組合せが開発されている。中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、セミカルバジド系化合物等の安定剤を添加することが望ましい。
各種安定剤の配合割合は、効果を発揮する量を配合すればよい。ポリウレタン重合体に安定剤を配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン重合工程の任意の段階で配合させることができる。例えば、ポリウレタン重合終了後、成形段階の前に直接ポリウレタン重合体に添加してもよい。また、ポリウレタン重合体の原料に安定剤を加えておいてもよい。更に、安定剤を溶媒に分散もしくは溶解させて加えておくこともできる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、ペンタエリスルチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等が挙げられる。
セミカルバジド系化合物の具体例としては、1,6−ヘキサメチレンビス(N、N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド等が挙げられる。
また、ポリウレタンを合成する際に使用されるジイソシアネートを無黄変型有機ポリイソシアネートに変更することにより、高い耐黄変性を得ることができる。無黄変型有機ポリイソシアネートとしては、種々のものが使用でき、特に溶剤で希釈する必要のない、常温で液状を示すものが好ましい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等、並びにこれらのビュレット体、イソシアヌレート体及びカルボジイミド変性物等が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、2種類以上を併用することもできる。
また、後述するように、通常ポリウレタンの合成に使用されるジイソシアネートは、ポリオールとの反応性や弾性体の物性等から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが一般的に使用されているが、芳香族環をもつため変色しやすく、上記記載の安定剤により黄変を防止している。その他に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート使いの優れた物性を保持しながら、耐黄変性を向上させる方法として、無黄変型有機ポリイソシアネートを併用して使用することができる。更に、上記記載の添加剤を併用することにより4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート使いの優れた物性を保持させながら耐黄変性を満足することができる。
このような方法により得られる不織布の耐黄変性は以下の方法によって測定することができる。例えば、ポリウレタン繊維含有不織布の耐NOx黄変性は、650ppmのNOx雰囲気下に25℃1時間暴露した前後の不織布のΔb値を求めることにより得ることができる。ここで、b値とは後述する通り黄変変化度の計測値であり、この値は、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。Δb値が12を超えた不織布をNOxに暴露される可能性がある製品に使用する場合は耐黄変性の点で不充分となる場合がある。
ポリウレタン繊維含有不織布の耐塩素黄変性は、有効塩素濃度20ppmの水溶液で3時間処理した前後の不織布のΔb値を求めることによって得ることができる。この場合、Δb値は好ましくは25以下であり、更に好ましくは10以下である。Δb値が25を超えた不織布を塩素水に暴露される可能性がある製品に使用する場合は耐黄変性の点で不充分となる場合がある。
ポリウレタン繊維含有不織布の耐光黄変性は、スガ試験機製紫外線フェードメーターU48S(温度46℃、湿度50%RH)で32時間照射した前後の不織布のΔb値を求めることによって得ることができる。この場合、Δb値は好ましくは15以下であり、更に好ましくは10以下である。Δb値が15を超えた不織布を光に直接暴露される可能性がある製品に使用する場合は耐黄変性の点で不充分となる。
なお、Δb値の下限値は特に制限されないが、いずれの方法においても通常0以上である。
本発明の製品を特に衣料用途に使用する場合、体温保持の点から、本発明に用いられる不織布の保温率は0.5%以上であることが好ましく、例えば、ポリウレタン繊維の場合は、1〜20%が好ましい。透湿性は、600g/m2・24HR以上であることが好ましく、例えば、ポリウレタン繊維を使用した場合は、皮膚へのフィット性が高いことから1,500〜8000g/m2・24HRであることがより好ましい。通気性は100mL/cm2・sec以上であることが好ましく、例えばポリウレタンを使用した場合は、上記と同じ理由で1,000mL/cm2・sec以上であることがより好ましい。これらの条件を下回ると水や汗等によってむれ等が発生する場合があり、上回ると過剰な性能を保持し、かえって好ましくない場合がある。なお、保温率、透湿性、及び通気性の測定方法は後述する。
本発明に使用される織編物からなる布地パーツとしては特に限定されず、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、高強度再生セルロース繊維(例えば、商品名テンセル)等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ乳酸等の化学合成繊維等の繊維を用いた、平織、綾織、朱子織等の織物、天竺編み、ゴム編み、パール編み等の丸編地やその他の緯編地、クサリ編、デンビ編、コード編、アトラス編等の経編地からなるパーツの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、本発明に用いられる不織布を構成する糸に用いられる繊維としては、熱可塑性エラストマー繊維が好ましく、その種類は本発明の目的を達成し得る限り特に制限されないが、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーからなる繊維が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマー繊維は、1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明では、これらの中でも伸縮特性、熱成形性等の面から熱可塑性ポリウレタン繊維を好適に用いることができる。
本発明に用いられるポリウレタン繊維の組成、製造方法等は特に制限されるものではなく、例えば、ポリオールと過剰モル量のジイソシアネートを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタン中間重合体を製造し、該中間重合体のイソシアネート基と容易に反応し得る活性水素を有する低分子量ジアミンや低分子量ジオールを不活性な有機溶剤中で反応させポリウレタン溶液(ポリマー溶液)を製造した後、溶剤を除去し糸条に成形する方法や、ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジアミン又は低分子量ジオールとを反応させたポリマーを固化し溶剤に溶解させた後、溶剤を除去し糸条に成形する方法、前記固化したポリマー(チップ状やペレット状等)を溶剤に溶解させることなく加熱により糸条に成形する方法、前記固化したポリマー(チップ状やペレット状等)を溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して糸条に成形する方法、前記ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させてポリマーを得、該ポリマーを固化することなく糸条に成形する方法、更には、上記のそれぞれの方法で得られたポリマー又はポリマー溶液を混合した後、混合ポリマー溶液から溶剤を除去し糸条に成形する方法等がある。
これらの中で、(A)ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリマー(以下「両末端NCO基プレポリマー」とする)と、(B)ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとを、反応させて得られる両末端水酸基プレポリマー(以下「両末端OH基プレポリマー」とする)とを反応させて得られるポリマーを固化することなく反応紡糸する方法が、連続で生産できる方法であってかつ、繊維の熱履歴が少なくなるので耐熱性が高くなり、化学架橋密度の高い不織布を連続で製造できるので更にもう一段耐熱性があがり、加えてテトラヒドロフランやジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドといった通常の熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する溶解性の高い溶剤に対しても溶解を低下させ耐有機溶剤性が付与でき、更にポリウレタン繊維1本1本の繊度の均斉度が高くなる等の点で好ましく、また、溶剤の回収を含まないため経済的で環境負担の少ない製法である。また、両末端NCO基プレポリマーと両末端OH基プレポリマーとを反応させて得られるポリマーを固化して得られるポリウレタン重合体チップ又はペレットを用いて溶融紡糸する方法も好適に採用することができる。
この場合、(A)、(B)成分のプレポリマーを構成するポリオールは、同じであっても違っていても良いが、数平均分子量が400〜5,000程度のポリオールを用いることが好ましい。
このようなポリオールとしては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール等を用いることができる。
ポリエーテルグリコールとしては、末端にヒドロキシル基をもつ数平均分子量400〜5,000の線状高分子体が挙げられ、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、THFと3−メチルテトラヒドロフラン(3−MeTHF)との共重合体である変性PTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、THFと2,3−ジメチルテトラヒドロフランとの共重合体である変性PTMG、炭素原子数1〜8の直鎖状又はランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンジオール等のポリエーテルジオール、環状エーテル(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等)の開環重合によって得られるポリエーテルジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコールの重縮合により得られるポリエーテルグリコール等が例示できる。
また、親水性ポリオールとは、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基、アミノ基、及びエチレンオキサイドの繰り返し単位の群から選ばれる1種又は2種以上の基を有するポリオールであり、これらの中でもエチレンオキサイドを主成分とする親水性ポリオールが親水性を付与する際に好ましく使用される。親水性をコントロールするために親水性鎖を有しないポリオールを共重合することも可能である。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド/テトラメチレンオキサイドの共重合ポリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの共重合等が挙げられる。
ポリエステルグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類から選ばれる少なくとも1種又は2種以上とコハク酸、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸等の二塩基酸類から選ばれる少なくとも1種又は2種以上との重縮合によって得られるポリエステルグリコール;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られるポリエステルグリコール等が例示される。
ポリカーボネートグリコールとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート等から選ばれる少なくとも1種の有機カーボネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ジオールとのエステル交換反応によって得られるカーボネートグリコール等が例示される。
上記例示したポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、又はポリカーボネートグリコールは1種を単独で又はこれらを組み合わせて2種以上を用いることができるが、衣料用途の場合は耐加水分解性の点から使用する合計量のポリオールに対してポリエーテルジオール成分を30質量%以上、好ましくは60質量%以上使用することが望ましく、ポリエーテルジオール成分が100質量%であってもよい。勿論耐加水分解性を要求されない用途や、カルボジイミド化合物やポリカルボジイミド化合物等の加水分解抑制剤を伴い耐加水分解性を満足すればポリエステルグリコール成分が100質量%であっても何等問題無い。なお、ポリエーテルジオール成分としては、特にポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラメチレンオキサイドを含む共重合体が好ましく使用でき、親水性を付与する際は、エチレンオキサイドを主成分とする親水性ポリオールで、特にポリエチレングリコール、エチレンオキサイド/テトラメチレンオキサイドの共重合ポリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドの共重合ポリオールが好適に使用される。
(A)、(B)成分のプレポリマーを構成するジイソシアネートとしては、ポリウレタンの製造に際して通常使用されている脂肪族系、脂環式系、芳香族系、芳香脂肪族系等の任意のジイソシアネートを使用することができる。
このようなジイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖延長剤である低分子量ジオールや低分子量ジアミンは、反応速度が適当であり、適度な耐熱性を与えるものが好ましく、イソシアネートと反応し得る2個の活性水素原子を有し、一般に分子量が500以下の低分子量化合物が使用される。
このような低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコール、3,3−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジン、ジヒドラジドトリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパンジオール等を用いることができ、紡糸性を阻害しない範囲内でグリセリン等3官能グリコール類も使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、作業性や得られる繊維に適度な物性を与える点からエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
また、このような低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ブタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジン等を用いることができる。
低分子量ジオールと低分子量ジアミンを併用することもできるが、本発明においては、鎖長延長剤として低分子量ジオールをより好ましく使用することができる。
また、反応調整剤又は重合度調整剤として、ブタノール等の1官能性のモノオールやジエチルアミンやジブチルアミン等の1官能性のモノアミンを混合して用いることもできる。
ポリウレタン重合反応の際、もしくは紡糸溶液として使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶媒が挙げられる。
上記(A)、(B)成分のプレポリマーには、耐候性、耐熱酸化性、耐黄変性改善のために、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の任意成分を添加することができる。例えば、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、セミカルバジド系化合物等の安定剤を用いることができ、具体的には上記例示したものと同様のものを使用することができる。更には、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化チタン、ジルコニウム含有化合物等の無機微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノシロキサン等の粘着防止剤、フッ素系又はシロキサン系等の帯電防止剤、コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、シランカップリング剤、その他着色剤、顔料、光沢剤、染色増強剤、ガス変色防止剤、充填剤、難燃剤、表面処理剤、つや消し剤、防カビ剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、ワックス類、軟化剤、離型剤、発泡剤、増量剤、増核剤、銀や銅等の抗菌性を示す金属を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担持させた抗菌剤、消臭剤、ブロッキング防止剤等を添加することができる。
着色されたポリウレタン繊維含有不織布を製造する段階で添加される顔料としては、各種の無機顔料及び有機顔料が使用できるが、220℃以上の耐熱性をもつことが必要である。例えば、チバスペシャリティーケミカルス(株)製の青、緑、赤、橙、黄、茶、桃、紫色顔料、MERK JAPAN CO.製の金、銀色顔料、東海カーボン(株)製のカーボンブラック等が挙げられる。また、顔料の粒径は、5μm以下が好ましい。また、染色工程を行わずとも好みの色相を容易に出すことができる。
次に、本発明のポリウレタン繊維を得る方法は、特に制限されるものではないが、例えば、溶融紡糸法として以下の3つの方法が知られている。
(1)ポリウレタン弾性体チップ(ペレット)を溶融紡糸する方法。
(2)ポリウレタン弾性体チップ(ペレット)を溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して紡糸する方法。
(3)ポリオールとジイソシアネートを反応させたプレポリマーと低分子量ジオールとを反応させた紡糸用ポリマーを合成した後、固化させることなく紡糸する反応紡糸方法。
(1)の方法は、耐熱性や物性の点で劣るが、小回りが効くのでポリマー組成を変更して基本物性を大きく変えたい場合、着色数が多い一方で製造量が少ない等の小ロット対応の際経済的で特に効果を発揮する。
(2)の方法は、(1)の方法のバリエーションとして、ポリウレタン重合体チップ(ペレット)を溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して紡糸する方法である。特に、ペレット紡糸品の耐熱性を向上させる手段として有効である。
(3)の方法は、(1)、(2)の方法に比べ、ポリウレタン弾性体チップを取り扱う工程が無いため簡略であり、また、プレポリマーの反応機への注入割合を調節して、紡糸後のポリウレタン繊維中の残留NCO基の量を調整でき、この残留NCO基による鎖延長反応で耐熱性の向上を得ることもできるため、好適な方法である。更に、(3)の方法では、特表平11−839030号公報に開示されているように、低分子量ジオールをプレポリマーの一部と事前に反応させ、OH基過剰のプレポリマーとして反応機に注入する方法も行なうことができる。
(1)の方法を採用する場合、通常の熱可塑性ポリウレタンチップ(ペレット)を使用することができる。該ペレットは一般的に、ワンショット法とプレポリマー法によって得られる2つがあり、ワンショット法による製造で得た樹脂は、結晶性が強く、熱成形時の溶融特性が劣るため、プレポリマー法で造ることが好ましい。
例えば、ポリオールに過剰のイソシアネートをあらかじめ120℃以下、好ましくは100℃以下の温度において反応を完結させた末端イソシアネートのプレポリマーと鎖延長剤との2液(プレポリマー法)、又は高分子ポリオールと鎖延長剤とを混合したポリオールコンパウンドとイソシアネートとの2液(ワンショット法)を各々計量し、混合撹拌する方法、上記の原料を定量ポンプで計量し強烈に混合撹拌した後、バット上に注下して、次いで、好ましくは80〜200℃、更に好ましくは120〜180℃の温度で反応させ、その後粉砕する方法で製造される。
また、好ましくは80〜250℃、より好ましくは120〜250℃に設定された押出機に上記原料を供給し、該押出機内で原料を混練、搬送しながら重合を行い熱可塑性ポリウレタンをダイから押し出す方法でも製造できる。一般的には、特別な反応当量比を制御する高精度の原料供給装置を必要としないで、外観が良好な熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる。
イソシアネートと鎖延長剤との反応当量比は特に制限ないが、通常0.90〜1.15が好ましく、更に好ましくは0.95〜1.10である。熱可塑性ポリウレタンは通常製造JISA硬度が70〜95、好ましくは75〜95のものである。JISA硬度が70未満であると、成形したとき離型性が悪く、また成形品が変形してしまい、逆にJISA硬度が95を超えるとウレタンの分解温度で成形することになったり、溶融粘度の温度依存性が余りにも高くなり、少し温度が下がると溶融不良を招き、少し温度があがると粘度が極端に低下し、又は発泡して品質の安定性を著しく損ねることになる。
熱可塑性ポリウレタンの窒素原子の含有率は2.4〜4.5質量%の範囲にあるものが好ましい。該窒素含有率が2.4質量%未満では、成形したとき離型性が悪く、また成形品が変形してしまい、逆に窒素含有率が4.5質量%を超えるとウレタンの分解温度で成形することになったり、溶融粘度の温度依存性が余りにも高くなり、少し温度が下がると溶融不良を招き、少し温度があがると粘度が極端に低下し、又は発泡して品質の安定性を著しく損ねることになる。
(2)の方法を採用する場合、使用するポリイソシアネート化合物は、数平均分子量が400以上で、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であることが好ましく、通常、ポリオールに過剰のイソシアネートを反応させたポリイソシアネート化合物を使用することができる。ポリオールとして3官能性のもの、あるいは3官能性のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物を少量併用してもよい。ポリウレタン樹脂に対するポリイソシアネート化合物の添加量は、3〜30質量%が好適で、特に5〜20質量%が好ましい。添加量が少ないと、ポリウレタン樹脂の改質効果に乏しく、添加量が多すぎると耐熱性は高くなるが、紡出安定性が不良になり、できた不織布が不均一になるので好ましくない。
(3)の方法を採用する場合、紡糸用ポリマーの合成は、(I)両末端NCO基プレポリマーの合成と、(II)両末端OH基プレポリマーの合成と、(III)これら二つのプレポリマーを反応機に導き、連続的に反応させる紡糸用ポリマーの合成の3つの反応で構成されるが、原料の組成比は上記3つの反応を通算して、全ジイソシアネートのモル量と、全ポリオール及び全低分子量ジオールの合計モル量とのモル比が0.95〜1.25が好ましく、更に好ましくは1.03〜1.15である。
具体的には、上記(I)の両末端NCO基プレポリマーは、例えば温水ジャケット及び撹拌機を具備したタンクに所定量のジイソシアネートを仕込んだ後、撹拌しながら所定量のポリオールを注入し、50〜130℃で30〜100分、好ましくは60〜120℃で50〜70分、窒素パージ下で撹拌することで得ることができる。この反応で得られた両末端NCO基プレポリマーは、ジャケット付きギアポンプ(例えば、KAP−1 川崎重工業株式会社製)を用いてポリウレタン繊維用反応機に注入する。
(II)の両末端OH基プレポリマーは、温水ジャケット及び撹拌機を具備したタンクに所定量のジイソシアネートを仕込んだ後、撹拌しながら所定量のポリオールを注入し、50〜130℃で30〜100分、好ましくは60〜120℃で50〜70分、窒素パージ下で撹拌して前駆体を得、次いで、低分子量ジオールを注入し、撹拌して前駆体と反応させることで得ることができる。得られた両末端OH基プレポリマーはジャケット付きギアポンプ(例えば、KAP−1 川崎重工業株式会社製)を用いてポリウレタン繊維用反応機に注入する。
なお、この両プレポリマー合成時に、耐候性、耐熱酸化性、耐黄変性等を改善するための上記各種薬品類を添加することができる。
(III)の紡糸用ポリマーの合成は、一定比率で送り込まれた(A)、(B)のプレポリマーを、連続反応させて得ることができる。この場合、反応機としては、通常のポリウレタン繊維の溶融紡糸法に用いられるものでよく、紡糸用ポリマーを加熱、溶融状態で撹拌、反応させ、更に紡糸ヘッドに移送する機構を備えた反応機が好ましい。反応条件は、160〜220℃で1〜90分、好ましくは180〜210℃で1〜60分である。
本発明で用いられるポリウレタン繊維は、合成された紡糸用ポリマーを固化させることなく紡糸ヘッドに移送し、ノズルから吐出、紡糸して得ることができるが、紡糸用ポリマーの反応機内での平均滞留時間は反応機の種類によって異なり、下式により計算される。
反応機内での平均滞留時間=(反応機容積/紡糸用ポリマー吐出量)×紡糸用ポリマーの比重
一般的に円筒形反応機を用いる場合は約1時間が好ましく、2軸押出し機を用いる場合は1〜30分であることが好ましい。(過去のモビロンK組成での試験では1.7分から20分の範囲で実施した、これ以上短いと反応が進まず、一方これ以上長い場合は劣化、着色、低粘度化を起こした。)紡糸(吐出)温度は上述反応温度と同等以上が好ましく、160〜230℃、特に180〜220℃とすることが好ましく、ノズルより連続的に押出した後、冷却し、紡糸油剤を付着して巻取ることによって得ることができるが、ノズルより押し出した後、連続して不織布のウェッブ形成工程を行うことも可能である。
ここで、両末端NCO基プレポリマーと両末端OH基プレポリマーとの比率は紡糸した直後の糸中にNCO基が0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.3〜1.2質量%残るように注入ギアポンプの回転比率を適宜調整することが好ましい。NCO基が上記範囲内であれば、紡糸後の鎖延長反応により強伸度、耐熱性等の物性を向上させることもできる。NCO基が上記範囲より少ないと高粘度化による生産性の低下や、得られたポリウレタン繊維含有不織布の耐熱性や弾性性能が低下するおそれがあり、また、多すぎると紡糸用ポリマーの粘度が低くなり糸切れ等紡糸性が低下する場合がある。
なお、紡糸した糸中のNCO基の含有率は以下のように測定する。
紡糸した繊維(約1g)をジブチルアミン/ジメチルフォルムアミド/トルエン溶液で溶解した後、過剰のジブチルアミンと試料中のNCO基を反応させ、残ったジブチルアミンを塩酸で滴定し、NCO基の含有量を算出する。
本発明に用いられる繊維としては、上記反応紡糸法や溶融紡糸法によって得られるポリウレタン繊維以外にも、並列型(サイド・バイ・サイド型)、分割型(繊維断面が円弧状に分割されたもの)、及び鞘芯型〔シース・コア型(同心円型及び偏心型)〕等の熱可塑性エラストマー、特に熱可塑性ポリウレタンを含有する複合繊維を用いてもよい。
これらの複合繊維は、溶融紡糸法、反応紡糸法等の公知の紡糸方法により得ることができる。なお、鞘芯型の複合繊維を用いる場合には、融点の低い方の成分が鞘となるように紡糸することが好ましい。
紡糸温度は、使用する樹脂成分の融点等によって適宜決定しうる事項であるが、一般的には、180〜280℃の範囲で複合溶融紡糸するのが好ましい。180℃未満であったり、あるいは280℃を超えると、安定的に紡糸しにくくなる場合がある。
上記複合繊維は、好ましくは熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とを用いてなるものであるが、上記熱可塑性樹脂としては特に制限されず、例えば、非晶性熱可塑性エラストマーと結晶形態を取る熱可塑性樹脂からなる組み合わせ、又は熱可塑性エラストマーの融点と10℃以上の融点差がある樹脂の組み合わせ等が挙げられる。このような熱可塑性樹脂の例として、ポリオフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、低融点共重合体ポリエステル、ポリエステル・ポリエーテル系共重合エラストマー、ポリエステル・ラクトン系共重合エラストマー、ポリスチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アタクチックポリプロピレン、ポリブデン等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとして熱可塑性ポリウレタンを用いる場合、複合繊維を形成するために使用される他の樹脂としては、上記記載の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、ポリプロピレンを使用すると、細繊化が容易で、ポリプロピレン独自の軽量感や保温性を付与できる等単独の樹脂を使用した場合とは物性や風合いの異なる不織布ができる。また、同じ熱可塑性ポリウレタンであり、融点又は軟化点の異なる樹脂を用いたり、1種類の熱可塑性ポリウレタンを成形温度を変えて紡出すると嵩高く、伸長後に捲縮効果が発揮される等、単独の樹脂を用いて複合紡糸しない方法に比べて物性や風合いの異なる不織布が好適にできる。
熱可塑性エラストマーとして熱可塑性ポリウレタンを用いる場合、その含有量は、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは40〜90質量%であり、とりわけ50〜90質量%であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンの含有量が10質量%以下では、伸縮性が低下してしまい、伸長回復率の低下及び伸長時におけるピンホール発生の原因となる場合があるので好ましくない。
次に、本発明の製品の製造方法は、製品の形状に応じて形取った不織布からなるパーツや織編物からなるパーツを組み立てて製品とする。ここで、不織布からなるパーツや織編物からなるパーツとしては上述したものを用いる。
この場合、上記パーツには、抗菌加工、消臭加工、難燃加工、揚水加工、擦油加工、防汚加工、吸湿加工、帯電防止加工等の機能加工を施すことができる。方法としては、加工液に不織布を含浸させた後、マルクルロール等で一定に絞り、ドライ−キュア工程を経る方法や、該加工液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコーター、捺染等で塗布した後、熱処理する方法等により常法に従って行うことができる。なお、本発明で用いられる不織布パーツには、別の不織布や織編物等の布帛やラミネートシートをボンディング又は熱融着することもできる。
2以上の布地パーツを製品に組み立てる際は、パーツどうしの接合すべき箇所は任意の手段で接合することができ、この場合、不織布からなるパーツは切り放し状態で使用することも可能である。接合する場合、例えば、熱融着によって接合させてもよく、あるいは縫合しても良い。特に、パーツの結合すべき箇所を熱融着によって接合した場合、無縫合で縫い目の無い製品が得られ、従来の縫製工程を必要とする製品に比べて製造コストを大幅に低減することができ好ましい。この場合、熱融着の方法は、特に限定されるものではなく、ヒートプレスを用いた熱融着のほか、超音波や高周波を利用した熱融着等が可能である。いずれの場合も熱可塑性エラストマー繊維含有不織布の融着により各パーツを結合させるであれば良い。
本発明の製品は、主としてブリーフ、パンティ、ショーツ、アンダーシャツ、キャミソール、ガードル、ブラジャー、スパッツ、ボディスーツ、生理用ショーツ等の下着類、水着、レオタード、リゾートウエア、ホームウエア、アンダーウエア、スポーツ用タイツ、シャツ、上着材、手袋、靴下、腕カバー、医療用衣料、手術衣、半導体工場でのクリーンルーム作業用衣料、防塵衣料、サポーター、アイマスク等の衣料製品、使い捨ておむつ、失禁パット、ガーゼ、包帯、貼布材、包装材、マスク、シーツ、タオル、ハンカチ等の衛生用品、衣料芯地、精密濾過用フィルター、工業用ワイパー、保護カバー等の産業用資材のように高度の伸長性と伸長回復性とを必要とする分野への適用が好適である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記例において、製品の洗濯試験、及び不織布の諸物性は以下の方法に従って測定した。
洗濯試験
JIS L−1096 1.2織物の試験片調整、及びJIS L−1018の家庭用電気洗濯機法に準じて以下の方法で試験を行った。
1.寸法変化率
(1)試料に20cm×20cmの正方形を描いて測定面とし、経緯共に両辺の中央点を結んだ長さを測定した。
(2)全自動洗濯機(102A,NIPPRE製)を用いて、水位30L,水温25℃とし、試料を約10g入れ、弱アルカリ性洗剤(商品名:アタック、花王(株))を20g入れた。
(3)5時間洗濯後、10分間すすぎ、1分間脱水して取り出し、25℃、65%RHの雰囲気で2時間乾燥した。
(4)以下の計算式で寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={[洗濯後の長さ(mm)−洗濯前の長さ(mm)]/洗濯前の長さ(mm)}×100
2.毛羽立ち、ほつれ、カール
洗濯後の不織布表面を、目視で観察した。
帯電性
JIS L−1094のB法に準じて以下の手順で測定した。
(1)試料を4cm×32cmに切り取り試験片とした。
(2)摩擦布はナイロン8号の白布(JIS L−0803染色堅牢度試験用添付白布)を用いて2.5cm×16.0cmに切り取った。
(3)測定は15℃×40%RHの恒温恒湿下で行った。
(4)試験片を外径が31.4cmからなるドラムに取り付け、摩擦布を該試験片下方に接する位置に置き、試験片の片方を固定して別の片方に500gの荷重をかけて伸長させた。この時、摩擦布を試験片下方に接する位置に置き、試験片の片方を固定して別の片方に500gの荷重をかけて伸長させた。
(5)次いで、毎分400回転でドラムを回転させ、デジタル静電電位測定器(商品名:KSD−0103S、春日電機(株)製)を用いて、ドラム側面より1cmの位置で発生する静電気量を測定した。
速乾性
(1)試料を7.5cm×7.5cmに切り取り試験片とした。
(2)この試験片を25℃、65%RHの雰囲気下を1時間放置して質量を測定した。
(3)JIS L−1096法に準じて、水の高さ20cmの水浴中に試料片を完全に浸漬させ、20分放置後取り出して1分間脱水した。
(4)その後、25℃、65%RHの雰囲気下に放置して経時的に質量を測定した。
(5)吸水率が1%以下になった時間(分)を測定した。
透湿性
JIS L−1099のウオーター法に準じて測定した。
(1)試料を直径8cmの円状に切り取り試験片とした。
(2)40℃の蒸留水を内径が4.7cmのガラス瓶の上面1cmの位置まで入れた。
(3)カップ上部に試験片を置き、ガラス瓶の開口部(4.7cm)の周囲をシールして、周囲から水分の出入りがないように固定した。
(4)40℃、50%RHの恒温高湿装置に入れた。
(5)1時間後の総質量をA1(g)、2時間後の総質量をA2(g)とし、下式により透湿度を求めた。なお、Sは透湿面積である。
透湿度(g/m2・24h)={(A1−A2)/S}×24
通気性
JIS L−1096のB法に準じて以下の方法で測定した。
(1)試料を5cm×5cmに切り取り、試験片とした。
(2)内経3.5cmのガラス管2本を外部から空気の出入りがないように接合させ、空気透過用試験器とした。
(3)ガラス管下部にアスピレーターを用いて、ガラス管上部から空気を毎分300mLの風量で導いた。
(4)今度はガラス管2本の間に試験片を挟み込み、外部から空気の出入りがないように接合させ固定して、試験片を通過する空気の風量を計測した。
(5)以下の計算式で300mLの空気が試料を通過するに要する時間を求めて、通気性を評価した。
通気性(秒)={300mL/(試験片を通過する空気の風量、mL/分)}×60
保温性
JIS L一1096の冷却法に準じて以下の方法で測定した。
(1)試料を6cm×11cmに切り取り試験片とした。
(2)外径3.4cmの50m1スクリュー瓶の周囲を試験片で覆い、25℃に温調した室内で1時間放置した。
(3)このスクリュー瓶へ50℃に加温した蒸留水を50m1入れ、1時間後の水温を測定した。
(4)試験片で覆わない裸源体で同様にして1時間後の水温を測定した。
(5)以下の計算式で保温率を求めた。
保温率(%)={[1−(50−b)]/(50−a)}×100
a:裸状における1時間冷却後の温度(℃)
b:試片を取り付けたときの1時間冷却後の温度(℃)
スナッグ評価
JIS L 1058 A法に準拠して表1の通り評価した。
Figure 2005248336
ピリング評価
JIS L 1076 A法に準拠して表2の通り評価した。
Figure 2005248336
ほつれ評価
10cm×10cmの試料を採取し、上記洗濯試験後、JIS標準状態(温度20±2℃、湿度65±2%RH)で4時間放置後、カットした部分のほつれ程度をマイクロスコープで50倍に拡大して洗濯前後で比較し、表3の通り評価した。
Figure 2005248336
カール評価
10cm×10cmの試料を採取し、上記洗濯試験後、JIS標準状態(温度20±2℃、湿度65±2%RH)で4時間放置後、カールした部分の試料角度を測定し、表4の通り評価した。
Figure 2005248336
耐黄変性試験とその評価
[関連規格] JIS Z 8701-1982
「XYZ表色系及びX101010表色系による色の表示方法」
L*a*b*表色系における測定値は次の通りである。
L*:明度
a*、b*:カラーチャート上における座標を示す。
a*:レッド/グリーン軸の値(値が高いと赤が強く、低いと緑が強い。)
b*:イエロー/ブルー軸の値(値が高いと黄が強く、低いと青が強い。)
黄変変化度(Δb値)の測定:
試験片(10cm×4cm)を用いて下記の耐NOx性試験、耐塩素性試験、耐光性試験を実施し、処理前後のb値をミノルタ分光測色計(CM−3500d)により測定し、その変化(Δb値)にて評価した。Δb値が高いほど試料が黄変したことを意味する。
耐NOx性試験:
試験片をJIS0855強試験に準じて、飽和水蒸気下、650ppmの酸化窒素ガスで標準染色布の変色が一定に達するまで3回暴露し、処理前後の黄変度指数b値を測定し、その変化Δb値を求めた。
耐塩素性試験:
試験片をJISL0884B法に基づいて塩素濃度(有効塩素濃度)20ppmの水溶液中で3時間処理した後、処理前後の黄変度指数b値を測定し、その変化Δb値を求めた。
耐光性試験:
試験片をスガ試験機製紫外線フェードメーターU48S(温度46℃、湿度50%RH)で32時間照射し、処理前後の黄変度指数b値を測定し、その変化Δb値を求めた。
平均フィラメント径の測定
走査型電子顕微鏡でフィラメントの断面を計測した。5〜10個の平均値で平均フィラメント径を決定した。
皮膚刺激性
日本産業皮膚衛生協会の河合法によって評価した。
(1)被験者20人に対して、1.5cm四方に切り取った試験片を左右それぞれの上腕部に4点ずつ貼布した。
(2)24時間後、試験片を取り外してスンプ液(スンプ研究所製)を塗布した。
(3)1分後、皮膚より剥がし標本として、実体顕微鏡を用いて陥凹皮溝を観察した。
(4)以下の方法で評価した。
基準: 陰性 試験体刺激指数0以下
準陰性 試験体刺激指数1〜2
準陽性 試験体刺激指数3
陽性 試験体刺激指数4以上
[実施例1]
ポリオールとして数平均分子量2,000のポリエチレンアジペートジオール3,545質量部とジイソシアネート成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1,205質量部を窒素ガス雰囲気中、110℃で60分間撹拌・反応させて、両末端NCO基プレポリマーを合成した。得られた両末端NCO基プレポリマーに鎖延長剤として1,4−ブタンジオール250質量部を加えて15分撹拌反応させ、ポリウレタン重合体を得た。このポリウレタン重合体に残存しているNCO基含有率は0.4質量%であった。このポリウレタン重合体を100℃で24時間加熱処理し、フレーク状に粉砕した後に、50℃、60%RHの雰囲気下で3日間熟成させた。次いで、このフレーク状ポリウレタン重合体に紫外線吸収剤(0.5質量%)(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)25質量部、酸化防止剤(0.5質量%)(3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン)25質量部、光安定剤(0.5質量%)コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物25質量部、セミカルバジド化合物(0.1質量%)1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド5質量部を添加し、170℃に加温したエクストルーダーで均一に混合した後、毎分400gの吐出量で水中に押し出し、ペレタイザーを用いて径が3mmの円柱状にカットしてポリウレタンペレットを得た。ポリウレタンペレットのショアーA硬度は75で、また、溶融開始温度は165℃であった。
このポリウレタンペレットをホッパードライヤーを用いて乾燥温度80℃で2時間脱水・乾燥して、ポリウレタンペレットの水分率を50ppmとした。このポリウレタンペレットを230℃に加温したエクストルーダーに供給して溶融した後に、口径がφ0.3mm、ピッチが1mmのノズルを一列に450個有するメルトブロー紡糸設備に導き、ノズルホール当たり0.12g/分でポリマーを押し出した。この時のノズル温度は230℃であった。次いで、ノズルのスリットから235℃に加熱した空気を毎分1.9m3噴射してノズル下方30cmの位置にある20メッシュの金網からなるコンベア上に積層した。コンベア下部から毎分50m3の風量で吸引してネット状とし、巻き取り速度を2.7m/分として紙管に巻き取りシート状の不織布を得た。得られたポリウレタン繊維含有不織布は平均フィラメント径が10μmであり、目付けが50g/m2で、厚みが0.14mmであった。この不織布の破断伸度は経が380%で緯が430%で、50%伸長後の回復率は経緯共に92%であった。
ここで、破断伸度、50%伸長後の回復率は、それぞれ下記方法に従って測定した。
破断伸度:
JIS L 1096に準じて以下の方法で測定した。25mm×130mmに切り取り試料とした。次いで、島津製作所製オートグラフ(AG−1)を用いて、把握長10cm、伸長速度20cm/分として破断するまで伸長して試験片の伸びを測定した。以下の計算式で破断時の伸度を求めた。
破断伸度(%)={(破断時の試料長さ(cm)−10)/10}×100
50%伸長後の弾性回復率:
JIS L 1096(一般織物試験方法)の伸長弾性率に準じて引張試験機(島津製作所製オートグラフ(AG−1)により幅2.5cmの試験片を、つかみ間隔10cmの点L0から引張速度10cm/minで引張り、つかみ間隔の50%まで引き伸ばした点L2(5cm)から、同速度で戻した時に、応力がゼロになった点L1と点L0との長さをA1(cm)とし、次式により算出した。
50%伸長後の弾性回復率(%)=((5−A1)/5)×100
この不織布を用いてJIS L−4006 1.2.2記載の成人女性用Lサイズに合わせてショーツを作成した。ショーツの作成手順は、まず、前面と背面の2枚に形取ってフリーカットし、その2枚を重ね合わせた。そして、股の部分と左右サイドの計3カ所の重ねしろ5mmに相当する部分に130℃に加熱した金型を当て、0.2MPaで5秒間、加圧して熱融着させて製品とした。
得られた無縫製ショーツについて洗濯試験を行ったところ、寸法変化率は経緯共に0%で変化は見られなかった。また、カット端は耐ほつれ性、耐カール性が有り、該不織布の耐ピリング性、耐スナッグ性は共に良好であり衣料として適した結果であった。
また、脱水後25℃で65%RHの雰囲気下で乾燥したところ、約5分で乾燥し、速乾性に優れていた。一方、40℃で50%RH雰囲気下での透湿性は4,400g/m2・24時間で、衣料用の素材として満足する結果であった。更に、空気の通過面積を9.6cm2とした試料の通気性を測定したところ、62秒であった。
保温性については6.3%と何れも糸からなる他の衣料用素材(比較例1、2)と比較して優位な結果であった。また、帯電性についても−0.2kVと低位で良好な結果であった。
耐黄変性については、下記の通り良好な結果を得た。
NOx黄変:Δb値=7.0
塩素水黄変:Δb値=18.4
紫外線フェードメーター黄変:Δb値=9.6
本発明のショーツをモニター10人に対して16時間の着用試験を行った結果、フィット性は全員が、また、履き心地は10人中8人が良好と判断した。また、着用中の蒸れ感も感じることがなく、無縫製のためにアウターに響かない点が好評であった。更に、河合法による皮膚刺激性については準陰性であった。
[実施例2]
実施例1と同様にして得たポリウレタン繊維含有不織布を24時間伸長率50%で保持したところ、破断伸度は経方向が350%になり、50%伸長後の回復率は経緯共に95%に向上した。
この不織布を用いて実施例1と同様にしてショーツを作成したところ、更にフィット性が高まり、履き心地はモニター10人中9人が良好と判断した。その他の特性は実施例1の結果と同様で良好であり、各物性の測定値は、以下の通りであった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性有り、耐カール性有り、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性は共に良好
帯電性:−0.2kV 速乾性:5分
透湿性:4,750g/m2・24時間 通気性:62秒
保温性:5.8% 皮膚刺激性:準陰性
[実施例3]
ポリオールとして数平均分子量2,000のポリオキシテトラメチレングリコールを用いて、両末端イソシアネートを合成する段階で、ベージュの着色剤として、チバ・スぺシャリティー・ケミカルズ製のイルガライトイエローWGP:3質量部、同クロモフタールイエロー3RLP:53.4質量部、同イルガライトブルーWGP:3質量部、同クロモフタールブロン5R:0.4質量部、同クロモフタールレッド2,030:0.2質量部、富士チタン工業(株)製の酸化チタン(TR−700):40質量部の混合物を4質量部(0.2質量%/ポリマー)添加した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタンペレットを得た。
次いで、不織布形成用コンベア速度を1.3m/分、1.0m/分と変更した以外は実施例1と同様にして目付が100g/m2と150g/m2のシート状のポリウレタン繊維含有不織布を得た。また、ヒップを立体的に形取ったシリコーン樹脂製の型を装着したコンベアの速度を1.2m/分とした以外は実施例1と同様にして100g/m2の立体的なウレタン繊維含有不織布を得た。該不織布の厚みは100g/m2が0.26mm、150g/m2が0.38mmで、該不織布の経伸度は430%、緯伸度は480%であった。該不織布の平均フィラメント径は目付100g/m2の不織布が11μm、目付150g/m2の不織布が13μmで、該不織布の経伸度は450%、緯伸度は500%であった。また50%伸長回復率は91%であった。
続いて、150g/m2の不織布をフロント中央部、ウエスト部、大腿部とし、更に、ヒップ部を形取った立体的な不織布を後部に、その他の部分には100g/m2の不織布を用いて、加熱融着してガードルを作成した。ウエスト部や太股部に体の動きの強さに応じて厚みを変えた不織布を用いたこと及び、ヒップ部に立体的な不織布を用いたことによって、人体の曲線に沿うことでフィット性を高めると共に、適所で体型補正機能を備えかつ無理な締め付けの無いガードルを得た。更に、ポリウレタン原料にエーテル系のポリオールを使用しているため耐加水分解性に優れ、ペレット段階でベージュに着色しており、後染めすることなくそのまま衣料として使用できた。製品の特性は実施例1と同様良好で、モニターによる評価は10人中9人が良好と判断した。なお、不織布の各物性の測定値は、以下の通りであった。
100g/m 2
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性有り、耐カール性良好、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性も共に良好
帯電性:−0.2kV 速乾性:10分
透湿性:3,050g/m2・24時間 通気性:64秒
保温性:10.3% 皮膚刺激性:準陰性
150g/m 2
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性良好、耐カール性良好、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性も共に良好
帯電性:−0.2kV 速乾性:15分
透湿性:2,900g/m2・24時間 通気性:67秒
保温性:15.4% 皮膚刺激性:準陰性
[実施例4]
ブラックの着色剤(商品名:トーカブラック#7550F、東海カーボン社製)を10質量部添加した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンペレットを合成した。
次に、スパッツの前面と背面をそれぞれ形取ったポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の立体物に直接フィラメントを吹き付けた以外は実施例1と同様にして、積層により目付200g/m2で、平均フィラメント径が13μmの不織布を得た。該前面と背面の2つのパーツからなる不織布を重ね合わせて、接合部を加熱融着させてスパッツを完成した。履き心地はモニター10人中9人が良好と判断した。この特性は実施例1と同様に良好であり、各物性の測定値は、以下の通りであった。またペレット段階でブラックに着色しており、後染めすることなくそのまま衣料として使用できた。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性良好、耐カール性良好、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性も共に良好
帯電性:−0.1kV 速乾性:20分
透湿性:2,600g/m2・24時間 通気性:69秒
保温性:19.6% 皮膚刺激性:準陰性
[実施例5]
実施例3のポリウレタンペレットをメルトブロー法によってフィラメントを吹き付け成形した。肩ひもを有しないストラップレスブラジャーを形取ったポリプロピレン製の型を装着したコンベアの速度を1.2m/分とした以外は実施例3と同様にして、積層により目付100g/m2で平均フィラメント径が8μmの不織布を得た。背部の部分を加熱融着させてできたブラジャーを装着したところ、モニター10人中6人が着用感良好と判断した。各物性の測定値は実施例3と同等であった。
[実施例6]
ポリウレタン繊維含有不織布用の中間反応物として、以下の両末端NCO基プレポリマーと両末端OH基プレポリマーを合成した。両末端OH基プレポリマーは、まず、窒素ガスでシールした80℃の温水ジャケット付き反応釜に、ジイソシアネート成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート28.34質量部を仕込み、次いで、撹拌しながら紫外線吸収剤(0.5質量%)(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)25質量部、酸化防止剤(0.5質量%)(3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン)25質量部、光安定剤(0.5質量%)コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物25質量部、セミカルバジド化合物(0.1質量%)1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド5質量部を添加しポリオール成分として数平均分子量2,000のポリオキシテトラメチレングリコール78.12質量部を注入した。1時間反応後に、今度は低分子量ジオールとして1,4−ブタンジオールを40.94質量部注入して合成した。
一方、両末端NCO基プレポリマーは、窒素ガスでシールした80℃の温水ジャケット付き反応釜にジイソシアネート成分として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを47.4質量部仕込み、次いで、ポリオールとして数平均分子量2000のポリオキシテトラメチレングリコールを100質量部注入し、1時間反応させた。
得られた両末端NCO基プレポリマーと両末端OH基プレポリマーを3:1の質量比で、撹拌翼を有する総容量3,000mL筒形反応機に連続的に供給した。供給速度は両末端NCO基プレポリマーが40.5g/分、両末端OH基プレポリマーが13.5g/分であった。反応機内での平均滞留時間は約50分、反応機内の温度はおよそ190℃になるようコントロールした。上記反応混合物を固化することなく、220℃の温度に保った紡糸ヘッドに導入し、次いで実施例1のメルトブロー紡糸設備に導き、実施例1と同様にして、ノズルホール1個当り0.12g/分(全量54g/分)の速度で反応混合物を吐出させ、耐熱性に優れ平均フィラメント径が9μmのポリウレタン繊維含有不織布を得た。なお、吐出直後のポリウレタン繊維のNCO基含有率は0.41質量%であった。
実施例1と同様にしてショーツを作成し評価したところ、実施例1と同様、履き心地はモニター10人中9人が良好と判断した。なお、各物性の測定値も実施例1と同等であった。エステル結合を含まないため耐加水分解性に優れ、過剰のNCO基が不織布中で架橋する為に耐熱性にも優れたショーツ素材となった。
耐黄変性については、下記の通り良好な結果を得た。
NOx黄変:Δb値=7.8
塩素水黄変:Δb値=15.4
紫外線フェードメーター黄変:Δb値=6.4
[実施例7]
イソシアネート成分にジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを用いた以外は実施例1と同様にしてポリウレタンペレットを合成した。これを220℃で溶融してその先にホットホースと加圧ポンプを取り付け、更にその先にホール径0.5mmの吐出口を48個有するノズルを具備したハンドガンを取り付け、吐出圧18kg/cm2で、男性用腰型を形取った金網状の立体物に直接吹き付けた。
10分間空冷後、吹き付けたウレタン不織布を金網状の立体物から外して目付が95g/m2で平均フィラメント径が12μm不織布パンツを得た。該パンツの伸度は全方向に300%以上であり経方向の伸度は430%で50%伸長回復性は94%であった。モニターでの着用試験では10人中7人が良好と判断した。更に、長期間保存又は使用しても耐黄変性に優れた特徴があった。その他の特性は実施例1と同様に良好であり、各物性の測定値は、以下の通りであった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性有り、耐カール性有り、該不
織布の耐ピリング性有り、耐スナッグ性有り
帯電性:0.1kV 速乾性:5分
透湿性:3,200g/m2・24時間 通気性:62秒
保温性:5.9% 皮膚刺激性:準陰性
NOx黄変:Δb値=2.4
塩素水黄変:Δb値=0.5
紫外線フェードメーター黄変:Δb値=0.4
[実施例8]
実施例1と同様にしてメルトブロー紡糸設備を用いて細繊化したフィラメントを紡出した。ノズル下方30cmの位置に、ノズルと平行に外径5cm、長さ40cmの回転式ロールが配列されたコンベアを置き、このロール上にフィラメントを積層して、連続的に筒状のポリウレタン繊維含有不織布を成形した。
冷却後ロールから不織布を外して任意のサイズにカットしてサポーターを作成した。該サポーターの目付は480g/m2で、平均フィラメント径は15μmで、経方向の伸度は530%、50%伸長回復性は97%で伸長性、伸長回復性に優れたサポーターであった。その他の特性も良好であり、各物性の測定値は、以下の通りであった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性良好、耐カール性良好、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性も共に良好
帯電性:−0.3kV 速乾性:20分
透湿性:1,800g/m2・24時間 通気性:85秒
保温性:39% 皮膚刺激性:準陰性
[実施例9]
第1の樹脂として実施例1と同様にして合成したポリウレタンペレットを、第2の樹脂としてポリプロピレンペレット(ノバテックSA06A,日本ポリプロ(株)製)を用いた。これらを2系列の溶融設備に別々に投入して、ポリウレタンを235℃、ポリプロピレンを215℃で加熱溶融し、その後、ポリウレタンとポリプロピレンの質量比が70:30になるように計量ギアポンプの回転数を調整し、サイドバイサイド構造のノズルパックに供給して、複合フィラメントを紡出した。
次に、実施例4と同様にして、目付200g/m2で、平均フィラメント径がポリウレタンが7μm相当でポリプロピレンが5μm相当のサイドバイサイド構造複合フィラメントからなる不織布でできたスパッツを完成した。該スパッツの厚みは1.6mmであり、経方向の伸度は430%、50%伸長回復性は85%であり、ポリウレタン繊維のみからなる不織布と比較して約2倍嵩が高く、軽量感があり、保温性にも優れ、更に触感に優れており、モニター10人中9人が着用性良好と判断した。その他の物性も下記の通り良好であった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性有り、耐カール性有り、該不
織布の耐ピリング性、耐スナッグ性も共に有り
帯電性:−0.5kV 速乾性:15分
透湿性:2,800g/m2・24時間 通気性:69秒
保温性:41% 皮膚刺激性:準陰性
[実施例10]
エクストルーダー及びノズルの温度を220℃、加熱空気の温度を225℃とした以外は実施例1と同様にして50g/m2のシート状のポリウレタン繊維含有不織布を成形した。この不織布の平均フィラメント径は25μmであり、破断伸度は410%、50%伸長回復性は90%で、透湿性は6,000g/m2・24時間と良好であり、伸縮性ガーゼには良好に使用できた。
但し、フィラメント径が太いためポアサイズが大きくなり水が該不織布を自由にすりぬけ、また肌触りが堅いのでインナー素材としては適さなかった。評価の為、実施例1と同様にしてショーツを作成してモニターによる着用試験を行ったところ、履き心地について良好と判断した人は10人中1人もいなかった。保温性が3.5%と低く、各物性は下記の通りとなった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端の耐ほつれ性有り、耐カール性有り、該不
織布の耐ピリング性有り、耐スナッグ性有り
帯電性:−0.2kV 速乾性:5分
通気性:60秒
[比較例1]
ポリプロピレンの平均フィラメント径が7μmからなる目付50g/m2のメルトブロー不織布を用いて、実施例1と同様にしてショーツを作成した。不織布の熱融着性が低くまた静電気を帯びやすい為加熱融着工程で何度も繰り返して圧着する必要があった。
該ショーツは破断伸度30%で試着段階でフィラメント相互の融着が剥がれ着用できなかった。更に、シート状の不織布を洗濯したところ、ゲバ立ちが強く、本発明に使用できる素材ではなかった。その他、各物性の測定値は、以下の通りであった。
洗濯試験結果:寸法変化率は測定不能、フリーカット端のほつれ有り、耐カール性有
り、該不織布のピリング発生、スナッグ発生
帯電性:−4.5kV 速乾性:5分
透湿性:3,900g/m2・24時間 通気性:63秒
保温性:17.8%
[比較例2]
311デシテックス21フィラメントのポリウレタン弾性繊維と33デシテックス10フィラメントからなる目付が130g/m2のラッセル生地から通常縫製によりショーツを作成した。破断伸度は370%、伸長回復率は93%と良好であったが、縫製部の着用感について、モニター評価したところ、10人中8名が縫製部に違和感を感じる回答を得た。次に、胴回りや裾部等で縫製を避けフリーカットにて改良ショーツを作成したが、洗濯によりほつれやカールが激しく、一般衣料として使用には適さないものであった。更に、透湿性や通気性、保温性等の機能についても本発明のウレタン繊維含有不織布からなるショーツに比較して何れも劣る結果となった。該改良ショーツ各物性は以下の通りであった。
洗濯試験結果:寸法変化率0%、カット端のほつれ有り、カール有り、該編地の耐ピ
リング性有り、耐スナッグ性有り
帯電性:1.3kV 速乾性:10分
透湿性:1,700g/m2・24時間 通気性:88秒
保温性:1.8% 皮膚刺激性:準陰性

Claims (12)

  1. 平均フィラメント径0.5〜60μmである繊維からなり、耐ピリング性及び耐スナッグ性を有する不織布であって、該不織布をフリーカットした際のカット端が耐ほつれ性及び耐カール性を有することを特徴とする高伸長性・高伸長回復性不織布。
  2. 製品の形状に応じて形取られた複数の布地パーツが接合部で接合されてなる製品であって、該パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布パーツから構成されることを特徴とする製品。
  3. 前記不織布パーツが、不織布の裁断、不織布の立体成形、不織布の加熱雰囲気下での成形、又は溶融ポリマーの吹付け成形により得られたものである請求項2記載の製品。
  4. 前記不織布が、平均フィラメント径0.5〜60μmである繊維からなり、耐ピリング性及び耐スナッグ性を有し、かつ該不織布をフリーカットした際のカット端が耐ほつれ性及び耐カール性を有する請求項2又は3記載の製品。
  5. 前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維が溶融紡糸法により得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の製品。
  6. 前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維が反応紡糸法により得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の製品。
  7. 前記不織布が、ポリウレタン繊維含有不織布であって、該繊維がサイド・バイ・サイド型複合繊維である請求項1乃至6のいずれか1項記載の製品。
  8. 前記不織布が、60%以上の50%伸長回復率を有する請求項1乃至7のいずれか1項記載の製品。
  9. 前記不織布が、下記のいずれかに規定するΔb値を有する請求項5乃至8のいずれか1項記載の製品。
    (i)650ppmのNOx雰囲気下に25℃で1時間暴露した前後の不織布のΔb値が12以下である。
    (ii)有効塩素濃度20ppmの水溶液で3時間処理した前後の不織布のΔb値が25以下である。
    (iii)紫外線フェードメーターにより32時間照射した前後の不織布のΔb値が15以下である。
  10. 衣料、衛生用品、衣料用芯地、又は産業用資材用である請求項2乃至9のいずれか1項記載の製品。
  11. ブリーフ、パンティ、ショーツ、アンダーシャツ、キャミソール、ガードル、ブラジャー、スパッツ、ボディスーツ、生理用ショーツ、アンダーウエア、水着、スポーツ用タイツ、サポーター又はレオタードである請求項10記載の製品。
  12. 製品の形状に応じて形取った布地パーツを得た後、該パーツを組み立てて接合部で接合させてなる製品の製造方法であって、上記パーツの少なくとも一部が高伸長性・高伸長回復性不織布から構成されることを特徴とする請求項2記載の製品の製造方法。
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